特許第5874945号(P5874945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5874945幅の広い横断面の金属製品の連続鋳造機用の撹拌ロール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5874945
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】幅の広い横断面の金属製品の連続鋳造機用の撹拌ロール
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/115 20060101AFI20160218BHJP
   B22D 11/128 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   B22D11/115 V
   B22D11/128 340D
   B22D11/128 340J
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-502099(P2015-502099)
(86)(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公表番号】特表2015-511536(P2015-511536A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2012001330
(87)【国際公開番号】WO2013143557
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】510168209
【氏名又は名称】ロテレック
【氏名又は名称原語表記】ROTELEC
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】カントレイシュ,シウボ
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−093825(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/117479(WO,A1)
【文献】 実開昭60−042440(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/115,11/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブのような幅の広い横断面の金属製品の連続鋳造機用の撹拌ロールであって、
−(a)鋳造スラブの大きな面の表面と接触するようになるための、軸に沿って回転する非磁性鋼製の少なくとも一つの外側のスリーブ、
−(b)前記スリーブの端において、スリーブを軸に沿って自由に回転させながらスリーブの支持を確保する、機械的結合装置、
−(c)スリーブの範囲を越えた両側で中心からずれた位置にあり、また鋳造機のシャーシに固定されている、撹拌ロールの支持要素、
−(d)少なくとも一つの摺動磁界式多相線形誘導子から成る内部の電磁機器であって、スリーブと同軸に取り付けられて、それらの間に冷却用液体が循環するための環状空間を設けるようにするものであり、前記機器が、前記支持要素に荷重をかけて軸に沿って回転しないようになる、末端延長部分を備えた、軸に沿った軸に相当するものであって、前記末端延長部分が、冷却用液体の通過および誘導子の電気接続の通過を可能にするために中空であるもの、および
−(e)電気接続用端子を備え、また前記支持要素を越えた誘導子の末端延長部分の端に取り付けられる、冷却用液体の入口/出口用ケース、
を含み、
前記スリーブ(1)が、前記スリーブと誘導子の末端延長部分(20)との間に置かれる転がり軸受(3)から成る前記端の機械的結合装置を介して、誘導子(8)に荷重をかけ
前記スリーブ(1)が、接近したそれらの端で、電気巻線のない誘導子の中間延長部分(20c)を伴う、付加的な機械的結合装置を備えた、列に並んだ全く異なる二つの半スリーブ(1a、1b)から成り、
中央支持体(21)が鋳造機のシャーシ(5)に連結されており、前記付加的な機械的結合装置が、前記誘導子の中間延長部分(20c)によって支えられる少なくとも一つの中間転がり軸受(3c、3d)から成り、
前記誘導子の中間延長部分(20c)が、前記中央支持体(21)に荷重をかけることを特徴とする、撹拌ロール。
【請求項2】
各半スリーブ(1a、1b)が固有の誘導子(8a、8b)を組み入れることを特徴とする、請求項に記載の撹拌ロール。
【請求項3】
