特許第5875266号(P5875266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5875266
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】遊技機の遊技演出装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
   A63F7/02 319
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-149707(P2011-149707)
(22)【出願日】2011年7月6日
(65)【公開番号】特開2013-13639(P2013-13639A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2014年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】末廣 義典
【審査官】 河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−288737(JP,A)
【文献】 特開2005−006996(JP,A)
【文献】 特開2003−038760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が遊技機を前側から見たときの表面に枠窓が設けられた枠体と、前記枠体の側に配置され、回動すると共に前記枠窓に臨む内表示面部が設けられた内側可動部材と、前記枠体の側に配置され、可動すると共に前記内表示面部と前記枠窓との間に介入する不透明な外表示面部が設けられた外側可動部材と、を備え、
前記枠体の枠窓内に、前記外表示面部が停止したとき前記外表示面部で覆われ前記内表示面部が視認不能な視認不能領域と前記内表示面部が視認可能な視認可能領域とが出現されるようにし、
前記枠窓に対応する前記外表示面部の停止態様は前記視認可能領域が異なる複数種類の態様を有するものであり、
前記外表示面部が停止したときの前記枠窓に対応する前記視認可能領域は、前記外表示面部の停止態様ごとにそれぞれ個数又は大きさ又は配置位置があらかじめ定められた異なる態様となっており、かつ、これら異なる態様の視認可能領域のうち少なくとも一組の異なる態様の視認可能領域は前記外表示面部が停止した状態で共に前記枠窓を通して同時に出現させたとした場合に前側から外表示面部を投影しても互いに重ならないように配置され、
前記内側可動部材の内表示面部には、その回動方向に沿って前記態様の異なる視認可能領域にそれぞれ対応する識別情報を順に表示すると共に、その回動軸方向に沿って複数の態様の異なる視認可能領域に対応する識別情報を表示するようにしたことを特徴とする遊技機の遊技演出装置。
【請求項2】
前記内表示面部を透光性の素材により成形すると共に、前記内側可動部材内に発光体を配置し、前記発光体からの光を前記内表示面部に設けられる各識別情報に照射し、光により浮き出る前記各識別情報が前記枠窓を介して見られるようにした請求項1記載の遊技機の遊技演出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図柄変動ゲームを行なっているときに遊技者に有利となる遊技状態の可能性を示唆する遊技機の遊技演出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ遊技機には、数字、文字、記号等の図柄を変動表示し、これら図柄が予め定められた図柄に揃ったとき「大当たり」という遊技者に有利な遊技状態となり、一度に多くの入賞球が得られるようにしたものが主流をなしている。そして、このようなパチンコ遊技機にあっては、図柄変動ゲームに伴い遊技の面白みを引き出して遊技者に満足感を与えるために、図柄変動ゲームが行なわれている中で、例えば「大当たり」といった遊技者に有利な遊技状態になる可能性を示唆する遊技演出を行なうようにしている。この遊技演出を行なう装置として、例えば特許文献1に示されるような遊技演出装置がある。該遊技演出装置は図柄が変動表示される変動表示装置の上部前面に取着されており、水平面内で回動する人形等の役物を備えて構成されている。