(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料タンクに燃料油を給油する給油装置には、給油される燃料油の体積を計測するための流量計(例えば、特許文献1参照)が設けられている。係る流量計では、流入口から流入した燃料油によりピストンが一方向へ移動して、ピストンが移動する側のシリンダー内に充満している燃料油を流出口へ押し出している。そして、所定位置までピストンが移動すると、ピストンとロータリーバルブが連動してピストンを前記一方向に対する逆方向へ移動する。そして、連続的にピストンを上記一方向とその逆方向に往復運動せしめ、当該往復運動を繰り返すことにより燃料油の体積を計測(計量)している。
本出願人は、当該流量計で用いられるピストンであって、部品点数を減少し且つ組立工数を削減することが出来るピストンを提案している(特許文献2参照)。
【0003】
係るピストンは有用であるが、シール板の一方側に当該シール板を押える部材が設けられていないため、ピストンが移動する際に微少量の燃料油が漏洩して、流量計による計量精度が低下する恐れがあった。
また、シリンダー内にピストンを挿入するためには、シール板がシリンダー内に収容されるようにするため、シール板を湾曲した状態で保持しなければならず、組立作業に際して多大な労力を必要とした。
さらに、上述したピストンは本体部が合成樹脂製部品であるため、耐久性に問題があり、燃料油に接触することにより強度が低下する恐れがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、組み立てに多大な労力を必要とせず、耐久性が向上した流量計のピストンの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
半径方向内方に凹部
(41a)を有する金属製の第1のプレート
(41)と、前記凹部
(41a)に係合する凸部
(42b)を有する金属製の第2のプレート
(42)と、
前記第1および第2のプレート
(41、42)の半径方向外側
(41c、42c)に挟み込まれたシール板
(43)と有し、
クランク軸(6)の回転によりシリンダ内を往復運動を繰り返すことにより燃料油の体積を計量する流量計のピストンにおいて、前記第1および第2のプレート(41、42)の半径方向外側(41c、42c)はそれぞれ前記シリンダの計量対象流体の流入側に弯曲した形状となっており、前記第1および第2のプレート(41、42)の半径方向寸法が同一であり、前記シール板(43)の半径方向内側部は、前記第1および第2のプレート(41、42)の半径方向外側(41c、42c)に設けられた段部(41dd、42du)内に収容された状態で前記第1および第2のプレート(41、42)の半径方向外側(41c、42c)に設けられた領域に挟み込まれている。
【発明の効果】
【0009】
上述する構成を具備する本発明によれば、金属製の第1および第2のプレート(41、42)の半径方向外側により、シール板(43)が挟みこまれている構造となっている。
そのためピストン(4)全体の耐久性が向上し、流量計による燃料油の計量性能が安定する。
【0010】
本発明において、第1および第2のプレート(41、42)の半径方向外側(41c、42c)を湾曲した形状とすれば、プレート(41、42)の湾曲した形状によりシール板(43)も湾曲した形状となる様に付勢される。
そのため、作業員の人手によりシール板(43)を湾曲した形状に保持する必要がなくなり、組立作業における労力が激減し、その分だけ組立作業効率が向上する。
【0011】
そして本発明において、例えば第1および第2のプレート(41、42)の半径方向寸法を同一にして、前記シール板(43)をプレートの半径方向外側(41c、42c)に設けられた段部(41dd、42du)内で第1および第2のプレート(41、42)で挟み込めば、シール板(43)が両側から押え付けられる構造となる。そのため、ピストン(4)が移動してもシール材(43)が必要以上に変形することはなく、燃料油の漏洩が完全に防止される。
その結果、従来技術に係るピストンを用いた流量計に比較して、本発明に係るピストンを使用する流量計では、その計量精度が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に、図示の実施形態に係るピストンを使用した流量計の一例について、
図1を参照して説明する。
【0014】