前記中間転がり軸受が、二つの半スリーブ(1a、1b)に共通の単一の転がり軸受であって、該転がり軸受が該二つの半スリーブの端の両側に固定されている、ことを特徴とする、請求項に記載の撹拌ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼スラブのような幅の広い横断面の金属製品の内部でなおも溶融中の液体金属を、それが製造される連続鋳造設備の二次冷却ゾーンにおいて、鋳塊鋳型の下流でその凝固の過程で動かすための、摺動磁界式電磁機器に関するものである。
【0002】
より正確には、本発明は、鋳造スラブの支持用および案内用ロールと一体をなすために筒型にされるこの場合、通常「撹拌ロール」と呼ばれる、このタイプの機器の製作に関連している。
【背景技術】
【0003】
このような機器の電磁部分は従来、ロールを取り囲むロールの覆いの表面に垂直に向けられ、またこのロールの回転軸に沿って摺動する可動磁界を生成する、多相線形誘導子から成ることが注目される。
【0004】
スラブの連続鋳造のために、今日の製鉄技術において世界的に広く伝わっているこの技術の歴史的説明を簡潔に行うとすれば、三つの時代を概略的に取り上げるに至る。
【0005】
始まりである第一の時代は、1973年12月に公開された、周りを取り囲む非磁性鋼製スリーブと同軸に取り付けられる多相中央線形誘導子を記載する、仏国特許出願公開第2187467号明細書によって示される。こうして、鋳造機において既存の単数または複数の支持用および案内用中実ロールの代わりとなり得る、能動素子としての撹拌ロールが誕生した。ここで既に、基礎となる二つのバージョン、すなわち鋳造スラブの大きな面のうちの一つの表面に接触するロールの覆い(スリーブ)と共に回転する誘導子、または固定された誘導子が示されている。
【0006】
第二の時代は、1976年8月に公開された仏国特許出願公開第2301325号明細書のものであり、該文献は、スリーブおよびスリーブを軸に沿って自由に回転させながらもスリーブの支持を確保する機械的結合装置を基にして作られる、回転する誘導子を有する撹拌ロールの技術の基本構想を記載している。ここでこれらの装置は、スリーブの各側面がスリーブの端に取り付けられた円錐台形の筒型の軸頸で形成され、スリーブの範囲を越えて中心からずれた位置にあり、また鋳造機のシャーシに固定されている支持要素に取り付けられる転がり軸受で形成される全体から概略的に成り、軸頸の小さな基部は、この軸受の中で軸を中心に回転するようになっている。中心の誘導子それ自体については、各軸頸の大きな基部の内側の支持部において維持されて心出しされる。軸頸のうちの少なくとも一つ(スリーブ内の誘導子の取付けを可能にするために取り外しできるもの)は、外部多相電源への誘導子の電気接続を可能にするために、その支持体軸受から突き出ている。
【0007】
第三の時代は、1982年1月に公開された欧州特許出願公開第0043315号明細書のものである。この文書は、今日でもなお用いられている、ここでは固定された誘導子を有する撹拌ロールが達成する実用的な製品を詳細に示している。すなわち、ここに回転する誘導子の構造と同じ全体構造が再び見出されるが、ただしここでは中心の誘導子が、相の電気コイルが上に巻かれる固有の内部構造によって維持されている。この構造は、このために軸に沿った軸を形成するが、その直径が狭められた末端延長部分は、スリーブを支える転がり軸受の中に差し込まれるようになるためにスリーブの軸頸の小さな基部を通るものであり、またこれらの軸受の外側面に取り付けられまた誘導子を軸に沿って回転しないようにする楔締めの側板を介して機械のシャーシに固定されるものである。
【0008】
この側板は、別の面では、スリーブから誘導子を隔てる、直径が決められた環状空間において循環によってスリーブおよび誘導子を冷却するための水の入口/出口を備えた、水密の水ボックスの底部を構成する。水ボックスは、電気接続パネルの役割も果たすものであり、誘導子を外部電源につなげる電気端子を外側に有する。
【0009】
概して、また添付の図1の右側部分が示すように、撹拌ロールのこのような公知の技術は要するに、同軸の二つの部分要素の協働を特徴としており、該同軸の二つの部分要素は、一つは軸に沿って自由に回転する要素、もう一つは固定要素、と全く異なるものであり、またその二つとも、鋳造機のシャーシ5に固定される、スリーブ7の支持体4によって支えられるものである。すなわち、
−第一の要素は、軸に沿った回転において不動であり、中心の誘導子8で形成されるものであって、該中心の誘導子はその末端延長部12が心出し架台14の上に載っているようになるものであり、該心出し架台は、該第一の要素が軸に沿って回転するのを阻止するものであり、また支持要素4を介して鋳造機のシャーシ5に連結されているものである、
