(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検試料を担持した水解性担体を接触後の前記反応液中で、PCR法、LAMP法、SDA法、RT−SDA法、RT−PCR法、RT−LAMP法、NASBA法、TMA法、RCA法、ICAN法、UCAN法、LCR法、LDR法、SMAP法、SMAP2法から選ばれる反応を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
生物の個体間では、野生型とは異なる塩基配列を有する遺伝子多型(SNP)が存在する。この遺伝子多型は、個体の基礎代謝、性質、疾患などの差異を生じさせることが知られており、生物における遺伝子多型を検査することは将来生じうる疾患などを予測することに繋がることから、臨床的にも重要視されている。したがって、個体のDNAの特定遺伝子において変異が生じているか否かを検査することについて様々な研究が進められており、生体試料、臨床試料などの被検試料に含まれる遺伝子の増幅v法として汎用されているPCR法がSNP分析にも応用されている(たとえば特開2005−245272号公報(特許文献1)を参照)。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、PCR法に利用するためのDNAの精製などの操作が煩雑であり、より簡便な方法が求められている。
【0003】
また生体から少量の血液などを採取し、その血液を直接利用して特定遺伝子を増幅して検出するための簡便なPCR法などが開発されている(たとえば特表2008−531039号公報(特許文献2)を参照)。しかし、特許文献2に記載の方法においては、血液を採取する際に痛みが伴い、血液を輸送する際には低温に保持する必要があり、さらに、PCR法などに使われなかった余った血液などの被検試料の保存および処分には細心の留意を払う必要がある。
【0004】
また、PCR法などを利用した特開2006−187270号公報(特許文献3)、特開2006−322739号公報(特許文献4)およびKinoshita, K. et al., Nucleic Acids Res. 35:e3 (2007)(非特許文献1)には、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面にDNA鎖を固定化した不溶性担体に検出対象遺伝子のDNA断片またはRNA断片を含有する溶液を添加し、該DNA鎖とハイブリダイズさせ、溶液中の遺伝子断片の含有状況を判定することを特徴とする遺伝子の検出方法が開示されている。しかしながら、特許文献3、4などに記載の方法においても、同様にPCR法に利用するためのDNAの精製などの操作が煩雑であり、より簡便な方法が求められている。
【0005】
生体試料、臨床試料、食品などの被検試料中の特定微生物の有無を調べる場合には、従来、被検試料中の微生物を分離培養し、コロニーについて視覚的観察(コロニーの色素反応、コロニー形態など)、顕微鏡観察、グラム染色、生化学的性状の検査などを行なっていた。特定微生物の有無が判明するまでに少なくとも2日間を要する。したがって、この方法は、微生物が検出されたとしてもそれに対する対応が遅くなることから、食品メーカーによる食品出荷前の自主検査には採用し難い。そこで、食品衛生検査や臨床検査領域においては、微生物の迅速検出法として、PCR法により各微生物の特定遺伝子を視覚的に捉えられる量まで増幅し、各微生物の存在の有無を判別および定量する試みがなされている。
【0006】
また、ウイルス病の診断を確実に行なうこと、また、未知の流行病を新しいウイルス病として同定することは、当該ウイルス病の地域分布と流行時期を知り、当該疾患に対する予防と治療対策を立てる上で重要なことであることから、簡便に早急に診断することについて研究が進められている。したがって、被検試料から、生体に潜在しているウイルス核酸やmRNAの特定遺伝子としての存在を証明して診断する方法が開発されている。当該方法によると、PCR法(Science,230,1350(1985))やRT−PCR法を利用することによって被検試料中に微量存在するウイルス遺伝子でも高感度に検出できる。しかし、この場合、検査結果の取得に1日以上要する。
【0007】
また、近年、臨床での応用が期待される薬物代謝関連酵素遺伝子のSNPも多く見出されており、多くの薬物代謝に関与するチトクロームP450(CYP)のファミリーや抗結核薬イソニアジドの代謝に関与するN−acetyltransferase 2(NAT−2)、経口抗凝固剤ワルファリンの効果の強さに大きく影響するCYP2C9とVKORC1などがそれである。これらの遺伝子にその酵素活性を低下させるようなSNPがあると、薬剤の血中濃度が長時間にわたって高く保たれた結果、効果が強く発現したり、有毒な中間代謝産物が蓄積されたりする副作用がある。また、代謝速度の高い遺伝子多型が見出されたならば、薬剤の血中濃度を維持するために投薬量を増やすなどの処置が必要となる。そこで、投薬前にこのような遺伝子のSNPを検査し、その遺伝子の型から判断して適切な薬剤の投薬量を決定するなどして、副作用を回避し、効率的な治療効果を得ようとする医療、すなわち、「テーラーメイド医療」、「オーダメイド医療」、あるいは「個別化医療」と呼ばれている患者個々の体質に応じたより適切な医療の実現が可能となり、無用な副作用への対処や不適切な投薬を減らすことによって医療費削減への効果も期待できる。このように、SNPを利用した診断の実用化と普及が大いに期待されている。
【0008】
また、ヒトの大腸内には500〜1000種以上、糞便1g当たり10
