(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1の概略構成図に示すように、実施形態1のアンテナシステム10を含む通信装置1は、アンテナシステム10と、V2X無線機20と、電話用無線機30とを備える。
【0015】
アンテナシステム10は、アンテナユニット11とアンテナユニット12とを備え、アンテナユニット11は、車両のボディ上面の一部である屋根部上面において、屋根部後端部分に配置される。もう一方のアンテナユニット12は、車室前端付近に配置される。
【0016】
V2X無線機20は、車車間通信システムおよび路車間通信システムのいずれか一方または両方を行う通信システム(以下、車車間、路車間通信システム)のための公知の無線機である。このV2X無線機20は、送信のための変調等を行う送信部、受信した信号の復調等を行う受信部、それらを制御する通信制御部などを備える。車車間、路車間通信システムは、請求項の第1通信システムに相当する。このV2X無線機20とアンテナユニット11とは同軸ケーブル40で相互に接続されている。
【0017】
電話用無線機30は、携帯電話回線を利用した通信システム(以下、電話用通信システム)のための無線機である。電話用通信システムは請求項の第2通信システムに相当する。
【0018】
電話用無線機30は、携帯電話回線を利用した通信を行うために、公知の送信部、受信部、通信制御部などを備え、MIMO(Multi Input Multi Output)方式で通信を行う。MIMOでは相関の少ない複数のアンテナが送受信用に必要となるが、ここでは特に相関を少なくする構造として偏波ダイバーシティ構造のアンテナを用いる。すなわち、電話用通信システムの基地局は、水平偏波と垂直偏波のアンテナを用いていることから、本電話用通信システムは、偏波ダイバーシティ型通信システムとする。
【0019】
電話用無線機30は、同軸ケーブル50によりアンテナユニット11と接続されており、同軸ケーブル60によりアンテナユニット12とに接続されている。
【0020】
(アンテナユニット11の構成)
図2に示すケース111は、シャークアンテナ、ドルフィンアンテナなどと呼ばれ、サメやイルカのヒレに似た形状である。具体的には、ケース111は上面視が流線型状であり、幅方向長さは、車両前側(図左側)が車両後側(図右側)よりもやや狭くなっている。
【0021】
このケース111は、車両前後方向の長さが車両幅方向の長さよりも長くなっており、特に、
図3に示すように、ケース111の幅方向長さ(
図3の左右方向)は、底側に比べ、上側が狭くなっている。
【0022】
ケース111は、長手方向が車両前後方向となるように配置されており、流線型であることから、ケース111の内部空間も車両前後方向の長さが、車両幅方向の長さに比べると長くなっている。また、このケース111は樹脂製である。
【0023】
なお、
図3は、ケース111の形状を説明する図であるため、ケース111に収容されている部材は省略している。
【0024】
アンテナユニット11は、
図4に示すように、ケース111に全体が覆われている。ケース111は、車両後ろ方向(図右方向)ほど高くなる形状である。ケース111の内部に形成された空間に、地板112、プリント基板113、V2X用アンテナ114(第1通信システム用アンテナに相当)、電話用アンテナ115(ケース内直交アンテナに相当)などが収容されている。なお、
図4は、V2X用アンテナ114と、電話用アンテナ115の位置関係を示すための図であり、その他の構成の一部は省略している。
【0025】
プリント基板113は、ケース111の幅方向ほぼ中央において、グランドパターン116が形成されている面が車両屋根部の前後方向に沿うように配置されている。なお、車両屋根部の前後方向は、車両の前後方向に平行である。グランドパターン116は、プリント基板113に銅箔により形成されている。このグランドパターン116の一部を形成する接続部116fは地板112と接続している。
【0026】
V2X用アンテナ114は、モノポールアンテナのアンテナエレメントであり、グランドパターン116の下端に設けられた給電点117と接続している。なお、本明細書では、アンテナエレメントを単にアンテナと記載している。
【0027】
グランドパターン116とこのV2X用アンテナ114とによりモノポールアンテナが構成される。給電点117には同軸ケーブル40の先端も接続され、これにより、V2X用アンテナ114はV2X無線機20と接続される。
【0028】
