(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数並列したろ板(10・・・)間にろ過室(12)を形成し、各ろ過室(12)に二組の一対のろ布(13a、13b)を配設すると共に、一対のろ布(13a、13b)間でそれぞれろ過室(12a、12b)を形成するフィルタープレスのろ布吊設装置において、
ろ布(13aL、13aR、13bL、13bR)の下端縁に下部ろ布芯金(21)を設け、
それぞれ一対のろ布(13a、13b)を駆動チェーン(22a、22b)の一端から吊設し、
一方の一対のろ布(13a)の駆動チェーン(22a)をろ板上部スプロケット(24)に回動自在に掛け回して駆動チェーン(22a)の他端を隣接するろ板(10、10)間に垂下すると共に、他方の一対のろ布(13b)の駆動チェーン(22b)をろ板間上部スプロケット(28)に回動自在に掛け回し、
ろ布(13aR、13bL)をろ板間下方に配設したろ板間リターンロール(27a、27b)に掛け回し、
前記ろ布(13aR、13bL)の下部ろ布芯金(21)を駆動チェーン(22b)他端に連結し、
ろ布(13aL)と、隣接するろ板(10、10)間のろ布(13bR)をろ板(10)下方に配設したろ板リターンロール(26b、26a)にそれぞれ掛け回し、
前記ろ布(13aL)と隣接するろ板(10、10)間のろ布(13bR)の下部ろ布芯金(21)を駆動チェーン(22a)他端に連結したことを特徴とするフィルタープレスのろ布吊設装置。
前記ろ布(13a、13b)は、上部に原液供給路(14a、14b)と連通する二つの開口を有すると共に、それぞれ一対のろ布(13a、13b)は一方の開口に原液供給路(14a、14b)から原液を一対のろ板間に流入させる給液板(18a、18b)を有し、給液板(18a、18b)は原液供給路(14a、14b)と連通することを特徴とする請求項1に記載のフィルタープレスのろ布吊設装置。
前記ろ布(13aR、13bL)の下端縁、及びろ布(13aL)と隣接するろ板(10、10)間のろ布(13bR)の下端縁をそれぞれ連結し、連結部に下部ろ布芯金(21)を挿通したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルタープレスのろ布吊装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ろ板間に配設された一対のろ布を走行させるろ布吊設装置が開示されている。通常、これらのフィルタープレスのろ板間にはろ布が2枚配設され固液分離を行っているため、特許文献1のろ布吊設装置は2枚のろ布を走行させる装置である。しかしながら通常とは異なり、ろ板間にろ布を4枚配設して固液分離を行うことで、ろ過面が増加してフィルタープレスの処理能力をさらに向上させることが可能である。その場合、特許文献1に開示されているろ布の吊設装置では、4枚のろ布を走行させてケーキを剥離することは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
複数並列したろ板間にろ過室を形成し、各ろ過室に二組の一対のろ布を配設すると共に、一対のろ布間でそれぞれろ過室を形成するフィルタープレスのろ布吊設装置において、ろ布の下端縁に下部ろ布芯金を設け、
それぞれ一対のろ布を駆動チェーンの一端から吊設し、一方の一対のろ布の駆動チェーンをろ板上部スプロケットに回動自在に掛け回して
駆動チェーンの他端を隣接するろ板間に垂下すると共に、他方の一対のろ布の駆動チェーンをろ板間上部スプロケットに回動自在に掛け回
し、ろ布をろ板間下方に配設したろ板間リターンロールに掛け回し、前記ろ布の下部ろ布芯金を駆動チェーン他端に連結し、ろ布と、隣接するろ板間のろ布をろ板下方に配設したろ板リターンロールに
