(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の燃料遮断弁では、フロートが閉弁して給油を停止した後に、通気孔を通じて弁室へ通気し、弁室の燃料液面が低下してフロートが開弁する。このため、追加給油が可能になる。こうした追加給油において、燃料を入れすぎた過給油となった場合に、インレットパイプの注入口から燃料の吹き返しを生じ易いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態によれば、
燃料タンク(FT)と外部とを接続する接続通路(22a)を開閉する燃料遮断弁において、
上記接続通路(22a)に接続される主弁室(21S)と、該主弁室(21S)の下方に配置された副弁室(31S)とを有するケーシング(20)と、
上記主弁室(21S)内に収納され、該主弁室(21S)内の燃料液位により昇降する主弁機構(40)と、
上記副弁室(31S)内に収納され、該副弁室(31S)内の燃料液位により昇降する副弁機構(60)と、
を備え、
上記ケーシング(20)は、上記燃料タンク(FT)内と上記主弁室(21S)とを接続する第1連通路(21P)と、上記主弁室(21S)と上記副弁室(31S)とを接続する第2連通路(31P)とを有し、
上記燃料タンク(FT)内の燃料液位が第1液位(FL1)に達したときに、タンク内圧と上記主弁室(21S)との差圧により上記燃料タンク(FT)内の燃料を上記第1連通路(21P)を通じて上記主弁室(21S)へ流入させることで、上記主弁機構(40)により上記接続通路(22a)を閉じ、
上記燃料タンク(FT)内の燃料液位が、上記第1液位(FL1)より高い第2液位(FL2)に達したときに、上記副弁機構(60)の上昇により上記第2連通路(31P)を閉じること、
を特徴とする燃料遮断弁が提供される。また、本発明は以下の形態として実現することもできる。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、燃料遮断弁が提供される。この燃料遮断弁は、燃料タンクと外部とを接続する接続通路を開閉する燃料遮断弁において、上記接続通路に接続される主弁室と、該主弁室の下方に配置された副弁室とを有するケーシングと、上記主弁室内に収納され、該主弁室内の燃料液位により昇降する主弁機構と、上記副弁室内に収納され、該副弁室内の燃料液位により昇降する副弁機構と、を備え、上記ケーシングは、上記燃料タンク内と上記主弁室とを接続する第1連通路と、上記主弁室と上記副弁室とを接続する第2連通路とを有し、上記燃料タンク内の燃料液位が第1液位に達したときに、タンク内圧と上記主弁室との差圧により上記燃料タンク内の燃料を上記第1連通路を通じて上記主弁室へ流入させることで、上記主弁機構により上記接続通路を閉じ、上記燃料タンク内の燃料液位が、上記第1液位と同じかまたは該第1液位より高い第2液位に達したときに、上記副弁機構の上昇により上記第2連通路を閉じる構成とすることができる。
【0007】
本形態にかかる燃料遮断弁を燃料タンクに用いた場合において、燃料タンクへの給油により、燃料タンク内の燃料液位が第1液位に達したときに、第1連通路を通じて主弁室に燃料が入り込み、主弁機構が上昇して接続通路を遮断する。そして、燃料タンク内の燃料液位が第2液位を越えたときに、副弁機構がその浮力の増大で上昇して、第2連通路を遮断することで、主弁室内の燃料の流出を抑制して主弁機構が閉弁状態を維持する。これにより、タンク内圧を高めた状態を維持することで過給油を確実に防止することができる。
【0008】
(2) 他の形態において、上記第2連通路は、上記副弁機構により閉じられている状態であっても、上記主弁室内の燃料を、上記副弁機構の開弁時よりも少ない流量で流出させることが可能な構成とすることができる。この構成により、主弁室内燃料が徐々に排出され、主弁機構の開弁動作を遅らせることができ、過給油を防止できる。
【0009】
(3) 他の形態において、上記燃料タンクの燃料液位が上記第2液位を越えて上記副弁機構が上記第2連通路を閉じたときに、タンク内圧と上記主弁室との差圧により上記第1連通路を通じて上記主弁室内に燃料を流入させて、上記主弁機構により上記接続通路を閉じるように構成することができる。この構成により、追加給油の後に、主弁機構を確実に閉じることができ、過給油を防止できる。