12個近い多種多様な細菌が棲息している。これらの細菌がヒトの栄養、薬効、生理機能、老化、発ガン、免疫、感染などに極めて大きな影響を及ぼすことが培養法により明らかにされてきた。しかしながら、大腸内の環境は複雑な栄養成分および嫌気性であるが故に分離、同定できる菌種に限りがあり、大腸内常在菌の約70〜80%が難分離、難培養性細菌で占められている。そのため、大腸内菌叢の全体像は明らかにされていなかった。1990年代になって分子生物学的手法より環境中の微生物菌叢の解析が行なわれるようになった。その結果、多数の難分離、難培養性細菌が存在することが系統学的に明らかにされ始めた。16S rRNA遺伝子ライブラリーによりヒト大腸内菌叢の解析を行ない、今までに検出されていない細菌由来の16S rRNA遺伝子を検出し、多くの難分離、難培養性細菌の存在を明らかにした。しかしながら、現在行なわれている遺伝子の分離・精製法では煩雑であり、大腸内常在菌の全体像を理解するには不十分である。さらにどの様な大腸内常在菌が難分離、難培養性であるのか不明瞭であるなどの課題が残されていた。
【0009】
また現在、核酸の増幅方法は、微量なRNAの検出方法としても活発に利用されている。RNAの検出方法として通常使用されるRT−PCR法は、逆転写酵素を用いてRNAを相補的なDNA(cDNA)に転換した後に、PCR法でcDNAを増幅する方法で、微量のRNAでも定量的に解析できるため、今日最も検出感度の高い解析法の1つとして、RNAを遺伝子として保有しているウイルスの検出、mRNAの定量的検出や塩基配列決定による発現遺伝子の解析、さらにはcDNAのクローニングによる発現産物の解析および生産などには欠かせないものになっている。
【0010】
RT−PCR法をはじめとしたRNA増幅法は全て酵素反応をベースとしているため、被検試料中に存在する色素、タンパク質、糖類あるいは未知の夾雑物によって反応が強く阻害されることが広く知られている。そこで、RNA増幅に先立って、細胞、真菌、細菌、ウイルスなどのRNAを包含する被検試料を分離後、当該被検試料からRNAを抽出する過程が必要となる。その方法として、従来、酵素、界面活性剤、カオトロピック剤などにより生体試料を処理し、その後、フェノールあるいはフェノール・クロロホルムなどを用いて、RNAを抽出する方法が従来より使用されている。最近ではRNA抽出の過程において、イオン交換樹脂、ガラスフィルター、ガラスビーズあるいはタンパク凝集作用を有する試薬などが使用されている。
【0011】
また、最近になり、被検試料からの簡便な遺伝子増幅手法として、血液から直接遺伝子増幅する方法、乾燥させたろ紙に担持させた被検試料などから直接遺伝子増幅する手法などが報告されている。しかしながら、血液を用いる場合には、上述したように採血時の痛み、事故、低温での輸送の必要性などの問題がある。
【0012】
また別の被検試料の採取法として、口腔粘膜の細胞を綿棒などで擦り取り利用する方法も報告されている。しかしこの場合、綿棒に保持された細胞から、DNAを抽出し、別途調整した増幅用反応液に抽出したDNA溶液を添加しなければならず、多数の被検試料を同時に処理した場合にサンプルの取り違えや、コンタミネーションが生じる恐れがあり、最善の方法とはいえない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、被検試料に含まれる遺伝子を増幅する方法、または、被検試料に含まれる特定遺伝子を検出する方法に関する。ここで、
図1は、このような本発明の方法を模式的に示す図である。本発明は、遺伝子の増幅方法、特定遺伝子の検出方法のいずれの場合でも、
図1に示すように、被検試料1を保持した水解性担体2を、バッファー、DNAポリメラーゼおよびプライマーを含む反応液3に接触させる工程を共通して含む。
【0027】
ここで、本発明における大きな特徴である「水解性担体」とは、水と接触することによって分解し、水に溶解または分散する性質を有する担体を指す。なお、水解性であるか否かは、たとえば10μlの水(反応液)に、0.05〜0.1mgの担体を接触させた後、その水(反応液)の660nmにおける濁度をBio−RAD社製のSmart Spec(商標)3000を用いて測定した場合に0.4以下である場合に水解性を有するものとする。このような水解性担体として、具体的には、60MDP(日本製紙パピリア社製)、30MDP(日本製紙パピリア社製)、120MDP(日本製紙パピリア社製)、30MDP−S(日本製紙パピリア社製)、60MDP−S(日本製紙パピリア社製)などのMDPシリーズの製品、30CD−2(日本製紙パピリア社製)、60CD−2(日本製紙パピリア社製)、120CD−2(日本製紙パピリア社製)などのCD−2シリーズなどの水解性紙、水解紙(特殊紙商事株式会社製)、アガロースゲルを乾燥し膜状にしたもの、ゼラチン、コラーゲンなどを加熱溶解後乾燥させて膜状にしたものなどが挙げられる。中でも、遺伝子増幅、あるいは、特定の遺伝子検出に用いる反応液中で、反応中に均一に分散し、さらに沈降し、物理的操作や工学的検出に干渉しにくい状態になることから、水解性担体として水解性紙を用いることが好ましい。
【0028】
本発明によれば、このような水解性担体を用いることにより、被験試料を担持させた水解性担体が反応液と接触することで、水解性担体が反応液中で水解する。これによって、従来のように、綿棒などの水解性を有しない担体に保持させた被験試料から、一旦熱処理などによりDNAを抽出し、その後に増幅用反応液に抽出液の一部を移液して増幅反応を実施する場合に比較して、このような独立した抽出工程および増幅反応のための移液などの操作も必要としない。また、従来から、ろ紙上に保持させた血液や唾液などを、ろ紙に保持した状態で遺伝子増幅反応液に投入し、サンプル中の遺伝子を増幅できることも報告されている。この場合独立したDNAの抽出工程や移液操作は省略され得るが、増幅反応時に、ろ紙が反応液中で反応液上部に浮遊した状態になる場合があることから、正確な反応結果を得るためには、たとえば遺伝子増幅反応で汎用される96穴の反応容器を用いる場合、96穴全てで、ろ紙が同様に反応液と接触していることを目視などにより確認する必要があった。また、遺伝子増幅が終了した反応液の一部を用いて電気泳動などを行う場合、水解性を有さないろ紙を用いて増幅反応を行った場合、増幅反応終了時にろ紙が、反応液上部に平面上に浮遊することがあるため、反応液のサンプリングに際し物理的な干渉があり、反応液を、遺伝子操作実験などで通常用いられる多連のピペットや自動分注器などを用いて取り扱う際に、操作性、定量性などの面で課題が残されていた。
