(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記消失点特定手段は、前記前方画像において、前記退出道路に沿って存在する線である退出道路線の像を認識し、当該認識した前記退出道路線の像に基づいて前記前方画像における前記退出道路の消失点の位置を特定する、
請求項1に記載の退出道路案内システム。
前記退出道路取得手段は、前記交差点に接続する道路のうち、前記交差点から延びる方向が、前記交差点に対する前記車両の進入方向と、前記退出道路が前記交差点から延びる方向との間の方向となる退出方向道路を取得し、
前記消失点特定手段は、前記前方画像内に像が表れる道路の消失点の位置を特定し、
前記表示終了手段は、前記直進領域上に表れた前記道路の消失点の個数が前記退出方向道路の個数と一致した場合に、前記案内画像の表示を終了させる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の退出道路案内システム。
前記消失点特定手段は、前記前方画像内に像が表れる前記道路に沿って存在する線である道路線の像を認識し、当該認識した前記道路線の像に基づいて前記前方画像内に像が表れる前記道路の消失点の位置を特定する、
請求項5に記載の退出道路案内システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両の現在位置が交差点を通過したと判断した場合に、車両の進行方向を表す矢印が重畳された風景画像を表示部から消去すると、車両の進行方向を表す矢印を消去するタイミングが不適切となる場合があった。例えば、交差点内の特定の地点(中央位置等)に設定されたノードを車両の現在位置が通過したタイミングで、車両の現在位置が交差点を通過したと判断する場合、車両の現在位置が交差点を通過したと判断しても車両が依然として交差点内にて旋回している場合が生じ得る。このように、車両が依然として交差点内にて旋回している段階で、進行方向を表す矢印が消去されると、交差点内において運転者が進行方向を誤るという問題があった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、車両が交差点から退出する退出道路の案内を適切なタイミングで終了させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明において、退出道路取得手段は、交差点から車両が退出する走行予定経路上の退出道路を取得する。表示制御手段は、退出道路の位置を案内する案内画像を表示部に表示させる。消失点特定手段は、車両の前方の風景を撮影した前方画像において、退出道路の消失点の位置を特定する。表示終了手段は、車両から当該車両の進行方向に延びる直線に対応する前方画像内の領域である直進領域上に、退出道路の消失点が表れた場合に、案内画像の表示を終了させる。
【0006】
実空間において互いに平行な線が前方画像に投影した場合、当該平行な線は消失点において交差する。従って、退出道路の消失点が直進領域上に表れた場合、すなわち退出道路の消失点を車両から当該車両の進行方向に延びる直線の像が通過する場合、退出道路の方向と車両の進行方向とが平行となるまで、車両が旋回していると判断できる。従って、前方画像において退出道路の消失点が直進領域上に表れた場合に、案内画像の表示を終了させることにより、これ以上の旋回が不要となるタイミングで、退出道路の位置を案内する案内画像の表示を終了させることができる。
【0007】
退出道路取得手段は、車両が退出する走行予定経路上の退出道路を取得すればよく、予め探索された走行予定経路に基づいて退出道路を取得してもよい。退出道路とは、交差点から退出した直後に車両が走行する予定の走行予定経路上の道路である。表示制御手段は、退出道路の位置を案内する案内画像を表示部に表示させればよく、退出道路の位置を案内する案内画像の態様は種々考えられる。例えば、案内画像は、退出道路の位置を示す文字であってもよいし、退出道路の位置を地図や前方画像上にて示すポインタであってもよい。さらに、案内画像は、退出道路の方向を表す画像であってもよく、車両や交差点等に対する退出道路の方向を示す画像であってもよい。さらに、案内画像は、退出道路に退出するために車両が走行すると予測される軌跡を示す画像であってもよい。
【0008】
消失点特定手段は、前方画像において退出道路の消失点の位置を特定すればよく、前方画像における退出道路の像に基づいて退出道路の消失点の位置を特定すればよい。前方画像は、車両の前方の風景を撮影した画像であればよく、少なくとも車両から当該車両の進行方向に延びる直線が視野内に存在するように撮影された画像であればよい。
【0009】
進行方向とは、車両の長さ方向(車軸に直交する方向)における前方を意味する。車両から当該車両の進行方向に延びる直線は、鉛直方向におけるいずれの高さの直線であってもよい。直進領域とは、車両から当該車両の進行方向に延びる直線に対応する前方画像内の領域であり、車両から当該車両の進行方向に延びる直線の像が前方画像内おいて投影される領域である。また、直進領域は、厳密に、車両から当該車両の進行方向に延びる直線の像が前方画像内おいて投影される線状の領域でなくてもよく、当該線状の領域に幅を持たせた領域であってもよい。直進領域の幅を大きく設定することにより、案内画像の表示を終了させる際における、車両の進行方向と退出道路の方向との平行度を緩和することができる。すなわち、直進領域の幅を大きく設定することにより、車両の進行方向と退出道路の方向とが徐々に平行に近づいていく過程において、案内画像の表示を終了させるタイミングを早めることができる。
【0010】
表示終了手段は、前方画像における直進領域上に退出道路の消失点が表れた場合に、案内画像の表示を終了させればよく、案内画像の表示を終了させる処理を開始させればよい。例えば、直進領域上に退出道路の消失点が表れたタイミングで案内画像を完全に消去してもよいし、直進領域上に退出道路の消失点が表れたタイミングから案内画像を徐々に消去する構成を採用してもよい。なお、前方画像における直進領域上に退出道路の消失点が表れるとは、直進領域上に消失点の位置が存在するようになることを意味する。
【0011】
