(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品実装基板の基板面を正面視する状態で当該基板の上方に配備される撮像部と、撮像部の撮像対象領域を照明する照明部と、撮像部により生成された画像を用いて前記基板におけるはんだの濡れ上がり状態を検査する処理部とを備えた装置であって、
前記処理部は、
検査対象のはんだ付け部位に対応するランドに塗布されたクリームはんだの量の計測値またはその計測値の適否を示す情報を外部から入力する入力手段と、
検査対象のはんだ付け部位にはんだ付けされた部品の高さを計測する計測手段と、
前記部品実装基板に実装される部品のうちの側面に電極を備える形状の部品に対するはんだ付け部位であって、前記撮像部の撮像により生成された画像中の対応箇所における暗領域の割合があらかじめ定めたしきい値を上回るはんだ付け部位が検査対象となったとき、当該はんだ付け部位に対応するランドに関して前記入力手段から入力された情報と当該はんだ付け部位にはんだ付けされている部品に関して前記計測手段により計測された高さとに基づき、前記検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりの良否を判定する判定手段と、
前記判定の結果に基づく検査結果情報を出力する出力手段とを具備し、
前記判定手段は、前記検査対象のはんだ付け部位に対応するランドにおけるクリームはんだの計測値が適量であったことを示す情報が前記入力手段から入力されたことを条件に前記部品の高さの計測値と当該部品について登録されている基準の高さとの差をあらかじめ定めた許容値と比較し、前記の差が許容値を超えていない場合には前記検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりが良好であると判定し、前記の差が許容値を超える場合および前記クリームはんだの計測量が適量でない場合には、前記検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりは不良であると判定する、自動外観検査装置。
部品実装基板の生産のために実施される一連の工程のうちのはんだ印刷工程に設けられて、はんだ印刷後の基板の各ランドにおけるクリームはんだの塗布状態を検査する第1の自動外観検査装置と、前記一連の工程のうちのリフロー工程に設けられて、当該リフロー工程を経た部品実装基板上のはんだの濡れ上がり状態を検査する第2の自動外観検査装置とを含むシステムであって、
各自動外観検査装置は、検査対象の基板の基板面を正面視する状態で当該基板の上方に配備される撮像部と、撮像部の撮像対象領域を照明する照明部と、撮像部により生成された画像を用いて検査を実行する処理部とを備え、
前記第1の自動外観検査装置の処理部は、検査対象のランドに塗布されたクリームはんだの量を計測する計測手段と、計測されたクリームはんだの量をあらかじめ登録された基準値と比較してその量の適否を判定する判定手段と、前記判定の結果に基づく検査結果情報を出力する出力手段とを具備し、
前記第2の自動外観検査装置の処理部は、
検査対象のはんだ付け部位に対応するランドに対する検査結果情報を、第1の自動外観検査装置または第1の自動外観検査装置の出力手段からの出力を受けた装置との通信により入力する入力手段と、
検査対象のはんだ付け部位にはんだ付けされた部品の高さを計測する計測手段と、
前記部品実装基板に実装される部品のうちの側面に電極を備える形状の部品に対するはんだ付け部位であって、前記撮像部の撮像により生成された画像中の対応箇所における暗領域の割合があらかじめ定めたしきい値を上回るはんだ付け部位が検査対象となったとき、当該はんだ付け部位に対応するランドに関して前記入力手段から入力された情報と当該はんだ付け部位にはんだ付けされている部品に関して前記計測手段により計測された高さとに基づき、前記検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりの良否を判定する判定手段と、
前記判定の結果に基づく検査結果情報を出力する出力手段とを具備し、
前記判定手段は、前記検査対象のはんだ付け部位に対応するランドにおけるクリームはんだの計測値が適量であったことを示す情報が前記入力手段から入力されたことを条件に前記部品の高さの計測値と当該部品について登録されている基準の高さとの差をあらかじめ定めた許容値と比較し、前記の差が許容値を超えていない場合には前記検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりが良好であると判定し、前記の差が許容値を超える場合および前記クリームはんだの計測量が適量でない場合には、前記検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりは不良であると判定する、
ことを特徴とする基板検査システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
基板面を正面視して撮像を行うタイプの検査装置では、はんだフィレットの傾斜角度が急峻になると、フィレットからの正反射光をカメラの撮像面に結像させることが困難になり、画像中の対応箇所が暗領域になってしまう。特に、極小のランドに対するはんだ付け部位では、フィレットが非常に急峻になるので、画像中のフィレットの殆どが暗領域になり、濡れ上がり状態を判別することが困難になる。
【0009】