−また第二の要素は、こちらは軸に沿った回転において可動であり、鋳造スラブ6と回転接触するようになっているスリーブ1およびその二つの筒型の軸頸2で形成されるものであって、該軸頸は、その端のそれぞれでスリーブを延長して、機械のシャーシ5に固定される支持要素4に取り付けられる、中心からずれた位置にある転がり軸受3の中で、それらの小さな基部13によって軸を中心に回転するようになるものである。
【0010】
便宜上、誘導子の電気接続パネル18の役目も果たす水ボックス16は、水密で架台14を外側から覆っている。
【0011】
このタイプの撹拌ロールは、支持および撹拌というその二重の機能に完璧に適合していることが明らかになっているものであり、標準の幅のスラブの連続鋳造機の大部分において一般に利用されているが、標準の幅とはすなわち、およそ1600〜1700mmのものであり、端の二つの軸受によって支えられるスリーブが致命的な欠陥となるたわみを生じないように変わることなく十分に硬い状態になっている幅である。
【0012】
このタイプの撹拌ロールはまた、このとき二つの半ロールおよび中間転がり軸受の設置により、非常に幅の広いすなわち2400mm超のスラブに対しても用いることができ、凝固中の非常に幅の広いスラブと接触することによって課される熱機械的応力を受けても、そのような全体にその剛性およびその幾何学的直線が確保される(国際公開第2011/117479号)。
【0013】
反面、その中間の幅のスラブ、例えば2000mmから+/−20%(つまり1600から2400mm)の幅のスラブについては、この技術は適用できないことが明らかである。中間軸受を伴う二つの半ロールでの解決案を検討するには、端の軸頸の存在により、誘導子の能動部分が短すぎてしまい、また中間軸受のない単一ロールでの解決案では、鋳造機のシャーシへ荷重をかける点が、端の軸頸の存在を引き離して、スラブのその全幅を覆うために必要な単純距離を大きく越えてしまうために、致命的な欠陥となるたわみが確実に発生してしまうであろう。例として、幅が1600mmの「標準的な」鋳造機における鋳塊鋳型の鋳造金属の位置から下方およそ3mの距離のところに取り付けられた直径240mmの撹拌ロールは、スラブの溶鉄静圧を受けて、1mm未満のたわみを得るが、一方、幅が2000mmの機械では、たわみはおよそ4mmになり得、これは致命的な欠陥となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この状況を踏まえ、また通常の撹拌ロールの機能的および実用的な質全体を保持しつつ、本発明は、スリーブの剛性を高めるために端の軸頸のない撹拌ロールの技術の構想を提案すること、購入コストおよび稼動コストがより経済的な製品を可能にすること、またさらに、1600mm(またはもっと小さい)から2400mm(またもっと大きい)のスラブの幅という観点において全ての要求を満たすことを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのため、本発明はスラブのような幅の広い横断面の金属製品の連続鋳造機用の撹拌ロールを対象としており、該撹拌ロールは、
−(a)鋳造スラブの大きな面の表面と接触するようになるための、軸に沿って回転する非磁性鋼製の少なくとも一つの外側のスリーブ、
−(b)スリーブを軸に沿って自由に回転させながらスリーブの支持を確保する、機械的結合装置、
−(c)スリーブの範囲を越えた両側で中心からずれた位置にあり、また鋳造機のシャーシに固定されている、撹拌ロールの支持要素、
−(d)少なくとも一つの摺動磁界式多相線形誘導子から成る内部の電磁機器であって、スリーブと同軸に取り付けられて、それらの間に冷却用液体が循環するための環状空間を設けるようにするものであり、前記機器が、前記支持要素に荷重をかけて軸に沿って回転しないようになる、中空の末端延長部分を備えた、軸に沿った軸に相当するもの、および
−(e)電気接続用端子を備え、また前記支持要素を越えた誘導子の末端延長部分の端に取り付けられる、冷却用液体の入口/出口用ケース、
を含み、
該撹拌ロールは、スリーブが、スリーブと前記末端延長部分との間(好ましくはスリーブの端)に置かれる転がり軸受から成る前記機械的結合装置を介して、誘導子の前記末端延長部分に荷重をかけることを特徴とする。
【0016】
