【実施例】
【0042】
<試験概要>
次に、本発明の実施例について説明する。実施例では、空隙形成用回転ツールを構成する各要素の形状、大きさ、比率等を変化させて空隙形成方法を行い、形成された空隙を観察した。なお、説明の便宜上、空隙形成用回転ツールを以下単に「ツール」ともいう。
【0043】
実施例では、大きく分けて5種類の試験を行った。ツールの螺旋溝の角度(リード角)の影響を調査する「螺旋溝角度試験」、ショルダー部の外径の影響を調査する「ショルダー部外径試験」、ショルダー部の底面の突条の影響を調査する「突条試験」、攪拌ピンの外径の影響を調査する「攪拌ピン外径試験」、形成された塑性化領域の空隙深さを調査する「空隙深さ試験」を行った。
【0044】
空隙深さ試験においては、A1050合金板を使用し、他の試験においては、A1100合金板を使用した。攪拌ピンに形成された螺旋溝の断面形状は半円形状を呈し、その半径は1.5mmになっている。突条の開始位置(
図1の(b)の距離P1)は3.0mmとし、スクロールピッチ(
図1の(b)の距離P2)は2.5mmとした。
【0045】
空隙形成方法では、前記合金板に回転させたツールを押入し、所定の距離を移動させた。ツールの回転数は800RPMを基本とし、空隙深さ試験では1275RPMでも摩擦攪拌を行ってツールの回転数の影響についても調査した。
【0046】
ツールの移動速度は100mm/min又は、300mm/minで移動させた。また、螺旋溝角度試験においては、移動速度を50〜300mm/minの間で変化させて移動速度との影響についても調査した。
【0047】
さらに、各試験において、金属部材の表面からショルダー部の底面までの隙間(
図2の(a)の距離K)を0mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmと変化させ、単一の金属部材上で摩擦攪拌を行ってそれぞれ形成された空隙を比較した。いずれの合金板(試験体)においても、合金板の中央部を切断して、研磨、エッチングした後、形成された空隙の形状を観察した。また、画像装置を用いて形成された空隙の断面積を計測した。
【0048】
<螺旋溝角度試験>
螺旋溝角度試験では、攪拌ピン3の螺旋溝3aの角度の影響を調査した。
図5に示すように、この試験では三種類のツールNO.S1〜S3を使用した。螺旋溝3aの水平面との角度を、ツールNO.S1では40度、ツールNO.S2では30度、ツールNO.S3では20度に設定した。また、各ツールの螺旋溝の攪拌ピン3の軸方向に対する巻回数は、ツールNO.S1では約0.8周、ツールNO.S2では約1.3周、ツールNO.S3では約2.3周になっている。
【0049】
螺旋溝3aの角度以外の構成は、三種類とも同等であって、ショルダー部2の外径は22mm、攪拌ピン3の基端の外径は10mm、先端の外径は7mm、攪拌ピン3の長さは11mmに設定した。また、いずれのツールもショルダー部2の底面2aに、渦巻き状の突条2bを備えている。突条2bの高さは1mmとした。
【0050】
図6は、螺旋溝角度試験の試験結果を示す金属部材の平面図であって、(a)はツールNO.S1の結果、(b)はツールNO.S2の結果、(c)はツールNO.S3の結果を示す。
図6の(a)、(b)、(c)とも金属部材Z(本体部Z1)の表面Zaに四本の塑性化領域Z2が形成されている。塑性化領域Z2は、図面の上から順番に、金属部材Zの表面Zaからショルダー部2の底面2aまでの隙間が0mmの場合、1.0mmの場合、2.0mmの場合、3.0mmの場合の結果を示している。
図7の(a)は、
図6の(a)のII−II断面図、(b)は
図6の(b)のII−II断面図、(c)は
図6の(c)のII−II断面図である。
【0051】
図6の(a)〜(c)に示すように、隙間0mm、1.0mmの条件では、ショルダー部2の底面2aの全面が塑性流動化された金属と接触して大きなバリVが発生している。隙間2.0mmでは、ショルダー部2の底面2aの全面が塑性流動化された金属と接触しているが、バリVが比較的少なかった。隙間3.0mmでは、塑性流動化して形成された塑性化領域Z2の幅が、ショルダー部2の外径X1(