一方、特許文献2に記載のようにフィレットを斜め方向から撮像する方法によれば、傾斜の状態に関わらず、濡れ上がりの終点付近を撮像することができるように思われる。しかし、実際の画像では、部品の側面とフィレットとの境界を見分けるのが難しく、はんだの濡れ上がり位置を容易に特定できない場合が多い。また近年の基板は実装密度が高いので、斜め方向からの撮像では、他の部品の影に隠れるなどして撮像が困難になる部品もあり、全ての部品をフィレットの計測に適した方向から撮像するのは不可能である。
【0010】
また、リード部品では、バックフィレットが十分に濡れ上がっていることが、はんだ付けの良否を決める重要なポイントとなるが、バックフィレットは、部品電極やフロントフィレットにより隠されるため、撮像が困難であり、その特徴を直接計測することができない。
【0011】
本発明は上記の問題に着目し、外観の計測が困難な箇所を含むはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がり状態を判別できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による検査方法は、部品実装基板の基板面を正面視する状態で当該基板の上方に配備される撮像部と、撮像部の撮像対象領域を照明する照明部と
、基板面にはんだ付けされた部品の高さを計測する計測手段とを有する自動外観検査装置を用いて、基板におけるはんだの濡れ上がり状態を検査するものである。この方法では、あらかじめ、部品実装基板の生産のために実施される一連の工程のうちのはんだ印刷工程で当該基板上のランドに塗布されたクリームはんだの量を、部品が実装されるより前にランド毎に計測
してその計測値を保存する。
【0013】
さらにこの方法では、自動外観検査装置において、部品実装基板に実装される部品のうちの側面に電極を備える形状の部品に対するはんだ付け部位であって、撮像部の撮像により生成された画像中の対応箇所における暗領域の割合があらかじめ定めたしきい値を上回るはんだ付け部位が検査対象となったときに、当該はんだ付け部位に対応するランドに関して保存されているクリームはんだの計測量と当該はんだ付け部位にはんだ付けされている部品に関して前記計測手段により計測された高さとに基づき検査対象のはんだ付け部位におけるはんだ濡れ上がりの良否を判定する。
【0014】
上記の方法によれば、はんだフィレットが形成される前のクリームはんだの量は良好であるが、何らかの要因によりはんだの濡れ上がり不良が生じ、その不良を画像から直接確認することができない場合でも、画像中に現れている他の部位の特徴を用いて不良を検出することが可能になる。
【0015】
具体的に
は、チップ部品の
ような側面に電極を備える形状の部品に対するはんだ付け部位
で画像中の対応箇所における暗領域の割合がしきい値を上回るはんだ付け部位について、対応するランドにおけるクリームはんだの計測値があらかじめ定めた基準値
を上回ることを条件に部品の高さの計測値と当該部品について登録された基準の高さとの差をあらかじめ定めた許容値と比較し、前記の差が許容値を超えていない場合には検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりが良好であると判定し、
前記の差が許容値を超える場合およびクリームはんだの計測量が基準値を下回る場合には、検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりは不良であると判定する。
また、クリームはんだの計測量が基準値を下回る場合には、部品の高さの計測値を使用することなく、検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりは不良であると判定する。
【0016】
上記において、部品の高さの計測値と基準の高さとの差は、部品の浮きを表すパラメータである。部品の浮きは、リフロー工程でクリームはんだが溶融した場合に、溶融したはんだが部品の下方に流入することにより生じるが、その流入量が大きくなると、部品電極とランドとを繋ぐはんだの量が少なくなるので、はんだの濡れ上がり状態も悪くなる。
【0017】
本発明では、この現象に従って、クリームはんだの量が基準値を上回り、部品の浮き量が許容値を超えていない場合には、はんだの濡れ上がりが良好であると判定し、クリームはんだの量は基準値を上回っているが、部品の浮き量が許容値を超える場合には、はんだの濡れ上がりは不良であると判定する。
【0018】
この方法によれば、検査対象のはんだ付け部位が暗領域となっていても、その暗さがフィレットの傾斜が急であるために生じたものか、フィレットの形状が不良であるために生じたのかを、正しく見分けることができる。
【0019】
また、自動外観検査装置
において、判定ステップに先立ち、
その判定の対象となるはんだ付け部位に対応するランドにおけるクリームはんだの量の計測値
またはその計測値と前記基準値とを比較した結果を示す情報を外部から入力する入力ステップを実行してもよい。
また、この入力ステップにおいてクリームはんだの量の計測値が入力される場合には、判定ステップにおいて、入力ステップで入力された計測値に応じて許容値の値を変動させることにより、判定の精度を高めることができる。
【0020】
さらに上記の方法では、基板に実装されるリード部品の個々の電極に対するはんだ付け部位
であって、クリームはんだの量の計測値があらかじめ定めた基準値を上回ったはんだ付け部位
が検査対象となったときに、以下の第2の計測ステップと第2の判定ステップとを実行する
ことができる。第2の計測ステップでは、検査対象のはんだ付け部位におけるフロントフィレットの画像を処理して、当該フロントフレットを形成するはんだの量を計測する。また、
第2の判定ステップでは、
