(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5874450
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
F21S 8/12 20060101AFI20160218BHJP
F21W 101/10 20060101ALN20160218BHJP
【FI】
F21S8/12 294
F21S8/12 268
F21W101:10
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-51013(P2012-51013)
(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-187028(P2013-187028A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】六川 匡史
【審査官】
米山 毅
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−294203(JP,A)
【文献】
特開2010−040275(JP,A)
【文献】
特開2011−243362(JP,A)
【文献】
特開2008−071555(JP,A)
【文献】
特開2010−244726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10−8/12
F21W 101/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源からの光を車両前方へ反射させる反射面を有するリフレクタと、前記反射面からの反射光を透過して前方へ照射する投影レンズと、前記リフレクタと前記投影レンズとの間に配置され、前記反射面からの反射光の一部を遮光してすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとを切り替える可動シェードと、前記可動シェードを可動させる配光切替手段と、を備えた車両用前照灯において、前記投影レンズと前記可動シェードとの間には、前記反射面からの反射光のうち前記可動シェードによって遮光されない光を遮光する固定シェードが配置されており、前記固定シェードの上端縁は前記配光切替手段の上面よりも上方に位置しており、前記固定シェードの上端縁は車両下側に湾曲した円弧形状に形成されていること、を特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記固定シェードは前記投影レンズに向かって下側に傾斜して配置され、下端縁の長さは前記上端縁よりも長く形成されており、前記下端縁は前記投影レンズに沿ってフレームに一体に形成されていること、を特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記固定シェードの前記上端縁の側方端部は、前記上端縁の中央部よりも車両前方であって、前記中央部よりも上方に設けられていること、を特徴とする請求項1および2に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行状況に応じて複数の配光パターンを切り替え照射する配光切替型のプロジェクタ型ランプを具備する車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば車両のヘッドランプとして用いられる車両用前照灯は、車両の前方に開口が形成されたハウジングと、このハウジングの開口を閉塞する前面レンズによって構成される灯室を備え、この灯室内にプロジェクタ型ランプを配置させて構成されている。
【0003】
プロジェクタ型ランプは、少なくとも、バルブからなる光源と、前記光源からの光を前方へ照射させるための反射面を有するリフレクタと、この反射面の前方に配置される投影レンズと、前記投影レンズの後側焦点近傍に位置するシェードと、で構成され、前記投影レンズから照射されるプロジェクタ型ランプからの光は、前記灯室の前面レンズを通して車両の前方に照射されるようになっている。
【0004】
たとえば下記特許文献1に開示されているように、前記反射面の第2焦点近傍に設けられる可動シェードの上縁により配光パターンのカットオフラインが形成され、前記可動シェードは配光切替手段によって上下方向に移動可能に支持されており、さらに、前記投影レンズと前記可動シェードの間には固定シェードが設けられている。
【0005】
下記特許文献1に開示されている固定シェードは、前記可動シェードの前方下側を塞ぐ板形状をしており、集光レンズの有効部分に入射しない反射光(集光レンズの周縁部の非有効部に入射する反射光)を遮光するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-004456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、近年のプロジェクタ型ランプの小型化に伴って、リフレクタの反射面により反射された光の一部が第2焦点を通らずに、例えば配光切替手段の上面に入射し乱反射して投影レンズに入射し、配光パターンに寄与しない迷光として照射されることがあった。
【0008】
したがって、配光切替手段の上面に入射し乱反射した光などの意図しない光が、投影レンズの有効反射面やその他の部分に入射し、すれ違い配光パターン形成時において、対向車や歩行者にとって眩惑となる光が照射される恐れがあった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、小型化されたプロジェクタ型ランプにおいても、配光パターンに寄与しない光が投影レンズに入射することを防止し、適切な配光パターンを形成するランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、光源と、前記光源からの光を車両前方へ反射させる反射面を有するリフレクタと、前記反射面からの反射光を透過して前方へ照射する投影レンズと、前記リフレクタと前記投影レンズとの間に配置され、前記反射面からの反射光の一部を遮光してすれ違い用配光パターンと走行用配光パターンとを切り替える可動シェードと、前記可動シェードを可動させる配光切替手段と、を備えた車両用前照灯において、前記投影レンズと前記可動シェードとの間には、前記反射面からの反射光のうち前記可動シェードによって遮光されない光を遮光する固定シェードが配置されており、前記固定シェードの上端部は前記配光切替手段の上面よりも上方に位置しており、前記固定シェードの上端縁は車両下側に湾曲した円弧形状に形成されていること、を特徴とする。
