(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5875503
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】印字ヘッド組立体
(51)【国際特許分類】
B41J 2/16 20060101AFI20160218BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
B41J2/16 503
B41J2/14 613
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-251907(P2012-251907)
(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公開番号】特開2013-111978(P2013-111978A)
(43)【公開日】2013年6月10日
【審査請求日】2015年11月16日
(31)【優先権主張番号】13/307,231
(32)【優先日】2011年11月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤンジア・ズオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エム・カゼッラ
(72)【発明者】
【氏名】サントク・エス・バデシャ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・ニストロム
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・エル・ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェイ・ワイブル
(72)【発明者】
【氏名】マンダキニ・カナンゴ
【審査官】
外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−030110(JP,A)
【文献】
特開2012−076436(JP,A)
【文献】
特開2009−113456(JP,A)
【文献】
特開2010−149407(JP,A)
【文献】
特開2012−139974(JP,A)
【文献】
特開2010−221508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクを分配するように配置された印字ヘッド組立体であって、
前記紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクを収容するリザーバと、
共に重ねられた第1プレート及び第2プレートを含む複数の機能プレートと、
約20℃における約100MPaと約1500MPaとの間の貯蔵弾性率と、約120℃における約3MPaと約700MPaとの間の貯蔵弾性率とを有する前記第1プレートと前記第2プレートとの間の結合を提供するために、隣接する前記各プレート間に配置された第1接着剤層と、
前記第1プレートと前記第2プレートとの間の結合を提供するために、隣接する前記各プレート間に配置された第2接着剤層と、
前記第1プレート、前記第2プレート、及び前記第2接着剤層により形成された前記紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクのインク流路と、
を備え、
前記第2接着剤層は、前記インク流路にさらされ、
前記第1接着剤層は、前記インク流路にさらされず、
前記第1接着剤層は、前記紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクに第1の耐化学性を有し、前記第2接着剤層は、前記紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクに第2の耐化学性を有し、前記第2の耐化学性は前記第1の耐化学性よりも大きく、
前記第2接着剤層は、前記第1接着剤層の貯蔵弾性率よりも高い貯蔵弾性率を有する、印字ヘッド組立体。
【請求項2】
前記第1接着剤層は、約1ミルと約4ミルとの間の厚さを有する、請求項1に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項3】
前記第2接着剤層は、約1ミルと約4ミルとの間の厚さを有する、請求項1に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項4】
前記第1接着剤層は、架橋可能なアクリル接着剤を含む、請求項1に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項5】
前記第1接着剤層は、熱可塑性ポリイミドを含む、請求項1に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項6】
前記機能プレートは、金属、セラミック、またはプラスチック材料で形成される、請求項1に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項7】
