(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係るフィルタープレスの側面図である。
フィルタープレス1は、フロントフレーム2とリアフレーム3に支架されたガイドレール4上に脱水ユニット5が水平方向に並列に配設されている。脱水ユニット5は、ガイドレール4上を移動自在に支架され、ガイドレール4に沿って例えば電動シリンダーや油圧シリンダーの駆動力により往復移動する開閉装置6で締め付けられる。
【0014】
図2は本発明に係るフィルタープレスの平面図である。
原液供給ポンプ7は原液供給管8a、8bを介してフィルタープレス1に原液を供給する。原液供給管8a、8bにはそれぞれ弁Va、Vbが配設されている。
脱水ユニット5には圧搾流体供給管9が連通している。
【0015】
図3は本発明に係るフィルタープレスの脱水ユニットの断面図である。
脱水ユニット5は、凹状に形成されたろ過床を有するろ板10を対向してろ過室12を形成してある。一方のろ板10にはダイアフラム11を設けており、ダイアフラム11は内部に圧力流体を注入することで膨張する。
【0016】
ろ板10、10間には、4枚のろ布13が配設されている。ろ布13は二組の一対のろ布13a、13bとし、二組の一対のろ布13a、13bは、それぞれ一対のろ布間にろ過室12を形成し、一方の一対のろ布13aはろ過室12aを、他方の一対のろ布13bはろ過室12bを形成する。
ろ板10とろ布13aLとの間、ダイアフラム11とろ布13bRとの間、並びにろ過室12中央の2枚のろ布13aR、13bL間からろ液が排出される。
【0017】
ろ過室12の上部には、脱水しようとするスラリー等の原液をろ過室12に供給する原液供給路14が設けられている。ダイアフラム11を配設したろ板10には、ろ板10を貫通して、ダイアフラム11に至る圧搾水注入路15が形成されている。圧搾流体供給管9から供給された圧搾流体が圧搾水注入路15を介してダイアフラム11内に注入される。ろ板10の下部には、ろ過床に連通して、ろ布13を介してろ過室12から透過したろ液を外部に排出するろ液排出路16が設けられている。
【0018】
図4はろ板下部の要部断面図である。
ろ板10にはろ液排出路16が設けられている。ろ板10の凹部からろ液排出路16にはろ過床よりろ液を排出する排出路16aが設けられており、ろ板間にはろ過室12中央の2枚のろ布13aR、13bL間より透過する排水をろ液排出路16に排出する排出路16bがある。ろ過室12中央の2枚のろ布13aR、13bLには、それらが当接する面に、半硬質ゴム等のリジェクタ32を固着する。リジェクタ32はろ板10のシール面の一部に挟まり、ろ液が排出路16bへ通過できるだけの隙間を形成する。
【0019】
図5はろ過室中央の2枚のろ布の下部正面図である。
リジェクタ32はろ布13下部に並列して配設しており、ろ板10の排出路16bがリジェクタで塞がれない位置に貼着してある。複数のリジェクタ32間は排出路16bでケーキが形成されないように狭い幅としてケーキの流出を防いでいる。
また、リジェクタ32を配設していなくても、ろ布13の間隙のみで排水は可能である。
【0020】
図3に示す脱水ユニット5の他、本実施例では両面に凹部を設けたろ板10と、両面にダイアフラム11を設けたろ板10を交互に配設した脱水ユニット5を用いているが、例えば正面に凹部を設け、裏面にダイアフラム11を設けたろ板10を並列した脱水ユニット5としても構わない。
【0021】
図6は本発明に係るろ板の正面図である。
本発明では、一つのろ過室12に二組の一対のろ布13a、13bを配設しており、一対のろ布13a、13bで形成される各々のろ過室12a、12bに原液を供給する原液供給路14a、14bを別々に設けている。ろ板10上部には2つの供給口17a、17bを開口してあり、ろ板10が並列することで供給口17a、17bが連通し、原液供給路14a、14bが形成される。原液供給路14a、14bは原液供給管8a、8bと連通し、原液をろ過室12a、12bへ供給する。
