(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5874924
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】焼却プラント排水の処理方法および処理設備
(51)【国際特許分類】
C02F 9/00 20060101AFI20160218BHJP
C02F 1/52 20060101ALI20160218BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20160218BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20160218BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20160218BHJP
C02F 3/12 20060101ALI20160218BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20160218BHJP
C02F 1/00 20060101ALI20160218BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
C02F9/00 502F
C02F9/00 501A
C02F9/00 502P
C02F9/00 502D
C02F9/00 502H
C02F9/00 503C
C02F9/00 503G
C02F9/00 504A
C02F1/52 EZAB
C02F1/28 D
C02F1/44 D
B01D61/02 500
C02F3/12 V
C02F9/00 502Z
B09B3/00 304G
C02F1/00 X
F23J15/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-168802(P2012-168802)
(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公開番号】特開2014-24049(P2014-24049A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085109
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 政浩
(72)【発明者】
【氏名】冨田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】平山 敦
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】森下 桂樹
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−108178(JP,A)
【文献】
特開2011−016100(JP,A)
【文献】
特開2006−007145(JP,A)
【文献】
特開2003−088726(JP,A)
【文献】
特開2010−064016(JP,A)
【文献】
特開2000−037700(JP,A)
【文献】
特開平11−033534(JP,A)
【文献】
特開平11−033533(JP,A)
【文献】
特開昭60−014998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00−9/00
B01D 61/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の焼却プラントから排出される有機系排水と無機系排水の排水処理方法であって、前記有機系排水を生物処理する生物処理工程と、前記生物処理工程で処理された処理水を前記無機系排水に混合し、混合排水を調製する混合工程と、前記混合排水に凝集剤とアルカリを添加し、生成した凝集物を沈殿させる凝集・沈殿工程と、前記凝集・沈殿工程で沈殿した凝集物を分離した分離水に酸を添加し、前記分離水のpH値を7.5〜9.5の範囲内に調整するpH調整工程と、前記pH調整工程での処理液を砂ろ過する砂ろ過工程と、前記砂ろ過工程で得られたろ液を活性炭処理した後、プレフィルターでろ過するプレろ過工程と、前記プレろ過工程で得られたろ液を逆浸透膜処理する逆浸透膜処理工程とを有し、前記逆浸透膜処理工程で得られた膜濃縮水を、前記焼却プラントから排出される飛灰の混練水とすることを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
前記廃棄物の焼却プラントが、廃棄物を燃焼させる焼却装置と、該焼却装置から排出される燃焼排ガスの熱を回収する熱回収装置と、該熱回収装置で熱回収された燃焼排ガスをさらに減温させる減温装置とを備えており、前記膜濃縮水の一部を前記減温装置に供給することを特徴とする請求項1に記載の排水処理方法。
