特許第5874969号(P5874969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオコーク技研株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5874969-水素発生装置 図000002
  • 特許5874969-水素発生装置 図000003
  • 特許5874969-水素発生装置 図000004
  • 特許5874969-水素発生装置 図000005
  • 特許5874969-水素発生装置 図000006
  • 特許5874969-水素発生装置 図000007
  • 特許5874969-水素発生装置 図000008
  • 特許5874969-水素発生装置 図000009
  • 特許5874969-水素発生装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5874969
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】水素発生装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/06 20060101AFI20160218BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   C01B3/06
   C01B3/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-282482(P2011-282482)
(22)【出願日】2011年12月23日
(65)【公開番号】特開2013-133232(P2013-133232A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】506074015
【氏名又は名称】バイオコーク技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】上杉 浩之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 喬
(72)【発明者】
【氏名】新居 宏美
(72)【発明者】
【氏名】望月 実季
(72)【発明者】
【氏名】春日井 博貴
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−037683(JP,A)
【文献】 特開2006−327871(JP,A)
【文献】 特開2000−238786(JP,A)
【文献】 特開2009−001451(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/097198(WO,A1)
【文献】 特表2013−518805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00−3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化マグネシウムの加水分解反応が行われる反応容器を備え、該反応容器へ水又は酸性溶液を供給することによって、水素を発生させる水素発生装置において、
前記反応容器の底部に、水素化マグネシウム装填用の高さが順々に低くなるように隣接した複数の筒部が立設してあり、
更に、最も高い前記筒部の上方から、該筒部に装填された水素化マグネシウムに水又は酸性溶液を滴下する滴下部を備える
ことを特徴とする水素発生装置。
【請求項2】
前記複数の筒部は同軸的に設けられており、
中心部の筒部は、外側の筒部よりも高さが高い
ことを特徴とする請求項1に記載の水素発生装置。
【請求項3】
前記筒部は同心円状に設けられた円筒状であり、
中心部の筒部は、外側の筒部よりも高さが高い
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素発生装置。
【請求項4】
前記筒部には、
水素化マグネシウムと共にクエン酸粉末が装填されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の水素発生装置。
【請求項5】
前記筒部には、
水素化マグネシウムと共にクエン酸粉末が装填されており、
水素化マグネシウムに対するクエン酸粉末の量は、外側の筒部に比べて、中心部の筒部の方が多い
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の水素発生装置。
【請求項6】
前記水素化マグネシウムは、
粉末状及び/又は固形状である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の水素発生装置。
【請求項7】
中心部の筒部には、粉末状及び固形状の水素化マグネシウムが装填され、外側の筒部には固形状の水素化マグネシウムが装填されている
ことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5又は請求項6に記載の水素発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素化マグネシウムの加水分解反応が行われる反応容器を備え、該反応容器へ水又は酸性溶液を供給することによって、水素を発生させる水素発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水素の貯蔵方法の一つに吸蔵合金方式がある。吸蔵合金方式は、超高圧、極低温といった特殊状態で水素を貯蔵する必要がないため、取り扱いが容易で安全性が高く、しかも単位体積当たりの水素貯蔵量が高いという優れた特徴を有している。特許文献1には、吸蔵合金方式を採用した水素発生装置が開示されている。特許文献1に係る水素発生装置は、水素化マグネシウム粉末と、酸性物粉末との混合粉末を収容した円筒状の貯蔵室を備える。貯蔵室には、貯水室から導かれた注水管が挿入され、貯水室から貯蔵室へ水が供給されるように構成されている。貯蔵室に水が供給されると、水素化マグネシウム粉末が加水分解し、水素を発生させる。発生した水素は、例えば、燃料電池に供給され、電力に変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−298670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る水素発生装置においては、貯蔵室の底に水素化マグネシウム粉末が単に満遍なく敷き詰められているような構成であるため、単位時間当たりの水素発生量が安定しないという問題があった。発生した水素を燃料電池に供給して発電するような場合、電力の出力が安定しなくなるという問題が発生する。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑えて、水素を安定的に発生させることができる水素発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る水素発生装置は、水素化マグネシウムの加水分解反応が行われる反応容器を備え、該反応容器へ水又は酸性溶液を供給することによって、水素を発生させる水素発生装置において、前記反応容器の底部に、水素化マグネシウム装填用の高さが順々に低くなるように隣接した複数の筒部が立設してあり、更に、最も高い前記筒部の上方から、該筒部に装填された水素化マグネシウムに水又は酸性溶液を滴下する滴下部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、高さが高い筒部に水又は酸性溶液が滴下されるため、最も高い筒部に装填された水素化マグネシウムから加水分解反応が開始され、水素を発生する。水又は酸性溶液の滴下が続くと、最も高い筒部から水又は酸性溶液が溢れて、次に高さが高い筒部へ水又は酸性溶液が供給され、水素を発生する。このようにして、高さが高い筒部から低い筒部へと順に水又は酸性溶液が供給され、順々に水素化マグネシウムの加水分解反応が開始される。従って、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑えて、水素を安定的に生成することが可能になる。
【0008】
本発明に係る水素発生装置は、前記複数の筒部は同軸的に設けられており、中心部の筒部は、外側の筒部よりも高さが高いことを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、複数の筒部の形状が筒状であり、かつ同軸的に配されているため、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑え易く、安定的に水素を発生させることが可能である。
【0010】
本発明に係る水素発生装置は、前記筒部は同心円状に設けられた円筒状であり、中心部の筒部は、外側の筒部よりも高さが高いことを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、複数の筒部の形状が円筒状であり、かつ同心円状に配されているため、より効果的に単位時間当たりの水素発生量の変動を抑え、安定的に水素を発生させることが可能である。
【0012】
本発明に係る水素発生装置は、前記筒部には、水素化マグネシウムと共にクエン酸粉末が装填されていることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、水素化マグネシウムと共にクエン酸粉末が装填されているため、効果的に水素化マグネシウムを加水分解し、水素を発生させることが可能である。
【0014】
本発明に係る水素発生装置は、前記筒部には、水素化マグネシウムと共にクエン酸粉末が装填されており、水素化マグネシウムに対するクエン酸粉末の量は、外側の筒部に比べて、中心部の筒部の方が多いことを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、水又は酸性溶液の滴下が開始される筒部に装填されたクエン酸粉末の量が多いため、水素の発生量を、速やかに所定の必要量に到達させることができる。
【0016】
本発明に係る水素発生装置は、前記水素化マグネシウムは、粉末状及び/又は固形状であることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、筒部に、粉末状又は固形状の水素化マグネシウムが装填されている。また、筒部に粉末状及び固形状の水素化マグネシウムが装填されている。粉末状及び/又は固形状の水素化マグネシウムを組み合わせることによって、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑えることが可能である。
【0018】
