特許第5875115号(P5875115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5875115
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   H02G3/16
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-94486(P2012-94486)
(22)【出願日】2012年4月18日
(65)【公開番号】特開2013-223367(P2013-223367A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】斉本 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】岩城 孝広
(72)【発明者】
【氏名】戸田 隆文
(72)【発明者】
【氏名】濱口 雄幸
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/041521(WO,A1)
【文献】 特開2009−284622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が装着される一対のカセットブロックを有し、前記一対のカセットブロックが部品装着方向に互いに間隔をあけて配置された電気接続箱において、
一方の前記カセットブロックには、前記電子部品と電気接続される断面コ字状のバスバが装着され、
前記バスバは、コ字状の中央部が、前記部品装着方向に対して垂直な垂直方向に配置されているとともに、コ字状の両端部が前記部品装着方向に配置され、
他方の前記カセットブロックに装着される前記電子部品が、前記バスバの前記コ字状の中央部に対向する
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記一方のカセットブロックには、前記バスバと電気接続される前記電子部品が、二列に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記一方または前記他方のカセットブロックに、前記他方または前記一方のカセットブロックに向かって延びた板部が設けられ、
前記板部に、前記他方または前記一方のカセットブロックが係止する係止部が設けられている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記一方のカセットブロックにヒューズが装着され、
前記他方のカセットブロックにリレーが装着され、
前記リレーが、前記ヒューズに直列接続される
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスの相互接続に用いられる電気接続箱に関し、特に、電子部品が装着されるカセットブロックを複数有する電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には多種多様な電子機器が搭載されている。これら多種多様な電子機器に電力供給及び信号伝達を行うために、前記自動車には、複数の電線が束ねられて構成されたワイヤハーネスが複数配索されている。また、前記自動車には、ワイヤハーネスの相互接続に用いられる電気接続箱が適宜箇所に配置されている。
【0003】
上記電気接続箱の一例として、電子部品が装着される一対のカセットブロックと、これら一対のカセットブロックを収容するケースと、を有し、一対のカセットブロックがケースの深さ方向に間隔をあけて配置された電気接続箱が公知である(例えば特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−278800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した電気接続箱においては、一方のカセットブロックに取り付けられる電線と、他方のカセットブロックに装着される電子部品との干渉を避けるため、一対のカセットブロック間の間隔を大きく取ったり、電線を除けるカバーを用いる必要があるので、ケースが大型化したり、部品点数が増加するという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は、一対のカセットブロックが部品装着方向に互いに間隔をあけて配置された電気接続箱において、部品点数を増加させることなく、小型化を図ることができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、電子部品が装着される一対のカセットブロックを有し、前記一対のカセットブロックが部品装着方向に互いに間隔をあけて配置された電気接続箱において、一方の前記カセットブロックには、前記電子部品と電気接続される断面コ字状のバスバが装着され、前記バスバは、コ字状の中央部が、前記部品装着方向に対して垂直な垂直方向に配置されているとともに、コ字状の両端部が前記部品装着方向に配置され、他方の前記カセットブロックに装着される前記電子部品が、前記バスバの前記コ字状の中央部に対向することを特徴とする電気接続箱である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記一方のカセットブロックには、前記バスバと電気接続される前記電子部品が、二列に配置されることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載された発明において、前記一方または前記他方のカセットブロックに、前記他方または前記一方のカセットブロックに向かって延びた板部が設けられ、前記板部に、前記他方または前記一方のカセットブロックが係止する係止部が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか1項に記載された発明において、前記一方のカセットブロックにヒューズが装着され、前記他方のカセットブロックにリレーが装着され、前記リレーが、前記ヒューズに直列接続されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,2に記載された発明によれば、他方の前記カセットブロックに装着される前記電子部品が、前記バスバの中央部に対向し、一方のカセットブロックに取り付けられる電線と、他方のカセットブロックに装着される電子部品とが部品装着方向に対向しないので、一対のカセットブロック間の間隔を狭くすることができ、そのために、部品点数を増加させることなく、小型化を図ることができる電気接続箱を提供することができる。
【0012】
請求項3に記載された発明によれば、前記一方または前記他方のカセットブロックに、前記他方または前記一方のカセットブロックに向かって延びた板部が設けられ、前記板部に、前記他方または前記一方のカセットブロックが係止する係止部が設けられているので、容易に組み立てることができる電気接続箱を提供することができる。
【0013】
請求項4に記載された発明によれば、一方のカセットブロックに装着されるヒューズと他方のカセットブロックに装着されるリレーとを近接させることができるので、リレーとヒューズとの配線作業を容易にすることができる。また、リレーとヒューズとを接続する電線を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかる電気接続箱を示す断面図である。
図2図1に示された電源ブロックの斜視図である。
図3図1に示された電源ブロックの正面図である。
図4図1に示された電源ブロックの平面図である。
図5図1に示された電源ブロックの底面図である。
図6図1に示された電源ブロックの分解図である。
図7図1に示された電源ブロックを構成する一方のカセットブロックの底面図である。
図8図1に示された電源ブロックを構成する他方のカセットブロックの斜視図である。
図9図1に示された電源ブロックの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態にかかる「電気接続箱」を図1〜9を参照して説明する。
【0016】
本発明の電気接続箱1は、自動車に搭載されて、前記自動車に搭載された電子機器に対して電力供給及び信号伝達を行うものである。また、本発明では、ジャンクションブロック(ジャンクションボックスとも言う。)、ヒューズブロック(ヒューズボックスとも言う。)、リレーブロック(リレーボックスとも言う。)を、総称して以下電気接続箱と呼ぶ。
【0017】
上記電気接続箱1は、図1に示すように、一対のカセットブロック3,4が組み付けられて成る電源ブロック10と、電源ブロック10を収容したケース2と、を有している。ケース2は、箱状のケース本体2aと、ケース本体2aの開口部を覆う蓋部2bと、で構成されている。
【0018】
上記電源ブロック10は、図9の回路図に示すように電力を分配するものであり、図2〜6に示すように、複数の電子部品6,7,8と、これら電子部品6,7,8が装着される一対のカセットブロック3,4と、一方のカセットブロック3に装着されるバスバ5と、複数の電線11,12と、で構成されている。また、符号13は入力電源線であり、符号9は入力電源線13の端末に接続されたコネクタである。
【0019】
上記電子部品6,7はヒューズであり、一方のカセットブロック3に装着される。上記電子部品8はマイクロリレーであり、他方のカセットブロック4に装着される。また、図1〜6中の矢印Yは、ヒューズ6,7及びマイクロリレー8がカセットブロック3,4に装着される「部品装着方向」を示しており、矢印X及び矢印Zは、前記部品装着方向に対して垂直な「垂直方向」を示している。
【0020】
上記カセットブロック3は、合成樹脂で構成されている。カセットブロック3は、矩形状の本体部30と、本体部30の一端に設けられたコネクタ嵌合部39と、本体部30の外面に設けられた4つの係止部32と、本体部30の両端に設けられた一対の板部31と、を有している。本体部30には、複数のヒューズ6,7が装着される複数のヒューズ装着部36,37が設けられている。複数のヒューズ装着部36,37は、図4に示すように、二列に配列されている。コネクタ嵌合部39には、上述したコネクタ9が嵌合される。4つの係止部32は、ケース本体2aに設けられた図示しない係止受け部にそれぞれ係止する。一対の板部31は、他方のカセットブロック4に向かって板状に延びている。各板部31の先端には、他方のカセットブロック4が係止する係止部34が設けられている。
【0021】
上記カセットブロック4は、合成樹脂で構成されている。他方のカセットブロック4は、矩形状の本体部40と、本体部40の両端に設けられた一対の係止受け部43と、を有している。本体部40には、複数のマイクロリレー8が装着される複数のリレー装着部48が設けられている。複数のリレー装着部48は、一列に配列されている。一対の係止受け部43は、上述した一方のカセットブロック3の一対の板部31に設けられた係止部34に係止する。
