【実施例1】
【0020】
図1〜9は実施例1を示しており、魔法瓶等の液体容器の栓体1は、容器本体2の上部開口部3に着脱自在に取り付けられる外栓等と称する栓体本体4と、該栓体本体4の上部に上下方向に回動可能に設けられて栓体本体4の上部開口を開閉する内栓等と称する蓋体5と、該蓋体5を栓体本体4に閉状態に係止する係止部6とを有している。容器本体2は外容器7と内容器8の間に真空等の断熱層9を介在している。さらに、蓋体5の上方を覆うように容器本体2にコップ部材10を着脱自在に設ける。このコップ部材10は底部を上向きとして、容器本体2の首部外周に螺着できるようになっている。尚、栓体1の中心線11は、容器本体2の中心線11と一致するように配置されている。
【0021】
前記栓体本体4は、上部前側に注ぎ口12を上方へ突設して有底筒状に形成された栓体部13と、該栓体部13の下部に設けられて容器本体2への取付部14からなり、栓体部13を容器本体2の上部開口部3内に挿入して、その下部に設けられた取付部14を容器本体2の首部に螺着して取り付けられる。
【0022】
栓体部13の上部後側に、蓋体5が水平方向のピンからなり支軸たるヒンジ軸15にて上下方向にヒンジ回動可能に取り付けられている。これにより、栓体1はヒンジ軸15と径方向に対向する側、すなわち前側が注ぎ口12になる。
【0023】
前記栓体部13は、上面のほぼ中央に、底壁16をヒンジ軸15側から注ぎ口12側へ低くなるよう傾斜して前後方向がやや長い凹部17が形成されている。そして底壁16の低い方に液通孔18を、高い方に空気孔19をそれぞれ穿設して、該底壁16から上部開口、すなわち注ぎ口12の間を液流路20としている。
【0024】
前記蓋体5は、凹部17に遊挿する有底筒状に形成された蓋下体21と、該蓋下体21の上部開口を、空洞部22を介して覆う蓋上体23とからなり、蓋下体21の外周、底面にはシール部材たる止水部材24が装着しており、蓋閉時には止水部材24は液通孔18、空気孔19を閉塞できるようになっている。尚、蓋下体21と蓋上体23は、それぞれに設けられた下側爪部、上側爪部による嵌着部(図示せず)を介して一体化している。
【0025】
前記蓋上体23の外周面の前方には、係止部6が設けられていると共に、栓体本体4の外周面の前方下部には係止部6が係止可能な係止受け部25が設けられている。そして、係止部6は蓋体5の空洞部22において前後方向に摺動自在なスライド係止部材26の前部に設けられている。
【0026】
蓋上体23は注ぎ口12を外嵌するように中心線11を中心とした平面が円形なほぼ筒状であって、その外周面の前側、すなわち外周面の注ぎ口12側に正面が矩形をなした内外を連通する連通部たる窓穴27が形成されている。この窓穴27は平面が外周面の周囲の、1/6以下、実施例では略1/10〜1/12の長さを有する円弧状に形成されている。そして、窓穴27に嵌合するように前後方向にスライド可能なスライド部材でもあるスライド係止部材26の前面に係止部6が設けられているものであって、係止部6は窓穴27に嵌合する下向き突起部28の下部に内向き、すなわち上下方向の蓋体5の中心線11の方向に向いた内向き小突起部29を設けている。この内向き小突起部29の下面29Dは内側に向かうに従い上側になるように一様に傾斜している。
【0027】
そして、係止受け部25は窓穴27のやや内側にあって、窓穴27の下部側において外側に向けて突設しており、その上面25Uは後方へ向かうほど高くなるように傾斜している。係止部6が係止している状態では、係止部6の前方の外周面6Sと蓋上体23の外周面23Sとは同一曲面状に配置されている。またスライド係止部材26の前部からヒンジ軸15の方向に延長して平面視平板状の中間板部30を介して後部がヒンジ軸15の軸受け31と隙間32Aを有して設けられている。さらに、
図4に示すように中間板部30における係止部6と係止解除摘み33との間の上
面は、蓋上体23における前側と係止解除摘み33が上方にあらわれている前後方向の長孔状の貫通孔34との間の下面23Dに隙間32Bを有して対面している。
【0028】
スライド係止部材26を指によりヒンジ軸15と反対方向に引張るための上下方向の指掛け部33Aを有する係止解除摘み33は、蓋下体21と蓋上体23との間の空洞部22に前後方向に進退自在に設けられており、その上部33Uを蓋上体23の天面23Tの中央に形成した前後方向の前記貫通孔34を介して上方に臨んで設けられていると共に、係止解除摘み33の下部33Dは中間板部30の前後方向の中間に一体に立設している。そして、スライド係止部材26には後述するリング状弾性部材35が接続されており、このリング状弾性部材35の弾性力に抗して係止解除摘み33を前方に引張って摺動することにより、係止部6を係止受け部25より係止解除できるようになっている。