理解されるであろうが、本発明の根底を成す考えは、誘導子の周りに少し距離をあけて回転するスリーブの支持機能の役割を誘導子に与えることである。そのために、スリーブの転がり軸受、あるいはより一般的にはスリーブを軸に沿って自由に回転させるその機械的結合装置は、鋳造機の構造体に連結しているそれらの従来の支持要素とは区別される。したがって、従来の支持要素が誘導子の末端延長部分だけを受容するようにし、一方、軸に沿って自由に回転するスリーブの支持に必要な転がり軸受は、その時から、誘導子のこれらの末端延長部分に取り付けられる単純な転がり軸受となる。
【0017】
本発明にかかる撹拌ロールの技術に特有であり、また後でより詳細に記載されるだろう主な利点において、軸受が無くなったことによる、軸受における転がり軸受の「傾き」現象をなくし、いずれにせよ大幅な減少をすでに考慮することができるであろう。
【0018】
他方では、本発明に係る技術の構想は、すでに強調されているように、幅の広いスラブ(1600mm以上)の鋳造機用の非常に長い撹拌ロールの単純化された構造物に対してとりわけ魅力的な可能性を開くものであり、その傾向は、常に生産性の向上が要求される製鋼所に後押しされ、製鉄術において世界的にいっそう認められるものである。
【0019】
すなわち、単一の長い筒型ロールが、該筒型ロールに荷重をかけるスラブの溶鉄静圧を受けて致命的な欠陥となるたわみを得る可能性があることが知られている。したがって有利には幅の広いスラブの鋳造に適用可能である、この問題に対する解決策を、本発明の別の実施形態に応じて提案するために、そのような非常に長い撹拌ロール(下記に「スプリット型撹拌ロール」と呼称される)は、実はもはや一つではなく二つの、全く異なる列に並んだスリーブを含む。これら二つのスリーブは、好ましくは同じ長さであり、また誘導子の軸に沿った構造の中央の中間延長部分に荷重をかける追加の二つの中間転がり軸受を備えている。この中間延長部分それ自体は、鋳造機のシャーシに固定された補足的の中央支持体によって支えられる。
【0020】
この変形形態に特有の利点が、スプリット型撹拌ロールの中央軸受ゾーンのコンパクト性であることが注目されるであろうが、該コンパクト性は、端の軸頸を用いて実現するのは不可能なものであり、また鋳造スラブの大きな面の中央領域において、鋳造スラブのより広範の、したがってより優れた機械的支持を必然的に導くものである。
【0021】
スプリット型撹拌ロールの別の利点は、実用的な次元にある。非常に幅の広い、例えば2000mmを超える幅のスラブの場合、二つの誘導子を同じ撹拌ロール内部の誘導子の軸に沿った同じ構造上に、機械のシャーシに固定された一つの中央支持体を設置しながら、互いに電気的および磁気的に無関係に組み合わせることができるであろう。
【0022】
その全ての実施形態において、公知の従来の撹拌ロールと比べて本発明に係る撹拌ロールは、端の転がり軸受ならびに軸頸が取り除かれて、誘導子の末端延長部分によって示される回転しない固定軸の単純な支持体に代替されているという事実、またスリーブが、スリーブを支える転がり軸受を介して固定軸の上に荷重をかけながらこの固定軸の周りを回転するという事実、によって表わされている。
【0023】
この配置は、撹拌ロールから固定支持体を引き離す距離の大幅な減少、したがってスリーブが作動中に得るたわみの相関的な減少が導かれ、それゆえ傾き現象の減少さらに消失が導かれる。
【0024】
そのうえ、スリーブがその結合装置に伝える力は、必然的に筒型でありそれゆえ変形可能である軸頸によって伝わることはもはやなく、あらゆる変形が回避されるように所望された寸法を決めることができる中央軸に直接加えられる。別の面では、スプリット型撹拌ロールのバージョンにおいて中間転がり軸受に移し替えられるこの配置は、二つのスリーブの間の最小寸法、つまりスラブの幅上における最大化したスラブの支持の連続性を確保する。
【0025】
以下のような添付図面の図を参照した本発明による撹拌ロールの実施例についての説明により、本発明はよく理解され、また他の局面および利点はさらに明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】先行技術との比較を容易にするために、意図的に混在の撹拌ロールの軸に沿った断面図による教示的な図であって、そうした意味でその(図上での)左端が本発明による技術を用いて実現されるものであり、一方、その右端は公知のその通常の実施形態において示されているものである。
図2】単一のスリーブに基づいた撹拌ロールのバージョン(つまり中央支持体なし)における、撹拌ロールの軸に沿った断面図である。
