(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5874505
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】振動エネルギー検出装置、振動エネルギー検出システム
(51)【国際特許分類】
G01H 17/00 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-89542(P2012-89542)
(22)【出願日】2012年4月10日
(65)【公開番号】特開2013-217804(P2013-217804A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100106622
【弁理士】
【氏名又は名称】和久田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 裕
(72)【発明者】
【氏名】鍋藤 実里
(72)【発明者】
【氏名】生田 雅代
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 顕治
【審査官】
田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−512836(JP,A)
【文献】
特開2006−284607(JP,A)
【文献】
特開2011−221002(JP,A)
【文献】
武藤佳恭、他,床発電システム開発の取り組み,静電気学会誌,2011年 9月30日,Vol.35,No.5,P.203−207
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00−17/00
G01M 99/00
G01R 27/00−27/32
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物に設置され、該検査対象物に生じた振動エネルギーを電力変換する振動発電装置と、
前記振動発電装置からの発電電力を蓄電するコンデンサと、
前記コンデンサの蓄電圧を監視する電圧監視部と、
前記コンデンサの蓄電圧が所定蓄電圧を超えたときに、該コンデンサによる蓄電エネルギーを放電する放電制御部と、
前記放電制御部の放電によって連続的又は断続的に形成される前記コンデンサの蓄電状態の形成回数に基づいて、該検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する振動エネルギー算出部と、
を備える、振動エネルギー検出装置。
【請求項2】
前記コンデンサは、前記振動発電装置による発電の頻度と該発電による電力量とに基づいて設定された所定の漏れ電流特性を有する、
請求項1に記載の振動エネルギー検出装置。
【請求項3】
前記振動エネルギー算出部は、前記放電制御部の放電によって形成された放電状態の形成回数に基づいて、前記検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する、
請求項1又は請求項2に記載の振動エネルギー検出装置。
【請求項4】
前記振動エネルギー算出部は、前記放電制御部の放電後に振動エネルギーが充電され、前記コンデンサの蓄電圧が前記所定蓄電圧に到達したことで形成される充電状態の形成回数に基づいて、前記検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する、
請求項1又は請求項2に記載の振動エネルギー検出装置。
【請求項5】
前記コンデンサを複数備え、且つ複数の該コンデンサは、それぞれ、前記振動発電装置の発電電力を蓄電可能となるように、互いに該振動発電装置に対して並列に接続され、
前記複数のコンデンサのうち一のコンデンサが前記放電制御部によって放電されているとき、前記振動発電装置の発電電力は、該複数のコンデンサのうち該一のコンデンサを除く他のコンデンサに供給される、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の振動エネルギー検出装置。
【請求項6】
検査対象物に設置され、該検査対象物にかかる振動に関する情報を取得するセンサモジュールと、該センサモジュールによって取得された情報に基づいて、該検査対象物に生じた振動エネルギーを算出するサーバと、を有する振動エネルギー検出システムであって、
前記センサモジュールは、
検査対象物に設置され、該検査対象物に生じた振動エネルギーを電力変換する振動発電装置と、
前記振動発電装置からの発電電力を蓄電するコンデンサと、
前記コンデンサの蓄電圧を監視する電圧監視部と、
前記コンデンサの蓄電圧が所定蓄電圧を超えたときに、該コンデンサによる蓄電エネルギーを放電する放電制御部と、
前記放電制御部の放電によって連続的又は断続的に形成される前記コンデンサの蓄電状態の形成回数を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記蓄電状態の形成回数に関するデータを、前記サーバに送信する送信部と、を備え、
前記サーバは、
