特許第5874885号(P5874885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5874885
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】医療用ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   A61M25/09 516
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-50010(P2015-50010)
(22)【出願日】2015年2月24日
【審査請求日】2015年5月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503338228
【氏名又は名称】株式会社エフエムディ
(72)【発明者】
【氏名】寺師 剛
(72)【発明者】
【氏名】志村 誠司
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0249654(US,A1)
【文献】 特開2013−000268(JP,A)
【文献】 特開2012−034922(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/106848(WO,A1)
【文献】 特開2015−024019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有する芯線の芯線先端部を外側コイルへ貫挿し、
前記外側コイルの先端と前記芯線先端部の先端と接合して先端接合部とし、前記外側コイルの後端と前記芯線先端部の後端と接合して外側コイル後端接合部とした医療用ガイドワイヤであって、
前記芯線先端部は、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体で、1個の截頭円錐体は、長手方向の長さが後端側の前記截頭円錐体から先端側の前記截頭円錐体へ向かって徐変減少し、かつ、後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)が、後端側の前記截頭円錐体から先端側の前記截頭円錐体へ向かって徐変増大し、
前記連接截頭円錐体の最大外径がD0で、最小外径がD1で、全長がLで、最大外径D0の横断面の中心位置から先端へ、任意の位置Xの位置における前記連接截頭円錐体の外径をDmとし、任意の位置Xが0<X<Lの関係にある場合に、前記連接截頭円錐体の外径Dmは、Dm>{D0−(D0−D1)X/L}の関係式を満たすことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
【請求項2】
前記外側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大部と先端径小部を備え、前記外側コイルの後端径大部の外径をB1、先端径小部の外径をB2、前記連接截頭円錐体の最先端の截頭円錐体の後端の径大外径をD2とした場合に、前記連接截頭円錐体の最先端の截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の最小外径D1との外径比(D2/D1)は、前記外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}ことを特徴とする請求項1記載の医療用ガイドワイヤ。
【請求項3】
後端側から先端側へ向かって後端径大部と先端径小部とを備えた内側コイルを、前記芯線先端部の外側で前記外側コイルの内側に、前記外側コイルよりも長手方向の長さが短く同心状に配置して、前記内側コイルの先端径小部の先端と前記芯線先端部の先端と接合して先端接合部とし、前記内側コイルの後端径大部の後端と前記芯線先端部と接合して内側コイル後端接合部とした請求項2記載の医療用ガイドワイヤであって、
前記連接截頭円錐体は、後端側から先端側へ第1截頭円錐体と第2截頭円錐体から成り、前記第2截頭円錐体の少なくとも1部は前記内側コイル内へ配置され、
前記第2截頭円錐体の後端の径大外径をD2、先端の最小外径をD1、前記内側コイルの後端径大部の外径をA1、先端径小部の外径をA2とした場合に、前記第2截頭円錐体の外径比(D2/D1)は、前記第1截頭円錐体の外径比(D0/D2)よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、
前記第2截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、前記内側コイルの外径比(A1/A2)と、前記外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たすことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
【請求項4】
請求項3記載の医療用ガイドワイヤであって、
前記外側コイルと前記内側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大等径部と中間テーパ部と先端径小等径部を備え、
前記外側コイルの中間テーパ部と前記内側コイルの中間テーパ部とを重複する位置に配置して、
前記外側コイルと前記内側コイルの先端径小等径部の先端と前記芯線先端部の先端と接合して先端接合部とし、前記外側コイルの後端径大等径部の後端と前記芯線先端部の後端と接合して前記外側コイル後端接合部とし、前記内側コイルの後端径大等径部の後端と前記芯線先端部と接合して前記内側コイル後端接合部とし、
前記外側コイルの後端径大等径部と、前記内側コイルの後端径大等径部と、前記第2截頭円錐体の後端側とを一体接合した中間接合部を設けたことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
【請求項5】