図3】「スプリット型撹拌ロール」と呼称される、二つのスリーブと中央支持体とを有する変形実施形態の軸に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず初めに、参考として図1の右側部分を参照すると、従来の撹拌ロールが主として、そのA−A対称主軸を中心にして回転する長く伸びた筒型本体で形成されることが分かる。この筒型本体は、非磁性ステンレス鋼製のカバー、すなわちスリーブ1、およびこのスリーブをその二つの端で保持する円錐台形軸頸2から成り、各軸頸の小さな基部2aは、連続鋳造機の剛性シャーシ5に連結されている支持体4に組み込まれる転がり軸受3’の中に嵌められる。
【0028】
この鋳造機により、高い位置にある鋳塊鋳型から機械の下方にある長さ切断機まで進行する金属スラブ6を鋳造することが可能となる。同時に、溶融金属の完全な凝固が、鋳塊鋳型の内壁と接触することによる、その表面の強烈な冷却の影響を受けて、鋳造される製品6の表面から、次いで鋳造機の二次冷却段階、正確には機械の撹拌ロールが装備される場所における水の直接散布によって、徐々に行われる。
【0029】
すなわち、鋳造スラブは、この場所で、発電機によって回転の途中で絶えず更新される、図面上の大きな面7のようなスラブの大きな面のそれぞれに押しつけられて接触する、回転する支持用ロールによって維持され、下の方へゆっくり移動しながら誘導される。
【0030】
可視のように、スリーブ1の内部で使用できる空間は、スラブ6の内部でなおも溶融中の金属を制御しながら移動させることを可能にすることを目的とした電磁誘導子8によってほぼ全体が占められている。このために、多相線形タイプの誘導子8は、スラブ6の大きな面に全体的に垂直に方向付けられる磁界を発生させることができるように誘導子に沿って続く相の巻線10の巻付け支持体の役割を果たす磁気フレーム9を有するが、磁界はこの巻線10が図示されていない外部多相電源(二相または三相)の端子に正しく接続される時、可動、すなわち誘導子のA−A軸に沿って摺動するものである。
【0031】
この誘導子8それ自体もまた、スリーブ上に正確に中心を据えられることができるように、スリーブ1のA−A軸と一つになるその縦軸で軸対称体であり、作動中の撹拌ロールの温度維持を確保することになる冷却用液体用の環状空間11をそれらの間に設けている。この軸に沿った心出しは、誘導子の円筒型の末端延長部分12によって実現されるが、該末端延長部分は、支持部13によって、軸頸2の小さな基部2aの中の機能的な単なる隙間に嵌ることを可能にするために、また軸受3を越える軸頸の範囲から突き出ることが可能となるように、直径が小さくなっているものであり、該支持部は、必要な楔を備えた端板14のところで、誘導子が軸に沿って回転するのを妨げるための楔締めの役目を果たすものである。各末端延長部分12は、中空(軸に沿ったパイプ24)であり、また環状空間11と通じている半径方向の管15を備えており、端板14の端に水密に取り付けられ、かつ冷却水の入口管または出口管17(本図では出口管)を備えている水ボックス16の中に通じる。
【0032】
水ボックス16がまた外部多相電源への誘導子8の接続端子18のパネルの役目も果たすことが分かるが、誘導子の結合線19は、端子18に至るために、その延長部12の軸に沿った穴の中を通る。
【0033】
今度は、図2または図1の左側部分のいずれかを参照すると、本発明に係る撹拌ロール(上記で検討した公知の撹拌ロールの構成要素と同一の構成要素は、同一の参照番号で示される)が、転がり軸受3’ならびにロールの各端の軸頸が取り除かれていることから、公知の従来の技術とは異なることが分かる。この特異性により、そのときこの固定支持体4で形成される架台の中に、横になって荷重をかけ、楔31によって回転を妨げられるようになる、誘導子8の末端延長部分20に場所を明け渡すことが可能となる。
【0034】
可視のように、ただし必要というわけではないが、この延長部分20は、従来の撹拌ロールと同様の延長部分12(図の右側部分)の直径よりも大きい直径を有し、より厚みを伴って準備されるが、これは、この延長部分がこの箇所でより外力を加えられるようになることから、必要な場合にはその機械的強度をさらに高めるためであり、このことは今から理解されることになろう。
【0035】
すなわち、一方では転がり軸受3は、スリーブ1の端の軸頸(つまり取り除かれているもの)を、スリーブの維持および回転駆動のそれらの機能において転がり軸受だけで代替し、また他方ではこれらの転がり軸受3は、誘導子の末端延長部分20に直接荷重をかけるようになり、該末端延長部分はこのようにスリーブ1の支持体としての役割を果たす。
【0036】
端の軸頸を取り除くことにより、固定支持体4同士間の距離が公知の技術と比較すると、場合に応じて25〜40cm、すなわち撹拌ロールの長さのおよそ20%短くなることが注目されるべきである。
【0037】
