【実施例】
【0029】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0030】
実施例1
ポリアミド系樹脂としてPA66樹脂(東レ製品アミランCM3001-G30)を用い、これを射出成形機を用いて25×60×2mmの平板状に成形した。得られたPA66樹脂平板に、マイクロ波プラズマ装置を用いて、圧力約30Paのヘリウムガス雰囲気下、周波数2.45GHz、出力500W、時間30秒間の条件でマイクロ波方式の低圧プラズマ処理を行った後、圧力約20Paのアセチレンガス雰囲気下、周波数2.45GHz、出力300W、時間1分間の条件でマイクロ波方式の低圧プラズマ処理を行った。
【0031】
次いで、マイクロ波方式低圧プラズマ処理PA66樹脂平板に下記配合の未加硫EPDM組成物の混練物を接合させ、180℃、8分間の加圧加硫を行い、ポリアミド系樹脂-EPDM複合体を得た。
〔EPDM組成物I〕
EPDM(JSR製品EP22) 100重量部
HAFカーボンブラック(キャボットジャパン製品) 50 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品) 1 〃
ダイナプロセスオイル(出光興産製品PW-380) 10 〃
酸化亜鉛(堺化学工業製品) 5 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パークミルD) 3 〃
【0032】
得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体について、ISO 813に対応するJIS K6256(2006)に準拠して90°剥離試験による接着強度とゴム残り面積率の測定を行ったところ、接着強度は4.0 N/mm、ゴム残り面積率は100%であった。
【0033】
実施例2
実施例1において、炭化水素系モノマーとして、アセチレンガスの代わりにエチレンガスを用い、炭化水素系モノマーガスを用いたプラズマ処理時間を1分間から2分間に変更してマイクロ波方式の低圧プラズマ処理を行った。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は3.9N/mm、ゴム残り面積率は100%であった。
【0034】
実施例3
実施例1において、炭化水素系モノマーとして、アセチレンガスの代わりにメタンガスを用い、炭化水素系モノマーガスを用いたプラズマ処理の出力を300Wから500Wに、また処理時間を1分間から6分間に変更してマイクロ波方式の低圧プラズマ処理を行った。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は3.9N/mm、ゴム残り面積率は100%であった。
【0035】
実施例4
実施例1において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりにポリフェニレンサルファイド系樹脂(東ソー製品サスティールPPS GS-30)が、またヘリウムガスの代わりに酸素ガスが用いられた。得られたポリフェニレンサルファイド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は3.8N/mm、ゴム残り面積率は100%であった。
【0036】
実施例5
実施例1において、ポリアミド系樹脂としてPA66樹脂の代わりにPA6T(三井化学製品アーレンA335)が用いられた。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は4.3N/mm、ゴム残り面積率は100%であった。
【0037】
比較例1
実施例1において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりにポリイミド樹脂(三井化学製品アーレンJGN3030)が用いられた。得られたポリイミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は1.1N/mm、ゴム残り面積率は10%であった。
【0038】
比較例2
実施例1において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりにSUS304鋼板が用いられた。得られたSUS304鋼板-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0039】
比較例3
実施例1において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりにアルミニウム板が用いられた。得られたアルミニウム板-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0040】
比較例4
実施例1において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりに真鍮板が用いられた。得られた真鍮板-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0041】
比較例5
実施例1において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂に対して、ヘリウムガス雰囲気下およびアセチレンガス雰囲気下における低圧プラズマ処理がいずれも行われず、表面改質が施されていないPA66樹脂が用いられた。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0042】
比較例6
実施例1において、ヘリウムガス雰囲気下における低圧プラズマ処理が行われなかった。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0043】
比較例7
実施例1において、低圧プラズマ処理が、2枚のAl製平行平板を備えたガラス製真空容器内にPA66樹脂平板を平行平板中に配置し、圧力約30Paのヘリウムガス雰囲気下、周波数40kHz、出力500W、時間1分間の条件で低圧プラズマ処理を行った後、圧力約30Paのアセチレンガス雰囲気下、周波数40kHz、出力300W、時間5分間の条件で高周波方式により低圧プラズマ処理が行われた。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0044】
比較例8
実施例1において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりにポリフェニレンサルファイド系樹脂が用いられた。得られた不活性ガス処理ポリフェニレンサルファイド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0045】
実施例6
実施例1において、EPDM組成物の代わりに下記配合の天然ゴム組成物が用いられた。
〔天然ゴム組成物I〕
天然ゴム 100重量部
HAFカーボンブラック(キャボットジャパン製品) 50 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品) 2.5 〃
ダイナプロセスオイル(PW-380) 10 〃
酸化亜鉛(堺化学工業製品) 3.5 〃
有機過酸化物(パークミルD) 3 〃
【0046】
