(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開度制御部は、前記第1熱交換器(24)を通過する冷媒の圧力損失と前記第2熱交換器(25)を通過する冷媒の圧力損失とが等しくなるように前記第1電動弁の開度と前記第2電動弁の開度を調節する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の冷凍装置。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明にかかる冷凍装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明にかかる冷凍装置の具体的な構成は、下記の実施形態およびその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0038】
(1)冷凍装置の構成
図1は、本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての冷凍装置1の概略構成図である。
図2は、冷凍装置1のブロック構成図である。冷凍装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。
【0039】
冷凍装置1は、主として、1台の熱源ユニット2と、複数(ここでは、4台)の利用ユニット3a、3b、3c、3dと、各利用ユニット3a、3b、3c、3dに接続される接続ユニット4a、4b、4c、4dと、接続ユニット4a、4b、4c、4dを介して熱源ユニット2と利用ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する冷媒連絡管7、8、9とを有している。すなわち、冷凍装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、熱源ユニット2と、利用ユニット3a、3b、3c、3dと、接続ユニット4a、4b、4c、4dと、冷媒連絡管7、8、9とが接続されることによって構成されている。そして、冷凍装置1は、各利用ユニット3a、3b、3c、3dが個別に冷房運転または暖房運転を行うことが可能になっており、暖房運転を行う利用ユニットから冷房運転を行う利用ユニットに冷媒を送ることで利用ユニット間において熱回収を行うこと(ここでは、冷房運転と暖房運転とを同時に行う冷暖同時運転を行うこと)が可能になるように構成されている。しかも、冷凍装置1では、上記の熱回収(冷暖同時運転)も考慮した複数の利用ユニット3a、3b、3c、3d全体の熱負荷に応じて、熱源ユニット2の熱負荷をバランスさせるように構成されている。
【0040】
(1−1)利用ユニット
利用ユニット3a、3b、3c、3dは、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。利用ユニット3a、3b、3c、3dは、冷媒連絡管7、8、9および接続ユニット4a、4b、4c、4dを介して熱源ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0041】
次に、利用ユニット3a、3b、3c、3dの構成について説明する。
【0042】
なお、利用ユニット3aと利用ユニット3b、3c、3dとは同様の構成であるため、ここでは、利用ユニット3aの構成のみ説明し、利用ユニット3b、3c、3dの構成については、それぞれ、利用ユニット3aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」、「c」または「d」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0043】
利用ユニット3aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、利用側冷媒回路13a(利用ユニット3b、3c、3dでは、それぞれ、利用側冷媒回路13b、13c、13d)を有している。利用側冷媒回路13aは、主として、利用側流量調節弁51aと、利用側熱交換器52aとを有している。
【0044】
利用側流量調節弁51aは、利用側熱交換器52aを流れる冷媒の流量の調節等を行うために、利用側熱交換器52aの液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0045】
利用側熱交換器52aは、冷媒と室内空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管およびフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。ここで、利用ユニット3aは、ユニット内に室内空気を吸入して、熱交換した後に、供給空気として屋内に供給するための室内ファン53aを有しており、室内空気と利用側熱交換器52aを流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。室内ファン53aは、室内ファンモータ54aによって駆動される。
【0046】
また、利用ユニット3aは、利用ユニット3aを構成する各部51a、54aの動作を制御する利用側制御部50aを有している。そして、利用側制御部50aは、利用ユニット3aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、熱源ユニット2との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0047】
(1−2)熱源ユニット
熱源ユニット2は、ビル等の屋上等に設置されており、冷媒連絡管7、8、9を介して利用ユニット3a、3b、3c、3dに接続されており、利用ユニット3a、3b、3c、3dとの間で冷媒回路10を構成している。
【0048】
次に、熱源ユニット2の構成について説明する。
【0049】
熱源ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、熱源側冷媒回路12を有している。熱源側冷媒回路12は、主として、圧縮機21と、複数(ここでは、2つ)の熱交切換機構22、23と、複数(ここでは、2つ)の熱源側熱交換器24、25と、2つの熱源側熱交換器24、25に対応する第1熱源側流量調節弁26および第2熱源側流量調節弁27と、レシーバ28と、ブリッジ回路29と、高低圧切換機構30と、液側閉鎖弁31と、高低圧ガス側閉鎖弁32と、低圧ガス側閉鎖弁33と、二重管熱交換器35と、補助熱源側熱交換器36と、補助膨張弁37と、過冷却膨張弁38とを有している。
【0050】
圧縮機21は、ここでは、冷媒を圧縮するための機器であり、圧縮機モータ21aをインバータ制御することで運転容量を変えることが可能なスクロール型等の容積式圧縮機が採用されている。
【0051】
第1熱交切換機構22は、第1熱源側熱交換器24を冷媒の凝縮器として機能させる場合(以下、「凝縮運転状態」とする)には圧縮機21の吐出側と第1熱源側熱交換器24のガス側とを接続し(
図1の第1熱交切換機構22の実線を参照)、第1熱源側熱交換器24を冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「蒸発運転状態」とする)には圧縮機21の吸入側と第1熱源側熱交換器24のガス側とを接続するように(
図1の第1熱交切換機構22の破線を参照)、熱源側冷媒回路12内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
【0052】
また、第2熱交切換機構23は、第2熱源側熱交換器25を冷媒の凝縮器として機能させる場合(以下、「凝縮運転状態」とする)には圧縮機21の吐出側と第2熱源側熱交換器25のガス側とを接続し(
図1の第2熱交切換機構23の実線を参照)、第2熱源側熱交換器25を冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「蒸発運転状態」とする)には圧縮機21の吸入側と第2熱源側熱交換器25のガス側とを接続するように(
図1の第2熱交切換機構23の破線を参照)、熱源側冷媒回路12内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
【0053】
そして、第1熱交切換機構22および第2熱交切換機構23の切り換え状態を変更することによって、第1熱源側熱交換器24および第2熱源側熱交換器25は、個別に冷媒の蒸発器または凝縮器として機能させる切り換えが可能になっている。
【0054】
第1熱源側熱交換器24は、冷媒と室外空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管およびフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。第1熱源側熱交換器24は、そのガス側が第1熱交切換機構22に接続され、その液側が第1熱源側流量調節弁26に接続されている。
【0055】
また、第2熱源側熱交換器25は、冷媒と室外空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管およびフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。第2熱源側熱交換器25は、そのガス側が第2熱交切換機構23に接続され、その液側が第2熱源側流量調節弁27に接続されている。
【0056】
ここでは、第1熱源側熱交換器24と第2熱源側熱交換器25とが一体の熱源側熱交換器として構成されている。
【0057】
