(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0018】
<離型フィルム>
本実施形態に係る離型フィルム10は、ポリエステル樹脂材料を含む離型層1(第1離型層)を有する離型フィルム10であって、ASTM D2857に準じて35℃で測定した上記離型層1の固有粘度が、0.9以上1.5以下である(
図1参照)。こうすることによって加熱プレスする際、離型フィルム10の離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルム10を配する対象物表面を形成する材料とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができる離型フィルム10を得ることができる。
【0019】
本実施形態に係る離型フィルム10において、離型層1とは、少なくとも当該離型フィルム10を対象物上に配置した際に、対象物に接する面(以下、「離型面」とも示す。)を形成する樹脂層であり、ポリエステル樹脂とは、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体であって、カルボキシル基(−COOH)を複数有する化合物である。
【0020】
また、離型フィルムを配置する前の対象物表面は、通常、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む材料によって形成されている。本実施形態に係る離型フィルム10は、上記半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む材料によって形成された対象物表面上に配置して用いる。そして、対象物表面に当該離型フィルム10を配置した状態で、加熱プレスを行うことで、成型品を得ることができる。
【0021】
従来の離型フィルムを用いた場合、以下の現象が起こっているものと推測される。
従来、加熱プレス時に、離型フィルムにおいて離型面を形成する材料中のカルボキシル基と、カバーレイフィルム接着剤が有する未反応の官能基とが反応して相互作用することがあるものと考えられる。このような未反応の官能基は、特に限定されないが、たとえば、相互作用しやすい官能基としてエポキシ基が挙げられる。
以下、未反応の官能基が、エポキシ基である場合を例に挙げて説明する。
【0022】
特許文献1〜3等に記載された従来の離型フィルムを用いた場合、カバーレイフィルムに離型フィルムの一部が汚染物として残る原因は必ずしも明らかではないが、カルボキシル基のような極性基が、成形品の汚染に関与しているものと考えられる。
【0023】
そして、特許文献1〜3等に記載された従来の離型フィルムの、ASTM D2857に準じて35℃で測定した離型層1の固有粘度は、本実施形態に係る離型フィルム10とは異なる技術水準であった。このように、ポリエステル樹脂材料を用いた従来の離型フィルムの場合、離型面を形成する材料中のカルボキシル基のような極性基と、カバーレイフィルム接着剤が有する未反応の官能基とが反応して相互作用することを十分に抑制することはできなかった。
【0024】
これに対し、本実施形態に係る離型フィルム10によれば、ASTM D2857に準じて35℃で測定した離型層1の固有粘度は、上記特定の条件を満たすため、加熱プレスして得られた成型体において、成型品と離型フィルム10とを剥離した後の成型品表面に、極微量の異物や離型フィルム10の一部が残留することを抑制し、成型品表面に荒れが生じることを防ぐことができる程度の高度に優れた離型性を得ることができる。これは、離型面を形成する、ポリエステル樹脂材料を含む離型層1の、ASTM D2857に準じて35℃で測定した固有粘度が、0.9以上1.5以下であることにより、成型品表面に存在する未反応の官能基と反応して相互作用するカルボキシル基の量が、従来と比べて減るためであると考えられる。このため、本実施形態に係る離型フィルム10は、従来の離型フィルムと比べて高度に優れた離型性を得ることができる。
【0025】
なお、成型品表面に生じる荒れとは、成型品表面の一部が波打つこと、成型品表面の一部が爛れること、成型品表面の形状が滑らかではなく、粗い状態となること等を指す。
【0026】
また、本実施形態に係る離型フィルム10において、ASTM D2857に準じて35℃で測定した離型層1の固有粘度は、0.9以上1.5以下であればよいが、1.0以上1.3以下であるとさらに好ましい。こうすることによって、加熱プレスする際、離型フィルム10の離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルム10を配する対象物表面を形成する材料の官能基とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができる。
【0027】
また、本実施形態においてポリエステル樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂等のポリアルキレンテレフタレート樹脂が挙げられる。これらの中でもポリブチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましい。こうすることで、加熱プレスする際、離型フィルム10の離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルム10を配する対象物表面を形成する材料の官能基とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができる。