本発明に係る水素発生装置は、中心部の筒部には、粉末状及び固形状の水素化マグネシウムが装填され、外側の筒部には固形状の水素化マグネシウムが装填されていることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、水又は酸性溶液の滴下が開始される筒部に粉末状の水素化マグネシウムが含まれているため、水素の発生量を、速やかに所定の必要量に到達させることができる。また、水又は酸性溶液の滴下が開始される筒部には、粉末状のみならず、固形状の水素化マグネシウムも装填されているため、水素の発生量が急増することを抑えることが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑えて、水素を安定的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施の形態に係る水素発生装置の一構成例を示した側断面図である。
図2】本実施の形態に係る水素発生装置の平面図である。
図3】本実施の形態に係る水素発生装置のIII−III線断面図である。
図4】本実施の形態に係る水素発生装置の要部を示した斜視図である。
図5】液体物質の供給開始時における水素発生装置の側断面図である。
図6】水素発生装置の作用を示した説明図である。
図7】変形例1に係る水素発生装置の要部を示した側断面図である。
図8】変形例2に係る水素発生装置の要部を示した平面図である。
図9】変形例3に係る水素発生装置の一構成例を示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本実施の形態に係る水素発生装置の一構成例を示した側断面図、図2は、本実施の形態に係る水素発生装置の平面図、図3は、図1のIII−III線断面図、図4は、本実施の形態に係る水素発生装置の要部を示した斜視図である。本発明の実施の形態に係る水素発生装置は、水素化マグネシウム10a,10b及びクエン酸粉末10cを収容すると共に、水素化マグネシウム10a,10bの加水分解反応が行われる反応容器1と、反応容器1の内側に配されており、クエン酸水溶液、水等の液体物質20を収容する液体物質収容室2と、反応容器1の底部11に配された水素化マグネシウム装填用の装填部3と、凝縮部材4と、蓋部5と、取付部6と、クランプ継手7と、断熱部材8と、水素化マグネシウム10a,10b及び液体物質20の接触によって発生した水素を外部へ送出する水素送出部9とを有する。
【0023】
反応容器1は、円板状の底部11と、底部11の周縁部に設けられた周壁12とを有し、有底円筒状をなしている。反応容器1は、押し出し成型されたステンレス製、又はアルミニウム製である。底部11には、水素化マグネシウム10a,10b及びクエン酸粉末10cが装填される装填部3が設けられている。装填部3は、底部に立設された高さが異なる第1乃至第3筒部31,32,33を備える。第1乃至第3筒部31,32,33は同軸的に設けられている。中央部に設けられた第1筒部31が最も高さが高く、第1筒部31の外側に設けられた第2筒部32は第1筒部31よりも高さが低くなるように構成されている。同様にして、第2筒部32の外側に設けられた第3筒部33は、第2筒部32よりも高さが低くなるように構成されている。
なお、ここでは、第1乃至第3筒部31,32,33を円筒状として説明したが、円筒状に限定されるものでは無く、角柱状であっても良い。また、上述の説明では、同心円の第1乃至第3筒部31,32,33を3段としているが、水素生成容量によって段数、筒の数を4段以上に増やしても良い。また、各々の筒部に装填するMgH2 の粒度、クエン酸の配合は水素生成量によって決定する。
【0024】
第1乃至第3筒部31,32,33には、水素化マグネシウム10a及びクエン酸粉末10cが装填される。液体物質収容室2から液体物質が最初に供給される第1筒部31には、迅速に水素を発生させるべく、更に粉末状の水素化マグネシウム10bを装填すると良い。もちろん、必要に応じて第2筒部32又は第3筒部33にも粉末状の水素化マグネシウムを装填しても良い。また、安定的に水素を発生させるべく、第1乃至第3筒部31,32,33のいずれにも固形状の水素化マグネシウム10aを装填すると良い。
水素化マグネシウムに対するクエン酸粉末の量は、第2及び第3筒部32,33に比べて、中心部の第1筒部31の方が多くなるようにすると良い。同様に、水素化マグネシウムに対するクエン酸粉末の量は、第3筒部33に比べて、中心側の第2筒部32の方が多くなるようにすると良い。
なお、第1乃至第3筒部31,32,33に装填すべき水素化マグネシウム10a,10b及びクエン酸粉末10cの量、割合、水素化マグネシウム10a,10bの形状は、必要な水素発生量に応じて適宜決定される。
【0025】
液体物質収容室2は、円板状の底部21と、底部21の周縁部に設けられた周壁22とを有し、有底円筒状をなしている。液体物質収容室2は、反応容器1よりも小寸法であり、反応容器1、液体物質収容室2の各底部11,21及び周壁12,22が互いに離隔するように配されている。底部21の略中央部には、液体物質20を反応容器1へ滴下するための滴下部23が設けられている。滴下部23は、一定流量の液体物質20を滴下できるように構成されている。滴下部23の下方には第1筒部31が位置している。
また、液体物質収容室2は、反応容器1に液体物質収容室2及び蓋部5を取り付けるための図示しない雄ねじ部分を上端部の外周の一部に有している。
【0026】
凝縮部材4は、反応容器1の周壁12と、液体物質収容室2の周壁22との間に配されており、水素と共に水素送出部9側へ上昇する液体物質20の蒸気を凝縮させる。凝縮部材4は、金属メッシュ、セラミック等で構成されている。