前記送信部から送信された前記蓄電状態の形成回数に関するデータを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記蓄電状態の形成回数に関するデータに基づいて、該検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する振動エネルギー算出部と、
を備える、振動エネルギー検出システム。
【請求項7】
前記コンデンサは、前記振動発電装置による発電の頻度と該発電による電力量とに基づいて設定された所定の漏れ電流特性を有する、
請求項6に記載の振動エネルギー検出システム。
【請求項8】
前記振動エネルギー算出部は、前記放電制御部の放電によって形成された放電状態の形成回数に基づいて、前記検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する、
請求項6又は請求項7に記載の振動エネルギー検出システム。
【請求項9】
前記振動エネルギー算出部は、前記放電制御部の放電後に振動エネルギーが充電され、前記コンデンサの蓄電圧が前記所定蓄電圧に到達したことで形成される充電状態の形成回数に基づいて、前記検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する、
請求項6又は請求項7に記載の振動エネルギー検出システム。
【請求項10】
前記センサモジュールは、前記コンデンサを複数備え、
前記複数のコンデンサは、それぞれ、前記振動発電装置の発電電力を蓄電可能となるように、互いに該振動発電装置に対して並列に接続され、
前記複数のコンデンサのうち一のコンデンサが前記放電制御部によって放電されているとき、前記振動発電装置の発電電力は、該複数のコンデンサのうち該一のコンデンサを除く他のコンデンサに供給される、
請求項6から請求項9の何れか1項に記載の振動エネルギー検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物に生じた振動エネルギーを検出する装置、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の省エネルギーの流れから、化石燃料等に依存しない日常的に存在する環境エネルギーが注目されている。環境エネルギーとして太陽光や風力等による発電エネルギーは広く知られているが、これらに劣らないエネルギー密度を有する環境エネルギーとして、日常周囲に存在する振動エネルギーを挙げることができる。そして、この振動エネルギーを利用して発電を行う振動発電装置が開発されており、その発電装置には電荷を半永久的に保持できるエレクトレットが広く利用されている(例えば、特許文献1を参照)。当該技術では、エレクトレットを利用した発電装置において、発電のために往復運動する可動基板の移動方向が二つ以上の異なる方向に設定される。これにより、外部振動を効率的に発電装置に集め、その振動による発電を行うことができる。
【0003】
ここで、振動発電装置の利用形態を示す一例が、特許文献2に開示されている。特許文献2は、腕時計に設けられた振動発電装置に関する技術を開示するが、当該技術では、振動発電装置が振動により発電を行っているか否かに応じて、腕時計における電力消費モードの切り替えが行われる。
【0004】
一方で、上記振動発電装置は、検査対象物に設置することで、該検査対象物に生じる振動の変位を直接電気信号に変換する振動センサとしても機能するものである。振動変位の検出については、加速度センサによって得られる加速度を電気処理(二回積分)することで得ることも可能であるが、当該電気処理に電力等を有する等の理由で、振動発電装置を用いた振動検出は、やはり有用な手法である。なお、特許文献3には、振動発電装置から発生する交流電圧の振動数をカウンタ回路でカウントすることで、振動情報や加速度情報を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−284240号公報
【特許文献2】特開2006−284607号公報
【特許文献3】特開2011−221002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
振動発電装置を振動センサとして利用する場合、該振動発電装置で生じた発電電力のエネルギーと振動エネルギーとを関連付けることで、振動発電装置が設置された検査対象物に生じた振動エネルギーを把握することができる。そこで、従来技術では、振動発電装置による発電電力をコンデンサ等の蓄電デバイスに蓄電し、その蓄電エネルギーから振動エネルギーの算出が行われている。しかし、一般に蓄電デバイスは、不可避的な物理的特性として漏れ電流特性を有しているため、蓄電デバイスに蓄電されているエネルギーはデバイスからの漏れ電流とともに減少していく傾向がある。そのため、従来技術のように蓄電デバイスの蓄電エネルギーそのものに基づいて上記振動エネルギーを正確に把握することは困難である。
【0007】
また、検査対象物が置かれる状況次第では、検査対象物に生じる振動の頻度が極めて低