請求項〜4のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤであって、前記連接截頭円錐体の最先端の截頭円錐体の外径比(D2/D1)が1.50以上4.20以下、前記内側コイルの外径比(A1/A2)が1.15以上2.80以下、前記外側コイルの外径比(B1/B2)が1.10以上1.80以下であることを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、血管病変部治療用等に用いられる医療用ガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来血管の狭窄部、及び、完全閉塞部等の血管病変部治療に際して、先端部に単一のコイルスプリング等を設けた医療用ガイドワイヤ(以下ガイドワイヤという)を用い、又は、芯線を貫挿した内側コイルの外側に、内側コイルと同心状の外側コイルの二層構造から成るコイルスプリングを設けたガイドワイヤを用いて、先端部を病変部まで到達させて血管の狭窄部、及び、完全閉塞部等の血管病変部の拡径治療を行っている。
【0003】
かかる場合において、ガイドワイヤを血管病変部内へ貫通させる為、手元側(後端側)から先端側への高度の、回転伝達性能と穿孔性能と繰り返し耐疲労特性を必要とする。
【0004】
特許文献1には、先端部のコイルスプリングよりも後端側の芯線の曲げ剛性等の特性に関するガイドワイヤが記載されている。
【0005】
特許文献2には、先端部のコイルスプリングが同心状の内側コイルと外側コイルの二層構造から成るガイドワイヤが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4623906号公報
【特許文献2】特開平8−317989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のガイドワイヤは、芯線がステンレス鋼、又は、ニッケルチタンの超弾性金属から成り、先端部のコイルスプリングよりも後端側の芯線が長手方向に曲げ剛性が線形に変化して急激な抵抗感をなくし、術者の操作性を向上させる技術内容である。
【0008】
特許文献2に記載のガイドワイヤは、放射線不透過の線材から成る内側コイルと、ステンレス、形状記憶合金等から成る外側コイルとの二層構造から成り、主にばね用弾性材料から成る芯線を用いて先端側への回転伝達性能を向上させる技術内容である。
【0009】
そして、特許文献1、2のいずれについても本発明のようなコイル内の芯線が連接截頭円錐体の構造を備えることにより、後端側の回転角度を減少させ、先端側へのねじり力を増大させて先端側への高度の回転伝達性能と完全閉塞病変部での穿孔性能を向上させた技術内容については、何ら記載されていない。これらの性能は、血管病変部でガイドワイヤを通過させる為の重要な技術課題である。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、血管病変部での通過性を飛躍的に向上させるガイドワイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する為、本発明のガイドワイヤは、後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有する芯線の芯線先端部を外側コイル内へ貫挿する。外側コイルと芯線先端部とは、外側コイルの先端と芯線先端部の先端と接合して先端接合部とし、外側コイルの後端と芯線先端部の後端と接合して外側コイル後端接合部とする。
【0012】
又、芯線先端部は、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体とし、1個の截頭円錐体は長手方向の長さが後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変減少し、かつ、後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)が、後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変増大する。
【0013】
そして、連接截頭円錐体の最大外径をD0、最小外径をD1、全長がL、最大外径D0の横断面の中心位置から先端へ、任意の位置Xにおける連接截頭円錐体の外径をDmとし、任意の位置Xが0<X<Lの関係にある場合に、連接截頭円錐体の外径Dmは、
Dm>{D0−(D0−D1)X/L}の関係式を満たすことを特徴とする。
【0014】
外側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大部と先端径小部を備え、外側コイルの後端径大部の外径をB1、先端径小部の外径をB2、連接截頭円錐体の最先端の截頭円錐体の後端の径大外径をD2とした場合に、連接截頭円錐体の最先端の截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の径小外径をD1との外径比(D2/D1)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。
【0015】
内側コイルは、後端側から先端側へ向かって、後端径大部と先端径小部を備える。内側コイルを、芯線先端部の外側で、外側コイルの内側に、外側コイルよりも長手方向の長さが短く同心状に配置する。又、内側コイルの先端径小部の先端と芯線先端部の先端と接合して先端接合部とし、内側コイルの後端径大部の後端と芯線先端部と接合して内側コイル後端接合部とする。
【0016】
連接截頭円錐体は、後端側から先端側へ第1截頭円錐体と第2截頭円錐体から成り、第2截頭円錐体の少なくとも1部は内側コイル内へ配置され、第2截頭円錐体の後端の径大外径をD2、先端の最小外径をD1、内側コイルの後端径大部の外径をA1、先端径小部の外径をA2とした場合に、第2截頭円錐体の外径比(D2/D1)は、第1截頭円錐体の外径比(D0/D2)よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、第2截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、内側コイルの外径比(A1/A2)と、外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たす。
【0017】
外側コイルと内側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大等径部と中間テーパ部と先端径小等径部を備え、外側コイルの中間テーパ部と内側コイルの中間テーパ部とを重複する位置に配置する。