【0029】
そして、
図9に示すように栓体本体4側である注ぎ口12の上端12Uに対向する中間板部30の下面において、閉蓋状態で前側部位36Fより後側部位36Bが次第に低くなるように突起である傾斜受け面36が、中間板部30と一体のリブによりに形成されており、注ぎ口12の上端12Uと該上端12Uの後方にある傾斜受け面36との部位の間には隙間37が形成されている。尚、この隙間37は無くともよい。そして、注ぎ口12の上端12Uから後退して傾斜受け面36の途中までの隙間37の水平方向の距離Aは、係止部6と係止受け部25との略水平状態の前後方向の係止長さBより短く設定されている(A<B)。
【0030】
さらに、ヒンジ軸15を左右方向に水平に取り付けるための軸受け31は、栓体本体4の取付部14の上面の後ろ側にヒンジ軸15の中央部が貫通して設けられている。この軸受け31は、略円筒形状であって中心軸線(図示せず)をヒンジ軸15の中心軸線15Zと一致させるようにして、取付部14の上面より垂直に立設している。
【0031】
そして、
図5,6に示す蓋体5を90゜より大きく180゜より小さく開いたフルオープンの状態で係止するために、軸受け31の外周面には後方に向けて斜め上向きに小突起部39が係止受け用突起として設けられ、一方栓体部13の後側の上部外周に後向きに小突起状の小突起部40が係止用突起として設けられており、小突起部40は軸受け31の外周面と僅かな隙間を介して蓋体5を後側に斜め上向きに開いたときに、小突起部39が小突起部40に係止できるようになっている。
【0032】
次に栓体1に対して蓋体5を開蓋方向に付勢するヒンジ軸15まわりのリング状弾性部材35について詳述する。
【0033】
リング状弾性部材35は、Oリングや輪ゴムのようなゴム、エラストマー、シリコン等の環状をなした細長な紐状形状であって、実施例では円形リング状に形成されているものを取り付けている。そして、このリング状弾性部材35は、開蓋時に平面を矩形になるようにしてその一側部である一側辺部35Aを軸受け35の前側下部に引っ掛けるようにして係止する。一方、リング状弾性部材35の左右に配置される中間部である弾性部材本体としての左右辺部35Bは、軸受け35の左右側面側に配置されるものであって、閉蓋時と中開き時に軸受け35より左右に突設しているヒンジ軸15の周面の後ろ側に掛けて折り返していると共に、全開蓋時にヒンジ軸15の下方に位置してヒンジ軸15の周面の後ろ下側に接触するようになって後方へほぼ直線状に配置されている。すなわち、この左右辺部35Bの折り返しは、一側辺部35A側よりヒンジ軸15の外周面の下部に接触して通ってから外周面の後ろ側に接触して上向きに折り返すように掛け止められている。
【0034】
さらに左右辺部35Bの先端側、すなわち他側部である他側辺部35Cをスライド係止部材26の後部側に引っ掛けるようにして接続している。このため、スライド係止部材26の後部には下方へ屈曲して逆L字形をなしたリング状弾性部材35用の係止受け部38が形成されている。この係止受け部38に位置する他側辺部35Cは、蓋閉時において、一側辺部35Aよりも前方に位置してヒンジ軸15の中心軸線15Zより下方或いは水平方向に配置される。このため栓体部13の後上部には左右辺部35Bが直線状に貫通する凹部13Aが形成されている。このため、係止解除摘み33が前方に引張られていない閉蓋状態にあっては、左右辺部35Bは、ヒンジ軸15に180゜以上掛けて折り返している。このため、リング状弾性部材35は伸張状態にあってスライド係止部材26を後方に引き込むように作用して、係止部6は係止受け部25に係止されている。
【0035】
そして、この状態で、係止解除摘み33をリング状弾性部材35の弾性に抗して前方へ引張ると閉蓋状態にあっては、スライド係止部材26が前進することで、係止部6の係止状態が解除されると共に、リング状弾性部材35は伸張する。そして左右辺部35Bは、ヒンジ軸15に180゜以上掛けて折り返しているため、リング状弾性部材35は伸張状態にあってスライド係止部材26を後方に引き込むように作用している。
【0036】
さらに、係止状態が解除された蓋体5は、リング状弾性部材35の左右辺部35Bが縮小することで生ずる引張り力によって開き方向に付勢されてヒンジ軸15を回転中心として開く。
【0037】