そして、該役物は変動表示装置の図柄が変動を開始したときや、その変動図柄がリーチ状態になったときに別途用意された駆動手段であるモータにより所定方向へ水平回動して演出を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−202141号公報(第3−6頁、図1図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記パチンコ遊技機の遊技演出装置にあっては、図柄変動ゲームが行なわれている中で遊技演出を行なうに、人形という役物を単に水平面内で回動動作させるに止まり、しかも、一種類の役物を演出させるにすぎないので、遊技演出として遊技を盛り上げるには物足りなさがあり、その機能を十分に発揮しているとは言い難く、このため遊技の面白みを満喫することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、遊技の状況に合わせて異なる複数種類の演出が行なえるようにし、演出に多くのバリエーションを持たせて遊技の面白みを増し、遊技の興趣を高めることができ、しかも、コンパクトに形成され狭い場所への取付も容易に行なえる遊技機の遊技演出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため本発明の遊技機の遊技演出装置は、遊技者が遊技機を前側から見たときの表面に枠窓が設けられた枠体と、前記枠体の側に配置され、回動すると共に前記枠窓に臨む内表示面部が設けられた内側可動部材と、前記枠体の側に配置され、可動すると共に前記内表示面部と前記枠窓との間に介入する不透明な外表示面部が設けられた外側可動部材と、を備え、前記枠体の枠窓内に、前記外表示面部が停止したとき前記外表示面部で覆われ前記内表示面部が視認不能な視認不能領域と前記内表示面部が視認可能な視認可能領域とが出現されるようにし、前記枠窓に対応する前記外表示面部の停止態様は前記視認可能領域が異なる複数種類の態様を有するものであり、前記外表示面部が停止したときの前記枠窓に対応する前記視認可能領域は、前記外表示面部の停止態様ごとにそれぞれ個数又は大きさ又は配置位置があらかじめ定められた異なる態様となっており、かつ、これら異なる態様の視認可能領域のうち少なくとも一組の異なる態様の視認可能領域は前記外表示面部が停止した状態で共に前記枠窓を通して同時に出現させたとした場合に前側から外表示面部を投影しても互いに重ならないように配置され、前記内側可動部材の内表示面部には、その回動方向に沿って前記態様の異なる視認可能領域にそれぞれ対応する識別情報を順に表示すると共に、その回動軸方向に沿って複数の態様の異なる視認可能領域に対応する識別情報を表示するようにしたことを特徴とする。
【0007】
この際、前記内表示面部を透光性の素材により成形すると共に、前記内側可動部材内に発光体を配置し、前記発光体からの光を前記内表示面部に設けられる各識別情報に照射し、光により浮き出る前記各識別情報が前記枠窓を介して見られるようにすることが好ましい。
【0008】
本発明にあって外側可動部材の外表示面部が可動するとは、回動する内表示面部に対し外表示面部が同じく回動する場合と外表示面部が障子のように上下又は左右に直線的にスライドする場合を含み、更にスライドする場合は外表示面部に開口のような視認可能領域が形成される場合と複数の外表示面部とが接離してその間に視認可能領域が形成される場合とこれらの組合せからなる場合とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る遊技機の遊技演出装置は、枠体の枠窓内に、外表示面部が停止したとき外表示面部で覆われ内表示面部が視認不能な視認不能領域と内表示面部が視認可能な視認可能領域とが出現されるようにし、外表示面部が停止したときの枠窓に対応する視認可能領域は、それぞれ個数又は大きさ又は配置位置があらかじめ定められた異なる態様となっており、かつ、これら異なる態様の視認可能領域のうち少なくとも一組の異なる態様の視認可能領域は外表示面部が停止した状態で共に枠窓を通して同時に出現させたとした場合に前側から外表示面部を投影しても互いに重ならないように配置され、内側可動部材の内表示面部には、その回動方向に沿って態様の異なる視認可能領域にそれぞれ対応する識別情報を順に表示すると共に、その回動軸方向に沿って複数の態様の異なる視認可能領域に対応する識別情報を表示するようにしている。このように、異なる態様の視認可能領域を介しそれぞれに対応して内表示面部に表示される識別情報を視認できるようになっているので、異なる態様の視認可能領域を通し遊技の状況に合わせて異なる種類の識別情報による演出が行なえ、演出に多くのバリエーションを持たせられて遊技の面白みが増し、遊技の興趣を高めることができる。しかも、異なる態様の視認可能領域のうち少なくとも一組の異なる態様の視認可能領域は外表示面部が停止した状態で共に枠窓を通して同時に出現させたとした場合に前側から外表示面部を投影しても互いに重ならないように配置され、かつ、内表示面部にはその回動軸方向に沿って複数の態様の異なる視認可能領域に対応する識別情報を表示するようにしているので、それら識別情報が回動軸方向には交じり合って配置されることになり、内表示面部の外周面に異なる種類の識別情報が極めて効率的に無駄なく整然と配置されることから、その分、内表示面部すなわち内側可動部材を小型化できる。よって、遊技盤面の狭い場所であっても該遊技演出装置の取付が容易に行なえるという効果を有する。