第2の計測ステップで得た計測値があらかじめ定めた基準の範囲に含まれる場合に、検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりが良好であると判定し、計測値が基準の範囲に含まれない場合には、検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりは不良であると判定する。
【0021】
従来のリード部品に対する外観検査では、フロントフィレットのみを計測対象としているが、フロントフィレットが良好に形成され、ランドに塗布されているクリームはんだが適量であっても、その大部分が電極の表側に偏って固まると、バックフィレットが不良になる。反対に、クリームはんだの大部分が電極の裏側に偏って固まると、フロントフィレットが不良になる。
【0022】
本発明では、これらの現象に従って、クリームはんだの量は基準値を上回るが、フロントフィレットを形成するはんだの量が基準の範囲を超えたり基準の範囲を下回る場合には、はんだの濡れ上がりは不良であると判定する。このようにすることで、画像から確認することが困難なバックフィレットの状態を加味した判定をすることが可能になり、検査の精度を高めることができる。
【0023】
リード部品を対象とする検査でも、
第2の判定ステップの対象となるはんだ付け部位に対応するランドにおけるクリームはんだの量の計測値を外部から入力する入力ステップを、
第2の判定ステップに先立ち実行し、
第2の判定ステップにおいて、入力ステップで入力された計測値に応じて基準の範囲を変動させることができる。このようにすれば、ランドに塗布されたはんだ量に応じて良否の判定基準を変動させて、判定の精度を高めることができる。
【0024】
なお、クリームはんだの量の計測は、たとえばはんだの印刷状態を検査する検査装置において行うことができるが、これに限らず、部品実装工程において、当該工程に導入された基板に部品を実装する前に、クリームはんだの計測を行ってもよい。
また、クリームはんだの量の計測方法として、たとえば光切断法や位相シフト法を用いてランドに塗布されたクリームはんだの高さを求めて、高さを累計する方法により、クリームはんだの体積を求めることができる。ただし、これに限らず、画像の2値化などによりクリームはんだの塗布領域を検出し、検出された領域の面積(画素数)にはんだ印刷に用いたマスクの厚みを乗算する方法によって、クリームはんだの体積を表す数値を求めてもよい。また、はんだ塗布領域の面積をはんだ量を示すパラメータとしてもよい。
自動外観検査装置における計測ステップでも、位相差シフト法やステレオ計測などにより、計測対象部位の3次元データを求めることができるが、計測の手法は三次元計測に限定されるものではない。
【0025】
本発明による自動外観検査装置は、部品実装基板の基板面を正面視する状態で当該基板の上方に配備される撮像部と、撮像部による撮像領域を照明する照明部と、撮像部により生成された画像を用いて基板
におけるはんだの濡れ上がり状態を検査する処理部とを備える。
処理部には、
検査対象のはんだ付け部位に対応するランドに塗布されたクリームはんだの量の計測値またはその計測値の適否を示す情報を外部から入力する入力手段と、検査対象のはんだ付け部位にはんだ付けされた部品の高さを計測する計測手段と、部品実装基板に実装される部品のうちの側面に電極を備える形状の部品に対するはんだ付け部位であって、撮像部の撮像により生成された画像中の対応箇所における暗領域の割合があらかじめ定めたしきい置を上回るはんだ付け部位が検査対象となったとき、当該はんだ付け部位に対応するランドに関して入力手段から入力された情報と当該はんだ付け部位にはんだ付けされている部品に関して計測手段により計測された高さとに基づき、検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりの良否を判定する判定手段と、判定の結果に基づく検査結果情報を出力する出力手段とを具備する。
判定手段は、前述した判定ステップを実行する。
【0026】
上記の構成により、前述した検査方法を実行する要件を満たした自動外観検査装置を提供することができる。この装置によれば、画像に特徴が現れない箇所に対する判定を含めてはんだの濡れ上がり状態の良否を判定することが可能になり、検査の精度が大幅に向上する。
【0029】
本発明にかかる基板検査システムは、部品実装基板の生産のために実施される一連の工程のうちのはんだ印刷工程に設けられて、はんだ印刷後の基板の各ランドにおけるクリームはんだの塗布状態を検査する第1の自動外観検査装置と、一連の工程のうちのリフロー工程に設けられて、当該リフロー工程を経た部品実装基板のはんだの濡れ上がり状態を検査する第2の自動外観検査装置とを含む。各自動外観検査装置は、検査対象の基板の基板面を正面視する状態で当該基板の上方に配備される撮像部と、撮像部の撮像対象領域を照明する照明部と、撮像部により生成された画像を用いて検査を実行する処理部とを備える。
【0030】
第1の自動外観検査装置の処理部は、検査対象のランドに塗布されたクリームはんだの量を計測する計測手段と、計測されたクリームはんだの量をあらかじめ登録された基準値と比較してその量の適否を判定する判定手段と、当該判定の結果に基づく検査結果情報を出力する出力手段とを具備する。
【0031】
第2の自動外観検査装置の処理部は、
検査対象のはんだ付け部位に対応するランドに対する検査結果情報を、第1の自動外観検査装置または第1の自動外観検査装置の出力手段からの出力を受けた装置との通信により入力する入力手段と、
検査対象のはんだ付け部位に
はんだ付けされた部品の高さを計測する計測手段と、