さらに、補助熱源側熱交換器36は、冷媒と室外空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管およびフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。補助熱源側熱交換器36のガス側は、圧縮機21の吐出冷媒が第2熱交切換機構23側と後述する高低圧切換機構30側とに分岐する部分よりも高低圧切換機構30側の位置に接続されている。補助熱源側熱交換器36の液側は、レシーバ出口管28bの途中のレシーバ28と過冷却熱交換器44との間に接続されている。この補助熱源側熱交換器36の液側には、通過する冷媒量を調節可能な補助膨張弁37が設けられている。ここで、補助膨張弁37は、開度調節が可能な電動膨張弁からなる。
【0058】
ここでは、第1熱源側熱交換器24と第2熱源側熱交換器25と補助熱源側熱交換器36とが一体の熱源側熱交換器として構成されている。
【0059】
また、第1熱源側熱交換器24と第2熱源側熱交換器25とは、その容量が異なっており、本実施形態では第1熱源側熱交換器24と第2熱源側熱交換器25とで3:7の容量比となるように設計されている。また、補助熱源側熱交換器36の容積は、他の熱交換器よりも小さくなるように設計されている。
【0060】
そして、熱源ユニット2は、ユニット内に室外空気を吸入して、熱交換した後に、ユニット外に排出するための室外ファン34を有しており、室外空気と熱源側熱交換器24、25を流れる冷媒とを熱交換させることが可能である。室外ファン34は、回転数制御が可能な室外ファンモータ34aによって駆動される。
【0061】
第1熱源側流量調節弁26は、第1熱源側熱交換器24を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、第1熱源側熱交換器24の液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0062】
また、第2熱源側流量調節弁27は、第2熱源側熱交換器25を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、第2熱源側熱交換器25の液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0063】
そして、補助膨張弁37は、補助熱源側熱交換器36を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、補助熱源側熱交換器36の液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0064】
レシーバ28は、熱源側熱交換器24、25と利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dとの間を流れる冷媒を一時的に溜めるための容器である。レシーバ28の上部には、レシーバ入口管28aが設けられており、レシーバ28の下部には、レシーバ出口管28bが設けられている。また、レシーバ入口管28aには、開閉制御が可能なレシーバ入口開閉弁28cが設けられている。そして、レシーバ28のレシーバ入口管28aおよびレシーバ出口管28bは、ブリッジ回路29を介して、熱源側熱交換器24、25と液側閉鎖弁31との間に接続されている。
【0065】
また、レシーバ28には、レシーバガス抜き管41が接続されている。レシーバガス抜き管41は、レシーバ入口管28aとは別にレシーバ28の上部から冷媒を抜き出すように設けられており、レシーバ28の上部と圧縮機21の吸入側とを接続している。レシーバガス抜き管41には、レシーバ28からガス抜きされる冷媒の流量の調節等を行うために、ガス抜き側流量調節機構としてのガス抜き側流量調節弁42が設けられている。ここで、ガス抜き側流量調節弁42は、開度調節が可能な電動膨張弁からなる。
【0066】
また、レシーバ28には、レシーバ28内の液面がレシーバガス抜き管41を接続した位置よりも下方の所定高さまで達しているかどうかを検知するためのレシーバ液面検知管43が接続されている。ここで、レシーバ液面検知管43は、レシーバ28の高さ方向における中間付近の部分から冷媒を抜き出すように設けられている。そして、レシーバ液面検知管43は、キャピラリチューブ43aを介してレシーバガス抜き管41に合流している。ここで、レシーバ液面検知管43は、レシーバガス抜き管41のガス抜き側流量調節弁42が設けられている位置よりも上流側の部分に合流するように設けられている。さらに、レシーバガス抜き管41には、レシーバ液面検知管43が合流する位置よりも下流側に、レシーバガス抜き管41を流れる冷媒を加熱する二重管熱交換器35が設けられている。ここで、二重管熱交換器35は、圧縮機21から吐出されて高低圧切換機構30側に向かった後に補助熱源側熱交換器36に向けて流れる冷媒を加熱源としてレシーバガス抜き管41を流れる冷媒を加熱する熱交換器であり、例えば、補助熱源側熱交換器36に向けて伸びた冷媒配管とレシーバガス抜き管41とを接触させることによって構成される配管熱交換器からなる。なお、レシーバガス抜き管41のうち二重管熱交換器35を通過した後の冷媒の温度を検知するガス抜き側温度センサ75が、二重管熱交換器35の出口に設けられている。
【0067】
レシーバ28に溜まった液冷媒を流すためのレシーバ出口管28bの途中には、過冷却熱交換器44が設けられている。レシーバ28と過冷却熱交換器44との間からは過冷却回路が分岐し、圧縮機21の吸入側に接続されている。この過冷却回路のうち、レシーバ出口管28bと過冷却熱交換器44との間には過冷却膨張弁38が設けられており、過冷却熱交換器44を通過してレシーバ出口管28bを流れる冷媒の過冷却度を調節することが可能になっている。なお、過冷却回路のうち過冷却熱交換器44の出口近傍には、通過する冷媒の温度を検知可能な過冷却センサ39が設けられており、これに応じて過冷却膨張弁38の弁開度が制御される。
【0068】
ブリッジ回路29は、冷媒が熱源側熱交換器24、25側から液側閉鎖弁31側に向かって流れる場合、および、冷媒が液側閉鎖弁31側から熱源側熱交換器24、25側に向かって流れる場合のいずれにおいても、レシーバ入口管28aを通じてレシーバ28内に冷媒を流入させ、レシーバ出口管28bを通じてレシーバ28内から冷媒を流出させる機能を有する回路である。ブリッジ回路29は、4つの逆止弁29a、29b、29c、29dを有している。そして、入口逆止弁29aは、熱源側熱交換器24、25側からレシーバ入口管28aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。入口逆止弁29bは、液側閉鎖弁31側からレシーバ入口管28aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁29a、29bは、熱源側熱交換器24、25側または液側閉鎖弁31側からレシーバ入口管28aに冷媒を流通させる機能を有している。出口逆止弁29cは、レシーバ出口管28bから液側閉鎖弁31側への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。出口逆止弁29dは、レシーバ出口管28bから熱源側熱交換器24、25側への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、出口逆止弁29c、29dは、レシーバ出口管28bから熱源側熱交換器24、25側または液側閉鎖弁31側に冷媒を流通させる機能を有している。
【0069】
高低圧切換機構30は、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒を利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dに送る場合(以下、「凝縮負荷主体運転状態」とする)には、圧縮機21の吐出側と高低圧ガス側閉鎖弁32とを接続し(
図1の高低圧切換機構30の破線を参照)、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒を利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dに送らない場合(以下、「蒸発負荷主体運転状態」とする)には、高低圧ガス側閉鎖弁32と圧縮機21の吸入側とを接続するように(
図1の高低圧切換機構30の実線を参照)、熱源側冷媒回路12内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
【0070】
液側閉鎖弁31、高低圧ガス側閉鎖弁32および低圧ガス側閉鎖弁33は、外部の機器・配管(具体的には、冷媒連絡管7、8および9)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁31は、ブリッジ回路29を介してレシーバ入口管28aまたはレシーバ出口管28bに接続されている。高低圧ガス側閉鎖弁32は、高低圧切換機構30に接続されている。低圧ガス側閉鎖弁33は、圧縮機21の吸入側に接続されている。
【0071】
また、熱源ユニット2には、各種のセンサが設けられている。
【0072】