外側コイルと内側コイルの先端径小等径部の先端と芯線先端部の先端と接合して先端接合部とし、外側コイルの後端径大等径部の後端と芯線先端部の後端と接合して外側コイル後端接合部とし、内側コイルの後端径大等径部の後端と芯線先端部と接合して内側コイル後端接合部とする。
外側コイルの後端径大等径部と、内側コイルの後端径大等径部と、第2截頭円錐体の後端側(径大側)とを一体接合した中間接合部を設ける。
【0018】
連接截頭円錐体の最先端の截頭円錐体の外径比(D2/D1)が1.50以上4.20以下、内側コイルの外径比(A1/A2)が1.15以上2.80以下、外側コイルの外径比(B1/B2)が1.10以上1.80以下である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のガイドワイヤは、外側コイル内を貫挿する芯線先端部は、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体で、1個の截頭円錐体は、長手方向の長さが後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変減少し、かつ、後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)が、後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変増大する。
この理由は、後端側から先端側へ向かって回転操作による手元側の回転角度を低減させて、先端側へのねじりモーメントを増大させる芯線先端部の構造を得る為である。
【0020】
そして、連接截頭円錐体の外径は、一定の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、芯線先端部が細径の先細り形状でありながら最先端の截頭円錐体の外径比を後端側の截頭円錐体の外径比よりも高い値とする為である。
これにより、回転操作による手元側の回転角度を減少させて先端側へのねじりモーメントを増大させることができ、閉塞病変部の穿孔性能を飛躍的に向上させることができる。
【0021】
外側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大部と先端径小部を備え、外側コイルの後端径大部の外径をB1、先端径小部の外径をB2、連接截頭円錐体の最先端の截頭円錐体の後端の径大外径をD2とした場合に、連接截頭円錐体の最先端の截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の最小外径D1との外径比(D2/D1)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。
これにより、外側コイル内の芯線先端部の細径に伴うねじり力の低下分を外側コイルを先細り形状とすることにより補完し、細径の芯線先端部でありながら最先端の截頭円錐体の外径比を高めることにより、先端側へのねじりモーメントの増大を図り、先細り形状の外側コイルとの併用により、先端側への回転伝達性をより高めることができる。
【0022】
外側コイルと内側コイルは、後端側から先端側へ向かって、後端径大部と先端径小部を備える。この内側コイルを芯線先端部の外側で、外側コイルの内側に、外側コイルよりも長手方向の長さが短く同心状に配置する。又、内側コイルの先端径小部の先端と芯線先端部の先端と接合して、外側コイルの先端径小部の先端と共に先端接合部とし、内側コイルの後端径大部の後端と芯線先端部と接合して内側コイル後端接合部とする。
【0023】
連接截頭円錐体は、後端側から先端側へ第1截頭円錐体と第2截頭円錐体から成り、第2截頭円錐体の少なくとも1部は内側コイル内へ配置され、第2截頭円錐体の後端の径大外径をD2、先端の最小外径をD1、内側コイルの後端径大部の外径をA1、先端径小部の外径をA2とした場合に、第2截頭円錐体の外径比(D2/D1)は、第1截頭円錐体の外径比(D0/D2)よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、
第2截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、内側コイルの外径比(A1/A2)と、外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たす。
この理由は、内側コイルを外側コイルと共に先細り形状とし、外径比を外側コイルから内側コイルへ高めることにより、内側コイル内の芯線先端部の細径に伴うねじり力の低下分を、より補完し、細径の芯線先端部でありながら最先端の第2截頭円錐体の外径比を最も大きくすることにより、先端側へのねじりモーメント増大を図り、先細り形状の外側コイルと内側コイルとの併用により、先端側への回転伝達性をさらに高める為である。
これにより、手元側の回転角度をより低減させ、芯線先端部の連接截頭円錐体の曲げ剛性と耐座屈強度を向上させ、先端側へのねじりモーメントを増大させて、完全閉塞病変部の穿孔性能を飛躍的に向上させることができる。
【0024】
外側コイルと内側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大等径部と中間テーパ部と先端径小等径部を備え、外側コイルの中間テーパ部と内側コイルの中間テーパ部とを重複する位置に配置する。
この理由は、外側コイルと内側コイルとが共に重複する位置の中間テーパ部で、同軸上の先細りの概ね同一形状となり、双方のコイルによる径大側の後端側から径小側の先端側への回転伝達性をより向上させ易い構造となるからである。
【0025】
又、外側コイルと内側コイルの先端径小等径部の先端と、芯線先端部の先端と接合して先端接合部とし、外側コイルの後端径大等径部の後端と芯線先端部の後端と接合して外側コイル後端接合部とし、内側コイルの後端径大等径部の後端と芯線先端部と接合して内側コイル後端接合部とし、外側コイルの後端径大等径部と、内側コイルの後端径大等径部と、第2截頭円錐体の後端側とを一体接合した中間接合部を設ける。
この理由は、径大側の外側コイルと径大側の内側コイルと径大側の第2截頭円錐体とを一体接合した中間接合部を設けることにより、一体化した回転力を先端側へ伝え、径小側の先端側への回転伝達性をさらに向上させることができるからである。
【0026】