部品実装基板に実装される部品のうちの側面に電極を備える形状の部品に対するはんだ付け部位であって、撮像部の撮像により生成された画像中の対応箇所における暗領域の割合があらかじめ定めたしきい値を上回るはんだ付け部位が検査対象となったとき、当該はんだ付け部位に対応するランドに関して入力手段から入力された情報と当該はんだ付け部位にはんだ付けされている部品に関して計測手段により計測された高さとに基づき、検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりの良否を判定する判定手段と、判定の結果に基づく検査結果情報を出力する出力手段とを具備する。
【0032】
上記のシステム
の第2の自動外観検査装置
では、
側面に電極を備える形状の部品に対するはんだ付け部位であって画像中の対応箇所の暗領域がしきい値を上回るはんだ付け部位を検査する場合には、判定手段は、対応するランドにおけるクリームはんだの量が
適量であったことを示す情報が入力手段から入力されたことを条件に、検査対象のはんだ付け部位にはんだ付けされている部品に対して前記計測手段により求められた高さの計測値と当該部品について登録されている基準の高さとの差をあらかじめ定めた許容値と比較し、前記の差が許容値を超えていない場合には前記検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりが良好であると判定し、前記の差が許容値を超える場合には前記検査対象のはんだ付け部位におけるはんだの濡れ上がりは不良であると判定する。一方、
入力された検査結果情報からクリームはんだの量が
適量でないことを示すものであると判別した場合には、その判別をもって、はんだの濡れ上がり状態は不良であると判定
する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、画像中に暗領域として
現れ、その暗領域がフィレットの傾斜が急峻であるためなのか、はんだ付けの濡れ上がりの不良によるものかを判別することができないはんだ付け部位に対しても、そのはんだの濡れ上がり状態を精度良くする検査の精度を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、基板検査システムの一実施形態の構成を部品実装基板の生産ラインの全体構成に対応づけて示す。
この実施例の生産ラインには、はんだ印刷工程、部品実装工程、およびリフロー工程が含まれる。はんだ印刷工程には、基板上の各ランドにクリームはんだを塗布するはんだ印刷装置11やクリームはんだの塗布状態を検査するはんだ印刷検査装置10が含まれる。部品実装工程には、はんだ印刷後の基板に部品を実装するマウンタ21や部品の実装状態を検査する実装検査装置20が設けられる。リフロー工程には、部品実装後の基板のクリームはんだを溶かすリフロー炉31や、リフロー後の基板のはんだフィレットや部品の状態を検査するリフロー後検査装置30が設けられる。
【0036】
上記の検査装置10,20,30は、いずれも自動外観検査装置であり、LAN回線100を介して相互に接続される。
さらに、このLAN回線100には、データ管理用のサーバ40が接続される。このサーバ40には、各検査装置10,20,30での検査に用いられる検査基準データや検査結果情報が保存される。検査基準データには、検査に必要なプログラムや判定の基準値などが含まれ、検査結果情報には、検査対象部位に対する計測処理により得られた計測データや良否の判定結果が含まれる。
【0037】
各検査装置10,20,30では、それぞれサーバ40から必要な検査基準データを読み出して、検査対象の基板用の検査プログラムを生成し、このプログラムに基づき、基板を撮像し、個々の部品に対応する範囲毎に計測および判定を実行する。これらの処理により得られた検査結果情報は、基板および部品の識別情報に紐付けられてまとめられてサーバ40に送信され、そのメモリ内に保存される。
また、はんだ印刷検査装置10における検査結果情報は、ランド毎に読み出すことも可能である。リフロー後検査装置30におけるフィレット検査の結果や計測データも、個々の電極毎に読み出し可能に設定される。
【0038】
上記構成の検査結果情報を利用して、この実施例では、リフロー後検査装置30におけるフィレット検査において、検査対象のはんだ付け部位に対応するランドに対してはんだ印刷検査装置10が実施した検査による検査結果情報を取得し、この検査結果情報を判定の対象の1つとした検査を行うようにしている。この実施例では、リフロー後検査装置30がデータ管理用サーバ40にアクセスして、処理対象のランドの検査結果情報を取得するものとするが、これに限らず、はんだ印刷検査装置10との通信により、必要とする検査結果情報を取得するようにしてもよい。
以下、この検査に関する装置構成や処理の内容について、順を追って説明する。
【0039】
図2は、はんだ印刷検査装置10の構成を示す。
この実施例のはんだ印刷検査装置10は、検査対象の基板を支持するステージ部101と、カメラ102およびプロジェクタ103ならびにこれらをステージ部101の上方で支持する検査ヘッド104と、処理部100とを有する。ステージ部101には、そのステージ本体を一軸(たとえば
図2中の左右方向に沿う軸)に沿って移動させる移動機構(図示せず。)が設けられる。検査ヘッド104には、そのヘッド本体をカメラ102やプロジェクタ103と共に、ステージ部101の移動軸に直交する軸に沿って移動させる移動機構(図示せず。)が設けられる。また、
図2には示していないが、検査ヘッド104には、カメラ102の撮像対象領域を照明する照明部も取り付けられる。
【0040】
処理部100は、上記の移動機構や光学系の動作の制御のほか、計測、判定、および結果の出力などの処理を行うもので、CPU110,メモリ111,検査ヘッド制御部112,撮像処理部113,プロジェクタ制御部114,ステージ制御部115,計測処理部116,検査実行部117,検査データ記憶部118,通信インタフェース119,操作部120,表示部121などが含まれる。