図1において全体を符号100で示す容量式流量計では、本体ケース1の上方に配置された上蓋2の流入口2iは左側に位置しており、流入口2iから流入した計量対象流体(例えば、燃料油)は、ロータリーバルブ7の開口部7iから、本体ケース1の上部(
図1では左側の領域)に形成された水平流路11Lを経由して、左側のピストン4の受圧面(
図1では左側面)側の領域(
図1ではピストン4の左側の領域)に流入して、ピストン4を(
図1では右側に)押圧する。そして左側のピストン4は反対側のピストン4´方向(
図1では右方)に移動し、係る移動はピストンロッド5を介してクランク軸6を回転させる。
ピストン4がピストン4´方向(
図1では右方)に移動することにより、右側のピストン4´は(
図1の右方)に移動し、当該ピストン4´の右側の領域に存在する計量対象流体は、水平流路11Rを経由して、ロータリーバルブ7の内部を通過した後、ロータリーバルブ下方の垂直流路9を流下する。そして、クランク室10に形成された流出口12から外部へ流出する。
【0015】
ここで、クランク軸6の端部の回転軸61は、ロータリーバルブ7の回転軸71に公知の手段によって接続されている。従って、ピストン4、4´が右方向へ所定距離だけ移動し、クランク軸6が180度(半回転)回転すると、ロータリーバルブ7の開口部7iも半回転して上蓋2の流入口2iは右側に位置し、流体の流路が切り替わり、計量対象流体はピストン4´の右側の領域に流入する。
以下、上述の作動を繰り返し、ピストン4、4´は往復直線運動を行い、クランク軸6、ロータリーバルブ7が回転する。
ロータリーバルブ7の回転軸71の上方には、接続軸8を介して図示しない流量計測機構が接続され、当該流量計測機構が回転軸71の回転量に対応して計量対象流体の体積を計測する。
【0016】
本発明の実施形態に係るピストンは、
図1を参照して上述した流量計におけるピストン4、4´として用いられる。
次に、
図2〜
図4を参照して、本発明の実施形態に係るピストン4について説明する。
図2〜
図4において、ピストン4は、金属製の第1のプレート41と、金属製の第2のプレート42と、シール板43で構成されている。
明確には図示されていないが、ピストン4に組み立てられる以前の段階では、シール板43は全体が平板な円環状に形成されている。シール板43は、弾性を有し、燃料油に対する耐性に富んだ部材で構成されるのが好ましい。
【0017】
金属製の第1のプレート41は円盤状であり、中央に貫通孔41oが形成されている。
図3で示すように、第1のプレート41の半径方向内側の領域、すなわち貫通孔41oを含む中央領域には、凸部41bが形成されている。凸部41bの裏面側(
図3では下側)には、凹部41aが形成されている。
第1のプレート41の半径方向外側の領域41cにおいて、半径方向外縁部は湾曲しており、
図3、
図4において上方に反り上がった形状となっている。
【0018】
第1のプレート41における半径方向外側の領域41cと、領域41cよりも半径方向内側の領域41fとの境界には、
図3で示すように、段部41du、41ddが形成されている。
図3において、段部41du近傍においては、半径方向外側領域41cの上面が、半径方向内側の領域41fの上面よりも低い位置となっている。そして、段部41dd近傍においては、半径方向外側41cの下面は、半径方向内側の領域41fの下面よりも高い位置となっている。
【0019】
図示の実施形態では、金属製の第2のプレート42は、第1のプレート41と同一形状、同一寸法に形成されている。すなわち、第2のプレート42は円盤状であり、中央に貫通孔42oが形成され、当該貫通孔42oを含む中央領域に凸部42b(
図3参照)が形成されている。
図3で示すように、第1のプレート42の半径方向内側の領域、すなわち貫通孔42oを含む中央領域には、凸部42bが形成されており、凸部42bの裏面側(
図3では下側)には、凹部42aが形成されている。
第2のプレート42の半径方向外側の領域42cも、
図3、
図4で示すように、半径方向外縁部は湾曲しており、上方に反り上がった形状となっている。
【0020】
図3で示すように、第2のプレート42において、半径方向外側の領域42cと、当該領域42cよりも半径方向内側の領域42fの境界には、段部42du、42ddが形成されている。
段部42du近傍では、半径方向外側領域42cの上面が、当該領域42cよりも半径方向内側の領域42fの上面よりも低い位置となっている。そして、段部42dd近傍では、半径方向外側領域42cの下面が、半径方向内側領域42fの下面よりも高い位置となっている。
【0021】
上述した様に、第1のプレート41と第2のプレート42は、同一形状、同一寸法に形成されている。