【0028】
また、ポリエステル樹脂材料は、必要に応じて他の成分を共重合したポリエステル系共重合体樹脂であってもよい。共重合する成分としては、公知の酸成分、アルコール成分、フェノール成分またはエステル形成能を持つこれらの誘導体、ポリアルキレングリコール成分等が挙げられる。
【0029】
また、共重合することが可能な酸成分としては、例えば、2価以上の炭素数8〜22の芳香族カルボン酸、2価以上の炭素数4〜12の脂肪族カルボン酸、さらには、2価以上の炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。上記共重合することが可能な酸成分の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボジフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−4'−ジフェニルカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4'−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0030】
また、共重合することが可能なアルコール成分および/またはフェノール成分またはエステル形成能を持つこれらの誘導体としては、例えば、2価以上の炭素数2〜15の脂肪族アルコール、2価以上の炭素数6〜20の脂環式アルコール、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまたは、フェノールおよびエステル形成能を有するこれらの誘導体が挙げられる。前記共重合可能なアルコール成分および/またはフェノール成分またはエステル形成能を持つこれらの誘導体の具体例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの化合物、およびエステル形成能を有するこれらの誘導体、ε−カプロラクトン等の環状エステルが挙げられる。
【0031】
共重合することが可能なポリアルキレングリコール成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよび、これらのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール化合物のアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体等)付加物等の変性ポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
【0032】
このようなポリエステル系共重合体樹脂の中でもポリエステル樹脂材料と、ポリアルキレングリコール成分との共重合体が好ましく、より具体的にはポリエステル系樹脂と、ポリテトラメチレングリコールとの共重合体、もっと具体的にはポリブチレンテレフタレート樹脂とポリテトラメチレングリコールとの共重合体が好ましい。これにより、メッキ付き性という観点においても、優れた離型フィルム10を得ることができる。
【0033】
上記共重合することが可能な他の成分(特にポリテトラメチレングリコール)の含有量は、特に限定されないが、ポリエステル系共重合体樹脂全体の5重量%以上50重量%以下であるのが好ましく、特に10重量%以上40重量%以下であることが好ましい。含有量が、上記下限値以上である場合、当該離型フィルム10の対象物への追従性を向上させることが可能である。また、含有量が上記上限値以下である場合、離型性をさらに向上させることができる。
【0034】
また、離型面を形成する材料には、ポリエステル樹脂材料の他に、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、染料および顔料等着色剤、安定剤等の添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤を含有させてもよい。
【0035】
また、本実施形態に係る離型フィルム10の離型層1を用いて指示薬滴定法により測定した末端カルボン酸量は、40未満であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、25以下であることがさらに好ましい。こうすることで、加熱プレスする際、離型フィルム10の離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルム10を配する対象物表面を形成する材料の官能基とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができる。
【0036】
なお、特許文献1〜3等に記載された従来の離型フィルムの離型層を用いて指示薬滴定法により測定した末端カルボン酸量は、本実施形態に係る離型フィルム10とは異なる技術水準であった。このように、従来の離型フィルムを用いた場合、対象物中の未反応の官能基と離型層1の離型面を形成する材料中の極性基とが反応して相互作用することを十分に抑制することはできなかった。