前記第2接着剤層は、エポキシまたは熱可塑性ポリイミドを含む、請求項1に記載の印字ヘッド組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の態様は、印字ヘッド組立体に関し、詳細には、2膜法を使用して印字ヘッド構造を積層させるために複合的な方法で使用される接着剤材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ソリッド・インク・ジェット印刷機は、1つ以上のインク充填チャネルを含む印字ヘッドを含み、1つ以上のインク充填チャネルは、一端において、インク供給チャンバまたはリザーバと連絡し、他端において、ノズルと通常呼ばれるオリフィスを有する。圧電性トランスデューサなどのエネルギー発生器は、脈圧を生成するようにノズル付近のチャネル内に位置決めされる。サーマル・インク・ジェットまたはバブルジェット(登録商標)として公知の別の種類のシステムは、ノズル付近の熱発生レジスタによって高速の液滴を生成する。デジタル情報を表す印字信号は、オリフィスまたはノズル付近の各インク通路内の抵抗層において電流パルスを生じ、すぐ近くのインクがほぼ瞬間的に蒸発して泡を作り出す。
【0003】
インクジェット印字ヘッドは、典型的には、製造の一部として、複数の材料層を必要とする。従来の方法は、ロバスト構造を形成するように共にろう付けされた、光化学的にエッチングされた特徴を有する金メッキされたステンレス鋼シートメタルの層を使用する。しかしながら、コストと業績を改善するために継続的に駆動しなければならないので、交互に並んだ材料の使用と結合プロセスとが必要とされる。ポリマー層は、特定のシートメタル構成要素に取って代わることが出来るが、ポリマーは、互いに、または金属層に結合するために接着剤を必要とする。紫外線(UV)で使用される様々な化学反応およびUVゲルインクとこれらの接着剤の適合性は、UV硬化可能なゲルインク、およびR1500などの基準アクリル接着剤においてアクリルモノマーを用いる場合を含み、問題となり得る。このような化学反応との適合が生じる時には、R1500接着剤は、膨張し、結合強度を弱め、最終的には剥離して、貧弱な噴霧性能と共に色から色への混合を引き起こす。R1500の膨張はまた、ノズルプレートの非平坦性をもたらし、これが、貧弱な噴霧性能と共に誤った方向への噴霧をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
必要なことは、印字ヘッド構造を積層させるために複合的な方法で使用される接着剤材料に関する方法の改善である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書の様々な実施形態に従って、紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクを分配するように構成された印字ヘッド組立体が開示される。印字ヘッドは、互いに積み重ねられる複数の機能プレートと、プレート間の結合を提供するように、隣接する機能プレート間に配置された第1接着剤層と、紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクに耐化学性を提供するように、隣接する機能プレート間に配置された第2接着剤層とを含むことが出来る。
【0006】
第1接着剤層は、約1ミルと約4ミルとの間の厚さを有することが出来る。第2接着剤層は、約1ミルと約4ミルとの間の厚さ有する。
【0007】
第1接着剤層は、架橋可能なアクリル接着剤または熱可塑性ポリイミドを含むことが出来る。第2接着剤層は、エポキシまたは熱可塑性ポリイミドを含むことが出来る。
【0008】
機能プレートは、金属、セラミック、またはプラスチックの材料で形成されることが出来る。
【0009】
本明細書の様々な実施形態に従って、印字ヘッドが共に積み重ねられる複数の機能プレートを含む、紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクのインクジェット印刷機のための印字ヘッド組立体を製造するための方法が開示される。方法は、結合強度を提供するために、機能プレートの層間の第1エリアにおいて第1接着剤を塗布することと、紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクに耐化学性を提供するように、機能プレートの層間の第2エリアに第2接着剤を塗布することと、結合された耐化学性機能プレートを用いて機能プレートのスタックを形成することとを含むことが出来る。
【0010】
本明細書の様々な実施形態に従って、紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクのインクジェット印字ヘッドのうちの2つ以上の構成要素を接着するための方法が開示される。その方法は、機械的結合強度を提供するために、印字ヘッドの第1構成要素の外側表面の第1部分に第1接着剤材料を塗布することと、紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクに耐化学性を提供するために、印字ヘッドの第1構成要素の外側表面の第2部分に第2接着剤材料を塗布することと、第1構成要素と第2構成要素との間の結合を提供するために、印字ヘッドの第2構成要素と共に印字ヘッドの第1構成要素を配置することとを含むことが出来る。
【0011】
第1接着剤は、架橋アクリル接着剤または熱可塑性ポリイミドを含むことが出来る。第2接着剤は、紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクに対して化学的に耐性がある液体エポキシを含むことが出来る。
【0012】
構成要素は、コンプライアンス壁と、外側マニフォルド取付具と、ヒータ取付具と、Bossプレート接着剤とを含むことが出来る。
【0013】
いくつかの態様において、機能プレートの層間の第1エリアに塗布される第1接着剤は、耐化学性を除いて他の全ての機能要件を満たすことが出来、機能プレートの層間の第2エリアに塗布される第2接着剤は、低貯蔵弾性率を除いて、紫外線硬化可能なインクまたはゲルインクに対する耐化学性を含む全ての機能要件を提供することが出来る。
