特許第5874452号(P5874452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5874452基板、ハンダ付け装置およびハンダ付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5874452
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】基板、ハンダ付け装置およびハンダ付け方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   H05K3/34 501B
   H05K3/34 502C
   H05K3/34 505A
   H05K3/34 507E
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-52087(P2012-52087)
(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公開番号】特開2013-187411(P2013-187411A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕嗣
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−191397(JP,A)
【文献】 特開平 4−243192(JP,A)
【文献】 特開2002−111189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子をハンダ付けにて固定するスルーホールを含む第1ランドと、
前記第1ランドから延出した位置に設けられ、溶融したハンダを前記第1ランドに供給可能な第2ランドと、を備える基板。
【請求項2】
前記第1ランド及び前記第2ランドの外周が重複幅を0.1mm以上とするオーバーレジスト層によって被覆されている請求項1に記載の基板。
【請求項3】
端子をハンダ付けにて固定するスルーホールを含む第1ランドと、前記第1ランドから延出した位置に設けられ、前記第1ランドに溶融ハンダを供給可能な第2ランドとを備える基板をハンダ付けの対象として含み、
前記第2ランドのみにレーザ光を照射する第1照射状態と、少なくとも前記第1ランドを含む領域にレーザ光を照射する第2照射状態との間で切り換え可能に構成されたレーザ光照射装置、及び
少なくとも前記第2ランドにハンダを供給可能なハンダ供給装置、
を有するハンダ付け装置。
【請求項4】
前記レーザ光照射装置及び前記ハンダ供給装置を駆動制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記レーザ光照射装置による第1照射状態を所定の第1設定時間に亙って実施させ、引き続き、前記レーザ光照射装置による前記第2照射状態を所定の第2設定時間に亙って実施させるレーザ駆動部、及び
前記第1設定時間に亙る前記第1照射状態によって、前記第2ランドから供給される溶融ハンダによって前記第1ランドに位置するスルーホールと前記端子の間の間隙が封鎖され、前記第2設定時間に亙る前記第2照射状態によって、前記スルーホールに対応したフィレットが形成されるように、前記ハンダ供給装置によるハンダの供給を実施させるハンダ供給部を有する請求項3に記載のハンダ付け装置。
【請求項5】
端子をハンダ付けにて固定するスルーホールを含む第1ランドと、前記第1ランドから延出した位置に設けられ、溶融ハンダを前記第1ランドに供給可能な第2ランドとを基板上に形成し、前記スルーホールに端子を挿通させる工程、
前記第2ランドにレーザ光を照射しつつ、同第2ランドにハンダを供給することにより、同第2ランドから供給される溶融ハンダによって前記スルーホールと前記端子の間の間隙を封鎖する工程、及び
