特許第5875498号(P5875498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5875498印刷データ処理装置、印刷データ処理方法および印刷データ処理プログラム。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5875498
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】印刷データ処理装置、印刷データ処理方法および印刷データ処理プログラム。
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   G06F3/12 314
   G06F3/12 343
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-216727(P2012-216727)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-71623(P2014-71623A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100101753
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100163175
【弁理士】
【氏名又は名称】村口 佐智子
(72)【発明者】
【氏名】今井 澄
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−152310(JP,A)
【文献】 特開2011−248421(JP,A)
【文献】 特開2009−116803(JP,A)
【文献】 特開2003−132045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるオブジェクトが配置される矩形の複数のオブジェクト配置領域を有するファイルから、複数の印刷用ファイルを作成する印刷データ処理装置において、
前記複数のオブジェクト配置領域の少なくとも1辺の長さをオブジェクト配置領域長としてそれぞれ取得するオブジェクト配置領域長取得手段と、
前記複数のオブジェクト配置領域の各々に対応づけられたデータテーブルのフィールドの複数のオブジェクトの長さを、前記フィールドごとに取得する可変オブジェクト長取得手段と、
前記可変オブジェクト長取得手段において取得された複数の可変オブジェクト長から抽出された最大可変オブジェクト長を前記オブジェクト配置領域長と同単位で、前記フィールドに対応する前記オブジェクト配置領域のオブジェクト配置領域長と比較することにより、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まるか否かを判定する比較判定手段と、
前記比較判定手段において、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まると判定されたときに、データテーブル中の前記複数のオブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する配置可能判定手段と、
を備えたことを特徴とする印刷データ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷データ処理装置において、
前記複数のオブジェクトが文字データの場合には、前記可変オブジェクト長取得手段は、前記複数の可変オブジェクトの文字数を取得して前記複数の可変オブジェクトを文字数の多い順に序列し、当該序列において予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトを抽出し、
前記比較判定手段は、前記予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトの文字数から変換された前記オブジェクト配置領域長と同単位の可変オブジェクト長を各々可変オブジェクト配置領域長と比較することにより、前記可変オブジェクト長が予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトが、前記オブジェクト配置領域に配置可能か否かをさらに判定し、
前記配置可能判定手段は、前記比較判定手段において、可変オブジェクト長が予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトの全てが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能と判定されたときに、データテーブル中の前記複数のオブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する印刷データ処理装置。
【請求項3】
異なるオブジェクトが配置される矩形の複数のオブジェクト配置領域を有するファイルから、複数の印刷用ファイルを作成する印刷データ処理方法において、
前記複数のオブジェクト配置領域の少なくとも1辺の長さをそれぞれオブジェクト配置領域長として取得するオブジェクト配置領域長取得ステップと、