【0041】
CPU110は、検査ヘッド制御部112やステージ制御部115を介して検査ヘッド104やステージ部101の移動を制御すると共に、撮像処理部113を介してカメラ102に撮像を行わせ、プロジェクタ制御部114を介してプロジェクタ103に投影処理を行わせる。また撮像処理部113には、カメラ102により生成された画像を取り込んでディジタル変換する機能も設けられる。
【0042】
メモリ111には、上記の制御に関するプログラムが保存されるほか、撮像処理部113のディジタル変換により生成された画像データやプロジェクタ103に投影させる投影画像などが保存される。
計測処理部116および検査実行部117は、プログラマブルロジックデバイスであって、CPU110と協働して計測や判定処理を実行する。
【0043】
上記の構成によるはんだ印刷検査装置10では、位相シフト法の原理に基づき、基板上のランドに対し、プロジェクタ103から周期的に変動する縞状のパターン画像を投影すると共に、パターン画像が変わる毎に撮像を行う。計測処理部116は、画素毎に、一周期分の投影処理の間の画像に生じた輝度の変化を検出し、その変化の位相に基づき当該画素が示す点の高さを算出する。
【0044】
さらに、計測処理部116は、算出された高さが所定値を超えた画素をクリームはんだを示すものであるとみなして、これらの画素の高さを累計することによって、ランド上のクリームはんだの体積を求める。検査実行部117は、上記の体積を、あらかじめ登録された基準値と照合し、体積が基準値以上であれば、クリームはんだの塗布量は良好であると判定し、体積が基準値に満たない場合には、クリームはんだの塗布量は不良であると判定する。
【0045】
CPU110は、上記の判定結果や判定に用いられたはんだの体積の計測値を、前述したデータ構成に従った検査結果情報にまとめて、検査データ記憶部118に保存する。また、1枚の基板に対する検査が終了する都度、その基板に対して保存された情報をとりまとめ、通信インタフェース119を介してサーバ40に送信する。
【0046】
図3は、リフロー後検査装置30の構成を示す。
このリフロー後検査装置30も、基板ステージ301と、カメラ302およびプロジェクタ303ならびに検査ヘッド304と、処理部300とを有する。処理部300も、
図2のはんだ印刷検査装置10の処理部100と同様の構成を備えているので、各構成に、はんだ印刷検査装置10の対応する構成と下二桁が一致する符号を付す(たとえば、CPU110に対してCPU310)ことにより、説明を省略する。
【0047】
はんだ印刷検査装置10にはない構成として、リフロー後検査装置30には、照明部としてドーム型の照明装置305が設けられる。また、処理部300内にも、照明装置305の発光動作を制御するための照明制御部322が設けられる。
照明装置305も検査ヘッド304に取り付けられているが、カメラ302やプロジェクタ303より低い位置で支持される。照明装置305のドームのカメラ302やプロジェクタ303に対応する位置には、それぞれ撮像用、投影用の窓部305a,305bが設けられ、窓部305a,305bを除くドームの内面のほぼ全域に、LED(図示せず。)が円環状に配列されている。これらのLEDの発光色は、方位角や入射角の変化に従って徐々に変化し、各色の光が拡散すると白色光となるように調整されている。
【0048】
上記構成のリフロー後検査装置30では、はんだ印刷検査装置10と同様に、プロジェクタ303からの縞状のパターン画像の投影に合わせて複数回の撮像を行い、各撮像により生成された画像を用いた高さ計測を行う。この高さ計測は、部品に対応する範囲に対して実施され、それにより部品の三次元形状が復元される。
【0049】
さらに、リフロー後検査装置30では、照明装置305による照明(以下、「ドーム照明」という。)下での撮像を実行し、画像中のはんだ付け部位に現れた正反射光像の色彩とその色彩に対応する光の照射方向とに基づき、当該色彩が生じた画素が示す面の法線の方向を特定する。さらに、この特定がなされた画素の座標と法線ベクトルとの組み合わせを用いてはんだの三次元形状を復元し、この三次元形状と部品の三次元形状との関係を分析することによって、はんだが部品の電極に良好に濡れ上がっているか否かを判定する。
なお、計測処理部316には、色彩を表す特徴データとその色彩による光から割り出される法線の方向との対応関係を登録したテーブルが含まれており、画像から検出した特徴データによりこのテーブルを参照することによって、法線の方向を速やかに特定することができる。
【0050】
ただし、リフロー後検査装置30のカメラ302は、基板をほぼ真上から撮像するように配備されているので、はんだフィレットの傾きが急峻になると、そのフィレットからの正反射光をカメラに入光させることが困難になる。
【0051】
図4は、チップ部品を例に、はんだ付け対象のランドの大きさによって、フィレットの傾斜角度や照明光の反射方向が変動する例を示す。なお、
図4や後記する
図6,7,9では、簡略化のため、チップ部品の片側の電極に対するはんだ付け状態のみを示す。
標準的な大きさのランドにはんだ付けされた場合には、
図4(1)に示すように、フィレットは比較的緩やかになり、斜め方向からの照明光をカメラ302に向かう方向に反射させることができる。しかし、はんだ付けの対象のランドが幅狭になると、フィレットの傾斜も急になり、