【0037】
図1および2は、本実施形態に係る離型フィルム10の断面図である。
本実施形態に係る離型フィルム10は、単層構造を形成したものであっても、多層構造を形成したものであってもよい。
図1に示すように、離型フィルム10が単層構造を形成したものである場合、離型フィルム10の製造工程を簡略化することができる。これに対し、
図2に示すように、離型フィルム10の層構造が多層構造であれば、対象物との離型性や追従性を、適宜調節することができる。
【0038】
以下、本実施形態に係る離型フィルム10として、
図2に示す多層構造を形成したものを例に挙げて説明する。
【0039】
図2に示すように、本実施形態に係る離型フィルム10は、離型層1と、クッション層2と、離型層3(第2離型層)とがこの順で積層されている。以下、各層について順に説明する。
【0040】
まず、離型層1は、対象物表面との離型性を保持するものである。また、当該離型フィルム10を配置する対象物の形状に応じて離型層1が追従するパターン追従性の機能も備えている。なお、離型層1は、離型面を形成する層であって、ポリエステル樹脂材料によって形成されている。
【0041】
また、離型層1を形成する方法としては、例えば空冷または水冷インフレーション押出法、Tダイ押出法等の公知の方法が挙げられる。
【0042】
離型層1の厚さは、特に限定されないが、対象物に対する埋め込み性を向上させる観点から、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましく、20μm以上がことさら好ましい。一方、適度な強度を得る観点から、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
【0043】
また、離型層1の、たとえば、180℃における粘弾性率は、特に限定されないが、10MPa以上200MPa以下であることが好ましく、30MPa以上150MPa以下であるとさらに好ましい。離型層1の粘弾性率が上記下限値以上である場合、当該離型フィルム10の離型性の低下を抑制することができる。また、離型層1の粘弾性率が上記上限値以下である場合、当該離型フィルム10の埋め込み性の低下を抑制することができる。
なお、離型層1の粘弾性率は、例えば、動的粘弾性測定装置で引張りモード、周波数1Hz、昇温速度5℃/minで常温から250℃まで測定することにより評価できる。
【0044】
離型層1は、入射角度60°における光の反射率である光沢度が6〜150であることが好ましく、6〜145であることがより好ましい。
光沢度は、具体的には、日本工業規格(JIS)Z8741に準拠して設定することができる。即ち、この規格は、入射角度20°、60°又は85°の幾何条件の反射率計を用いて塗膜の鏡面光沢度を測定する試験方法について規定し(メタリック塗料の光沢度測定には適さず)、屈折率が1.567である表面において60°の入射角度の場合における反射率10%を光沢度100(グロス(60°)=100%)、20°の入射角度の場合における反射率5%を光沢度100(グロス(20°)=100%)としている。このうち、60°の入射角度における光の反射率をもって、光沢度を定める。
なお、離型層1の光沢度とは、離型層1のプレスする対象物側にあたる面の数値である。
【0045】
離型層1の固有粘度を、0.9以上1.5以下にしつつ、光沢度を上記値とすることで、良好な離型性が得られ、加熱プレスする際、離型フィルム10の離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルム10を配する対象物表面を形成する材料の官能基とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができる。
この場合、離型層3の光沢度は、10〜150が好ましい。これにより、離型層1と離型層3との識別が容易となり、離型フィルム10の表裏の区別が容易となる。
【0046】
また、離型層1の粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)は、良好な離型性を得る観点から、90μm以上であることが好ましく、良好な品質の成型品を得る観点から、450μm以下であることが好ましく、350μm以下であることがより好ましい。
粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)は、JIS−B0601−2001に準じて測定することができる。
なお、離型層1の粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)とは、離型層1のプレスする対象物側にあたる面の数値である。
【0047】
離型層1の固有粘度を、0.9以上1.5以下にしつつ、粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)を上記値とすることで、良好な離型性が得られ、加熱プレスする際、離型フィルム10の離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルム10を配する対象物表面を形成する材料の官能基とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができる。