【0022】
図7は本発明に係るろ板の断面図である。
ろ板10、10間には二組の一対のろ布13a、13bを配設し、ろ布13にはろ板10上部の原液供給路14a、14bと対応する箇所に、それぞれ給液板18a、18bを配設する。
給液板18a、18bは原液供給路14a、14bが連通するように開口を有し、原液供給路14a、14bから原液をろ過室12a、12b内に流入させるため、開口からろ過室12a、12bに向かって分配口19a、19bを備えている。
(a)は
図6のX―X断面図であって、一方の給液板18aは一方の一対のろ布13aL、13aR間に配設してある。(b)は
図6のY―Y断面図であって、他方の給液板18bは他方の一対のろ布13bL、13bR間に配設してある。このように給液板18を構成することで、給液板18aから流入した原液はろ過室12aに供給され、給液板18bから流入した原液はろ過室12bに供給することができる。
【0023】
図8は本発明に係るフィルタープレスのケーキ剥離装置の概略側面図である。
4枚のろ布13aL、13aR、13bL、13bRに付着するケーキの剥離装置として、
図8のようにろ布13aL、13aR間、ろ布13bL、13bR間に上下走行可能なスクレーパー30を配設する。
【0024】
図9は本発明に係る他のケーキ剥離装置の概略側面図であって、ろ布13上部にろ布13を加振するための加振装置31を配設してケーキ剥離装置としてもよい。
【0025】
図10は、本発明に係る環状ろ布のケーキ剥離装置の概略側面図である。
(a)は、ろ板10上方とろ板10下方に設けたロール29に環状のろ布13を掛け回し、同じくろ板10、10間にも上方と下方に設けたロール29に環状のろ布13を掛け回し、駆動源によりロール29を回動させることでろ布13を走行させ、ケーキを剥離することができる。
(b)は、ろ板10、10下方に設けたロール29と、給液板18a、18b上方に設けたロール29と、給液板18a、18b間下方に設けたロール29に一枚のろ布13を掛け回し、駆動源によりロール29を回動させることでろ布13を走行させ、ケーキを剥離することができる。ロール29、給液板18は周知の技術で配設される。
【0026】
図11は本発明に係るろ布走行式フィルタープレスのろ板間に吊るす一対のろ布の斜視図である。
ろ布走行式フィルタープレス1では、ろ過室12に一対のろ布13を二組並べて配設している。
一対のろ布13の上縁部は合着されており、合着部には上部ろ布芯金20が装着されている。上縁部を合着した一対のろ布13の下縁部にはそれぞれ下部ろ布芯金21が装着されている。
また、ろ布13の上部には、原液供給路14a、14bと連通する二つの開口を有しており、一方の開口には給液板18が設けられている。給液板18は原液を一対のろ布13間に流入させる。
【0027】
二組の一対のろ布13a、13bの給液板18a、18bは対称的に配設される。一方の一対のろ布13aの給液板18aが設けられていない開口は、他方の一対のろ布13b上部に設けられた給液板18bの開口部に対応している。同様にして、一方の一対のろ布13aの給液板18aの開口は、他方の一対のろ布13bの給液板18bが設けられていない開口に対応している。よって、ろ板10が閉板した際に、これらの開口が連通して原液供給路14a、14bを形成する。
【0028】
図12は本発明に係るろ布走行式フィルタープレスのケーキ剥離装置の側面図である。
図8、9、10のケーキ剥離機構の他、
図12のように、ろ布13下端をロールに掛け回し、チェーン等でろ布13下端を吊り上げることでろ過面を下方に走行させてケーキを剥離する、ろ布走行式の剥離機構としてもよい。
ろ布走行式に用いるろ布13は、一対のろ布が二組で、計4枚のろ布13aL、13aR、13bL、13bRを用いる。