前記第1ランドを含む領域にレーザ光を照射しつつ、前記第1ランドまたは前記第2ランドにハンダを供給することにより前記端子と前記スルーホールに対応したフィレットを形成する工程、を備えたハンダ付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子をハンダ付け可能なスルーホールがランドに形成された基板、基板のランドに形成されたスルーホールに端子をハンダ付けするハンダ付け装置、及び、基板のランドに形成されたスルーホールに端子をハンダ付けするハンダ付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のハンダ付け技術に関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。この特許文献1に記されたハンダ付け技術では、ハンダを溶融する熱源として用いるレーザ光が、スルーホールと端子の間を通して電子部品に投射され、電子部品に焼けが発生するという問題を解決する方法が提案されている。この方法では、第1段階として端子付近にスルーホールを塞ぐようにクリームハンダを供給し、次の第2段階として、スルーホールに供給されたクリームハンダをレーザ光で加熱しながら糸ハンダを供給することにより、糸ハンダとクリームハンダとを融合させてスルーホールの外周に位置する環状端子と棒状端子とがハンダ付けされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−10589号公報(0003段落、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記された構成では、クリームハンダを供給する装置と糸ハンダを供給する装置との2系統のハンダ供給装置が必要となり、ハンダ付け装置が全体として複雑となるという問題、ハンダ付け方法も煩雑になり易いなどの問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術が与える課題に鑑み、より簡単な構成の装置や工程としながらも、ハンダを溶融する熱源として用いるレーザ光によって電子部品に焼けが発生する問題を解決可能なハンダ付け装置、ハンダ付け方法、及び、基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による基板の特徴構成は、
端子をハンダ付けにて固定するスルーホールを含む第1ランドと、
前記第1ランドから延出した位置に設けられ、溶融したハンダを前記第1ランドに供給可能な第2ランドと、を備える点にある。
【0007】
上記の特徴構成による基板では、第2ランドをレーザ光によって加熱して同第2ランドにハンダを供給する操作を行えば、レーザ光の照射範囲にスルーホールが含まれない安全な状態で第2ランドにてハンダを溶融させることができる。第2ランドで溶融し表面張力の小さなハンダは、第2ランドから第1ランドに向かって流れ、スルーホールがハンダによって閉塞された状態が得られる。そこで、次の操作として、第1ランドと端子とをレーザ光によって加熱しながらハンダを補充することで、スルーホールを抜けるレーザ光によって端子を含む部品などを損傷する虞のない状態で、スルーホールとハンダと端子とを基板の板厚方向の全長に亘って接合した良好な形状のフィレットを形成することができる。
【0008】
本発明の他の特徴構成は、前記第1ランド及び前記第2ランドの外周が重複幅を0.1mm以上とするオーバーレジストによって被覆されている点にある。
【0009】
本構成であれば、第1ランド及び第2ランドの外周をオーバーレジストによって基板本体に対して十分に支持されているため、通常のハンダよりも溶融温度が高く収縮率が大きいとされている鉛フリーハンダを用いる場合でも、ハンダの固化時などにランドが基板本体から剥離したり亀裂を生じたりする問題が生じ難くなる。
【0010】
本発明によるハンダ付け装置の特徴構成は、
端子をハンダ付けにて固定するスルーホールを含む第1ランドと、前記第1ランドから延出した位置に設けられ、前記第1ランドに溶融ハンダを供給可能な第2ランドとを備える基板をハンダ付けの対象として含み、
前記第2ランドのみにレーザ光を照射する第1照射状態と、少なくとも前記第1ランドを含む領域にレーザ光を照射する第2照射状態との間で切り換え可能に構成されたレーザ光照射装置、及び
少なくとも前記第2ランドにハンダを供給可能なハンダ供給装置、
を有する点にある。
【0011】
