(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5875154
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20160218BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
H02G3/14
B60R16/02 610A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-164338(P2012-164338)
(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-27724(P2014-27724A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】河村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小宮 優紀
【審査官】
神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−134278(JP,A)
【文献】
特開2009−252453(JP,A)
【文献】
特開2002−330527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
救援端子部を有したバスバーと、該バスバーが装着される絶縁樹脂製のブロックと、該ブロックを収容する絶縁樹脂製のフレームと、前記救援端子部を覆う端子カバーと、を備えた電気接続箱であって、
前記ブロックには、前記救援端子部を突出させた状態で支持する端子支持部と、該端子支持部近傍に設けられる第一カバー支持部と、が形成され、
前記フレームには、前記ブロックを収容する際に前記救援端子部を挿通させる挿通孔と、該挿通孔近傍に設けられる第二カバー支持部と、が形成され、
前記ブロックを前記フレームに収容した収容状態において、前記第一カバー支持部と前記第二カバー支持部との間に前記端子カバーの軸部が挟まれることで、該軸部を中心として前記端子カバーが回動自在に支持されていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記第二カバー支持部は、前記挿通孔の縁部から延出するとともに半円弧状に曲がって前記第一カバー支持部の側に開口した半円弧部を有して形成され、
前記半円弧部に前記軸部が嵌合されて前記フレームに前記端子カバーが保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記端子支持部は、突出させた前記救援端子部の一方面に沿って該救援端子部を支持可能な片持ち板状に形成され、
前記端子支持部の基端部において、前記救援端子部の面内方向に膨出して前記第一カバー支持部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記救援端子部の近傍に位置するとともに、前記救援端子部を露出させる位置に回動させた前記端子カバーよりも該救援端子部の先端側に位置するカバー保護部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載される電気接続箱に関するものであり、特に、救援端子部を有したバスバーを備えた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される電気接続箱は、車種に応じていろいろな構造のものがあるが、例えば、電気部品が装着されるブロックと、このブロックを収容するフレームと、これらを覆うアッパカバーやロアカバー、サイドカバー等のカバーと、を備えた構造のものがある。そして、ブロックやフレームは、絶縁樹脂製の成形品であることが一般的であり、ブロックには、外部電源等に接続されるバスバーの他に各種のリレーやヒューズ、ヒュージブルリンク等の電気部品が装着され、フレームには、ブロックを収容するためのキャビティが形成されている。また、バスバーには、バッテリ上がり時に他の外部電源などからブースターケーブルを用いて給電するために、救援端子が設けられることがあり、救援端子を備えた電気接続箱の構造が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された救援端子は、電気接続箱の一種(又はそれに類する)電源供給ボックスに設けられるものであって、
図8に示すように、ベース101と、メインカバー102と、ベース101に装着されるバスバー103と、を備え、バスバー103に救援端子104が設けられている。さらに、メインカバー102には、救援端子104を外部に露出させる開口105が形成されるとともに、この開口105と救援端子104を覆うサブカバー106が取り付けられている。このサブカバー106に設けられたヒンジ軸107と、メインカバー102に設けられた円弧片からなる軸受108と、を互いに係止させることで、メインカバー102に対してサブカバー106が救援端子104を覆う位置と救援端子104を露出させる位置とに亘って回動自在に支持されている。
【0004】