V2X用アンテナ114は、プリント基板113の基板面に配置されている。また、このV2X用アンテナ114は、アンテナユニット11を搭載した車両が水平な地面に位置している状態で、かつ、車両屋根部が地面対して水平である場合において、給電点117から鉛直下方向に延びている。この方向に延びるV2X用アンテナ114は、換言すれば、軸線方向が、車両屋根部の前後方向に対して垂直、且つ車両屋根部の幅方向(すなわち車両の左右方向)に対しても垂直である。なお、鉛直方向には、厳密な鉛直方向のみではなく、ほぼ鉛直である方向も含む。また、以下では、基準を明示しないで用いる垂直は、大地を基準とする垂直、すなわち、鉛直を意味する。また、本明細書では、水平、垂直も、厳密な水平、垂直のみではなく、ほぼ水平、ほぼ垂直も含む意味である。また、本明細書において、車両の傾きを明示しないで垂直、鉛直、水平を用いている場合は、車両は水平な地面に位置しているものとする。
【0029】
V2X用アンテナ114が給電点117から鉛直下方向に延びているので、V2X用アンテナ114が送受信する電波は主として垂直偏波となる。車車間通信や路車間通信では垂直偏波を用いることとされていることから、このV2X用アンテナ114を用いることにより良好に車車間通信や路車間通信を行うことができる。なお、実施形態1における車車間通信、路車間通信は5.9GHz帯で行うものとし、V2X用アンテナ114は、この周波数に基づいてエレメント長が設定されている。
【0030】
電話用アンテナ115も、モノポールアンテナのアンテナエレメントであり、グランドパターン116の車両後側端かつ上部に設けられた給電点118と接続している。グランドパターン116とこの電話用アンテナ115とによりモノポールアンテナが構成される。グランドパターン116自体がケース111内において上方に位置し、かつ、給電点118がグランドパターン116の上部に設けられていることから、電話用アンテナ115は、ケース111の内部において上方に配置されていることになる。
【0031】
給電点118には同軸ケーブル50の先端も接続され、これにより、電話用アンテナ115は電話用無線機30と接続される。
【0032】
電話用アンテナ115は、プリント基板113の基板面に配置されており、かつ、給電点118からの延長方向が車両屋根部前後方向となっている。車両屋根部は通常地面に対してほぼ水平であるので、車両が水平な地面に位置している状態において、電話用アンテナ115が送受信する電波は主として水平偏波となる。また、電話用アンテナ115はV2X用アンテナ114と直交するように配置されていることになる。
【0033】
実施形態1では電話用通信システムの基地局は一方の偏波に水平偏波を用いている。よって、この電話用アンテナ115は基地局との通信に適合した配置となっている。なお、実施形態1における電話用通信システムは車車間通信、路車間通信よりも低い周波数を用いる。たとえば、800MHz帯、900MHz帯、1800MHz帯、2.1GHz帯のいずれかを用いる。電話用アンテナ115は、この周波数に基づいてエレメント長が設定されているため、V2X用アンテナ114よりもエレメント長が長くなっている。
【0034】
(アンテナユニット12の構成)
図5は、もう一方のアンテナユニット12の構成図である。アンテナユニット12は、ケース121の内部に、電話用アンテナ122が配置されている。電話用アンテナ122も、モノポールアンテナのアンテナエレメントであり、図示しない基板に形成されたグランドパターン123の上端に設けられた給電点124と接続している。グランドパターン123とこの電話用アンテナ122とによりモノポールアンテナが構成される。
図5には図示していないが、この給電点124には同軸ケーブル60が接続され、これにより、電話用アンテナ122は電話用無線機30と接続される。
【0035】
電話用アンテナ122は、請求項のケース外アンテナに相当し、他方の電話用アンテナ115に対して直交するように配置されている。すなわち、電話用アンテナ122は、上記給電点124から垂直上方向に延びており、車両が水平な地面に位置している状態では電話用アンテナ122の軸線方向は鉛直方向となる。よって、電話用アンテナ122が送受信する電波は主として垂直偏波となる。アンテナユニット11側の電話用アンテナ115が水平偏波のアンテナであることから、偏波ダイバーシティ構造による通信の性能を確保することができる。なお、電話用アンテナ115、122は、請求項の偏波ダイバーシティ型通信システム用アンテナに相当する。
【0036】
(実施形態1の効果)