前記複数のオブジェクト配置領域の各々に対応づけられたデータテーブルのフィールドの複数のオブジェクトの長さを、前記フィールドごとに取得する可変オブジェクト長取得ステップと、
前記可変オブジェクト長取得ステップにおいて取得された複数の可変オブジェクト長から抽出された前記オブジェクト配置領域長と同単位の最大可変オブジェクト長を、前記フィールドに対応する前記オブジェクト配置領域のオブジェクト配置領域長と比較することにより、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まるか否かを判定する比較判定ステップと、
前記比較判定ステップにおいて、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まると判定されたときに、データテーブル中の前記複数のオブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する配置可能判定ステップと、
を有することを特徴とする印刷データ処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷データ処理方法において、
前記複数のオブジェクトが文字データの場合には、前記可変オブジェクト長取得ステップは、前記複数の可変オブジェクトの文字数を取得して前記複数の可変オブジェクトを文字数の多い順に序列し、当該序列において予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトについて前記オブジェクト配置領域長と同単位の可変オブジェクト長に変換し、
前記比較判定ステップは、前記予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトの可変オブジェクト長を各々前記オブジェクト配置領域長と比較することにより、可変オブジェクト長が予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域に配置可能か否かをさらに判定し、
前記配置可能判定ステップは、前記比較判定ステップにおいて、可変オブジェクト長が前記予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトの全てが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能と判定されたときに、データテーブル中の前記複数のオブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する印刷データ処理方法。
【請求項5】
異なるオブジェクトが配置される矩形の複数のオブジェクト配置領域を有するファイルから、複数の印刷用ファイルを作成するために、コンピュータのCPUがメモリにおいて実行する印刷データ処理プログラムにおいて、
前記複数のオブジェクト配置領域の少なくとも1辺の長さをオブジェクト配置領域長としてそれぞれ取得するオブジェクト配置領域長取得ステップと、
前記複数のオブジェクト配置領域の各々に対応づけられたデータテーブルのフィールドの複数のオブジェクトの長さを、前記フィールドごとに取得する可変オブジェクト長取得ステップと、
前記可変オブジェクト長取得ステップにおいて取得された複数の可変オブジェクト長から抽出された前記オブジェクト配置領域長と同単位の最大可変オブジェクト長を、前記フィールドに対応する前記オブジェクト配置領域のオブジェクト配置領域長と比較することにより、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まるか否かを判定する比較判定ステップと、
前記比較判定ステップにおいて、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まると判定されたときに、データテーブル中の前記オブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する配置可能判定ステップと、
を有することを特徴とする印刷データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バリアブル印刷を行う印刷システムにおける印刷データ処理装置、印刷データ処理方法および印刷データ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レイアウト作業をコンピュータによって行う印刷システムを用いて、印刷シートごとに異なる文字列や画像を印刷するバリアブル印刷が行われている。バリアブル印刷では、データテーブル中の氏名、住所などの文字列を、テンプレートとして用意されたデザインデータの可変データ埋込領域(可変領域)に埋め込んだ印刷データファイルを作成し、印刷を実行している。
【0003】