【0027】
蓋部5は、全体として円板状をなしており、円板部51と、円板部51の外周側に配された円環部52とを有し、円板部51は円環部52にボルト53,53…にて締結されている。円板部51の略中央部には、液体物質供給路開閉機構54が設けられている。液体物質供給路開閉機構54は、円板状のハンドル54aと、ハンドル54aに設けられた軸部54cと、軸部54cのハンドル54a側に形成された送りねじ54bと、軸部54cの先端側に設けられた弁体54dと、軸部54cのハンドル54a側の適宜箇所に設けられたストッパ部54eとを有する。また、蓋部5には、液体物質20を液体物質収容室2へ供給するための給水口55と、水素発生反応を開始させる際、反応容器1及び液体物質収容室2を連通させる連通手段56と、液体物質収容室2内のガスを抜く安全弁57、57と、図2に示すように、液体物質収容室2内部の圧力を監視するための圧力計58と、水素を送出する水素送出部9が設けられている。水素送出部9には開閉弁91が設けられている。また、連通手段56は、蓋部5の外周側、つまり反応容器1に連通する開閉弁付きの外側連通口56aと、蓋部5の内周側、つまり液体物質収容室2に連通する内側連通口56cと、外側連通口56a及び内側連通口56cを連結する連通路56bとを有する。なお、液体物質収容室2は、蓋部5に固定されている。
【0028】
取付部6は、反応容器1の上端部に形成されており、液体物質収容室2及び蓋部5を反応容器1に着脱可能に取り付けるための図示しない雌ねじ、つまり、液体物質収容室2の雄ねじにねじ止め可能な雌ねじを一部に有する。また、取付部6と、蓋部5との間をシールするリング状のシール部材61が取付部6に設けられている。
断熱部材8は、筒状をなし、反応容器1を構成する周壁12の外周面を覆っている。
また、水素発生装置は、蓋部5を反応容器1に固定するためのクランプ継手7を有する。
【0029】
なお、上述の説明では、蓋部5及び取付部6、蓋部5及び周壁12、円板部51及び円環部52を別体で構成した例を説明したが、各部を一体成形しても良い。水素発生装置を分解不能に一体成形した場合においては、所定量の水素を発生させた後の水素発生装置はリサイクル処理される。
【0030】
以下、このように構成された水素発生装置の動作について説明する。
図5は、液体物質20の供給開始時における水素発生装置の側断面図、図6は、水素発生装置の作用を示した説明図である。図1に示した状態で連通手段56を連通させるため、液体物質供給路開閉機構54のハンドル54aを回すことによって、滴下部23を開放させると、図6Aに示すように、液体物質収容室2に収容された液体物質20が第1筒部31に滴下される。そして、開閉弁91を開状態にする。
【0031】
図6Aに示すように、液体物質収容室2に収容された液体物質20が、第1筒部31に供給された場合、水素化マグネシウム10a,10b及び液体物質20の接触によって、反応容器1で水素が発生する。水素化マグネシウム10a,10bと液体物質20との反応は、下記化学式(1)で表される。
MgH2+2H2 O→Mg(OH)2 +2H2 …(1)
発生した水素は、反応容器1の周壁12と、液体物質収容室2の周壁22との間を上昇し、水素送出部9を通じて外部へ送出される。また、水素発生反応の発熱反応によって、水素と共に液体物質20の蒸気が発生するが、反応容器1で発生した蒸気は、水素と同様に反応容器1の周壁12と、液体物質収容室2の周壁22との間を上昇する。そして、各周壁12,22の間には凝縮部材4が備えられているため、前記蒸気は外部へ送出されることなく凝縮し、凝縮した水は反応容器1へ回収される。この凝縮した液体物質を回収することによって、水素発生反応で得られた熱も回収される。また、液体物質20の蒸気が除去された水素が水素送出部9から送出される。
【0032】
更に、液体物質20の滴下が続くと、図6Bに示すように第1筒部31から液体物質20が溢れ出し、該液体物質20が第1筒部31の外側に配された第2筒部32に供給され、第2筒部32においても水素の発生が開始される。つまり、第1筒部31における水素の発生量が低下し始める直前に、第2筒部32への液体物質20の供給が始まるように構成する。そうすると、第1筒部31における水素供給を引き継ぐようにして、第2筒部32から水素が発生し、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑えながら長時間にわたって安定的に水素を発生させることができる。
【0033】
同様にして、更に液体物質20の滴下が続くと、図6Cに示すように、第2筒部32から液体物質20があふれ出し、該液体物質20が第2筒部32の外側に配された第3筒部33に供給され、第3筒部33においても水素の発生が開始される。ここでも、第2筒部32における水素の発生量が低下し始める直前に、第3筒部33への液体物質20の供給が始まるように構成する。そうすると、更に長時間にわたって安定的に水素を発生させることができる。
【0034】
このように構成された水素発生装置においては、長時間にわたって、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑えて、水素を安定的に生成することができる。
【0035】
特に、実施の形態においては、第1乃至第3筒部31,32,33の形状が円筒状であり、かつ同心円状に配されているため、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑え易く、安定的に水素を発生させることができる。