連接截頭円錐体の最先端の截頭円錐体の外径比(D2/D1)が1.50以上4.20以下、内側コイルの外径比(A1/A2)が1.15以上2.80以下、外側コイルの外径比(B1/B2)が1.10以上1.80以下で、最先端の截頭円錐体の外径比(D2/D1)は、内側コイルの外径比(A1/A2)よりも大きく、内側コイルの外径比(A1/A2)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい。
この理由は、前記範囲を下回れば、後端側から先端側へ向かって回転操作による手元側の回転角度は増大し、先端側へのねじりモーメントは低下して狭窄部、及び、完全閉塞病変部を通過させることは困難となる。又、前記範囲を上回れば、手元側の回転角度は減少するが高いねじりモーメントの発生により、特に、内側コイルと接合する細径の芯線、及び、細径の内側コイルのコイル線自体のねじり強度が不足して、この高いねじりモーメントに耐えきれずにコイルが蛇行し始めて、先端側への回転伝達性能の低下を招くからである。
そして又、治療する部位(心臓血管治療用、又は、下肢血管治療用等)と、血管内径と、拡径治療に用いる各医療用具(ガイディングカテーテル、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル等)の実用寸法を併せ考慮したからである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態のガイドワイヤの全体を示す一部切欠き側面図である。
図2】2個の截頭円錐体が連接する連接截頭円錐体を備えたガイドワイヤの先端部を示す一部切欠き側面図である。
図3】3個の截頭円錐体が連接する第2実施形態の連接截頭円錐体を示す側面図である。
図4】2個の截頭円錐体が連接する連接截頭円錐体の外径比と、仮想の単一截頭円錐体の外径との関係式を示す説明図である。
図5】本発明の第3実施形態のガイドワイヤの先端部を示す一部切欠き側面図である。
図6】本発明の第4実施形態のガイドワイヤの先端部を示す一部切欠き側面図である。
図7】本発明の外側コイルと内側コイルの他の実施形態を示す。
【本発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明のガイドワイヤの実施形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態のガイドワイヤ1を示し、図1は、全体図を示し、図2は、先端部の要部を示している。ガイドワイヤ1は、芯線2と、外側コイル3と、ふっ素樹脂被膜6と、親水性樹脂被膜7を有する。芯線2は、芯線後端部2Aと芯線先端部2Bとを有し、後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有している。
外側コイル3は、芯線先端部2Bが貫挿し、接合部材を用いて外側コイル3の先端と芯線先端部2Bの先端と接合して先丸形状の先端接合部5Aを形成し、外側コイル3の後端と芯線先端部2Bの後端と接合して外側コイル後端接合部5Bを形成している。ふっ素樹脂被膜6は、後端側の太径の芯線後端部2Aの外周に形成されている。親水性樹脂被膜7は、外側コイル3の外周に形成されている。尚、本発明のガイドワイヤ1は、長さに比べて直径が極めて小さな値となっている。この為、本発明のガイドワイヤ1は、縦横の縮尺率を同じにすると所定のエリアに図示することが困難となる為、一部を誇張したり、省略したりして図示している。
【0030】
芯線2は、後端側から先端側へ向かって、第1等径部21、第1テーパ部22、第2等径部23、第2テーパ部24、第3等径部25、第1截頭円錐体26Aと第2截頭円錐体26Bとを連接させた連接截頭円錐体26、第4等径部27の順に、外径が0.3556mm(0.014インチで心臓血管治療用)から0.060mmへ徐変縮径する。
連接截頭円錐体26は、径大側の後端の外径0.180mmから径小側の先端の外径0.060mmへ徐変縮径する。外側コイル3の外側コイル後端接合部5Bは、第1截頭円錐体26Aの径大側の後端と、ろう材等の手段を用いて接合されている。
【0031】
芯線2は、ステンレス鋼線、Ni−Ti合金線等が用いられる。例えば、特開2002−69586に示すように伸線加工と焼きなまし処理を繰り返して得られた高強度のステンレス鋼線が用いられる。又は、特開2002−69555に示すように所定条件下で熱処理を施して製造されるNi−Ti合金線等が用いられる。好ましくは、引張強さが2200MPa以上3500MPa以下のオーステナイト系ステンレス鋼線が用いられる。
この理由は、縮径伸線加工により引張強さを容易に向上できるとともに、後述する連接截頭円錐体26の形状のセンターレス研削加工が容易になるからである。尚、ここでいう連接截頭円錐体26とは、1本の線材を用いて研削加工等を行い、截頭円錐体の形状を複数個長手方向へ設けた構造体のことをいう。又、芯線先端部2Bと芯線後端部2Aとは、異なる線材を溶接接合した芯線2としてもよく、例えば前記芯線の材質等の組合せ(具体的には、芯線後端部2Aがステンレス鋼線で、芯線先端部2BがNi−Ti合金線)等である。
【0032】
外側コイル3は、外径B1が0.330mmの等径で、長手方向の長さが160mm、コイル線の線直径t1は0.060mm、1本又は複数本の線材を巻回成形したコイルである。先端側の外側第1コイル31は、金、白金、又は金、白金にニッケル等を含む放射線不透過の線材を巻回成形したコイルから成り、長手方向の長さが40mmで疎巻き状とし、線間間隙は線直径t1の1.20倍以上1.90倍以下である。又、長手方向の長さが40mmのうち、後端側の20mmが密巻き状、先端側の20mmが疎巻き状としてもよい。後端側の外側第2コイル32は、ステンレス鋼線の放射線透過の線材から成り、長手方向の長さが120mmの密巻き状に巻回成形したコイルである。
【0033】
外側第1コイル31と外側第2コイル32とは、コイル線をねじ込み、中間接合部5Dにて、ろう材等の手段を用いて接合している。又、ねじ込み接合の代わりに、コイル線どうしを溶接等の手段を用いて接合させてもよい。尚、外側第2コイル32のコイル線の材質は、ステンレス鋼線のうち、引張強さが2200MPa以上3500MPa以下のオーステナイト系ステンレス鋼線を用いることが望ましい。この理由は、高強度の引張強さを有するコイル線を得て密巻き状に巻回成形することにより、高いねじり応力と高い初張力により耐疲労特性を向上させることができるからである。