以上、説明した実施形態1では、同一のケース111の中に収容されているV2X用アンテナ114と電話用アンテナ115は、互いに直交するように配置されている。すなわち、これらのアンテナ114、115がそれぞれ要素となるモノポールアンテナは主放射偏波面が直交する。したがって、ケース111が小さく、それらV2X用アンテナ114と電話用アンテナ115とが近接配置されていても、それらのアンテナ間のアイソレーションが高くなる。よって、車車間、路車間通信システムと電話用通信システムとの間のアイソレーションが高くなり、それらの通信システム間の電波干渉が抑制できる。
【0037】
また、電話用アンテナ122は、ケース111の外に配置されている。具体的には、V2X用アンテナ114、電話用アンテナ115を備えるアンテナユニット11が車両屋根部後端に配置されているのに対して、電話用アンテナ122を備えるアンテナユニット12は車室前端付近に配置されている。つまり、電話用アンテナ122は、使用する電波の波長を考えると、V2X用アンテナ114、電話用アンテナ115から十分に離れた位置に配置されていることになる。よって、電話用アンテナ122のアイソレーションも高くすることができる。
【0038】
さらに、電話用アンテナ122は、電話用アンテナ115に対して直交するように配置されていることから、偏波ダイバーシティ型通信システムである電話用通信システムの通信性能を確保することもできる。
【0039】
しかも、電話用アンテナ115を、V2X用アンテナ114と同様、プリント基板113の基板面に配置しつつも、ケース111内の空間が車両屋根部幅方向の長さに比べて車両屋根部前後方向の長さが長いことを利用し、電話用アンテナ115を車両前後方向に配置する。これにより、電話用アンテナ115とV2X用アンテナ114を直交させている。これにより、ケース111の車両屋根部幅方向長さを短くすることができるので、空気抵抗を低減できる。
【0040】
(実施形態2)
次に実施形態2を説明する。この実施形態2以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用することができる。
【0041】
図6に示すように、実施形態2では、V2X用アンテナ114の配置が実施形態1と相違する。実施形態2では、V2X用アンテナ114Aは、地板112に配置されている。そのため、給電点117も地板112に設けられている。V2X用アンテナ114は、この給電点117から垂直上方向に延びており、車両が水平な地面に位置しており、かつ、車両屋根部が地面に対して水平である場合、V2X用アンテナ114の軸線方向は鉛直方向となる。
【0042】
このようにV2X用アンテナ114を配置する場合にも、V2X用アンテナ114が送受信する電波は主として垂直偏波となる。そのため、実施形態1と同様、V2X用アンテナ114と電話用アンテナ115とが近接配置されていても、アンテナ間のアイソレーションが高くなる。よって、車車間、路車間通信システムと電話用通信システムとの間のアイソレーションが高くなり、それらの通信システム間の電波干渉が抑制することができる。また、偏波ダイバーシティ型通信システムである電話用通信システムの通信性能を確保することもできる。
【0043】
(実施形態3)
実施形態3では、モノポールアンテナを構成していた実施形態1の電話用アンテナ115に代えて、
図7、
図8に示すように、ループ状アンテナである電話用アンテナ115Aを使用する。よって、実施形態3では、この電話用アンテナ115Aが請求項のケース内直交アンテナに相当する。
【0044】
図7、
図8に示す電話用アンテナ115Aは、実施形態1の電話用アンテナ115と同じ位置に配置されている。また、この電話用アンテナ115Aは、車両が水平な地面に位置している状態において、給電点118から水平面内において車両屋根部後方に延びている。この方向に延びる電話用アンテナ115は、換言すれば、車両屋根部の前後方向に対して平行、且つ車両屋根部の幅方向に対しても平行である。車両屋根部は通常地面に対してほぼ水平であるので、車両が水平な地面に位置している状態において、この電話用アンテナ115Aが送受信する電波も主として水平偏波となる。
【0045】
実施形態3においても、実施形態1、2と同様、V2X用アンテナ114と同一のケース111に収容されている電話用アンテナ115Aは、V2X用アンテナ114に対して直交配置されているため、それらのアンテナのアイソレーションが高くなる。よって、車車間、路車間通信システムと電話用通信システムとの間のアイソレーションが高くなり、それらの通信システム間の電波干渉が抑制できる。また、電話用アンテナ115Aと電話用アンテナ122も直交関係にある。よって、偏波ダイバーシティ型通信システムである電話用通信システムの通信性能を確保することもできる。
【0046】
(実施形態4)
実施形態4では、
図9に示すように、アンテナユニット11は、実施形態1のV2X用アンテナ114に加え、もう1本のV2X用アンテナ114Aを備える。