い場合もある。そのような場合は、振動センサとしての振動発電装置による蓄電デバイスへの充電量に対する、蓄電デバイスの漏れ電流による放電量の割合が高くなってしまうため、尚更、蓄電デバイスの蓄電エネルギーに基づいて上記振動エネルギーを正確に把握することは困難となる。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、振動発電装置を利用して検査対象物に生じる振動エネルギーを正確に検出することが可能な振動エネルギー検出装置、又はシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、上記課題を解決するために、コンデンサの蓄電エネルギーの放電によって形成される該コンデンサの蓄電状態の形成回数(形成頻度)に基づいて、検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する構成を採用した。このように、コンデンサの蓄電エネルギーの放電によるその蓄電状態の形成回数を、振動エネルギーに結びつけることで、常時発生し得る漏れ電流の影響を緩和し、振動エネルギーをより適切に算出することが可能となる。
【0010】
そこで、詳細には、本発明は、検査対象物に生じた振動エネルギーを検出する振動エネルギー検出装置であって、検査対象物に設置され、該検査対象物に生じた振動エネルギーを電力変換する振動発電装置と、前記振動発電装置からの発電電力を蓄電するコンデンサと、前記コンデンサの蓄電圧を監視する電圧監視部と、前記コンデンサの蓄電圧が所定蓄電圧を超えたときに、該コンデンサによる蓄電エネルギーを放電する放電制御部と、前記放電制御部の放電によって連続的又は断続的に形成される前記コンデンサの蓄電状態の形成回数に基づいて、該検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する振動エネルギー算出部と、を備える。
【0011】
本発明に係る振動エネルギー検出装置では、振動発電装置によって発電された発電電力がコンデンサに蓄電される構成となっている。振動発電装置の発電電力がコンデンサに蓄電されると、コンデンサの蓄電圧が上昇し、コンデンサにおける蓄電余裕が減少する。そこで、電圧監視部が、コンデンサの蓄電圧を監視し、その蓄電圧が所定蓄電圧を超えたときに、換言すると、コンデンサ容量を反映して設定された所定蓄電圧を超えたときに、放電制御部がコンデンサによる蓄電エネルギーの放電を行う。この結果、コンデンサは、新たに、振動発電装置の発電電力を充電することが可能な状態となる。
【0012】
一般に、コンデンサには、その内部の蓄電エネルギーが外部に漏れ出す漏れ電流特性が少なからず存在する。そのため、コンデンサに振動発電装置によって発電された電力を蓄電して振動エネルギーを算出する場合、このコンデンサにおける漏れ電流特性の影響を可及的に排除することが望ましい。そこで、本発明に係る振動エネルギー検出装置では、振動エネルギー算出部が、放電制御部の放電によって連続的又は断続的に形成されるコンデンサの蓄電状態の形成回数、すなわち、繰り返し行われる放電制御部の放電によって、コンデンサにおいて形成される所定の状態(蓄電状態)の回数(もしくは頻度)に基づいて、検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する。
【0013】
放電制御部の放電は、上記の通り、コンデンサの蓄電圧が所定蓄電圧を超えたときに行われるため、その際にコンデンサに蓄電されていたエネルギー量は把握し得る。そして、振動エネルギーの算出に上記形成回数を考慮することは、本質的にはコンデンサに蓄電エネルギーを蓄え続ける時間を分断することになるため、形成回数の一回分におけるコンデンサの漏れ電流特性の影響を可及的に抑制することが可能となる。そのため、振動エネルギーの算出に当たって、漏れ電流の影響が可及的に抑制された蓄電エネルギー(すなわち、放電一回で放出されるエネルギー)と、上記形成回数とを考慮することで、本発明に係
る振動エネルギー検出装置では、検査対象物に生じる振動エネルギーを適切に算出することが可能となる。
【0014】
ここで、前記コンデンサの漏れ電流特性は、振動発電装置による発電頻度と発電電力量とに基づいて設定された所定の漏れ電流特性とされるのが好ましい。一般に、コンデンサは、その容量が大きくなるほど、漏れ電流量が増加する特性を有する。一方で、後述するようにコンデンサに貯められた蓄電エネルギーは放電制御部によって放電されるが、コンデンサ容量が小さいとこの放電頻度が高くなってしまい、放電制御に要する消費電力が増加してしまう。そこで、漏れ電流量を適切に抑え、且つ過度な放電頻度を回避し得るコンデンサ容量が設定されるのが好ましく、当該容量に従った漏れ電流特性が上記所定の漏れ電流特性となる。
【0015】
上述までの振動エネルギー検出装置において、前記振動エネルギー算出部は、前記放電制御部の放電によって形成された放電状態の形成回数に基づいて、前記検査対象物に生じた振動エネルギーを算出してもよい。当該放電状態の形成回数は、放電制御部の放電によるコンデンサにおいてエネルギーが放出された状態が形成された回数であり、換言すれば、放電制御部の放電回数とも言える。このように放電回数に従って振動エネルギーを算出することで、コンデンサの漏れ電流特性の影響を可及的に排除でき、以て、その算出精度を向上させることが可能となる。
【0016】
