特許第5874494号(P5874494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5874494
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】セキュリティ装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20160218BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20160218BHJP
   H05K 5/06 20060101ALN20160218BHJP
【FI】
   H05K5/03 H
   H04N5/225 C
   !H05K5/06 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-77293(P2012-77293)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-207227(P2013-207227A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠田 之久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 成幸
(72)【発明者】
【氏名】須江 俊介
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−266667(JP,A)
【文献】 特開2003−269417(JP,A)
【文献】 特開2008−277513(JP,A)
【文献】 特開2006−019574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00−5/06
H04N 5/222−5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に、後面側が前記壁面側となるように取り付けられる取付基体と、
前記取付基体の前面に設けられ、左右両側に張出部を有した機器外殻内に不審者を認識するための認識用機器を収納してなる認識部と、
前記認識部のカバーであって、後面の他に少なくとも下面を開放し、前記認識部の前記機器外殻に前方から被せるようにして前記取付基体の前面に配置されるカバーと、
前記カバーの前記下面側における左右の両側壁の内面に、当該左右の両側壁の後端から前方向に延びるように突出して形成されたボス部と、
前記ボス部にその後端から前方に向かって延びるように形成された螺着穴と、
前記取付基体の後側から当該取付基体に形成された通し孔に通されて前記カバーの前記螺着穴に螺着され、前記カバーを取付基体に固定する所定長さの取付ねじと、を備え、
前記左右のボス部の間隔寸法は、前記機器外殻の前記張出部における横幅寸法よりも狭く定められ
前記左右のボス部の後端部のうち、少なくとも、前記機器外殻の前記張出部における横幅と同寸法の間隔内に入る部分に斜面を形成し、前記カバーを前記取付基体の前面に配設するとき前記斜面が前記張出部に当接することによって前記カバーの左右の両側壁が弾性的に拡開して前記ボス部が前記張出部を通過することを許容する
セキュリティ装置。
【請求項2】
前記取付基体の後面部に、前記取付ねじの頭部を沈ませるための座ぐり穴を、前記カバーの後端面から前記斜面に開口する前記螺着穴の周縁部のうち最も遠い縁部までの距離と同寸法以上の深さとなるように形成した、
請求項1に記載のセキュリティ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不審者を認識する認識部を備えたセキュリティ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のセキュリティ装置は、建物の壁面に取り付けられる取付基体を有し、この取付基体の前面に認識部を設けている。認識部は、例えば個体識別端末(RFIDタグ)と通信する通信装置(タグリーダ)やカメラなどの機器を機器外殻内に収納してなる。
【0003】
認識部はカバーを有している。このカバーは、後面が開放され、取付基体に取り付ける際には、前方から認識部の機器外殻に被せるようにして取付基体の前面に押し当てられ、固定される。カバーは上部にフード部を有し、フード部より下の部分は後面の他に下面および前面を開放したガード部、つまり左右一対の側壁からなるガード部となっている。フード部は機器外殻の上部を上、前および左右両側から覆うようになっており、ガード部は機器外殻の下部を左右両側から挟むようにして覆う。