そして、第1のプレート41と第2のプレート42とが同じ向きで重ね合わされており、第1のプレート41の凹部41aに第2のプレート42の凸部42bが係合(嵌合)している。
図3、
図4で示すように、シール板43は第1のプレート41と第2のプレート42の半径方向外側の領域41c、42cにより挟み込まれている。そして、シール板43の半径方向内縁部は、第1のプレート41の下方の段部41ddと、第2のプレート42の情報の段部42ddに当接している。
【0022】
図3、
図4で示すように、同一形状、同一寸法に形成されている第1のプレート41と第2のプレート42の各々は、その半径方向外縁部が(
図3、
図4の上方に向って)湾曲した形状となっていると共に、半径方向外側先端が尖った形状になっている。
図4で示すように、第1のプレート41の半径方向外側先端部41eと第2のプレート42の半径方向外側先端部42eの半径方向位置(
図4の左右方向位置)は対応している(等しい)。
半径方向外縁部が(
図3、
図4の上方に向って)湾曲して且つ半径方向外側先端が尖った形状となっていることにより、第1のプレート41と第2のプレート42でシール板43を挟みこんだ際に、シール板43を所望の曲率半径に曲げる様に付勢することが出来る。また、シール板43を半径方向外側の領域まで押え付けて、ピストン4の往復直線運動の際にシール板43が必要以上に変形してしまうことを防止して、ピストン4における燃料油の漏れを確実に抑制することが出来る。
【0023】
流量計100(
図1参照)のピストン4として組み立てる場合、
図3において、ピストンロッド5の先端部51に、第2のプレート42の貫通孔42oを挿通させる。そして、第2のプレート42の上側の段部42duにシール板43の半径方向内側端部が当接する様に、第2のプレート42にシール板43を係合させる。
第2のプレート42にシール板43が係合した状態で、第1のプレート41を第2のプレート42と同じ向きで、第1のプレート41の凹部41aを第2のプレート42の凸部42bに係合(嵌合)せしめ、ピストンロッド5の先端部51に挿通させる。
そして、第1のプレート41及び第2のプレート42によりシール板43が挟み込まれた状態で、ピストンロッド5の先端部51の雄ねじにロックナットNを螺合させ、適正トルクで締め付けることにより、流量計100のピストン4が組み上がる。
【0024】
図示の実施形態によれば、金属製の第1プレート41及び第2のプレート42の半径方向外側に、シール板43が挟みこまれている構造となっているので、ピストンの材料として(耐燃料油に問題がある)合成樹脂を使用する必要がない。
そのため、燃料油の流量計に用いられた場合にピストン4の耐久性が向上し、ピストン4が燃料油に劣化することによる流量測定精度の劣化を防止することができて、流量計の計測性能が安定する。
【0025】
図示の実施形態において、第1のプレート41及び第2のプレート42の半径方向外側領域41c、42cの外縁部を湾曲した形状となっており、且つ、第1のプレート41及び第2のプレート42は半径方向外縁部が尖った形状となっているため、プレート41、42の半径方向外縁部に沿ってシール板43も湾曲した形状に付勢される(いわゆる「くせ」がつけられる)。
そのため、作業員の人手によりシール板43を湾曲した形状に保持する必要がなくなり、組立作業における労力が激減し、その分だけ組立作業効率が向上する。
【0026】
そして図示の実施形態において、第1のプレート41及び第2のプレート42の形状および半径方向寸法が同一であり、シール板43を第1のプレート41及び第2のプレート42で挟み込み、シール板43の半径方向内縁部をプレート41、42に設けられた段部41dd、42duに当接する様に配置することにより、シール板43が第1のプレート41及び第2のプレート42から(両側から)同等に押え付けられる構造となる。そのため、流量計100内でピストン4が往復直線運動をしてもシール材43は必要以上に変形することがなく、燃料油がピストン4から漏洩することが防止される。
その結果、従来技術に係るピストンを用いた流量計に比較して、図示の実施形態にピストン4を使用する流量計の方が、計量精度が向上する。
【0027】
さらに図示の実施形態では、第1のプレート41と第2のプレート42とを同一の部材としているために、製造コストを削減するとともに、管理コストも抑制することができる。
【0028】
なお、図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。