バリアブル印刷では、可変データの文字数や大きさが異なるため、予め可変領域として指定したブロックから文字等があふれることがある。このような「文字あふれ」を起こしているレコードは、正しく印刷されない。このため、データテーブル中の最大文字数を計測する最大文字数計測手段を備え、最大文字数の文字列が予め可変領域として指定した文字枠内に収まらない場合には、文字変形率を算出し、算出された文字変形率により文字列を変形した上で、データテーブル中の文字列を、各可変領域に埋め込む印刷用文書編集システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、バリアブル印刷では、印刷実行前に、テンプレートとして用意されたデザインデータの可変領域に、データテーブル中の全レコードを埋め込んだ後に、全レコード分の印刷データファイルをプレビュー表示させ、オペレータが目視でチェックするなどの対応がとられている。一方で、レコード件数が多い場合には、全レコード分のプレビュー表示とチェック作業に膨大な時間と労力がかかる。このため、データテーブルの項目(フィールド)ごとに、印刷する際に必要な印刷領域の和集合を算出し、その和集合をテンプレートファイルの可変領域に埋め込んだ状態をプレビュー表示することで、オペレータによるプレビューチェックを効率化したデータ作成システムが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−152310号公報
【特許文献2】特開2011−248421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の印刷用文書編集システムでは、データテーブルのフィールドごとの最大文字数分の文字列が、設定した可変領域に入るか否かを判定しているため、一文字の横幅が文字によって違うプロポーショナルフォントでは、最大文字数から得られた文字列の長さが、印刷される文字列の最大長さになるとは限らない。このため、文字がプロポーショナルフォントの場合、そのまま印刷を行うと、文字の切れによる不良印刷物が生じることがある。
【0007】
また、特許文献2のデータ作成システムでは、データテーブルのフィールドごとの和集合をプレビュー表示または試し刷り印刷により提示するものであるが、フィールドごとの印刷する際に必要な印刷領域の和集合が、予め設定した可変領域に収まるか否かの判定は、オペレータの目視に依っている。このため、例えば、試し刷りされた内容が、データ上の全てを印刷していないものであっても、文字が切れた箇所が区切りのよい場所であったりすると、オペレータが「文字あふれ」を起こしていることを看過してしまうという問題もある。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、バリアブル印刷におけるデータチェックを高速に行うことが可能な印刷データ処理装置、印刷データ処理方法および印刷データ処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、異なるオブジェクトが配置される矩形の複数のオブジェクト配置領域を有するファイルから、複数の印刷用ファイルを作成する印刷データ処理装置において、前記複数のオブジェクト配置領域の少なくとも1辺の長さをオブジェクト配置領域長としてそれぞれ取得するオブジェクト配置領域長取得手段と、前記複数のオブジェクト配置領域の各々に対応づけられたデータテーブルのフィールドの複数のオブジェクトの長さを、前記オブジェクト配置領域長と同単位で、前記フィールドごとに取得する可変オブジェクト長取得手段と、前記可変オブジェクト長取得手段において取得された複数の可変オブジェクト長から抽出された最大可変オブジェクト長を、前記フィールドに対応する前記オブジェクト配置領域のオブジェクト配置領域長と比較することにより、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まるか否かを判定する比較判定手段と、前記比較判定手段において、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まると判定されたときに、データテーブル中の前記複数のオブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する配置可能判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数のオブジェクトが文字データの場合には、前記可変オブジェクト長取得手段は、前記複数の可変オブジェクトの文字数を取得して前記複数の可変オブジェクトを文字数の多い順に序列し、当該序列において予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトについて前記オブジェクト配置領域長と同単位の可変オブジェクト長に変換し、前記比較判定手段は、前記予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトの可変オブジェクト長を各々可変オブジェクト配置領域長と比較することにより、前記可変オブジェクト長が予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトが、前記オブジェクト配置領域に配置可能か否かをさらに判定し、前記配置可能判定手段は、前記比較判定手段において、可変オブジェクト長が予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトの全てが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能と判定されたときに、データテーブル中の前記複数のオブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、異なるオブジェクトが配置される矩形の複数のオブジェクト配置領域を有するファイルから、複数の印刷用ファイルを作成する印刷データ処理方法において、前記複数のオブジェクト配置領域の少なくとも1辺の長さをそれぞれオブジェクト配置領域長として取得するオブジェクト配置領域長取得ステップと、前記複数のオブジェクト配置領域の各々に対応づけられたデータテーブルのフィールドの複数のオブジェクトの長さを、前記オブジェクト配置領域長と同単位で、前記フィールドごとに取得する可変オブジェクト長取得ステップと、前記可変オブジェクト長取得ステップにおいて取得された複数の可変オブジェクト長から抽出された最大可変オブジェクト長を、前記フィールドに対応する前記オブジェクト配置領域のオブジェクト配置領域長と比較することにより、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まるか否かを判定する比較判定ステップと、前記比較判定ステップにおいて、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まると判定されたときに、データテーブル中の前記複数のオブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する配置可能判定ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記複数のオブジェクトが文字データの場合には、前記可変オブジェクト長取得ステップは、前記複数の可変オブジェクトの文字数を取得して前記複数の可変オブジェクトを文字数の多い順に序列し、当該序列において予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトについて前記オブジェクト配置領域長と同単位の可変オブジェクト長に変換し、前記比較判定ステップは、前記予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトの可変オブジェクト長を各々前記オブジェクト配置領域長と比較することにより、可変オブジェクト長が予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域に配置可能か否かをさらに判定し、前記配置可能判定ステップは、前記比較判定ステップにおいて、可変オブジェクト長が前記予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトの全てが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能と判定されたときに、データテーブル中の前記複数のオブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、異なるオブジェクトが配置される矩形の複数のオブジェクト配置領域を有するファイルから、複数の印刷用ファイルを作成するために、コンピュータのCPUがメモリにおいて実行する印刷データ処理プログラムにおいて、前記複数のオブジェクト配置領域の少なくとも1辺の長さをオブジェクト配置領域長としてそれぞれ取得するオブジェクト配置領域長取得ステップと、前記複数のオブジェクト配置領域の各々に対応づけられたデータテーブルのフィールドの複数のオブジェクトの長さを、前記オブジェクト配置領域長と同単位で、前記フィールドごとに取得する可変オブジェクト長取得ステップと、前記可変オブジェクト長取得ステップにおいて取得された複数の可変オブジェクト長から抽出された最大可変オブジェクト長を、前記フィールドに対応する前記オブジェクト配置領域のオブジェクト配置領域長と比較することにより、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まるか否かを判定する比較判定ステップと、前記比較判定ステップにおいて、前記最大可変オブジェクト長を有する複数のオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ収まると判定されたときに、データテーブル中の前記オブジェクト配置領域に配置される全てのオブジェクトが、前記複数のオブジェクト配置領域にそれぞれ配置可能であると判定する配置可能判定ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、請求項3および請求項5に記載の発明によれば、データテーブルのフィールドごとに、オブジェクト配置領域に埋め込まれる可変オブジェクトのうち最大可変オブジェクト長を有するオブジェクトについて、オブジェクト配置領域に納まるか否かを判定し、その結果により、データテーブル中の全可変オブジェクトについてオブジェクト配置領域に配置可能であるか否かを判定できることから、印刷前の印刷データのチェックを高速に行うことが可能となる。
【0015】