【0047】
実施形態4のグランドパターン116Aは、実施形態1のグランドパターン116よりも上端が低くなっており、そのグランドパターン116Aの上端に給電点117Aが設けられている。V2X用アンテナ114Aはこの給電点117Aに接続されており、給電点117Aから垂直上方向に延びており、車両が水平な地面に位置しており、かつ、車両屋根部が地面に対して水平である場合、V2X用アンテナ114Aの軸線方向は鉛直方向となる。また、給電点117Aには同軸ケーブル41も接続されている。この同軸ケーブル41は、同軸ケーブル40と同様、V2X無線機20に接続されている。
【0048】
実施形態4では、アンテナユニット11が、主として垂直偏波を送受信する2本のV2X用アンテナ114、114Aと、電話用アンテナ115を備えている。電話用アンテナ115は、2本のV2X用アンテナ114、114Aのいずれとも、直交する配置となっている。
【0049】
実施形態4においても、V2X用アンテナ114、114Aと同一のケース111に収容されている電話用アンテナ115は、V2X用アンテナ114、114Aに対して直交配置されているため、それらのアンテナのアイソレーションが高くなる。よって、車車間、路車間通信システムと電話用通信システムとの間のアイソレーションが高くなり、それらの通信システム間の電波干渉が抑制できる。また、一対の電話用アンテナ115、122も直交関係にある。よって、偏波ダイバーシティ型通信システムである電話用通信システムの通信性能を確保することもできる。
【0050】
(実施形態5)
実施形態5では、
図10、
図11に示すように、アンテナユニット11が備える電話用アンテナ115Bの位置が実施形態4とは相違する。電話用アンテナ115Bは、実施形態4の電話用アンテナ115に代えて備えられているものであり、実施形態5では、この電話用アンテナ115Bが請求項のケース内直交アンテナに相当する。
【0051】
実施形態5では、
図10に示すように、同軸ケーブル50が接続されている給電点118がグランドパターン116Aの中央付近に設けられている。電話用アンテナ115Bは、モノポールアンテナのアンテナエレメントであり、その給電点118に接続されている。グランドパターン116Aとこの電話用アンテナ115Bによりモノポールアンテナが構成される。
【0052】
車両が水平な地面に位置している状態では、この電話用アンテナ115Bは、給電点118から水平方向に延びている。また、
図11に示すように、プリント基板113の基板面に対して垂直に突き出している。なお、もちろん、電話用アンテナ115Bの位置におけるケース111の幅方向(
図11上下方向)の長さは電話用アンテナ115Bが配置できる長さである。
【0053】
電話用通信システムの使用周波数が800MHzであると、λ/4が9cm程度になるのでケース111の幅方向長さが長くなってしまう。しかし、電話用通信システムの周波数として、3GHzなどより高い周波数も検討されており、3GHzであればλ/4が2.5cm程度になることから、ケース111の幅方向長さはそれほど長くならない。
【0054】
電話用アンテナ115Bは、実施形態4の電話用アンテナ115とは車両屋根部前後方向に配置されているか車両屋根部幅方向に配置されているかの違いはあるが、実施形態4と同様、V2X用アンテナ114、114Aに対して直交配置されている。よって、それらのアンテナのアイソレーションが高くなるので、車車間、路車間通信システムと電話用通信システムとの間のアイソレーションが高くなり、それらの通信システム間の電波干渉が抑制できる。また、一対の電話用アンテナ115B、122も直交関係にある。よって、偏波ダイバーシティ型通信システムである電話用通信システムの通信性能を確保することもできる。
【0055】
(実施形態6)
実施形態6では、
図12に示すように、アンテナユニット11A内において、V2X用アンテナ114B、電話用アンテナ115B(ケース内直交アンテナに相当)が地板112に対して45度傾斜して配置されている。
【0056】
より詳しくは、アンテナユニット11Aの中に収容されているプリント基板113Aには、五角形状にグランドパターン116Bが形成され、そのグランドパターン116Bの2つの傾斜辺に、給電点117、118が配置されている。なお、
図12には図示していないが、これら給電点117、118には、同軸ケーブル40、50が接続されている。
【0057】