また、消失点特定手段は、前方画像において退出道路に沿って存在する線である退出道路線の像を認識し、退出道路線の像に基づいて前方画像における退出道路の消失点の位置を特定してもよい。ここで、道路および道路の付近においては、道路の方向に沿った線状の退出道路線が存在する。例えば、道路上の区画線は退出道路に沿って存在する線となるし、道路に沿って設けられた構造物の稜線や模様等も退出道路に沿って存在する線となる。また、退出道路線は互いに平行な線であるため、2本以上の退出道路線の像同士が前方画像において交差する点は退出道路の消失点となる。従って、消失点特定手段は、2本以上の退出道路線の像同士の交点の位置を、退出道路の消失点の位置として特定してもよい。なお、消失点特定手段は、退出道路線の像が無限遠(地平線)まで認識されなくてもよく、2本以上の退出道路線の像を地平線に向けて延長した延長線同士の交点の位置を退出道路の消失点の位置として特定すればよい。また、消失点特定手段は、前方画像における単一の点にてN本以上(Nは3以上の整数)の線状の像が交差している場合に、当該単一の点にて交差している線状の像のそれぞれが退出道路線の像であると見なし、N本以上(Nは3以上の整数)の線状の像が交差している点を消失点として特定してもよい。むろん、消失点特定手段は、地図情報等に基づいて退出道路線の像を他の直線状の像と区別して認識し、当該区別して認識した退出道路線の像同士の交点を消失点として特定してもよい。なお、退出道路線の像は前方画像において線状となるため、公知の線認識手法によって退出道路線の像を認識できる。
【0012】
ここで、退出道路のうち交差点から退出した直後に走行する区間(以下、開始区間)の方向と車両の進行方向とが平行となっていれば、車両が退出道路に退出するために十分に旋回したと考えることができる。退出道路の開始区間の方向と車両の進行方向とが平行となっていれば、そのまま進行方向に直進することにより車両が退出道路へと退出できるからである。そこで、消失点特定手段は、車両の直前の領域である第1直前領域に対応する前方画像内の認識範囲において退出道路線の像を認識してもよい。第1直前領域は、車両から所定距離以内前方の領域を意味する。車両が交差点を走行する場合、第1直前領域内に、退出道路の開始区間が存在することとなる。従って、第1直前領域に対応する前方画像内の認識範囲において退出道路線の像を認識することにより、退出道路の開始区間の方向と車両の進行方向とが平行となっているか否かを判定できる。
【0013】
また、車両の直前の第1直前領域に対応する前方画像内の認識範囲において、退出道路線の像は直線状に表れると見なすことができる。道路の設計上、退出道路の開始区間の形状は直線状である可能性が高いとともに、車両に近い物体の像ほど前方画像において大きく結像されるからである。退出道路線の像が直線状に認識できれば、退出道路の消失点の位置を容易かつ精度よく特定できる。すなわち、曲線状の退出道路線の像を、曲線形状を考慮して無限遠(地平線)に向けて延長しなくてもよいため、退出道路の消失点の位置を容易かつ精度よく特定できる。さらに、第1直前領域は車両の直前の領域であるため、前方画像内の認識範囲において退出道路線の像は明瞭に表れる。従って、第1直前領域に対応する前方画像内の認識範囲にて認識した退出道路線の像に基づいて、退出道路の消失点の位置を精度よく特定できる。
【0014】
さらに、消失点特定手段は、退出道路が直線状に近いほど、第1直前領域を前方に拡張するように認識範囲を設定してもよい。退出道路が直線状に近い場合には、第1直前領域を前方に拡張したとしても、当該第1直前領域に対応する前方画像内の認識範囲において、退出道路線の像は直線状に表れると見なすことができる。従って、第1直前領域を前方に拡張するように認識範囲を設定することにより、できるだけ前方画像内の広い範囲にて退出道路線の直線状の像を認識でき、退出道路のうち交差点直後の区間の消失点の位置を精度よく特定できる。なお、退出道路が直線状に近いとは、退出道路の曲率半径が大きいことであってもよいし、交差点から開始している退出道路の直線区間が長いことであってもよい。
【0015】
さらに、退出道路以外の道路の消失点が直進領域上に表れたことをもって早期に案内画像の表示を終了させないように以下の構成を採用してもよい。まず、退出道路取得手段は、交差点に接続する道路のうち、交差点から延びる方向が、交差点に対する車両の進入方向と、退出道路が交差点から延びる方向との間の方向となる退出方向道路(退出道路を含む)を取得する。すなわち、退出道路取得手段は、車両が交差点に進入してから車両の進行方向と退出道路の方向とが平行となるまでの期間(以下、旋回期間)において、車両から当該車両の進行方向に延びる直線上に存在することとなる道路を退出方向道路として取得する。次に、消失点特定手段は、前方画像内に像が表れる道路の消失点の位置を前方画像において特定する。そして、表示終了手段は、直進領域上に表れた道路の消失点の個数が退出方向道路の個数と一致した場合に、案内画像の表示を終了させる。
【0016】
ここで、交差点から延びる方向が、交差点に対する車両の進入方向となる退出方向道路(直進道路)の消失点は、旋回期間の開始時刻において前方画像における直進領域上に表れる。また、交差点から延びる方向が、交差点に対する車両の進入方向に近い退出方向道路の消失点ほど、旋回期間の早い時期において前方画像における直進領域上に表れる。そして、退出方向道路としての退出道路の消失点は、旋回期間の終了時刻において前方画像における直進領域上に表れる。すなわち、旋回期間において、交差点から延びる方向が、交差点に対する車両の進入方向に近い順に退出方向道路の消失点が前方画像における直進領域上に表れ、最後に退出道路の消失点が前方画像における直進領域上に表れる。従って、旋回期間において直進領域上に表れる消失点の個数は退出方向道路の個数と一致することとなる。そのため、旋回期間において、直進領域上に表れた道路の消失点の個数が退出方向道路の個数と一致したことをもって、車両の進行方向と退出道路の方向とが平行となるまで、車両が旋回したと判断できる。
【0017】
上述した退出道路の消失点の位置の特定手法は、退出道路以外の道路の消失点の特定においても適用できる。すなわち、消失点特定手段は、前方画像において、前方画像内に像が表れる道路に沿って存在する線である道路線の像を認識し、当該認識した道路線の像に基づいて前方画像内に像が表れる道路の消失点の位置を特定してもよい。また、消失点特定手段は、車両の直前の領域である第2直前領域に対応する前方画像内の認識範囲において道路線の像を認識してもよい。さらに、消失点特定手段は、退出方向道路の形状が直線形状に近いほど、第2直前領域を前方に拡張するように認識範囲を設定してもよい。これにより、前方画像内に像が表れる道路、すなわち退出方向道路の消失点の位置を精度よく特定できる。