請求項2および請求項4に記載の発明によれば、データテーブルのフィールドごとに、オブジェクト配置領域に埋め込まれる可変オブジェクトをオブジェクト長の長い順に序列し、予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトについて、オブジェクト配置領域に配置可能か否かを判定していることから、印刷前の印刷データのチェックをより精度よく行うことが可能となるとともに、印刷データの修正効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】バリアブル印刷を行う印刷システムの概要図である
図2】印刷データ処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】印刷データ処理装置1において実現される機能構成を説明するブロック図である。
図4】印刷データ処理装置1によるデータ処理手順を示すフローチャートである。
図5】テンプレートファイルの一例を示す図である。
図6図5のテンプレートファイルに埋め込む可変オブジェトのデータテーブルの一例を示す図である。
図7】印刷データ処理装置1によるデータ処理手順の他の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、バリアブル印刷を行う印刷システムの概要図である。
【0018】
この印刷システムは、バリアブル印刷を行うために構成されたものであり、同一オブジェクトが埋め込まれる固定領域と、異なるオブジェクトが埋め込まれる可変領域とを形成したテンプレートファイルの可変領域に、データテーブルからオブジェクトをレコードごとに流し込み、複数の印刷データファイルを作成し、印刷を実行するものである。そして、この印刷システムは、印刷データ処理装置1と、サーバ装置4と印刷装置3とがインターネット回線2で接続されて構成されている。
【0019】
印刷データ処理装置1は、印刷データの編集および作成を行うものであり、印刷物を構成する文字や絵柄などを編集し、印刷データを作成する。また、サーバ装置4は、ファイルの固定領域に埋め込まれる部品オブジェクト、固定領域のデザインが決まっているデザインファイル、可変領域であるオブジェクト配置領域に埋め込まれる可変オブジェクトのデータテーブルを格納する。
【0020】
印刷装置3は、印刷データ処理装置1からの印刷データを、印刷用紙などの記録媒体に出力する出力機である。この印刷装置3の印刷方式は、電子写真方式、インクジェット方式のいずれでもよい。
【0021】
図2は、印刷データ処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0022】
印刷データ処理装置1は、コンピュータを利用して実現されており、CPU101、ROM102、RAM103、LANインターフェース104、液晶ディスプレイなどの表示装置105、キーボードおよびマウスなどの入力装置106、HDD(ハードディスク)107、ディスクドライブ等で構成される記録媒体読取装置109を備え、これらはバス108を介して相互に接続されている。HDD107は、各種データやプログラムを記憶する。HDD107に記憶されている、プログラムは、CPU101、ROM102、RAM103を利用することにより、その機能が実現される。LANインターフェース104は、印刷データ処理装置1をLAN(Local Area Network)に接続し、インターネット回線2を介してサーバ装置4および印刷装置3との通信を可能とするものである。表示装置105は、印刷物を構成する文字や絵柄などのレイアウトの状態などの各種情報を表示し、入力装置106は、オペレータによる各種入力操作に使用される。
【0023】
なお、この発明の印刷データ処理プログラムは、CD−ROM等の可搬型の記録媒体110に記録してもよい。この発明の印刷データ処理プログラムが、記録媒体110に記録されている場合は、印刷データ処理装置1は、記録媒体読取装置109を用いて、記録媒体110からプログラムを読み出し、当該プログラムをHDD107に記録する。
【0024】
図3は、印刷データ処理装置1において実現される主要な機能構成を説明するブロック図である。
【0025】
印刷データ処理装置1では、HDD107に格納された印刷データ処理を行うためのプログラムP1(印刷データ処理プログラム)の指示に基づいて、CPU101がROM102、RAM103からなるメモリにおいて、テンプレートファイルに割り付けられた可変領域であるオブジェクト配置領域の少なくとも1辺の長さを取得するオブジェクト配置領域長取得手段31と、データテーブルのオブジェクト配置領域に埋め込まれるべき可変オブジェクトの長さを取得する可変オブジェクト長取得手段32と、オブジェクト配置領域長と可変オブジェクト長を比較することにより可変オブジェクトがオブジェクト配置領域内に収まるか否かを判定する比較判定手段33と、比較判定手段33の結果からデータテーブル中の全てのオブジェクトがオブジェクト配置領域に配置可能と判定する配置可能判定手段34とを、機能として実現する。
【0026】