尚、図中符号41は蓋上体23の外周面23Sに設けられた握り時の滑り止め用突起であり、周方向に間隔をおいて設けられている。また符合42は前記係止を解除するため指掛け部33Aを移動させる方向を示す係止解除方向表示であり、天面23Tに矢印等記号や字を成形や印刷で形成している。
【0038】
さらに、実施例では、係止部6が係止受け部25に係止している状態では、係止部6の前面の外周面6Sの上部には蓋上体23の外周面23Sより前方突起部
43が前方に配置されており、この前方突起部
43は周方向に沿って設けられている。このため、係止部6の前方の外周面6Sの上部に前方突起部
43を介して指掛け或いは爪掛けができるようになっている。
【0039】
また、コップ部材10を栓体本体4に被せて螺着した状態では、前方突起部
43と該前方突起部
43と対向するコップ部材10の部位、実施例では内周面との間の隙間の長さCは、係止部6と係止受け部25との前後方向の係止長さBよりも短くなっている(C<B)。
【0040】
次に前記構成についてその作用を説明する。係止部6が係止受け部25に係止することで、蓋体5は閉状態を維持される。この状態ではリング状弾性部材35の付勢力にしたがって係止部6は後ろ向きに付勢され続ける。そして、止水部材24により液通孔18、空気孔19を封ずるようにしている。
【0041】
一方、閉蓋状態の蓋体5を開くときは、係止解除摘み33を係止解除方向表示42に従ってリング状弾性部材の弾性力に抗して引張って前進せしめ、係止部6が係止受け部25より離脱して係止状態が解除される。また、使用者が係止解除摘み33を前方へ引張って係止を解除すると、係止部6の外周面6Sが外周面23Sより前方に飛び出る。
【0042】
そして、係止部6の係止受け部25との係止状態が解除されるときには、
図4に示すようにスライド係止部材26がヒンジ軸15と反対側に引っ張られて前進すると注ぎ口12の上端12Uが傾斜受け面36の前側部位36Fと後側部位36Bとの中間部位36Mに当接する。尚、この当接状態にあっては係止部6と係止受け部25とは係止状態に維持されている。さらに、スライド係止部材26が前進すると上端12Uが中間部位36Mより後側部位36B側に当接状態で移動すると、上端12Uが傾斜受け面36、ひいてはスライド係止部材26を上方へ付勢することで、係止部6と係止受け部25とは係止状態を保ってスライド係止部材26は上方へ隙間32B側へ弾性変形する。そして、さらにスライド係止部材26が前進すると係止部6が係止受け部25より離脱して係止状態が解除されてスライド係止部材26、ひいては蓋体
5はヒンジ軸
15を中心として上向きに回動する。このため、小突起部29の下面29Dが係止受け部25の上面25Uに乗り上げることで係止部6は元の位置に戻ることなく、蓋体5は開く。すなわち、再係止状態となるような誤作動を阻止することができる。
【0043】
このようにして係止状態が解除されて蓋体5が開いた後、解除を認識した使用者が係止解除摘み33から手を離すと、係止部6はリング状弾性部材35の復元弾性力によってヒンジ軸15側に復帰し、貫通孔34の後端に係止解除摘み33が係止することで、スライド係止部材26は停止する。
【0044】
この後、蓋体5は伸張状態にあった左右辺部35Bが縮小することで、リング状弾性部材35によって開方向に付勢されて90゜以上開き、さらに係止受け用小突起部39、係止用小突起部40が係止するまで回動して、蓋体5は斜め上向きに維持される。この状態で容器本体2を傾斜して収納液を液通孔18より排出することができる。
【0045】
一方、リング状弾性部材35の弾性力に抗して蓋体5を閉じると、上面25Uに下面29Dが当接すると共に摺動して係止部6が前方にいったん移動した後に後退して係止受け部25に係止して閉蓋する。そして、このような閉蓋状態でコップ部材10を栓体1に被せる。このように、コップ部材10を被せたときにおいて、例えばリング状弾性部材35が破損したり或いは外れたとしても、係止部6に設けられた前方突起部42がコップ部材10の内側面と接触し、そのため、係止している係止部6は係止解除状態になることはないので、コップ部材10が容器本体2に被さっているときに、蓋体5が開くようなことはない。
【0046】