一方の給電点117にはV2X用アンテナ114Bが接続され、他方の給電点118には電話用アンテナ115Bが接続されている。これらV2X用アンテナ114B、電話用アンテナ115Bはモノポールアンテナのアンテナエレメントであり、いずれも、プリント基板113Aの基板面に沿って配置されている。なお、電話用アンテナ115Bは請求項のケース内直交アンテナに相当する。
【0058】
V2X用アンテナ114Bは地板112に対して45度傾斜している。一方、電話用アンテナ115BはV2X用アンテナ114Bとは反対方向に地板112に対して45度傾斜している。
【0059】
すなわち、実施形態6においてもV2X用アンテナ114Bと電話用アンテナ115Bも互いに直交するように配置されている。よって、それらのアンテナのアイソレーションが高くなる。よって、車車間、路車間通信システムと電話用通信システムとの間のアイソレーションが高くなり、それらの通信システム間の電波干渉が抑制できる。なお、図示していないが、アンテナユニット12が備える電話用アンテナ122は、電話用アンテナ115Bと直交するように配置する。これにより、電話用通信システムの通信性能を確保することもできる。
【0060】
また、V2X用アンテナ114Bと電話用アンテナ115Bは、ともに、プリント基板113Aの基板面に沿って、互いに直交するように配置されている。よって、V2X用アンテナ114Bと電話用アンテナ115Bとを直交配置としつつも、ケース111Aの車両幅方向長さを短くすることができるので、空気抵抗を低減できる。
【0061】
(実施形態7)
実施形態7では、
図13に示すように、アンテナユニット11Bは、これまでの実施形態と同じV2X用アンテナ114を備える。この実施形態7でもV2X用アンテナ114は、給電点117から垂直上方向に延びている。給電点117は、グランドパターン116Cに設けられている。
【0062】
また、アンテナユニット11Bは、いずれもモノポールアンテナのアンテナエレメントである3本の電話用アンテナ115、115C、115Dを備える。各電話用アンテナ115、115C、115Dは、それぞれ、グランドパターン116Dに設けられた給電点118、118A、118Bに接続されている。なお、実施形態7では、2つのグランドパターン116C、116Dが形成されているが、これらを一体としてもよい。
【0063】
3本の電話用アンテナ115、115C、115Dは、プリント基板113の基板面に沿って配置されている点では共通するが、角度は互いに相違する。
【0064】
車両が水平な地面に位置している状態では、電話用アンテナ115は水平面内において車両屋根部後方に延びている。また、この電話用アンテナ115が接続している給電点118は、グランドパターン116Dの車両後側端に形成されており、電話用アンテナ115は、3本の電話用アンテナ115の中で最もV2X用アンテナ114から遠い位置に配置されている。
【0065】
これに対して、電話用アンテナ115Dは、その電話用アンテナ115Dが接続される給電点118Bがグランドパターン116Dの上辺に設けられており、電話用アンテナ115Dは、V2X用アンテナ114と同様、垂直上方向に延びている。
【0066】
電話用アンテナ115Cは、上記2本の電話用アンテナ115、115Dの間に配置され、また、角度も上記2本の電話用アンテナ115、115Dの中間の角度となっている。すなわち、電話用アンテナ115Cは、給電点118Aに基端が接続され、先端へ向かうに従い、電話用アンテナ115を含み車両屋根部幅方向に平行な平面に対して45度の角度でV2X用アンテナ114から離隔する角度で配置されている。
【0067】
これら3本の電話用アンテナ115、115C、115Dは、使用周波数が互いに異なる。具体的には、電話用アンテナ115が最もV2X用アンテナ114の使用周波数に近く、たとえば、2.1GHzである。V2X用アンテナ114から最も近い位置に配置されている電話用アンテナ115Dは、使用周波数は、V2X用アンテナ114の使用周波数と最も離れており、たとえば800MHzである。これらの間に配置されている電話用アンテナ115Cの使用周波数は、上記2つの電話用アンテナ115、115Dの使用周波数の間であり、たとえば1.8GHzである。
【0068】
図14に、実施形態7におけるアンテナユニット12Aの構成を示す。このアンテナユニット12Aは、実施形態1のアンテナユニット12と同じ位置に配置される。
【0069】
アンテナユニット12Aには、
図13に示したアンテナユニット11Bの3本の電話用アンテナ115、115C、115Dとそれぞれ対となる3本の電話用アンテナ122、122C、122Dが備えられている。これら3本の電話用アンテナ122、122C、122Dもモノポールアンテナのアンテナエレメントである。
【0070】