【0004】
カバーは、後端部内面にボス部を突出形成しており、取付基体にその裏側から通された取付ねじを上記ボス部に螺着することによって取付基体の前面に締め付け固定される。この場合、取付基体の前面には、ガスケットが配置されていて、カバーを締め付け固定すると、当該ガスケットが取付基体とカバーとの間に挟み付けられて両者間をシールするようになっている。
【0005】
セキュリティ装置ではないが、特許文献1,2には、いずれもスナップフィット結合による部品の取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−293080号公報
【特許文献1】特開2003−269417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
認識部の機器外殻は左右両側に張出部を有している。一方、カバーのガード部の左右両側壁の間隔は、認識部の機器外殻の張出部における横幅寸法と同じか若干大きい程度に定め、スリム化の要求に対処している。
ガード部のボス部は、ガード部の左右両側壁の内面に突出して形成されている。このため、カバーを取り付けるときに機器外殻に前方から被せる際、ガード部のボス部が途中で機器外殻の張出部に当ってしまう。そこで、ガード部の左右両側壁を両手で押し広げてボス部が機器外殻の張出部に当らない状態に保ちながら、カバーを前方から機器外殻に被せてゆく。そして、ボス部が張出部を通過してから指の力を抜いてガード部の左右両側壁の広がりを解き、取付基体の前面にカバーを当てて取付ねじをボス部に螺着するようにしている。
【0008】
しかしながら、これでは、カバーを機器外殻に被せる際、ガード部の左右の両側壁を両手で押し広げながら行わねばならないので、作業性が悪く、しかも、ガード部の左右両側壁の内側に入れた指が、機器外殻とガード部の左右両側壁との間に挟まれたりする恐れがある。
【0009】
なお、スナップフィット結合を上記カバーの取付構造に採用すれば左右両側壁を押し広げる必要がなくなる。しかし、ガスケットは合成ゴム製で、取付基体とカバーとの間で強く押圧されないと十分なシール効果が得られないという事情があるが、スナップフィット結合では、ガスケットを強く押圧したときの反発力に耐え切れず、カバーが外れてしまう恐れがある。このため、カバーの取り付けを、ねじ止めからスナップフィット結合に変更することは難しい。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、カバーの取り付け時において、左右の両側壁を押し広げる必要がなく、作業性の向上を図ることができるセキュリティ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、カバーの左右両側壁の内面に突出形成したボス部の後端部のうち、少なくとも、認識部の機器外殻の張出部における横幅と同寸法の間隔内に入る部分に斜面を形成し、カバーを取付基体の前面に配設するとき斜面が張出部に当接することによってカバーの左右両側壁が弾性的に拡開してボス部が張出部を通過することを許容するようになすので、カバーの左右両側壁を両手で広げずとも済み、作業性が向上する。
【0012】
また、取付基体の後面部に、取付ねじの頭部を沈ませるための座ぐり穴を形成し、その座ぐり穴の深さを、カバーの下面側における後端面から斜面に開口する螺着穴の周縁部のうち最も遠い縁部までの距離と同寸法以上となるように定めたので、取付ねじの螺着穴に対する完全な螺合部分の長さが斜面の形成によって短縮されることがなく、取付ねじの締め付け力に十分に対抗することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態を示す要部の断面図
図2】ボス部の斜視図
図3】上カバーを取付基体に取り付ける場合の状態変化を示す断面図
図4】上カバーの底面図
図5】取付基体から上カバーを外して示す斜視図
図6】取付基体に上カバーを取り付けて示す斜視図
図7】セキュリティ装置全体の側面図
図8】同正面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図7および図8に示すように、セキュリティ装置1は、建物の外壁面2に取り付けられた取付基体3の前部(前面)に、センサ4と認識部5とを設けてなる。なお、セキュリティ装置1において、前後(表裏)は外壁面2に取り付けられたとき外壁面2側となる側を後(裏)とし、その反対側を前(表)とする。また、左右は、セキュリティ装置1を前側から見たとき、左手側を左、右手側を右とする。