また、上記振動エネルギー検出装置において、前記振動エネルギー算出部は、前記放電制御部の放電後に振動エネルギーが充電され、前記コンデンサの蓄電圧が前記所定蓄電圧に到達したことで形成される充電状態の形成回数に基づいて、前記検査対象物に生じた振動エネルギーを算出してもよい。当該充電状態は、放電制御部の放電によって連続的に又は断続的に形成されるものであるから、該充電状態の形成回数は、放電制御部の放電を起因として形成される蓄電状態の形成回数に相当し、放電制御部の放電回数と何らかの相関を有するものである。したがって、このように充電状態の形成回数に従って振動エネルギーを算出することで、コンデンサの漏れ電流特性の影響を可及的に排除でき、以て、その算出精度を向上させることが可能となる。
【0017】
上述までの振動エネルギー検出装置において、前記コンデンサを複数備え、且つ複数の該コンデンサは、それぞれ、前記振動発電装置の発電電力を蓄電可能となるように、互いに該振動発電装置に対して並列に接続され、前記複数のコンデンサのうち一のコンデンサが前記放電制御部によって放電されているとき、前記振動発電装置の発電電力は、該複数のコンデンサのうち該一のコンデンサを除く他のコンデンサに供給されるように構成されてもよい。このように複数のコンデンサを振動発電装置に対して接続することで、放電制御部の放電が行われているときも、振動発電装置の発電電力を、その放電が行われているコンデンサ以外のコンデンサで蓄電することが可能となり、検査対象物での振動に関連するエネルギーをコンデンサに取りこぼすことなく蓄えることが可能となる。そのため、上記コンデンサの蓄電状態の形成回数に基づいた振動エネルギーの算出精度を向上させることが可能となる。
【0018】
ここで、本発明を、検査対象物に設置され、該検査対象物にかかる振動に関する情報を取得するセンサモジュールと、該センサモジュールによって取得された情報に基づいて、該検査対象物に生じた振動エネルギーを算出するサーバと、を有し、検査対象物に生じた振動エネルギーを検出する振動エネルギー検出システムの側面から捉えることもできる。すなわち、本発明に係る振動エネルギー検出システムにおいて、前記センサモジュールは、検査対象物に設置され、該検査対象物に生じた振動エネルギーを電力変換する振動発電装置と、前記振動発電装置からの発電電力を蓄電するコンデンサと、前記コンデンサの蓄電圧を監視する電圧監視部と、前記コンデンサの蓄電圧が所定蓄電圧を超えたときに、該
コンデンサによる蓄電エネルギーを放電する放電制御部と、前記放電制御部の放電によって連続的又は断続的に形成される前記コンデンサの蓄電状態の形成回数を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記蓄電状態の形成回数に関するデータを、前記サーバに送信する送信部と、を備える。そして、前記サーバは、前記送信部から送信された前記蓄電状態の形成回数に関するデータを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記蓄電状態の形成回数に関するデータに基づいて、該検査対象物に生じた振動エネルギーを算出する振動エネルギー算出部と、を備える。
【0019】
すなわち、本発明に係る振動エネルギー検出システムでは、センサモジュールによって検査対象物の振動に関する情報が取得され、当該情報はサーバへと渡される。なお、センサモジュールとサーバとの間の情報の授受は、有線を介して行われてもよく、また無線を介して行われてもよく、それはセンサモジュールの送信部とサーバの受信部との間で行われる。なお、本発明に係る振動エネルギー検出システムの振動発電装置、コンデンサ、電圧監視部、放電制御部に関する技術思想は、上述した振動エネルギー検出装置に関する各構成に関する技術思想と実質的に同一のものであるから、それらの詳細な説明は割愛する。また、センサモジュール側の検出部と、サーバ側の振動エネルギー算出部に関する技術思想は、上述した振動エネルギー検出装置の振動エネルギー算出部に関する技術思想に含まれるものであるから、その詳細な説明は割愛する。
【0020】
したがって、上記振動エネルギー検出システムにおいて、前記振動エネルギー算出部は、前記放電制御部の放電によって形成された放電状態の形成回数に基づいて、前記検査対象物に生じた振動エネルギーを算出してもよく、また、前記振動エネルギー算出部は、前記放電制御部の放電後に振動エネルギーが充電され、前記コンデンサの蓄電圧が前記所定蓄電圧に到達したことで形成される充電状態の形成回数に基づいて、前記検査対象物に生じた振動エネルギーを算出してもよい。
【0021】
また、上述までの振動エネルギー検出システムにおいて、前記センサモジュールは、前記コンデンサを複数備えてもよい。その場合、前記複数のコンデンサは、それぞれ、前記振動発電装置の発電電力を蓄電可能となるように、互いに該振動発電装置に対して並列に接続され、前記複数のコンデンサのうち一のコンデンサが前記放電制御部によって放電されているとき、前記振動発電装置の発電電力は、該複数のコンデンサのうち該一のコンデンサを除く他のコンデンサに供給されてもよい。
【0022】
以上より、本発明に係る振動エネルギー検出システムにおいても、検査対象物に生じる振動エネルギーを適切に算出することが可能となる。なお、当該システムにおいては、同一の検査対象物において複数のセンサモジュールが設置され、それらからの振動に関する情報をサーバに集約するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0023】