電話用アンテナ122は、実施形態1と同じであり、グランドパターン123の上端に設けられた給電点124から垂直上方向に延びている。電話用アンテナ122Dは、グランドパターン123の車両後側の辺に設けられた給電点126から、車両屋根部前後方向において車両後方に延びている。
【0071】
電話用アンテナ122Cは、上記2本の電話用アンテナ122、122Dが接続する給電点124、126の間に設けられた給電点125に接続されている。そして、電話用アンテナ122Cは、電話用アンテナ122、122Dの間の角度で配置されている。すなわち、電話用アンテナ122Cは、電話用アンテナ122を含み車屋根部幅方向に平行な平面に対して45度の角度で配置されている。
【0072】
以上、説明した実施形態7では、V2X用アンテナ114が垂直に配置されており、このV2X用アンテナ114と同じケース111に3本の電話用アンテナ115、115C、115Dが収容されている。3本の電話用アンテナ115、115C、115Dのうち、最もV2X用アンテナ114に使用周波数が近い電話用アンテナ115が周波数の観点では、最もV2X用アンテナ114との間の干渉が生じやすい。しかし、本実施形態では、この電話用アンテナ115を、V2X用アンテナ114に対して直交する配置としている。すなわち、これらのアンテナ114、115がそれぞれ要素となるモノポールアンテナは主放射偏波面が直交する。よって、電話用アンテナ115を用いる電話用通信システムとV2X用アンテナ114を用いる車車間、路車間通信システムとの間の電波干渉を効果的に抑制することができる。さらに、電話用アンテナ115は最もV2X用アンテナ114から遠い位置に配置されている。この点でも、両システム間の電波干渉が抑制できる。
【0073】
なお、電話用アンテナ115DはV2X用アンテナ114と同じ垂直偏波となるが、3本の電話用アンテナ115、115C、115Dでは最も使用周波数がV2X用アンテナ114の使用周波数から離れている。よって、これら電話用アンテナ115DとV2X用アンテナ114の干渉は比較的少ない。
【0074】
以上のことから、この実施形態7では、互いに異なる3種類の周波数を用いる電話用アンテナ115、115C、115Dと、V2X用アンテナ114と同じケース111に収容しつつ、それらのアンテナのアイソレーションを高くすることができる。その結果、本実施形態においても、電話用通信システムと車車間、路車間通信システムとの間の電波干渉が抑制できる。
【0075】
また、車室前端に配置されたアンテナユニット12Aには、上記3本の電話用アンテナ115、115C、115Dと対となる3本の電話用アンテナ122、122C、122Dが備えられている。水平に配置されている電話用アンテナ115と対となる電話用アンテナ122は垂直に配置されていることから、これら電話用アンテナ115、122の組み合わせにより、偏波ダイバーシティ型通信システムである電話用通信システムの通信性能が確保できる。また、垂直に配置されている電話用アンテナ115Dと対となる電話用アンテナ122Dは水平に配置されていることから、これら電話用アンテナ115D、122Dの組み合わせも、電話用通信システムの通信性能が確保できる。
【0076】
最後の電話用アンテナ115C、122Cの組み合わせは、どちらのアンテナも45度の角度であることから、それぞれのアンテナ115C、122Cがそれぞれ水平偏波、垂直偏波をある程度、送受信できる。よって、これら電話用アンテナ115C、122Cの組み合わせも、電話用通信システムの通信性能が確保できる。
【0077】
以上のことから、実施形態7の構成では、電話用通信システムを3種類の周波数で行うための3本の電話用アンテナ115、115C、115DをV2X用アンテナ114と同じケース111に収容しつつも、電話用通信システムの通信性能を確保することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0079】
(変形例1)
実施形態7では、偏波ダイバーシティ型通信システムを行うための3対の電話用アンテナ115、115C、115D、122、122C、122Dを備えていた。しかし、3対に限られず、2対、あるいは、4対以上の偏波ダイバーシティ型通信システムを行うためのアンテナを備えていてもよい。
【0080】
(変形例2)
前述の実施形態では、偏波ダイバーシティ型通信システムとして電話通信システムを例示したが、電話以外の用途の偏波ダイバーシティ型通信システムでもよい。
【0081】
(変形例3)
前述の実施形態では、アンテナユニット12、12Aが備えている電話用アンテナ122、122C、122Dはモノポールアンテナのアンテナエレメントであったが、これに代えてループアンテナを用いてもよい。