上記の特徴構成によるハンダ付け装置では、先ず、レーザ光照射装置を用いて第2ランドのみにレーザ光を照射しながら(第1照射状態)、ハンダ供給装置によって同第2ランドにハンダを供給する操作によって、第2ランドで溶融したハンダが第1ランドに向かって流れ、スルーホールがハンダによって閉塞された状態が得られる。そこで、次の操作として、第1ランドにレーザ光を照射(第2照射状態)しながらハンダを補充することで、スルーホールを抜けるレーザ光によって端子を含む部品などを損傷する虞のない状態で、スルーホールとハンダとを基板の板厚方向に亘って接合した良好な形状のフィレットを形成することができる。
【0012】
本発明の他の特徴構成は、
前記レーザ光照射装置及び前記ハンダ供給装置を駆動制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記レーザ光照射装置による第1照射状態を所定の第1設定時間に亙って実施させ、引き続き、前記レーザ光照射装置による前記第2照射状態を所定の第2設定時間に亙って実施させるレーザ駆動部、及び
前記第1設定時間に亙る前記第1照射状態によって、前記第2ランドから供給される溶融ハンダによって前記第1ランドに位置するスルーホールと前記端子の間の間隙が封鎖され、前記第2設定時間に亙る前記第2照射状態によって、前記スルーホールに対応したフィレットが形成されるように、前記ハンダ供給装置によるハンダの供給を実施させるハンダ供給部を有する点にある。
【0013】
本構成であれば、レーザ光照射装置による第1照射状態とそれに応じたハンダ供給装置によるハンダ供給によって、スルーホールがハンダによって閉塞された状態を得る操作と、レーザ光照射装置による第2照射状態とそれに応じたハンダ供給装置によるハンダの供給によって、スルーホールを抜けるレーザ光によって端子を含む部品などを損傷する虞のない状態で、スルーホールとハンダとを基板の板厚方向に亘って接合した良好な形状のフィレットを形成する操作とを、制御装置によって自動的に連続的に実施させることができる。
【0014】
本発明によるハンダ付け方法の特徴構成は、
端子をハンダ付けにて固定するスルーホールを含む第1ランドと、前記第1ランドから延出した位置に設けられ、溶融ハンダを前記第1ランドに供給可能な第2ランドとを基板上に形成し、前記スルーホールに端子を挿通させる工程、
前記第2ランドにレーザ光を照射しつつ、同第2ランドにハンダを供給することにより、同第2ランドから供給される溶融ハンダによって前記スルーホールと前記端子の間の間隙を封鎖する工程、及び
前記第1ランドを含む領域にレーザ光を照射しつつ、前記第1ランドまたは前記第2ランドにハンダを供給することにより前記端子と前記スルーホールに対応したフィレットを形成する工程、を備えている点にある。
【0015】
上記の特徴構成によるハンダ付け方法では、先ず、第2ランドにレーザ光を照射しつつ、同第2ランドにハンダを供給する工程によって、第2ランドで溶融したハンダがスルーホールに向かって流れ、スルーホールがハンダによって閉塞された状態が得られる。そこで、次の操作として、第1ランドにレーザ光を照射しつつハンダを供給することにより、スルーホールを抜けるレーザ光によって端子を含む部品などを損傷する虞のない状態で、スルーホールとハンダとを基板の板厚方向に亘って接合した良好な形状のフィレットを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるハンダ付け装置を示す説明図である。
図2】本発明によるハンダ付け方法の第1工程を示す説明図である。
図3】本発明によるハンダ付け方法の第2工程を示す説明図である。
図4】本発明によるハンダ付け方法の第3工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による基板4及びハンダ付け装置10を示している。
本発明によるハンダ付け装置10は、対象物にレーザ光を照射して加熱するレーザ光照射装置1と、ハンダ3を供給するハンダ供給装置2と、レーザ駆動部12a及びハンダ供給部12bを含む制御装置12とを備えている。
【0018】
基板4は、樹脂板などの不導体からなる基板本体5と、基板本体5の一部に形成された銅箔製などのランド6を備えている。ランド6は、電子部品8の端子9を挿通可能なスルーホール6Hを備えている。スルーホール6Hの周縁部において、銅箔はスルーホール6Hの内周面を経て基板本体5の裏面側へと折り返された形態となっており、スルーホール6Hの周縁部はハンダによって端子9と接合される環状端子を構成している。
【0019】