一方、特許文献2に記載された救援端子は、前述したようなブロックとフレームとを備えた電気接続箱に設けられるものであって、
図9に示すように、ブロック111にバスバー112が装着され、その救援端子113がブロック111の孔部114から突出して設けられている。また、ブロック111には、孔部114の縁部から突出した端子支持板115が一体成形されるとともに、この端子支持板115に沿って救援端子113が設けられることで、ブースターケーブルのクランプによって救援端子113と端子支持板115とをまとめて把持することで、クランプの脱落を防止するように構成されている。また、ブロックは、図示しないフレームに収容されて箱本体を構成し、フレームには、ブロックを収容するキャビティと、救援端子113と端子支持板115とを挿通させる開口部と、が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−134278号公報
【特許文献2】特開2009−252453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の電気接続箱のように、メインカバー102に円弧片からなる軸受108を形成し、この軸受108にサブカバー106のヒンジ軸107を支持させる構造では、軸受108及びヒンジ軸107が箱本体から大きく外側に突出してしまい、電気接続箱が大型化するという問題がある。また、メインカバー102を射出成形によって製造する際に、円弧片からなる軸受108の形状が複雑であるため、通常の金型を用いた製造設備では型抜きが困難になったり、スライド型を用いる必要が生じて製造設備が大型化したり、など製造効率や製造コストの点で不利になるという問題も生じる。
【0007】
したがって、本発明は、製造効率を高めかつ製造コストを抑制しつつ小型化を図ることができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の電気接続箱は、救援端子部を有したバスバーと、該バスバーが装着される絶縁樹脂製のブロックと、該ブロックを収容する絶縁樹脂製のフレームと、前記救援端子部を覆う端子カバーと、を備えた電気接続箱であって、前記ブロックには、前記救援端子部を突出させた状態で支持する端子支持部と、該端子支持部近傍に設けられる第一カバー支持部と、が形成され、前記フレームには、前記ブロックを収容する際に前記救援端子部を挿通させる挿通孔と、該挿通孔近傍に設けられる第二カバー支持部と、が形成され、前記ブロックを前記フレームに収容した収容状態において、前記第一カバー支持部と前記第二カバー支持部との間に前記端子カバーの軸部が挟まれることで、該軸部を中心として前記端子カバーが回動自在に支持されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の電気接続箱は、請求項1に記載された電気接続箱において、前記第二カバー支持部は、前記挿通孔の縁部から延出するとともに半円弧状に曲がって前記第一カバー支持部の側に開口した半円弧部を有して形成され、前記半円弧部に前記軸部が嵌合されて前記フレームに前記端子カバーが保持可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の電気接続箱は、請求項1又は2に記載された電気接続箱において、前記端子支持部は、突出させた前記救援端子部の一方面に沿って該救援端子部を支持可能な片持ち板状に形成され、前記端子支持部の基端部において、前記救援端子部の面内方向に膨出して前記第一カバー支持部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の電気接続箱は、請求項1〜3のいずれか一項に記載された電気接続箱において、前記救援端子部の近傍に位置するとともに、前記救援端子部を露出させる位置に回動させた前記端子カバーよりも該救援端子部の先端側に位置するカバー保護部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、ブロックに第一カバー支持部を形成し、フレームに第二カバー支持部を形成し、これらの第一カバー支持部と第二カバー支持部との間に端子カバーの軸部を挟み、この軸部を中心として回動自在に端子カバーを支持したことで、第一カバー支持部及び第二カバー支持部のそれぞれの構造を簡単化することができる。また、第一カバー支持部と第二カバー支持部とは、ブロックをフレームに収容する収容方向の両側から軸部を挟み込むように構成されるので、第一及び第二のカバー支持部を合わせて構成される軸受部を該電気接続箱の外側に突出させる必要がなくなり、電気接続箱を小型化することができる。即ち、ブロックをフレームに収容する組立時に、第一及び第二のカバー支持部の一方に端子カバーの軸部を位置させておき、組立と同時に他方との間に挟み込めばよいので、電気接続箱の外側から端子カバーを取り付けなくてもよいことから、軸受部の位置を比較的自由に設定することができる。