【0015】
センサ4は、センサケース6内に、例えばレーザー光出射部および反射光検出部から構成されたレーザーレーダ(図示せず)などを設けてなり、前方の検出エリアに向けてレーザー光を水平に出射し、その反射光を検出することによって検出エリア内への侵入者を検出する。
認識部5は、センサ4の上側に配置され、機器外殻7内に、認識用機器として例えばタグリーダ(通信機)およびカメラを収納してなる。タグリーダは、センサ4によって侵入者が検出されると、RFIDタグ(個体認識端末)と通信する電波を出力し、予め登録されたID情報をもったRFIDタグからの応答電波を受信したときには、侵入者は不審者ではないと判断する。また、カメラは、検出エリア内を撮影し、その撮影画像は建物内に設置されたモニターに表示されると共に、記録装置に記録される。
【0016】
認識部5の機器外殻7は、上下方向に長い下収納ケース8の上に、左右方向幅および前後方向奥行きが下収納ケース8よりも大きい偏平な四角箱形の上収納ケース9を配置して構成されている。なお、上収納ケース9内にはタグリーダが収納され、下収納ケース9内にはカメラが収納されている。
【0017】
下収納ケース8は、図3図5および図6に示すように、後部の四角いケース本体10(図3図5および図6では上部)に、前部のほぼ半円形をなす蓋ケース11を被せた形態のもので、全体としてかまぼこ型をなしている。下収納ケース8の左外側面および右外側面は互いに平行をなしており、この左外側面および右外側面の前後方向の途中部位には、上下方向に延びる張出部8a,8bが横方向に突出して形成されている。これら両張出部8a,8bと取付基体3の前面との間には、隙間G1(図3(a)参照)が形成されている。
【0018】
図7および図8に示すように、取付基体3の前部には、上カバー12と下カバー13が配設されている。上カバー12は認識部5のもので、後述する取付ねじ14によって取付基体3に固定される。下カバー13はセンサ4のもので、スナップフィット結合によって取付基体3に取り付けられる。なお、スナップフィット結合とは、取付基体3および下カバー13のうちの一方(例えば下カバー13)に突出形成された複数の弾性係合爪片を他方(例えば取付基体3)に形成された係合孔に弾性係合させて結合するという周知構成のものである。
【0019】
上カバー12は、図5にも示すように、上部のフード部15と、下部のガード部16とを備えている。この上カバー12は、後面の全体が開放されており、取付基体3に取り付ける際には、認識部4の機器外殻7に前方から被せるようにして取付基体3の前面に当てられる。
フード部15は、機器外殻7の上収納ケース9の全体を覆うもので、後面の他に、下面の一部が下収納ケース8の外形状に合わせて開放されている。ガード部16は、フード部15の下面の開放部15aの後半部の左右両側から下方に延長された左右一対の側板部17,18からなり、下端部分の前部には、これら左側板部17および右側板部18間を連結する半円状の橋架部19が形成されている。従って、ガード部16は、後面の他に少なくとも下面、この実施形態では下面と前面とが開放されていて、左側板部17および右側板部18によって下収納ようきケース8を左右両側から挟むようにして覆うようになっている。
【0020】
取付基体3の前面および認識部5の下収納ケース8の張出部8a,8bの上部には、例えば合成ゴムからなるガスケット20(図1参照)が取り付けられている。なお、ガスケット20は取付基体3の前面のもののみ図示した。そして、上カバー12が取付ねじ14によって取付基体3に締め付け固定されると、フード部15の後面の周縁部、ガード部16の左側板部17および右側板部18の後端部が取付基体3の前面のガスケット20に押圧されると共に、ガード部15の左側板部17および右側板部18の前端縁が下収納ケース8の張出部8a,8bのガスケットに押圧される。これにより、上カバー12と取付基体3および左右両側板部17,18と下収納ケース8との間がシールされ、上カバー12内への雨水の侵入が防止される。
【0021】
一方、下カバー13は、図7および図8に示すように、胴部21の下端部に、大形のフード部22を形成した形態のもので、後面、上面および下面がいずれも開放されている。そして、この下カバー13は、胴部21の上部分が上カバー12の例えば橋架部19が形成された下端部に前方から重ねられるようにしてセンサ4のセンサケース6の上部を覆うように取付基体3に取り付けられる。