本発明による基板4の最大の特徴は、ランド6が、端子をハンダ付けにて固定するスルーホール6Hを含む第1ランド6Aと、第1ランド6Aから一側方に延出した位置に設けられ、溶融ハンダ3Aを第1ランド6Aに供給可能な第2ランド6Bとを備えている点である。その結果、図2(b)に例示するように、ランド6は概してスルーホール6Hの中心と第2ランド6Bの中心を結ぶ直線に沿って横に伸びた楕円状を呈している。
【0020】
また、基板本体5の原則的にランド6を除く部位はレジスト層7によって被覆されており、レジスト層7の一部はランド6の外周部位と0.1mm以上の幅で重複するオーバーレジスト層7Aを構成している。
【0021】
制御装置12のレーザ駆動部12aは、レーザ光照射装置1からのレーザ光照射を制御し、同時に、搬送装置(不図示)を介して、レーザ光照射装置1を、第2ランド6Bと対向した第1位置(図2及び図3に示す)と、スルーホール6Hに挿通された端子9を含む第1ランド6Aと対向した第2位置(図4に示す)との間で移動させる制御も行う。
制御装置12のハンダ供給部12bは、レーザ駆動部12aによる制御に応じてハンダ供給装置2からのハンダ3の供給速度などを制御する。
【0022】
図2から図4は本発明によるハンダ付け方法を示している。
実際には、図2の前にハンダ付けの準備工程があり、ここでは、端子をハンダ付けにて固定するスルーホール6Hを含む第1ランド6Aと、第1ランド6Aから一側方に延出した位置に設けられ、溶融ハンダ3Aを第1ランド6Aに供給可能な第2ランド6Bとを備えるランド6を基板本体5上に形成し、さらに、スルーホール6Hに電子部品8の端子9を下方から挿通させる。
【0023】
準備工程に続く第1接合工程では、第1位置に配置されたレーザ光照射装置1によって第2ランド6Bのみ(すなわちスルーホール6Hを含まない領域)にレーザ光を照射(第1照射状態)しつつ、ハンダ供給装置2によって第2ランド6Bにハンダを供給する操作を行う。この操作を予め設定された第1設定時間に亙って継続することにより、第2ランド6Bから流れる(供給される)溶融ハンダ3Aによってスルーホール6Hと端子9の間の間隙が十分に、言い換えれば、レーザ光の下方への通過を全く許さない程度に封鎖される。
【0024】
図2は第1接合工程の初期段階を示し、ここでは、レーザ光照射装置1によって第2ランド6Bのみにレーザ光を照射(第1照射状態)しつつ、ハンダ供給装置2によって第2ランド6Bにハンダを供給することにより、第2ランド6Bでのハンダの溶融が開始される。ごく初期の段階では溶融ハンダ3Aの存在範囲は第2ランド6Bに留まっている。図2図4では、レーザ光照射装置1によるレーザ光の照射範囲が一点鎖線の円によって示されている。
【0025】
このように、第1照射状態の下でハンダ供給装置2によって第2ランド6Bにハンダを継続的に供給することにより、第2ランド6Bで形成される溶融ハンダ3Aの量が増加し、第2ランド6Bから流出するフラックスによってランド6上の酸化膜が除去される現象を伴いながら、次第に溶融ハンダ3Aの領域がスルーホール6Hのある第1ランド6Aに向かって拡張される。
【0026】
図3は第1接合工程の終了段階の直前を示し、ここでは、未だ第1照射状態が継続されており、溶融ハンダ3Aの領域が広がった結果、第2ランド6Bから供給された溶融ハンダ3Aが第1ランド6Aのあるスルーホール6Hの全体をカバーし、スルーホール6Hと端子9の間の間隙が溶融ハンダ3Aによって完全に封鎖されている。しかし、溶融ハンダ3Aの進入範囲はスルーホール6Hの内周面の上部に留まっている。
【0027】
図3の状態の直後に第2接合工程が開始される。第2接合工程では、第2位置に配置されたレーザ光照射装置1によって第1ランド6Aにレーザ光を照射(第2照射状態)しつつ、ハンダ供給装置2によって第2ランド6Bにハンダを供給する操作を行う。この操作を予め設定された第2設定時間に亙って継続することにより、十分に加熱された端子9に沿って溶融ハンダ3Aがスルーホール6H内に流れ込み、最終的に、図4に例示するような、端子9とスルーホール6Hに対応した適切な形状のフィレットが形成される。
【0028】
第2ランド6Bで形成される溶融ハンダ3Aの領域がスルーホール6H寄りの部位に向かって広がっていく現象は、第1接合工程の初期段階から第2接合工程の終了段階まで連続的に行われるので、フィレットの内部に酸化膜が介在した状態になる虞は少ない。