さらに、第一及び第二のカバー支持部がそれぞれブロックとフレームとに分割配置されているので、従来の軸受のように複雑な形状の円弧片を設ける必要がなく、ブロック及びフレームを射出成形によって製造する際の型抜きが容易になるとともに、金型の構造も簡単化することができ、製造設備の簡素化と製造コストの抑制とを図ることができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、第二カバー支持部が第一カバー支持部の側に開口した半円弧部を有して形成されているので、フレームに対するブロックの収容方向に沿って半円弧部が開口することとなり、フレームを射出成形によって製造する際に、スライド型を用いなくても半円弧部を含めたフレームを一体成形することができる。また、半円弧部に軸部が嵌合されてフレームに端子カバーが保持されるので、フレームにブロックを収容する組立時に端子カバーを保持させておけば、作業者が手で端子カバーを押さえたり他の保持手段を用いたりする必要がなく、組立作業を容易に実施することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、端子支持部が救援端子部の一方面に沿う片持ち板状に形成され、この端子支持部で救援端子部が面外方向に支持されるので、ブースターケーブルのクランプで救援端子部を把持する際に救援端子部の変形を防止し、救援端子部のみならず端子支持部によってもクランプの把持力を受け止めることができ、クランプの脱落を防止することができる。さらに、第一カバー支持部が端子支持部の基端部から膨出して形成されているので、第一カバー支持部を独立した突片などとして形成する場合と比較して、第一カバー支持部の強度を高めることができるとともに、端子支持部及び第一カバー支持部を成形するための金型形状を簡単化することができる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、フレームにカバー保護部が設けられ、このカバー保護部が、救援端子部を露出させる位置に回動した端子カバーよりも救援端子部の先端側に位置して設けられているので、ブースターケーブルのクランプで救援端子部を把持する際に、救援端子部の基端側へ向かうクランプの移動をカバー保護部によって規制することができ、クランプがぶつかって端子カバーを破損させてしまう事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態にかかる電気接続箱の一部を示す斜視図であり、(A)はフレームを示し、(B)はブロックを示す図である。
【
図2】前記電気接続箱の要部を拡大して示す斜視図であり、(A)はフレームの一部を示し、(B)はブロックの一部を示す図である。
【
図3】前記電気接続箱の要部を拡大して動作を示す斜視図である。
【
図4】前記電気接続箱の要部を拡大して示す断面図である。
【
図5】前記電気接続箱の要部を拡大しかつ断面して示す斜視図である。
【
図6】前記電気接続箱の給電時の状態を示す斜視図である。
【
図7】前記電気接続箱における端子カバーの動作を示す側面図である。
【
図8】従来技術に係る電気接続箱を示す斜視図である。
【
図9】他の従来技術に係る電気接続箱の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる電気接続箱を、
図1〜
図7に基づいて説明する。本実施形態に係る電気接続箱は、自動車に搭載されて、該自動車に搭載された電子機器に対して電力供給及び信号伝達を行うものである。なお、本発明では、ジャンクションブロック(ジャンクションボックスとも言う)、ヒューズブロック(ヒューズボックスとも言う)、リレーブロック(リレーボックスとも言う)を、総称して以下電気接続箱と呼ぶ。
【0018】
電気接続箱は、
図1に示すように、フレーム1と、このフレーム1に収容されるブロック2と、を組み合わせた箱本体を備え、さらに、箱本体の下側を覆う図示しないロアカバーと、箱本体の上側を覆う図示しないアッパカバーと、を備えて構成されている。なお、
図1(B)には、複数のブロックのうち、外部バッテリ等からの電源線が接続される電気接続部2Aを有したブロック(接続ブロック)2が示されている。また、
図1(A)に示すフレーム1と、
図1(B)に示すブロック2とは、図示の縮尺が異なっており、
図1(A)のフレーム1よりも
図1(B)のブロック2が拡大して示されている。
【0019】
フレーム1は、絶縁性の合成樹脂からなり、周知の射出成形により成形されるものであって、その外周を囲む複数の外壁部1Aと、その内部を仕切る内壁部1Bと、内壁部1Bで仕切られてブロック2を収容する複数のキャビティ1C,1Dと、を有して形成されている。また、フレーム1には、ブロック2の電気接続部2Aを囲むように立設壁1Eが設けられるとともに、後述するバスバー3の救援端子部3Bを覆う端子カバー4が保持されている。
【0020】
ブロック2は、絶縁性の合成樹脂からなり、周知の射出成形により成形されるものであって、電気接続部2Aと、複数の電気部品(リレーやヒューズ等)が装着される部品装着部2Bと、を有して形成されている。また、ブロック2には、電気接続部2Aと部品装着部2Bとに亘って設けられるとともに、複数の電気部品に給電するバスバー3が装着されている。電気接続部2Aには、図示しないボルトブロックが取り付けられ、このボルトブロックのボルト5(