又、外側コイル3は、金、白金、又は金、白金にニッケル等を含む放射線不透過の材質の線材を1本、又は複数本用いて、全長の3/4以上7/8以下の後端側が密巻き状で、残りの部分の先端側が疎巻き状で巻回成形して用いてもよい。
【0034】
図2及び図3は、形状の異なる芯線先端部2B、2Cを示し、図2は截頭円錐体が2個の連接截頭円錐体26を有する第1実施形態の芯線先端部2Bを示し、図3は截頭円錐体が3個の場合の第2実施形態の芯線先端部2Cを示している。尚、芯線先端部2Cを除き、他の仕様は第1実施形態と同様であり、同一構成部材には同一符号が付してある。
図2において、芯線先端部2Bは、後端側から先端側へ連接截頭円錐体26と第4等径部27から成る。連接截頭円錐体26は、長手方向の長さL1が100mm、径大外径(連接截頭円錐体26の最大外径)D0が0.180mm、径小外径D2が0.125mmの第1截頭円錐体26Aと、長手方向の長さL2が50mm、第2截頭円錐体26Bからみて径大外径D2が0.125mm、径小外径(連接截頭円錐体26の最小外径)D1が0.060mmの第2截頭円錐体26Bの2個の截頭円錐体から成る。第4等径部27は、長手方向の長さL0が10mm、外径が0.060mmである。尚、芯線先端部2Bに第4等径部27は設けても設けなくてもいずれでもよく、最先端部の柔軟性、屈曲変形性等を重視する場合には設けて、最先端の穿孔能力を重視する場合には設けないほうが好ましい。いずれを選択するかは病変部の症状による。
【0035】
第1截頭円錐体26Aの長手方向の長さL1は100mm、第2截頭円錐体26Bの長手方向の長さL2は50mm、後端側から先端側へ減少し(L1>L2)、かつ、第1截頭円錐体26Aの外径比D0/D2は1.44で、第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1は約2.08で、後端側から先端側へ増大する{(D0/D2)<(D2/D1)}。
【0036】
図3において、芯線先端部2Cは、第1〜3截頭円錐体26A、26B、26Cを連接した連接截頭円錐体30から成る。第1截頭円錐体26Aは、後端側から先端側へ長手方向の長さがL1(mm)で、径大外径がD0(mm)で、径小外径がD3(mm)である。第2截頭円錐体26Bは、長手方向の長さがL2(mm)、径大外径がD3(mm)、径小外径がD2(mm)である。第3截頭円錐体26Cは、長手方向の長さがL3(mm)、径大外径がD2(mm)、径小外径がD1(mm)である。尚、図2に示す第4等径部27は設けていない。
【0037】
連接截頭円錐体30の各截頭円錐体26A、26B、26Cの長手方向の長さL1、L2、L3は、後端側から先端側へ徐変減少し(L1>L2>L3)、かつ、各截頭円錐体26A、26B、26Cの外径比(D0/D3)、(D3/D2)、(D2/D1)は後端側から先端側へ徐変増大する{(D0/D3)<(D3/D2)<(D2/D1)}。
【0038】
このように、本発明の芯線先端部2B、2Cは、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体26、30であり、1個の截頭円錐体の長手方向の長さは、第1截頭円錐体26Aから第2截頭円錐体26Bへ、さらに第3截頭円錐体26Cへ、後端側から先端側の截頭円錐体へ徐変減少し、かつ、1個の截頭円錐体の後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)は、後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変増大することを特徴とする。
この理由は、後端側の回転角度を減少させて先端側へのねじりモーメントの増大を図り、先端側への高度の回転伝達性能により、狭窄部、及び、完全閉塞病変部での穿孔性能を向上させる為である。
【0039】
より詳しくは、先端の回転角度が同一のとき、後端側の回転角度を低減させることができる。この理由は、後端側の回転角度、つまり、ねじり角はねじり剛性が高い程減少し、ねじり剛性は横弾性係数と断面二次モーメントの積で表すことができ、連接截頭円錐体26、30の構造のほうが図2及び図3において二点鎖線で示した仮想の単一截頭円錐体260の構造よりも断面二次モーメントが高いからである。
【0040】
又、後端側を押し引き操作させる際に、先端の曲げ剛性と耐座屈強度向上させることができる。この理由は、曲げ剛性は、縦弾性係数と断面二次モーメントの積で表すことができ、連接截頭円錐体26、30の構造のほうが単一截頭円錐体260の構造よりも断面二次モーメントが高いからである。又、圧縮応力は横断面の面積に反比例し、横断面の面積が増大すれば圧縮応力は低下する。連接截頭円錐体26、30の、特に節部28(芯線外径が他に比較して大きく変化する位置)の横断面積は、単一截頭円錐体260の節部28と同一位置における横断面積よりも大きく、圧縮応力は低い値となる。
従って、長手方向に押し引き操作した場合に、特に横断面積が増大した節部28の存在により、連接截頭円錐体26、30の構造のほうが単一截頭円錐体260の構造よりも耐座屈強度を向上させることができるからである。
【0041】
図4は、本発明の芯線先端部2Bの連接截頭円錐体26の外径と、仮想の単一截頭円錐体260の外径の関係式を示す説明図である。
実線は、本発明の第1実施形態の截頭円錐体が2個の場合の連接截頭円錐体26を示し、二点鎖線は、関係式を説明する為の仮想の単一截頭円錐体260を示す。尚、第4等径部27は省略している。
連接截頭円錐体26の最大外径がD0(mm)、最小外径がD1(mm)、全長がL(mm)である。又、連接截頭円錐体26の最大外径D0(mm)の横断面の中心位置から先端へ、任意の位置をX(mm)として、任意の位置X(mm)が0mmを超えてLmmを下回る関係(0<X<L)にある場合で、任意の位置X(mm)における連接截頭円錐体26の外径をDm(mm)とし、仮想の単一截頭円錐体260の外径をDx(mm)とした場合に、
外径Dx(mm)は、
Dx=D0−(D0−D1)X/L ・・・(1)
の関係式(1)で表すことができる。
そして、任意の位置X(mm)における連接截頭円錐体26の外径Dm(mm)は、外径Dx(mm)よりも大きいことから(Dm>Dx)、
Dm>{D0−(D0−D1)X/L} ・・・(2)
の関係式(2)で表すことができる。
【0042】