転がり軸受3は、このように、スリーブの各端に固定されるであろう。この固定は、本来公知の仕方で、無駄に図面に書き込みすぎるのを避けるために図面では非表示の、ボルトで締められる冠状歯車によって確保されることができる。同様に、転がり軸受3の潤滑板としての役割を果たすためにスリーブの端に取り付けられ、かつこれらを埃から保護するためまた全体の水密性を改善するためにこれらの転がり軸受を覆うことになる、環状の側面32を準備するほうが良いであろう。
【0038】
しかしながら、初めの方で既に述べられているように、作業場においてスリーブ1の内部へ誘導子8を取付けることを容易にするために、「開くことができる」機械設計である転がり軸受用保持器を二つの端のうちの少なくとも一つ、さもなければ二つに、選択するほうが良いであろう。
【0039】
図3は、撹拌ロールが、もはや鋳造スラブの全幅にわたって広がる単一のスリーブではなく、二つの半スリーブ1aおよび1bである場合に適用される、本発明による技術の変形形態を示す。
【0040】
共通の線のこれらの二つの半スリーブは、接近したそれらの端で中間転がり軸受3cおよび3dによって支えられ、また二つの半スリーブ間の誘導子の中間延長部分20cの存在によってもたらされる短い距離(例えば10cm〜20cm)で互いに離されている。端の転がり軸受3aおよび3bが誘導子の末端延長部分20a/20bに荷重をかけるように、中間転がり軸受3cおよび3dは、誘導子の中間延長部分20cに荷重をかけるが、該中間延長部分はそうして電気巻線がなく、また鋳造機のシャーシ5に固定される中央支持体21に荷重をかける。
【0041】
既に述べられているように、そのような撹拌ロールは、上記で述べられたことに明らかに由来する理由により「スプリット型」と呼称されるようになり、また実際に1aおよび1bと記された二つの半スリーブで形成されるものであるが、1.6/1.7mの従来の撹拌ロールの限界を容易に超える、さらには2.4mの幅、また、このスプリット型ロールは中央支持体21によって、致命的な欠陥となるたわみに対して保護されるので、おそらく近い将来においてさらにそれ以上になる、ますます幅の広いスラブを連続鋳造することを可能にする解決案、いずれにせよ製鉄技術の世界において増大する需要に適切な回答を構成するものである。
【0042】
ロールの端に位置する、誘導子の末端延長部分20aまたは20bは、
−一方では、それらの自由端によって、水の入口管17aまたは出口管17bを備え、またその端子18aまたは18bのパネルが壁のうちの一つ(図では前壁)を形成する、水密の水ボックス16aまたは16bの中に、
−また他方では、穴のあいた半径方向の管15aまたは15bを介して、各半スリーブ1aまたは1bと誘導子8との間に設けられる環状空間11aまたは11bの中に、
通じることができるように、中空である。
【0043】
中間延長部分20cもまた中空であり、また二つの環状空間11aと11bとの間の連絡用の水密の中央管をなすために、穴のあいた半径方向の管15c、15dを備えている。
【0044】
半スリーブ1aおよび1bと誘導子8の冷却はこのように、図3において左側から右側への冷却用液体の循環方向に相当する順序において定められる、以下の構成要素を有する、共通の水循環路よって確保される:
−冷却水が、図示されていない加圧水源につながれた導管17aから入り込む、給水ボックス16a、
−誘導子8の左側の外側末端延長部分20aの軸に沿った通路24aと、環状空間11aの端に通じるその半径方向の管15a、
−半スリーブ1aの近くでの水の循環を確保し、熱いスラブ6と半スリーブの接触中および接触後に半スリーブを冷却することができるように、ならびに誘導子8の左側部分を冷却することができるように、半スリーブ1aと同心の誘導子8との間に設けられる前記環状空間11a、
−環状空間11aを空間11bと連絡させる、誘導子の中間延長部分20cの穴のあいた半径方向の管15c、軸に沿った通路26、および穴のあいた半径方向の管15d、
−半スリーブ1bの周縁近くで水の循環を確保し、熱いスラブ6と半スリーブの接触中および接触後に半スリーブを冷却することができるように、ならびに誘導子8の右側部分を冷却することができるように、半スリーブ1bと誘導子8との間に設けられる前記環状空間11b、
−排水ボックス16bの中に通じる、誘導子の右側の外側延長部分20bの、穴のあいた半径方向の管15bおよび軸に沿った通路24b、
−そして、冷却水をループに戻すための出口管17bを備えた、排水ボックス16b。
【0045】