【0010】
(4) 他の形態において、上記ケーシングは、筒状の外ケーシングと、該外ケーシングより小径の筒状でありかつ該外ケーシング内に配置された内ケーシングとを備え、上記第1連通路は、上記外ケーシングと上記内ケーシングとの間隙で形成されて構成とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
(1) 燃料遮断弁の概略構成
図1は本発明の一実施例にかかる自動車の燃料タンクFTの上部に取り付けられる燃料遮断弁10を示す断面図である。
図1において、燃料タンクFTは、その表面がポリエチレンを含む複合樹脂材料から形成されており、そのタンク上壁FTaに取付穴FTbが形成されている。タンク上壁FTaには、燃料遮断弁10がその下部を取付穴FTbに突入した状態にて取り付けられている。燃料遮断弁10は、給油時に燃料タンクFT内の燃料が満タン液位に達したときに燃料がキャニスタへ流出することを規制するとともに、所定量の追加給油を許容したものである。さらに、燃料遮断弁10は、給油時以外に車両が傾いたときなどに燃料タンクFTの内の燃料が外部へ流出することを防止するロールオーバー弁として機能する。すなわち、燃料遮断弁10は、満タン検知弁とロールオーバー弁との2つの機能を備えたいわゆるモジュール弁である。以下、燃料遮断弁10の構成を詳細に説明する。
【0013】
(2) 燃料遮断弁10の各部の構成
燃料遮断弁10は、ケーシング20と、主弁機構40と、副弁機構60とを主要な構成として備え、主弁機構40および副弁機構60がケーシング20の軸方向(垂直方向)へ昇降可能に構成されている。ケーシング20は、外ケーシング21と、外ケーシング21の内側に配置された内ケーシング30と、蓋体35とを備えている。
図2は燃料遮断弁10を分解して示す断面図、
図3はケーシング20を分解して一部破断して示す斜視図である。外ケーシング21は、円板形状の上壁22と、円筒形状の側壁23と、上壁22の外周部と側壁23の上部を連結する連結部24とを有し、これらで囲まれたカップ形状であり、下方を開口21aとしている。上壁22には、接続通路22aが形成され、その開口周縁部が主シール部22bになっている。側壁23の上部には、外周方向に張り出したフランジ23aが形成されている。フランジ23aは、蓋体35と溶着される部位である。側壁23の上部には、通気孔23bが形成されている。側壁23の下部には、連通孔23cが形成されている。連通孔23cは、外ケーシング21内と燃料タンクFT内とを連通するとともに、内ケーシング30と係合する部位である。連結部24は、断面L字形状に形成されており、つまり、側壁23の上端から一体に内周側へ向けて形成された円板部24aと、その円板部24aの内周側から立設された円筒部24bとを備え、側壁23の上端から上壁22を嵩上げして連結する段部で形成されている。
【0014】
内ケーシング30は、円筒状の側壁31と、側壁31内のスペースを上室30Saと下室30Sbとに分ける底壁33とを備えている。内ケーシング30の上室30Saは、上開口30aで上方に開放され、下室30Sbは、下開口30bで下方に開放されている。上室30Saは、内ケーシング30および外ケーシング21で囲まれることで主弁室21Sを形成し、また、下室30Sbは、単独で副弁室31Sを形成している。側壁31の上部は、通気孔23bに対向する位置まで軸方向(垂直方向)へ延設されている。側壁31が通気孔23bに対向する位置まで形成されていることにより、通気孔23bから主弁室21Sに入る気流が弱められて、主弁機構40が傾くのを防止している。側壁31の上部には、位置決め突部31aが形成されている。位置決め突部31aは、側壁31の上端から突出した棒状の部材であり、外ケーシング21の連結部24の円板部24aの内壁に軸方向(垂直方向の下方)から当たることで、内ケーシング30を外ケーシング21に軸方向に位置決めする。内ケーシング30の側壁31は、外ケーシング21の側壁23に覆われたときに、内ケーシング30と外ケーシング21との間に所定間隙が形成されている。この間隙と、連結部24の内壁、位置決め突部31aおよび内ケーシング30の上開口30aの上部に形成された間隙とにより、第1連通路21P(