一対のろ布13a、13bに設けられた給液板18a、18bは一対のろ布間に配設され、給液板18a、18bを通った原液を分配口19a、19bより一対のろ布間に流入しているため、脱水されたケーキは一対のろ布間に形成される。
【0029】
図13は本発明に係るろ布走行式フィルタープレスのろ布走行後のケーキ剥離装置の側面図である。
ろ板上部スプロケット24、ろ板間上部スプロケット28に掛け回した走行チェーン22により、各下部ろ布芯金21が引き上げられるため、ろ布13は下方へ走行した後、ろ板リターンロール26もしくはろ板間リターンロール27を介して、ろ布13下部から順に上方へ走行している。
ケーキ剥離後、ろ板上部スプロケット24、ろ板間上部スプロケット28を逆転させ、ろ布13を元の位置に戻して脱水を開始する。
ろ板間上部スプロケット28、ろ板間リターンロール27は周知の方法で、開閉板するろ板10の中間に位置するように構成している。
【0030】
図14は本発明に係るろ布走行式フィルタープレスのろ板間に吊るしたろ布吊装置の要部側面図である。
二組の一対のろ布13a、13bの上縁部に挿通した上部ろ布芯金20の両端部に一対の駆動チェーン22、22が連結されている。ろ板10の肩部に一対の上部ブラケット23、23が立設されており、上部ブラケット23にろ板上部スプロケット24が軸着されている。ろ板上部スプロケット24には、一方の一対のろ布13aの駆動チェーン22aが巻き掛けられている。また、ろ板間上部には、ろ板間上部スプロケット28が配設されており、他方の一対のろ布13bの駆動チェーン22bが巻き掛けられている。
駆動チェーン22a、22bの一端は、それぞれろ布13a、13bの上縁部に配設した上部ろ布芯金20、20に連結されている。ろ板上部スプロケット24に巻き掛けてろ布13aを吊り下げた駆動チェーン22aの他端は、ろ板10の裏面側に垂下している。ろ板10の両側下端から垂下した下部ブラケット25に一対のろ板リターンロール26が支架されている。ろ布13aL下部が一方のろ板リターンロール26bに掛け回され、ろ布13aLの下部ろ布芯金21と、ろ板10の裏面側に垂下した駆動チェーン22aが係止されている。
【0031】
ろ板間下方には、一対のろ板間リターンロール27が配設されている。ろ布13aR下部が一方のろ板間リターンロール27aに掛け回され、ろ布13aRの下部ろ布芯金21が、ろ板間上部スプロケット24に掛け回された駆動チェーン22bに連結されている。
ろ布13bL下部が他方のろ板間リターンロール27bに掛け回され、上記駆動チェーン22bに連結されている。
ろ布13bR下部は、隣接するろ板10の他方のろ板リターンロール26aに掛け回され、ろ布13bRの下部ろ布芯金21が隣接するろ板10のろ板上部スプロケット24から裏面側に垂下した駆動チェーン22aと係止されている。
【0032】
ろ布走行中に、それぞれろ布13とろ板10が接触しないよう、ろ板上部スプロケット24、ろ板間上部スプロケット28、ろ板リターンロール26、ろ板間リターンロール27を配設し、必要であれば
図11、12のようにロール29を追加して配設してもよい。
ケーキ排出時には、図示しない駆動源にてろ板上部スプロケット24、ろ板間上部スプロケット28を回動することで、ろ布13を下方へ向かって走行させ、下部ろ布芯金21が駆動チェーン22によって引き上げられる。
剥離性の良いケーキはろ板10の開板と共に落下し排出され、ろ布13aL、13aR、13bL、13bRに付着したケーキは、ろ布13がろ板リターンロール26、ろ板間リターンロール27で鋭角に反転されることで剥離される。
【0033】
フィルタープレスの固液分離は以下のように行われる。
(閉板工程)
開閉装置6によって、並列して配設しているろ板10閉板し、締め付け、多数のろ過室12を形成すると共に、供給口17を連結して原液供給路14を形成する。
【0034】
(一次圧入工程)