【0036】
(変形例1)
実施の形態では、複数の筒部を同心円状に配した例を説明したが、複数の筒部の配置方法はこれに限定されるものでは無い。変形例1に係る水素発生装置は複数の筒部の構成のみが実施の形態と異なるため、以下では主に上記相異点について説明する。
【0037】
図7は、変形例1に係る水素発生装置の要部を示した側断面図である。変形例1に係る水素発生装置に係る装填部103は、反応容器の立設された高さが異なる複数の第1乃至第4筒部131,132,133,134を備える。第1乃至第4筒部131,132,133,134は、高さが順々に低くなるように隣接し、第1乃至第4筒部131,132,133,134には、各筒部に供給された液体物質20を隣の筒部へ流すための流路131a,132a,133aが設けられている。第1乃至第4筒部131,132,133,134は、直線状に配列させても良いし、螺旋状に配列させても良い。
【0038】
このように構成された水素発生装置の作用を説明する。まず、実施の形態1と同様、最も高い第1筒部131に液体物質20が滴下され、水素の発生が開始される。一定量の液体物質20が供給されると、第1筒部131から次に高さが低い第2筒部132へ、流路131aを通じて、液体物質20が供給される。そして、第1筒部131に引き続き、第2筒部132で水素が発生する。以下同様にして、第3筒部133、第4筒部134で、順々に水素の発生が開始される。
【0039】
変形例1にあっても、実施の形態と同様にして、長時間にわたって、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑えて、水素を安定的に生成することができる。
【0040】
(変形例2)
図8は、変形例2に係る水素発生装置の要部を示した平面図である。変形例2に係る水素発生装置に係る装填部203は、反応容器の立設された高さが異なる複数の第1乃至第4筒部231,232,233,234を備える。第1筒部231を中心にして、2つの第2筒部232,232が略対称的に配されており、第2筒部232,232から時計回りに第3筒部及び第4筒部233,223,234,234が略対称的に、時計回りに並び配されている。第1乃至第4筒部231,232,233,234は、高さが順々に低くなるように隣接し、第1乃至第4筒部231,232,233,234には、各筒部に供給された液体物質20を隣の筒部へ流すための流路が設けられている。
【0041】
このように構成された水素発生装置の作用を説明する。まず、実施の形態1と同様、最も高い第1筒部231に液体物質20が滴下され、水素の発生が開始される。一定量の液体物質20が供給されると、第1筒部231から次に高さが低い第2筒部232,232へ、流路を通じて、液体物質20が供給される。そして、第1筒部231に引き続き、第2筒部232,232で水素が発生する。以下同様にして、第3筒部233,233、第4筒部234,234で、順々に水素の発生が開始される。
【0042】
変形例2にあっても、実施の形態と同様にして、長時間にわたって、単位時間当たりの水素発生量の変動を抑えて、水素を安定的に生成することができる。
【0043】
(変形例3)
変形例3に係る水素発生装置は、基本的には実施の形態と同様の構成であり、蓋部、取付部、クランプ継手及び液体物質収容室の構成のみが異なるため、以下では主に上記相異点について説明する。
【0044】
図9は、変形例3に係る水素発生装置の一構成例を示した側断面図である。変形例3に係る蓋部305は、実施の形態における蓋部305、取付部及びクランプ継手を一体とした円板状部材であり、反応容器1の開口部に固定され、該開口部を封止している。また、蓋部305には、給水口及び連通手段が設けられておらず、液体物質収容室302には予め液体物質20が封入されている。液体物質収容室302の上部には、気体が通流する連通孔302aが形成されている。連通孔302aは、例えば、液体物質収容室302の周面に等間隔に複数設けられている。液体物質供給路開閉機構54のハンドル54aが操作され、弁体54dが上方へ移動すると、液体物質20が滴下する。反応容器1内の気体は、連通孔302aを通じて液体物質収容室302へ通流するため、液体物質20の滴下によって液体物質収容室302が負圧になることは無く、液体物質20の滴下は継続される。連通孔302aの大きさは、水素発生装置を倒置しても、液体物質20の表面張力で連通孔302aを通過しないが、気体が通流できるような大きさが好ましい。なお、図示しない封止部材によって、連通孔302aを塞いでおき、使用時に、封止部材を除去するように構成しても良い。例えば、封止部材は、液体物質供給路開閉機構54によって移動するように構成すると良い。具体的には、封止部材は軸部54cに接続され、連通孔302aを封止する円環状の部材である。封止部材は、軸部54cの上下動に伴って上下し、弁体54dが滴下部23に当接した場合、封止部材によって連通孔302aが封止され、弁体54dが滴下部23から離隔した場合、連通孔302aが開放されるように構成すると良い。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
1 反応容器
23 滴下部
31 第1筒部
32 第2筒部
33 第3筒部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9