【0029】
特に、ランド6を35μmの厚さの銅箔と同銅箔を被覆する23μmの厚さの銅メッキ層とで構成し、このような形態のランド6の外周に前述した0.1mm以上の幅で重複するオーバーレジスト層を設けておけば、凝固時の収縮率の高い鉛フリーハンダをハンダとして用いた場合もランド6の周縁部剥離や亀裂といった問題を抑制することができる。
【0030】
〔別実施形態〕
〈1〉第2接合工程でのハンダ供給装置2によるハンダの供給位置は必ずしも第2ランド6Bでなくてもよく、第2接合工程の全工程で、或いは、第2接合工程の途中段階から、より第1ランド6Aに近接した位置に供給位置を変更する形態で実施してもよい。
【0031】
〈2〉ランド6や第2ランド6Bの形状次第で有利と考えられれば、第2接合工程において、ランド6上の複数の箇所を複数のレーザ光照射装置1によって同時に照射、加熱する形態で実施してもよい。この場合の複数の箇所には第2ランド6Bが含まれてもよく、含まれなくてもよい。
【0032】
〈3〉レーザ光照射装置1を第2ランド6Bと対向する位置から第1ランド6Aと対向する位置へと移動させる機構の代わりに、レーザ光照射装置1の全体またはビーム出射部の角度を第2ランド6Bと対向する角度から第1ランド6Aと対向する角度対向へと(但し溶融ハンダ3Aなどの表面で反射したレーザ光が電子部品その他を損傷する虞のない角度範囲で)変更する機構を設けてもよい。また、前記ビーム出射部としてレーザ光をランド6の所望位置に向けて反射するミラーやプリズムを用いてもよい。更に、レーザ光照射装置1を移動もしくは角度変更することに代えて、基板4を動かすことでレーザ光の照射位置を移動させてもよい。
【0033】
〈4〉第2ランド6Bを含むランド6の形状は、第2ランド6Bが第1ランドから延出した位置に設けられ、溶融したハンダを第1ランド6Aに供給可能で、且つ、スルーホール6H自体を部分的にも含まない形態であればよい。したがって、ランド6の形状は楕円状に限らず、スルーホール6Hを全周から取り囲む環状のハンダ溶融領域6Aが設けられた例などをも含む種々の形状で実施することができる。
【0034】
〈5〉複数の第1ランド6Aから概して等距離の位置に第2ランド6Bを設けておき、第1接合工程の第1照射状態によって第2ランド6Bから溶融ハンダ3Aが概して同時に複数の第1ランド6Aに向けて流れる(供給される)形態で実施することも可能である。この場合は、続く第2接合工程では、複数のスルーホール6H及び端子9に対してレーザ光照射装置1を順に移動することで第2照射状態を実現することができる。尚、複数のレーザ光照射装置1を用いることで、複数のスルーホール6H及び端子9に対して同時に第2照射状態を実現してもよい。
【0035】
〈6〉レーザ光照射装置1によって第1照射状態を継続する第1設定時間及び第2照射状態を継続する第2設定時間の長さは、ハンダの組成、ランド6全体や第2ランド6Bの形状と面積、スルーホール6Hの大きさ、基板の厚さなどのパラメータの組合せ毎に実験に基づいて取得した数値データから予め決定しておくことが可能である。しかし、これらのパラメータの入力に基づいて適切な第1設定時間と第2設定時間を自動的に算出し、制御装置12によって第1接合工程及び第2接合工程を実行させるプログラムを用いてもよい。この場合、ランド6や第2ランド6Bを撮像するカメラを用い、同カメラによる撮像イメージから得られる溶融ハンダ3Aの流れ速度などによって第1設定時間と第2設定時間を補正する形態で実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
ランドに端子をハンダ付け可能なスルーホールが形成されている基板、同基板のスルーホールに端子をハンダ付けするハンダ付け装置、及び、同基板のスルーホールに端子をハンダ付けするハンダ方法の技術として利用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 レーザ光照射装置
2 ハンダ供給装置
3 ハンダ
4 基板
6 ランド
6A 第1ランド
6B 第2ランド
6H スルーホール
7A オーバーレジスト層
9 端子
10 ハンダ付け装置
12 制御装置
12a レーザ駆動部
12b ハンダ供給部
図1
図2
図3
図4