【0018】
さらに、直進領域は、前方画像の縦方向の全域に存在する領域であってもよい。これにより、退出道路や退出方向道路に勾配が存在し、退出道路等の消失点の位置が前方画像の縦方向において上下する場合であっても、車両の進行方向と退出道路の方向とが平行となるまで、車両が旋回しているか否かを判断できる。
【0019】
さらに、本発明のように案内画像によって退出道路の位置を案内する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)退出道路案内処理:
(3)他の実施形態:
【0022】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる退出道路案内システムとしてのナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、車両に備えられている。ナビゲーション装置10は、制御部20と記録媒体30とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備え、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。記録媒体30は、地図情報30aを記録する。
【0023】
地図情報30aは、道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータと、ノード同士を接続する道路に対応するリンクについての情報を示すリンクデータと、ノード同士を接続する道路の幅方向の中央線上に設定された形状補間点の位置等を示す形状補間点データとを含んでいる。3本以上のリンクが接続するノードは交差点に対応する。リンクデータには、道路の幅を示す情報が含まれている。
【0024】
車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とカメラ44とディスプレイ45とを備える。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の位置を算出するための信号を制御部20に出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を制御部20に出力する。ジャイロセンサ43は、車両に作用する角加速度に対応した信号を制御部20に出力する。
【0025】
カメラ44は、車両の前方風景を撮影し、当該前方風景を表す前方画像を生成するイメージセンサである。カメラ44が生成した前方画像は、図示しないインタフェースを介して制御部20に出力される。
図2Aは、道路上を車両が走行する様子を示す図である。カメラ44は、車両の幅方向の中央位置に備えられており、平面視において、光軸が車両の進行方向と一致する。従って、平面視において、カメラ44の光軸は、車両から当該車両の進行方向に延びる進行直線Fと一致する。また、カメラ44の光軸は水平であることとする。進行方向とは、車両の長さ方向(車軸に直交し、かつ、水平な方向)における前方を意味する。進行直線Fとは、車両の幅方向の中央位置から無限遠まで進行方向に延びる直線である。車両の前方の空間のうち、前方画像に像が投影される空間は、水平方向および鉛直方向においてカメラ44の光軸に関して対称な形状の空間となる。
【0026】
図2Bは前方画像を示す図である。前方画像における横方向(前方画像の水平方向)は道路およびレーンの幅方向に対応し、前方画像の下辺の中点が車両の現在位置(カメラ44の位置)に対応する。進行直線Fは、平面視においてカメラ44の光軸と一致するため、前方画像内の横方向の二等分線上の位置に投影される。また、前方画像の縦方向の二等分線は、無限遠の位置に対応し、遮蔽されない限り地平線を表す。光軸よりも高い位置に存在する物体の像は前方画像の縦方向の二等分線よりも上の領域に投影され、光軸よりも低い位置に存在する物体の像は前方画像の縦方向の二等分線よりも下の領域に投影される。光軸よりも高い位置に存在する物体の像は、当該物体が車両から前方に遠い位置にあるほど、前方画像における低い位置(縦方向の二等分線に近い位置)に投影される。光軸よりも低い位置に存在する物体の像は、当該物体が車両から前方に遠い位置にあるほど、前方画像における高い位置(縦方向の二等分線に近い位置)に投影される。
【0027】
制御部20は、GPS受信部41、車速センサ42、及びジャイロセンサ43等から出力された信号や地図情報30aに基づいて、公知のマップマッチングを行う。これにより、制御部20は、車両が現在走行している走行道路の幅方向の中央線上において車両の現在位置を特定する。さらに、制御部20は、ジャイロセンサ43からの出力信号等に基づいて車両の進行方向を特定する。
【0028】
ディスプレイ45は、制御部20から出力された映像信号に基づいて前方画像および案内画像を含む各種画像を出力する映像出力装置である。前方画像は、ディスプレイ45の全体に表示されてもよいし、ディスプレイ45の一部に表示されてもよい。
【0029】
制御部20は、退出道路案内プログラム21を実行する。退出道路案内プログラム21は、退出道路取得部21aと表示制御部21bと消失点特定部21cと表示終了部21dとを含む。
退出道路取得部21aは、交差点から車両が退出する走行予定経路上の退出道路を取得する機能を制御部20に実行させるモジュールである。制御部20は、予め探索した走行予定経路上に存在する案内対象の交差点のうち、車両が次に走行する交差点である案内交差点から車両が退出する予定の退出道路を取得する。走行予定経路は目的地点に到達するために車両が走行すべき一連の道路(リンク)で構成される。なお、走行予定経路は、制御部20が通信等を介して外部の装置やリムーバブルメモリから取得した経路であってもよい。
【0030】