図4は、印刷データ処理装置1によるデータ処理手順を示すフローチャートである。図5は、テンプレートファイルの一例を示す図である。図6は、図5のテンプレートファイルに埋め込む可変オブジェトのデータテーブルの一例を示す図であり、図6(a)は、印刷データ処理装置1に読み込まれたデータテーブルであり、図6(b)は、図6(a)のデータテーブル44の各フィールドでの最大文字数となる文字データを抽出したテーブルである。
【0027】
先ず、印刷データ処理装置1にサーバ装置4から、可変オブジェクトのデータテーブルを読み込む(ステップS11)。サーバ装置4から取得したデザインファイルに、さらに可変オブジェクトを埋め込むオブジェクト配置領域が割り付けられたテンプレートファイルについて、矩形のオブジェクト配置領域の少なくとも1辺の長さを取得する(ステップS12)。オブジェクト配置領域が複数ある場合は、各オブジェクト配置領域の少なくとも1辺の長さを取得する。オブジェクト配置領域の長さを取得する辺は、そのオブジェクト配置領域に埋め込まれる可変オブジェトが文字データの場合には、文字列方向と同じ方向の1辺であればよい。また、そのオブジェクト配置領域に埋め込まれる可変オブジェトが画像データの場合は、オブジェクト配置領域の長さを取得する辺は、図形データの矩形範囲の1の頂点を起点としたX方向とY方向の2辺となる。
【0028】
テンプレートファイルは、図5に示すように、商品広告などの共通情報を埋め込む固定領域42と、住所、氏名などの個別情報を埋め込むオブジェクト配置領域41a、41b、41cが割り付けられたダイレクトメール印刷用のファイルである。そして、オブジェクト配置領域41aには、図6(a)に示すデータテーブル44のPostCodeのフィールド、オブジェクト配置領域41bには、Addressのフィールド、オブジェクト配置領域41cには、Nameのフィールドが対応している。図6(a)に示すデータテーブル44の各フィールドのオブジェクトは、全て文字データであることから、図4に示すステップS11においては、文字列方向と同じオブジェクト配置領域41a、41b、41cの矩形の長辺側の長さを各々取得する。
【0029】
次に、データテーブル44のフィールドごとに可変オブジェクト長を取得する(ステップS13)。そして、各フィールドにおいて、オブジェクト長が最長となる、最大可変オブジェクト長を抽出する(ステップS14)。最大可変オブジェクト長の抽出は、図6に示す例では、フィールドごとの最大文字数のデータを抽出している。すなわち、図6(b)に示すように、PostCodeのフィールドでは、第1レコードが最大文字数であり、Addressのフィールドでは、第3レコードが最大文字数であり、Nameのフィールドでは第2レコードが最大文字数であることを示すテーブル45が作成される。なお、テーブル45は、各フィールドで最大文字数を持つ文字列の内容とレコード番号とを対応付けるものである。
【0030】
ステップS14で抽出された最大文字数のデータは、各オブジェクト配置領域41a、41b、41cにバリアブル属性として設定されているフォントの種類、フォントサイズの情報を利用して、オブジェクト配置領域長と同単位(例えばmm)となるオブジェクト長に変換される。さらに必要な場合は組版ルールの情報等も利用して、オブジェクト配置領域長と同単位となるオブジェクト長に変換される。このオブジェクト長は、各フィールドの最大可変オブジェクト長とされ、各フィールドに対応する可変オブジェクト配置領域長と比較される(ステップS15)。
【0031】
この実施形態では、可変オブジェクトが文字データである例を説明しているが、可変オブジェクトが図形データの場合は、オブジェクト配置領域の長さを取得した辺と同方向をむく、X方向またはY方向いずれか、あるいはX方向とY方向の両方の辺の長さがそのまま可変オブジェクト長となり、その中で最も長い可変オブジェクト長が最大可変オブジェクト長となる。このときの最大可変オブジェクト長は、各フィールドに対応する可変オブジェクト配置領域長と比較される。オブジェクト配置領域長が2辺ある場合には、それぞれの辺について、最大可変オブジェクト長と可変オブジェクト配置領域長が比較される。
【0032】
ステップS15の比較の結果、いずれかのフィールドについて、最大可変オブジェクト長が可変オブジェクト配置領域長より長いため、可変オブジェクトがオブジェクト配置領域に収まらないと判定された場合には(ステップS16)、該当するレコードをリストし、表示装置105にエラーレコードリストとして表示するなどして、オペレータに提示する(ステップS17)。なお、エラーレコードリストは、例えば、AddressのフィールドとNameのフィールドで可変オブジェクトがオブジェクト配置領域に収まらないと判定されたときには、図6(b)に示すフィールドで最大文字数を持つ文字列の内容とレコード番号との対応付けから、第2レコードと第3レコードの情報を図6(a)のデータテーブルから抽出することにより作成される。オペレータは、リストされた内容に応じて、可変オブジェクト配置領域の属性として設定されているフォントの種類、フォントサイズ、オブジェクト配置領域のサイズ変更などの各種編集を、入力装置106により行う(ステップS18)。編集後は、再度ステップS12〜ステップS16を繰り返す。
【0033】