図1の(a)参照)よりも短かった。
【0052】
ここで、
図6及び
図7に示すように、ツールの回転速度にツールの移動速度が加算される側を「Advancing side」(以下、「Ad側」とも言う)、ツールの回転速度にツールの移動速度が減算される側を「Retreating side」(以下、「Re側」とも言う)とする。本実施形態では、ツールを右回転させつつ、
図6の左から右方向に移動させているため、進行方向左側がAd側、右側がRe側となる。
【0053】
図7の(a)に示すように、ツールNO.S1における空隙Mは、縦に細長い矩形状を呈する。塑性化領域Z2は、空隙Mの上方を覆っているが、その一部は空隙MのRe側の側壁に残存している。
一方、ツールNO.S2及びツールNO.S3において、隙間1.0〜3.0の条件では、略同一形状の空隙Mが形成されており、空隙Mの側壁には塑性流動化された金属が残存せずに、外部に排出されている。
【0054】
ツールNO.S1〜S3では、隙間が大きくなるにしたがって、空隙Mの高さ位置が金属部材Zの上方に移動するとともに、空隙Mの高さも大きくなることがわかった。また、ツールNO.S1〜S3で隙間が大きくなるにしたがって、塑性化領域Z2の断面積が小さくなり、空隙Mの上端から金属部材Zの表面Zaまでの空隙深さDが小さくなることが分かった。
【0055】
また、ツールNO.S2及びツールNO.S3では、形成された空隙Mの幅と攪拌ピン2の先端の外径は略同等であったが、ツールNO.S1では、形成された空隙の幅は攪拌ピン2の先端の外径よりも小さかった。
図7の(a)に示すように、空隙MのRe側の側壁に塑性化領域Z2の一部が残存している。これは、NO.S1ツールの螺旋溝3aの角度と巻回数に起因すると考えられる。
【0056】
ツールNO.S1は、螺旋溝3aの角度が40度と深いため、攪拌ピン3に対する螺旋溝の長さが短い。したがって、塑性流動化された金属が排出されにくいと考えられる。また、ツールNO.1では、螺旋溝3aの巻回数が一周未満であるため、攪拌ピン3に対する螺旋溝3aの位置に偏りが生じている。このため、形成された空隙Mの一方の側壁(ここではRe側)に塑性化された金属が残存すると考えられる。
【0057】
図8は、螺旋溝角度試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。
図7及び
図8に示すように、ツールNO.S2及びツールNO.S3で形成した空隙Mの空隙面積は、略同等であったが、ツールNO.S1で得られた空隙面積は、ツールNO.S2及びツールNO.S3の空隙面積よりも小さかった。
【0058】
また、
図8に示すように、ツールNO.S1〜S3で隙間が増加するにしたがって、空隙面積(空隙Mの断面積)が増加した。要するに、金属部材Zからツールを離して、塑性流動化された金属を掻き出しやすくすると、空隙Mの空隙面積を大きくすることができることがわかった。ツールNO.S1〜S3とも空隙面積の増加割合(グラフの傾き)は、約7mm
2/mmであって攪拌ピン3の先端の外径と略同等になった。
【0059】
図9は、螺旋溝角度試験における空隙面積と隙間との関係を移動速度別に示すグラフである。ツールNO.S1〜S3ともに略同様な結果となったので、
図9では代表例としてツールNO.S2の結果を示している。
図10は、螺旋溝角度試験における空隙面積と移動速度との関係を隙間別に示したグラフである。
図10では、ツールNO.S3で得られた空隙面積と移動速度との関係を示している。
図9及び
図10から明らかなように、空隙面積は、移動速度の変化によってはさほど影響を受けないことがわかった。
【0060】
<ショルダー部外径試験>
ショルダー部外径試験では、ショルダー部2の外径の影響を調査した。