【0029】
水解性担体を用いることにより、水解性担体が反応液中に溶解、あるいは分散することで吸着面に影響されない遺伝子増幅が可能になっただけでなく、増幅後の反応液の一部を移液する際にも、水解性担体が反応液中に溶解、分散、あるいは沈降することにより、サンプリングに使用したろ紙などに物理的に干渉されることがなくなり、操作性が大きく改善できる。遺伝情報を取り扱う分析・検査においてはDNAの抽出液の取り違えや、移液に伴うコンタミネーションなどの可能性は可能な限り排除する必要があり、本発明によりこの可能性は大幅に低減され、効率的な遺伝子の増幅、効率的かつ正確に高い感度での遺伝子検出が可能となる。
【0030】
このように、水解性担体を用いることによって、本発明の遺伝子増幅方法においては、独立した遺伝子抽出工程の省略、自動分注器たとえばラボオートメーションBiomekシリーズ(ベックマンコールター社製)での移液に適した状態の反応液が得られるなど、全体として、効率化とヒューマンエラーなどのミスの可能性の低減、省力化を図ることができるという利点がある。
【0031】
また、水解性担体を用いることによって、生体試料、臨床試料、食品などの被検試料から特定遺伝子を検出する方法においては、水解性担体を水解させた後の反応液に直接光学的手段を用いた検出に供することができるという利点がある。
【0032】
また、ろ紙などの水解性を有しない担体に担持させた被検試料を直接反応液に投入して増幅反応を行なう技術も知られているが、この場合、担体が反応液中に存在することで、本発明のように水解性担体を用いた場合とは異なり、そのまま光学的手段を用いた特定遺伝子の検出に供することができない。反応液を特定遺伝子の検出に供しようとする場合、たとえば反応液から担体を引き上げる、または担体を残して反応液を他に移すことが考えられるが、いずれにしても反応液の量が少なくなってしまい、また、コンタミネーションが起こり易くなってしまうため正確な検出が困難となり、作業効率も下がってしまう。
【0033】
さらに、血液、唾液、汗などの生体より得られた液状物を被検試料とする場合、これを直接反応液に投入して増幅反応を行なう技術も知られているが、被検試料が液状物であるため、採取した直後に反応を行なうのであればともかく、採取から反応の間に期間があいた場合、被検試料の保存安定性が悪いという問題がある。これに対し、本発明では水解性担体に被検試料を担持し、乾燥させるため、保存安定性に優れる、という利点もある。
【0034】
本発明における被検試料としては、鼻汁、鼻腔ぬぐい液、眼結膜ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、喀痰、糞便、血液、血清、血漿、髄液、唾液、尿、汗、乳、精液、口腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、湿性耳垢、膣腔ぬぐい液、食品および細胞組織から選ばれる液状物を水解性担体上で乾燥させたものであることが好ましいが、水解性担体に担持させ得るものであれば、これら液状物に限定されるものではない。たとえば、水解性担体で机などの表面を擦り、机の表面から水解性担体に細菌などを付着させ、これを被検試料として検出に供するようにしてもよい。なお、被検試料が液状物である場合、その水分含有率は、被検試料を担持させた水解性担体の取り扱いができる程度であればよい。
【0035】
ここで、液状物を乾燥させる方法としては、上述した水解性担体に前記液状物をしみこませ、水分を蒸発させる方法や、自然乾燥または凍結乾燥など、公知の乾燥方法を選ぶことができる。ただし、糞便由来の被検試料を得るためには、糞便を水解性担体に塗布し、水解性担体を自然乾燥した後にシリカゲルとともに密閉し1時間以上保持することが好ましい。
【0036】
液状物を水解性担体上で乾燥させて被検試料とすることで、液状物にもともと含まれるプロテアーゼ、アミラーゼおよびヌクレアーゼなどの酵素活性を阻害することができ、生体組織細胞、微生物およびウイルスを完全に死滅させることなく生命活動を休止させることができる。したがって、被検試料の輸送、保存などは室温で行なうことができ、より簡便となる利点がある。
【0037】
本発明においては、上述した中でも、採取され得る細胞の数が一定しており、安定した量の鋳型を遺伝子型判定に供することができ、再現性に優れる観点から、被検試料が血液または唾液を水解性担体上で乾燥させたものであることが好ましい。なお、被検試料が血液を水解性担体上で乾燥させたものである場合、従来の遺伝子型の判定方法と比較すると、血液の採取量が少なくて済むという利点がある。
【0038】
本発明において増幅の対象となる遺伝子または検出の対象となる特定遺伝子は、被検試料の遺伝子(DNA、RNA)に含まれる生物種に特異的配列またはその遺伝子多型(SNP)、微生物のユニバーサル領域、またはウイルス由来遺伝子における特異的配列である。特異的配列は、たとえば生物種ごとに公開されている遺伝子配列データベースを検索することで被検試料ごとに決定することができる。
【0039】
増幅の対象となる遺伝子または検出の対象となる特定遺伝子の長さとしては、通常20〜数十万塩基程度まで適用できるが、50〜3000塩基であることが好ましい。検出対象が微生物である場合には、具体的には、増幅の対象となる遺伝子または検出の対象となる特定遺伝子は、16S rRNA遺伝子および18S rRNA遺伝子が挙げられる。これは、広汎な微生物に応用して使用することができるためである。また、23S rRNA遺伝子を応用して使用してもよい。
【0040】
本発明の方法において、被検試料は、細胞、真菌、細菌およびウイルスから選ばれるRNAを包含する試料を含むものであり、増幅の対象となる遺伝子または検出の対象となる特定遺伝子がRNAであってもよい。この場合、本発明においては、水解性担体に担持させた被検試料を反応液に直接添加してRNA増幅反応を行なうことにより、当該被検試料中に存在するRNAを直に増幅させることができる。ここで、「直接添加」とは、RNA増幅に先立って、このRNAを包含する被検試料からRNAを抽出する過程が不要という意味である。