図1)を構成している。側壁31の下部には、周方向に90゜の等間隔で4つのガイド穴31bおよび位置決め部32が互い違いに形成されている。ガイド穴31bは、後述するように副弁機構60をスライド可能に支持する機構である。位置決め部32は、側壁31の下端を切り欠いた片持ちの弾性片32aと、弾性片32aの外面に突設され係合突部32bとを備えている。係合突部32bが外ケーシング21の連通孔23cに係合することにより、内ケーシング30が外ケーシング21に装着される(
図1参照)。
【0015】
また、底壁33は、円板状の底壁本体33aを備えている。底壁本体33aの中央部には、台座34が形成されている。台座34の中央部には、副接続通路34aが貫通形成されている。副接続通路34aの外周下面を囲むように、下シール部34bが突設されている。また、台座34には、副接続通路34aに接続される溝34cが副接続通路34aを中心に放射状に形成されている。副接続通路34aは、第2連通路31Pの一部を構成している。
【0016】
図2において、蓋体35は、蓋本体36と、蓋本体36の中央から側方へ突出した管体部37と、蓋本体36の外周に形成されたフランジ38とを備え、これらを一体に形成している。管体部37には、管通路37aが形成されており、この管通路37aの一端は、接続通路22aを通じてケーシング20の主弁室21Sに接続され、他端はキャニスタ(図示省略側)に接続される。蓋本体36の下部には、外ケーシング21のフランジ23aを溶着する内部溶着端36aが形成されており、フランジ38の下端部には、燃料タンクFTのタンク上壁FTa(
図1)に溶着される外側溶着部38aが形成されている。
【0017】
図2および
図3において、主弁機構40は、主弁室21S内に収納されており、主フロート41と、上部弁機構45と、スプリング50とを備えている。主フロート41は、下方に開放した浮力室42S(
図2)を有するカップ形状であり、上壁41aと、上壁41aの外周部から円筒形状に突設された側壁41bを備えている。側壁41bには、ガイド突条41cが上下方向に沿いかつ周方向に等間隔に4箇所形成されている。ガイド突条41cは、
図2に示す外ケーシング21の側壁23の内壁に摺動することで主フロート41が昇降する際の傾きを防止するようにガイドする。主フロート41は、上壁41aの下面と内ケーシング30の底壁33との間に掛け渡されたスプリング50(
図2)により支持されている。
【0018】
上部弁機構45は、再開弁特性を改善するための弁であり、主フロート41の上部に昇降可能に支持されており、弁支持部材46と、弁支持部材46に装着されたゴム弁体48とを備えている。弁支持部材46は、円板状の支持上板46aを備え、その中央部に弁支持穴46bが貫通形成されている。支持上板46aの外周部には、主フロート41のガイド溝41d内を摺動する支持アーム46eが90゜の間隔で4本(図では1本を示す)、下方に向けて突設されている。支持アーム46eには、ガイド穴46fが形成されており、主フロート41の抜止突起41eを突入させることで上部弁機構45を主フロート41に対して所定距離だけ昇降可能に支持している。ゴム弁体48は、弁支持穴46bにゴム弁体48の支持基部48aが圧入されることで弁支持部材46に支持されている。ゴム弁体48は、支持基部48aの外周部に第1シート部48bを備え、この第1シート部48bが主シール部22b(
図2)に着離することで接続通路22aを開閉する。支持基部48aには、接続孔48cが貫通形成されている。接続孔48cの下部開口周縁には、第2シート部48dが形成されている。第2シート部48dは、主フロート41の中央上部のシール部43に着離する。
【0019】
