【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施の形態におけるコンクリート片防護シートを図面に基づいて説明する。
図1は、コンクリート片防護シートの斜視図である。
図2は、コンクリート片防護シートをトンネルに設置した状態の断面図である。
図3は、
図2の部分拡大図である。
図4は、コンクリート片防護シートをトンネルに設置した状態の一部破断斜視図である。
【0019】
コンクリート片防護シート1は、
図4に示すように、トンネル、建物等のコンクリート構造物の壁面に設置するものである。本実施例においては、トンネルT内の湾曲壁面Wにコンクリート片防護シート1を設置するものである。トンネルTの地面側から湾曲壁面Wに沿って天井側へ向かう方向を縦方向とし、トンネルTの全長方向を横方向とする。
【0020】
本発明の実施例に係るコンクリート片防護シート1は、
図1から
図4に示すように、トンネルT内の湾曲壁面Wに張設されるシート部材2と、シート部材2の一端面側に設置される形状保持帯3と、シート部材2の他端面側に設置され、導水路9を形成するクッション材8とから構成される。
【0021】
シート部材2は、例えば、柔軟性、屈曲性に適した塩化ビニル等の合成樹脂からなる。当該シート部材2は、トンネルT内の湾曲壁面Wの剥離状態、又は剥落片が目視可能となるよう、透明とすることが望ましい。また、シート部材2に剛性を付与するべく、シート部材2の内部に柔軟性を有する補強筋(図示しない)を設けることもできる。当該補強筋は、シート部材2に対して、一方向のみに設けることもできるし、相互に直交させて二方向とした格子状に設けることもできるし、これに限られない。
【0022】
形状保持帯3は、シート部材2の外部から形状保持が可能な形状保持性を付与するものである。当該形状保持帯3は、シート部材2と略同等の大きさに形成され、例えば繊維強化プラスチック(FRP)等からなり、シート部材2の一端面側に公知の加熱加圧成形により一体とされる。形状保持帯3は、地面側からトンネルTの天井に向かう湾曲面に沿うように設けられる複数の縦帯体4のみを設けることもできるし、トンネルTにおける長手方向の湾曲面に沿うように設けられる横帯体5のみを設けることもできる。また、縦帯体4に横帯体5を直交させて設けることもできるし、これに限られることなく、所定の角度にてそれぞれを交差させることもできる。
【0023】
本実施例において、形状保持帯3は、
図1に示すように、25mm〜100mm程度の間隔を設けて平行に延びる2本の縦帯体4を1組として、当該組を250mm〜500mm程度の間隔を設けて横方向に合計2組を設けるとともに、横帯体5を250mm〜500mm程度の間隔を設けて縦方向に所定数を設けることで構成される。
【0024】
すなわち、本実施例においては、上記1組の縦帯体4と2本の横帯体5によって区画される面積の小さい第1区画6と、隣接する2組のうち、内側相互に位置する縦帯体4と2本の横帯体5によって区画される面積の大きい第2区画7とが形成される。また、第1区画6又は第2区画7は、それぞれ上下方向に連続して形成されることで第1区画群又は第2区画群を形成する。よって、形状保持帯3は、第1区画群の区画面積より第2区画群の区画面積が大きくなるよう設定されるとともに、第2区画群の左右両端に第1区画群が形成される。
【0025】
クッション材8は、トンネルT内の湾曲壁面Wとシート部材2との間に間隙を形成し、湾曲壁面Wから滴下する漏水を導水するための導水路9を形成するものである。当該クッション材8は、例えば、ゴム、弾性を有する合成樹脂等からなり、シート部材2の他端面側に公知の加熱加圧成形により一体とされる。
【0026】
本実施例において、クッション材8は、
図1及び
図3に示すように、長手状に形成されてなり、少なくとも第1区画6の幅寸法を覆設するようにして設置される。また、上記1組の縦帯体4におけるシート部材2への形状保持性を向上させる観点から、クッション材8の幅寸法を1組の縦帯体4の間隔と略同等とすることがより望ましい。これにより、クッション材8の厚み寸法が、湾曲壁面Wとシート部材2との間に空間を形成し、湾曲壁面Wから滴下する漏水を導水するための導水路9となる。
【0027】
このようにして、シート部材2、形状保持体3及びクッション材8が加熱加圧成形により一体に形成されるコンクリート片防護シート1は、次のようにしてトンネルT内の湾曲壁面Wに取り付けられる。
【0028】
図2から
図4に示すように、コンクリート片防護シート1は、剥落が生じている損傷箇所、漏水が生じている損傷箇所、或いはセグメント同士の継ぎ目等のトンネルT内の湾曲壁面Wに設置される。すなわち、コンクリート片防護シート1は、湾曲壁面Wに沿って張設するものである。具体的には、コンクリート片防護シート1の長手方向が地面側からトンネルTの天井に向かう湾曲面に沿うように張設される。このとき、トンネルTにおける周方向の全周面に設置することもできるし、一部分にのみ設置することができるのは勿論である。