【0010】
また、内表示面部を透光性の素材により成形すると共に、内側可動部材内に光を照射する発光体を配置し、発光体からの光を内表示面部に設けられる各識別情報に照射し、光により浮き出る各識別情報が枠窓を介して見られるようにすれば、各識別情報が一段と冴えるばかりか幻想的な状態を作り出すことができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る遊技演出装置の斜視図。
図2】前カバーを外した状態の遊技演出装置の斜視図。
図3】内・外側可動部材の斜視図。
図4】遊技演出装置の正面図。
図5】同拡大右側面図。
図6図4のX−X線断面図。
図7図4のY−Y線拡大断面図。
図8】外側リールの外表示面部の展開図。
図9】内側リールの内表示面部の展開図。
図10】第二開口に1パターンの図柄が現れる状態を示す外表示面部の正面図。
図11】第三開口に1パターンの図柄が現れる状態を示す外表示面部の正面図。
図12】内側リールと外側リールの回動動作を示すタイミング図。
図13】内側リールの回動動作を示すタイミング図。
図14】本発明に係る遊技演出装置が適用される遊技盤の正面図。
図15】(イ)他の外側可動部材を取着した遊技演出装置の正面図、(ロ)は同外側可動部材の作用を示す遊技演出装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機の遊技演出装置の最良の実施の形態を図面に基づき詳しく説明する。本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、メダルまたはパチンコ球を遊技媒体として用いる回動式遊技機、スロットマシン等の遊技機に適用されるが、この内、本発明はパチンコ遊技機に適用される場合について説明する。図1は本発明に係る遊技演出装置の斜視図、図2は前カバーを外した状態の遊技演出装置の斜視図、図3は内・外側可動部材の斜視図、図4は遊技演出装置の正面図、図5は同拡大右側面図をそれぞれ示す。
【0013】
遊技演出装置Aは、横に長い略長方形状に形成される枠体1を有し、その内部に後記する内側可動部材である内側リール2と外側可動部材である外側リール3とが収納される。枠体1の前面と上面を覆う前面カバー4には、所定の位置に略横長長方形状の枠窓5が開設されている。そして、枠体1内に正面視にて右・左側壁1a,1b間に亘り円柱状の軸杆6が横架されている。該軸杆6は両端部がDカットに形成され、該両端部が右・左側壁1a,1bに開設された支持孔7,7に挿通され回動不能に固定されている。
【0014】
前記軸杆6に、長手方向の両端部が塞がれる円筒状の外側リール3が取着される。該外側リール3は不透明な素材により成形され、中心軸方向に沿って二分割されている。そして、この場合、図6に示すように一方の半割筒体3aの正面視にて右側壁8aと左側壁8bとの内面に、それぞれ他方の半割筒体3aの右側壁8aと左側壁8bとに跨るようにして連結板9が固着され、該連結板9の先端部を他の半割筒体3aの右側壁8a、左側壁8bに例えばネジ止めによって固着する。これにより、両半割筒体3a,3aが合体され円筒状をなす。軸杆6の右端側に該軸杆6に対して自在に回動する大径支持部材10aが外嵌され、軸杆6の左端側に該大径支持部材10aよりも小径の小径支持部材10bが外嵌されており、外側リール3の右側壁8aの中央部から外側へ突出する保持筒11が前記大径支持部材10aに固着され、外側リール3の左側壁8bが前記小径支持部材10bに固着されている。
【0015】
前記大径支持部材10aの外周面にフランジ12が周設されると共に、該フランジ12の外周縁の所定位置にスリット12aが設けられている。また、フランジ12に近接させて投光器と受光器を有するセンサー12cが配置される。該センサー12cの投光器と受光器との間にフランジ12の周縁部を介入させると共に、その間をスリット12aが横切ることによってそれを検出し、外側リール3の回転角度や回転数が制御されるようになっている。フランジ12の外側位置に、従動歯車部13が設けられている。一方、枠体1の右側壁1aに第一駆動モータ14が取着され、該第一駆動モータ14の駆動軸14aが右側壁1aに開設された通孔15を介して枠体1内に介入し、その駆動軸14aに前記従動歯車部13と噛合する駆動歯車部16が固着されている。前記第一駆動モータ14として、可逆式ステッピングモータが使用される。そこで、第一駆動モータ14が駆動することにより、外側リール3が自在に正回転(図7矢視方向)又は逆回転できるようになっている。