具体的には、過冷却回路のうち過冷却熱交換器44の出口近傍の冷媒の温度を検知する過冷却センサ39と、圧縮機21の吸入側における冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ71と、圧縮機21の吐出側における冷媒の温度を検出する吐出温度センサ73と、レシーバガス抜き管41を流れる冷媒の温度を検出するガス抜き側温度センサ75と、第1熱源側熱交換器24の液側(第1熱源側熱交換器24と第1熱源側流量調節弁26の間)を流れる冷媒の温度を検出する第1気液温度センサ81と、第2熱源側熱交換器25の液側(第2熱源側熱交換器25と第2熱源側流量調節弁27の間)を流れる冷媒の温度を検出する第2気液温度センサ82と、第1熱源側熱交換器24のガス側(第1熱源側熱交換器24と第1熱交切換機構22の間)を流れる冷媒の温度を検出する第1ガス側温度センサ91と、第2熱源側熱交換器25のガス側(第2熱源側熱交換器25と第2熱交切換機構23の間)を流れる冷媒の温度を検出する第2ガス側温度センサ92と、が設けられている。ここでは、ガス抜き側温度センサ75は、二重管熱交換器35の出口における冷媒の温度を検出するようにレシーバガス抜き管41に設けられている。
【0073】
また、熱源ユニット2は、熱源ユニット2を構成する各部21a、22、23、26、27、28c、30、34a、41の動作を制御する熱源側制御部20を有している。そして、熱源側制御部20は、熱源ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側制御部50a、50b、50c、50dとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0074】
(1−3)接続ユニット
接続ユニット4a、4b、4c、4dは、ビル等の室内に利用ユニット3a、3b、3c、3dとともに設置されている。接続ユニット4a、4b、4c、4dは、冷媒連絡管7、8、9とともに、利用ユニット3、4、5と熱源ユニット2との間に介在しており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0075】
次に、接続ユニット4a、4b、4c、4dの構成について説明する。
【0076】
なお、接続ユニット4aと接続ユニット4b、4c、4dとは同様の構成であるため、ここでは、接続ユニット4aの構成のみ説明し、接続ユニット4b、4c、4dの構成については、それぞれ、接続ユニット4aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」、「c」または「d」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0077】
接続ユニット4aは、主として、冷媒回路10の一部を構成しており、接続側冷媒回路14a(接続ユニット4b、4c、4dでは、それぞれ、接続側冷媒回路14b、14c、14d)を有している。接続側冷媒回路14aは、主として、液接続管61aと、ガス接続管62aとを有している。
【0078】
液接続管61aは、液冷媒連絡管7と利用側冷媒回路13aの利用側流量調節弁51aとを接続している。
【0079】
ガス接続管62aは、高低圧ガス冷媒連絡管8に接続された高圧ガス接続管63aと、低圧ガス冷媒連絡管9に接続された低圧ガス接続管64aと、高圧ガス接続管63aと低圧ガス接続管64aとを合流させる合流ガス接続管65aとを有している。合流ガス接続管65aは、利用側冷媒回路13aの利用側熱交換器52aのガス側に接続されている。高圧ガス接続管63aには、開閉制御が可能な高圧ガス開閉弁66aが設けられており、低圧ガス接続管64aには、開閉制御が可能な低圧ガス開閉弁67aが設けられている。
【0080】
そして、接続ユニット4aは、利用ユニット3aが冷房運転を行う際には、低圧ガス開閉弁67aを開けた状態にして、液冷媒連絡管7を通じて液接続管61aに流入する冷媒を利用側冷媒回路13aの利用側流量調節弁51aを通じて利用側熱交換器52aに送り、利用側熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって蒸発した冷媒を、合流ガス接続管65aおよび低圧ガス接続管64aを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に戻すように機能することができる。
【0081】
また、接続ユニット4aは、利用ユニット3aが暖房運転を行う際には、低圧ガス開閉弁67aを閉止し、かつ、高圧ガス開閉弁66aを開けた状態にして、高低圧ガス冷媒連絡管8を通じて高圧ガス接続管63aおよび合流ガス接続管65aに流入する冷媒を利用側冷媒回路13aの利用側熱交換器52aに送り、利用側熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって凝縮した冷媒を、利用側流量調節弁51aおよび液接続管61aを通じて、液冷媒連絡管7に戻すように機能することができる。
【0082】
この機能は、接続ユニット4aだけでなく、接続ユニット4b、4c、4dも同様に有しているため、接続ユニット4a、4b、4c、4dによって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dは、個別に冷媒の蒸発器または凝縮器として機能させる切り換えが可能になっている。
【0083】
また、接続ユニット4aは、接続ユニット4aを構成する各部66a、67aの動作を制御する接続側制御部60aを有している。そして、接続側制御部60aは、接続ユニット4aの制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリを有しており、利用ユニット3aの利用側制御部50aとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0084】
以上のように、利用側冷媒回路13a、13b、13c、13dと、熱源側冷媒回路12と、冷媒連絡管7、8、9と、接続側冷媒回路14a、14b、14c、14dとが接続されて、冷凍装置1の冷媒回路10が構成されている。そして、冷凍装置1では、圧縮機21と、熱源側熱交換器24、25と、レシーバ28と、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dと、レシーバ28の上部と圧縮機21の吸入側とを接続するレシーバガス抜き管41とを含む冷媒回路を有する冷凍装置を構成している。
【0085】
(2)冷凍装置の動作
次に、冷凍装置1の動作について説明する。
【0086】
冷凍装置1の冷凍サイクル運転としては、冷房運転と、暖房運転と、冷暖同時運転(蒸発負荷主体)と、冷暖同時運転(凝縮負荷主体)とがある。
【0087】
ここで、冷房運転は、冷房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の蒸発負荷に対して熱源側熱交換器24、25を冷媒の凝縮器として機能させる運転である。
【0088】
暖房運転は、暖房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の凝縮器として機能する運転)を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の凝縮負荷に対して熱源側熱交換器24、25を冷媒の蒸発器として機能させる運転である。
【0089】
冷暖同時運転(蒸発負荷主体)は、冷房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う利用ユニットと暖房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の凝縮器として機能する運転)を行う利用ユニットとが混在し、利用ユニット全体の熱負荷が蒸発負荷主体である場合に、この利用ユニット全体の蒸発負荷に対して熱源側熱交換器24、25を冷媒の凝縮器として機能させる運転である。
【0090】
冷暖同時運転(凝縮負荷主体)は、冷房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う利用ユニットと暖房運転(すなわち、利用側熱交換器が冷媒の凝縮器として機能する運転)を行う利用ユニットとが混在し、利用ユニット全体の熱負荷が凝縮負荷主体である場合に、この利用ユニット全体の凝縮負荷に対して熱源側熱交換器24、25を冷媒の蒸発器として機能させる運転である。
【0091】
なお、これらの冷凍サイクル運転を含む冷凍装置1の動作は、上記の制御部20、50a、50b、50c、50d、60a、60b、60c、60dによって行われる。
【0092】
(2−1)冷房運転
冷房運転の際、例えば、利用ユニット3a、3b、3c、3dの全てが冷房運転(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てが冷媒の蒸発器として機能する運転)を行い、熱源側熱交換器24、25が冷媒の凝縮器として機能する際、冷凍装置1の冷媒回路10は、
図3に示されるように構成される(冷媒の流れについては、
図3の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
【0093】
具体的には、熱源ユニット2においては、第1熱交切換機構22を凝縮運転状態(
図3の第1熱交切換機構22の実線で示された状態)に切り換え、第2熱交切換機構23を凝縮運転状態(
図3の第2熱交切換機構23の実線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器24、25を冷媒の凝縮器として機能させるようになっている。また、高低圧切換機構30を蒸発負荷主体運転状態(