制御部20は、交差点に進入する際に車両が走行する走行予定経路上の道路である進入道路の方向(進入方向I)に対して、交差点から車両が退出する走行予定経路上の道路である退出道路の方向(退出方向O)がなす旋回角Y(左旋回が正、右旋回が負)の絶対値が閾値以上の交差点を案内対象の交差点とする。閾値(例えば30°)は、記録媒体30に記録されている。なお、制御部20は、交差点に対応するノードQに最も近い進入道路内の形状補間点から当該ノードQに向かうベクトルの方向を進入方向Iとして特定し、交差点に対応するノードQから当該ノードQに最も近い退出道路内の形状補間点に向かうベクトルの方向を退出方向Oとして特定する。
図2Aでは、案内交差点Cにおける旋回角Yが−90°となる進入道路R
Iと退出道路(右折道路)R
Oとが走行予定経路上の道路であることとする。
図2Aにおいて、レーンの区画線BLを白抜きの破線または実線で示し、道路と道路外の領域との境界JLを太線で示す。境界JLは、例えば車道と歩道との境界に設けられた縁石である。また、案内交差点Cに接続する接続道路はすべて直線状であることとする。
【0031】
さらに、退出道路取得部21aの機能により制御部20は、案内交差点Cに接続する接続道路のうち、案内交差点Cから延びる方向が、案内交差点Cに対する車両の進入方向Iと、退出道路が案内交差点Cから延びる方向(退出方向O)との間の方向となる退出方向道路R
Sを取得する。すなわち、制御部20は、退出道路R
Oに退出する場合と同一の旋回方向(左旋回,右旋回)に旋回して退出できる接続道路のうち、接続道路に退出した場合の旋回角Yの絶対値が、0°以上、かつ、退出道路R
Oに退出した場合の旋回角Yの絶対値以下、となる接続道路を退出方向道路R
Sとして取得する。ここで、退出した場合の旋回角Yが0°となる接続道路は、進行方向を進入方向Iに維持したまま案内交差点Cから退出できる直進道路である。また、退出した場合の旋回角Yの絶対値が退出道路R
Oに退出した場合の旋回角Yの絶対値と一致する接続道路は、退出道路R
Oである。従って、退出方向道路R
Sには、直進道路(存在する場合)と退出道路R
Oとが含まれる。なお、各接続道路が案内交差点Cから延びる方向は、進入方向Iと退出方向Oを特定する場合と同様の手法で特定できる。
【0032】
ここで、退出方向道路R
Sとは、車両が案内交差点Cに進入してから退出道路R
Oに退出するまでの旋回期間において、前方画像に像が表れることとなる道路を意味する。車両が案内交差点Cに進入する旋回期間の開始時刻においては、案内交差点Cから延びる方向が、進入方向Iと一致する道路、すなわち退出方向道路R
Sとしての直進道路の像が前方画像内に表れる。車両が案内交差点Cから退出する旋回期間の終了時刻においては、案内交差点Cから延びる方向が、退出方向Oと一致する道路、すなわち退出方向道路R
Sとしての退出道路R
Oの像が前方画像内に表れる。
【0033】
図2Aの場合、制御部20は、退出道路R
Oに退出した場合の旋回角Yの絶対値は90°であるため、退出道路R
Oと同一方向に退出できる案内交差点Cの接続道路のうち、退出した場合の旋回角Yの絶対値が、0°以上、かつ、90°以下、となる接続道路を退出方向道路R
Sとして取得する。より具体的に、制御部20は、案内交差点Cから進入方向Iに延びる直進道路と、案内交差点Cから斜め右前方(旋回角Yが−45°)に延びる斜右折道路と、案内交差点Cから退出方向Oに延びる退出道路(右折道路)R
Oとを、退出方向道路R
Sとして取得する。ここで、退出方向道路R
Sは、車両が案内交差点Cから退出できない接続道路であってもよく、例えば案内交差点Cに対して進入のみできる一方通行の道路であってもよいし、交通規制等により車両が走行できない道路であってもよい。
【0034】
表示制御部21bは、退出道路R
Oの位置を案内する案内画像Gをディスプレイ45に表示させる機能を制御部20に実行させるモジュールである。本実施形態において、表示制御部21bの機能により制御部20は、案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。
図2Bに示すように、制御部20は、前方画像内において後方側端点BEから前方側端点FEに向かう矢印を表す案内画像Gを生成し、当該案内画像Gを前方画像に重畳する。本実施形態において、制御部20は、車両の現在位置に対応する前方画像内の位置、すなわち前方画像の下辺の中点に後方側端点BEを設定する。一方、制御部20は、退出道路R
Oの幅方向の中央位置に対応する前方画像内の位置に前方側端点FEを設定する。なお、制御部20は、案内交差点Cと退出道路R
Oとの幅方向の中央位置を地図情報30aの形状補間点データに基づいて取得し、当該取得した退出道路R
Oの幅方向の中央位置に対応する前方画像内の位置を、車両の現在位置と進行方向とカメラ44の光学的な仕様(光軸方向、視野角、結像倍率等)とに基づいて特定すればよい。
【0035】
例えば、制御部20は、案内交差点Cと退出道路R
Oとの境界線上、かつ、退出道路R
Oの幅方向の中央位置に対応する前方画像内の位置に前方側端点FEを設定してもよい。制御部20は、案内交差点Cに接続する各接続道路の幅を地図情報30aのリンクデータに基づいて取得し、当該取得した各接続道路の幅に基づいて案内交差点Cと退出道路R
Oとの境界線を特定すればよい。むろん、制御部20は、前方画像の画像認識に基づいて前方側端点FEを設定してもよい。例えば、制御部20は、退出道路R
Oの幅方向の両縁の区画線BLの像を前方画像において認識し、当該認識した区画線BLの像の間の中央の位置に前方側端点FEを設定してもよい。前方側端点Fを設定すると、制御部20は、後方側端点BEと前方側端点FEとを曲線状に接続する案内画像Gを生成する。例えば、制御部20は、予め記録媒体30に記録された理想的な旋回曲線を示すように案内画像Gの曲線形状を設定してもよい。
【0036】
消失点特定部21cは、前方画像内に像が表れる道路の消失点の位置を特定する機能を制御部20に実行させるモジュールである。具体的に、消失点特定部21cの機能により制御部20は、前方画像内に像が表れる道路に沿って存在する線である道路線の像を認識し、道路線の像に基づいて、前方画像内に像が表れる道路の消失点の位置を特定する。まず、制御部20は、旋回期間にて、前方画像において公知のハフ変換を行うことによって直線状の像を認識する。なお、制御部20は、前方画像において認識した直線状の像が前方画像の縦方向の二等分線(地平線)まで到達していない場合には、前方画像において認識した直線状の像を縦方向の二等分線と交差するように延長する(