【0016】
また、前記軸杆6に前記外側リール3より小径であって該外側リール3により完全に包み込まれるようにして長手方向の両端部が塞がれる円筒状の内側リール2が取着される。該内側リール2は透光性の素材により成形され、中心軸方向に沿って二分割されている。そして、一方の半割筒体2aの正面視にて右側壁17aと左側壁17bとの内面にも、それぞれ他方の半割筒体2aの右側壁17aと左側壁17bとに跨るようにして連結板18が固着され、該連結板18の先端部を他の半割筒体2aの右側壁17a、左側壁17bに例えばネジ止めによって固着する。これにより、両半割筒体2a,2aが合体され円筒状をなす。軸杆6の右端側に該軸杆6に対して自在に回動する小径支持部材19aが外嵌され、軸杆6の左端側に該小径支持部材19aよりも大径の大径支持部材19bが外嵌されている。また、内側リール2の右側壁17aが前記小径支持部材19aに固着され、内側リール2の左側壁17bの中央部から外側へ突出する保持筒20が前記大径支持部材19bに固着されている。これにより、外側リール3を固定する大径支持部材10aと内側リール2を固定する大径支持部材19bとの間に、内側リール2を固定する小径支持部材19aと外側リール3を固定する小径支持部材10bとが位置することになる。
【0017】
前記内側リール2を固定する大径支持部材19bの外周面にもフランジ21が周設されると共に、該フランジ21には前記と同様にその外周縁の所定位置にスリット(図示せず。)が設けられている。また、該スリットを検出して内側リール2の回転角度や回転数を制御するようになっている。フランジ21の外側位置に、従動歯車部22が設けられている。一方、枠体1の左側壁1bに第二駆動モータ23が取着され、該第二駆動モータ23の駆動軸23aが左側壁1bに開設された通孔24を介して枠体1内に介入し、その駆動軸23aに前記従動歯車部22と噛合する駆動歯車部25が固着されている。前記第二駆動モータ23としても、可逆式ステッピングモータが使用されている。そこで、第二駆動モータ23が駆動することにより、内側リール2が自在に正回転(図7矢視方向)又は逆回転できるようになっている。
【0018】
前記軸杆6のほぼ中央部に、内側リール2の内部に位置して発光体であるLED26を備えた発光部材27が固着されている。該発光部材27は図7に示すように一側面が開口した箱枠28からなり、該箱枠28の開口が前記枠体1の枠窓5に対向位置している。そして、箱枠28の内周面は鏡面といった光反射面に形成され、その底面に配置された配線基板29に複数個のLED26が取着されている。これらLED26は、フルカラーLEDが使用されている。これにより、各LED26からの光は枠窓5に向かって照射される。
【0019】
図8は外側リールの外表示面部の展開図であり、該外表示面部30は周方向に沿って三分割され、第一乃至第三区画部30a〜30cがそれぞれ一単位として前記枠体1の枠窓5に臨むようになっている。そして、第一乃至第三区画部30a〜30cはいずれも内側リール2の後述する内表示面部32が視認不能な視認不能領域30dにより覆われ、このうち第一区画部30aには内表示面部32が視認可能な視認可能領域として横に長い第一開口31aが開設され、その上の第二区画部30bには略中央部に視認可能領域として第二開口31bが開設され、更に、その上の第三区画部30cには両横に位置し視認可能領域として二つの第三開口31c,31cが開設されている。このうち、これら異なる態様の視認可能領域のうち少なくとも一組の第二開口31bと第三開口31c,31cは、外表示面部30が停止した状態で共に枠窓5を通して同時に出現させたとした場合に前側から外表示面部30を投影しても互いに重ならないように配置されている。
【0020】