振動発電装置を利用して検査対象物に生じる振動エネルギーを正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る振動エネルギー検出システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す振動センサモジュールの概略構成を示す図である。
【
図3】
図1に示す振動センサモジュールに含まれるコンデンサに関して、該コンデンサの静電容量と漏れ電流の相関、および該静電容量とコンデンサの放電に要する消費エネルギーの総量との相関を示す図である。
【
図4】
図1に示す振動センサモジュールにおいて実行される振動エネルギー検出処理のフローチャートである。
【
図5】
図1に示すサーバで実行される振動エネルギーの算出に使用される、放電回数と振動エネルギーとの相関を関連付けた制御マップである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態に係る振動エネルギー検出システムについて説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0026】
ここで、
図1に示す振動エネルギー検出システムは、振動センサモジュール1を利用して、該モジュールが設置された橋梁50にかかる振動エネルギーの検出を行うシステムである。一般に、橋梁50は使用年月の経過とともに強度等の性能が劣化していくため、適時、橋梁50の性能変化を把握しておく必要がある。例えば、地震や度重なる大型車両の通行等によって生じる橋梁50の劣化の進行に応じて、橋梁50の振動に関する振幅(振動変位)や振動周波数が変化していくため、これらの変化をモニタリングして橋梁50のメンテナンスを効果的に行うことが望まれる。そこで、
図1に示す振動エネルギー検出システムでは、橋梁50に、振動に伴った変位を直接検出可能な振動センサモジュールが複数個設置される。そして、これらの複数個の振動センサモジュール1によって検出された橋梁50の振動に関する情報(以下、「振動情報」ともいう)が、基地局7に送信される。この基地局7はインターネット60に接続されており、受信した橋梁50の振動に関する情報は、インターネット60を経由してサーバ10に届けられる。
【0027】
このサーバ10は、振動センサモジュール1から得られた振動情報を利用して橋梁50にかかる振動の状態を正確に把握し、橋梁50の強度判断等の処理(たとえば、強度の低下の程度などの判断)を行う。また、サーバ10は、当該判断に必要なその他の情報(橋梁50が存在している地域の気象データや橋梁50の交通荷重データ等)も、インターネット60に接続されているデータサーバ70、80等から取得することが可能となるよう構成されている。
【0028】
ここで、振動センサモジュール1およびサーバ10が発揮する機能をイメージ化して表した機能ブロックを
図2に示す。振動センサモジュール1には、橋梁50にかかる振動、すなわち橋梁50を介して振動センサモジュール1に伝わってくる振動の変位を電気信号として出力することが可能な振動発電装置4が設けられている。振動発電装置4は、いわゆる環境エネルギーを利用した電源として機能し、その一例としてエレクトレット材料を利用した発電装置が挙げられる。振動発電装置自体は公知の技術であるため、本明細書におけるその詳細な説明は割愛する。そして、振動発電装置4の発電電力は、整流・変圧回路5を通して、蓄電デバイスとしての小型コンデンサ6に蓄電される。なお、振動センサモジュール1では、小型コンデンサ6が複数個設置されており、それぞれの小型コンデンサ6は、振動発電装置4の発電電力を充電できるように、振動発電装置4に対して並列に接続されている。
【0029】
なお、本実施例では、後述するように小型コンデンサに蓄電されたエネルギーは、橋梁50に生じた振動エネルギーに関連するものとして扱われ、換言すると、当該振動エネルギーを検出するためのパラメータとして利用される。したがって、小型コンデンサ6による蓄電エネルギーは、振動センサモジュール1の各構成要素を駆動するためのエネルギーとして、直接的には利用されないものの、後述する振動エネルギーの検出処理が行われた後は、振動センサモジュール1の駆動エネルギーとして利用しても構わない。また、振動センサモジュール1に振動発電装置以外の発電装置、例えば、太陽光発電デバイス、熱発電デバイス、電磁誘導発電(CT発電)デバイス、生体発電デバイス等を搭載し、それらのデバイスによる発電電力を電源として利用してもよい。これらのデバイスについても公知の技術であるため、本明細書におけるその詳細な説明は割愛する。また、整流・変圧回
路についても、公知の技術であることから、その詳細な説明を省略する。
【0030】
このように構成される振動センサモジュール1は、振動発電装置4による発電動作を、橋梁50にかかる振動エネルギーの検出に利用するものである。
図2に示す構成では、振動に関する環境パラメータを検出するセンサとして振動発電装置のみを記載しているが、当該デバイスに加えて、橋梁50に加わる加速度を検出する加速度センサ等を、振動センサモジュール1に含めるようにしてもよい。
【0031】