図2Bにて一点鎖線で示す延長直線t)。
【0037】
道路上に形成された区画線BLの輪郭線や、境界JLが示す縁石の稜線や、道路に沿って形成された建物Zの稜線や模様の輪郭線等が道路線に相当する。図示しないが、ガードレールや中央分離帯や広告看板や電線や側溝等も道路に沿って設けられるため、これらの輪郭線や稜線等も道路線に相当する。ここで、道路線は、実空間において互いに平行な直線となる。従って、道路線の像は、すべて単一の消失点Wにて交差するはずである。そこで、制御部20は、前方画像において認識した直線状の像同士が交差している点のうち、交差している直線状の像の本数がN本以上の点の位置を消失点Wの位置として特定する。Nは、3以上の自然数(例えば5)であり、予め記録媒体30に記録されている。Nを大きくすることにより、消失点Wの位置の信頼度を高めることができる。なお、前方画像において認識した直線状の像のうち、消失点Wを通過する直線状の像は道路線の像に相当する。
【0038】
なお、前方画像において認識した直線状の像がN本以上交差するとは、N本以上の直線状の像が厳密に同一位置に交差する場合に限らず、N本以上の直線状の像が誤差半径以内の円形領域内にて交差することであってもよい。この場合、制御部20は、N本以上の直線状の像が交差している円形領域の中心の位置を消失点Wの位置として特定してもよい。
【0039】
上述したように退出方向道路R
Sとは、車両が案内交差点Cに進入してから退出道路R
Oに退出するまでの旋回期間において、前方画像に像が表れることとなる道路を意味する。従って、旋回期間において、前方画像に像が表れた道路の消失点Wは、退出方向道路R
Sの消失点Wを意味する。また、旋回期間において前方画像にて認識される道路線の像は、退出方向道路R
Sに沿って存在する線を意味する。ここで、旋回期間において、車両の進行方向は進入道路R
Iの方向から徐々に退出道路R
Oの方向に向けて傾いていくため、前方画像に像が投影される退出方向道路R
Sが順次遷移していく。
図2Aに示す進入道路R
I上の位置P
1に車両の現在位置が存在する場合、
図2Bに示すように前方画像に退出方向道路R
Sとしての直進道路の像が表れる。
図2Aに示す案内交差点C内の位置P
2まで車両が旋回している場合、
図2Cに示すように前方画像に退出方向道路R
Sとしての斜右折道路の像が表れる。
図2Aに示す案内交差点C内の位置P
3にてさらに車両が旋回している場合、
図2Dに示すように前方画像に退出道路R
Oとしての右折道路の像が前方画像に表れる。そのため、消失点特定部21cの機能により制御部20は、像が前方画像に表れた順に退出方向道路R
Sの消失点Wの位置を特定することとなる。直進道路の消失点Wを除き、消失点Wは前方画像における旋回方向側の端に最初に表れ、旋回が進行するにつれて旋回方向の反対側に移動することとなる。直進道路の消失点Wは、前方画像の横方向の二等分線付近に最初に表れることとなる。
【0040】
表示終了部21dは、車両が直進する場合の進行直線Fに対応する前方画像内の領域である直進領域D上に、退出道路R
Oの消失点Wが表れた場合に、案内画像Gの表示を終了させる機能を制御部20に実行させるモジュールである。表示終了部21dの機能により制御部20は、前方画像の横方向の二等分線を中央の線とする所定幅の領域を直進領域Dとして設定する。上述のように、平面視において、進行直線Fはカメラ44の光軸と一致し、進行直線Fに対応する前方画像内の位置は前方画像の横方向の二等分線上の位置となる。直進領域Dは、前方画像の縦方向の全域に存在する領域であり、前方画像の縦方向の全域において横方向の幅が一定となっている。すなわち、本実施形態において、進行直線Fに対応する前方画像内の位置は前方画像の横方向の二等分線の全域となる。このことは、カメラ44の光軸よりも低い位置に存在する進行直線Fに対応する前方画像内の領域(横方向の二等分線のうち縦方向の二等分線よりも下の部分)と、カメラ44の光軸よりも高い位置に存在する進行直線Fに対応する前方画像内の領域(横方向の二等分線のうち縦方向の二等分線よりも上の部分)に幅を持たせた領域が、直進領域Dとして設定されていることを意味する。直進領域Dの幅は、記録媒体30に記録されており、運転者が指定した値に設定されてもよい。例えば、運転者が案内画像Gの消去タイミングを早めたい場合には直進領域Dの幅が上方修正され、運転者が案内画像Gの消去タイミングを遅らせたい場合には直進領域Dの幅が下方修正されるようにしてもよい。
【0041】
表示終了部21dの機能により制御部20は、直進領域D上に表れた道路(前方画像内に像が表れた道路)の消失点Wの個数が退出方向道路R
Sの個数と一致した場合に、案内画像Gの表示を終了させる。すなわち、退出方向道路R
Sの個数をM個とすると、制御部20は、M番目に直進領域D上に表れた道路の消失点Wを、退出道路R
Oの消失点Wと見なす。そして、制御部20は、M番目の道路の消失点Wが直進領域D上に表れた場合に、退出道路R
Oの消失点Wが直進領域D上に表れたとして、案内画像Gをディスプレイ45上から消去する。
【0042】
図2Aの例では、退出方向道路R
Sの個数は3個である。
図2B(
図2Aの位置P
1)においては、退出方向道路R
Sとしての直進道路の消失点Wが直進領域D上に表れているが、この段階では直進領域D上に表れた道路の消失点Wの個数(以下、消失点数)は1個である。従って、
図2Bにおいて案内画像Gの表示は終了していない。
図2C(
図2Aの位置P
2)まで旋回が進行すると、退出方向道路R
Sとしての斜右折道路の消失点Wが直進領域D上に表れるが、この段階では直進領域D上に表れた道路の消失点数は2個である。従って、
図2Cにおいても案内画像Gの表示は終了していない。さらに、
図2D(
図2Aの位置P
3)まで旋回が進行し、退出方向道路R
Sとしての右折道路(退出道路R
O)の消失点Wが直進領域D上に表れると、直進領域D上に表れた道路の消失点数が3個となる。
図2Dにおいて案内画像Gが消去されている。
【0043】
以上説明した実施形態において、退出道路R
Oの消失点Wが直進領域D上に表れた場合、すなわち退出道路R
Oの消失点Wを進行直線Fの像が通過する場合、退出道路R
Oと進行直線Fとが平行となっていると判断できる。すなわち、前方画像において退出道路R