【0022】
また、カセットブロック4側の係止受け部43は、図8に示すように、本体部40の外面から凸に設けられた突起部43aと、突起部43aの両側に設けられた一対のレール部43bと、で構成されている。また、カセットブロック3側の係止部34は、図6に示すように、板部31の内面から凸に設けられた突起部34aと、突起部34aの両側に設けられた一対の溝部34bと、で構成されている。そして、一対のレール部43bが一対の溝部34b内に挿入されて突起部43aが突起部34aに引っ掛かることにより、係止受け部43と係止部34とが互いに係止する。このように係止受け部43と係止部34とが互いに係止することにより、一対のカセットブロック3,4が部品装着方向に互いに間隔をあけて固定される。
【0023】
上記バスバ5は、図9に示すように、コネクタ9から入力された電力を複数のヒューズ6,7に分配するためのものであり、金属板にプレス加工が施されて得られるものである。このバスバ5は、図6に示すように、コ字状に折り曲げられた基部50と、基部50の対向する一端及び他端から延設された複数の端子部56,57と、コネクタ9と電気接続される端子部59と、端子部59と基部50とを繋いだ連結部51と、を有している。端子部56は、音叉状に形成されており、ヒューズ6と電気接続される。端子部57は、長方形板状に形成されており、ヒューズ7と電気接続される。
【0024】
上記バスバ5は、図7に示すようにカセットブロック3に装着された状態で、基部50の中央部50aが、部品装着方向(矢印Y)に対して垂直な垂直方向(矢印X,矢印Z)に配置されているとともに、複数の端子部56,57(請求項の「コ字状の両端部」)が部品装着方向(矢印Y)に配置されている。また、基部50の中央部50aは、矢印X方向に延びた帯状に形成されている。また、基部50の中央部50aは、カセットブロック4に装着されたマイクロリレー8と部品装着方向(矢印Y)に対向する(図2,3を参照。)。
【0025】
上記電線11は、図2,5,9に示すように、各ヒューズ7と各マイクロリレー8とを接続する電線である。また、一方のカセットブロック3の底面側から各ヒューズ7に接続された電線11は、マイクロリレー8の側方を通され、他方のカセットブロック4の底面側から各マイクロリレー8に接続される。すなわち、マイクロリレー8は、電線11を介してヒューズ7に直列接続される。上記電線12は、図2,5,9に示すように、各ヒューズ6に接続される電線である。また、一方のカセットブロック3の底面側から各ヒューズ6に接続された電線12は、マイクロリレー8の側方を通され、ケース2外に導出される。すなわち、電線11,12は、マイクロリレー8と部品装着方向(矢印Y)に対向しない。このことから、一対のカセットブロック3,4間の間隔の大小に係わらず、電線11,12はマイクロリレー8に干渉しない。
【0026】
このように、本発明では、一方のカセットブロック3に取り付けられる電線12が、他方のカセットブロック4に装着されるマイクロリレー8と部品装着方向(矢印Y)に対向しないので、一対のカセットブロック3,4間の間隔を、バスバ5とマイクロリレー8とが干渉しない範囲内で狭くすることができる。よって、ケース2の小型化を図ることができる。また、電線12を除けるカバーを用いる必要がない。
【0027】
また、本発明では、一方のカセットブロック3に装着されるヒューズ7と他方のカセットブロック4に装着されるマイクロリレー8とを近接させることができるので、マイクロリレー8とヒューズ7との配線作業を容易にすることができる。また、マイクロリレー8とヒューズ7とを接続する電線11を短くできる。
【0028】
上記電源ブロック10は、バスバ5、電子部品6,7,8、電線11,12が装着されるとともに一対のカセットブロック3,4同士が組み付けられた状態でケース本体2a内に挿入されて、一方のカセットブロック3に設けられた4つの係止部32が、ケース本体2aに設けられた図示しない係止受け部にそれぞれ係止することにより、ケース本体2aに組み付けられる。
【0029】
このように、本発明では、一対のカセットブロック3,4を個別にケース本体2aに組み付ける必要がないので、電気接続箱1を容易に組み立てることができる。
【0030】
また、図1に示すように、カセットブロック3は、ケース本体2aの開口部近傍に配置され、カセットブロック4は、ケース本体2aの底側に配置される。電気接続箱1においては、このような配置にしていることから、ヒューズ6,7を交換する際は、蓋部2bを外すだけで容易にヒューズ6,7の交換ができる。
【0031】
また、上述した実施形態では、一方のカセットブロック3側に一対の板部31が設けられていたが、本発明では、他方のカセットブロック4側に一対の板部31を設けても良い。また、本発明では、一対の板部31を必ずしも設けていなくても良く、その場合は、一対のカセットブロック3,4を個別にケース本体2aに組み付ける係止手段を設けていれば良い。
【0032】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 電気接続箱
3,4 カセットブロック
5 バスバ
6,7 ヒューズ(電子部品)
8 マイクロリレー(電子部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9