ここで、振動センサモジュール1では、制御装置2によって小型コンデンサ6の蓄電エネルギーを利用した、振動エネルギーの検出処理が行われる。当該検出処理は、制御装置2に形成される、充電制御部21、放電制御部22、電圧監視部23、放電回数検出部24、送信部25によって実行される。これらの機能部によって発揮される機能は、制御装置2内に設けられた、各機能に対応する制御回路によって実現されてもよく、また、制御装置2がコンピュータであるとき、当該コンピュータ上で実行される制御プログラムによって実現されてもよく、また、制御回路と制御プログラムが協調することで実現されてもよい。もちろん、制御装置2は、
図1に示す機能部以外の機能部を有していても構わない。
【0032】
充電制御部21は、小型コンデンサ6の充電に関する制御を司る機能部である。上記の通り、振動センサモジュール1においては、振動発電装置4に対して複数の小型コンデンサ6が並列に接続されている。そこで、充電制御部21は、振動発電装置の発電電力がどの小型コンデンサ6に充電されるか等、発電電力の充電に関する制御を行う。一方で、放電制御部22は、橋梁50にかかる振動エネルギー検出のために、小型コンデンサ6に蓄電されている電力の放電に関する制御を行う。また、電圧監視部23は、充電制御部21による充電制御や放電制御部22による放電制御を適切なタイミングで行うために、小型コンデンサ6の蓄電圧を監視する機能部である。放電制御部22による小型コンデンサ6の放電は、電圧監視部23によって監視されている小型コンデンサ6の蓄電圧が、所定の蓄電圧(放電用閾値)に達したときに行われる。
【0033】
更に、放電回数検出部24は、放電制御部22によって行われる小型コンデンサ6の放電回数を検出、すなわちカウントする機能部である。なお、放電回数検出部24のカウント対象となる小型コンデンサ6は、橋梁50の振動エネルギーが発電エネルギーとして蓄電される小型コンデンサ、すなわち、振動センサモジュール1に含まれる全ての小型コンデンサ6である。また、送信部25は、放電回数検出部24によって検出された放電回数を含め、振動センサモジュール1で取得された振動に関する情報を、無線通信で基地局7を介してサーバ10に送信するための機能部である。当該無線通信の通信方式は特定の方式に限定はされないが、一例として、規格ZigBeeに準拠した低消費電力の通信方式の採用が好ましい。これらの機能部は説明の便宜上、
図1に示すように区別しているが、具体的な実施形態においては、上述した機能自体が発揮される限りにおいては、各機能部を統合したり、又は機能部を細分化したりしても構わない。
【0034】
ここで、小型コンデンサ6としては、振動発電装置4の発電電力を蓄電できれば、任意のコンデンサ(例えば、電気二重層キャパシタ等)を採用することができるが、一般的なコンデンサには、物理特性としての漏れ電流特性を備えている。
図3の実線L1に示すように、コンデンサの静電容量が大きくなるに従い、漏れ電流量が大きくなる傾向が見出せる。漏れ電流が大きくなることは、振動発電装置4の発電電力の蓄電の維持が阻害されることを意味し、そのため、コンデンサの漏れ電流が大きくなるに従い、蓄電エネルギーに基づいた正確な振動エネルギーの把握がより困難となる。
【0035】
そこで、本実施例では、上記の通り、正確に橋梁50にかかる振動エネルギーを検出す
るために、放電回数検出部24によって検出された放電回数に基づいた振動エネルギーの検出が行われるが、このとき、上記漏れ電流の影響を可及的に除外するために、小型コンデンサ6の静電容量は、可能な範囲で小さい方が好ましい。一方で、本実施例では、小型コンデンサ6を放電させることで、小型コンデンサ6の蓄電状態が放電状態(放電により蓄電エネルギーが極少となった状態)とされ、それにより放電回数がカウントされる。しかし、小型コンデンサ6の静電容量が小さくなると、大きい場合と比べて放電回数が増えることになり、放電処理に要するエネルギー、すなわち放電制御部22の放電処理に要する消費エネルギーが多くなってしまう(
図3の点線L2で示される、静電容量に対する放電消費エネルギーの推移を参照のこと)。
【0036】
そこで、本実施例においては、小型コンデンサ6の静電容量を、想定される橋梁50での振動頻度、すなわち振動発電装置4による発電頻度や、振動発電装置4の発電能力に基づいて、漏れ電流を可及的に小さくしながらも、放電制御部22による放電回数が過度に多くならない静電容量に設定する。例えば、
図3に示す線L1と線L2との交点に対応する静電容量を有するコンデンサを小型コンデンサ6に選択してもよく、また、振動センサモジュール1における消費電力を懸念する必要性が低い場合には、より小さい静電容量を有するコンデンサを小型コンデンサ6に選択してもよい。
【0037】
次に、サーバ10では、振動センサモジュール1から送信されてきた振動に関する情報に基づいて、橋梁50の振動エネルギーの算出処理が行われる。当該算出処理は、サーバ10に形成される、受信部11、算出部12によって実行される。受信部11は、振動センサモジュール1の送信部25によって送信された情報を受信する機能部である。したがって、受信部11における通信方式は、上記送信部25における通信方式と同一とされる。算出部12は、受信部11が受信した情報に基づいて、橋梁50で生じた振動エネルギーを算出する機能部である。
【0038】