Oの消失点Wが直進領域D上に表れた場合、車両の進行方向と退出道路R
Oの方向とがほぼ平行となるまで、車両が旋回していると判断できる。従って、前方画像において退出道路R
Oの消失点Wが直進領域D上に表れた場合に、案内画像Gの表示を終了させることにより、これ以上の旋回が不要となるタイミングで、退出道路R
Oの位置を案内する案内画像Gの表示を終了させることができる。厳密には、車両の進行方向と退出道路R
Oの方向との平行度が、直進領域Dの幅に対応する基準の平行度以上となった場合に、案内画像の表示を終了させることができる。直進領域Dの幅を大きく設定することにより、車両の進行方向と退出道路R
Oの方向との平行度の基準の平行度を緩和することができ、案内画像Gの表示を終了させるタイミングを早めることができる。
【0044】
さらに、表示終了部21dの機能により制御部20は、直進領域D上に表れた道路の消失点数が退出方向道路R
Sの個数と一致した場合に、案内画像Gの表示を終了させる。ここで、車両が案内交差点Cに進入してから退出道路R
Oに退出するまでの旋回期間において、退出方向道路R
Sの消失点Wが前方画像における直進領域D上に順に表れる(
図2B〜
図2D)。そのため、直進領域D上に表れた道路の消失点数が退出方向道路R
Sの個数と一致した場合、車両の進行方向と退出道路R
Oの方向との平行度が基準の平行度以上となるまで、車両が旋回したと判断できる。
【0045】
さらに、直進領域Dは、前方画像の縦方向の全域に存在する。これにより、退出道路R
Oや退出方向道路R
Sに勾配が存在し、退出道路R
Oや退出方向道路R
Sの消失点Wの位置が前方画像の縦方向において上下する場合であっても、車両の進行方向と退出道路R
Oの方向との平行度が基準の平行度以上となるまで、車両が旋回したか否かを判断できる。
【0046】
(2)退出道路案内処理:
図3は、退出道路案内処理のフローチャートである。退出道路案内処理は、走行予定経路が探索されている場合に実行される処理である。まず、制御部20は、案内交差点Cに車両が接近しているか否かを判定する(ステップS100)。具体的に、制御部20は、進入方向Iに対して退出方向Oがなす旋回角Yの絶対値が閾値以上となる走行予定経路上の交差点のうち、車両が次に走行する交差点を案内交差点Cとして取得する。そして、制御部20は、車両から案内交差点Cまでの残距離を取得し、当該残距離が閾値以下である場合に、案内交差点Cに車両が接近していると判定する。制御部20は、車両の現在位置から案内交差点Cに対応するノードQまでの直線距離を、車両から案内交差点Cまでの残距離として取得してもよい。閾値(例えば300m)は、案内交差点Cにて退出道路R
0へ退出するための準備に必要な走行距離(例えば、レーン変更に必要な走行距離)であり、記録媒体30に記録されている。
【0047】
案内交差点Cに車両が接近していると判定しなかった場合(ステップS100:N)、制御部20は、ステップS100に戻り、案内交差点Cに車両が接近するまで待機する。一方、案内交差点Cに車両が接近していると判定した場合(ステップS100:Y)、退出道路取得部21aの機能により制御部20は、退出道路R
Oと退出方向道路R
Sとを取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、案内交差点Cに接続する接続道路のうち、案内交差点Cから車両が退出する走行予定経路上の道路を退出道路R
Oとして取得する。さらに、制御部20は、案内交差点Cに接続する接続道路のうち、案内交差点Cから延びる方向が、案内交差点Cに対する車両の進入方向Iと、退出道路が交差点から延びる方向(退出方向O)との間の方向となる退出方向道路R
Sを取得する。
【0048】
次に、表示制御部21bの機能により制御部20は、案内画像Gの表示を開始させる(ステップS110)。すなわち、制御部20は、退出道路R
Oの位置を案内する案内画像Gを生成し、当該案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる重畳表示処理を開始させる。重畳表示処理は、所定の時間周期または走行距離周期で前方画像が撮影されるごとに実行されるループ処理であり、最新の現在位置等に基づいて生成された案内画像Gを最新の前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる処理である。具体的に、制御部20は、前方画像が撮影されるごとに、最新の現在位置と進行方向とカメラ44の光学的な仕様とに基づいて、退出道路R
Oの幅方向の中央位置を示す前方側端点FEを設定し、前方画像の下辺の中点に設定した後方側端点BEと前方側端点FEとを接続する案内画像Gを生成する。そして、制御部20は、最新の案内画像Gを最新の前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。なお、重畳表示処理を開始させる前、および、重畳表示処理を終了させた後において、制御部20は、案内画像Gを重畳することなく最新の前方画像をディスプレイ45に表示させる非重畳表示処理を実行する。すなわち、制御部20は、重畳表示処理を実行しない期間において、案内画像Gを消去した前方画像をディスプレイ45に表示させる非重畳表示処理を実行する。
【0049】
次に、表示終了部21dの機能により制御部20は、消失点数を0にリセットする(ステップS115)。消失点数とは、車両から進行方向に延びる進行直線Fに対応する前方画像内の領域である直進領域D上に表れた退出方向道路R
Sの消失点Wの個数である。次のステップS120〜S135の処理は重畳表示処理と同様に前方画像が撮影されるごとに実行される処理であり、重畳表示処理と並行して実行される。
【0050】
消失点特定部21cの機能により制御部20は、前方画像内に像が表れた道路の消失点Wの位置を特定する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、前方画像において公知のハフ変換を行うことによって直線状の像を認識する。そして、制御部20は、認識した直線状の像同士が交差している点のうち、交差している直線状の像の本数がN本以上の点の位置を消失点Wの位置として特定する。消失点Wにて交差しているN本以上の直線状の像は、道路に沿って存在する道路線の像に相当する。また、案内交差点Cに車両が接近していると判定した場合(ステップS100:Y)に、道路の消失点Wの位置の特定を開始するため、車両が案内交差点Cにて旋回する旋回期間において道路の消失点Wの位置の特定できる。