図9は内側リールの内表示面部の展開図であり、該内表示面部32は透光性の素材により成形され、周方向に沿って六段に分けられている。そして、下から第二段目と第四段目にそれぞれ前記外表示面部30における第一区画部30aの第一開口31aに対応する識別情報として「POWERFUL」の文字aと同じく識別情報として「FIGHT」の文字bが表示される。また、最下段と第三段目と第五段目には、前記外表示面部30における第二区画部30bの第二開口31bに対応してそれぞれ識別情報としてテニスプレーヤーがボールを打つ姿態が順に表示される。例えば、第三段目の中央部にボールを打つ前であってラケットを後へ下げた姿態を示す図柄c、第5段目にボールを打つためラケットを前へ振り出す姿態を示す図柄d、最下段にはラケットを前へ出しボールを打った後の姿態を示す図柄eがそれぞれ配置される。更に、最下段と第三段目と第五段目には、それぞれ前記外表示面部30における第三区画部30cの両第三開口31c,31cに対応して、識別情報として「優」「勝」の文字fと同じく識別情報として「乱」「打」の文字gと同じく識別情報として「接」「戦」の文字hが順に表示されている。最上段は空き領域として設定されている。これら図柄は一例であって、遊技内容に合わせて関連する内容やデザインが決定される。
【0021】
本発明に係る遊技演出装置Aは上記構成からなり、図4の正面をそのままにして後記する遊技盤100面の所定位置にその前面が前側を向くようにして配置される。次に、本発明に係る遊技演出装置が適用される遊技盤について説明する。図14は、本発明に係る遊技演出装置が適用される遊技盤の正面図である。遊技盤100の前面には外側ガイドレール101aと内側ガイドレール101bとが略渦巻き状に敷設され、これら外側・内側ガイドレール101a,101bに囲まれるようにして遊技領域102が形成される。外側ガイドレール101aと内側ガイドレール101bとの間には、発射位置(図示せず。)から発射される遊技球を前記遊技領域102へ打ち込むための飛走通路103が形成されている。
【0022】
遊技領域102の中央上部寄りに、液晶パネルからなる大型の電子ディスプレー104を備えた変動表示装置105が配置されている。この変動表示装置105の電子ディスプレー104には、横に三個並べられた数字、文字、記号等の図柄を上下方向に変化させると共に一定時間経過後に停止して表示する。例えば、同じ数字「7」が両横にそれぞれ並んで停止すると共に中央の数字が変動を続ける所謂リーチ状態を経て、最終的に中央の数字も同じ数字「7」で停止し、全体に「777」という同じ図柄が三個揃うと、「大当たり」という遊技者に有利な遊技状態となる。
【0023】
遊技領域102において飛走通路103を構成する内側ガイドレール101bと変動表示装置105との間に位置して、遊技球が上から通過し得る通過チャッカー106が配設され、変動表示装置105の下方には始動入賞口107とこの下方に位置し一対の開閉翼片108a,108aを有する変動入賞口108とが設けられている。更に、変動入賞口108の下方に、前後に回動する開閉扉109aを有する大入賞装置109が設けられている。遊技領域102の適宜位置に、普通入賞口110が設けられている。また、遊技領域102の最下部に、始動入賞口107、変動入賞口108や普通入賞口110などの入賞口に入賞しなかった遊技球を遊技領域102の外部へ排出するためのアウト球排出口111が設けられている。そして、変動表示装置105の下部前面に、本発明に係る遊技演出装置Aが配置される。
【0024】
例えば、飛走通路103を介して遊技領域102に打ち込まれた遊技球が、遊技盤100面を流下して遊技領域102の左側に位置する通過チャッカー106を通過すると、普通抽選が行なわれる。この普通抽選の結果が「当り」の場合は、変動入賞口108の一対の開閉翼片108a,108aが逆ハの字状に傾動して遊技球が入賞し得るようになる。そこで、始動入賞口107または変動入賞口108に遊技球が入賞すると、特別抽選が行なわれると共に変動表示装置105の電子ディスプレー104にて図柄(この場合、数字)の変動表示が開始される。
【0025】
そこで、常態では第一・第二駆動モータ14,23には通電されず、内側リール2と外側リール3は停止している。このとき、枠体1前面の枠窓5には外側リール3にあってその外表示面部30の第一区画部30aが臨み、第一開口31aに内側リール2における内表示面部32の第二段目の「POWERFUL」の文字aが表示されている。次に、前記図柄の変動が開始されると、第一駆動モータ14が駆動して外側リール3が正回転(図7矢視方向)し、所定時間経過後に枠窓5に外表示面部30における第二区画部30bの第二開口31bが臨み停止する。この間、第二駆動モータ23が遅れて駆動し内側リール2が正回転を続ける。これにより、図10に示すように停止した外表示面部30の第二区画部30bが枠窓5に臨み、該第二区画部30bの第二開口31bに前記テニスプレーヤーのボールを打つ姿態の図柄c,d,eが順に連続して現れる。また、これら図柄c,d,eが第二開口31bに対応位置したとき、内側リール2内部の発光体であるLED26の光を各図柄c,d,eに裏側から照射し明るく照らし出す。