それぞれ掛け回し、前記ろ布と隣接するろ板間のろ布の下部ろ布芯金を駆動チェーン他端に連結したことで、ろ板間に配設された4枚のろ布を上下に走行させることができ、ろ布に付着したケーキを速やかに剥離することができる。
【0006】
また、前記ろ布は、上部に原液供給路と連通する二つの開口を有すると共に、それぞれ一対のろ布は一方の開口に原液供給路から原液を一対のろ板間に流入させる給液板を有し、給液板は原液供給路と連通することで、分けられたろ過室にそれぞれ原液を供給して、固液分離を行うことができる。
前記ろ布の下端縁、及びろ布と隣接するろ板間のろ布の下端縁をそれぞれ連結し、連結部に下部ろ布芯金を挿通したことで、1枚のろ布であっても1つのろ過室を2つに分割することができ、さらにろ布の走行による剥離も可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るフィルタープレスは、ろ板間に4枚のろ布を配設することでろ過室を二つ形成し、一つのろ過室につき、ろ布の4面でろ過できるようにしたものである。
本発明では、従来のろ布吊設装置では不可能であった、4枚のろ布の走行を可能としている。ろ板間に配設した4枚のろ布を同時に走行させることで、ろ布に付着したケーキを速やかに剥離することができ、フィルタープレスのろ過サイクル時間を大幅に短縮できる。また複数のろ板間に配設してあるろ布が全て連動しているため、一度のろ布走行で、全てのろ布のケーキ剥離が終了する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明に係るフィルタープレスの側面図である。
フィルタープレス1は、フロントフレーム2とリアフレーム3に支架されたガイドレール4上に脱水ユニット5が水平方向に並列に配設されている。脱水ユニット5は、ガイドレール4上を移動自在に支架され、ガイドレール4に沿って例えば電動シリンダーや油圧シリンダーの駆動力により往復移動する開閉装置6で締め付けられる。
【0010】
図2は本発明に係るフィルタープレスの平面図である。
原液供給ポンプ7は原液供給管8a、8bを介してフィルタープレス1に原液を供給する。原液供給管8a、8bにはそれぞれ弁Va、Vbが配設されている。
脱水ユニット5には圧搾流体供給管9が連通している。
【0011】
図3は本発明に係るフィルタープレスの脱水ユニットの断面図である。
脱水ユニット5は、凹状に形成されたろ過床を有するろ板10を対向してろ過室12を形成してある。一方のろ板10にはダイアフラム11を設けており、ダイアフラム11は内部に圧力流体を注入することで膨張する。
ろ板10、10間には、4枚のろ布13が配設されている。ろ布13は二組の一対のろ布13a、13bとし、二組の一対のろ布13a、13bは、それぞれ一対のろ布間にろ過室12を形成し、一方の一対のろ布13aはろ過室12aを、他方の一対のろ布13bはろ過室12bを形成する。
ろ板10とろ布13aLとの間、ダイアフラム11とろ布13bRとの間、並びにろ過室12中央の2枚のろ布13aR、13bL間からろ液が排出される。
【0012】
ろ過室12の上部には、脱水しようとするスラリー等の原液をろ過室12に供給する原液供給路14が設けられている。ダイアフラム11を配設したろ板10には、ろ板10を貫通して、ダイアフラム11に至る圧搾水注入路15が形成されている。圧搾流体供給管9から供給された圧搾流体が圧搾水注入路15を介してダイアフラム11内に注入される。ろ板10の下部には、ろ過床に連通して、ろ布13を介してろ過室12から透過したろ液を外部に排出するろ液排出路16が設けられている。
【0013】
図4はろ板下部の要部断面図である。
ろ板10にはろ液排出路16が設けられている。ろ板10の凹部からろ液排出路16にはろ過床よりろ液を排出する排出路16aが設けられており、ろ板間にはろ過室12中央の2枚のろ布13aR、13bL間より透過する排水をろ液排出路16に排出する排出路16bがある。ろ過室12中央の2枚のろ布13aR、13bLには、それらが当接する面に、半硬質ゴム等のリジェクタ32を固着する。リジェクタ32はろ板10のシール面の一部に挟まり、ろ液が排出路16bへ通過できるだけの隙間を形成する。