本発明は、芯線先端部2B、2Cが前記関係式(2)を満たすことを特徴とする。この理由は、後端側の回転角度を低減させ、先端の曲げ剛性と耐座屈強度を向上させ、先端のねじりモーメントを増大させて病変部での穿孔性能と耐疲労特性を、より向上させる芯線先端部2B、2Cの構造を得ることができるからである。
【0043】
次に、図5は第3実施形態のガイドワイヤ11を示し、第1実施形態のガイドワイヤ1と異なるところは、外側コイル30が後端側から先端側へ向かって先細り形状である。尚、ふっ素樹脂被膜6と親水性樹脂被膜7は省略している。
外側コイル30は、後端径大等径部(後端径大部)311の外径B1が0.330mm、長手方向の長さが125mm、中間テーパ部312の外径が0.330mmから0.260mmへ徐変減少し、長手方向の長さが20mm、先端径小等径部(先端径小部)313の外径B2が0.260mmで長手方向の長さが15mmである。コイル線の線直径t1の材質は、前記第1実施形態と同様で、外側第2コイル320は放射線透過の線材で、外側第1コイル310は放射線不透過の線材であり、外側コイル30の後端径大等径部(後端径大部)311と中間テーパ部312は密巻き状で、先端径小等径部(先端径小部)313は、前記第1実施形態の外側コイル3の外側第1コイル31と同様に、疎巻き状に巻回成形したコイルである。尚、先端径小等径部(先端径小部)313は、後端側が密巻き状で先端側が疎巻き状に巻回成形したコイルとしてもよい。
【0044】
外側コイル30の後端径大等径部(後端径大部)311の外径B1と、先端径小等径部(先端径小部)313の外径B2との外径比B1/B2は、心臓血管治療用に用いられているガイドワイヤの外径0.3556mm(0.0014インチ)を考慮した場合、1.10から1.50で、又、下肢血管治療用に用いられているガイドワイヤの最大外径0.4572mm(0.018インチ)の場合を考慮すると、外径比B1/B2は1.10以上1.80以下である。
そして、心臓血管治療用と下肢血管治療用との双方を併せ考慮すると、外径比B1/B2は1.10以上1.80以下で、好ましくは1.15以上1.80以下である。第3実施形態の外側コイル30の外径比B1/B2は、約1.27である。
【0045】
そして、連接截頭円錐体26の最先端の第2截頭円錐体26Bの後端の径大外径D2と先端の径小外径D1の外径比D2/D1は、外側コイル30の外径比B1/B2よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。第3実施形態では、外側コイル30の外径比B1/B2が約1.27であり、最先端の第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1が約2.08であることから最先端の第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1は、外側コイルの外径比B1/B2よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。この理由は、先端側へ先細り形状の外側コイル30とすることにより、外側コイル30内の芯線先端部2Bの細径に伴うねじり力の低下分を補完することができるからである。
そして又、細径の芯線先端部2Bでありながら最先端の第2截頭円錐体26Bの後端と先端の外径比D2/D1を最も大きくすることにより、先端側へのねじりモーメント増大を図り、先細り形状の外側コイル30との併用により、先端側への回転伝達性をより高めることができるからである。
【0046】
次に、図6は、第4実施形態のガイドワイヤ111を示し、前記第3実施形態のガイドワイヤ11と異なるところは、外側コイル30の内側に、長手方向の長さが短く、かつ、同心状で、後端側から先端側へ向かって先細り形状の内側コイル4を配置していることである。尚、ふっ素樹脂被膜6と親水性樹脂被膜7は省略している。内側コイル4は、芯線先端部2Bが貫挿し、接合部材等を用いて外側コイル30の先端と芯線先端部2Bの先端と接合して先丸形状の先端接合部5Aを形成し、内側コイル4の後端と芯線先端部2Bと接合して内側コイル後端接合部5Cを形成する。中間接合部5Eは、内側コイル4と外側コイル30と芯線先端部2Bと一体接合している。尚、中間接合部5Eは、内側コイル4と芯線先端部2Bとの接合、又は、内側コイル4と外側コイル3との接合としてもよい。
【0047】
内側コイル4は、後端径大等径部(後端径大部)411の外径A1は0.185mmで長手方向の長さが20mm、中間テーパ部412の外径は0.185mmから0.130mm先端側へ徐変縮径して長手方向の長さが20mm、先端径小等径部(先端径小部)413の外径A2は0.130mmで長手方向の長さは15mm、又、コイル線の線直径t2が0.030mmで、1本又は複数本の線材を用いて後端径大等径部(後端径大部)411と中間テーパ部412は密巻き状で、先端径小等径部(先端径小部)413は前記第3実施形態の外側第1コイルの先端側と同様に疎巻き状、又は後端側が密巻き状で先端側が疎巻き状に巻回成形したコイルである。
内側コイル4のコイル線は、前記外側第1コイル31のコイル線と同様に放射線不透過の線材を用いてもよく、放射線不透過の線材を用いる場合には、Ptが90重量%以上96重量%以下で残部がNiのPtとNiの合金が望ましい。Ni成分を含む理由は、Ptのみの場合と比較して縦弾性係数を向上させることができるからである。又、より好ましくは、放射線透過のステンレス鋼の線材を用いることであり、この場合には前記外側第2コイル32と同様に引張強さが2200MPa以上3500Mpa以下のオーステナイト系ステンレス鋼線がより好ましい。この理由は、PtとNi合金よりも縦弾性係数が高いからである。
【0048】
内側コイル4の後端径大等径部(後端径大部)411の外径A1と、先端径小等径部(先端径小部)413の外径A2との外径比A1/A2は、心臓血管治療用に用いられているガイドワイヤの外径0.3556mm(0.014インチ)を考慮した場合、1.15以上1.70以下で、下肢血管治療用に用いられているガイドワイヤの最大外径0.4572mm(0.018インチ)の場合を考慮すると、外径比A1/A2は1.15以上2.80以下である。
そして、心臓血管治療用と下肢血管治療用との双方を併せ考慮すると、外径比A1/A2は1.15以上2.80以下で、好ましくは1.15以上2.75以下で、より好ましくは1.25以上2.75以下である。第4実施形態の内側コイル4の外径比A1/A2は約1.42である。