【0022】
さて、上カバー12のガード16を構成する左側板部17および右側板部18の間隔D1は、下収納ケース8の左右両張出部8a,8bにおける横幅Wよりも僅かに大きく設定されている。この間隔D1を横幅Wよりも僅かに大きい程度とすることにより、上カバー12の横幅の増大化を防止している。なお、上記間隔D1は上記横幅Wと同じであっても良い。
【0023】
ガード16の左側板部17および右側板部18の下面寄りの内面には、後端から前方向に伸びる所定長さのボス部23が突出形成されている。この場合、ボス部23の前後方向長さL(図1参照)は、張出部8a,8bと取付基体3の前面との隙間G1以下に定められている。また、フード部22の内周面の複数個所にも、後端部から前方向に伸びる所定長さのボス部24が突出形成されている。これら、ボス部23,24には、図1および図2に示すように、螺着穴25が形成されている。なお、螺着穴25はボス部23のもののみ図示した。螺着穴25は円形穴で、取付ねじ14は、この螺着穴25の内面に自らの作用でねじの山谷を形成するセルフタッピングねじからなっている。
【0024】
ボス部23の左右両側板部17,18の内面からの突出高さhは、上カバー12を取付基体3に取り付けた状態で示す図3(e)において、左右の各側板部17,18と左右の各張出部8a,8bとの間に生ずる隙間寸法gよりも大きい寸法に定められている。従って、左側板部17のボス部23と右側板部18のボス部23の間隔D2(図4参照)は、張出部8a,8bにおける下収納ケース8の横幅寸法Wよりも狭くなっている。このため、上カバー12を機器外殻7に被せる際、左右の両側板部17,18のボス部23の後端が張出部8a,8bに干渉する。
【0025】
この干渉部分、つまり左右両側板部17,18のボス部23の後端部のうち、張出部8a,8bにおける横幅Wと同寸法の間隔内に入る部分がガード部16の内方に向かって前方(図1および図2で上方)に傾斜する斜面26に形成されている。なお、斜面26はボス部23の後端部の全体に形成しても良く、要は、少なくとも張出部8a,8bにおける横幅Wと同寸法の間隔内に入る部分に形成されていれば良い。
【0026】
取付基体3の前面壁3aには、取付ねじ14を通すための通し孔27が形成されている。また、この前面壁3aの裏面部には、通し孔27と同心の座ぐり穴28が形成されている。この座ぐり穴28は取付ねじ14の頭部14aを沈み込ませるためのものである。なお、座ぐり穴28は、ガード部16の左右両側板部17,18のボス部23の取付ねじ14についてだけ設ければ良い。
【0027】
座ぐり穴28の深さFは、ボス部23の斜面26において開口する螺着穴25との関係で定められている。つまり、斜面26に開口する螺着穴25の周縁部のうち、ガード部16の後端面Mから最も遠い縁部を点Pとしたとき、深さFは後端面Mから点Pまでの距離fと同寸法以上に定められている。
【0028】
次に、上記構成において、上カバー12を取付基体3に取り付ける際の作用について説明する。まず、取付基体3を図示しない作業台上に前面が上向きになるように載置する。そして、作業台上の取付基体3にセンサケース6、下収納ケース8および上収納ケース9を取り付け、取付基体3の前面および下収納ケース8の張出部8a,8bの前面にガスケット20を取り付ける。続いて、上カバー12を機器外殻7(下収納ケース8および上収納ケース9)に前方から(作業台上に置かれた取付基体3に対しては上方から)被せてゆく。
【0029】
この被せる過程で、ガード部16の左右両側のボス部23は、図3(a)に示すように、上方から下収納ケース8の張出部8a,8bに接近してゆき、そして図3(b)に示すように、途中で左右のボス部23の後端部が張出部8a,8bに当接する。このとき、当接する部分はボス部23の後端部のうちの斜面26の部分であるから、その後に上カバー12が更に被せられてゆくと(取付基体3に接近する下方向に移動してゆくと)、斜面26の作用により左右両側板部17,18に拡開方向の力が加わる。これにより、左右両側板部17,18が弾性的に拡開変形する。
【0030】
この場合、ガード部16が後面の他に下面を開放しているので、ボス部23が左右両側板部17,18の下面の開放端側に存在していることと相俟って、左右両側板部17,18が拡開し易くなる。本実施形態では、更に、ガード部16の前面(図3で上面)も開放されているので、左右両側板部17,18が更に拡開し易くなる。