【請求項3】
前記飛灰の発生量を測定し、その測定値に基づき混練に必要な膜濃縮水量を予測し、(1)前記逆浸透膜処理工程における膜ろ過水と膜濃縮水の分配量、(2)生成した膜濃縮水の飛灰の混練水と下水放流水への分配量、(3)生成した膜濃縮水の飛灰の混練水と下水放流水と減温装置供給水への分配量の少なくとも一つを調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水処理方法。
【請求項4】
廃棄物の焼却プラントから排出される有機系排水と無機系排水の排水処理装置であって、前記有機系排水を生物処理する生物処理装置と、前記生物処理装置で処理された処理水を前記無機系排水に混合し、混合排水を調整する混合装置と、凝集剤とアルカリの添加手段を備えた前記混合排水の凝集装置と、前記凝集装置で生成した凝集物を沈殿、分離させる沈殿装置と、酸添加手段を備え、前記沈殿装置で分離された分離水のpH値を7.5〜9.5の範囲内に調整するpH調整装置と、前記pH調整装置で処理された処理液の砂ろ過装置と、前記砂ろ過装置から得られたろ液の活性炭処理装置と、前記活性炭処理装置で処理された処理液をろ過するプレフィルターと、前記プレフィルターのろ液を逆浸透膜処理する逆浸透膜処理装置とを有し、前記逆浸透膜処理装置で得られた膜濃縮水を前記焼却プラントから排出される飛灰の混練装置に供給する手段を有することを特徴とする排水装置。
【請求項5】
前記廃棄物の焼却プラントが、廃棄物を燃焼させる燃焼装置と、該焼却装置から排出される燃焼排ガスの熱を回収する熱回収装置と、該熱回収装置で熱回収された燃焼排ガスをさらに減温させる減温装置とを備えており、前記逆浸透膜処理装置で得られた膜濃縮水の一部を前記減温装置に供給する手段を有することを特徴とする請求項4に記載の排水処理装置。
【請求項6】
前記飛灰の発生量に基づき、前記混練装置への膜濃縮水供給量を演算する演算装置と、前記演算装置によって演算された膜濃縮水供給量値に応じて、(1)前記逆浸透膜処理工程における膜ろ過水と膜濃縮水の分配量、(2)生成した膜濃縮水の飛灰の混練水と下水放流水への分配量、(3)生成した膜濃縮水の飛灰の混練水と下水放流水と減温装置供給水への分配量の少なくとも一つを調整することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の排水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の焼却プラントから排出される排水の処理方法と処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の焼却プラントから排水される排水は、有機系排水と無機系排水に分けられる。有機系排水の代表的なものはごみピット排水であり、その外、生活排水、プラットホーム床洗浄排水、洗車排水なども含まれる。無機系排水の代表的なものは灰汚水、灰押出装置汚水、灰ピット排水であり、その外、純水再生排水、ボイラーブロー排水、床洗浄排水なども含まれる。
【0003】
この無機系排水と有機系排水の処理方法について、まず、無機系排水を処理した後、その上澄み排水に有機系排水を混入した混合排水に生物処理、砂ろ過、活性炭吸着、滅菌等の処理を施し、放流あるいは再利用する排水処理法方が開示されている(特許文献1)。
【0004】
この排水処理方法を
図5に示す。同図に示すように、無機系排水と有機系排水に分けて貯留し、無機系排水にはアルカリ剤、凝集剤および凝集助剤からなる薬剤を添加して重金属類を水酸化物として不溶化するとともに浮遊物質を凝集させて沈殿分離する。その上澄は酸を加えて中和してから有機系排水に合流させ、併せて生物処理する。生物処理水は、汚泥を沈殿分離して上澄を処理水槽に貯留し、砂ろ過、活性炭吸着、滅菌し、放流あるいは再利用される。
【0005】
また、廃棄物の焼却プラントにおいては、一般的に、焼却装置に加えて、燃焼によって発生した熱を有効利用するために燃焼排ガスの熱回収装置と発電装置、熱回収された燃焼排ガスをさらに減温する減温装置、排ガス処理装置等が備えられている。そして、焼却プラントから排出される排水を浄化した浄化水の放流量を減らすために、浄化水を減温装置内に噴霧して気化させ、その気化熱で燃焼排ガスを減温することも行われている。ところが、この浄化水の気化熱で減温する方法は、浄化水量が多いために、気化熱による減温が大きくなり、その分熱回収装置での熱回収量が減り、発電量が低下することになる。そこで、この対策として、排水を膜分離して、膜を通過した水は、放流または工業用水として再利用し、膜を通過しなかった濃縮水のみを減温装置で噴霧する方法も開発されている(特許文献2)。
【0006】
この排水処理方法の一例を