【0026】
これにより、各図柄c,d,eは順にコマ送りのようにして連続し、遊技者は恰もテニスプレーヤーがボールを打つ演出が視認できる。次に、外側リール3が正回転して外表示面部30が回動し第三区画部30cが枠窓5に臨み、該第三区画部30cの両第三開口31c,31cには、それより先に停止した内側リール2における内表示面部32の第三段目の「乱」「打」の文字gが現れ、遊技者は両第三開口31c,31cを通してその文字gを視認することになる。
【0027】
例えば、図12に示すように内側リール2が停止している状態で、外側リール3が回動し始め、始め32msの間に125ppsにより正回転する。次の24msの間に外側リール3が166ppsにより正回転し、更に、次の128msの間に250ppsにより正回転して一時停止する。その間に、内側リール2が回動し始め、120msの間に166ppsにより正回転する。また、外側リール3が正回転を停止している2880msの間は、内側リール2が250ppsにより正回転する。その後、外側リール3が正回転を開始し、16msの間に125ppsにより正回転し、更に228msの間に166ppsにより正回転をして停止する。外側リール3が再度正回転したときから内側リール2が240msの間に250ppsにより正回転し、外側リール3が停止するよりも先に内側リール2が停止する。
【0028】
このようにして、枠窓5に臨む外表示面部30の第一開口31aには、前記内表示面部32における前記第二段目の「POWERFUL」の文字a以外に、「FIGHT」の文字bが対応して現れる。また、図10に示すように枠窓5に臨む外表示面部30の第二開口31bには、前記したように内表示面部32における最下段と第三段目と第五段目のテニスプレーヤーの姿態の各図柄c,d,eが対応して現れる。更に、図11に示すように枠窓5に臨む外表示面部30の第三開口31cには、前記内表示面部32における最下段と第三段目と第五段目の「優」「勝」の文字f、「乱」「打」の文字g、「接」「戦」の文字hが対応して現れる。これらは、いずれも遊技の状況に合わせて演出が行なわれ、演出のバリエーションが多い。
【0029】
図13は内側リール2に正回転の力と逆回転の力とを交互に与え、該内リール2がガタガタしながら回動する場合である。例えば、変動表示装置105の電子ディスプレー104であってリーチ状態から図柄が一旦外れて停止するも、まだリーチ状態が継続しており再び中央の図柄が変動するようになったとき、内側リール2が次のように動作する。この際、Aの動作が4回行なわれると共にBの動作が1回行なわれ、これを一組として合計12回繰り返される。具体的には、Aの動作は、始めの32msの間は125ppsにより内側リール2が逆回転して4ステップ進む。次の20msの間は停止しており、更に32msの間に125ppsにより内側リール2が正回転して4ステップ進む。そして、次の20msの間は停止している。Bの動作は、始めの32msの間は125ppsにより内側リール2が逆回転して4ステップ進む。次の20msの間は停止しており、更に40msの間に125ppsにより内側リール2が正回転して5ステップ進む。次の20msの間は停止している。これを繰り返すことにより、例えば枠窓5に外表示面部30の第三区画部30cが臨み、両側の第三開口31c,31cにそれぞれ「乱」「打」の文字gが現れている状態から、内側リール2がガタガタしながら回動することにより前記第三開口31c,31cにそれぞれ「接」「戦」の文字が現れるようにしている。これによって、遊技者に同じ図柄に揃って大当たり状態に発展するんではないかという期待感を抱かせることができる。
【0030】
図15(イ)は他の外側可動部材を取着した遊技演出装置の正面図、(ロ)は同外側可動部材の作用を示す遊技演出装置の正面図である。この場合は、外側可動部材として正面視にて左右に摺動板33,33が配置されている。なおこの場合、前記遊技演出装置Aと構造的にはほとんど同じなので、同一部位は同一番号を付して詳しい説明は省略する。すなわち、内側リール2と枠窓5が開設された前面カバー4との間に、左右方向に沿って摺動するようになっている。図示は省略するが、例えば左右の摺動板33,33にラックを固着し、一方、前記各ラックに駆動モータの駆動軸に取着したピニオンを噛合させ、駆動モータを駆動させると共に駆動軸を互いに正逆自在に回動させて、両摺動板33,33を左右に摺動させる。
【0031】