以上のように、前記実施例では飲料容器本体2の上部開口部3に着脱自在に取り付けられた栓体本体4と、この栓体本体4の内部に形成された液流路20と、この液流路20の上部かつ栓体本体4の前側に設けた注ぎ口12と、栓体本体4の後側でヒンジ軸15を介して回動自在に軸支され液流路20を開閉すると共に栓体本体4を外嵌する蓋体5と、この蓋体5に設けられ液流路20を密閉する止水部材24と、蓋体5の蓋上体23と蓋下体21の間の空洞部22に水平方向に進退自在に設けられると共に、前側に設けた係止部6がその内側にあって栓体本体4の外周前側に設けた係止受け部25に係止可能に設けられ、かつ上部には蓋上体23の天面23Tにあらわれるスライド用操作部である係止解除摘み33を設けたスライド係止部材26を備え、蓋体5は、閉状態でヒンジ軸15付近に付設されたリング状弾性部材35の弾性により開方向に付勢されており、かつ弾性部材35は閉状態の蓋体5の内部においてスライド係止部材26を係止方向に付勢していて、スライド係止部材26を引張ることにより、栓体本体4とスライド係止部材26の係止状態が解除になり、蓋体5が開くようにして、リング状弾性部材35を使用することで、蓋体5と栓体本体4の係止と蓋体5の回動を行うことができる。リング状弾性部材35の引張力により、スライド係止部材26を引張り、蓋体5を固定する。よって、スライド係止部材26をヒンジ軸15と反対側に引張ったときのみスライド係止部材26と栓体本体4の係止が解除状態になり、蓋体5とスライド係止部材26が引張られることで蓋体5が回動する。この結果、一つの
リング状弾性部材35によって蓋体5の開き作用とスライド係止部材26の引き込み作用を兼用して、部品数を減少させると共に、部品の組立て工数を低減することができる。
【0047】
具体的には栓体本体4と蓋体5には、ヒンジ軸15の後部に左右辺部35Bが掛けられて付設された平面視矩形状のリング状弾性部材35の一側辺部35A、他側辺部35Cをヒンジ軸15の前側下部、スライド係止部材26の後部にそれぞれ接続して、リング状弾性部材35の引っ張り弾性により蓋体5は開方向に付勢されており、かつリング状弾性部材35の引っ張り弾性はスライド係止部材26を係止方向に付勢して、係止部6を付勢する弾性部材35と蓋体5を開状態にする弾性部材35を共有するため、部品点数が少ない。特に、細長状のリング状弾性部材35の一側辺部35Aをヒンジ軸15の軸受31の前側下部に係止、接続して一側辺部35Aを栓体本体4のヒンジ軸15の中心軸線15Zよりも容器本体2の中心側でかつ一側辺部35Aを、ヒンジ軸15の中心軸線15Zよりも前側でかつ下方に配置すると共に、他側辺部35Cをスライド係止部材26の後部に係止、接続し、蓋閉状態でリング状弾性部材35の左右辺部35Bをヒンジ軸15の外周面後ろ側略半周に巻きつけると共に、リング状弾性部材35の他側辺部35Cを一側辺部35Aよりも前方であってヒンジ軸15の中心軸線15Zの上方に配置することにより、蓋閉状態と中開き時には、リング状弾性部材35は、ヒンジ軸15に掛けられて折り返されるようにし、蓋開状態でリング状弾性部材35の中間部を前記ヒンジ軸15の下方側に位置して後方へ略直線状には位置し、リング状弾性部材35がヒンジ軸15の中心軸線15Zの下方に位置するよう35の収縮力により蓋体5を開方向へ付勢するようにすることで、リング状弾性部材35の収縮力によりスライド係止部材26を後方へ確実に付勢できる。
【0048】
また、スライド係止部材26を蓋体が開く方向に引張り、栓体本体4との係止が解除される際に、スライド係止部材26に設けた突起である傾斜受け面36が栓体本体4に当たり、蓋体5が斜め上方に上がり、前記蓋体5を回動させて開くこと、具体的にはスライド係止部材26の栓体本体4の上部、実施例では注ぎ口12に対向すると共に、係止部6と係止受け部25との係止解除の直前又は直後に当接可能な箇所に上下方向の傾斜受け面36を前後方向に設けて、スライド係止部材26の前進移動に伴って栓体本体4の上部が傾斜受け面36、ひいては蓋体5を上方に持ち上げ、この結果係止部6と係止受け部25との係止解除直後において、再び係止部6と係止受け部25とが係止状態に戻ってしまうことを阻止できる。
【0049】
また、蓋体5をフルオープンの状態で係止するために、軸受け31の外周面の後部に係止受け用突起39を形成すると共に、蓋体5の軸受け35の近傍に係止用突起40を形成したことにより、蓋体5を固定することが可能になり、フルオープンの状態での栓体1を洗浄しやすくなる。
【0050】
しかも、係止部6の前面の周面30Sの上部は蓋上体23の外周面23Sより前方突起部42を介して前方に配置されていることで、係止部6は蓋体5よりも突出することで、視覚的に係止解除がわかりやすくなる。また、容器本体2の内部が減圧状態となってスライド係止部材26が動きにくくなって蓋体5が開かなくとも、係止部6の前方突起部42に指掛けなどして係止部6を引き出したりすることができる。