【0049】
そして、連接截頭円錐体26の最先端の第2截頭円錐体26Bの後端の径大外径D2と先端の径小外径D1の外径比D2/D1は、第1截頭円錐体26Bの外径比D0/D2よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1と、内側コイルの外径比A1/A2と、外側コイルの外径比B1/B2とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)・・・(3)
の関係式(3)を満たす。
【0050】
第4実施形態では、第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1が約2.08であり、第1截頭円錐体26Aの外径比D0/D2が1.44であることから第2截頭円錐体26Bの外径比D2/D1は、第1截頭円錐体26Aの外径比D0/D2よりも大きく(約2.08>1.44)、かつ、内側コイル4の外径比A1/A2が約1.42であり、外側コイル30の外径比B1/B2が約1.27であることから第2截頭円錐体の外径比D2/D1と、内側コイル4の外径比A1/A2と、外側コイル30の外径比B1/B2とは、約2.08>約1.42>約1.27となって(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式(3)を満たしている。
このように関係式(3)を満たすこととする理由は、先端側へ先細り形状の内側コイル4とし、先細り形状の外側コイル30と先細り形状の内側コイルとの併用により、内側コイル4内の芯線先端部2Bの第2截頭円錐体26Bの、細径に伴うねじり力の低下分を、より補完することができるからである。
そして、細径の第2截頭円錐体26Bでありながら、第2截頭円錐体26Bの後端と先端の外径比D2/D1を最も大きくすることにより、先端側へのねじりモーメント増大を図り、共に、先細り形状の内側コイル4と外側コイル30との併用により、先端側への回転伝達性をさらに高めることができるからである。
これにより、芯線の手元側の回転角度を低減させ、芯線先端部2Bの連接截頭円錐体26の先端の曲げ剛性と耐座屈強度を向上させ、先端側へのねじりモーメントを増大させて、完全閉塞病変部の穿孔性能を飛躍的に向上させることができる。
【0051】
又、中間接合部5Eは、ろう材等の接合部材を用いて幅0.2mm以上1.5mm以下で、第2截頭円錐体26Bの後端側(第2截頭円錐体26の全長に対して1/2以下の長さの径大側)と、内側コイル4の径大側(内側コイル4の全長に対して1/2以下の長さの径大側)と、外側コイル30の径大側とを共に一体接合することが好ましい。
そして又、内側コイル4と外側コイル30は各コイルの後端から中間接合部5Eまでは、少なくとも密巻き状が好ましい。この理由は、手元側の芯線2を回転させたとき、コイルを介して先端側へ伝えられる回転伝達のメカニズムは、芯線2の手元側の回転力は外側コイル後端接合部5Bを介して外径が大きな外側コイル30へ伝達され、その伝達力は共に一体接合した中間接合部5Eを介して外径が大きな径大側の内側コイル4と、外径が大きな後端側の第2截頭円錐体26Bへ伝達される。
このように、先端側への回転伝達力は後端径大部と先端径小部の外径比(後端径大部の外径/先端径小部の外径)に比例する為、径大側の外側コイル30と、径大側の内側コイル4と、後端側の第2截頭円錐体26Bとを共に一体接合した中間接合部5Eを設けることにより、外側コイル30と内側コイル4と第2截頭円錐体26Bの先細り形状の一体化した回転力を先端側へ伝え、先端側への回転伝達性をさらに高めることができるからである。
従って、外側コイル30の外側第2コイル320の密巻き状の後端径大等径部(後端径大部)311と、内側コイル4の密巻き状の後端径大等径部(後端径大部)411と、連接截頭円錐体26の最先端の截頭円錐体の後端側(第4実施形態では第2截頭円錐体26Bの後端側)とを接合部材を用いて共に一体接合する中間接合部5Eを設けることが好ましい。
【0052】
そして又、第4実施形態で、さらに好ましくは、図6で示すように外側コイル30の中間テーパ部312と、内側コイル4の中間テーパ部412とを重複する位置に配置することである。この理由は、外側コイル30と内側コイル4とを重複する位置の中間テーパ部312,412で共に同軸上の先細りの概ね同一形状とすることにより、外側コイル30と内側コイル4の双方の径大側から径小側への回転力を先端側へ集中させ、先端側への回転伝達性をより向上させ易い構造となるからである。尚、補足すれば、外側コイル30と内側コイル4は、後端から少なくとも中間接合部5Eまでは密巻き状とし、より好ましくは後端から中間テーパ部の先端(外側コイル30の場合には後端径大等径部311と中間テーパ部312、内側コイル4の場合には後端径大等径部411と中間テーパ部412)までが密巻き状であり、さらに好ましくは、この密巻き状の部分に初張力を働かせておくことである。
【0053】
又、内側コイル4を用いていない第1〜3実施形態の中間接合部5Dの場合も同様であり、外側コイル30の密巻き状の径大側{(第1〜2実施形態では外側第2コイル32、第3実施形態では外側第2コイル320の後端径大等径部(後端径大部)311)}と、連接截頭円錐体26の最先端の截頭円錐体の径大側(第1、3実施形態では第2截頭円錐体26Bの後端側、第2実施形態では第3截頭円錐体26Cの後端側)とを接合部材を用いて接合する中間接合部5Dを設けることが好ましい。
【0054】
内側コイル4内に、第2截頭円錐体26Bの全長が存在する場合には、前記関係式(3)を用いるが、内側コイル4内に第2截頭円錐体26Bの一部が存在する場合であっても、前記関係式(3)と同様とする。又、以下に述べる前記関係式(3)と同様の考え方を用いてもよい。
つまり、内側コイル4の後端よりも第2截頭円錐体26Bの節部28(外径D2)が後端側(手元側)に位置する場合には、内側コイル後端接合部5Cの内側コイル4と接合する位置の第2截頭円錐体26Bの外径をd(D2>d>D1)とした場合に、内側コイル4と接合する位置の第2截頭円錐体26Bの外径dと第2截頭円錐体26Bの径小外径D1との外径比d/D1と、内側コイル4の外径比A1/A2と、外側コイルの外径比B1/B2とは、前記関係式(3)と同様に、