図3の高低圧切換機構30の実線で示された状態)に切り換えている。また、第1熱源側流量調節弁26および第2熱源側流量調節弁27は、開度調節され、レシーバ入口開閉弁28cは、開状態になっている。さらに、補助膨張弁37を開度調節することによって、補助熱源側熱交換器36における冷媒の流量を調節することが可能になっている。また、ガス抜き側温度センサ75の検知値に基づいて湿り冷媒が圧縮機21に吸入されることを抑制するようにガス抜き側流量調節機構としてのガス抜き側流量調節弁42を開度が調節されることで、二重管熱交換器35における熱交換量を調節することが可能になっており、レシーバガス抜き管41を通じてレシーバ28からガス冷媒を圧縮機21の吸入側に抜き出される冷媒の量が調節されている。また、過冷却センサ39の検知温度に基づいて過冷却膨張弁38を開度調節することによって、レシーバ出口管28bの過冷却熱交換器44の出口を流れる冷媒の過冷却度を調節することが可能になっている。接続ユニット4a、4b、4c、4dにおいては、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、66d、および、低圧ガス開閉弁67a、67b、67c、67dを開状態にすることによって、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てを冷媒の蒸発器として機能させるとともに、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てと熱源ユニット2の圧縮機21の吸入側とが高低圧ガス冷媒連絡管8および低圧ガス冷媒連絡管9を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3c、3dにおいては、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dは、例えば、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの出口を流れる冷媒の過熱度が所定の値になるように、熱源側制御部20によって開度調節されている。
【0094】
このような冷媒回路10において、圧縮機21で圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、一部が熱交切換機構22、23を通じて熱源側熱交換器24、25に送られ、他の一部が二重管熱交換器35を通じて補助熱源側熱交換器36に送られる。そして、熱源側熱交換器24、25に送られた高圧のガス冷媒は、熱源側熱交換器24、25において、室外ファン34によって供給される熱源としての室外空気と熱交換を行うことによって凝縮する。そして、熱源側熱交換器24、25において凝縮した冷媒は、第1熱源側流量調節弁26および第2熱源側流量調節弁27において流量調節された後、合流して、入口逆止弁29aおよびレシーバ入口開閉弁28cを通じて、レシーバ28に送られる。ここで、第1熱源側流量調節弁26は第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒の過冷却度(第1気液温度センサ81から把握される過冷却度)が所定値になるように、第2熱源側流量調節弁27は第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒の過冷却度(第2気液温度センサ82から把握される過冷却度)が所定値になるように、それぞれ熱源側制御部20によって開度制御されている。そして、レシーバ28に送られた冷媒は、レシーバ28内に一時的に溜められて気液分離された後、ガス冷媒は、レシーバガス抜き管41を通じて二重管熱交換器35において熱交換した後に圧縮機21の吸入側に抜き出され、液冷媒は、レシーバ出口管28bを通過し、出口逆止弁29cおよび液側閉鎖弁31を通じて、液冷媒連絡管7に送られる。なお、二重管熱交換器35と補助熱源側熱交換器36において凝縮した冷媒は、レシーバ出口管28bの途中において合流する。
【0095】
そして、液冷媒連絡管7に送られた冷媒は、4つに分岐されて、各接続ユニット4a、4b、4c、4dの液接続管61a、61b、61c、61dに送られる。そして、液接続管61a、61b、61c、61dに送られた冷媒は、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dに送られる。
【0096】
そして、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dに送られた冷媒は、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dにおいて流量調節された後、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて、室内ファン53a、53b、53c、53dによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒となる。一方、室内空気は、冷却されて室内に供給されて、利用ユニット3a、3b、3c、3dの冷房運転が行われる。そして、低圧のガス冷媒は、接続ユニット4a、4b、4c、4dの合流ガス接続管65a、65b、65c、65dに送られる。
【0097】
そして、合流ガス接続管65a、65b、65c、65dに送られた低圧のガス冷媒は、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、66dおよび高圧ガス接続管63a、63b、63c、63dを通じて、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られて合流するとともに、低圧ガス開閉弁67a、67b、67c、67dおよび低圧ガス接続管64a、64b、64c、64dを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に送られて合流する。
【0098】
そして、ガス冷媒連絡管8、9に送られた低圧のガス冷媒は、ガス側閉鎖弁32、33および高低圧切換機構30を通じて、圧縮機21の吸入側に戻される。
【0099】
このようにして、冷房運転における動作が行われる。
【0100】
なお、詳細は省略するが、冷房運転においては、圧縮機21は、冷媒の蒸発器として機能している全ての利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおける冷房負荷を処理することができるように目標蒸発温度が定められ、当該目標蒸発温度を実現できるように周波数が制御されている。
【0101】
また、利用ユニット3a、3b、3c、3dのいくつかが冷房運転(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dのいくつかが冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う等によって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52d全体の蒸発負荷が小さくなる場合には、熱源側熱交換器24、25の一方(例えば、第1熱源側熱交換器24)だけを冷媒の凝縮器として機能させる運転が行われる。
【0102】
(2−2)暖房運転
暖房運転の際、例えば、利用ユニット3a、3b、3c、3dの全てが暖房運転(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てが冷媒の凝縮器として機能する運転)を行い、熱源側熱交換器24、25が冷媒の蒸発器として機能する際、冷凍装置1の冷媒回路10は、
図4に示されるように構成される(冷媒の流れについては、
図4の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
【0103】
具体的には、熱源ユニット2においては、第1熱交切換機構22を蒸発運転状態(
図4の第1熱交切換機構22の破線で示された状態)に切り換え、第2熱交切換機構23を蒸発運転状態(
図4の第2熱交切換機構23の破線で示された状態)に切り換えることによって、熱源側熱交換器24、25を冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。また、高低圧切換機構30を凝縮負荷主体運転状態(
図4の高低圧切換機構30の破線で示された状態)に切り換えている。また、第1熱源側流量調節弁26および第2熱源側流量調節弁27は、開度調節され、レシーバ入口開閉弁28cは、開状態になっている。さらに、補助膨張弁37を開度調節することによって、補助熱源側熱交換器36における冷媒の流量を調節することが可能になっている。また、ガス抜き側温度センサ75の検知値に基づいて湿り冷媒が圧縮機21に吸入されることを抑制するようにガス抜き側流量調節機構としてのガス抜き側流量調節弁42を開度が調節されることで、二重管熱交換器35における熱交換量を調節することが可能になっており、レシーバガス抜き管41を通じてレシーバ28からガス冷媒を圧縮機21の吸入側に抜き出される冷媒の量が調節されている。また、過冷却センサ39の検知温度に基づいて過冷却膨張弁38を開度調節することによって、レシーバ出口管28bの過冷却熱交換器44の出口を流れる冷媒の過冷却度を調節することが可能になっている。接続ユニット4a、4b、4c、4dにおいては、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、66dを開状態にし、低圧ガス開閉弁67a、67b、67c、67dを閉状態にすることによって、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てを冷媒の凝縮器として機能させるとともに、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの全てと熱源ユニット2の圧縮機21の吐出側とが高低圧ガス冷媒連絡管8を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3c、3dにおいては、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dは、例えば、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dの出口を流れる冷媒の過冷却度が所定の値になるように、熱源側制御部20によって開度調節されている。
