(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5874965
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】マイクロレンズアレイの貼り合わせ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
G02B3/00 A
G02B3/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-268428(P2011-268428)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-120295(P2013-120295A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100090158
【弁理士】
【氏名又は名称】藤巻 正憲
(72)【発明者】
【氏名】岩本 正実
(72)【発明者】
【氏名】石井 大助
【審査官】
最首 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−139910(JP,A)
【文献】
特開平11−287937(JP,A)
【文献】
特開2003−248156(JP,A)
【文献】
特開2003−322708(JP,A)
【文献】
特開2004−138821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00
G02B 7/00;7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板にマイクロレンズが形成された単位マイクロレンズアレイを複数枚所定間隔をおいて重ねて接着剤により相互に接合するマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置において、
複数個の前記単位マイクロレンズアレイを個別に保持する複数個の第1保持部材と、
前記単位マイクロレンズアレイの集合体の一方の側に配置され基準マスクパターンが設けられた基準マスクと、
前記単位マイクロレンズアレイの集合体の他方の側に配置され焦点板パターンが形成された焦点板と、
前記基準マスクを保持する第2保持部材と、
前記焦点板を保持する第3保持部材と、
前記第1乃至第3保持部材の位置を調整する駆動装置と、
前記基準マスクの基準マスクパターンが形成された第1面と前記焦点板の前記焦点板パターンが形成された第2面との間隔を測定する測定部材と、
前記基準マスクパターンの第1像と前記焦点板パターンの第2像とを同一視野内で検出する検出部と、
前記測定部材により測定された前記第1面と前記第2面との間隔が所定の設計値になるように前記第2保持部材及び前記第3保持部材の位置を調整し、更に前記検出部により検出された第1像及び第2像が合焦するように前記第1保持部材の位置を調整して前記単位マイクロレンズアレイの位置を調整する制御部と、
を有することを特徴とするマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置。
【請求項2】
前記単位マイクロレンズアレイには、アライメントマークが形成されており、前記単位マイクロレンズアレイの集合体に対し、前記アライメントマークを透過する透過照明光を照射する光源と、
前記アライメントマークを透過した透過照明光を検出する第2検出部と、
を有し、
前記制御部は、更に、前記第2検出部が検出した各単位マイクロレンズアレイのアライメントマークの位置が整合するように、前記第1保持部材により前記各単位マイクロレンズアレイの位置を調整することを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置。
【請求項3】
前記単位マイクロレンズアレイの周辺部に配置され、前記単位マイクロレンズアレイの周縁部に接着剤を注入するディスペンサと、
前記単位マイクロレンズアレイの周辺部に配置され、前記単位マイクロレンズアレイの周縁部に注入された接着剤に紫外光を照射して前記接着剤を固化させる紫外光光源と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロレンズが2次元的に配置された複数枚の単位マイクロレンズアレイを積層し、相互に接着して製造されるマイクロレンズアレイの製造装置におけるマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置に関し、特に、高精度で倍率及びフォーカス調整することができるマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロレンズアレイは、1枚のガラス基板の片面又は両面に凸状のマイクロレンズを2次元的に複数個形成し、得られた単位マイクロレンズアレイを相互に積層し、その相互間の間隔を所定の値にして相互に接着することにより製造されている。