各摺動板33,33には互いに外側に第四開口34,34が開設されている。そこで、両摺動板33,33により枠窓5が閉じているときは、枠体1の枠窓5が外表示面部で覆われ内表示面部32が視認不能な視認不能領域30e,30eと、視認可能領域である第4開口34,34を介して内表示面部32が出現する。この場合、それぞれの第4開口34,34を介して内表示面部32に表示された「乱」の文字g、「打」の文字gがそれぞれ出現される。
【0032】
これに対し、枠窓5が開くように両摺動板33,33がそれぞれ左右へスライドしたときは、両摺動板33,33の第四開口34,34が前面カバー4の裏側へ隠れ、枠窓5を通してその一部に視認不能領域30e,30eが出現すると共に、その中央部に両摺動板33,33間に位置して視認可能領域として開放口35が形成される。この場合、開放口35に内表示面部32に表示された「FIGHT」の文字bが表示される。なお、前記のような「POWERFUL」といった長い文字aの場合は両摺動板33,33の開いたときの間隔を広くして開放口35の左右方向の長さを長くすれば良い。このような構成にしても、本発明の効果は十分に達成される。
【0033】
以上説明したように本発明に係る遊技演出装置は、枠体1の枠窓5内に、外表示面部30が停止したとき外表示面部30で覆われ内表示面部32が視認不能な視認不能領域30dと内表示面部32が視認可能な視認可能領域である第一開口乃至第三開口31a〜31c及び第四開口34、開放口35とが出現されるようにし、異なる態様の第一開口乃至第三開口31a〜31c、第四開口34、開放口35を介しそれぞれ対応して内表示面部23に表示される文字、数字、図柄といった識別情報を視認できるようになっているので、異なる態様の第一開口乃至第三開口31a〜31c、第四開口34、開放口35を通し遊技の状況に合わせて異なる種類の識別情報による演出が行なえ、演出に多くのバリエーションが持たせられる。しかも、異なる態様の視認可能領域のうち少なくとも一組の異なる態様の視認可能領域、例えば一組の第二開口31bと第三開口31c,31cを外表示面部30が停止した状態で共に枠窓5を通して同時に出現させたとした場合に前側から外表示面部30を投影しても互いに重ならないように配置され、かつ、内表示面部32にはその回動軸方向に沿って複数の態様の異なる視認可能領域に対応する識別情報を表示するようにしているので、それら識別情報が回動軸方向には交じり合って配置されることになり、内表示面部32の外周面に異なる種類の識別情報が極めて効率的に無駄なく整然と配置されることから、その分、内表示面部すなわち内側可動部材を小型化できる。よって、遊技盤100面の狭い場所であっても遊技演出装置Aの取付が容易に行なえるという効果を有する。
【0034】
本発明にあっては、内側可動部材と外側可動部材とが回動する場合として、内側リール2と外側リール3とを同心状に配置した構成を示したが、他に例えば間隔を離して平行に配置した複数の回転プーリ間に内表示面部または外表示面部としてのフィルムを巻回したものを内側と外側に配置し、重なるフィルムのうち外側のフィルムに第一開口乃至第三開口を開設し、内側のフィルムに各種識別情報を多段に表示するようにしても良い。また、外表示面部が摺動する場合は、外側表示面部を上下方向に直線的にスライドさせるようにしても良い。更に、遊技演出装置Aを変動表示装置105に配置したが、これに限られるものではなく、例えば球皿といったパチンコ遊技機の前面に遊技演出装置Aを配置するようにしても良い。更にまた、パチンコ遊技機が列設されるいわゆる島台の適宜位置に遊技演出装置を配置するようにしても良い。スロットマシンにあっては、該スロットマシンの前面または上面に遊技演出装置を配置することもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 枠体
2 内側可動部材(内側リール)
3 外側可動部材(外側リール)
5 枠窓
26 発光体(LED)
30 外表示面部
30d 視認不能領域
30e 視認不能領域
31a 視認可能領域(第一開口)
31b 視認可能領域(第二開口)
31c 視認可能領域(第三開口)
32 内表示面部
33 摺動板
34 視認可能領域(第四開口)
35 視認可能領域(開放口)
A 遊技演出装置
a 識別情報(文字)
b 識別情報(文字)
c 識別情報(テニスプレーヤーの姿態の図柄)
d 識別情報(テニスプレーヤーの姿態の図柄)
e 識別情報(テニスプレーヤーの姿態の図柄)
f 識別情報(文字)
g 識別情報(文字)
h 識別情報(文字)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15