この場合、離型層3の粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)は90μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、一方、450μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましい。これにより、離型層1と離型層3との識別が容易となり、離型フィルム10の表裏の区別が容易となる。
【0048】
また、離型層1の表面10点平均粗さ(Rz)は、離型層1の強度を確保しつつ良好な離型性を得る観点から、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上がより好ましく、1.2μm以上がさらに好ましい。一方、表面粗さが転写されるのを抑制する観点から、15μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下がさらに好ましい。
表面10点平均粗さ(Rz)は、JIS−B0601−2001に準じて測定することができる。
なお、離型層1の表面10点平均粗さ(Rz)は、離型層1のプレスする対象物側にあたる面の数値である。
【0049】
離型層1の固有粘度を、0.9以上1.5以下にしつつ、表面10点平均粗さ(Rz)を上記値とすることで、良好な離型性が得られ、加熱プレスする際、離型フィルム10の離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルム10を配する対象物表面を形成する材料の官能基とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができる。
この場合、後述する離型層3の表面10点平均粗さ(Rz)は、0.5μm以上であることが好ましく、0.6μm以上がより好ましく、一方、15μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましい。これにより、離型層1と離型層3との識別が容易となり、離型フィルム10の表裏の区別が容易となる。
【0050】
このような離型層1の表面形状は、公知の方法によって得ることができる。
【0051】
次に、クッション層2は、当該離型フィルム10の離型層1を隣接する対象物表面の間隙に埋め込むためのクッション機能を備えている。また、クッション層2を有した離型フィルム10とすることで、加熱プレスする際に離型フィルム10を配置した対象物全体にかかる圧力が均一となるようにすることができる。さらに、フレキシブル回路基板を製造する場合には、外観の仕上がり(特にしわの発生を低減)を優れたものとすることができる。
【0052】
また、クッション層2は、ポリエステル樹脂材料と異なる第2樹脂によって形成されている。この場合、第2樹脂としては、離型層1を形成するポリエステル樹脂材料と異なる組成の、ポリエステル樹脂材料またはポリエステル樹脂材料以外の種類の樹脂等が挙げられる。これらの中でも上記離型層1を形成するポリエステル樹脂材料以外の樹脂が好ましい。
【0053】
クッション層2としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロプレン等のαオレフィン系重合体、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン等を共重合体成分として有するαオレフィン系共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド等のエンジニアリングプラスチックス系樹脂が挙げられ、これらを単独で、あるいは複数併用しても構わない。これらの中でもαオレフィン系共重合体が好ましい。具体的には、エチレン等のαオレフィンと、(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、およびそれらの部分イオン架橋物等が挙げられる。またさらに、良好なクッション機能を得る観点から、エチレン等のαオレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を単独で用いたもの、または、ポリブチレンテレフタレートと、1,4シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートとの混合物、αオレフィン系重合体と、エチレン等のαオレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との混合物が好ましく、たとえば、エチレンとエチレン−メチルメタクリレート共重合体との混合物、ポリプロピレンとエチレン−メチルメタクリレート共重合体との混合物などがより好ましい。
【0054】
このような第2樹脂の中でも特に、第2樹脂の硬化物の、たとえば90℃での弾性率が10MPa以下であるものが好ましく、特に2MPa以上8MPa以下であるものが好ましい。第2樹脂の硬化物について弾性率が上記範囲内であると、特にフレキシブル回路を製造する場合、クッション機能に優れた離型フィルム10とすることができる。
なお、弾性率は、例えば、動的粘弾性測定装置で引張りモード、周波数1Hz、昇温速度5℃/minで常温から250℃まで測定することにより評価できる。
【0055】