(d/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)・・・(4)
の関係式(4)を満たすことが望ましい。この理由は、内側コイル後端接合部5Cの内側コイル4と接合する第2截頭円錐体26Bの外径dが、第2截頭円錐体26Bの径大外径D2(連接截頭円錐体26の節部28)よりも径小側(先端側)に位置する関係(D2>d>D1)であっても、前記外径比d/D1は、内側コイル4の外径比A1/A2よりも大きく、内側コイル4の外径比A1/A2は外側コイルの外径比B1/B2大きくすることにより、先端側への回転伝達性を向上させる為である。
【0055】
そして又、連接截頭円錐体26の最先端の截頭円錐体(第1実施形態のときは第2截頭円錐体26B、第2実施形態のときは第3截頭円錐体26C)の外径比D2/D1(又はd/D1)が、1.50以上4.20以下、内側コイル4の外径比A1/A2が1.15以上2.80以下、外側コイル30の外径比B1/B2が1.10以上1.80以下で、最先端の截頭円錐体の外径比D2/D1(又はd/D1)は、内側コイル4の外径比A1/A2よりも大きく、内側コイル4の外径比A1/A2は外側コイルの外径比B1/B2よりも大きく、前記関係式(3)、(4)を満たす。
前記外径比D2/D1(又はd/D1)、A1/A2、B1/B2を前記範囲としたのは、前記範囲を下回れば、後端側から先端側へ向かって回転操作による手元側の回転角度は増大し、先端側へのねじりモーメントは低下して、狭窄部及び完全閉塞部を通過させることは困難となる。又、前記範囲を上回れば、手元側の回転角度は減少するが高いねじりモーメントの発生により、特に、内側コイル4と接合する細線の芯線、及び、細線の内側コイル4のコイル線自体のねじり強度が不足して、この高いねじりモーメントに耐えきれずにコイルが蛇行し始めて、先端側への回転伝達性能の低下を招くからである。
そして又、治療する部位(心臓血管治療用、又は、下肢血管治療用等)と、血管内径と、拡径治療用に用いる各医療用具(ガイディングカテーテル、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル等)の実用寸法を併せ考慮したからである。
これにより、先細り形状の、外側コイル30と内側コイル4との併用により、外側コイル30内、又は内側コイル4内の芯線先端部2Bの細径に伴うねじり力の低下分を、より補完し、芯線の手元側の回転角度を低減させ、芯線先端部2Bの連接截頭円錐体26の先端の曲げ剛性と耐座屈強度を向上させ、先端側へのねじりモーメントを増大させて、完全閉塞部の穿孔性能を飛躍的に向上させることができる。
【0056】
本発明の外側コイル内の芯線先端部は、外側コイルの全長にもよるが外側コイルの全長が20mm以上350mm以下の場合には、少なくとも2個以上で20個以下の截頭円錐体を連接した連接截頭円錐体であることが好ましい。
【0057】
又、本発明の第3、4実施形態において、外側コイル30と内側コイル4の形状は、後端側から先端側へ後端径大等径部(後端径大部)311、411、中間テーパ部312、412、先端径小等径部(先端径小部)313、413として説明したが、後端側に外径が大きな後端径大部と先端側に外径が小さな先端径小部を備えていれば、いずれの形状であってもよい。
他の実施例として図7は、外側コイル30と内側コイル4の他の実施形態を示し、図示(イ)は、後端側が等径で外径が大きな後端径大部511と、先端側へ向かって外径が徐変減少する先端径小部512を備え、図示(ロ)は、後端側から先端側へ向かって大きな外径から徐変減少する後端径大部611と先端側が等径で外径が小さな先端径小部612を備え、図示(ハ)は、後端側から先端側へ向かって大きな外径から小さな外径へ徐変減少し、後端側の後端径大部711(全長の1/2)と先端側の先端径小部712(全長の1/2)とを備えた形状である。
外側コイル30と内側コイル4との組合せの形状は、前記第4実施形態を含む図示(イ)〜(ハ)のいずれの形状であってもよく、外側コイル30と内側コイル4の形状が先細りの概ね同一形状であるのが好ましい。かかる場合の外側コイル30の外径比B1/B2は、後端側の最大の外径が後端径大部の外径B1で、先端の最小の外径が先端径小部の外径B2であり、又、内側コイル4の外径比A1/A2についても前記同様であり、後端側の最大の外径が後端径大部の外径A1で、先端側の最小の外径が先端径小部の外径A2である。
【0058】
また、別の実施例として、例えば、後端側から先端側へ向かって後端径大等径部と中間テーパ部と先端径小等径部とを有した第1コイルと、中間テーパ部と先端径小等径部の外側に同心状に配された第2コイルとを備え、先端径小等径部の先端と、芯線の先端と、第2コイルの先端とを接合して先端接合部を形成しかつ、第2コイルの後端と第1コイルの中間部と芯線とを接合して中間接合部を形成してなるコイル構造(特許第5517274号公報参照)を本発明のガイドワイヤに適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 医療用ガイドワイヤ
2 芯線
2A 芯線後端部
2B、2C 芯線先端部
3、30 外側コイル
4 内側コイル
5A 先端接合部
5B 外側コイル後端接合部
5C 内側コイル後端接合部
5D、E 中間接合部
6 ふっ素樹脂被膜
7 親水性樹脂被膜
26、30 連接截頭円錐体
26A 第1截頭円錐体
26B 第2截頭円錐体
26C 第3截頭円錐体
【要約】
【課題】先端側の外側コイル内へ、又は外側コイルと内側コイルのコイル内へ芯線の細径の芯線先端部2Bを貫挿して成る医療用ガイドワイヤであって、芯線先端部2Bの細径化に伴う先端側への回転伝達性能と、病変部の穿孔性能を向上させる為の技術課題が存在する。
【解決手段】芯線先端部2Bは、截頭円錐体を連接した一定の関係式を満たす連接截頭円錐体26の構造とし、連接截頭円錐体26の径大外径と径小外径の外径比を、内側コイル4の後端径大部と先端径小部との外径比よりも高く、さらに、外側コイルの後端径大部と先端径小部の外径比よりも、より高くすることにより、回転操作時に手元側の回転角度を減少させ、先端側へのねじりモーメントを増大させて閉塞病変部の穿孔性能を向上させることができる。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7