このように構成される振動センサモジュール1およびサーバ10によって実行される振動エネルギー検出処理および振動エネルギーの算出処理について、
図4および
図5に基づいて説明する。
図4に示す振動エネルギー検出処理は、1つの振動センサモジュール内で行われる処理であり、したがって、各振動センサモジュール1では、それぞれのタイミングで該振動エネルギー検出処理が行われることになる。また、
図5には、サーバ10で実行される振動エネルギーの算出に使用される、放電回数と振動エネルギーとの相関を関連付けた制御マップである。
【0039】
まず、S101では、電圧監視部23によって監視されている小型コンデンサ6の蓄電圧が、放電用閾値より大きいか否かが判定される。なお、この判定処理の対象となる小型コンデンサ6は、振動センサモジュール1に含まれている複数の小型コンデンサ6のうち、振動発電装置4の発電電力が充電されている小型コンデンサ6である。S101で肯定判定されるとS102へ進み、否定判定されるとS105へ進む。
【0040】
ここで、S102〜S104では蓄電圧が放電用閾値を超えたと判断された小型コンデンサ6の放電に関する処理が行われる。S102では、後述するサーバ10側での振動エネルギー算出処理に利用されるパラメータである「放電回数」がインクリメント処理(「放電回数」の数値を「1」増やす処理)される。当該パラメータ「放電回数」は、振動センサモジュール1の電源が投入された時点等、所定のタイミングを起点として小型コンデンサ6が放電制御部22によって放電処理され、その蓄電状態が放電状態、すなわち蓄電されていたエネルギーが外部に放出され、蓄電エネルギーが極少となった状態が形成された回数を累積的にカウントしたものである。S102の処理が終了すると、S103へ進む。
【0041】
S103では、放電制御部22によって、蓄電圧が放電用閾値を超えたと判断された小型コンデンサ6の放電が開始される。その結果、当該小型コンデンサ6の蓄電圧は低下し、いずれ放電状態へと至ることになる。なお、放電された電荷は、振動センサモジュール1に含まれる他の小型コンデンサ6に移動しないように、放電制御部22による放電処理が行われる。S103の処理が終了すると、S104へ進む。
【0042】
S104では、振動発電装置4の発電電力が充電されるコンデンサが、放電制御部22によってS103で放電処理が行われている小型コンデンサ6から、別の小型コンデンサ6へと切り替わるように、充電制御部21によって、振動発電装置4に対する小型コンデンサ6の接続が切り替えられる。これにより、S103で放電処理が行われている間も、振動発電装置によって発電された電力は、切り替え後の小型コンデンサ6に蓄電されるため、橋梁50に生じた振動エネルギーを漏れなく小型コンデンサ6で捕捉できることになる。S104の処理が終了すると、S106へ進む。
【0043】
一方で、S101で否定判定されたとき、すなわち、電圧監視部23によって監視されている小型コンデンサ6の蓄電圧が、放電用閾値より大きいとは判断されなかったときは、S105の処理により、振動発電装置4の発電電力は、継続して当該小型コンデンサ6に充電されることになる。このとき、放電処理や充電コンデンサの切り替え等は行われない。S105の処理が終了すると、S106へ進む。
【0044】
S106では、振動センサモジュール1からサーバ10へのデータ送信の時期であるか否かが判定される。本実施例では、上記の通り、橋梁50で生じた振動エネルギーの検出のために、上記パラメータ「放電回数」を利用する。そこで、S106では、この振動に関する情報であるパラメータ「放電回数」のデータを、サーバ10へ送信する時期であるか否かが判定される。振動センサモジュール1からのデータ送信には比較的大きなエネルギーが必要とされるため、データの送信時期を限定して該データをある程度まとめた状態で送信するようにすることで、消費電力の抑制が図られる。なお、送信されるデータとしては、放電回数の数値に加えて、放電回数がインクリメントされた時期も含まれるのが好ましい。このようにインクリメント時期を含めることで、サーバ10側で、放電処理が行われる頻度を把握することが可能となる。そして、S106で肯定判定されると、S107で送信されるべきデータの送信が実行され、否定判定されると、データの送信は行われず、来るべき送信時期まで振動センサモジュール1側にデータは蓄積されていく。
【0045】
このように、上記振動エネルギー検出処理では、振動センサモジュール1側では、橋梁50に生じた振動に応じて振動発電装置4によって発電された電力が一度小型コンデンサ6に蓄電され、その後、放電処理が施される。そして、その放電処理の回数である放電回数が、処理が行われる度にインクリメントされ、その放電回数が、適時サーバ10側へと送信される。そして、振動センサモジュール1から受け取った放電回数に関するデータは、サーバ10でデータ処理され、橋梁50で生じた振動エネルギーの算出が行われる。
【0046】
ここで、