また、クッション層2には、クッション性をさらに向上させるため、第2樹脂の他にもゴム成分を含んでもよい。
【0056】
ゴム成分としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー材料、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム等のゴム材料等が挙げられる。
【0057】
また、クッション層2におけるゴム成分の含有量は、特に限定されないが、第2樹脂100重量部に対して5重量部以上50重量部以下であることが好ましく、10重量部以上40重量部以下であるとさらに好ましい。クッション層2におけるゴム成分の含有量が上記範囲内であると、より一層クッション性に優れた離型フィルム10とすることができる。
【0058】
また、クッション層2には、第2樹脂以外にも、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、染料および顔料等の着色剤、安定剤等の添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤を含有させてもよい。
【0059】
なお、クッション層2を形成する方法としては、例えば、空冷または水冷インフレーション押出法、Tダイ押出法等の公知の方法が挙げられる。
【0060】
また、クッション層2の厚さは、特に限定されないが、30μm以上100μm以下であることが好ましく、50μm以上90μm以下であるとより好ましく、50μm以上70μm以下であるとさらに好ましい。クッション層2の厚さが上記下限値以上である場合、離型フィルム10のクッション性が低下することを抑制できる。クッション層2の厚さが上記上限値以下である場合、離型性の低下を抑制することができる。
【0061】
また、クッション層2の軟化温度は、特に限定されないが、80℃以上150℃以下であることが好ましく、特に90℃以上140℃以下であるとさらに好ましい。クッション層2の軟化温度が上記範囲内であると、より一層クッション性に優れた離型フィルム10とすることができる。
【0062】
離型層3は、加熱プレス等の成型時に使用される当て板との離型性を保持している。
離型層3は、第2樹脂よりも軟化点が高い第3樹脂で構成されている。これにより、当て板との離型性をより一層向上させることができる。
【0063】
第3樹脂としては、例えば、4−メチル−1−ペンテン樹脂、4−メチル−1−ペンテンと、他のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンとの共重合体、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、離型層1で用いたのと同様のポリエステル系樹脂等が挙げられる。
【0064】
また、第3樹脂と、離型層1を形成するポリエステル樹脂材料は、同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0065】
また、第3樹脂の軟化点は、特に限定されないが、100℃以上であることが好ましく、特に120℃以上であるとさらに好ましい。これにより、離型性に加えて、SUS板等で構成されている当て板に、第3樹脂に起因する揮発成分または第3樹脂が付着することを低減することができる。
【0066】
また、離型層3には、第3樹脂の他に、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、染料および顔料等着色剤、安定剤等の添加剤、フッ素樹脂、シリコンゴム等の耐衝撃性付与剤、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填剤を含有させてもよい。
【0067】
なお、離型層3を形成する方法としては、例えば空冷または水冷インフレーション押出法、Tダイ押出法等の公知の方法が挙げられる。
【0068】
また、離型層3の厚さは、特に限定されないが、加熱プレスした際に離型フィルム10全体が剛性なものとなり、離型性が向上する観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることがさらに好ましい。一方、離型フィルム10の成膜性が好適なものとなる観点から、60μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることがさらに好ましい。
【0069】
本実施形態に係る離型フィルム10は、離型層1/クッション層2/離型層3の三層構造を形成してなることが好ましい。また、離型フィルム10全体の厚みは、特に限定されないが、40μm以上250μm以下が好ましく、80μm以上180μm以下がより好ましく、90μm以上150μm以下がさらに好ましい。
【0070】
また、本実施形態の離型フィルム10では、離型層1、クッション層2および離型層3の3層で構成されているものを示したが、本発明はこれに限定されず、接着層、ガスバリア層等を有する4層、5層等の4層以上の構成であってもよい。
【0071】
また、本実施形態に係る離型フィルム10は、特に限定されないが、上金型および下金型からなる金型内部に配置してもよいし、カバーレイフィルム上または銅張積層板上に離型層1側が接するように配置して使用してもよい。これらの中でも、カバーレイフィルム上または銅張積層板上に重ねて配置した場合、本実施形態に係る離型フィルム10の離型性を存分に発揮することができる。