図4(2)に示すように、カメラ302に向かう方向に照明光を反射させることが不可能になる。その結果、画像中のフィレットに対応する箇所は暗領域となって、はんだの三次元形状を復元できなくなり、精度の良い検査を実施できなくなる。
【0052】
上記の問題点に鑑み、この実施例のリフロー後検査では、色彩の分布が不明確なはんだ付け部位に対しては、その部位に対応するランドに対するはんだ印刷検査の結果を入力すると共に、自装置で計測された部品の高さから当該部品の浮き量を算出し、
図5に示すような処理により、フィレットの良否を判定する。
【0053】
この判定処理では、はんだ印刷検査の結果が「良」であったか「不良」であったかをチェックする(ステップA)。またその結果が「良」であれば、部品の浮き量が許容値以内であるか否かをチェックする(ステップB)。
【0054】
図6は、チップ部品を例に、上記のステップA,Bにより場合分けされる3つの事例を示す。
各例ともに、部品実装前の基板に塗布されたクリームはんだの状態と、そのクリームはんだの溶融および固化により形成されたフィレットの状態とを左右に並べて示す。また、右手の図では、部品電極に対するはんだの濡れ上がりの範囲を矢印付きの線により示す。
【0055】
図6(1)の例では、ランドに適切な量のクリームはんだが搭載され、また部品もランドに正しく装着されて、電極の上部まではんだが濡れ上がっている。この場合には、はんだ印刷検査での結果は「良」となり、部品の浮き量も許容値以内となるので、
図5のステップA,Bは共に「YES」となり、フィレットは良好であると判定される(ステップC)。
【0056】
図6(2)の例では、クリームはんだの量は適切であるが、クリームはんだが溶融した際に部品が浮き、その部品の下方にはんだの一部が流入したため、フィレットの形成に関与するはんだの量が大幅に減少している。はんだはある程度は濡れ上がるが、部品が上方に移動しているため、濡れ上がりの上端位置は部品電極の下端部までに留まっている。
このような場合には、はんだ印刷検査での結果は「良」となるが、部品の浮き量が許容値を超えるので、ステップAが「YES」、ステップBが「NO」となり、フィレット不良が生じていると判定される(ステップD)。
【0057】
図6(3)の例では、ランドに対するクリームはんだの塗布量が基準より少なかったために、はんだの濡れ上がり不良が生じている。この場合には、はんだ印刷検査の結果が「不良」であることにより、ステップAが「NO」となって、部品の浮き量をチェックすることなくストレートにステップDに進み、フィレット不良が生じていると判定される。
【0058】
図6(2)(3)に示したように、クリームはんだの量が少ない場合や、部品に浮きが生じている場合には、はんだの濡れ上がり状態が不十分になり、フィレットが短くなる。しかし、ランドが狭くなると、フィレットの長さが短くなってもその傾きは急になるので、
図6(2)(3)の事例でも、
図6(1)の事例と同様に、画像中のフィレットに色彩の分布が生じない可能性がある。そうなると、
図6(1)(2)(3)の各事例を画像から見分けるのは困難である。
【0059】
これに対し、
図5に示した判定のアルゴリズムによれば、部品実装前のランドにおけるクリームはんだの塗布量とリフロー後の基板における部品の浮き量という2種類のパラメータによって、各事例を見分け、フィレットの良否を正しく判定することができる。
【0060】
ただし、
図5の判定処理が適用されるのは、ドーム型の照明装置305からの光に対する正反射光をカメラ302に導くことができないために、画像中の対応箇所が暗領域となるはんだ付け部位に限定される。暗領域が生じていないはんだ付け部位に対しては、先に述べたはんだの三次元形状と部品の三次元形状との関係に基づく判定のアルゴリズムが適用される。このように判定処理のアルゴリズムを切り分けることにより、
図7に示すような形状のはんだが良好であると判定されるのを防ぐことができる。
【0061】
図7の事例では、クリームはんだのはんだ量は適量で、部品の浮きも生じていないが、何らかの原因(たとえばリフロー炉の温度が低かったこと)によって、はんだが濡れ上がらずに玉になって固まっている。このような形状のはんだに
図5の判定処理が適用されると、フィレットが良好であるという判定が出てしまうので、具合が悪い。しかし、
図7の例のはんだは傾斜が緩やかで照明光に対する正反射光がカメラ302に導かれ、ドーム照明下での画像中の対応箇所に照明光による色彩の分布が生じるので、
図5の判定処理の適用外とすることができる。
よって、色彩分布から復元された三次元形状によって、フィレットの形状に不良があることを正しく判定することができる。
【0062】
図8は、リフロー後検査装置30において実行される検査の具体的手順を示す。
この処理は、検査対象の基板がステージ部301に搬入されて、検査ヘッド304との位置合わせが完了したことに応じて開始される。まずステップS1では、部品の高さの計測用の画像を得るために、プロジェクタ303によるパターン画像の投影下での撮像を所定回数実行する。ステップS2では、はんだに対する計測用の画像を得るために、ドーム照明下での撮像を実行する。
【0063】
ステップS1,S2の各撮像で得られた複数枚の画像は、メモリ311に格納される。各撮像は、カメラ302を特定の場所に位置決めした状態で行われるので、これらの画像に含まれる部品の位置や配置の関係は全て整合する。
【0064】
以下、画像に含まれる部品に順に着目して、部品毎に、以下の処理を実行する。
まず着目した部品に対し、検査用のウィンドウを設定する(ステップS3)。設定されるウィンドウは、部品の種類によって異なるが、一般に、部品本体を含む部品ウィンドウと、個々のはんだ付け部位毎のランドウィンドウとが設定される。これらのウィンドウも上記した複数の画像に共通に設定されるものである。