図11に示すように、この試験では三種類のツールNO.T1〜T3を使用した。ショルダー部2の外径を、ツールNO.T1では20mm、ツールNO.T2では18mm、ツールNO.T3では16mmに設定した。ショルダー部2の外径以外の構成は、三種類とも同等であって、攪拌ピン3の基端の外径は10mm、先端の外径は7mm、攪拌ピン3の長さは11mmに設定した。また、いずれのツールもショルダー部2の底面2aに、渦巻き状の突条2bを備えている。突条2bの高さは1mmとした。
【0061】
図12は、ショルダー部外径試験の試験結果を示す金属部材の平面図であって、(a)はツールNO.T1の結果、(b)はツールNO.T2の結果、(c)はツールNO.T3の結果を示す。また、
図13の(a)は
図12の(a)のIII−III断面図、(b)は
図12の(b)のIII−III断面図、(c)は
図12の(c)のIII−III断面図である。なお、
図5の(c)に示すように、前記したツールNO.S3は、ショルダー部2の外径が22mmであり、他の構成がツールNO.T1〜T3と同等であるので、
図6の(c)、
図7の(c)とも対比して考察する。
【0062】
ショルダー部2の外径を小さくすることによって、隙間が2.0mmであってもショルダー部2の底面2aに塑性流動化された金属が接触してRe側からバリVが多く排出されていることがわかった。隙間3.0mmでは、Re側にバリVが排出されているが、ツールNO.T1、ツールNO.T3で塑性化領域Z2の金属が不足して空隙Mに連通する表面欠陥Eが形成された。
【0063】
一方、ショルダー部2の外径が小さくなるにしたがって、空隙Mの高さが増加した。ショルダー部2の外径を小さくすることにより、ショルダー部2の底面2aによって押えられる金属が減少する。このため、塑性流動化された金属が掻き出されやすくなり、空隙Mの高さの増加に繋がったと考えられる。
【0064】
図14及び
図15は、いずれもショルダー部外径試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフであって、
図14は移動速度を100mm/min、
図15は移動速度を300mm/minに設定した場合の結果を示している。
【0065】
図14及び
図15に示すように、全てのツールで隙間が大きくなるにしたがって、空隙面積が増加した。要するに、金属部材Zからツールを離して、塑性流動化された金属を掻き出しやすくすると、空隙Mの空隙面積を大きくすることができることがわかった。ツールNO.S3、ツールNO.T1〜T3とも空隙面積の増加割合(増加の傾き)は、約7mm
2/mmであり攪拌ピン3の先端の外径と同等になった。
【0066】
図16及び
図17は、いずれもショルダー部外径試験における空隙面積とショルダー部の外径との関係を隙間別に示すグラフであって、
図16は移動速度を100mm/min、
図17は移動速度を300mm/minに設定した場合の結果を示している。
【0067】
図16及び
図17に示すように、隙間2.0mmの条件では、ショルダー部2の外径が22mmで得られた空隙面積と、ショルダー部2の外径が20mmで得られた空隙面積とが略同等であった。ショルダー部2の外径が20mmから16mmの範囲では、ショルダー部2の外径が減少するにしたがって、空隙面積が増加した。空隙面積の増加割合(増加の傾き)は、約5mm
2/mmであった。
【0068】
図16に示すように、移動速度が100mm/minで隙間3.0mmの条件では、ショルダー部2の外径が22mmから16mmの範囲でショルダー部2の外径が小さくなるにしたがって、空隙面積が直線的に増加した。これは、ショルダー部2の外径が小さくなるにしたがってショルダー部2からの加圧が減少して、排出される金属が増加するためであると考えられる。
一方、
図17に示すように、移動速度が300mm/minの条件で隙間3.0mmの条件では、ショルダー部2の外径が16mm、18mmで塑性化領域に表面欠陥が発生したので空隙面積が減少した。
【0069】
<突条試験>
突条試験では、ショルダー部2の底面2aに形成された突条2bの影響を調査した。
