【実施例】
【0018】
以下、本発明の一実施例である噛合チェーン式進退作動装置100を、
図1乃至
図7に基づいて説明する。
【0019】
ここで、
図1は、本発明に係る噛合チェーン式進退作動装置の斜視図であり、
図2は、本発明に係る噛合チェーン式進退作動装置の一部を拡大した斜視図であり、
図3は、中空モータ及びチェーン駆動用ナットの斜視図であり、
図4は、本発明に係る噛合チェーン式進退作動装置の一部を示す断面図であり、
図5は、一対の噛合チェーンの組み立て及び分解斜視図であり、
図6は、噛合チェーンを拡大した平面図であり、
図7は、一対の噛合チェーンを上側から見た平面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、装置設置面Gに据え置き状態で設置されたベースフレームBを備え、重量物などの被駆動物(図示しない)を搭載する被駆動体Tを装置設置面Gに対して平行に維持したまま鉛直方向Yに進退駆動するものである。
【0021】
また、
図2に示すように、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、一対の噛合チェーン110、110のうち相互に噛み外れたチェーン部分をガイドするとともに収納するチェーンガイドユニット150を備えている。
【0022】
図5に示すように、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100に用いた噛合チェーン110は、左右一対で配置される内歯プレート111、111からなる2つの内リンクユニット111Uと2つの内リンクユニット111Uの間に設けられた2つの中間歯プレート112と、チェーン幅方向Wに沿って2つの内リンクユニット111Uの外側に配置された外歯プレート113とを連結ピン114によりチェーン長手方向に多数連結して構成されている。
連結ピン114は、内歯プレート111に圧入嵌合されたブシュ115に挿嵌されている。
【0023】
図1乃至
図7に示すように、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、相互に噛み合って一体のチェーン剛直化部分110Gを形成する一対の噛合チェーン110、110と、チェーン剛直化部分110Gを通す中空状チェーン通路HPを形成する内周面120Sにらせん状のチェーン駆動用溝121を形成したチェーン駆動用ナット120と、このチェーン駆動用ナット120の中心線Oと同心上に設けられてチェーン駆動用ナット120を回転駆動する中空モータ130と、前述した一対の噛合チェーン110にそれぞれ形成されてチェーン駆動用溝121に係合するチェーン駆動用突起部112aとを備えている。
なお、本実施例では、チェーン駆動用ナット120の中心線Oが、被駆動体Tを装置設置面Gに対して平行に維持したまま進退駆動する鉛直方向Yと同じ方向になるように配置されている。
【0024】
これにより、本実施例では、中空モータ130の出力が、回転トルクとしてチェーン駆動用ナット120に伝達され、このチェーン駆動用ナット120に伝達された回転トルクが、らせん状のチェーン駆動用溝121と噛合チェーン110のチェーン駆動用突起部112aとの係合によって一対の噛合チェーン110、110の直線作動状態を円滑に創生している。
【0025】
また、前述した噛合チェーン110としては、左右一対の内歯プレート111を備えて構成される内リンクユニット111Uをチェーン幅方向Wに2列に配置した多列チェーンを用いている。
また、前述したチェーン駆動用突起部112aは、チェーン幅方向Wに沿って隣り合う2つの内リンクユニット111U、111Uの間に配置された中間歯プレート112、112の外側部分に形成されている。
【0026】
これにより、一対の噛合チェーン110、110にらせん状のチェーン駆動用溝121から相互に逆向きにそれぞれ作用する押し付け力が、チェーン幅方向Wの中央で相殺されて、一対の噛合チェーン110、110がさらに剛直化されるようになっている。
【0027】
また、前述したチェーンガイドユニット150は、装置設置面Gに配置されており、一対の噛合チェーン110、110を噛み外した状態と一対の噛合チェーン110、110を噛み合せてチェーン剛直化部分110Gを形成する状態との間で一対の噛合チェーン110、110をガイドしている。
そして、前述した中空モータ130は、チェーンガイドユニット150に固定設置されており、チェーン駆動用ナット120の中心線Oと同心上に設けられている。
また、本実施例で用いる中空モータ130については、特開2007−288870号公報に開示されている中空モータ、株式会社安川電機の製品であるΣ―Vシリーズ(ダイレクトドライブ)の中空モータなどを採用することができる。
【0028】
これにより、一対の噛合チェーン110、110は、装置設置面Gにチェーンガイドユニット150を介して固定した中空モータ130によって駆動されるとともに、装置設置面Gに固定したチェーンガイドユニットに150よって噛み外した状態と噛み合せてチェーン剛直化部分110Gを形成する状態との間で確実にガイドされている。
【0029】
このようにして得られた本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、一対の噛合チェーン110、110と、らせん状のチェーン駆動用溝121を形成したチェーン駆動用ナット120と、チェーン駆動用ナット120を回転駆動する中空モータ130と、噛合チェーン110の中間歯プレート112に形成されてチェーン駆動用溝121に係合するチェーン駆動用突起部112aとを備え、さらに、チェーンガイドユニット150が装置設置面Gに配置され、中空モータ130がチェーンガイドユニット150に固定設置されていることにより、従来のような噛合チェーンの進退動作で生じがちなチェーン長手方向、すなわち、鉛直方向Yの振動を抑制することができるとともに駆動用スプロケットや減速機などの部品点数を削減して小型化、低床化、省スペース化を達成することができ、しかも、従来の進退作動装置で用いたチェーン剛直化部分を保持するためのチェーンガイド部材とプッシュブルチェーンとの間で生じたような摩耗損傷や機械損失を回避して安定した進退動作を達成することができる。
【0030】
そして、チェーン駆動用突起部112aが、噛合チェーン110のチェーン幅方向に沿って隣り合う2つの内リンクユニット111U、111Uの間に配置された中間歯プレート112、112の外側部分に形成されていることにより、チェーン剛直化部分110Gに別途チェーンガイド部品を設けることなく一対の噛合チェーン110、110を中空モータ130の中心線Oに沿ってチェーン長手方向、すなわち、鉛直方向Yに確実にガイドして被駆動体Tを安定して進退動作させることができるなど、その効果は甚大である。