【0065】
ステップS4では、部品ウィンドウ内の各画素を対象として、縞状パターン画像の投影下で生成された画像データを用いた高さ計測を行う。さらに、所定値以上の高さが計測された画素の座標と算出された高さとを組み合わせることにより、部品の三次元形状を復元する。
【0066】
ステップS5では、ドーム照明下での画像を対象にして、着目中の部品に設定されているランドウィンドウ内の暗領域を検出する。ステップS6では、ランドウィンドウ毎にそのウィンドウに占める暗領域の割合を求め、これを所定のしきい値と比較する。ここで、暗領域の割合がしきい値を上回るランドウィンドウが1つでもあれば、ステップS7,S8,S9を実行する。
【0067】
ステップS7では、データ管理用サーバ40またははんだ印刷検査装置10から、着目中の部品に対するはんだ印刷検査の検査結果を入力する。ステップS8では、ステップS4において計測された高さデータに基づき、当該部品の浮き量を算出する。具体的には、部品に対して算出された高さの平均値または最大値を部品の高さとして、この高さと着目中の部品につき登録されている基準の高さとの差を求め、その差を浮き量とする。
【0068】
ステップS9では、ステップS7で入力されたはんだ量とステップS8で算出された部品の浮き量とを用いて、ランドウィンドウ毎に、先の
図5に示した方法による判定処理を実行することにより、各ランドウィンドウにおけるフィレットの良否を判定する。
【0069】
ステップS6において、各ランドウィンドウにおける暗領域の割合がしきい値より小さいと判定された場合には、ランドウィンドウ毎にステップS10およびステップS11を実行する。
【0070】
ステップS10では、先に述べたテーブルを参照して、ランドウィンドウ内の色彩の分布を法線の分布に置き換える方法により、はんだの三次元形状を復元する。
ステップS11では、上記ステップS10で復元されたはんだの三次元形状と、ステップS4で復元された部品の三次元形状とを用いた分析処理により、はんだフィレットの良否を判定する。たとえば、部品を表す座標とはんだを表す座標との関係から、部品の側面にはんだが接しているか否かを判定し、接していると判断した場合には、その接触部分の両者の高さとを比較する。そして、両者の高さの差が所定のしきい値以内であれば、フィレットは良好であると判定し、差がしきい値より大きい場合には、フィレットは不良であると判定する。
【0071】
以上の処理を部品毎に繰り返し実行した結果、全ての部品に対する処理が終了すると(ステップS12が「YES」)、各部品に対する判定結果を統合して、基板全体としての良否を判定する(ステップS13)。さらに、ステップS14において、各判定の結果や計測値を含む検査結果情報を作成し、検査データ記憶部318への保存およびデータ管理用サーバ40への出力を行う。
【0072】
なお、
図8のフローチャートによれば、撮像のためにステージ部301と検査ヘッド304とを合わせる処理は1回になるが、カメラ302の視野より基板の方が大きい場合には、ステップS1,S2による撮像を繰り返すと共に、その撮像サイクルに合わせてステップS3〜S12を繰り返す。
【0073】
また、ステップS9(
図5のステップB)で部品の浮き量と比較される許容値は、部品の高さのばらつきを考慮した値として、あらかじめ設定する必要がある。たとえば、部品種毎に、その種の部品における高さのばらつき度合いを求め、そのばらつきから導出した許容値を、検査基準データとして登録しておくとよい。
【0074】
部品の浮きの許容値を一定値ではなく、クリームはんだの量(体積)に応じて変動させるようにすれば、判定の精度をより一層高めることができる。
図9は、クリームはんだの塗布量と、フィレット不良となる浮きの量を判別するための許容値との関係を模式的に示したものである。この図に示すように、クリームはんだの量が多い場合には、浮きの許容値をある程度大きくすることができるが、クリームはんだが少なくなるほど、浮きの許容値を小さくする必要がある。
【0075】
クリームはんだの量に応じて浮きの許容値を変更するには、たとえば、複数のサンプルを用いて両者の関係を特定し、その関係を示すテーブルをリフロー後検査装置30に登録すればよい。また、はんだ印刷検査の結果を入力するのに代えて、この検査において計測されたクリームはんだの体積をリフロー後検査装置30に入力し、入力された数値により上記のテーブルを参照して許容値を割り出せばよい。
【0076】
図10は、クリームはんだの体積と部品の浮きの許容値との関係テーブルをグラフに置き換えて示したものである。図中のPは許容値を設定することができる限界の点である。クリームはんだの量がこの点Pが示す量以下になると、部品の浮きの有無に関わらず、常にフィレット不良が生じる。
【0077】
図10では、サンプルから導出されてテーブルに登録されている許容値をドットにより示す。クリームはんだの体積の計測値が点Pが示す値より大きい場合には、グラフ内のその計測値に対応する点より小さい範囲の中で最も高い位置にあるドットが示す許容値を選択し、その選択された許容値を部品のずれ量と比較すればよい。はんだ量がP以下になる場合には、部品のずれ量を計測することなく、無条件に、フィレット不良であると判定してもよい。
【0078】
以上に説明したように、この実施例では、ドーム照明下での画像にはんだを表す特徴が現れていないはんだ付け部位に対し、画像に現れているその他の特徴であって当該はんだ付け部位の形状に関係する特徴(部品の高さ)と、当該はんだ付け部位に対応するランドに塗布されたクリームはんだの量とに基づき、はんだの濡れ上がり状態を精度良く判定することが可能になる。
【0079】