誘導子の中間延長部分20cにより、当然、電気巻線10はこの場所で間が離されるが、しかし誘導子の左側部分と右側部分との間の機械的な連続性は、鋼製または誘導子の軸に沿った構造と同じ材料製であり得るこの延長部分によって確保される。
【0046】
図3で示される本発明の一実施形態によると、このスプリット型撹拌ロールは、各半スリーブの中に一つずつ、全く異なる離れた二つの電磁誘導子、すなわち左側の半スリーブ1aの中に誘導子8a、および右側の半スリーブ1bの中に誘導子8bを有することができる。ここで、互いに同一の誘導子8aおよび8bは、本発明の好ましい一変形実施形態にしたがって示されるが、図1または図2の単一の誘導子8に類似している。
【0047】
これらの誘導子は、中間延長部分20cによって機械的に連結され得るようになるか、または例えば組立てを容易にするために切り離されて中央支持体21のところで結合され得るようになる。その点については、図で示されるように、「雄−雌」タイプの単純な嵌合が二つの誘導子の機械的結合を確保するのに充分であろう。
【0048】
しかしながら、中央支持体が一つであるとき、二つの誘導子8aと8bとの間のそのような機械的結合が、中央支持体21の上でつながるためだけに必要であることが理解されたことであろう。したがって、各誘導子がその内側の端にそれ固有の中央支持体を有するという選択を、逆に、大いに考慮することができる。したがってそのような場合、二つの中央支持体は、互いに横に並置されて、鋳造機のシャーシによってそれぞれが支えられるようになる。しかしながらこの場合、冷却水の循環を可能にするために、組み合わされるこれら二つの誘導子の間に、柔軟であってもよいが水密である接合を準備する必要があるだろう。
【0049】
別の局面は、この変形形態の不都合を示すものであり得るが、二つの半スリーブの間の隔たりが相関的により大きい可能性があり、またこの隔たりによって、中間軸受のところの「デッド」ゾーンにおいてあらゆる機械的支持を受けず、かつ冷却されない鋳造スラブ6の幅の部分も同じく、より大きくなる可能性があることである。しかしながら、同じロールについて様々であるが異なる長さの半スリーブの揃いを準備することによって、スラブ上に引き起こされる望ましくない影響を緩和することができるかもしれない。そのようにして、既に非常に公知の原理にしたがって、スラブの鋳造方向における数メートルの進行後の乱れを全体的に均一にすることを目ざすために、鋳造機の高さで、ロールごとに鋳造スラブの幅の「デッド」ゾーンがずらされるであろう。
【0050】
しかしながら、中央支持体21の領域について採用される変形実施形態がいかなるものであっても、二つのはっきりと異なる誘導子8aおよび8bの二つの半ロールから成る撹拌ロールが用いられることが理解されたであろうが、該二つのはっきりと異なる誘導子は、摺動磁界を発生させるものであり、該磁界は、二つの電源、または各誘導子に別々に給電することができるのに適した単一の電源さえあれば、電力についても誘導子の軸に沿った摺動の方向についても、互いに独立して調整され得るものである。そのためにさらに、好ましくは実践的な理由で、与えられる誘導子8aまたは8bに、それに最も近いそれぞれの電気接続用端子18aおよび18bのパネルが好ましくは割り当てられるであろう。
【0051】
説明をより明確にするために、誘導子8aおよび8bが多相(三相またはより通常的には二相の)線形タイプなことから、該誘導子のそれぞれが、その電源の位相と同じ数の接続端子対、すなわち二相の場合は二対、三相の場合は三対の接続端子対を必要とすることを今や喚起しておくことがおそらく望ましい(しかしながら「中性点のない」誘導子の電気配線の場合、その端子数は二相について三つ、かつ三相について三つであろうことが注目される)。
【0052】
このタイプの誘導子は、力線が誘導子のA−A縦軸に垂直に全体的に方向づけられる磁界を発生させるが、該磁界はまた可動であって、というのも磁界をこの軸に沿ってある方向に摺動させること、または電源の相を反転するだけで反対方向に摺動させることが可能であるからである。したがって二つの電源、または結局は同じことになる二分することができる電源があれば、同じ撹拌ロールの二つの誘導子8aおよび8b上の摺動磁界を互いに独立して調整することができることが分かるが、このことは、鋳造途中のスラブ内部の溶融金属を移動させる手段に関して、とりわけ興味深い可能性を開くものである。
【0053】
二つの全く異なる誘導子を有するこのようなスプリット型撹拌ロールが、単一の誘導子を有する撹拌ロールと視覚的に見分けがつかないことが注目されるであろう。単純に、各誘導子は摺動磁界を発生させることができる巻線の完全なセットを有していなければならず(最小で二相の誘導子について四つ、また三相の誘導子について六つ)、単一の誘導子のほうは、その巻線のセットを左右の部分の間に全体に行き渡らせ、これにより例えば一相についての極の対の数を増すことを可能にすることができる。