また、いずれのフィールドにおいても、最大可変オブジェクト長が可変オブジェクト配置領域長より短く、可変オブジェクトが可変オブジェクト配置領域に収まると判定された場合には(ステップS16)、データテーブル44の全てのオブジェクトが、フィールドと対応するオブジェクト配置領域41a、41b、41cに配置可能であると判定される(ステップS19)。こうして、データテーブル44のデータチェックが終了すると、オペレータは、オブジェクト配置領域41a、41b、41cに可変オブジェクトを埋め込み、データテーブル44の全レコード分の印刷データの作成を行う等、次のステップに作業を移行させることが可能な状態となる。
【0034】
上述したように、この発明では、データテーブル44のレコード全件を処理するのではなく、オブジェクト配置領域ごとに、対応するフィールドで最大可変オブジェクト長を有するデータのみをチェックすればよいことから、印刷データの処理を高速化できる。また、プレビュー表示だけに依らずにオブジェクト配置領域に可変オブジェクトが収まるか否かを判定していることから、オペレータの人為的なミスを低減することが可能である。
【0035】
次に、印刷データ処理装置1によるデータ処理の他の実施形態を説明する、図7は、印刷データ処理装置1によるデータ処理手順の他の実施形態 を示すフローチャートである。
【0036】
図7に示すデータ処理手順では、データテーブル44のフィールドごとに可変オブジェクト長を取得(ステップS23)した後に、各フィールドにおいて、可変オブジェクト長を長い順に序列し、その序列において予め設定した順位以内となる複数のオブジェクトの可変オブジェクト長を抽出(ステップS24)している点において、図4に示すデータ処理手順と異なる。この実施形態では、可変オブジェクト長の上位10件を抽出しているが、上位何件までを抽出するかは、レコード件数等に応じて、適宜変更される。
【0037】
このステップS24においては、データテーブル44のフィールドごとに、文字数が多い順にデータを並び替え、そこから抽出した上位10件について、文字数データを、各オブジェクト配置領域41a、41b、41cにバリアブル属性として設定されているフォントの種類、フォントサイズの情報等を利用して、オブジェクト配置領域長と同単位(例えばmm)となるオブジェクト長に変換している。
【0038】
そして、上位10件の可変オブジェクト長の各々は、フィールドに対応するオブジェクト配置領域41a、41b、41cのオブジェクト配置領域長と比較される(ステップS25)。そして、可変オブジェクト長が可変オブジェクト配置領域長より長いオブジェクトが上位10件のうち1件でもあれば、可変オブジェクトがオブジェクト配置領域を超えていると判定する(ステップS26)。しかる後、該当するレコードをリストし、表示装置105にエラーレコードリストとして表示するなどして、オペレータに提示する(ステップS27)。
【0039】
ところで、可変オブジェクトが文字データである場合、文字数が最大となる文字データが、可変オブジェクト長が最長となるとは限らないという問題がある。すなわち、プロポーショナルフォントで1文字あたりの幅が大きくなる文字が多く含まれる文字データや、組版ルールで文字間を広く設定する文字の組み合わせが多い文字データなどは、文字数が最大でない文字データであっても、文字数が最大となる文字データよりも、可変オブジェクト長が長くなる場合がある。
【0040】
この実施形態では、データテーブル44の各フィールドで文字数が多い上位10件について、オブジェクト配置領域長と、オブジェクト配置領域長と同単位(例えばmm)となるように変換した可変オブジェクト長を比較していることから、フォントや組版ルールの違いによって生じる「文字あふれ」の頻度を低減することができる。さらに、データテーブル44の各フィールドで複数件分のデータをチェックすることで、「文字あふれ」などの原因がより理解しやすくなり、データ修正の効率化を図ることができる。
【0041】
なお、可変オブジェクトが文字データの場合、ステップS23の可変オブジェクト長を取得するステップで、全てのオブジェクトについて、フォントや組版ルールを考慮したオブジェクト配置領域長と同単位となるオブジェクト長を算出すると、処理時間が長くなる。この実施形態では、ステップS23で文字数によりデータを絞り込んだ後に、オブジェクト配置領域長と同単位となるオブジェクト長に変換する手順を採用したことで、印刷データ処理をより高速化している。
【符号の説明】
【0042】
1 印刷データ処理装置
2 インターネット回線
3 印刷装置
4 サーバ装置
31 オブジェクト配置領域長取得手段
32 可変オブジェクト長取得手段
33 比較判定手段
34 配置可能判定手段
41a オブジェクト配置領域
41b オブジェクト配置領域
41c オブジェクト配置領域
42 固定領域
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 LANインターフェース
105 表示装置
106 入力装置
107 HDD
109 記録媒体読取装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7