離型フィルム10を使用する対象物としては、カバーレイフィルムや銅張積層板等が挙げられる。この対象物は、少なくとも加熱プレスする前の表面が半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む材料によって形成された物である。また、熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イミド樹脂等が挙げられる。
【0072】
<離型フィルムの製造方法>
本実施形態に係る離型フィルム10は、このような離型層1と、クッション層2と、離型層3とを、別々に製造してからラミネーター等により接合して得てもよいが、離型層1と、クッション層2と、離型層3とを例えば空冷式または水冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で製膜する方法で得る方法が好ましい。なかでも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。
また、離型層1と、クッション層2と、離型層3とをそのまま接合してもよいし、接着層を介して接合してもよい。
【0073】
従来は、たとえば、溶融状態で重縮合反応を行い得られたポリエステル樹脂材料を用いて離型フィルムを作製していた。このように、重縮合して得られたポリエステル樹脂材料を用いて離型フィルムを作製すること自体は従来技術においても行われてきた。
これに対して、本実施形態に係る離型フィルム10において離型面を形成する離型層1および/または離型層3は、従来の重縮合反応ではなく、たとえば、固相重合して得られたポリエステル樹脂材料を用いて作製する。
【0074】
本実施形態に係る離型フィルム10は、ASTM D2857に準じて35℃で測定した離型層1の固有粘度を、0.9以上1.5以下に制御するため、固相重合反応に用いる重合触媒の種類、反応温度、反応時間等の反応条件を制御することで初めて得ることができる。本実施形態に係る離型フィルム10を、加熱プレスする際、離型フィルム10の離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルム10を配する対象物表面を形成する材料の官能基とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができるものとするためには、これらの因子を制御することが特に重要となる。
【0075】
<離型フィルムの使用方法>
次に、本実施形態の離型フィルム10の使用方法について説明する。
まず、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む材料によって形成されている対象物の表面に、離型層1が対象物側になるように、上記本実施形態に係る離型フィルム10を配置する。そして、離型フィルム10が配置された対象物に対し、金型内で加熱プレスを行う。こうすることで、離型フィルム10中の極性基と、対象物表面を形成する材料中の未反応の官能基とが反応して相互作用することを抑制することができる。これにより、加熱プレスして得られた成型体において、成型品と離型フィルム10とを剥離した後の成型品表面に、極微量の異物や離型フィルム10の一部が付着することを抑制し、成型品表面に荒れが生じることを防ぐことができるため、加熱プレスする際、離型フィルム10の離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルム10を配する対象物表面を形成する材料の官能基とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例では、以下、
図2に示す三層構造からなる離型フィルム10を例に挙げて説明する。
【0078】
<離型フィルムの製造>
(実施例1)
1.ポリエステル樹脂材料の製造
2−(4'−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン(以下、「HTHF」と示す。)の含有量が、1,4−ブチレングリコール(以下、「BG」と示す。)に対して0.4重量%であるBG1104g、酢酸の含有量が、テレフタル酸(以下、「TPA」と示す。)に対して0.14重量%であるTPA1132g(BG/TPAモル比1.8)を用いてエステル化反応、次いで重縮合反応を行った。
【0079】
まず、TPA全量、BG750g、チタンテトラ−n−ブトキシド0.8g、モノブチルヒドロキシスズオキシド0.7gを精留塔の付いた反応器に仕込み、190℃、400mmHgの条件下でエステル化反応を開始した後、徐々に昇温するとともに、残りのBGを連続的に添加した。
この反応物にチタンテトラ−n−ブトキシド0.08g、リン酸0.01gを添加し、250℃、0.5mmHgで重縮合反応を行った。
生成したポリマーの細粒状物を、回転式反応容器に仕込み、190℃、0.5mmHgの減圧下において8時間固相重合を行い、高重合度ポリブチレンテレフタレート(以下、PBT)を得た。
【0080】
2.離型フィルムの製造