図3等参照)を介して電源線とバスバー3とが接続されるようになっている。さらに、電気接続部2Aには、その上面部21から上方に片持ち状に突出するとともにバスバー3の救援端子部3Bに沿って設けられ、救援端子部3Bを支持する端子支持部2Cが形成されている。
【0021】
バスバー3は、導電性の金属からなり、打ち抜き加工や曲げ加工により成形されるものであって、ブロック2の電気接続部2Aに位置してボルト5に接続される主端子部3Aと、バッテリ上がり時に他の外部電源を接続するための救援端子部3Bと、部品装着部2Bに延びて複数の電気部品が各々接続される複数の部品端子部(不図示)と、を有して形成されている。主端子部3Aは、電気接続部2Aに露出して設けられ、ボルト5を挿通するためのボルト挿通孔3Cを有している。救援端子部3Bは、ブロック2から上方に突出するとともに、その一方面がブロック2の端子支持部2Cに沿って設けられている。
【0022】
以上のようなブロック2は、バスバー3やボルトブロック、電気部品を装着した状態で
図1の下方から上方(即ち収容方向X)に向かってフレーム1に組み付けられ、電気接続部2Aがキャビティ1Cに収容されるとともに、部品装着部2Bがキャビティ1Dに収容される。また、収容位置までブロック2を押し込むことで、その周壁に設けられた複数の係合部2Dがフレーム1の外壁部1Aや内壁部1Bに設けられたロック片(不図示)に係合されることで、フレーム1とブロック2とが互いに固定されるようになっている。
【0023】
次に、
図2〜
図5も参照してフレーム1、ブロック2及び端子カバー4の詳細構造について説明する。フレーム1には、立設壁1Eに隣り合う位置に上面部11と側面部12,13とが設けられ、上面部11及び側面部12,13によってキャビティ1D上方及び側方が囲まれている。上面部11には、救援端子部3B及び端子支持部2Cを挿通させる挿通孔14が形成され、この挿通孔14における立設壁1E側の縁部には、立上壁15が形成されている。側面部13及び立上壁15の上端縁は、それぞれ挿通孔14の長手方向(
図2、3の左右方向であり、救援端子部3Bの面内方向)に沿って高さ方向に傾斜して形成され、この傾斜の高い側(
図2、3の右側)には、側面部13及び立上壁15に連続する断面コ字形の立上部16が形成され、この立上部16には、端子カバー4を係止する係止片16Aが設けられている。さらに、立設壁1Eと立上壁15との間における上面部11には、上方に突出した複数(本実施形態では6枚)のリブ部17が設けられている。
【0024】
さらに、フレーム1において、挿通孔14を挟んで立上部16の反対側(
図2、3の左側)には、挿通孔14の縁部である側面部12の上端縁から上方に延出した第二カバー支持部18が形成されている。この第二カバー支持部18は、後述する第一カバー支持部25との間に端子カバー4の軸部44を挟んで支持するものであって、その上端から立上部16の側に曲がって下方(第一カバー支持部25の側)に開口した半円弧部18Aを有して形成されている。第二カバー支持部18は、半円弧部18Aが半円弧状に形成され、この半円弧部18Aを含めてフレーム1と一体成形されるものであって、その成形金型としては、側面部12,13等に沿った上下方向に型開きするものが利用でき、一方の金型(下型)に対して成形したフレーム1が上方に型抜きできるようになっている。
【0025】
一方、ブロック2の電気接続部2Aには、フレーム1の上面部11及び側面部12,13にそれぞれ対応した位置に上面部21及び側面部22,23が形成されている。そして、ブロック2の電気接続部2Aをフレーム1のキャビティ1Dに収容した状態において、上面部21及び側面部22,23がフレーム1の上面部11及び側面部12,13の各内面に沿って位置するようになっている。ブロック2の端子支持部2Cは、上面部21から上方に延びる片持ち板状に形成され、この端子支持部2Cの基端部には、救援端子部3Bを挿通させるスリット状の孔部24が形成されている。さらに、端子支持部2Cの基端部には、孔部24に挿通させた救援端子部3Bの突出方向(上方)と交差する方向であり、救援端子部3Bの面内方向(
図2、3の左右方向)に膨出した第一カバー支持部25が形成されている。この第一カバー支持部25は、端子支持部2Cと一体に成形され、端子支持部2Cの突出方向である上下方向に延び形成されている。第一カバー支持部25の上端部には、第二カバー支持部18の半円弧部18Aと対向し、半円弧部18Aの内周面とともに円筒状の軸受部を構成する凹部25Aが形成されている。
【0026】
端子カバー4は、
図3〜
図5に示すように、天面部41と、左右の側面部42,43と、を有して全体略コ字形の断面形状を有して形成され、一方側(立設壁1E側)の側面部42が端子支持部2Cに沿い、他方側の側面部43が救援端子部3Bに沿って該救援端子部3Bを覆うように構成されている。また、側面部42,43の先端縁(天面部41と反対側の端縁)は、フレーム1の側面部13及び立上壁15の上端縁に対応した傾斜を有して形成されている。さらに、端子カバー4には、側面部42,43の先端縁側の一端部同士を連結して延びる軸部44が形成され、この軸部44と反対側の天面部41近傍には、フレーム1の係止片16Aに係止される係止突起45が形成されている。このような端子カバー4は、軸部44が第一カバー支持部25の凹部25Aと第二カバー支持部18の半円弧部18Aとに挟まれることで、回動自在に支持されており、