【0104】
このような冷媒回路10において、圧縮機21で圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、一部が高低圧切換機構30および高低圧ガス側閉鎖弁32を通じて高低圧ガス冷媒連絡管8に送られ、他の一部が二重管熱交換器35を通じて補助熱源側熱交換器36に送られる。
【0105】
そして、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られた高圧のガス冷媒は、4つに分岐されて、各接続ユニット4a、4b、4c、4dの高圧ガス接続管63a、63b、63c、63dに送られる。高圧ガス接続管63a、63b、63c、63dに送られた高圧のガス冷媒は、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、66dおよび合流ガス接続管65a、65b、65c、65dを通じて、利用ユニット3a、3b、3c、3dの利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに送られる。
【0106】
そして、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dに送られた高圧のガス冷媒は、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて、室内ファン53a、53b、53c、53dによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって凝縮する。一方、室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3a、3b、3c、3dの暖房運転が行われる。利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて凝縮した冷媒は、利用側流量調節弁51a、51b、51c、51dにおいて流量調節された後、接続ユニット4a、4b、4c、4dの液接続管61a、61b、61c、61dに送られる。
【0107】
そして、液接続管61a、61b、61c、61dに送られた冷媒は、液冷媒連絡管7に送られて合流する。
【0108】
そして、液冷媒連絡管7に送られた冷媒は、液側閉鎖弁31、入口逆止弁29bおよびレシーバ入口開閉弁28cを通じて、レシーバ28に送られる。レシーバ28に送られた冷媒は、レシーバ28内に一時的に溜められて気液分離された後、ガス冷媒は、レシーバガス抜き管41を通じて二重管熱交換器35において熱交換した後に圧縮機21の吸入側に抜き出され、液冷媒は、レシーバ出口管28bを通過し、出口逆止弁29dを通じて、第1熱源側流量調節弁26および第2熱源側流量調節弁27の両方に送られる。
【0109】
なお、二重管熱交換器35と補助熱源側熱交換器36において凝縮した冷媒は、レシーバ出口管28bの途中において合流する。
【0110】
そして、第1熱源側流量調節弁26および第2熱源側流量調節弁27に送られた冷媒は、第1熱源側流量調節弁26および第2熱源側流量調節弁27において流量調節された後、熱源側熱交換器24、25において、室外ファン34によって供給される室外空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒になり、熱交切換機構22、23に送られる。そして、熱交切換機構22、23に送られた低圧のガス冷媒は、合流して、圧縮機21の吸入側に戻される。
【0111】
このようにして、暖房運転における動作が行われる。
【0112】
なお、詳細は後述するが、暖房運転においては、圧縮機21は、冷媒の凝縮器として機能している全ての利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおける暖房負荷を処理することができるように目標凝縮温度が定められ、当該目標凝縮温度を実現できるように周波数が制御されている。
【0113】
また、利用ユニット3a、3b、3c、3dのいくつかが暖房運転(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52c、52dのいくつかが冷媒の凝縮器として機能する運転)を行う等によって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52d全体の凝縮負荷が小さくなる場合には、熱源側熱交換器24、25の一方(例えば、第1熱源側熱交換器24)だけを冷媒の蒸発器として機能させる運転が行われる。
【0114】
(2−3)冷暖同時運転(蒸発負荷主体)
冷暖同時運転(蒸発負荷主体)の際、例えば、利用ユニット3a、3b、3cが冷房運転し、かつ、利用ユニット3dが暖房運転し(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52cが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用側熱交換器52dが冷媒の凝縮器として機能する運転)を行い、第1熱源側熱交換器24が冷媒の凝縮器として機能する際、冷凍装置1の冷媒回路10は、
図5に示されるように構成される(冷媒の流れについては、
図5の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
【0115】
具体的には、熱源ユニット2においては、第1熱交切換機構22を凝縮運転状態(
図5の第1熱交切換機構22の実線で示された状態)に切り換えることによって、第1熱源側熱交換器24だけを冷媒の凝縮器として機能させるようになっている。また、高低圧切換機構30を凝縮負荷主体運転状態(
図5の高低圧切換機構30の破線で示された状態)に切り換えている。また、第1熱源側流量調節弁26は、開度調節され、第2熱源側流量調節弁27は、閉状態になっており、レシーバ入口開閉弁28cは、開状態になっている。さらに、補助膨張弁37を開度調節することによって、補助熱源側熱交換器36における冷媒の流量を調節することが可能になっている。また、ガス抜き側温度センサ75の検知値に基づいて湿り冷媒が圧縮機21に吸入されることを抑制するようにガス抜き側流量調節機構としてのガス抜き側流量調節弁42を開度が調節されることで、二重管熱交換器35における熱交換量を調節することが可能になっており、レシーバガス抜き管41を通じてレシーバ28からガス冷媒を圧縮機21の吸入側に抜き出される冷媒の量が調節されている。また、過冷却センサ39の検知温度に基づいて過冷却膨張弁38を開度調節することによって、レシーバ出口管28bの過冷却熱交換器44の出口を流れる冷媒の過冷却度を調節することが可能になっている。接続ユニット4a、4b、4c、4dにおいては、高圧ガス開閉弁66d、および、低圧ガス開閉弁67a、67b、67cを開状態にし、かつ、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、および、低圧ガス開閉弁67dを閉状態にすることによって、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cを冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dを冷媒の凝縮器として機能させるとともに、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cと熱源ユニット2の圧縮機21の吸入側とが低圧ガス冷媒連絡管9を介して接続された状態になり、かつ、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dと熱源ユニット2の圧縮機21の吐出側とが高低圧ガス冷媒連絡管8を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側流量調節弁51a、51b、51cは、例えば、利用側熱交換器52a、52b、52cの出口を流れる冷媒の過熱度が所定の値になるように、熱源側制御部20によって開度調節されている。また、利用ユニット3dにおいては、利用側流量調節弁51dは、例えば、利用側熱交換器52dの出口を流れる冷媒の過冷却度が所定の値になるように、熱源側制御部20によって開度調節されている。
【0116】
このような冷媒回路10において、圧縮機21で圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、その一部の冷媒が高低圧切換機構30および高低圧ガス側閉鎖弁32を通じて高低圧ガス冷媒連絡管8に送られ、他の一部の冷媒が第1熱交切換機構22を通じて第1熱源側熱交換器24に送られ、残りの冷媒が二重管熱交換器35を通じて補助熱源側熱交換器36に送られる。
【0117】
そして、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られた高圧のガス冷媒は、接続ユニット4dの高圧ガス接続管63dに送られる。高圧ガス接続管63dに送られた高圧のガス冷媒は、高圧ガス開閉弁66dおよび合流ガス接続管65dを通じて、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dに送られる。
【0118】