上記方法により製造したPBTからなる離型層1と、ポリプロピレン、変性ポリエチレンおよび上記方法により製造したPBTからなるクッション層2と、上記方法により製造したPBTからなる離型層3の3層からなる離型フィルムを加熱プレスすることにより離型フィルムを製造した。離型層1および離型層3の固有粘度(IV値)は、いずれも1.22であった。
より具体的には、クッション層2は、以下の材料を用いて形成した。
ポリプロピレン:住友化学社製、FH1016
変性ポリエチレン:エチレン−メチルメタクリレート共重合体(住友化学社製、WD106)と、酸変性ポリエチレン(三菱化学社製、F515A)
PBT:離型層1に用いたPBTと同じものを使用した。
そして、配合比率がポリプロピレン:エチレン−メチルメタクリレート共重合体:酸変性ポリエチレン:PBT=15:30:40:15の比率となるようにブレンドを行った。
得られた離型フィルムの各層の厚さは、離型層1:30μm、クッション層2:60μm、離型層3:30μmであった。
【0081】
(実施例2)
離型層1および離型層3のIV値が、1.08となるように固相重合反応に関する反応条件を変更した点以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを作製し、評価を行った。
【0082】
(実施例3)
離型層1および離型層3のIV値を、1.08としつつ、離型層1および離型層3のPBTの末端カルボン酸量(AV値)が14.3となるように固相重合反応に関する反応条件を変更した点以外は、実施例2と同様の方法で離型フィルムを作製し、評価を行った。
【0083】
(実施例4)
離型層1および離型層3のIV値が、1.14となるように固相重合反応に関する反応条件を変更した点以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを作製し、評価を行った。
【0084】
(比較例1)
離型層1および離型層3のIV値が0.85となるように、PBT(東レ社製、トレコン品番1100M)を用いた点以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを作製し、評価を行った。
【0085】
上記実施例1〜4および比較例1に関して、行った測定方法および評価方法について以下に詳説する。
【0086】
<評価項目>
固有粘度(IV値):ASTM D2857に準じて35℃で測定した。具体的には、以下の方法により調整した試料を用いて、下記式(A)から算出した。
(1)測定試料の調整
まず、得られた離型層約3〜5gを100mLビーカーに入れた後、ビーカー内にアセトンを注いだ。その後、ビーカー内の試料を、オーブンを用いて105℃で30分間乾燥させた。次に、100mLボトルに、小数点以下4桁の精度で約0.45〜0.5gの乾燥ポリマーを測りとった。次に、自動測定器を用いて、精度が±0.01mLとなるように、単位体積当たりの離型層重量を100倍に希釈した。その後、離型層をボトルに移し、ガスケットを用いてボトルを密閉した。次に、離型層が完全に溶融するまで撹拌しながら、約60〜75分間110℃でボトルを加熱した。そして、得られたボトルを、恒温槽から取り出し、冷却槽に載置した。
(2)測定
まず、容量フラスコを用いて量りとった18mLの溶媒を粘度計の管状部材に注ぎ、管状部材内部を洗浄した。そして、粘度計の管状部材を、35℃+0.1℃に設定してから10分後に、ポリマー溶液を3回粘度計に注いだ。次に、ポンプを用いて粘度計内を真空にし、管状部材上部に配置された容器内に溶液を吸引した。その後、粘度計内の真空状態を解除し、溶媒が、管状部材内の2箇所の間を通過する時間を、クロノメーターを用いて測定した。この測定を4回行い、平均値を算出した。なお、本測定には、自動粘度計(SCHOTT AVS−500)を用いた。
(3)IV値の計算
標準試料として、30℃でのフェノール/テトラクロロエタン比が3:2の、35℃のo−クロロフェノールを用いた。本実施例におけるIV値は、以下の式(A)より算出した。
式(A):IV値={(測定試料の流通時間/標準試料の流通時間)−1}×0.7789+0.111
【0087】
末端カルボン酸量(AV値):指示薬滴定法により測定した。具体的には、以下の方法により調整した試料を用いて、下記式(B)から算出した。
(1)測定試料の調整
まず、得られた離型層1〜2gを100mLボトルに秤量した。次に、ボトルに、o−クレゾールを50mLを注いだ。そして、このボトル内にスターラ―バーを入れ、離型層が完全に溶解するまで約30分間、100±5℃で加熱撹拌した。離型層が溶融後、ボトル内の溶液温度が30℃となるまで載置した。次に、0.01mol/Lの塩化カリウム溶液を3mL添加し、0.05mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定した。
(2)標準試料の評価
まず、100mLフラスコにo−クレゾールを50mL秤量した。次に、この100mLフラスコ内にスターラ―バーを入れ、0.01mol/Lの塩化カリウム溶液を3mL添加した。
(3)AV値の計算
以下の式(B)より算出した。なお、算出結果は、meq COOH/kgで表される。
式(B):末端カルボン酸量={(測定試料に対し滴下したKOH量[mL]−標準試料に対し滴下したKOH量[mL])×KOHの規定数×1000}/測定試料の重量[g]
【0088】