図3(A)に示すように救援端子部3Bを覆うカバー位置と、
図3(B)に示すように救援端子部3Bを露出させる非カバー位置と、に亘って開閉操作可能に構成されている。
【0027】
また、端子カバー4は、
図1に示すように、フレーム1とブロック2との組立前の状態において、第二カバー支持部18の半円弧部18Aに軸部44を嵌合させることによって、フレーム1に仮保持された仮取付状態となる。そして、フレーム1にブロック2を組み付け、半円弧部18Aの下方に第一カバー支持部25の凹部25Aを対向させることで、これらの半円弧部18Aと凹部25Aとで軸部44を挟み、これにより端子カバー4が脱落不能に支持された本取付状態となる。本取付状態では、カバー位置に回動させることで、係止突起45がフレーム1の係止片16Aに係止されるとともに、側面部42の先端縁が立上壁15の上端縁に当接し、側面部43の先端縁が側面部13の上端縁に当接し、これによって救援端子部3B及び救援端子部3Bを覆うようになっている。
【0028】
以上の電気接続箱において、バッテリ上がり時に他の外部電源からバスバー3に給電する場合には、
図6に示すように、端子カバー4を非カバー位置に回動させて救援端子部3Bを露出させてから、ブースターケーブルBのクランプCで救援端子部3Bを把持する。この際、クランプCによって救援端子部3Bとともに端子支持部2Cも把持することで、クランプCの脱落が防止できるようになっている。さらに、フレーム1における端子支持部2Cの隣接位置に複数のリブ部17が設けられていることで、リブ部17にクランプCの先端が当接して下降移動が規制され、非カバー位置に開放した端子カバー4にクランプCが干渉しないようになっている。具体的には、
図7(A)に示すように、端子カバー4の側面部42,43の先端縁に傾斜が形成され、
図7(B)に示すように、端子カバー4を開放した際に側面部42,43の先端縁が略水平になるとともに、図中一点鎖線で示すリブ部17の先端以下の高さに端子カバー4が位置することで、クランプCとの干渉が防止されている。即ち、複数のリブ部17によってカバー保護部が構成され、クランプCとの干渉を防止することによって、端子カバー4の破損が防止できるようになっている。
【0029】
本実施形態によれば、フレーム1に第二カバー支持部18が設けられ、ブロック2に第一カバー支持部25が設けられ、ブロック2をフレーム1に収容して組み立てることで、第二カバー支持部18の半円弧部18Aと第一カバー支持部25の凹部25Aとで軸部44を挟んで端子カバー4を回動自在に支持することができる。従って、フレーム1に対するブロック2の収容方向(
図1,2に示すX方向)において、半円弧部18Aと凹部25Aとで軸部44を挟むことができる位置に、第一カバー支持部25及び第二カバー支持部18が設けられていればよく、電気接続箱の側方などの外側に突出させて軸受部を設ける必要がないことから、電気接続箱を小型化することができる。また、従来の軸受部のように複雑な形状ではなく、半円弧部18Aと凹部25Aとを有して各カバー支持部18,25が形成されていればよいので、比較的簡単な構造の金型を用いた射出成形によってフレーム1及びブロック2を製造することができる。
【0030】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0031】
例えば、前記実施形態では、ブロック2に電気接続部2Aと部品装着部2Bとが設けられ、部品装着部2Bに複数の電気部品が装着される構成の電気接続箱を例示したが、本発明の電気接続箱において、ブロックに電気接続部2Aや部品装着部2Bが設けられていなくてもよい。従って、ブロックに装着されるバスバー3に主端子部3Aや複数の部品端子部が設けられていなくてもよい。即ち、本発明を構成する救援端子部を有したバスバーは、主端子部3Aや部品端子部を有した他のバスバー等と別体で形成され、このような他のバスバーに適宜な接続部材を介して接続されていてもよい。
【0032】
また、前記実施形態では、バスバー3の救援端子部3Bを主端子部3Aの近傍であるブロック2の電気接続部2Aに設けたが、救援端子部の設置位置や突出方向は、任意に設定することができる。また、端子カバーを回動自在に支持する第一及び第二のカバー支持部は、前記実施形態の位置に限らず、挿通孔14の縁部における他の3辺のいずれかに設けられていてもよい。即ち、端子カバーの支持位置や回動方向は、電気接続箱の設置場所や設置方向に応じて任意に設定されていればよく、利用者の利便性を考慮して適宜に設定することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 フレーム
2 ブロック
2C 端子支持部
3 バスバー
3B 救援端子部
4 端子カバー
14 挿通孔
17 リブ部(カバー保護部)
18 第二カバー支持部
18A 半円弧部
25 第一カバー支持部
44 軸部