【0029】
また、コンクリート片防護シート1を湾曲させた状態で張設するため、クッション材8が湾曲壁面Wに密着した状態で当接する。当該状態にて、押さえ板10を介してアンカーボルト11によってシート部材2及びクッション材8を貫通させ、トンネルTに打ち込ませることでコンクリート片防護シート1が固定される。
【0030】
より詳細には、第1区画6を形成する少なくとも2本の帯体に略円形状の押さえ板10を当接させた状態で、押さえ板10に挿通されるアンカーボルト11を湾曲壁面Wに固設するとともに、アンカーボルト11のナット12により締め付けることでコンクリート片防護シート1を固定する。これにより、ナット12の締め付け力による圧力が押さえ板10を介して当該帯体に伝達されるとともに、シート部材2及びクッション材8に伝達され、クッション材8を湾曲壁面Wに沿って密着した状態で固定することができる。
【0031】
押さえ板10の取付位置においては、例えば、第1区画6の上方端又は下方端に位置させ、1組の縦帯体4と1本の横帯体5による3本の帯体に当接するよう配置するものであってもよいし、上方端又は下方端以外の1組の縦帯体4による2本の帯体に当接するよう配置するものであってもよいのは勿論である。
【0032】
そして、コンクリート片防護シート1が湾曲壁面Wに固定されることで、シート部材2と湾曲壁面Wとの間には、クッション材8の間隙を介して漏水を導水するための導水路9が形成される。また、複数のコンクリート片防護シート1を湾曲壁面Wに沿って張設することで、連続した導水路9を形成することができる。このとき、コンクリート片防護シート1の縁部同士を重合させて連結させることで、隙間が生じないように取り付けることができる。
【0033】
これにより、湾曲壁面Wから漏水した水は、トンネルT内に滴下されることなく、シート部材2の湾曲壁面W側を伝ってトンネルTの左右両端側に導水させることができる。更には、冬季においては、コンクリート片防護シート1の各所につららが形成されることもない。
【0034】
以上、説明した本発明の実施例に係るコンクリート片防護シート1によれば、構成部品のそれぞれを加熱加圧成形により一体化して構成することから、設置作業現場にて組み立て作業が不要となり、設置作業時間を短縮することができるとともに、容易に設置することができる。また、シート部材2を透明とすることで、トンネルT内の湾曲壁面Wの剥離状態、又は剥落片が目視可能となるので、点検作業が容易となる。更には、シート部材2と湾曲壁面Wとの間に、クッション材8を介して導水路9が形成されるので、湾曲壁面Wから漏水した水がトンネルT内に滴下されることもない。
【0035】
また、上述した実施の形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であるのは勿論である。コンクリート片防護シート1は、設置範囲、運搬上の大きさ、製作上の観点等から適宜必要な大きさに形成して複数を組み合わせることが望ましい。
【0036】
また、上記実施例においては、シート部材2は単層構造としているが、これに限られるものではない。シート部材2を二層、三層等の複数層構造から形成し、各層の間隙に空気層を設けるように形成することもできる。これにより、断熱効果を奏したシート部材とすることができ、寒冷地等においてはより効果的である。更に、シート部材2における単層構造の内部又は複数層構造における各層の間隙(内部)に電熱線等の熱電部材を配置し、これを外部電源に接続することもできる。
【0037】
更には、クッション材8はコンクリート片防護シート1の長手状に形成し、少なくとも第1区画6の幅寸法を覆設しているが、これに限られるものではない。縦帯板4と略同等の幅寸法となるようクッション材8を縦方向に分断して、縦帯板4と対向配置させることもできる。すなわち、縦帯体4に対向する位置にて、縦帯体4の幅寸法に少なくとも対応するようにクッション材8が設けられればよい趣旨である。また、クッション材8を第2区画7の領域内に設置することもできる。
【0038】
更には、アンカーボルト11によりコンクリート片防護シート1を固定する際、
図5に示すように、シート部材2と押さえ板10との間にシール部材13を設置することもできる。当該シール部材13は、例えば、ゴム、弾性を有する合成樹脂等からなり、アンカーボルト11が貫通することで固定され、シート部材2と押さえ板10との間隙に圧縮させた状態で設置される。これにより、アンカーボルト11の周辺を止水することができる。すなわち、縦帯板4と略同等の幅寸法となるクッション材8を設けた場合であっても、アンカーボルト11の周辺を止水することができる。また、少なくとも第1区画6の幅寸法となるクッション材8を設けた場合においては、クッション材8とシール部材13により、アンカーボルト11の周辺を二重構造をもって止水することができるので、より好ましいものとなる。