図18に示すように、この試験では三種類の空隙形成用回転ツールツールNO.S3−1〜S3−3を使用した。突条2bの切欠き部2cの幅を、ツールNO.S3−1では2mm、ツールNO.S3−2では6mmに設定した。ツールNO.S3−3では突条を設けていない。突条2b以外の構成は、三種類とも同等であって、ショルダー部2の外径は22mm、攪拌ピン3の基端の外径は10mm、先端の外径は7mm、攪拌ピンの長さは11mmに設定した。
【0070】
図19は、突条試験の試験結果を示す金属部材の断面図であって、(a)はツールNO.S3−1の結果、(b)はツールNO.S3−2の結果、(c)はツールNO.S3−3の結果を示す。
図20は、突条試験における空隙面積と隙間との関係をツール別に示すグラフである。なお、
図5の(c)に示すように、前記した空隙形成用回転ツールツールNO.S3は、切欠き部2cの無い突条2bを備えており、他の構成がツールNO.S3−1〜S3−3と同等であるので、
図6の(c)、
図7の(c)とも対比して考察する。
【0071】
図7の(c)、
図19の(a)及び
図20に示すように、ツールNO.3、ツールNO.3−1及びツールNO.3−3との空隙面積は略同等であった。ツールNO.3の結果とツールNO.3−3の結果とを対比すると、突条2bの有無では空隙面積の結果に影響が無いことがわかった。しかし、
図7の(c)と
図19の(c)を対比すると、突条2bを有するツールNO.3の空隙Mの方が、形状が整っていることがわかった。これは、突条2bがあることで、攪拌ピン3の基端側の周囲に塑性流動化された金属が集まりやすいことに起因すると考えられる。
【0072】
ツールNO.3−2のように、切欠き部2cの長さが6mmとその長さが比較的大きいと、空隙面積も大きかった。これは、切欠き部2cの長さが大きいと、塑性流動化された金属がショルダー部2の底面2aの半径方向に流れやすくなり、この金属が掻き出されやすくなることに起因すると考えられる。
【0073】
<攪拌ピン外径試験>
攪拌ピン外径試験では、攪拌ピン3の外径を一定にしつつ、外径の大きさを可変させて攪拌ピン3の外径の影響を調査した。
図21に示すように、この試験では4種類の空隙形成用回転ツールツールNO.U1〜U4を使用した。攪拌ピン3の外径を、ツールNO.U1では10mm、ツールNO.U2では12mm、ツールNO.U3では14mm、ツールNO.U4では16mmに設定した。攪拌ピン3の外径以外の構成は、四種類とも同等であって、ショルダー部2の外径は22mm、攪拌ピン3の長さは11mmに設定した。また、いずれのツールもショルダー部2の底面2aに、渦巻き状の突条2bを備えている。突条2bの高さは1mmとした。
【0074】
図22の(d)に示すように、ツールNO.U4の隙間3.0mmの条件では、表面欠陥Eができることがわかった。
図22及び
図23に示すように、ツールNO.U1〜U4で隙間が大きくなるにしたがって空隙面積も大きくなることがわかった。ツールNO.U1〜U3の空隙面積の増加割合(グラフの傾き)は、それぞれのツールの攪拌ピン3の外径に近い値となった。
【0075】
つまり、ツールNO.U1の空隙面積の増加割合(グラフの傾き)は
図23では10mm
2/mm、
図24では10.7mm
2/mm、ツールNO.U2の空隙面積の増加割合は
図23では12.6mm
2/mm、
図24では12.5mm
2/mm、ツールNO.U3の空隙面積の増加割合は
図23では13.7mm
2/mm、
図24では14.4mm
2/mmであった。これは、各ツールとも隙間を1mm大きくすると、攪拌ピン3の外径分空隙Mが増えることになるため、形成される空隙面積も攪拌ピン3の外径分大きくなると考えられる。
【0076】
なお、
図23及び
図24に示すように、移動速度の差異は、空隙面積には影響しないことがわかった。また、
図25に示すように、攪拌ピン3の外径が大きくなるにしたがって、空隙面積も増加するが、その増加傾向は二次関数的であることがわかった。
【0077】
<空隙深さ試験>
空隙深さ試験では、
図3の(a)に示すように、螺旋溝3aが形成されていない平坦面部11を備えた空隙形成用回転ツールを用いて、形成される空隙Mの深さ位置を調査した。