【0041】
本発明においては、被検試料を担持した水解性担体を接触後の前記反応液中で、PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification:ループ介在等温増幅)法、SDA(Strand Displacement Amplification:鎖置換増幅)法、RT−SDA(Reverse Transcription Strand Displacement Amplification:逆転写鎖置換増幅)法、RT−PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction:逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法、RT−LAMP(Reverse Transcription Loop-Mediated Isothermal Amplification:逆転写ループ介在等温増幅)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification:核酸配列に基づいた増幅)法、TMA(Transcription Mediated Amplification:転写介在増幅)法、RCA(Rolling Cycle Amplification:ローリングサイクル増幅)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids:等温遺伝子増幅)法、UCAN法、LCR(Ligase Chain Reaction:リガーゼ連鎖反応)法、LDR(Ligase Detection Reaction:リガーゼ検出反応)法、SMAP(Smart Amplification Process)法、SMAP2(Smart Amplification Process Version 2)法から選ばれる方法を施すことが好ましい。これらの遺伝子増幅方法は、それ自体公知の方法である。
【0042】
本発明に用いられるDNAポリメラーゼは、Taq DNA ポリメラーゼに代表される、プライマー付加による核酸を合成する耐熱性に優れたポリメラーゼであれば特に制限なく用いることができる。このようなDNAポリメラーゼとしては、たとえばThermus aquaticus由来のTaq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Pyrococcus由来のKOD DNAポリメラーゼ、PfuあるいはPwo DNAポリメラーゼ、あるいは上述したDNAポリメラーゼの少なくともいずれかの混合物などを挙げることができ、中でもKOD DNAポリメラーゼが好ましい。なお、Tth DNAポリメラーゼおよびCarboxydothermus hydrogenoformans由来のC.therm DNAポリメラーゼはRT活性も有しているため、後述するようにRT−PCRをOne tube−One stepで行なうときに、1種類の酵素で賄うことができるという特徴を有している。
【0043】
バッファーは被検試料中に含まれるPCR反応を阻害する物質存在下でもDNA増幅可能なものであれば、特に制限されないが、EzWay(商標)(KOMA Biotechnology)、Ampdirect(登録商標)((株)島津製作所製)、Phusion(登録商標)Blood Direct PCR kitバッファー(New ENGLAND Bio−Labs)、KOD FXバッファー(東洋紡績(株)製)、MasterAmp(登録商標)PCRキット(Epicentre社製)などを用いることが好ましく、KOD DNAポリメラーゼ用に開発されたKOD FXバッファー(東洋紡績(株)製)を用いることが特に好ましい。たとえば実施例で用いられたPCR酵素キットKOD FX(東洋紡績(株)製)には、試料中のPCR阻害成分の反応阻害を除去する効果を有する、1〜2Mのベタインが含まれる。なお、MasterAmp(登録商標)PCRキット(Epicentre社製)には、ベタインが含まれていることが記載されており、KOD FXバッファーと同等の効果が期待できる。
【0044】
以下、増幅する対象となる遺伝子または検出する対象となる特定遺伝子がRNAである場合に好適な遺伝子増幅方法として用いられるRT−PCR法を行なう場合を例に挙げて、具体的に説明する。
【0045】
逆転写(RT)反応に用いる反応液(RT反応液)は、通常、pH緩衝液、MgCl
2、KClなどの塩類、ジチオスレトール(DTT)、プライマー、デオキシリボヌクレオチド類、RNaseインヒビター、逆転写酵素を含むものである。また、前記塩類は適宜他の塩類に変更して使用されている。RT反応液はまた、通常、ゼラチン、アルブミンなどのタンパク、界面活性剤を含む。
【0046】
本発明において、増幅する対象となる遺伝子または検出する対象となる特定遺伝子がRNAである場合、バッファーとDNAポリメラーゼとを含む反応液が、融解温度調整剤をさらに含むことが、より好ましい。融解温度調整剤は、DNAポリメラーゼ反応時のプライマーと鋳型DNAとの融解温度(Tm)を調整するためのものであり、このような融解温度調整剤としてベタイン(N,N,N−trimethylglycine)、プロリン、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと省略する)、ホルムアミド、テトラアルキルアンモニウム塩などが一般に利用される。融解温度調整剤を利用することで、オリゴヌクレオチドのアニールを限られた温度条件の下で調整することができる。さらに、ベタインやトラアルキルアンモニウム塩を融解温度調整剤として用いた場合には、そのisostabilize作用によって鎖置換効率の向上にも有効である。