離型性:離型フィルムの離型面に有沢製作所社製のCL(CMタイプ)の接着剤面を貼り合わせ、195℃×2分×6MPaで熱プレスを行い、引っ張り試験機(エーアンドデイ社製Force gauge AD−4932A−50N)を用いて、180°方向に約1000mm/分の速度で、離型面とCL接着剤間の剥離力を測定した。測定はプレス直後に実施し、以下の基準に基づいて離型性を評価した。
○:剥離可能
×:剥離が重くフィルムもしくはCLが破断する
【0089】
追従性(仕上がり外観シワ):離型フィルムの離型面に有沢製作所社製のCL(CMタイプ)のポリイミド面を貼り合わせ、195℃×2分×6MPaで熱プレスを行った後離型フィルムを剥離し、CLの表面について、JPCA規格の「7.5.7.2項しわ」に準じて測定した。
○:シワ発生率 2.0%未満
×:シワ発生率 2.0%以上
【0090】
CL接着剤の染み出し量:離型フィルムの離型面に有沢製作所社製のCL(CMタイプ)のポリイミド面を貼り合わせ、195℃×2分×6MPaで熱プレスを行った後離型フィルムを剥離し、回路基板上にCLの接着剤層の染み出しがあるか否かを「JPCA規格の7.5.3.6項カバーレイの接着剤の流れおよびカバーコートのにじみ」に準拠し、回路端子部への染み出し量を評価した。染み出し量が150μm未満を合格とした。
○:染み出し量 150μm未満
×:染み出し量 150μm以上
【0091】
成形性:離型フィルムの離型面に有沢製作所社製のCL(CMタイプ)のポリイミド面を貼り合わせ、195℃×2分×6MPaで熱プレスを行った後離型フィルムを剥離し、CLの表面について、「JPCA規格の7.5.3.3項の気泡」に準じて目視にて評価した。各符号は、以下の通りである。評価サンプル数を各n=100として評価を行い、サンプル表面にボイドが確認されたものの数が評価サンプル数の2%未満のものを合格とした。
○:ボイド発生率 2.0%未満
×:ボイド発生率 2.0%以上
【0092】
上記評価項目に関する評価結果を、以下の表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
(実施例5〜
10および参考例1)
次に、離型層1、クッション層2、離型層3として、表2に示したものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルムを作製し、同様に評価を行った。
なお、PBTは、実施例1で使用したものと同じものである。
【0095】
<評価項目>
光沢度:日本工業規格(JIS)Z8741に準拠して入射角60°における光の反射率を測定した。
Rz:JIS−B0601−2001に準じて測定した。
Rsm:JIS−B0601−2001に準じて測定した。
評価結果を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
実施例の離型フィルムは、比較例の離型フィルムと比べ、加熱プレスする際、離型フィルムの離型面を形成する材料の官能基と、当該離型フィルムを配する対象物表面を形成する材料の官能基とが、反応して相互作用することを抑制し、良好な品質を有した成型品を得ることができた。
【0098】
実施例5〜
10および参考例1では、いずれも、離型性、追従性、CL接着剤染み出し量、成形性の評価が○であった。また、
参考例1は、他の実施例5〜10よりも、追従性においてやや劣るものであった。
以下、参考形態の例を付記する。
1.ポリエステル樹脂材料を含む第1離型層を有する離型フィルムであって、
ASTM D2857に準じて35℃で測定した前記第1離型層の固有粘度が、0.9以上1.5以下である、離型フィルム。
2.前記ポリエステル樹脂材料が、ポリブチレンテレフタレート樹脂である1.に記載の離型フィルム。
3.当該第1離型層上に、クッション層を有する1.または2.に記載の離型フィルム。
4.前記第1離型層の入射角度60°における光の反射率である光沢度が6〜150である、1.乃至3.のいずれか一つに記載の離型フィルム。
5.前記第1離型層の厚みが、20μm以上30μm以下である1.乃至4.のいずれか一つに記載の離型フィルム。
6.前記第1離型層の粗さ曲線要素の平均長さ(Rsm)が90μm以上である、1.乃至5.のいずれか一つに記載の離型フィルム。
7.当該離型フィルムが、さらに第2離型層を有し、前記第1離型層、前記クッション層、及び前記第2離型層の順に積層された三層構造を形成してなる3.乃至6.のいずれか一つに記載の離型フィルム。
8.前記クッション層が、αオレフィン系重合体と、αオレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との混合物を用いて形成される3.乃至7.のいずれか一つに記載の離型フィルム。
9.カバーレイフィルムまたは銅張積層板の表面に、前記第1離型層側が接するように重ねて用いられる1.乃至8.のいずれか一つに記載の離型フィルム。
10.1.乃至9.のいずれか一つに記載の離型フィルムの前記第1離型層が対象物側になるように、前記対象物上に前記離型フィルムを配置する工程と、
前記離型フィルムが配置された前記対象物に対し、加熱プレスを行う工程と、
を含み、
離型フィルムを配置する前記工程において、前記対象物の前記離型フィルムが配置される面が、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む材料によって形成されている離型フィルムの使用方法。