図5に基づいて、サーバ10側での振動エネルギーの算出処理について説明する。当該算出処理は、算出部12によって実行される。サーバ10は、受信部11によって振動センサモジュール1から放電回数に関するデータを受け取っている。ここで、「放電回数」というパラメータは、小型コンデンサ6の蓄電圧が放電用閾値を超えたことで行われる放電制御部22による放電処理の回数であり、当該放電処理によって形成される小型コンデンサ6の放電状態の形成回数である。このように「放電処理」が行われることで形成される放電状態においては、小型コンデンサ6における漏れ電流特性の影響は実質的に無視できるレベルにある。そのため、「放電回数」に基づいて振動エネルギーを算出する手法は、小型コンデンサ6における漏れ電流特性の影響を可及的に排除した算出手法と言える。
【0047】
ここで、上記放電処理により放電されるエネルギーは、小型コンデンサ6の蓄電圧が放電用閾値に至ったときの蓄電エネルギーに相当する。したがって、橋梁50に生じた振動エネルギーは、原則として、小型コンデンサ6における放電エネルギーに放電回数を乗じた総放電エネルギーに比例すると考えられる。そこで、
図5に示す制御マップでは、放電回数に比例して振動エネルギーが増加するように放電回数と振動エネルギーの相関が規定されている。そして、算出部12が、受信した「放電回数」に基づいて
図5に示す制御マップにアクセスすることで、橋梁50に生じた振動エネルギーを算出することが可能となる。
【0048】
なお、
図5に示す制御マップでは、振動エネルギーは放電回数に比例するように両者の相関が規定されているが、橋梁50における振動センサモジュール1の設置位置や、他の振動センサモジュール1の検出結果等を踏まえて、必ずしも上記比例関係となる制御マップである必要はない。事前の様々な実験等を踏まえて、適切な放電回数と振動エネルギーとの相関を設定すればよい。
【0049】
<変形例1>
上記実施例では、放電制御部22の放電処理によって形成される、小型コンデンサ6の蓄電状態である放電状態の形成回数を、放電回数としてカウントし、それをサーバ10側に送信することで、サーバ10が橋梁50で生じた振動エネルギーを、小型コンデンサ6の漏れ電流特性を排除して算出することが可能となる。このように放電回数を利用する算出形態に代えて、小型コンデンサ6の蓄電圧が放電用閾値まで到達することで形成される充電状態の形成回数に基づいて振動エネルギーを算出しても、同じように、小型コンデンサ6の漏れ電流特性を排除した振動エネルギーの算出が可能となる。振動センサモジュール1では、放電制御部22によって小型コンデンサ6の放電が繰り返されることになっており、そのため上記充電状態も、放電制御部22の放電を経て形成される小型コンデンサ6の蓄電状態である。したがって、その蓄電状態の形成回数である、充電状態の形成回数を利用することで、放電回数を利用する場合と同じように正確な振動エネルギーの算出が実現される。
【0050】
<変形例2>
また、上述したように、振動センサモジュール1からサーバ10へ送信されるデータに、放電回数をインクリメント処理した時期に関するデータを含めることで、サーバ10が放電頻度を把握することが可能である。例えば、放電回数がインクリメントされる時間間隔が短くなることは、放電頻度が高くなったことを意味する。当該振動センサモジュール1が設置された橋梁50の場所において放電頻度が高くなったことが、技術的に一定の意味を有する場合、例えば、放電頻度が所定の頻度以上になると、橋梁50の強度が低下していると技術的に判断できる等の理由に従い、橋梁50の管理を行うユーザにアラームを発令してもよい。
【0051】
<変形例3>
上記実施例では、振動センサモジュール1に複数個の小型コンデンサ6が設置された形態が開示されているが、それに代えて、振動センサモジュール1に1個の小型コンデンサ6が含まれるようにしてもよい。この場合、振動センサモジュール1において、振動発電装置4による発電電力は1個の小型コンデンサ6によって蓄電されることになるため、
図4に示す振動エネルギー検出処理におけるS104の処理、すなわち充電コンデンサを切り替える処理は行われない。また、
図1に示す振動エネルギー検出システムでは、内部に1個の小型コンデンサを含む振動センサモジュール1と、内部に複数個の小型コンデンサを含む振動センサモジュール1とが混在しても構わない。
【0052】
<変形例4>
図1、
図2に示す実施例には、橋梁50側に振動センサモジュール1が設けられ、そこから離れた位置に設置されたサーバ10に振動に関するデータが収集されることで振動エネルギーの検出を行う振動エネルギー検出システムが開示されている。当該実施例では、振動センサモジュール1とサーバ10が個別に形成され、両者を無線通信で繋ぐことで振動エネルギー検出システムが形成されている。この形態に代えて、一つの装置の中で、振動発電装置4による発電、小型コンデンサ6による蓄電、放電、放電回数に基づいた振動エネルギーの算出処理を行う形態、すなわち、本発明を、振動エネルギー検出装置として捉えることもできる。このような場合は、振動エネルギー検出装置ごとに算出された振動エネルギーのデータそのものを、基地局7を介してサーバ10に集約するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・振動センサモジュール
2・・・・制御装置
4・・・・振動発電装置
6・・・・小型コンデンサ
10・・・・サーバ
12・・・・算出部
21・・・・充電制御部
22・・・・放電制御部
23・・・・電圧監視部
24・・・・放電回数検出部
50・・・・橋梁