図26に示すように、この試験では3種類の空隙形成用回転ツールを使用した。ツールNO.T2は、比較例であって
図11の(b)で示すツールと同等である。
【0078】
図27の(a)に示すように、ツールNO.T2の螺旋溝部12の高さは、攪拌ピン3の長さと同等であって11.0mmである。
図27の(c)に示すように、ツールNO.T2−1の平坦面部11の高さは3.5mm、螺旋溝部12の高さは7.5mmである。
図28の(a)に示すように、ツールNO.T2−2の平坦面部11の高さは6.0mm、螺旋溝部12の高さは5.0mmである。
【0079】
螺旋溝部12の高さ以外の構成は、三種類とも同等であって、ショルダー部2の外径は18mm、攪拌ピン3の基端の外径は10mm、先端の外径は7mmとした。いずれのツールもショルダー部2の底面2aに、渦巻き状の突条2bを備えている。突条2bの高さは1mmとした。なお、空隙深さ試験では、金属部材Zの表面Zaからショルダー部2の底面2aまでの隙間は0mm、1.0mm、2.0mmの三種類とした。また、各ツールにおいて、800RPMと1275RPMの二種類の回転数で試験を行った。
【0080】
図27は、空隙深さ試験の試験結果を示す断面図であって、(a)及び(b)はツールNO.T2の結果、(c)及び(d)はツールNO.T2−1の結果を示す。
図28は、空隙深さ試験の試験結果を示す断面図であって、(a)及び(b)はツールNO.T2−2の結果を示す。
図29は、空隙深さ試験における空隙深さと平坦面部の高さとの関係を隙間別に表したグラフである。
図30は、空隙深さ試験における空隙深さと平坦面部の高さとの関係を隙間別に表したグラフである。
図29と
図30とはツールの回転数が相違し、
図29に係る試験の回転数は800RPM、
図30に係る試験の回転数は1275RPMである。
【0081】
図29及び
図30に示すように、平坦面部11の高さ(攪拌ピン3の長さ−螺旋溝部12の高さ)が大きくなるほど、空隙深さDも大きくなることがわかった。また、隙間が小さくなるほど空隙深さDが大きくなることがわかった。
図29と
図30とを対比すると、ツールの回転数が高い方が空隙深さDが若干大きくなることがわかった。
【0082】
図31は、空隙深さ試験における空隙面積と隙間との関係を螺旋溝部の高さ別に表したグラフである。
図32は、空隙深さ試験における空隙面積と隙間との関係を螺旋溝部の高さ別に表したグラフである。
図31と
図32とはツールの回転数が相違し、
図31に係る試験の回転数は800RPM、
図32に係る試験の回転数は1275RPMである。
【0083】
図31,32及び
図27,28に示すように、螺旋溝部11の高さが大きくなるほど、空隙面積が大きくなることがわかった。
図31と
図32とを対比すると、ツールの回転数は空隙面積の増減にはほぼ影響がないことがわかった。
以上より、空隙試験によると、平坦面部11の高さを大きくすると、空隙Mを深い位置に形成することができることがわかった。一方、平坦面部11の高さを大きくしすぎると、空隙Mの空隙面積が小さくなってしまうことがわかった。
【0084】
<ショルダー部の外径/攪拌ピンの先端の外径と試験結果との対比>
図33及び
図34は、実施例における各ツールと形成された空隙の状況とを現した表である。「状況」の項目の「○」は空隙Mの状態が良好を示し、「×」は表面欠陥Eが発生している状態を示す。
【0085】
図33及び
図34に示すように、
金属部材Zの表面Zaからショルダー部2の底面2aまでの隙間が0〜2.0mmである場合において、ショルダー部の外径を攪拌ピンの先端の外径で除した値は1.4〜
3.1である場合に、表面欠陥Eが発生せず、空隙Mの状態が概ね良好であった。この値が1.4未満であると、掻き出された金属がショルダー部2の底面2aで押えられないため、表面欠陥Eができやすい。一方、この値が
3.1よりも大きいとショルダー部2から塑性流動化された金属が掻き出されにくくなるため、空隙が潰れやすい。また、この値が、
3.1よりも大きいと摩擦攪拌装置の主軸モータにかかる負荷が大きくなるため好ましくない。