【0047】
融解温度調整剤としてたとえばベタインを用いる場合、反応液中0.2〜3.0M、好ましくは0.5〜1.5Mの範囲内の添加によって、本発明による核酸増幅反応の促進作用を期待できる。これらの融解温度調整剤は、融解温度を下げる方向に作用するので、塩濃度や反応温度などのその他の反応条件を考慮して、適切なストリンジェンシーと反応性を与える条件を適宜設定することができる。
【0048】
RT反応に使用する逆転写酵素は、RNAをcDNAに逆転写できる酵素を意味する。逆転写酵素としては、Rous associated virus(RAV)やAvian myeloblastosis virus(AMV)などのトリのレトロウイルス由来の逆転写酵素、Moloney murine leukemia virus(MMLV)などのマウスのレトロウイルス(MMLV)由来の逆転写酵素、Thermus thermophilus由来のTth DNAポリメラーゼあるいはCarboxydothermus hydrogenoformans由来のC.therm DNAポリメラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
RT−PCRはRT反応の産物の一部をPCR反応液に添加して実行すること(Two tube−Two step)、RT反応の産物にPCR反応液を添加して実行すること(One tube−Two step)、あるいは予めRT−PCRに必要な全ての試薬を準備しておき、RT反応とPCRを連続して実行すること(One tube−One step)も可能である。
【0050】
RT−PCRにおいて、RT反応に引き続き行なわれるPCRの反応液は、通常、pH緩衝液、MgCl
2、KClなどの塩類、プライマー、デオキシリボヌクレオチド類を含むものである。また、前記塩類は適宜他の塩類に変更して使用されている。また、ゼラチン、アルブミンなどのタンパク、ジメチルスルホキシド、界面活性剤、さらに上述した融解温度調整剤であるジメチルスルホキシド、ベタインなどが添加される場合がある。
【0051】
RT−PCRにおいて、添加剤として、たとえば、1mL中に2.7M ベタイン、6.7mM DTT、6.7% DMSO、55μg/mL BSAを含有する溶液を調整し、適宜、濃度調整して添加するようにしてもよい。また、上述した市販品であるMasterAmp(登録商標)Enhancer(登録商標)(with betaine)(ME81201、Epicentre社製)を添加しても同等の効果を得ることができる。
【0052】
本発明における反応液に用いられるプライマーは、増幅する対象となる遺伝子または検出する対象となる特定遺伝子を決定した時点で、適宜公知の方法で設計することができる。本発明における反応液に用いられるプライマーは、増幅する対象となる遺伝子または検出する対象となる特定遺伝子を特異的に増幅することができるものであれば特に制限されない。
【0053】
本発明における被検試料に含まれる遺伝子の増幅または被検試料に含まれる特定遺伝子の検出は、プレート状またはチューブ状の不溶性担体上で行なうことが好ましい。このような不溶性担体としては、反応液に対して不溶なプラスチック、ガラスなどからなるチューブのほか、96穴ウェルなどを挙げることができる。なお、チューブ状とは、中空状態のものをいい、底があるPCRチューブや、エッペンドルフチューブのような形状であってもよい。
【0054】
具体的には、まず、プレート状またはチューブ状の不溶性担体に反応液を投入する。チューブ状の不溶性担体である場合には、その内部にバッファー、DNAポリメラーゼおよびプライマーを含有する反応液を投入し、プレート状の不溶性担体である場合には、その表面に前記反応液を置く。そして前記反応液と被検試料および水解性担体が直接接触するように配置し、上述したPCR法、LAMP法、SDA法、RT−SDA法、RT−PCR法、RT−LAMP法、NASBA法、TMA法、RCA法、ICAN法、UCAN法、LCR法、LDR法、SMAP法、SMAP2法から選ばれる方法を施す。なお、不溶性担体上に被検試料を担持した水解性担体を置き、その後に不溶性担体上に前記反応液を置いてもよい。
図1には、チューブ状の不溶性担体の内部にバッファー、DNAポリメラーゼおよびプライマーを含有する反応液3を投入し、さらに、不溶性担体に被検試料1を担持した水解性担体2を投入することで、被検試料1を反応液3と接触させた後、チューブ状の不溶性担体に蓋をして、遺伝子の増幅または特定遺伝子の検出を行なう例が示されている。なお、水解性担体2は、前記反応液3と接触することで分解し、前記反応液3に溶解または分散する。
【0055】
本発明において、PCRの条件は、PCRの原理にのっとった特異的な増幅が起こる限り特に制限されず、適宜設定することができる。
【0056】
本発明の特定遺伝子の検出方法は、上述した被検試料を担持した水解性担体を、バッファー、DNAポリメラーゼおよびプライマーを含む反応液に接触させることに加え、光学的手段を用いて反応液中に特定遺伝子が含まれるか否かを検出することも含む。特定遺伝子の検出には、たとえばリアルタイムPCR法を利用することができ、その際に用いる光学的手段としては当分野において通常用いられるTaq−Man(Applied Biosytems社)などを好適に用いることができる。
【0057】
リアルタイムPCR法を採用する場合、一般に増幅サイクル数1〜10までは蛍光強度の変化はノイズレベルでありゼロに等しいので、それらを増幅産物ゼロのサンプルブランクと見なし、それらの標準偏差SDを算出しその10を乗じた蛍光値をスレッショード値とし、そのスレッショード値を最初に上回るPCRサイクル数をサイクルスレッショード値(Ct値)という。したがって、PCR反応溶液に初期のDNA鋳型量が多い程、Ct値は小さな値となり、鋳型DNA量が少ない程、Ct値は大きな値となる。また、鋳型DNA量が同じでも、その鋳型内のPCRの特定遺伝子に切断が生じている割合が多くなる程、同領域のPCR反応のCt値は大きな値となる。