図15は本発明に係る一次圧入時の脱水ユニット断面図である。
原液供給管8aに配設している弁Vaを開くと共に、原液供給ポンプ7を起動する。
原液は原液供給管8aから原液供給路14a、給液板18aを介し、ろ過室12に配設された4枚のろ布13aL、13aR、13bL、13bRのうち、給液板18aを挟んだろ布13aL、13aR間(ろ過室12a)に圧入される。原液は各ろ過室12a内に十分に行き渡り、ろ過室12に張設されたろ布13aL、13aRによって固液分離され、圧入圧力によるろ過作用が進行する。ろ布13aL、13aR、13bL、13bRを透過して固液分離されたろ液はろ液排出路16から外部に排出される。
一次圧入工程は予め定められた一定時間の間、継続する。ろ過室12a内は固形分が蓄積し、ケーキを形成する。
脱水性が良い原液は、一次圧入のろ過室12aによる脱水で脱水工程を終了し、開板工程に移ってよいものとする。
【0035】
(二次圧入工程)
図16は本発明に係る二次圧入時の脱水ユニット断面図である。
一定時間、一次圧入を行った後、ろ過室12bへ原液を圧入して固液分離する二次圧入を行う。
弁Vaを閉じてろ過室12aへの圧入を止めると共に、原液供給管8bに配設している弁Vbを開き、原液供給の流路を切り替える。原液は原液供給管8bから原液供給路14b、給液板18bを介し、給液板18bを挟んだろ布13bL、13bR間(ろ過室12b)に圧入される。原液は各ろ過室12b内に十分に行き渡り、ろ過室12に張設されたろ布13bL、13bRによって固液分離され、圧入圧力によるろ過作用が進行する。
ここで、ろ布13aRは一次圧入の際にケーキが付着しているため透過性が低く、二次圧入ではろ液を通さない。よって、ろ液はろ布13aR、13bL間を通り、下方の排出路16bより排出される。
【0036】
また、ろ布13aR、13bL間には、排液性を高めるためにネット等を取り付けてもよいものとする。ネット等を配設しなくとも、排液はろ布13の間隙を通過し、下方に設けたろ液排出路16bより排出される。
ろ布13bRを透過して固液分離されたろ液はろ液排出路16aから外部に排出される。
二次圧入において、一次圧入より高い圧力で圧入を行えば、ろ過室12bを更に拡張させて、ろ過室12a内のケーキに対して圧搾作用を与えることができる。
【0037】
(圧搾工程)
図17は本発明に係る圧搾工程の脱水ユニット断面図である。
一定時間、二次圧入を行った後、ろ過室12内のダイアフラム11を拡張させて、ろ過室12内のケーキに対して圧搾工程を行う。
具体的には、圧搾流体供給装置を起動する。圧搾流体は圧搾流体供給管9および圧搾水注入路15を介して、ろ板10に形成しているダイアフラム11内に圧力流体を供給し、ダイアフラム11を拡張させる。
原液は、ダイアフラム11による圧搾により、ろ布13aL、13aR、13bL、13bRで固液分離され、ろ液はろ過床に設けられたろ液排出路16a、ろ板間下方に設けられたろ液排出路16bを経て機外に排出する。
【0038】
また、二次圧入の際にろ過室12a、12bで形成されたケーキの含水率が異なる場合、圧搾工程ではろ過室12a、12bを同時に圧搾するため、含水率が均一なケーキを形成することが可能となる。
圧搾工程は定められた一定時間の間継続する。
また、長時間圧入などの圧入工程のみで固液分離を行う場合は、圧搾工程を省略してもよいものとする。その際、ろ板10に配設されたダイアフラム11は不要となる。
圧搾工程は、一次圧入の後に一度行い、二次圧入の後にもう一度行うこともできる。
【0039】
(開板工程)
一定時間、圧搾工程を行った後、圧搾流体供給装置を停止し、ダイアフラム11に供給された圧力流体を排出する。
開閉装置6でろ板10を一定間隔で開板する。開板したろ過室12内のケーキをケーキ剥離装置により下方に排出する。ろ布13に固着しているケーキは含水率が一定であるので、ろ布13からの剥離不良はない。