図6に示す。同図に示すように、焼却プラントの排水は、まず生物処理装置で処理してから、凝集装置に送られて浮遊物を凝集させ、次いで砂ろ過装置で濾過される。濾過された排水はMF膜ユニットに送られて精密ろ過膜(MF膜)で濾過され、さらにRO膜ユニットで逆浸透膜(RO膜)で浄化される。浄化された水はプラント用水、機器冷却水、ボイラ原水などとして再利用される。精密ろ過膜を通過しなかった濃縮水と逆浸透膜を透過しなかった濃縮水は減温装置で噴霧されて気化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−99898号公報
【特許文献2】特開2010−89071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の方法は、処理水の水質が十分でなく、ボイラ原水や機器冷却水等に再利用するにはさらに浄化する必要がある。
【0009】
特許文献2の方法は、MF膜処理設備費の設備費が高い。MF膜処理設備の運転管理において、逆洗や薬剤洗浄などが必要になるため、運転に手間がかかる。凝集沈殿後の中和槽において、pHを7程度の中性にするため、RO膜の処理水のpHが5.5〜6.0となり、機器冷却水の水質基準であるpH6〜8に比べて低くなりすぎる。また、濃縮水を減温塔に噴霧するため、熱回収率が低下する上に、飛灰の混練水には上水や井水を使用するため、水使用量が多くなる。
【0010】
本発明の目的は、上記の問題点を解決して、設備費を下げ、運転管理も容易で、処理水をボイラ原水や機器冷却水等に再利用できる焼却プラントから排出される排水の処理方法を提供し、さらにRO膜濃縮水を飛灰混練水として用い、飛灰発生量にあわせて濃縮水を供給することによって、水使用量の削減、熱回収率および発電効率の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を進め、まずRO膜を導入してより高水質の処理水が得られるようにした。次に、有機系排水のみを生物処理し、その処理水を無機系排水に混合して排水処理することにした。そして、さらに、RO膜濃縮水を飛灰の混練水として使用し、減温塔に噴霧する濃縮水量を低減できることも見出した。また、飛灰発生量(飛灰混練水の使用量)に応じて、RO膜濃縮水量を調整するようにした。
【0012】
本発明は、これらの知見と対策によって前記課題を解決したものであり、
廃棄物の焼却プラントから排出される有機系排水と無機系排水の排水処理方法であって、前記有機系排水を生物処理する生物処理工程と、前記生物処理工程で処理された処理水を前記無機系排水に混合し、混合排水を調
製する混合工程と、前記混合排水に凝集剤とアルカリを添加し、生成した凝集物を沈殿させる凝集・沈殿工程と、前記凝集・沈殿工程で沈殿した凝集物を分離した分離水に酸を添加し、前記分離水のpH値を7.5〜9.5の範囲内に調整するpH調整工程と、前記pH調整工程で
の処理液を砂ろ過する砂ろ過工程と、前記砂ろ過工程で得られたろ液を活性炭処理した後、プレフィルターでろ過するプレろ過工程と、前記プレろ過工程で得られたろ液を逆浸透膜処理する逆浸透膜処理工程とを有し、前記逆浸透膜処理工程で得られた膜濃縮水を、前記焼却プラントから排出される飛灰の混練
水とすることを特徴とする排水処理方法と、
前記廃棄物の焼却プラントが、廃棄物を燃焼させる焼却装置と、該焼却装置から排出される燃焼排ガスの熱を回収する熱回収装置と、該熱回収装置で熱回収された燃焼排ガスをさらに減温させる減温装置とを備えており、前記膜濃縮水の一部を前記減温装置に供給することを特徴とする上記に記載の排水処理方法と、
前記飛灰の発生量を測定し、その測定値に基づき混練に必要な膜濃縮水量を予測し、(1)前記逆浸透膜処理工程における膜ろ過水と膜濃縮水の分配量、(2)生成した膜濃縮水の飛灰の混練水と下水放流水への分配量、(3)生成した膜濃縮水の飛灰の混練水と下水放流水と減温装置供給水への分配量の少なくとも一つを調整することを特徴とする上記に記載の排水処理方法と、
それらに対応する装置に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、有機系排水のみを生物処理するので生物処理の設備費や運転費を下げることができ、MF膜処理を行わないのでMF膜処理に関する設備費や運転費が一切不要である。また、RO膜濃縮水は飛灰への混練水や下水放流も可能なので熱回収装置での熱回収量を増すことができ、RO膜ろ過水は工業用水として広く利用でき、ボイラ原水や機器冷却水にも使用できる。これらの結果、全体として焼却プラントからの排熱を効率よく回収でき、発電効率を高めるとともに、排水を有効に再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明が適用される焼却プラントの一例の構成を示す図である。
【
図2】その排水の処理工程を示すブロック図である。
【
図3】飛灰量とRO膜処理水の管理システムを示す図である。
【