マイクロレンズアレイは、通常、4枚の単位マイクロレンズアレイを積層し、2枚目と3枚目の間に例えば6角形の6角視野絞りを配置し、この6角視野絞りの位置にて倒立等倍像が得られ、4枚の単位マイクロレンズアレイにより最終的に正立等倍像が得られるように、各単位マイクロレンズアレイ間の間隔等のレンズ設計がなされる。なお、マイクロレンズアレイの製造方法として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−304904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のマイクロレンズアレイの製造装置においては、単位マイクロレンズアレイを所定の設計値で製造した後、そのまま単位マイクロレンズアレイ同士を接合していた。このため、各単位マイクロレンズアレイ同士を高精度で位置決めし、高精度で単位マイクロレンズアレイ間の間隔を調整することができず、また倍率及びフォーカス調整することができなかった。よって、従来のマイクロレンズアレイはその組レンズの性能を十分に高めることができないという問題点があった。特許文献1においても、単位マイクロレンズアレイ間の平面的な位置合わせは行っているが、単位マイクロレンズアレイ間に隙間がないように接合しており、従って倍率調整等はできない。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、マイクロレンズアレイの製造時に、単位マイクロレンズアレイ間の間隔を高精度で調整し、倍率及びフォーカス調整を行うことができ、レンズ性能が優れたマイクロレンズアレイを製造することができるマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置は、ガラス基板にマイクロレンズが形成された単位マイクロレンズアレイを複数枚所定間隔をおいて重ねて接着剤により相互に接合するマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置において、
複数個の前記単位マイクロレンズアレイを個別に保持する複数個の第1保持部材と、
前記単位マイクロレンズアレイの集合体の一方の側に配置され基準マスクパターンが設けられた基準マスクと、
前記単位マイクロレンズアレイの集合体の他方の側に配置され焦点板パターンが形成された焦点板と、
前記基準マスクを保持する第2保持部材と、
前記焦点板を保持する第3保持部材と、
前記第1乃至第3保持部材の位置を調整する駆動装置と、
前記基準マスクの基準マスクパターンが形成された第1面と前記焦点板の前記焦点板パターンが形成された第2面との間隔を測定する測定部材と、
前記基準マスクパターンの第1像と前記焦点板パターンの第2像とを同一視野内で検出する検出部と、
前記測定部材により測定された前記第1面と前記第2面との間隔が所定の設計値になるように前記第2保持部材及び前記第3保持部材の位置を調整し、更に前記検出部により検出された第1像及び第2像が合焦するように前記第1保持部材の位置を調整して前記単位マイクロレンズアレイの位置を調整する制御部と、
を有することを特徴とする。
【0007】
このマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置において、例えば、
前記単位マイクロレンズアレイには、アライメントマークが形成されており、前記単位マイクロレンズアレイの集合体に対し、前記アライメントマークを透過する透過照明光を照射する光源と、
前記アライメントマークを透過した透過照明光を検出する第2検出部と、
を有し、
前記制御部は、更に、前記第2検出部が検出した各単位マイクロレンズアレイのアライメントマークの位置が整合するように、前記第1保持部材により前記各単位マイクロレンズアレイの位置を調整するように構成することができる。
【0008】
また、本発明のマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置は、
前記単位マイクロレンズアレイの周辺部に配置され、前記単位マイクロレンズアレイの周縁部に接着剤を注入するディスペンサと、
前記単位マイクロレンズアレイの周辺部に配置され、前記単位マイクロレンズアレイの周縁部に注入された接着剤に紫外光を照射して前記接着剤を固化させる紫外光光源と、
を有するように構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、CCDカメラ等の検出部により、基準マスクの第1面と焦点板の第2面とに設けられた基準マスクパターン及び焦点板パターンを利用して前記第1面及び第2面が合焦点の位置であることを確認し、測定部材により前記第1面と第2面との間の間隔を測定し、この第1面と第2面との間隔が、所定の設計値でない場合は、基準マスクと焦点板とを移動させてその間隔を所定の設計値に調整する。このとき、前記第1面と前記第2面とに焦点位置がない場合は、単位マイクロレンズアレイ間の間隔等を調整して、前記第1面と第2面とに焦点位置が存在するように調節する。このようにして、単位マイクロレンズアレイ間の間隔を高精度で調整して、倍率及びフォーカス調整を行うことができる。従って、本発明により、レンズ性能が優れたマイクロレンズアレイを製造することができる。