【0058】
なお、本発明の遺伝子の増幅方法で被検試料から増幅された遺伝子は、検出または定量に供されても勿論よく、この手段としては、DNAシーケンス法、ゲル電気泳動法、平板状のDNAチップまたはビーズによるハイブリダイゼーション、プローブDNAを利用した伸張反応またはハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法などを挙げることができ、また、光学的手段を用いた検出に供しても勿論よい。
【0059】
本発明の遺伝子の増幅方法、特定遺伝子の検出方法を用いることによって、ヒトの30億塩基対あるゲノム遺伝子配列上の一塩基多型(SNP)を検出することが可能であり、SNPタイピングによる遺伝子型の判定から遺伝的背景を調べることができる他、原因遺伝子のわかっている遺伝病については、将来的な危険率も診断することができる。たとえば、アルコール脱水素酵素遺伝子(ADH2)およびアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2)をSNPタイピングすることにより、アルコールに対する強さなどの遺伝的な要因を調べることができる。
【0060】
また、遺伝子型を判定する対象となる遺伝子の好適な例として、たとえば薬物代謝酵素CYP2C9の遺伝子、ビタミンKエポキシド還元酵素VKORC1の遺伝子を挙げることもできる。ここで、薬物代謝酵素CYP2C9(Cytochtome P450, Family 2, Subfamily C, Polypeptide 9)は、下記式
【0062】
で表わされる化学構造を有するワルファリンを、投与された患者の体内において、下記式
【0064】
で表わされる、効能が消失した化学構造に代謝する働きを有する酵素である。ここで、日本人の約96%は、このCYP2C9は正常な活性を有するが、約4%はこのCYP2C9の活性が低く、約1%に至っては酵素活性が1/10に満たない。このCYP2C9の遺伝子としては、たとえば、正常な酵素活性を有する遺伝子CYP2C9 *1と、約1/10に低下した酵素活性を有する遺伝子CYP2C9 *3とが知られている。すなわち、CYP2C9が正常な活性を有する約96%の日本人は対立遺伝子CYP2C9 *1/*1を有し、CYP2C9の活性が低い約4%の日本人は対立遺伝子CYP2C9 *1/*3を有し、酵素活性が1/10に満たない約1%の日本人は対立遺伝子CYP2C9 *3/*3を有することとなる。
【0065】
また、ビタミンKエポキシド還元酵素VKORC1(Vitamin K Epoxide Reductase Complex Subunit 1)は、血液凝固に関連する酵素である。ここで、下記式
【0067】
で表わされる化学構造を有するビタミンKは、下記式
【0069】
で表わされる化学構造を有する還元型ビタミンKとなり、この還元型ビタミンKが血液凝固因子に作用して、血液凝固因子が活性化される。血液凝固因子に作用した後の還元型ビタミンKは、下記式
【0071】
で表わされるビタミンKエポキシドとなり、これにVKORC1が作用することで、ビタミンKエポキシドが還元されてビタミンKとなる。ワルファリンは、このようなビタミンKサイクルにおける律速酵素であるVKORC1の作用を阻害することで、ビタミンKエポキシドからのビタミンKの形成を妨げ、抗血液凝固作用を発揮する。このVKORC1も、個人によって代謝が異なる。このVKORC1遺伝子として、たとえば、遺伝子VKORC1 A/Aと、ワルファリンの維持用量が高い傾向にある遺伝子VKORC1 G/Aとが知られている。
【0072】
また、遺伝子型を判定する対象となる遺伝子の好適なその他の例として、たとえば、β2アドレナリンレセプター(ADRB2:Adrenergic, beta-2, receptor, surface)遺伝子、β3アドレナリンレセプター(ADRB3:Adrenergic, beta-3, receptor, surface)遺伝子、脱共役たんぱく質1(UCP1:Uncoupling Protein 1)遺伝子なども挙げられる。これらの遺伝子にもそれぞれ遺伝子多型が存在し、遺伝子型によって基礎代謝(安静時消費カロリー)が異なることが知られている。ここで、ADRB2は、主に心臓、気管支平滑筋、前立腺などに分布し、脂肪組織にも存在して脂肪分解にも関与する。ADRB3は、主に脂肪組織で見られ、脂肪分解と熱産生の調節に関与する。また、UCP1は、褐色脂肪細胞に特異的に発現し、寒冷時や食事後の熱産生に関与する。
【0073】
さらに、速筋線維にのみ発現するタンパク質であって、その遺伝子型の違いが瞬発力、持久力を要する運動のいずれに適性を有する可能性があるかを判断する手がかりとなるいわゆる「スポーツ遺伝子」と注目されているATCN3(Alpha-Actinin-3)の遺伝子を遺伝子型の判定対象としてもよいし、遺伝子型の違いが耳垢の種類に現れることが知られているABCC11(ATP-binding cassette transporter sub-family C member 11)の遺伝子、遺伝子型の違いが顔面形態の個人差、集団差に関与することが知られているEDAR(Ectodysplasin A Receptor)の遺伝子を遺伝子型の判定対象としてもよい。
【0074】
また、本発明の遺伝子の増幅方法、特定遺伝子の検出方法は、上述の人の体質を診断する一塩基多型(SNP)以外に、血液・糞便など液状物の被検試料中の細菌・ウイルスなどの微生物検査などにも応用することができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
<実施例1>
以下の手順で、検査対象(被検者A、B、C、D)からそれぞれ採取した唾液(口腔内細胞を含む)について、アルコール脱水素酵素ADH1Bの遺伝子およびアルデヒド脱水素酵素ALDH2の遺伝子の遺伝子多型の検出をリアルタイムPCR装置ABI7300(Applied Biosystems社製)を用いてTaqMan(登録商標)法により行なった。