そして、利用側熱交換器52dに送られた高圧のガス冷媒は、利用側熱交換器52dにおいて、室内ファン53dによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって凝縮する。一方、室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3dの暖房運転が行われる。利用側熱交換器52dにおいて凝縮した冷媒は、利用側流量調節弁51dにおいて流量調節された後、接続ユニット4dの液接続管61dに送られる。
【0119】
また、第1熱源側熱交換器24に送られた高圧のガス冷媒は、第1熱源側熱交換器24において、室外ファン34によって供給される熱源としての室外空気と熱交換を行うことによって凝縮する。そして、第1熱源側熱交換器24において凝縮した冷媒は、第1熱源側流量調節弁26において流量調節された後、入口逆止弁29aおよびレシーバ入口開閉弁28cを通じて、レシーバ28に送られる。そして、レシーバ28に送られた冷媒は、レシーバ28内に一時的に溜められて気液分離された後、ガス冷媒は、レシーバガス抜き管41を通じて二重管熱交換器35において熱交換した後に圧縮機21の吸入側に抜き出され、液冷媒は、レシーバ出口管28bを通過し、出口逆止弁29cおよび液側閉鎖弁31を通じて、液冷媒連絡管7に送られる。なお、二重管熱交換器35と補助熱源側熱交換器36において凝縮した冷媒は、レシーバ出口管28bの途中において合流する。
【0120】
そして、利用側熱交換器52dにおいて凝縮して液接続管61dに送られた冷媒は、液冷媒連絡管7に送られて、第1熱源側熱交換器24において凝縮して液冷媒連絡管7に送られた冷媒と合流する。
【0121】
そして、液冷媒連絡管7において合流した冷媒は、3つに分岐されて、各接続ユニット4a、4b、4cの液接続管61a、61b、61cに送られる。そして、液接続管61a、61b、61cに送られた冷媒は、利用ユニット3a、3b、3cの利用側流量調節弁51a、51b、51cに送られる。
【0122】
そして、利用側流量調節弁51a、51b、51cに送られた冷媒は、利用側流量調節弁51a、51b、51cにおいて流量調節された後、利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて、室内ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒となる。一方、室内空気は、冷却されて室内に供給されて、利用ユニット3a、3b、3cの冷房運転が行われる。そして、低圧のガス冷媒は、接続ユニット4a、4b、4cの合流ガス接続管65a、65b、65cに送られる。
【0123】
そして、合流ガス接続管65a、65b、65cに送られた低圧のガス冷媒は、低圧ガス開閉弁67a、67b、67cおよび低圧ガス接続管64a、64b、64cを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に送られて合流する。
【0124】
そして、低圧ガス冷媒連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、低圧ガス側閉鎖弁33を通じて、圧縮機21の吸入側に戻される。
【0125】
このようにして、冷暖同時運転(蒸発負荷主体)における動作が行われる。
【0126】
なお、詳細は省略するが、冷暖同時運転(蒸発負荷主体)においては、圧縮機は、冷媒の蒸発器として機能している全ての利用側熱交換器52a、52b、52cにおける冷房負荷を処理することができるように目標蒸発温度が定められ、かつ、冷媒の凝縮器として機能している全ての利用側熱交換器52dにおける暖房負荷を処理することができるように目標凝縮温度が定めら、目標蒸発温度と目標凝縮温度を両方実現できるように周波数が制御されている。
【0127】
また、冷房運転を行う利用ユニット(すなわち、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器)の数が少なくなる等によって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52d全体の蒸発負荷が小さくなる場合には、第2熱源側熱交換器25を冷媒の蒸発器として機能させることで、第1熱源側熱交換器24の凝縮負荷と第2熱源側熱交換器25との蒸発負荷とを相殺して熱源側熱交換器24、25全体の凝縮負荷を小さくする運転が行われる。
【0128】
(2−4)冷暖同時運転(凝縮負荷主体)
冷暖同時運転(凝縮負荷主体)の際、例えば、利用ユニット3a、3b、3cが暖房運転し、かつ、利用ユニット3dが冷房運転し(すなわち、利用側熱交換器52a、52b、52cが冷媒の凝縮器として機能し、かつ、利用側熱交換器52dが冷媒の蒸発器として機能する運転)を行い、第1熱源側熱交換器24だけが冷媒の蒸発器として機能する際、冷凍装置1の冷媒回路10は、
図6に示されるように構成される(冷媒の流れについては、
図6の冷媒回路10に付された矢印を参照)。
【0129】
具体的には、熱源ユニット2においては、第1熱交切換機構22を蒸発運転状態(
図6の第1熱交切換機構22の破線で示された状態)に切り換えることによって、第1熱源側熱交換器24だけを冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。また、高低圧切換機構30を凝縮負荷主体運転状態(
図6の高低圧切換機構30の破線で示された状態)に切り換えている。また、第1熱源側流量調節弁26は、開度調節され、第2熱源側流量調節弁27は、閉状態になっており、レシーバ入口開閉弁28cは、開状態になっている。さらに、補助膨張弁37を開度調節することによって、補助熱源側熱交換器36における冷媒の流量を調節することが可能になっている。また、ガス抜き側温度センサ75の検知値に基づいて湿り冷媒が圧縮機21に吸入されることを抑制するようにガス抜き側流量調節機構としてのガス抜き側流量調節弁42を開度が調節されることで、二重管熱交換器35における熱交換量を調節することが可能になっており、レシーバガス抜き管41を通じてレシーバ28からガス冷媒を圧縮機21の吸入側に抜き出される冷媒の量が調節されている。また、過冷却センサ39の検知温度に基づいて過冷却膨張弁38を開度調節することによって、レシーバ出口管28bの過冷却熱交換器44の出口を流れる冷媒の過冷却度を調節することが可能になっている。接続ユニット4a、4b、4c、4dにおいては、高圧ガス開閉弁66a、66b、66c、および、低圧ガス開閉弁67dを開状態にし、かつ、高圧ガス開閉弁66d、および、低圧ガス開閉弁67a、67b、67cを閉状態にすることによって、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cを冷媒の凝縮器として機能させ、かつ、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dを冷媒の蒸発器として機能させるとともに、利用ユニット3dの利用側熱交換器52dと熱源ユニット2の圧縮機21の吸入側とが低圧ガス冷媒連絡管9を介して接続された状態になり、かつ、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cと熱源ユニット2の圧縮機21の吐出側とが高低圧ガス冷媒連絡管8を介して接続された状態になっている。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側流量調節弁51a、51b、51cは、例えば、利用側熱交換器52a、52b、52cの出口を流れる冷媒の過冷却度が所定の値になるように、熱源側制御部20によって開度調節されている。また、利用ユニット3dにおいては、利用側流量調節弁51dは、例えば、利用側熱交換器52dの出口を流れる冷媒の過熱度が所定の値になるように、熱源側制御部20によって開度調節されている。
【0130】
このような冷媒回路10において、圧縮機21で圧縮され吐出された高圧のガス冷媒は、一部の冷媒が高低圧切換機構30および高低圧ガス側閉鎖弁32を通じて、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られ、他の一部が二重管熱交換器35を通じて補助熱源側熱交換器36に送られる。
【0131】
そして、高低圧ガス冷媒連絡管8に送られた高圧のガス冷媒は、3つに分岐されて、各接続ユニット4a、4b、4cの高圧ガス接続管63a、63b、63cに送られる。高圧ガス接続管63a、63b、63cに送られた高圧のガス冷媒は、高圧ガス開閉弁66a、66b、66cおよび合流ガス接続管65a、65b、65cを通じて、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cに送られる。
【0132】
そして、利用側熱交換器52a、52b、52cに送られた高圧のガス冷媒は、利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて、室内ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって凝縮する。一方、室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3a、3b、3cの暖房運転が行われる。利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて凝縮した冷媒は、利用側流量調節弁51a、51b、51cにおいて流量調節された後、接続ユニット4a、4b、4cの液接続管61a、61b、61cに送られる。
【0133】
そして、液接続管61a、61b、61c、61dに送られた冷媒は、液冷媒連絡管7に送られて合流する。