得られたポリアミド系樹脂-天然ゴム複合体の接着強度は1.5N/mm、ゴム残り面積率は100%であった。
【0047】
実施例7
実施例6において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりにポリフェニレンサルファイド系樹脂が、またヘリウムガスの代わりに酸素ガスが用いられた。得られたポリフェニレンサルファイド系樹脂-天然ゴム複合体の接着強度は1.4N/mm、ゴム残り面積率は100%であった。
【0048】
比較例9
実施例6において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりにSUS304鋼板が用いられた。得られたSUS304鋼板-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0049】
比較例10
実施例1において、パーオキサイド架橋性EPDM組成物の代わりに、下記配合のイオウ加硫性EPDM組成物が用いられた。
〔EPDM組成物II〕
EPDM(JSR製品EP33) 100重量部
HAFカーボンブラック(キャボットジャパン製品) 60 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品) 1 〃
ダイナプロセスオイル(出光興産製品PW-380) 2 〃
酸化亜鉛(堺化学工業製品) 5 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーTT) 1 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーM) 0.5 〃
イオウ 1.5 〃
【0050】
得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0051】
比較例11
実施例1において、パーオキサイド架橋性EPDM組成物の代わりに、下記配合のイオウ加硫性天然ゴム組成物が用いられた。
〔天然ゴム組成物II〕
天然ゴム 100重量部
HAFカーボンブラック(キャボットジャパン製品) 50 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品) 2.5 〃
ダイナプロセスオイル(出光興産製品PW-380) 2 〃
酸化亜鉛(堺化学工業製品) 8 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーMSA-G) 1 〃
イオウ 6 〃
【0052】
得られたポリアミド系樹脂-天然ゴム複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0053】
比較例12
実施例1において、パーオキサイド架橋性非極性EPDM組成物の代わりに、下記配合のパーオキサイド架橋性極性フッ素ゴム組成物が用いられた。
〔フッ素ゴム組成物〕
フッ素ゴム(ダイキン製品ダイエルG901) 100重量部
MTカーボンブラック 20 〃
酸化マグネシウム(協和化学製品マグネシア♯150) 6 〃
水酸化カルシウム 3 〃
トリアリルイソシアヌレート(日本化成製品) 1.8 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B) 0.8 〃
【0054】
得られたポリアミド系樹脂-フッ素ゴム複合体の接着強度は2.3N/mmであったが、ゴム残り面積率は0%であった。
【0055】
比較例13
実施例1において、パーオキサイド架橋性非極性EPDM組成物の代わりに、下記配合のパーオキサイド架橋性極性水素化ニトリルゴム組成物が用いられた。
〔水素化ニトリルゴム組成物〕
水素化ニトリルゴム(日本ゼオン製品ZETPOL 1020) 100重量部
HAFカーボンブラック(キャボットジャパン製品) 50 〃
ステアリン酸(ミヨシ油脂製品) 0.5 〃
酸化亜鉛(堺化学工業製品) 5 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーMBZ) 1 〃
有機過酸化物(パークミルD) 3 〃
【0056】
得られたポリアミド系樹脂-水素化ニトリルゴム複合体の接着強度は0.3N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0057】
比較例14
実施例1において、アセチレンガス雰囲気下における低圧プラズマ処理が行われなかった。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は2.3 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0058】
比較例15
実施例1において、ヘリウムガスの代わりに酸素ガスが用いられ、アセチレンガス雰囲気下における低圧プラズマ処理が行われなかった。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は1.5 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0059】
比較例16
実施例1において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりにポリフェニレンサルファイド系樹脂(サスティールPPS GS-30)が用いられ、アセチレンガス雰囲気下における低圧プラズマ処理が行われなかった。得られたポリフェニレンサルファイド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0060】
比較例17
実施例4において、アセチレンガス雰囲気下における低圧プラズマ処理が行われなかった。得られたポリフェニレンサルファイド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0061】
比較例18
実施例6において、アセチレンガス雰囲気下における低圧プラズマ処理が行われなかった。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0.4 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0062】
比較例19
実施例6において、ヘリウムガスの代わりに酸素ガスが用いられ、アセチレンガス雰囲気下における低圧プラズマ処理が行われなかった。得られたポリアミド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0.2 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0063】
比較例20
実施例6において、ポリアミド系樹脂であるPA66樹脂の代わりにポリフェニレンサルファイド系樹脂(サスティールPPS GS-30)が用いられ、アセチレンガス雰囲気下における低圧プラズマ処理が行われなかった。得られたポリフェニレンサルファイド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。
【0064】
比較例21
実施例7において、アセチレンガス雰囲気下における低圧プラズマ処理が行われなかった。得られたポリフェニレンサルファイド系樹脂-EPDM複合体の接着強度は0 N/mm、ゴム残り面積率は0%であった。