【0014】
図5はろ過室中央の2枚のろ布の下部正面図である。
リジェクタ32はろ布13下部に並列して配設しており、ろ板10の排出路16bがリジェクタで塞がれない位置に貼着してある。複数のリジェクタ32間は、排出路16bでケーキが形成されないように狭い幅とし、ろ液の排出を容易にしている。
【0015】
また、リジェクタ32を配設していなくても、ろ布13の間隙のみで排水は可能である。
図3に示す脱水ユニット5の他、本実施例では両面に凹部を設けたろ板10と、両面にダイアフラム11を設けたろ板10を交互に配設した脱水ユニット5を用いているが、例えば正面に凹部を設け、裏面にダイアフラム11を設けたろ板10を並列した脱水ユニット5としても構わない。
【0016】
図6は本発明に係るろ板の正面図である。
本発明では、一つのろ過室12に二組の一対のろ布13a、13bを配設しており、一対のろ布13a、13bで形成される各々のろ過室12a、12bに原液を供給する原液供給路14a、14bを別々に設けている。ろ板10上部には2つの供給口17a、17bを開口してあり、ろ板10が並列することで供給口17a、17bが連通し、原液供給路14a、14bが形成される。原液供給路14a、14bは原液供給管8a、8bと連通し、原液をろ過室12a、12bへ供給する。
【0017】
図7は本発明に係るろ板の断面図である。
ろ板10、10間には二組の一対のろ布13a、13bを配設し、ろ布13にはろ板10上部の原液供給路14a、14bと対応する箇所に、それぞれ給液板18a、18bを配設する。
給液板18a、18bは原液供給路14a、14bが連通するように開口を有し、原液供給路14a、14bから原液をろ過室12a、12b内に流入させるため、開口からろ過室12a、12bに向かって分配口19a、19bを備えている。
【0018】
(a)は
図6のX―X断面図であって、一方の給液板18aは一方の一対のろ布13aL、13aR間に配設してある。(b)は
図6のY―Y断面図であって、他方の給液板18bは他方の一対のろ布13bL、13bR間に配設してある。このように給液板18を構成することで、給液板18aから流入した原液はろ過室12aに供給され、給液板18bから流入した原液はろ過室12bに供給することができる。
【0019】
図8は本発明に係るろ布走行式フィルタープレスのろ板間に吊るす一対のろ布の斜視図である。
ろ布走行式フィルタープレス1では、ろ過室12に一対のろ布13を二組並列して配設している。一対のろ布13の上縁部は合着されており、合着部には上部ろ布芯金20が装着されている。上縁部を合着した一対のろ布13の下縁部にはそれぞれ下部ろ布芯金21が装着されている。
また、ろ布13の上部には、原液供給路14a、14bと連通する二つの開口を有しており、一方の開口には給液板18が設けられている。給液板18は原液を一対のろ布13間に流入させる。
二組の一対のろ布13a、13bの給液板18a、18bは対称的に配設される。一方の一対のろ布13aの給液板18aが設けられていない開口は、他方の一対のろ布13b上部に設けられた給液板18bの開口部に対応している。同様にして、一方の一対のろ布13aの給液板18aの開口は、他方の一対のろ布13bの給液板18bが設けられていない開口に対応している。よって、ろ板10が閉板した際に、これらの開口が連通して原液供給路14a、14bを形成する。
【0020】
図9は本発明に係るろ布走行式フィルタープレスのろ布吊設装置の側面図である。
ろ布走行式に用いるろ布13は、一対のろ布が二組で、計4枚のろ布13aL、13aR、13bL、13bRを用いる。