【0134】
液冷媒連絡管7において合流した冷媒は、その一部が、接続ユニット4dの液接続管61dに送られ、残りが、液側閉鎖弁31、入口逆止弁29bおよびレシーバ入口開閉弁28cを通じて、レシーバ28に送られる。
【0135】
そして、接続ユニット4dの液接続管61dに送られた冷媒は、利用ユニット3dの利用側流量調節弁51dに送られる。
【0136】
そして、利用側流量調節弁51dに送られた冷媒は、利用側流量調節弁51dにおいて流量調節された後、利用側熱交換器52dにおいて、室内ファン53dによって供給される室内空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒となる。一方、室内空気は、冷却されて室内に供給されて、利用ユニット3dの冷房運転が行われる。そして、低圧のガス冷媒は、接続ユニット4dの合流ガス接続管65dに送られる。
【0137】
そして、合流ガス接続管65dに送られた低圧のガス冷媒は、低圧ガス開閉弁67dおよび低圧ガス接続管64dを通じて、低圧ガス冷媒連絡管9に送られる。
【0138】
そして、低圧ガス冷媒連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、低圧ガス側閉鎖弁33を通じて、圧縮機21の吸入側に戻される。
【0139】
また、レシーバ28に送られた冷媒は、レシーバ28内に一時的に溜められて気液分離された後、ガス冷媒は、レシーバガス抜き管41を通じて二重管熱交換器35において熱交換した後に圧縮機21の吸入側に抜き出され、液冷媒は、レシーバ出口管28bを通過し、出口逆止弁29dを通じて、第1熱源側流量調節弁26に送られる。なお、二重管熱交換器35と補助熱源側熱交換器36において凝縮した冷媒は、レシーバ出口管28bの途中において合流する。そして、第1熱源側流量調節弁26に送られた冷媒は、第1熱源側流量調節弁26において流量調節された後、第1熱源側熱交換器24において、室外ファン34によって供給される室外空気と熱交換を行うことによって蒸発して低圧のガス冷媒になり、第1熱交切換機構22に送られる。そして、第1熱交切換機構22に送られた低圧のガス冷媒は、低圧ガス冷媒連絡管9および低圧ガス側閉鎖弁33を通じて圧縮機21の吸入側に戻される低圧のガス冷媒と合流して、圧縮機21の吸入側に戻される。
【0140】
このようにして、冷暖同時運転(凝縮負荷主体)における動作が行われる。
【0141】
なお、詳細は省略するが、冷暖同時運転(凝縮負荷主体)においては、圧縮機は、冷媒の凝縮器として機能している全ての利用側熱交換器52a、52b、52cにおける暖房負荷を処理することができるように目標凝縮温度が定められ、かつ、冷媒の蒸発器として機能している全ての利用側熱交換器52dにおける冷房負荷を処理することができるように目標蒸発温度が定めら、目標凝縮温度と目標蒸発温度を両方実現できるように周波数が制御されている。
【0142】
また、暖房運転を行う利用ユニット(すなわち、冷媒の凝縮器として機能する利用側熱交換器)の数が少なくなる等によって、利用側熱交換器52a、52b、52c、52d全体の凝縮負荷が小さくなる場合には、第2熱源側熱交換器25を冷媒の凝縮器として機能させることで、第1熱源側熱交換器24の蒸発負荷と第2熱源側熱交換器25との凝縮負荷とを相殺して熱源側熱交換器24、25全体の蒸発負荷を小さくする運転が行われる。
【0143】
(3)暖房運転時の第1熱源側熱交換器24と第2熱源側熱交換器25に対する冷媒の流し方
図7に、暖房運転時の第1熱源側熱交換器24と第2熱源側熱交換器25に対する冷媒の流し方に関するフローチャートを示す。
【0144】
暖房運転が開始(デフロスト運転後の復帰時を含む)されると、熱源側制御部20によって、まず冷媒回路10を流れる冷媒の状態を安定化させる所定の安定化制御が行われ(ステップS10)、その後に、第1熱源側熱交換器24と第2熱源側熱交換器25に対する冷媒の分流を最適化させる分流制御が行われる。
【0145】
所定の安定化制御では、圧縮機21の周波数を少しずつ挙げていきながら、第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒の過熱度が所定値以上であり第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒の過熱度も所定値以上となるように、第1熱源側流量調節弁26の弁開度と第2熱源側流量調節弁27の弁開度を調節する制御である(ステップS10)。ここで、第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒の過熱度は、第1ガス側温度センサ91が検知した温度から吸入圧力センサ71が検知する圧力に相当する飽和温度を差し引くことで求められる。また、第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒の過熱度は、第2ガス側温度センサ92が検知した温度から吸入圧力センサ71が検知する圧力に相当する飽和温度を差し引くことで求められる。なお、圧縮機21は、冷媒の凝縮器として機能している全ての利用側熱交換器52a、52b、52c、52dにおける暖房負荷を処理することができるように定められた目標凝縮温度を実現できるように周波数が制御される。
【0146】
そして、第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒の過熱度が所定値以上であり第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒の過熱度も所定値以上となった状態で所定時間以上経過した場合には(ステップS11)、安定したと判断し、所定の安定化制御を終えて分流制御を開始する。なお、この段階では、圧縮機21の周波数も安定している。
【0147】
分流制御では、以下のような制御が行われる(ステップS13)。まず、熱源側制御部20は、暖房運転時の第1熱源側熱交換器24および第2熱源側熱交換器25を1つの熱交換器として考えて、第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒を飽和ガス状態としつつ第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒についても飽和ガス状態とすることができ、かつ、圧縮機21から吐出される冷媒の吐出温度が目標凝縮温度を実現できる吐出温度となるように、第1熱源側熱交換器24と第2熱源側熱交換器25を通過する合計の冷媒流量を求める。そして、熱源側制御部20は、当該合計の冷媒流量に基づいて、第1熱源側流量調節弁26と第2熱源側流量調節弁27の合計の弁開度を求める。
【0148】
次に、熱源側制御部20は、上記第1熱源側流量調節弁26と第2熱源側流量調節弁27の合計の弁開度の条件を満たしつつ、「第1熱源側熱交換器24の前後の冷媒の圧力損失」と「第2熱源側熱交換器25の前後の冷媒の圧力損失」が等しくなるように、第1熱源側流量調節弁26の弁開度を調節しつつ第2熱源側流量調節弁27の弁開度も調節する、分流制御を行う。ここで、「第1熱源側熱交換器24の前後の冷媒の圧力損失」は、第1気液温度センサ81が設けられている部分を流れる冷媒が気液二相の飽和状態であるために第1気液温度センサ81の検知温度に相当する飽和圧力を求めることができ、当該飽和圧力から吸入圧力センサ71が検知する圧力を差し引くことで求めることができる。また、同様に、「第2熱源側熱交換器25の前後の冷媒の圧力損失」は、第2気液温度センサ82が設けられている部分を流れる冷媒が気液二相の飽和状態であるために第2気液温度センサ82の検知温度に相当する飽和圧力を求めることができ、当該飽和圧力から吸入圧力センサ71が検知する圧力を差し引くことで求めることができる。
【0149】
ここで、「第1熱源側熱交換器24の前後の冷媒の圧力損失」と「第2熱源側熱交換器25の前後の冷媒の圧力損失」が等しくなるように第1熱源側流量調節弁26と第2熱源側流量調節弁27の各弁開度を調節していく手順は、熱交換器の前後の圧力差が循環量の二乗に比例するという一般的な関係に基づいて各圧力損失から各循環量の比率を予測し、当該予想された循環量の比率に応じた分だけ第1熱源側流量調節弁26と第2熱源側流量調節弁27の弁開度を調節していく。このような弁開度の調節が行われるタイミングは、特に限定されないが、例えば、所定時間間隔で行われてもよい。
【0150】
(4)冷凍装置1の特徴
冷凍装置1では、暖房運転が行われている場合に、第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒の状態を飽和ガス状態にさせつつ、第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒についても飽和ガス状態にさせるため、第1熱源側熱交換器24の全領域を冷媒の蒸発のための領域として利用できるだけでなく、第2熱源側熱交換器24についてもその全領域を冷媒の蒸発のための領域として利用できる。このため、効率のよい運転が可能になっている。
【0151】
そして、冷凍装置1では、このように暖房運転が行われている場合に、第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒の状態を飽和ガス状態にさせつつ第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒についても飽和ガス状態にさせるように第1熱源側流量調節弁26の弁開度と第2熱源側流量調節弁27の弁開度の調節を行う際に、第1熱源側熱交換器24と第2熱源側熱交換器25で生じている圧力損失に応じた調節量になるように各弁開度の調節が行われている。このため、「第1熱源側熱交換器24の前後の冷媒の圧力損失」と「第2熱源側熱交換器25の前後の冷媒の圧力損失」を等しくさせるのに要する時間を短くすることが可能になる。