さらに、はんだ印刷検査の結果を利用したリフロー後の検査は、上記に限らず、リード部品のはんだ付け部位に対する検査にも適用することができる。
【0080】
リード部品のはんだ付けでは、電極の表側および裏側の双方に、相応量のはんだが濡れ上がるようにするのが望ましいとされている。
図11(1)は、この望ましいはんだ付けの例であり、
図11(2)(3)は、良好でないはんだ付けの例を示す。
【0081】
ランドに適切な量のクリームはんだが塗布され、リフロー工程により溶融したはんだが電極の表と裏とにうまく配分されると、
図11(1)に示すように、フロントフィレットとバックフィレットとが、ともに良好に形成される。
【0082】
一方、ランドへのクリームはんだの塗布量が少ないと、溶融したはんだが表側に偏って濡れ上がり、
図11(2)に示すようにバックフィレットが良好に形成されていない状態になる場合がある。また、反対に、電極の裏側にはんだが集中して、
図11(3)に示すように、フロントフィレッが正常に濡れ上がらない不良が生じることがある。
また、クリームはんだの量が適量であっても、その塗布状態によっては、
図11(2)や
図11(3)と同様の不良が生じる可能性がある。
【0083】
先にも述べたように、この実施例のリフロー後検査装置30では、基板をほぼ真上から撮像するので、生成された画像では、フロントフィレットを計測することはできるが、バックフィレットは殆ど撮像されず、計測が不可能である。そこで、以下に示す実施例では、フロントフィレットの高さを計測することができる点を利用して、表側のはんだの体積を求め、その体積とはんだ印刷検査の検査結果とに基づき、バックフィレットの判別を含めた検査を実施する。
【0084】
図12は、リード部品の一電極に対する上記検査の手順を
示す。以下、このフローチャートのステップ符号を参照して、リード部品におけるはんだの濡れ上がり状態の判定に関して説明する。
【0085】
まず検査対象の電極に対応するランドについて、はんだ印刷検査の検査結果を入力し、その結果の内容を判別する(ステップS21,S22)。この実施例では、リード部品の電極の表側および裏側にそれぞれ最小限必要とされるはんだの体積を加算した値を、はんだ印刷検査の良否判定の基準値とする。したがって、はんだ印刷検査で「不良」と判定された場合(ステップS22が「NO」)には、明らかなはんだ不足であるので、ドーム照明下での画像を用いた計測を行うことなくステップS27に進んで、フィレットは不良であると判定する。
【0086】
対応するランドに対するはんだ印刷検査の結果が「良」である場合(ステップS22が「YES」)には、ステップS23に進み、ドーム照明下での画像を用いて、ランドウィンドウ内の照明色に対応する色彩が分布している箇所(フロントフィレットに相当する。)の高さを計測する。さらに、各高さの計測値の総和を求める演算によって、フロントフィレットを形成するはんだの体積を算出し(ステップS24)、その体積をあらかじめ定めた基準の範囲と照合する(ステップS25)。
【0087】
はんだ印刷検査においてクリームはんだの塗布量が基準値以上であるとして良判定がなされ、表側のはんだの体積が基準の範囲に含まれる場合(ステップS22およびステップS25が共に「YES」)には、フロントフィレットおよびバックフィレットはともに良好であるとみなして、「良」と判定する(ステップS26)。これに対し、クリームはんだの塗布量が基準値以上であっても、はんだが表側に偏って濡れ上がった場合には、表側のはんだの体積が増えるので、ステップS24で算出されたはんだの体積が基準の範囲を超える。反対にはんだが電極の裏側に偏って濡れ上がると、表側のはんだの体積は減少するので、はんだの体積は基準の範囲を下回る。これらのケースでは、ステップS25が「NO」となって、ステップS27に進み、フィレットは不良であると判定される。
【0088】
なお、この実施例でも、ステップS21においては、はんだ印刷検査の結果入力に代えて当該検査で計測されたクリームはんだの体積を入力し、その体積に応じてステップS25の判定に用いる基準の範囲を変動させるようにしてもよい。たとえば、クリームはんだの塗布量が多くなるほど、基準の範囲を示す上限値を引き上げると共に、当該基準の範囲を示す下限値を引き下げることにより、不良と判定しなくてよい状態のものが不良と判定されるのを防ぐことができる。
【0089】
上記のとおり、ドーム照明下での画像を処理するのみでは、フロントフィレットの形状に基づく検査しか実施できないのに対し、
図12に示す判定処理によれば、バックフィレットの状態の判定を含めた検査を行うことができ、はんだ付けの良否を正しく判定することが可能になる。
【0090】
なお、上記実施例では、はんだ印刷検査ではんだの塗布量に不良があると判定された基板に対しても、後工程の処理を実施することを前提とするため、はんだ印刷検査の結果を入力したが、はんだの塗布量に不良がある基板を取り除き、良判定がなされた基板のみを後工程に流す場合には、はんだ印刷検査の結果の入力は必ずしも必要ではない。たとえば
図8のフローチャートについていうと、ステップS7を実施せず、ステップS9でも部品の浮き量のみに基づく判定を行うことができる(つまり、
図5のステップAの判定処理をなくす。)。また
図12に示したリード部品用の判定処理でも、ステップS21,S22を実施することなく、フロントフィレットを形成する表側のはんだの体積を求め、その体積を基準の範囲と照合する手順によりフィレットの良否を判定することができる。
ただし、判定の精度を高めるために、はんだ印刷検査で計測されたクリームはんだの体積を入力し、その体積の値に応じてステップS9やステップS25の判定に用いる基準値を変更するようにしてもよい。