一対のろ布13a、13bに設けられた給液板18a、18bは一対のろ布間に配設され、給液板18a、18bを通った原液を分配口19a、19bより一対のろ布間に流入しているため、脱水されたケーキは一対のろ布間に形成される。
【0021】
図10は本発明に係るろ布走行式フィルタープレスのろ布走行後のろ布吊設装置の側面図である。
ろ板上部スプロケット24、ろ板間上部スプロケット28に掛け回した
駆動チェーン22により、各下部ろ布芯金21が引き上げられるため、ろ布13は下方へ走行した後、ろ板リターンロール26もしくはろ板間リターンロール27を介して、ろ布13下部から順に上方へ走行している。ケーキ剥離後、ろ板上部スプロケット24、ろ板間上部スプロケット28を逆転させ、ろ布13を元の位置に戻して脱水を開始する。
ろ板間上部スプロケット28、ろ板間リターンロール27は周知の方法で、開閉板するろ板10の中間に位置するように構成している。
【0022】
図11は本発明に係るろ布走行式フィルタープレスのろ板間に吊るしたろ布吊設装置の要部側面図である。
二組の一対のろ布13a、13bの上縁部に配設した上部ろ布芯金20の両端部に一対の駆動チェーン22、22が連結されている。ろ板10の肩部に一対の上部ブラケット23、23が立設されており、上部ブラケット23にろ板上部スプロケット24が軸着されている。ろ板上部スプロケット24には、一方の一対のろ布13aの駆動チェーン22aが巻き掛けられている。また、ろ板間上部には、ろ板間上部スプロケット28が配設されており、他方の一対のろ布13bの駆動チェーン22bが巻き掛けられている。
駆動チェーン22a、22bの一端は、それぞれろ布13a、13bの上縁部に配設した上部ろ布芯金20、20に連結されている。ろ板上部スプロケット24に巻き掛けてろ布13aを吊り下げた駆動チェーン22aの他端は、ろ板10の裏面側に垂下している。ろ板10の両側下端から垂下した下部ブラケット25に一対のろ板リターンロール26が支架されている。ろ布13aL下部が一方のろ板リターンロール26bに掛け回され、ろ布13aLの下部ろ布芯金21と、ろ板10の裏面側に垂下した駆動チェーン22aが係止されている。
【0023】
ろ板間下方には、一対のろ板間リターンロール27が配設されている。ろ布13aR下部が一方のろ板間リターンロール27aに掛け回され、ろ布13aRの下部ろ布芯金21が、ろ板間上部スプロケット28に掛け回された駆動チェーン22bの他端に連結されている。ろ布13bL下部が他方のろ板間リターンロール27bに掛け回され、前記駆動チェーン22bに連結されている。
ろ布13bR下部は、隣接するろ板10の他方のろ板リターンロール26aに掛け回され、ろ布13bRの下部ろ布芯金21が、隣接するろ板10のろ板上部スプロケット24から裏面側に垂下した駆動チェーン22aと係止されている。
【0024】
ここで、一対のろ布13の一方のろ布は、隣接する一対のろ布13の他方のろ布と下端縁を連結し、連結部に下部ろ布芯金21を挿通することで、一枚のろ布13でフィルタープレスのろ布13を構成することも可能である。
ろ布走行中に、それぞれろ布13aL、13aR、13bL、13bRとろ板10が接触しないよう、ろ板上部スプロケット24、ろ板間上部スプロケット28、ろ板リターンロール26、ろ板間リターンロール27を配設し、必要であれば
図9、10のようにロール29を追加して配設してもよい。
【0025】
ケーキ排出時には、図示しない駆動源にてろ板上部スプロケット24、ろ板間上部スプロケット28を回動することで、ろ布13を下方へ向かって走行させ、下部ろ布芯金21が駆動チェーン22によって引き上げられる。
剥離性の良いケーキはろ板10の開板と共に落下し排出され、ろ布13aL、13aR、13bL、13bRに付着したケーキは、ろ布13がろ板リターンロール26、ろ板間リターンロール27で鋭角に反転されることで剥離される。