【0054】
また、電源の相への誘導子の巻線の接続は、好ましくは、ロールの一端にある同じ電気接続パネルの方にすべて向けられることになり、また、もう一方の誘導子の接続は、ロールのもう一方の端に取り付けられるもう一つの接続パネルの方にすべて向けられることになるが(ここでは接続18aは最も近いパネル19aの方に、接続18bはパネル19bの方に)、一方、単一の誘導子を用いた場合、接続の半分は左側にまとめられ、残りの半分は右側にまとめられることができる。
【0055】
単一の誘導子を有するスプリット型撹拌ロールの場合においても(図2)、はっきりと異なる二つの誘導子を有するスプリット型撹拌ロールの場合においても(図3)、誘導子の中間延長部分20cを介した接続を準備する必要はなく、さもなければ設備の構想および取り付けを複雑にしてしまう可能性があることが、理解されるであろう。
【0056】
本発明による撹拌ロールは、中央支持体21のないその実施形態において、スラブの支持用および案内用の通常の別のロールを有する鋳造機の構造の部分に、特に困難なく組み入れることができる。このことは、本発明によるスプリット型撹拌ロールについてもまた事実である、というのも通常の支持用ロールはそれらもまた、幅の広い機械の場合には中間軸受または中間支持体を備えており、部分の構造がすでに、中央支持体のためのシャーシを用いて構想されているからである。
【0057】
この観察から、本発明の一実施例に従った、単一スリーブ式の非スプリット型、つまり中央支持体のない撹拌ロールがむしろ、従来の幅、すなわちおよそ1650mmまでのスラブの鋳造に充てられるべきであろうことが理解されたであろう。それとは別に、好ましくは二つの半スリーブおよび中央支持体を有するスプリット型撹拌ロールが選択されることがあろうが、もっともスプリット型撹拌ロールが同様に通常の幅のスラブの鋳造のために用いられることに対して、しかしながらいかなる不都合もないことが強調される。
【0058】
非限定的な例として、例えばおよそ2000mmまたはそれ以上の幅の広いスラブの鋳造に対して、それぞれおよそ1000mmの長さのスリーブを有する、はっきりと異なる二つの誘導子を有するスプリット型撹拌ロールと、およそ10cmの幅の中央支持体とを準備することができる。半スリーブの直径の方は、およそ240mmまたはそれ以上であり得る。
【0059】
変形形態として、スラブの連続鋳造機に備えられる中央支持体を有するスプリット型撹拌ロールの少なくともいくつかに対して、長さが等しくない二つの半スリーブを準備することができる。すなわち、中央支持体の幅上での鋳造スラブの案内がないことによって、スラブの、この「隙間」の正面を通る部分が膨張する可能性がある。したがって、長さが等しくない隣接する半スリーブを有するスプリット型撹拌ロールを、それらの中央支持体をしたがって相次ぐ二つのスプリット型撹拌ロールの間でずらす仕方で配置して準備することによって、膨張するであろうスラブの幅の部分がいつも同じ部分でないようにすることができるであろう。このように、必要な場合には、割れおよび多孔性の膨張によって生じるスラブの欠陥が回避されるであろう。
【0060】
スリーブの転がり軸受が、スリーブの両側にずらされた支持軸頸を有する撹拌ロールの公知の技術におけるよりもいっそう、鋳造中のスラブの熱にさらされる可能性があろうことが観察できるであろう。したがって変形形態では、有利には、螺旋状の熱変形のスリーブ転がり軸受を選択することができるであろう。このタイプの機械転がり軸受は市販されている。それについては単に情報提供として、ドイツ企業「Maschinenfabrik Joseph EICH KG Gmbh」によって製造および販売されている転がり軸受をここに示す。
【0061】
当然のことながら、本発明は、記述された実施例に限定され得ず、以下の特許請求の範囲により提供されるその定義が遵守される限りにおいて、多数の変形形態または同等のものにまで拡大されるものである。
【0062】
例えば、スプリット型撹拌ロールを構成する一つのスリーブまたは二つのスリーブの端部に取付けられた支持要素を呼称するために使用される「軸頸」という用語は、スリーブとそれらを軸に沿った自由な回転において支持する転がり軸受との間の水密な剛性結合を確保できるあらゆる伝達手段をカバーすることを理解すべきであることがわかるであろう。
【符号の説明】
【0063】
1 スリーブ
3 転がり軸受
4 支持要素
5 シャーシ
6 鋳造スラブ
図1
図2
図3