図4】飛灰へのキレート剤の添加率と鉛の含有量の分析結果との関係を示すグラフである。
【
図5】従来の排水の処理工程の一例を示すブロック図である。
【
図6】従来の排水の処理工程の一例を示すブロック図である。
【0015】
本発明の焼却プラントは、廃棄物を焼却するプラントであり、焼却装置と熱回収装置を有し、さらに、減温装置を有する場合もある。
【0016】
廃棄物の種類は問わないが、主に家庭ごみからなる一般廃棄物、または主に各種工場から排出される産業廃棄物である。
【0017】
焼却装置は、廃棄物を燃やす一般的な焼却炉が適用可能であり、例えば、ストーカ式、キルン式、流動床式、あるいはシャフト式ガス化溶融炉などである。
【0018】
熱回収装置は、焼却装置から出される燃焼排ガスから熱を回収する装置であり、廃熱ボイラーとエコノマイザー(節炭器)などが用いられる。熱回収装置では通常850〜950℃程度の燃焼排ガスの温度が200〜300℃程度に下がる。
【0019】
減温装置は、熱回収装置で熱回収された燃焼排ガスをさらに減温する装置であり、通常、減温塔と減温塔内部に水噴霧用の二流体ノズルが設置され、二流体ノズルより水と圧縮空気を減温塔内部に噴射して焼却排ガスと接触させることで、水の気化熱により排ガス温度を下げる装置が用いられる。
【0020】
生物処理工程
床洗浄水や洗車排水等のBODの高い(例えば、30mg/L以上)有機系排水を生物により好気性処理し、BODを5mg/L未満、CODを10mg/L未満まで処理を行う。BODの低い(30mg/L未満)排水は、無機系排水として取り扱う。
【0021】
混合工程
混合工程は生物処理工程で処理された有機系排水を無機系排水と混合し、混合排水を調製する工程である。この混合は両排水を混合するだけでよく、混合槽を設けてもよく、単に配管を結合するだけでもよい。
【0022】
凝集沈殿工程
凝集沈殿工程は、
混合工程から排出された
混合排水に凝集剤とアルカリを添加して生成した凝集物を沈殿させる工程であり、凝集剤には塩化第二鉄(FeCl
3)などが用いられる。アルカリは重金属の除去を目的とし、例えば水酸化ナトリウムなどを添加して重金属を水酸化物等として析出沈殿させる。pHは8〜10程度にする。
この凝集沈殿装置には、凝集剤とアルカリの添加手段を備えた槽あるいは池等が用いられる。
【0023】
pH調整工程
pH調整工程は、前記凝集沈殿工程で凝集物を分離した分離水に酸を添加して、分離水のpHを7.5〜9.5の範囲内に調整する。
酸は、塩酸、硫酸などを用いることができる。pHは7.5〜9.5であるが、好ましくは7.7〜8.2である。
【0024】
砂ろ過工程
砂ろ過工程は、
pH調整工程での処理水を砂ろ過する工程であり、この工程で処理水中の数10μm程度の浮遊
物を濾別する。
【0025】
プレろ過工程
プレろ過工程では砂ろ過した
ろ液をまず活性炭ろ過して有機物や一部の無機物を吸着除去するとともに粒径が5μm程度の中程度浮遊物を濾別し、次いでプレフィルターで細かい浮遊物を濾別する。
プレフィルターには、コットン糸等を螺旋状に往復させて互いに交差するように巻きつけたチェックフィルターを使用できる。チェックフィルターの孔径は0.5〜3μm程度の各種のものがあり、「ROワインド」等の商品名で市販されている。
【0026】
逆浸透膜処理工程
逆浸透膜処理工程では、プレろ過工程で濾過した濾液を逆浸透膜を透過させる。逆浸透膜とそれを装着する装置は市販のものを用いることができる。
【0027】
逆浸透膜のろ過水は、ボイラー原水や機器冷却水等に工業用水として用いることができる。
【0028】
一方、逆浸透膜を透過しないで残った膜濃縮水は焼却プラントで発生した飛灰の混練水として使用することができ、あるいは下水に放流し、あるいは減温塔で噴霧させて熱回収装置から排出される燃焼排ガスを減温させることができる。
【0029】
飛灰の混練水として使用する場合には、飛灰中の重金属類を安定させるためキレート剤を添加することが好ましい。キレート剤の例として、ピペラジン系、ジチオカルバミン酸系など市販の重金属溶出防止用のキレート剤を幅広く用いることが出来る。キレート剤の添加量としては、飛灰に対するキレート剤の重量比で100:1〜5程度が適当である。キレート剤を使用することによって飛灰:水(キレート剤含む)の混合比を重量比で100:20〜30程度にすることができる。
【0030】
飛灰の混練水として使用する場合には、飛灰の発生量を測定し、その測定値に基づき混練に必要な膜濃縮水量を予測し、前記逆浸透膜処理における膜ろ過水と膜濃縮水の分配量、生成した膜濃縮水の飛灰の混練水と下水放流水への分配量、生成した膜濃縮水の飛灰の混練水と下水放流水と減温装置供給水への分配量の少なくとも一つを調整することができる。混練した飛灰は例えば埋立処理できる。
【実施例】
【0031】
図1、2に構成を示す焼却プラントを使用した。
【0032】
この焼却プラントは、