【0010】
また、単位マイクロレンズアレイにアライメントマークを設けることにより、第2検出部により、このアライメントマークを検出して、各単位マイクロレンズアレイの平面的な位置のアライメントをとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態のマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置を示す正面図である。
【
図2】同じくその一部を抽出して単位マイクロレンズアレイの配置態様を示す図である。
【
図3】各単位マイクロレンズアレイ間のギャップを測定する工程を示す図である。
【
図4】(a)、(b)は、各単位マイクロレンズアレイによる焦点位置を調整する工程を示す図である。
【
図5】(a)は接着剤の注入工程、(b)は接着剤の固化工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置を示す正面図である。本実施形態は3枚の単位マイクロレンズアレイ1,2,3の群を貼り合わせて3枚の単位マイクロレンズアレイ群からなるマイクロレンズアレイを製造する場合のものであるが、4枚の単位マイクロレンズアレイを貼り合わせる場合でも同様である。第1保持部材としての保持部材11,12,13に、単位マイクロレンズアレイ1,2,3が静電チャック又は真空チャック等の保持手段により保持されている。単位マイクロレンズアレイ1,2,3は、ガラス基板の表面及び/又は裏面に凸状のレンズ(マイクロレンズ)を形成したものであり、各単位マイクロレンズアレイ1,2,3の各マイクロレンズの光軸が一致するように積層配置され、接着剤により接合される。
【0013】
X−Y直交座標を水平方向とし、Z方向を鉛直方向とした3次元座標軸において、第1保持部材としての保持部材11は鉛直方向(Z方向)、X軸に対する傾斜方向(Tx)、Y軸に対する傾斜方向(Ty)に移動可能であり、適宜の駆動手段(圧電素子等のアクチュエータ)により駆動されるようになっている。また、保持部材12はX方向及びY方向と、鉛直軸の周りの回転方向(θ軸)とに移動可能であり、適宜の駆動手段により駆動されるようになっている。更に、保持部材13はX方向、Y方向、θ方向、Z方向、Tx方向及びTy方向に移動可能であり、適宜の駆動手段により駆動されるようになっている。
【0014】
そして、これらの単位マイクロレンズアレイ群の下方に、基準マスク4が第2保持部材としての保持部材14に保持されて配置されている。更に、単位マイクロレンズアレイ群の上方に、焦点板5が第3保持部材としての保持部材15に保持されて配置されている。保持部材14はZ方向、Tx方向及びTy方向に移動可能であり、適宜の駆動手段により駆動されるようになっている。また、保持部材15もZ方向、Tx方向及びTy方向に移動可能であり、適宜の駆動手段により駆動されるようになっている。
【0015】
一方、基準マスク4の下方には、測定部材としてのレーザ変位計31,32がその測定方向を真上に向けて配置されており、レーザ変位計31,32は、夫々、基準マスク4の上面と、焦点板5の下面との間の距離を測定する。この基準マスク4の上面には、基準マスクパターンP1が形成されており、焦点板5の下面には、焦点板パターンP2が形成されている。そして、これらの基準マスクパターンP1及び焦点板パターンP2は、焦点板5の上方に配置されたCCDカメラ21により同一視野内で観察される。但し、この基準マスクパターンP1と焦点板マスクパターンP2とは重ならない位置に観察されるようになっている。
図4(b)は、このカメラ21により検出された焦点板パターンP2の像と、基準マスクパターンP1の像とを示す。カメラ21の検出センサはCCDであるが、カメラ21は落射型カメラであり、同一光軸上で照明光を照射すると共に、反射光を受光するものである。そして、カメラ21は、その焦点位置を焦点板5の下面に合わせて設置されており、従って、焦点板5の下面の焦点板パターンP2は、
図4(b)に示すように、必ず、■状に合焦点で検出する。一方、基準マスク4上の基準マスクパターンP1は、カメラ21からの照明光が単位マイクロレンズアレイ1,2,3からなるマイクロレンズアレイを介して基準マスク4の上面上で焦点を結んだ場合に、ロ字型の像が観察される。これに対し、単位マイクロレンズアレイ1,2,3からなるマイクロレンズアレイの倍率が異常である場合は、ロ字型の像は、正常の場合の像よりも大きく観察される。また、マイクロレンズアレイのフォーカス異常の場合は、基準マスクパターンP1の像が焦点を結ばない非合焦点の状態で観察される。倍率異常及びフォーカス異常の場合は、制御装置(図示せず)は、単位マイクロレンズアレイ1,2,3の相互間隔を調整して、正常の合焦点画像が得られるようにする。