副弁機構60は、下室30Sb内に収納されており、副フロート61を備えている。副フロート61は、下方に開放した浮力室61Sを有するカップ形状であり、上壁62と、上壁62の外周部から円筒形状に突設された側壁63と、上壁62の中央部から上方に突設されたシール突部64とから形成されている。シール突部64は、その上部にシート部64aを備えている。シート部64aは、下シール部34bに着座および離座することで副接続通路34a(第2連通路31P)を開閉する。側壁63には、ガイド突部63aが形成されている。ガイド突部63aは、ガイド穴31b内に突入して副フロート61の上下方向への昇降をガイドする。
【0020】
(3) 燃料遮断弁の動作
次に、燃料遮断弁10の動作について説明する。
(3)−1
図1において、給油により燃料タンクFT内に燃料が供給されると、燃料タンクFT内の燃料液位の上昇につれて燃料タンクFT内の上部に溜まっていた燃料蒸気は、燃料遮断弁10から管路(図示省略)を経てキャニスタに逃がされる。すなわち、燃料タンクFT内の燃料液位が第1液位FL1に達していない間は、主弁機構40は、開弁しているから、燃料蒸気は、通路面積の大きい第1連通路21Pを主に通り、副次的に第2連通路31Pの副接続通路34aを通り、さらに主弁室21S、接続通路22a、管通路37aを経てキャニスタへ逃がされる。
【0021】
図4に示すように、燃料タンクFT内の燃料液位が上昇して第1液位FL1に達して連通孔23cを塞ぐと、燃料タンクFT内のタンク内圧が上昇する。この状態では、タンク内圧と主弁室21S内の圧力との差圧が大きくなり、サイホン作用により、燃料が第1連通路21Pを通じて主弁室21Sへ流入する。そして、主弁室21S内の燃料液位が所定液位h1に達すると、主フロート41の浮力およびスプリング50の加重による上方への力と、主フロート41および上部弁機構45からなる主弁機構40の自重による下方への力との釣り合いによって、前者が後者を上回るから主弁機構40が上昇して、ゴム弁体48の第1シート部48bが主シール部22bに着座して接続通路22aを閉じる。この結果、タンク内圧はさらに上昇して、インレットパイプ(図示省略)内の液面が上昇して、燃料が給油ガンのノズル内のセンサ(図示省略)に接触すると、給油ガンの給油を停止するオートストップを働かせる。
【0022】
そして、
図5に示すように、主弁室21S内の燃料は、通気孔23bで燃料タンク内と通気しつつ、第2連通路31Pの副接続通路34a、副弁室31Sを通じて徐々に燃料タンクFTへ排出される。主弁室21Sの燃料液位が低下して所定液位h2に達すると、主フロート41は、その浮力を減少して下降するから、上部弁機構45の第2シート部48dが主フロート41のシール部43から離座して接続孔48cを開ける。接続孔48cの連通により、上部弁機構45の下方の圧力は、接続通路22aの付近とほぼ同じ圧力になることで、上部弁機構45を閉弁する力が小さくなり、ガイド穴46fが抜止突起41eに係合することで、上部弁機構45を引き下げ、ゴム弁体48が主シール部22bから離れて、接続通路22aが開かれる。このように接続孔48cの通路面積を接続通路22aの通路面積より小さくすることで、上部弁機構45は、小さな力で開弁する。こうした主弁機構40による2段の弁構造により、再開弁特性の向上を促進するように機能する。そして、主弁機構40の下降により接続通路22aが開かれると、追加給油が可能な状態になる。
【0023】
さらに、
図6に示すように、追加給油により、燃料が副弁室31S内に流入して、その燃料液位が第2液位FL2に達すると、副弁機構60の副フロート61は、その浮力が自重を上回ると速やかに上昇して、シート部64aが下シール部34bに着座して副接続通路34aを塞ぐ。これにより、再度、燃料タンクFT内のタンク内圧が上昇して、タンク内圧と主弁室21S内の圧力との差圧が大きくなり、液体燃料が第1連通路21Pを通じて、主弁室21Sに流れ込む。これにより、主弁機構40が上昇して、ゴム弁体48の支持基部48aが主シール部22bに着座して接続通路22aを閉じ、再度、オートストップを働かせ、過給油ができなくなる。
【0024】