【0077】
水解性担体として60MDP(日本製紙パピリア社製)を用い、これに被検試料である唾液を染み込ませ、自然乾燥させた。チューブ状の不溶性担体に、反応液(各組成については後述)を投入し、これに被検試料を担持させた乾燥後の水解性担体の直径1.2mmのパンチ片を直接投入した。通常行なうDNAの抽出・精製工程は省略し、直接増幅反応を行なった。
【0078】
TaqMan法による遺伝子判定には、プローブおよびプライマーセットはApplied Biosystems社のTaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assaysキット、PCR増幅はRealtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)を使用して、それぞれ以下の試薬を含む10μL反応液を調整した。遺伝子型判定は、本反応の結果、添付のプロトコールに従って、検出される2色の蛍光強度により判定した。
【0079】
(ADH1B遺伝子用TaqManプローブ・プライマーセット)
・TaqMan(登録商標) Drug Metabolism Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)、
・Gene Name: alcohol dehydrogenase 1B(class I), beta polypeptide、
・TaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assay Mix ID: C_2688467_20。
【0080】
(ADH1B遺伝子用TaqMan反応液)
・Realtime PCR Master Mix:5μl、
・Taqman Assay Mix C_2688467_20:0.5μl、
・KOD FX Buffer:1μl、
・DW(distilled water):3.5μl。
【0081】
(ALDH2遺伝子用TaqManプローブ・プライマーセット)
・TaqMan(登録商標)Drug Metabolism Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)、
・Gene Name:aldehyde dehydrogenase 2 family(mitochondrial)、
・TaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assay Mix ID:C_11703892_10。
【0082】
(ALDH2遺伝子用TaqMan反応液)
・Realtime PCR Master Mix:5μl、
・Taqman Assay Mix C_11703892_10:0.5μl、
・KOD FX Buffer:1μl、
・DW(distilled water):3.5μl。
【0083】
(増幅条件)
熱変性:50℃、2分→95℃、10分、
95℃、15秒→60℃、1分を40サイクル。
【0084】
サンプルは以下のとおりであった。
【0085】
【表1】
【0086】
図2は、Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)を使用したTaqMan法によるADH1B遺伝子の判定結果を示す図であり、
図3は、Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)を使用したTaqMan法によるALDH2遺伝子の判定結果を示す図である。
【0087】
<実施例2>
39人の被検者を検査対象とし、以下の試薬を含む反応液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ビタミンKエポキシド還元酵素VKORC1の遺伝子の遺伝子型を判定した。
【0088】
(VKORC1遺伝子用TaqManプローブ・プライマーセット)
・TaqMan(登録商標) Drug Metabolism Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)、
・Gene Name:vitamin K epoxide reductase complex, subunit 1; polyserase 3、
・TaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assay Mix ID: C_30403261_20。
【0089】
(VKORC1遺伝子用TaqMan反応液)
・Realtime PCR Master Mix:5μl、
・Taqman Assay Mix C_30403261_20:0.5μl、
・KOD FX Buffer:1μl、
・DW(distilled water):3.5μl。
【0090】
図4は、Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)を使用したTaqMan法によるVKORC1遺伝子の判定結果を示す図である。
【0091】
<実施例3>
7人の被検者を検査対象とし、以下の試薬を含む反応液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、薬物代謝酵素CYP2C9の遺伝子の遺伝子型を判定した。
【0092】
(CYP2C9遺伝子用TaqManプローブ・プライマーセット)
・TaqMan(登録商標)Drug Metabolism Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)、
・Gene Name:cytochrome P450, family 2, subfamily C, polypeptide 9、
・TaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assay Mix ID:C_27104892_10。
【0093】
(CYP2C9遺伝子用TaqMan反応液)