【0016】
各単位マイクロレンズアレイ1,2,3には、その4隅部にアライメントマークP3,P4(2個のみ図示)が設けられている。そして、基準マスク4の下方には、アライメントマークP3,P4を検出するための透過照明光源24,25が設置されており、この透過照明光源24,25からの照明光は、基準マスク4,単位マイクロレンズアレイ1.2.3及び焦点板5を透過して、焦点板5の上方に配置されたアライメントカメラ22,23により検出される。カメラ22,23は、この単位マイクロレンズアレイ1,2,3に設けたアライメントマークP3,P4を検出し、制御装置(図示せず)が各単位マイクロレンズアレイ1,2,3について整合するように、単位マイクロレンズアレイ1,2,3の平面的位置を調整する。
【0017】
焦点板5の周辺部には、最上位の単位マイクロレンズアレイ3の上下方向の位置を検出する接触式変位計33,34が設置されている。この接触変位計33,34は、単位マイクロレンズアレイ3の上面に接触してその位置を検出し、制御装置は、この検出結果に基づいて、単位マイクロレンズアレイ間の間隔を求める。なお、接触式変位計33,34の代わりに、静電容量方式の非接触式変位計を使用することもできる。
【0018】
最上位の単位マイクロレンズアレイ3の周辺部には、この単位マイクロレンズアレイ3とその下層の単位マイクロレンズアレイ2との間に、接着剤を注入するためのディスペンサ41,42が配置されており、このディスペンサ41,42から、流体状の接着剤が単位マイクロレンズアレイ3の周縁部と、単位マイクロレンズアレイ2の周縁部との間に注入される。なお、この接着剤には、単位マイクロレンズアレイ3と単位マイクロレンズアレイとの間の所定の間隔に一致する直径を有するビーズを混入しておくことが好ましい。つまり、単位マイクロレンズアレイ間の所定の間隔が10μmであれば、接着剤に樹脂製の直径が10μmに近いビーズを多数混入させておき、このビーズを含む接着剤を単位マイクロレンズアレイ間に介在させれば、ビーズが両単位マイクロレンズアレイの面に接触して、ビーズにより、単位マイクロレンズアレイ間の間隙を決めることができる。そして、
図5(a)に示すように、ディスペンサ41,42による接着剤の注入が終了した後、
図5(b)に示すように、紫外光源43,44により接着剤51に紫外光を照射し、接着剤51を固化させる。
【0019】
次に、上述のごとく構成されたマイクロレンズアレイの貼り合わせ装置の動作について説明する。先ず、
図2に示すように、保持部材11,12,13により、夫々、単位マイクロレンズアレイ1,2,3を、静電チャック又は真空チャック等の手段により、それらの縁部で保持する。そして、
図3に示すように、保持部材11,12,13を本実施形態の貼り合わせ装置に移動させて、各単位マイクロレンズアレイ1,2,3をこの貼り合わせ装置に設置する。但し、この貼り合わせ工程においては、先ず、単位マイクロレンズアレイ2,3を単位マイクロレンズアレイ1上に配置する前に、接触式変位計33,34により、単位マイクロレンズアレイ1の上面の位置を検出する。次いで、単位マイクロレンズアレイ2を単位マイクロレンズアレイ1の上方に配置し、接触式変位計33,34により、単位マイクロレンズアレイ2の上面の位置を検出する。その後、単位マイクロレンズアレイ2の上方に単位マイクロレンズアレイ3を配置し、接触式変位計33,34により、単位マイクロレンズアレイ3の上面の位置を検出する。これにより、各単位マイクロレンズアレイ1,2,3の相互間のギャップgを測定することができる。即ち,
図3に図示したように、単位マイクロレンズアレイ3の上面の位置と単位マイクロレンズアレイ2の上面の位置を測定することにより、その差dを求めることができる。そして、単位マイクロレンズアレイ3の厚さtは、別途単位マイクロレンズアレイ3の製造工程で把握しているので、d−tにより、単位マイクロレンズアレイ3と単位マイクロレンズアレイ2との間の間隔(ギャップ)gを求めることができる。また、同様にして、単位マイクロレンズアレイ1と単位マイクロレンズアレイ2との間のギャップgも測定することができる。そして、制御部は、このギャップgが所定の設計値になるように、保持部材11,12,13を駆動して、各単位マイクロレンズアレイ1,2,3の位置を一応決める。この場合に、単位マイクロレンズアレイ2の保持部材12はX方向,Y方向及びθ方向には移動可能であるが、Z方向には移動できないので、この単位マイクロレンズアレイ2を基準として、単位マイクロレンズアレイ1を保持する保持部材11をZ方向に移動させ、又はTx方向及びTy方向の傾斜角度を調節し、更に、単位マイクロレンズアレイ3を保持する保持部材13をZ方向に移動させ、又はTx方向及びTy方向の傾斜角度を調節することにより、各単位マイクロレンズアレイ1,2,3間の相互配置関係(平行及び間隔)を一応設定する。