【0011】
前記固定シェードは前記投影レンズに向かって下側に傾斜して配置され、下端縁の長さは前記上端縁よりも長く形成されており、下端縁は前記投影レンズに沿ってフレームに一体に形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
前記固定シェードの前記上端縁の側方端部は、前記上端縁の中央部よりも車両前方であって、前記中央部よりも上方に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型化したプロジェクタ型ランプにおいても、配光切替手段の上面やその他の部分により乱反射した光が投影レンズに入射するのを、確実に遮光することができ、迷光となる光が照射されることを確実に防止することが出来る車両用前照灯を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係わるプロジェクタ型ランプを示す正面図。
【
図3】本発明に係わるプロジェクタ型ランプの内部を示す拡大斜視図。
【
図4】[
図1]における A−A断面のフレームの拡大断面図。
【
図5】[
図3]における配光切替手段部分の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0016】
図2は、本発明の車両用前照灯の実施態様1の概略を示す断面図である。
図2は、たとえば車両前照灯のプロジェクタ型ランプ1を示している。
図2中、x、y、z方向は、車両用前照灯を車両に取り付けた場合に、それぞれ、車両の幅方向、高さ方向、前後方向に一致させて示している。
【0017】
〈全体の構成〉
図1におけるプロジェクタ型ランプ1は、(図示しない)アウターレンズと、ハウジングによって形成される車両用前照灯の灯室内に配置され、すれ違い配光パターン及び走行用配光パターンを形成するプロジェクタ型ランプ1である。車両用前照灯は、車両の前方端部であって左右両側に設けられている。
【0018】
プロジェクタ型ランプ1は、投影レンズ2と、光源3と、リフレクタ4と、可動シェード6と、固定シェード16と、配光切替手段10と、を備えている。
【0019】
光源3は、放電灯、いわゆる、メタルハライドランプなどの高輝度放電灯(HID)などからなる。光源3は、リフレクタ4にソケット12を介して着脱可能に取り付けられている。光源3の発光部分には、リフレクタ4の第1焦点F1が位置するように設定されている。
【0020】
リフレクタ4の内面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などにより、光源3の発光部分を第1焦点F1とし、投影レンズ2の後側焦点の近傍に第2焦点F2を有する、楕円を基本とする自由曲面からなる反射面5が形成されている。リフレクタ4は、フレーム9の車両後方側に固定保持されている。
【0021】
またリフレクタ4の後方部分には、光源3を保持固定するための開口部が設けられており、光源3(例えば放電灯バルブなど)が後方側から挿入固定されている。
【0022】
投影レンズ2は、車両前方側が前方に凸形状であって、車両後方側が平面形状からなり、投影レンズ2の後側焦点近傍には前記反射面5の第2焦点F2が位置するように形成されている。また、投影レンズ2は自由曲面から形成されるレンズであっても良い。また、投影レンズ2は、フレーム9の車両前方側に固定保持されている。
【0023】
可動シェード6は、反射面5により反射された光源3からの光を遮光し、
図6に示す所定のすれ違い配光パターンLPを形成する。なお、
図6は、この実施例における車両用前照灯から10m先のスクリーンに投影された配光パターンの説明図である。
図6における符号H−H線はスクリーンの水平線を示し、符号V−V線は、同じく、スクリーンの上下垂直線を示す
【0024】
また、可動シェード6は、配光切替手段10としてのソレノイドおよびバネ部材14によって、上端縁が上下動することにより、
図6に示すすれ違い配光パターンLPと、
図7に示す走行用配光パターンHPとに切り替えられる構成となっている。
【0025】
可動シェード6は、第1シェード7および第2シェード8とからなり、SUS(バネ鋼板)などの弾性を有する薄板構造からなり、第1シェード7と第2シェード8とバネ部材14は、一体構造をなす。第1シェード7と第2シェード8は、かしめ又はリベット止めやスポット溶接などにより固定されており、第1シェード7と第2シェード8との間には、所定の間隔の隙間が設けられている。また、この2枚のシェードの上端縁は、隙間を挟んでほぼ平行に対向している。
【0026】
図5に示すように、第1シェード7は、光源3側に位置しており、上端縁には、すれ違い配光パターンLPのカットオフラインを形成する形状を有し、光軸Z−Zと直交するように設けられている。第1シェード7の下端側は、固定部15が設けられ、配光切替手段10の進退ロッド11に固定されている。
【0027】
第2シェード8は、第1シェード1と対向して投影レンズ2側に位置しており、上端縁には、すれ違い配光パターンLPのカットオフラインを形成する形状を有し、光軸Z−Zと直交するように設けられている。また、第2シェード8の下端縁は上端縁よりも投影レンズ2側に位置するように設けられている。
【0028】
第1シェード7は、ほぼ垂直に設置されており、第2シェード8は、下端縁が上端縁よりも投影レンズ2側に配置されている構成となっているため、第2シェード8が傾斜するように配置されることにより、第1シェード7と第2シェード8の隙間は、上端縁から下端縁に向かうにつれて大きくなるように形成されている。