図1に示すように、焼却炉、ボイラ、エコノマイザ、ろ過式集塵器、脱硝反応塔、煙突がこの順に設けられており、廃棄物は焼却炉内で燃焼され、残った主灰は取出されて埋立処理などされる。
【0033】
燃焼排ガスは、まず、ボイラで熱が回収され、エコノマイザで更に熱が回収される。その後、ろ過式集塵器(バグフィルター)で飛灰を捕集して除去し、排ガスに含まれるNO
Xを脱硝反応塔で除去してから煙突を通って大気中に放出される。脱硝反応塔の外、活性炭吸着塔なども使用される。
【0034】
このプラントに使用される水は、
図1の上部に示すように、上水をまず再利用水槽に受け、これをプラント用水、機器冷却水、ボイラ原水などに使用する。使用後の排水は排水処理設備で処理される。
【0035】
排水処理設備の説明を、
図2に示すように、使用後の排水は、有形系排水と無機系排水に分け、有機系排水が生物処理される。生物処理された有機系排水は無機系排水とともに貯留槽に入れられ、凝集槽に送られる。凝集槽では、苛性ソーダと凝集剤が投入され、沈殿槽で沈殿される。上澄水は中和槽に送られて、塩酸を加えられ、次いで砂ろ過される。濾過液は活性炭塔を通過させて有機物等が吸着除去され、チェックフィルターでさらに細かい微粒子が除去される。チェックフィルターの濾過水はRO膜装置に送られる。RO膜を透過した処理水は、再利用水槽に入れられ、機器冷却水等に再利用される。不足分は上水や井水などの工業用水が追加される。
【0036】
RO膜を透過しなかった濃縮水は飛灰の混練に使用され、余剰分は下水道に放流される。下水道に放流できない場合は、ろ過式集塵器の前に減温塔を設置して減温塔内に噴霧される。
【0037】
図1のろ過式集塵器で集塵された飛灰は、濃縮水とキレート剤を加えて不溶化し、埋立処理などされる。
【0038】
この焼却プラントから発生する排水は、有機系排水2kL/hr、無機系排水5kL/hrであった。
【0039】
この有機系排水を生物処理した後、無機系排水とともに貯留槽に入れて混合した。混合排水の性状は表1の通りであった。
【0040】
【表1】
この混合排水を凝集槽に投入し、水酸化ナトリウムを加えてpHを8〜9にしさらに、塩化第二鉄を加え、凝集物を沈殿させた。その上澄液をpH調整槽に移し、塩酸を加えてpH7.7〜8.0にした。
【0041】
このpH調整液を砂ろ過槽でろ過し、さらに、排水処理用として市販されている活性炭を充填した固定床式活性炭塔に通水した。
【0042】
プレフィルターとしては排水処理用として市販されている孔径3μmのROワインドを6本設置した。これを通過させた後、排水処理用として市販されている逆浸透膜モジュールを高圧容器内に直列に3本配置した逆浸透膜処理を施し、膜処理水と膜濃縮水を得た。
【0043】
逆浸透膜処理工程で得られた膜濃縮水の性状を表2に示す。
【0044】
【表2】
表2に示されるように本発明で得られる膜濃縮水は下水放流基準を満足するものである。
【0045】
また、膜ろ過水は、ボイラ原水や機器冷却水として十分使用しうるものであった。
【0046】
次に、この膜濃縮水を用いて飛灰混練試験を行った。
【0047】
試験方法としては、500mlガラス製塩沈管内に飛灰を50g入れる。キレート剤、蒸留水または濃縮水を所定量添加し、ガラス棒で混練する。混練は10分以上行い、目視で混練が十分であることを確認する。混練物をチャック付ビニル袋に入れ、空気を追い出した状態で水分蒸発が無いよう室温で24時間養生する。それから、環境庁告示第13号イに則り溶出試験を行った。
試験に用いた飛灰、濃縮水の性状を次に示す。
【0048】
【表3】
キレート剤には、市販のキレート剤を使用した。
試験条件
【0049】
【表4】
得られた結果を
図4に示す。その結果、本発明の膜濃縮水は飛灰の混練水として十分使用が可能であった。
【0050】
本発明の飛灰の発生量を測定して、混練に必要な膜濃縮水量を予測し、RO膜処理工程における膜ろ過水と膜濃縮水の分配量等を調整するシステムの一例を
図3に示す。
【0051】
この例はバッチ式の例であり、例えば、飛灰貯留槽内に複数設置された飛灰用レベル計の判定により、1時間おきに飛灰の発生量を測定し、飛灰の発生量が250kg/hrであったとする。従って、30分後に飛灰125kgが飛灰貯槽に溜まるからこれを混練機に移す。混練水の使用量を、飛灰100kg当り濃縮水量26L、キレート剤4kgに設定しておくと、飛灰125kgでは濃縮水32.5L/30分、キレート剤5kg/30分が必要になる。そこで、濃縮水が32.5L/30分の割合で得られるように膜ろ過水と膜濃縮水の分配比を調整しておくとか、濃縮水を下水道放流している場合や減温塔で噴霧している場合はそれらの割合を調整する。
【0052】
本発明の排水処理方法は、廃棄物の焼却プラントにおいて、焼却プラントから排出される排水を効率よく処理できるので、廃棄物焼却プラントに幅広く利用できる。