以後、上カバー12の下方への移動に伴い、左右両側板部17,18の拡開度合が増し、やがて左右のボス部23が図3(c)に示すように張出部8a、8bに乗り上げる。そして、図3(d)に示すように左右のボス部23が張出部8a、8bを乗り越えると、左右両側板部17,18が元の状態に復元し、これにより左右のボス部23は張出部8a、8bと取付基体3との間の隙間G1内に入り込む。
【0031】
そして、取付基体3を上下反転させ、取付基体3を上カバー12の後面に接触させた状態で取付ねじ14を通し孔27に通し、上カバー12のボス部23,24の螺合穴25にねじ込み、上カバー12を取付基体3に固定する。このとき、ガード部16のボス部23に螺合された取付ねじ14の頭部14aは座ぐり穴28内に沈み込む。
【0032】
そして、上カバー12が取付ねじ14の締め付け力により取付基体3に固定されると、取付ねじ14の締め付け力によりガスケット20が圧縮されてシール効果を発揮する。
このように本実施形態によれば、上カバー12を機器外殻7に被せてゆくと、左右のボス部23に形成された斜面26の作用により自然に拡開して下収納ケース8の張出部8a,8bに対する通過が許容される。このため、左右の両側板部17,18を両手で押し広げる操作を行わなくとも済み、上カバー12の取付作業性が向上すると共に、指を側板部17,18と張出部8a,8bとの間に挟む恐れもない。
【0033】
ところで、フード部15のボス部24およびガード部16のボス部23の螺着穴25の内周面には、360度(一周)以上連続する完全ねじ山が所定山数以上形成される必要がある。もし、完全ねじ山が所定数未満であると、上カバー12を取付ねじ14によって強く締め付けた場合、その締め付け力によってねじ山が破損する。
このことに関し、本実施形態にあっては、ガード部16のボス部23に斜面26が形成されているため、取付ねじ14を螺着穴25にねじ込んだときに螺着穴25の内周面に形成されるねじ山は、斜面26に開口する部分では、一周(360度)未満の不完全ねじ山しか形成されない。
【0034】
このため、取付基体3のガード部16の固定部分の裏側に、フード部15の固定部分に対すると同様に、座ぐり穴28が設けられていないと仮定すると、フード部15のボス部24に対すると同じ長さの取付ねじ14を用いた場合、ガード部16のボス部23に取付ねじ14を螺着したとき、360度以上連続する完全ねじ山の山数が不足し、取付ねじ14を締め付けたとき、その締め付け力に耐えきれずに、不完全ねじ山は勿論、完全ねじ山も破損する恐れがある。
【0035】
しかしながら、本実施形態では、取付基体3のガード部16の固定部分の裏側に座ぐり穴28が設けられているので、取付ねじ14をボス部23の螺着穴25に螺着したとき、取付基体3の前面から突出し得る取付ねじ14の長さは、座ぐり穴28のない場合に比べ、当該座ぐり穴28の深さ寸法だけ長くなる。そして、座ぐり穴28の深さは、斜面26における座ぐり穴28の螺着穴25の開口周縁のうち、ガード部16の後端面Mから最も遠い点Pまでの距離f以上であるから、取付ねじ14はボス部23の螺着穴25内により深く侵入でき、これにより当該螺着穴25内に形成できる完全ねじ山の山数は、フード部15のボス部24に対すると同じ完全ねじ山の山数以上となる。従って、取付ねじ14の締め付け力によってボス部23の螺着穴25に形成されるねじ山が破損される恐れはない。
【0036】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
上カバー12のガード部15は前面壁部を有していても良い。但し、この前面壁部はカメラが前方を撮影できるように透明材で形成されていることが必要である。
認識部5には、通信装置とカメラのうち、一方だけを設ける構成としても良い。認識用機器としては、通信装置、カメラ以外の機器を採用しても良い。
不審者を検出するセンサは、レーザビームを出射して検出するものに限られず、電波を出射して検出する構成のものであっても良い。
螺着穴25には、予めねじ山が形成されていても良い。
【符号の説明】
【0037】
図面中、3は取付基体、4はセンサ、5は認識部、7は機器外殻、8は下収納ケース、9は上収納ケース、12は上カバー(カバー)、13は下カバー、15はフード部、16はガード部、17は左側板部、18は右側板部、20はガスケット、23はボス部、25は螺着穴、26は斜面、27は通し孔、28は座ぐり穴を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8