【0029】
(固定シェード)
図1〜
図4に示すように、固定シェード16は、可動シェード6と投影レンズ2の間に位置しており、フレーム9の下側にフレーム9と一体に設けられている。固定シェード16の表面に蒸着または塗装等を施すことにより、反射面部を形成することとしても良い。
【0030】
固定シェード16は、上端縁16aおよび下端縁16bが円弧形状をしており、上端縁16aは配光切替手段10よりも上側に位置しており、下端縁16bにおいてフレーム9と一体に形成されている。下端縁16bは、上端縁16aよりも長くなるよう構成されている。固定シェード16は正面視で扇形となるよう形成されている。
【0031】
図4に示すように、上端縁16aは、プロジェクタ型ランプ1の光軸Z−Zの略鉛直断面上に中央部16a1を有しており、中央部16a1の車幅方向側方には側方端部16a2が形成されている。
【0032】
上端縁16aの中央部16a1は、上端縁16aのうち最も下方に形成され、最も配光切替手段10の近傍に設けられている。
【0033】
上端縁16aの側方端部16a2は、中央部16a1よりも車両前方であって上側に設けられており、側方端部16a2から固定シェード16の下端縁まで側方に広がるように形成されている。また、側方端部16a2は、中央部16a1の鉛直軸を中心に線対称に設けられている。
【0034】
(配光切替手段)
配光切替手段10は、たとえばソレノイド等の駆動装置であり、可動シェード6をすれ違い配光パターンHPを形成する第1位置と、走行用配光パターンを形成する第2位置とに移動(回転、回動)切替可能に位置させるものである。配光切替手段10は、進退ロッド11と、固定部15とを有している。
【0035】
配光切替手段10には、進退ロッド11が備えられており、配光切替手段10は、フレーム9の下側に固定ピン13により固定されている。
【0036】
進退ロッド11の先端部には可動シェード6が固定部15を介して取り付けられており、この結果、配光切替手段10の無通電時においては、可動シェードのバネ部材14のバネ力により、進退ロッド11が伸びることにより、可動シェード6が第1位置に位置する。配光切替手段10の通電時においては、進退ロッド11がバネ部材14のバネ力に抗して縮むことにより、可動シェード6が第2位置に位置する。
【0037】
(実施例1の作用の説明)
この実施例1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0038】
まず、光源3を点灯する。すると、光源3からの光は、リフレクタ4の反射面5により反射される。その反射光は、反射面5の第2焦点F2に集光され、第2焦点F2近傍に設置されている可動シェード6にて一部が遮光され、遮光されなかった光が投影レンズ2を通って前方に照射される。その照射光は、
図6に示す所定のすれ違い用配光パターンLPが得られるロービームとして、または、所定の走行用の配光パターンHPが得られるハイビームとして、それぞれ前方に照射される。
【0039】
次に、プロジェクタ型ランプ1の配光パターンの切替手段について説明する。配光切替手段10は、固定ピン13により、フレーム9の下側に組み付けられている。配光切替手段10が無通電時においては、バネ部材14のバネ力により、配光切替手段10の進退ロッド11が前進状態(伸びた状態)にあり、可動シェード6が遮光位置に位置することで、すれ違い用配光パターンLPを形成される。また、通電時においては、進退ロッド11がバネ部材14のバネ力に抗して後退状態(縮んだ状態)となる。それにより、可動シェード6は、回避位置に位置し、走行用配光パターンHPが形成されるようになっている。
【0040】
また、その際に可動シェード6の近傍には配光切替手段10が位置しており、反射面5からの反射光L2が配光切替手段10の上面部に入射し乱反射した場合においても、固定シェード16の上端縁16aが配光切替手段10の上方に位置しており、固定シェード16の上端縁16aは車両下側に湾曲した円弧形状をしているため、反射光L2が投影レンズ2に入射することがない。
【0041】
固定シェード16は投影レンズ2に向かって下側に傾斜して配置され、下端縁16bの長さは上端縁16aよりも長く形成され、下端縁16bは投影レンズ2のフレーム9に沿って一体に設けられているため、投影レンズ2側における固定シェード16の遮光量を増やすことができ、反射光L2のうち配光切替手段10だけでなく、フレーム9の下部で乱反射した光を遮光することができる。
【0042】
固定シェード16の上端縁16aの側方端部16a2は、上端縁16aの中央部16a1よりも車両前方であって、中央部16a1よりも上方に設けられているため、すれ違い用配光パターンLPを形成するために必要な光は極力遮光せず、配光切替手段10の上面、または、フレーム9等で乱反射した光を遮光することができる。
【0043】
(実施例の効果の説明)
以上説明したように、本実施例では、小型化したプロジェクタ型ランプ1においても、すれ違い用配光パターンLPの形成に必要な光は遮光せず、配光切替手段10の上面やその他の部分により乱反射した光が投影レンズ2に入射するのを、確実に遮光することができ、すれ違い用配光パターンLPの形成に有効な光を減らすことなく、迷光となる光が照射されることを確実に防止することが出来る。
【0044】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0045】
1……プロジェクタ型ランプ、2……投影レンズ、3……光源、4……リフレクタ、5……反射面、6……可動シェード、7……第1シェード、8……第2シェード、9……フレーム、10……配光切替手段、11……進退ロッド、12……ソケット、13……固定ピン、14……バネ部材、15……固定部、Z−Z……光軸、F1……第1焦点、F2……第2焦点、LP……すれ違い用配光パターン、HP……走行用配光パターン、L……光線、L2……反射光