図6に示すように、副弁機構60のシート部64aが下シール部34bに着座して副接続通路34aを閉じている状態において、シート部64aと下シール部34bは、高いシール性を有しないから、主弁室21S内の液体燃料がシート部64aと下シール部34bとの間隙を通じて徐々に副弁室31Sへ排出される。このような主弁室21S内の液体燃料の排出により、主弁室21S内の燃料液位が低下する。ここで、液体燃料の排出量は、主弁機構40が開弁するまで数十秒かかる値に設定されている。そして、
図7に示すように、主弁室21S内の燃料液位が所定液位h1を下回って主弁機構40が下降することで、接続通路22aが開かれ、燃料タンクFT内がキャニスタ側に開放される。なお、副弁機構60は、燃料が消費されて、第2液位FL2を下回ったときに下降することで、元の状態に復帰する。
【0025】
(3)−2 燃料遮断弁10は、ロールオーバー弁として、以下のように機能する。すなわち、
図1に示すように、燃料タンクFT内は、主弁機構40の開弁状態にて、通気孔23b、主弁室21S、管通路37aなどを通じて外部との通気を確保している。また、車両のローリング走行のように、車両が急激に傾いた場合には、
図4を用いて説明したように、燃料遮断弁10は、主弁機構40が閉弁動作することにより、外部へ燃料が流出するのを防止する。また、車両が傾斜した状態で停車して、燃料遮断弁10の付近の燃料液位が徐々に上昇した場合には、サイホン作用を生じないで、第1連通路21P、第2連通路31Pから燃料が主弁室21Sに徐々に流入して、主弁機構40が閉弁動作をし、燃料が外部へ流出するのを防止する。
【0026】
(4) 実施例の作用・効果
上記実施例の構成により、以下の作用・効果を奏する。
(4)−1
図4に示すように、給油時に、燃料液位が第1液位FL1に達して燃料が連通孔23cを塞ぐと、タンク内圧と主弁室21Sとの圧力に大きな差圧を生じて、燃料が第1連通路21Pを通じて主弁室21Sに入り、主弁機構40が上昇して接続通路22aを閉じる。このようなタンク内圧の上昇により、給油のオートストップを作動させることができる。一旦、オートストップが作動した後に、
図5に示すように、主弁室21Sの燃料は、副接続通路34a(第2連通路31P)を通じて排出され、主弁機構40が下降して接続通路22aを開く。これにより、タンク内圧が低下して、追加給油を許容する。しかし、
図6に示すように、追加給油により燃料が第2液位FL2に達すると、副フロート61は、その上昇により副接続通路34aを塞ぎ、タンク内圧と主弁室21Sとの差圧が再度大きくなり、第1連通路21Pを通じて主弁室21Sに燃料が流入する。主弁室21Sの燃料液位の上昇により、主弁機構40が閉弁動作を行なって接続通路22aを閉じるから、過給油を防止することができる。すなわち、燃料遮断弁10は、第1液位FL1の満タン液位に達してオートストップを作動させた後に、所定量の追加給油を許容するけれども、燃料の吹き返しを生じるような過給油を確実に防止することができる。
【0027】
(4)−2 燃料遮断弁10の副弁機構60は、副フロート61が副接続通路34aを閉じている状態にて高いシール性を有していないことから、満タン時における閉弁状態において、主弁室21S内の燃料が副接続通路34aを通じて僅かずつ漏れ、主弁室21Sの燃料液位が低下する。しかし、その漏れ量は、僅かな量であるから、主弁室21S内の燃料液位が急激に低下せず、主弁機構40が接続通路22aを閉じたままでタンク内圧を維持し、給油ガンによる過給油を確実に防止することができる。
【0028】
(4)−3
図7に示すように、過給油を防止した後に、副フロート61が閉じた状態であっても、主弁室21S内の燃料が、副接続通路34aを通じて徐々に排出されて、主弁機構40が開弁動作する。よって、給油後に満タンになっても、燃料タンクFT内は、通気孔23b、主弁室21S、接続通路22a、管通路37aを通じて、外部に対する通気を確保することができる。
【0029】
(4)−4
図3に示すように、台座34の溝34cは、副接続通路34aを中心に放射状に形成されているので、
図5に示すように、主弁室21S内の燃料が台座34の高さより低くなった場合でも、主弁室21S内の燃料は、溝34cから副接続通路34aを通じて速やかに排出することができる。
【0030】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。