【0020】
その後、
図4に示すようにして、透過照明光源24,25から透過照明光を、アライメントマークP3,P4に向けて照射し、透過光をアライメントカメラ22,23により検出する。制御部は、カメラ22,23により検出されたアライメントマークP3、P4が各単位マイクロレンズアレイ1,2,3について一致するように、保持部材11,12,13を駆動して、各単位マイクロレンズアレイ1,2,3の平面視での位置合わせを行う。
【0021】
次いで、レーザ変位計31,32が基準マスク4の上面と焦点板5の下面との間の距離を測定する。制御部は、この基準マスク4の上面と焦点板5の下面との間の距離が、所定のマイクロレンズアレイの設計値と異なる場合は、保持部材14を駆動して、この基準マスク4の上面と焦点板5の下面との間の距離が所定の設計値に一致するように制御する。保持部材15の位置は、この保持部材15に保持される焦点板5の下面の位置が、カメラ21の焦点位置になるように設定されているので、基本的には変更しない。そして、落射型CCDカメラ21が基準マスク4の上面の基準マスクパターンP1の像と、焦点板5の下面の焦点板パターンP2の像とを検出する。その結果、
図4(b)に示すように、カメラ21の焦点位置が焦点板5の下面にあるので、焦点板パターンP2の像は矩形の■状であり、合焦点であるが、基準マスク4の基準マスクパターンP1の像が大きくて倍率異常が生じている場合、又は基準マスクパターンP1の像が非合焦点でフォーカス異常が生じている場合は、制御部は、保持部材11,12,13を駆動して、各単位マイクロレンズアレイ1,2,3間の間隔を調整する。即ち、制御部は、この単位マイクロレンズアレイ1,2,3間の間隔を調整して、
図4(b)に正常として示す基準マスクパターンP1の像を得る。これにより、焦点板5の下面で焦点を結ぶ光を、単位マイクロレンズアレイ1,2,3からなるマイクロレンズアレイに透過させると、この光は、単位マイクロレンズアレイ1,2,3を通過して、基準マスク4の上面に焦点を結ぶようになる。
【0022】
即ち、この状態で、各単位マイクロレンズアレイ1,2,3の平面的な位置合わせがなされており、焦点位置が、焦点板5の下面及び基準マスク4の上面に一致し、これらの焦点間の間隔が所定の設計値通りとなる。そこで、ディスペンサ41,42から流体状の接着剤を各単位マイクロレンズアレイ1,2,3の縁部間に注入する(
図1には、単位マイクロレンズアレイ2と単位マイクロレンズアレイ3との間のみ示す)。この接着剤間に、単位マイクロレンズアレイ間の所定の間隔に近い直径を有する樹脂製ビーズを混入しておくと、このビーズが単位マイクロレンズアレイ1,2,3の相互対向面に接触して、単位マイクロレンズアレイ1,2,3間の間隔を決めることができる。但し、前述のごとく,基準マスク4の上面及び焦点板5の下面にて合焦点になるように、保持部材11,12,13により各単位マイクロレンズアレイ1,2,3間の間隔を若干修正するので、樹脂製ビーズは、必要に応じて、若干押圧変形するようになっている。単位マイクロレンズアレイ1と単位マイクロレンズアレイ2との間に接着剤が注入された後、この接着剤に対し、紫外光源43,44から紫外光を接着剤に照射して、接着剤を固化させる。更に、
図5(a)、(b)に示すように、単位マイクロレンズアレイ2と単位マイクロレンズアレイ3との間に接着剤を注入し、紫外光を接着剤51に照射して、接着剤51を固化させる。なお、ビーズとしては、樹脂製ビーズに限らず、ガラス製のものであってもよい。
【0023】
このようにして、焦点板5の下面と基準マスク4の上面とに焦点を結び、この焦点間距離が所定の設計値に一致すると共に、単位マイクロレンズアレイ1,2,3間の位置合わせが高精度でなされたマイクロレンズアレイを製造することができる。本実施形態においては、単位マイクロレンズアレイ1,2,3の貼り合わせの際に、マイクロレンズアレイの性能(焦点位置及び焦点間距離並びに倍率等)を試験して、必要に応じて、単位マイクロレンズアレイ1,2,3間の間隔を調整して,所定のレンズ性能が得られるようにするから、高性能のマイクロレンズアレイを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、高性能のマイクロレンズアレイの製造に有益である。
【符号の説明】
【0025】
1.2.3:単位マイクロレンズアレイ
11,12,13,14,15:保持部材
21:(落射型CCD)カメラ
22,23:(アライメント)カメラ
24,25:透過照明光源
31,32:レーザ変位計
33,34:接触式変位計
41,42:ディスペンサ
43,44:紫外光源
51:接着剤
P1:基準マスクパターン
P2:焦点板パターン
P3、P4:アライメントマーク