【0152】
また、第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒の状態を飽和ガス状態にさせつつ第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒についても飽和ガス状態にさせるように第1熱源側流量調節弁26の弁開度と第2熱源側流量調節弁27の弁開度の調節を行う際に、仮に、第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒の温度と第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒の温度から把握される情報に基づいて調節を行おうとすると、いずれかの出口の冷媒が気液二相状態であった場合には同じ温度状態の冷媒であっても取り得る乾き度が様々であるため、温度から把握される情報だけでは第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒と第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒の状態の比較を行うことができない。これに対して、上記実施形態では、気液二相の飽和状態の冷媒の温度を検知する第1気液温度センサ81および気液二相の飽和状態の冷媒の温度を検知する第2気液温度センサ82の各検知温度を利用して、飽和温度に相当する飽和圧力を求めることで、第1熱源側熱交換器24における冷媒の圧力損失と第2熱源側熱交換器25における冷媒の圧力損失を特定することが可能になっている。このため、第1熱源側熱交換器24の出口を流れる冷媒と第2熱源側熱交換器25の出口を流れる冷媒の状態の比較を行うことが可能になっている。
【0153】
そして、第1気液温度センサ81は第1熱源側流量調節弁26から第1熱源側熱交換器24に流れる冷媒温度を測り、第2気液温度センサ82は第2熱源側流量調節弁27から第2熱源側熱交換器25に流れる冷媒温度を測るため、第1気液温度センサ81も第2気液温度センサ82もいずれも各流量調節弁26、27で減圧された後の気液二相状態の冷媒温度を検知することができている。このような気液二相状態の冷媒は、熱エネルギが加えられたとしても一部の液冷媒を蒸発させるための潜熱として消費されるだけあり、冷媒の温度が変化しにくい。したがって、第1気液温度センサ81および第2気液温度センサ82は、測る温度が安定しており変化しにくいため、これに基づいて開度制御される第1熱源側流量調節弁26と第2熱源側流量調節弁27は開度の大幅な変更が生じにくく、開度調節を行いやすくすることが可能になる。したがって、第1熱源側流量調節弁26の開度と第2熱源側流量調節弁27の開度の調節制御を安定して行うことが可能になっている。
【0154】
さらに、上記実施形態では、第1気液温度センサ81と第2気液温度センサ82とは、冷凍装置1において冷房運転が行われている際に、第1熱源側熱交換器24の出口と第2熱源側熱交換器25の出口の冷媒の過冷却度を確保するように第1熱源側流量調節弁26と第2熱源側流量調節弁27の弁開度を調節するために用いられている。そして、上記冷凍装置1では、冷房運転時における過冷却度の制御のために用いられた第1気液温度センサ81と第2気液温度センサ82を流用して、暖房運転時の分流制御を行うことが可能になっている。
【0155】
(5)他の実施形態
上記実施形態では、本発明の実施形態の一例を説明したが、上記実施形態はなんら本願発明を限定する趣旨ではなく、上記実施形態には限られない。本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更した態様についても当然に含まれる。
【0156】
(5−1)他の実施形態A
上記実施形態では、第1気液温度センサ81と第2気液温度センサ82の検知温度を用いて分流制御を行う場合を例に挙げて説明した。
【0157】
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、
図8に示すように、第1熱源側熱交換器24の内部を流れる冷媒の温度を検出する第1中間温度センサ83と、第2熱源側熱交換器25の内部を流れる冷媒の温度を検出する第2中間温度センサ84がさらに設けられていてもよい。
【0158】
(5−2)他の実施形態B
また、
図9に示すように、第1熱源側熱交換器24の内部を流れる冷媒の温度を検出する第1中間温度センサ83と、第2熱源側熱交換器25の内部を流れる冷媒の温度を検出する第2中間温度センサ84が、上記実施形態の第1気液温度センサ81や第2気液温度センサ82の代わりに設けられていてもよい。
【0159】
この場合であっても、第1中間温度センサ83が第1熱源側流量調節弁26通過後の第1熱源側熱交換器24における気液二相状態の冷媒の飽和温度を検知でき、第2中間温度センサ84が第2熱源側流量調節弁27通過後の第2熱源側熱交換器25における気液二相状態の冷媒の飽和温度を検知することができる。したがって、熱源側制御部20は、第1中間温度センサ83が検知する飽和温度に相当する冷媒の圧力と吸入圧力センサ71が検知する圧力との差によって第1熱源側熱交換器24での冷媒の圧力損失を把握でき、第2中間温度センサ84が検知する飽和温度に相当する冷媒の圧力と吸入圧力センサ71が検知する圧力との差によって第2熱源側熱交換器25での冷媒の圧力損失を把握でき、両者の圧力損失が等しくなるように第1熱源側流量調節弁26と第2熱源側流量調節弁27の開度を制御することが可能になる。
【0160】
(5−3)他の実施形態C
また、
図10に示すように、圧縮機21の吸入側を流れる冷媒の温度を検知する吸入温度センサ72が、上記実施形態の吸入圧力センサ71の代わりに設けられていてもよい。
【0161】
この場合であっても、熱源側制御部20は、第1気液温度センサ81が検知する飽和温度に相当する冷媒の圧力と吸入温度センサ72が検知する冷媒の温度に相当する圧力との差によって第1熱源側熱交換器24での冷媒の圧力損失を把握でき、第2気液温度センサ82が検知する冷媒の飽和温度に相当する冷媒の圧力と吸入温度センサ72が検知する温度に相当する圧力との差によって第2熱源側熱交換器25での冷媒の圧力損失を把握でき、両者の圧力損失が等しくなるように第1熱源側流量調節弁26と第2熱源側流量調節弁27の開度を制御することが可能になる。
【0162】
(5−4)他の実施形態D
また、
図11に示すように、圧縮機21の吸入側を流れる冷媒の温度を検知する吸入温度センサ72が上記実施形態の吸入圧力センサ71の代わりに設けられつつ、第1熱源側熱交換器24の内部を流れる冷媒の温度を検出する第1中間温度センサ83と第2熱源側熱交換器25の内部を流れる冷媒の温度を検出する第2中間温度センサ84が上記実施形態の第1気液温度センサ81や第2気液温度センサ82の代わりに設けられていてもよい。
【0163】
この場合であっても、第1中間温度センサ83が第1熱源側流量調節弁26通過後の第1熱源側熱交換器24における気液二相状態の冷媒の飽和温度を検知でき、第2中間温度センサ84が第2熱源側流量調節弁27通過後の第2熱源側熱交換器25における気液二相状態の冷媒の飽和温度を検知することができる。したがって、熱源側制御部20は、第1中間温度センサ83が検知する飽和温度に相当する冷媒の圧力と吸入温度センサ72が検知する冷媒の温度に相当する圧力との差によって第1熱源側熱交換器24での冷媒の圧力損失を把握でき、第2中間温度センサ84が検知する冷媒の飽和温度に相当する冷媒の圧力と吸入温度センサ72が検知する温度に相当する圧力との差によって第2熱源側熱交換器25での冷媒の圧力損失を把握でき、両者の圧力損失が等しくなるように第1熱源側流量調節弁26と第2熱源側流量調節弁27の開度を制御することが可能になる。
【0164】
(5−5)他の実施形態E
上記実施形態では、「第1熱源側熱交換器24の前後の冷媒の圧力損失」と「第2熱源側熱交換器25の前後の冷媒の圧力損失」が等しくなるように、第1熱源側流量調節弁26の弁開度を調節しつつ第2熱源側流量調節弁27の弁開度も調節する分流制御を例に挙げて説明した。
【0165】
しかし、本発明は、これに限られるものではなく、例えば、熱源側制御部20は、第1気液温度センサ81の検知温度と第2気液温度センサ82の検知温度とが同じ温度となるように第1熱源側流量調節弁26の弁開度を調節しつつ第2熱源側流量調節弁27の弁開度も調節するようにしてもよい。
【0166】
なお、この場合、熱源側制御部20は、例えば、第1気液温度センサ81や第2気液温度センサ82の検出温度が所定の基準温度以下である場合に対応する熱源側流量調節弁26、27の弁開度を小さくし、第1気液温度センサ81や第2気液温度センサ82の検出温度が所定の基準温度以上(先の所定の基準温度よりも高い温度であってよい。)である場合に対応する熱源側流量調節弁26、27の弁開度を大きくすることにより、各熱源側流量調節弁で減圧された後であって各熱源側熱交換器に向かう冷媒の各温度を均一化させることが可能になる。
【0167】
また、例えば、第1気液温度センサ81の検出温度と第2気液温度センサ82の検出温度とを比較し、より高い温度を検出した気液温度センサに対応する熱源側流量調節弁26、27の弁開度を小さくし、より低い温度を検出した気液温度センサに対応する熱源側流量調節弁27、26の弁開度を大きくすることにより、各熱源側流量調節弁で減圧された後であって各熱源側熱交換器に向かう冷媒の各温度を均一化させることが可能になる。