【0051】
さらに、表示終了部21dの機能により制御部20は、前方画像内に像が表れた道路の消失点Wが前方画像内における直進領域D上に表れたか否かを判定する(ステップS125)。厳密に、制御部20は、道路の消失点Wが新たに前方画像内における直進領域D上に表れたか否かを判定する。すなわち、制御部20は、過去において直進領域D上に表れた道路の消失点Wが継続して直進領域D上に表れている場合、道路の消失点Wが新たに前方画像内における直進領域D上に表れたと判定しない。例えば、制御部20は、直前の前方画像にて直進領域D上に表れた道路の消失点Wから所定距離以内の位置にて道路の消失点Wが表れた場合には、当該消失点Wが直進領域D上に表れたと判定しない。上述したように、道路の消失点Wは、前方画像において車両の旋回方向と反対方向に移動する。従って、直進領域Dにおける車両の旋回方向側の端にて道路の消失点Wが表れた段階で、直進領域D上に消失点Wが表れたと判定され、それ以降、旋回方向と反対側に移動した消失点Wについては無視されることなる。なお、直進道路の消失点Wは、最初にステップS125を実行した段階で、直進領域Dの横方向の中央位置付近に表れ、それ以降は無視されることなる。
【0052】
前方画像内に像が表れた道路の消失点Wが直進領域D上に表れたと判定しなかった場合(ステップS125:N)、表示終了部21dの機能により制御部20は、ステップS120に戻る。すなわち、新たに撮影された前方画像において、道路の消失点Wが直進領域D上に表れたか否かを判定する(ステップS120〜S125)。
【0053】
一方、前方画像内に像が表れた道路の消失点Wが直進領域D上に表れたと判定した場合(ステップS125:Y)、表示終了部21dの機能により制御部20は、消失点数をインクリメントする(ステップS130)。すなわち、制御部20は、消失点数に1を加算する。
【0054】
次に、表示終了部21dの機能により制御部20は、消失点数が退出方向道路R
Sの個数と一致したか否かを判定する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、直前に直進領域D上に表れたと判定した道路の消失点Wが、退出道路R
Oの消失点Wであるか否かを判定する。車両が案内交差点Cに進入してから退出道路R
Oに退出するまでの旋回期間において、案内交差点Cから延びる方向が、案内交差点Cに対する車両の進入方向Iに近い順に退出方向道路R
Sの消失点Wが前方画像における直進領域D上に表れ、最後に退出道路R
Oの消失点Wが前方画像における直進領域D上に表れる。従って、消失点数が退出方向道路R
Sの個数と一致した場合、退出道路R
Oの消失点Wが前方画像における直進領域D上に表れたと判断できる。すなわち、消失点数が退出方向道路R
Sの個数と一致した場合、車両の進行方向と退出道路R
Oの方向との平行度が、直進領域Dの幅に対応する基準の平行度以上となったと判定できる。
【0055】
消失点数が退出方向道路R
Sの個数と一致したと判定した場合(ステップS135:Y)、表示終了部21dの機能により制御部20は、案内画像Gの表示を終了させる(ステップS140)。すなわち、車両の進行方向と退出道路R
Oの方向との平行度が基準の平行度以上となり、これ以上の旋回を案内する必要がないとして、案内画像Gの表示を終了させる。案内画像Gの表示を終了させるとは、
図2B,
図2Cのように案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる重畳表示処理を終了させ、
図2Dのように案内画像Gを重畳することなく前方画像をディスプレイ45に表示させる処理へと移行することを意味する。
【0056】
一方、消失点数が退出方向道路R
Sの個数と一致したと判定しなかった場合(ステップS135:N)、制御部20は、ステップS120に戻る。すなわち、新たに撮影された前方画像において、前方画像内に像が表れた道路の消失点Wが直進領域D上に表れたか否かを判定する(ステップS120〜S125)。
【0057】
(3)他の実施形態:
上述した実施形態においては、前方画像の全域において直線状の像を認識し、当該認識した直線状の像に基づいて前方画像内に像が表れた道路の消失点Wの位置を特定したが、直線状の像を前方画像の一部の認識範囲において認識してもよい。消失点特定部21cの機能により制御部20は、車両の直前の領域である直前領域(第1直前領域、第2直前領域)に対応する前方画像内の認識範囲において、前方画像内に像が表れた道路に沿った道路線の像を認識し、当該認識した道路線の像に基づいて道路の消失点Wの位置を特定してもよい。なお、車両が案内交差点Cに進入してから退出道路R
Oに退出するまでの旋回期間において、退出道路R
Oの像が前方画像内に表れるため、前方画像内に像が表れる道路に沿って存在する道路線には退出道路R
Oに沿って存在する退出道路線も含まれる。
図4Aは車両が道路を走行する様子を示す図である。
図4Aに示すように、車両の現在位置(P
1,P
3)から所定距離以内前方の路面上の領域が直前領域Lとなっている(P
2については図示を省略)。制御部20は、直前領域Lに対応する前方画像内の範囲を認識範囲Aとして設定する。
図4Bは、認識範囲Aが設定された前方画像を示す図である。
図4Bに示すように、認識範囲Aは、前方画像の下辺を下端とし、前方画像の縦方向の二等分線(地平線)よりも低い高さHに設定された横方向の線u(二点鎖線)を上端とする範囲である。
【0058】
消失点特定部21cの機能により制御部20は、退出方向道路R
Sの形状が直線形状に近いほど、直前領域Lを前方に拡張するように認識範囲Aを設定する。すなわち、旋回期間において、前方画像内に像が表れることとなる退出方向道路R
Sの形状に基づいて、道路線の像を認識するに認識範囲Aを設定する。具体的に、制御部20は、地図情報30aの形状補間点データに基づいて、退出方向道路R
Sのうち案内交差点Cから所定距離以内の形状評価区間に存在する形状補間点を取得し、当該形状補間点を円周が通過する近似円K(太線)を特定する。そして、制御部20は、当該近似円Kの半径を形状評価区間の曲率半径rとして取得する。さらに、制御部20は、形状評価区間の曲率半径rが大きいほど、認識範囲Aの上端の高さHを高い位置に設定する。結果として、形状評価区間の曲率半径rが大きいほど、認識範囲Aに対応する直前領域Lが前方に拡張されることとなる。