・Realtime PCR Master Mix:5μl、
・Taqman Assay Mix C_27104892_10:0.5μl、
・KOD FX Buffer:1μl、
・DW(distilled water):3.5μl。
【0094】
図5は、Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)を使用したTaqMan法によるCYP2C9遺伝子の判定結果を示す図である。
【0095】
<実施例4>
7人の被検者を検査対象とし、以下の試薬を含む反応液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、β2アドレナリンレセプター(ADRB2)の遺伝子の遺伝子型を判定した。
【0096】
(ADRB2遺伝子用TaqManプローブ・プライマーセット)
・TaqMan(登録商標)Drug Metabolism Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)、
・Gene Name:adrenergic, beta−2−, receptor, surface、
・TaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assay Mix ID:C_2084765_20。
【0097】
(ADRB2遺伝子用TaqMan反応液)
・Realtime PCR Master Mix:5μl、
・Taqman Assay Mix C_2084765_20:0.5μl、
・KOD FX Buffer:1μl、
・DW(distilled water):3.5μl。
【0098】
図6は、Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)を使用したTaqMan法によるADRB2遺伝子の判定結果を示す図である。
【0099】
<実施例5>
7人の被検者を検査対象とし、以下の試薬を含む反応液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、β3アドレナリンレセプター(ADRB3)の遺伝子の遺伝子型を判定した。
【0100】
(ADRB3遺伝子用TaqManプローブ・プライマーセット)
・TaqMan(登録商標)Drug Metabolism Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)、
・Gene Name:adrenergic, beta−3−, receptor, surface、
・TaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assay Mix ID:C_2215549_20。
【0101】
(ADRB3遺伝子用TaqMan反応液)
・Realtime PCR Master Mix:5μl、
・Taqman Assay Mix C_2215549_20:0.5μl、
・KOD FX Buffer:1μl、
・DW(distilled water):3.5μl。
【0102】
図7は、Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)を使用したTaqMan法によるADRB3遺伝子の判定結果を示す図である。
【0103】
<実施例6>
3人の被検者を検査対象とし、以下の試薬を含む反応液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、脱共役たんぱく質1(UCP1)の遺伝子の遺伝子型を判定した。
【0104】
(UCP1遺伝子用TaqManプローブ・プライマーセット)
・TaqMan(登録商標)Drug Metabolism Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)、
・Gene Name:Uncoupling Protein 1、
・TaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assay Mix ID:C_8866368_20。
【0105】
(UCP1遺伝子用TaqMan反応液)
・Realtime PCR Master Mix:5μl、
・Taqman Assay Mix C_8866368_20:0.5μl、
・KOD FX Buffer:1μl、
・DW(distilled water):3.5μl。
【0106】
図8は、Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)を使用したTaqMan法によるUCP1遺伝子の判定結果を示す図である。
【0107】
<実施例7>
3人の被検者を検査対象とし、以下の試薬を含む反応液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ACTN3遺伝子の遺伝子型を判定した。
【0108】
(ACTN3遺伝子用TaqManプローブ・プライマーセット)
・TaqMan(登録商標)Drug Metabolism Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)、
・Gene Name:Cathepsin F, Actinin Alpha 3、
・TaqMan(登録商標) SNP Genotyping Assay Mix ID:C_590093_1。
【0109】
(ACTN3遺伝子用TaqMan反応液)
・Realtime PCR Master Mix:10μl、
・Taqman Assay Mix C_590093_1:0.5μl、
・KOD FX Buffer:2μl、
・DW(distilled water):7.5μl。
【0110】
図9は、Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)を使用したTaqMan法によるACTN3遺伝子の判定結果を示す図である。