【0059】
以上のようにして認識範囲Aを設定すると、消失点特定部21cの機能により制御部20は、認識範囲Aにおいて直線状の像を認識し、当該直線状の像を延長する(
図4Bにて一点鎖線で示す延長直線t)。なお、退出道路R
Oが直前領域Lにて上り勾配を有する場合、退出道路R
Oが消失点Wは前方画像の縦方向の二等分線(地平線)よりも高い位置に表れるため、制御部20は、縦方向の二等分線よりも高い位置まで延長直線tを延長する。そして、制御部20は、延長した直線状の像がN本以上交差している点の位置を退出方向道路R
Sの消失点Wの位置として特定する。
【0060】
以上のように、前方画像の全域において前方画像内に像が表れた道路に沿った道路線の像を認識するのではなく、車両の直前領域Lに対応する前方画像内の認識範囲Aにおいて退出道路R
Oの道路線(退出道路線)の像を認識することにより、退出道路R
Oのうち案内交差点Cから退出した直後に走行する開始区間の方向と車両の進行方向とが平行となっているか否かを判定できる。退出道路R
Oの開始区間と、車両の進行方向とが平行となっていれば、そのまま進行方向に直進することにより車両が退出道路R
Oに退出できるため、これ以上、退出道路R
Oの位置を案内しなくてもよい。
【0061】
また、車両の直前領域Lに対応する前方画像内の認識範囲Aにおいて、道路線の像は直線状に表れると見なすことができる。道路の設計上、退出方向道路R
Sのうち案内交差点C付近の区間の形状は直線状である可能性が高いとともに、車両に近い物体の像ほど前方画像において大きく結像されるからである。道路線の像が直線状に認識できれば、道路線の像の延長直線t上に消失点Wが存在すると推定でき、退出方向道路R
Sの消失点Wの位置を容易かつ精度よく特定できる。さらに、車両の直前領域Lに対応する前方画像内の認識範囲Aにおいて、道路線の像は明瞭に表れる。従って、直前領域Lに対応する前方画像内の認識範囲Aにて認識した道路線の像に基づいて、退出方向道路R
Sの消失点Wの位置を精度よく特定できる。
図4Bの場合、退出道路R
Oが湾曲している場合でも、前方画像において退出道路線の像が直線状に表れる範囲に認識範囲Aが設定されているため、退出道路R
Oの消失点Wの位置を容易かつ精度よく特定できる。
【0062】
さらに、形状評価区間の曲率半径rが大きい場合、直前領域Lを前方に拡張するように認識範囲Aを設定したとしても、認識範囲Aにおいて道路線の像は直線状に表れると見なすことができる。従って、形状評価区間の曲率半径rが大きいほど、直前領域Lを前方に拡張するように認識範囲Aを設定することにより、できるだけ前方画像内の広い範囲にて道路線の直線状の像を認識でき、退出方向道路R
Sの消失点Wの位置を精度よく特定できる。なお、制御部20は、退出方向道路R
Sにおいて案内交差点Cから開始している直線区間が長いほど、退出方向道路R
Sの形状が直線形状に近いと特定してもよい。
【0063】
さらに、退出方向道路R
Sの形状は退出方向道路R
Sごとに異なるため、制御部20は、退出方向道路R
Sごとに認識範囲Aを設定すればよい。ここで、案内交差点Cから延びる方向が進入方向Iに近い退出方向道路R
Sの順に、退出方向道路R
Sの消失点Wが前方画像に表れる。従って、制御部20は、案内交差点Cから延びる方向が進入方向Iに近い退出方向道路R
Sの順に、退出方向道路R
Sごとに設定した認識範囲Aを順次切り替えればよい。さらに、退出道路R
Oについてのみ退出道路R
Oの形状に応じた認識範囲Aを設定し、他の退出方向道路R
Sについては一定形状の認識範囲Aを設定してもよい。また、制御部20は、前方画像の上辺に上端を有し、前方画像の縦方向の二等分線よりも上方の位置に下端を有する認識範囲Aを設定してもよい。すなわち、カメラ44の光軸よりも高い位置に存在する道路線の像を認識するための認識範囲Aを設定してもよい。この場合、制御部30は、退出方向道路R
Sの形状が直線形状に近いほど、認識範囲Aの下端の高さを低い位置に設定すればよい。
【0064】
むろん、消失点特定部21cの機能により制御部20は、地図情報30aに基づいて退出道路R
Oに沿って存在する退出道路線の像を他の直線状の像と区別して認識し、当該区別して認識した退出道路線の像同士の交点を消失点Wとして特定してもよい。例えば、制御部20は、地図情報30aから退出道路線固有の画像の特徴を取得し、当該特徴を有する直線状の像を退出道路線の像として認識してもよい。例えば、
図4Bに示す建物Zの像には白い領域と黒い領域とを区画する退出道路線の像が含まれ、当該退出道路線の像は退出道路R
Oに固有であると言うことができる。
【0065】
さらに、表示制御部21bの機能により制御部20は、退出道路R
Oの位置を案内する案内画像Gをディスプレイ45に表示させればよく、退出道路R
Oの位置を案内する案内画像Gが態様は種々考えられる。例えば、案内画像Gは、退出道路R
Oの位置を示す文字であってもよいし、退出道路R
Oの位置を地図上にて示すポインタであってもよい。さらに、案内画像Gは、退出道路R
Oに退出するために車両が走行すると予測される軌跡を示す画像であってもよい。
【0066】
前方画像は、車両の前方の風景を撮影した画像であればよく、少なくとも車両が直進する場合の進行直線Fが視野内に存在するように撮影された画像であればよい。従って、必ずしも平面視において進行直線Fがカメラ44の光軸と一致しなくてもよく、直進領域Dが前方画像の横方向における二等分線からずれた位置に設定されてもよい。さらに、直進領域Dは、必ずしも前方画像の縦方向の全域に存在しなくてもよく、前方画像の縦方向の二等分線から所定距離以内の領域であってもよい。また、直進領域Dは、前方画像の中央位置を重心とする多角形の領域であってもよいし、前方画像の中央位置を中心とする円形の領域であってもよい。また、表示終了部21dの機能により制御部20は、前方画像における直進領域D上に退出道路R
Oの消失点Wが表れた場合に、案内画像Gの表示を終了させる処理を開始させればよく、直進領域D上に退出道路R
Oの消失点Wが表れてから徐々に案内画像Gの透明度を大きくしていてもよい。