【0014】
本発明のさらなる目的と利点とは、以下の記載において部分的に述べられ、そして、その記載から部分的に明らかとなるか、または本発明を実施することによって学ばれてもよい。本発明の目的と利点とは、添付の特許請求の範囲において特に指摘された要素と組み合わせとによって実現および達成される。
【0015】
上記の概略的な記載と下記の詳細な記載との両方が、単に例示的および説明的なものであり、主張するように、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0016】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を説明し、記載と共に、本発明の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、インク印刷機のための従来の印字ヘッド組立体の例を示す図である。
【
図2】
図2は、UVインク浴にさらされた時のR1500接着剤に対する重量パーセントの増加を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、Resin Design 12300に対する重量パーセントの増加と寸法変化とのデータの説明を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、Resin Design 12300に対する重量パーセントの増加と寸法変化とのデータの説明を示す図である。
【
図4】
図4は、R1500と比較したResin Design 12300のはみ出し性能に関する図である。
【
図5】
図5は、本明細書の態様に従った、同じジェットスタック層上で2つのエポキシ膜を使用する例を示す図である。
【
図6】
図6は、本明細書の態様に従った、同じジェットスタック層上で2つのエポキシ膜を使用する別の例示的方法を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、本明細書の態様に従った、同じジェットスタック層上で2つのエポキシ膜を使用する別の例示的方法を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、本明細書の態様に従った、同じジェットスタック層上で2つのエポキシ膜を使用する別の例示的方法を示す図である。
【
図8】
図8は、ポリイミド膜上で硬化されて、許容可能な結合強度やはみ出しを有する接着膜として使用されることが出来るResin Design液体エポキシの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本実施形態に対して詳細に参照が行われ、実施形態の例が、添付の図面に説明される。可能な場合にはどこに対しても、同じ参照番号が、同じ部分または同様な部分を指すように図面全体を通して使用される。
【0019】
図1は、UVインク印刷機に対する例示的なUV印字ヘッド組立体100を示す。組立体100は、一連の機能プレートを備え、それぞれが、組立体を通り過ぎる基板上への溶融インクの分配を制御するように割り振られた機能を行う。特定の実施形態において、印字ヘッド組立体100は、インク流路102を備え、インク流路102は、Al外側マニフォルド110(厚さ0.1185’’のアルミニウム)の上部に配置されたPlコンプライアンス壁105(厚さ0.0003’’のポリイミド)を備えるスタックアップの層を通過する。R1500外側マニフォルド接着剤115(厚さ0.002’’のR1500スタンドアロン)は、Kapton DCヒータ120(厚さ0.003’’のポリイミド)にAl外側マニフォルド110を接着するように配置される。R1500ヒータ接着剤120(厚さ0.002’’のR1500スタンドアロン)は、ダイバータ135(厚さ0.050’’のアルミニウム)にKapton DCヒータ125を接着するように配置される。R1500ダイバータ接着剤140(厚さ0.001’’のR1500スタンドアロン)がSSボスプレート145(厚さ0.009’’のステンレス鋼)にダイバータ135を接着するように配置される。R1500ボスプレート接着剤150(厚さ0.001’’のR1500スタンドアロン)が、Kaptonフレックス155(厚さ0.003’’のフレックス回路)にSSボスプレート145を接着するように配置される。R1500スタンドオフ160(厚さ0.001’’のR1500スタンドアロン)が、Pl PZTスペーサ165(厚さ0.002’’のポリアミド)の上面に配置される。R1500隔壁接着剤175(厚さ0.001’’のR1500スタンドアロン)が、SS本体180(厚さ0.003’’のステンレス鋼)にSS隔壁170(厚さ0.0008’’のステンレス鋼)を接着するように配置される。Pl垂直方向入口185(厚さ0.007’’のポリイミド)が、Pl垂直方向入口の下、かつ、SS分離器190(厚さ0.006’’のステンレス鋼)の上部に配置される。Plロックスクリーン195(厚さ0.002’’のポリイミド)が、SS分離器の下、かつ、SSマニフォルドA200(厚さ0.006’’のステンレス鋼)の上部に配置される。SSマニフォルドB205(厚さ0.006’’のステンレス鋼)が、SSマニフォルドAの下、かつ、Plアパーチャ210(厚さ0.002’’のポリイミド)の上部に配置される。
【0020】
ステンレス、アルミニウム、またはポリイミドの層のあらゆる組み合わせを結合するために、Rogers Corporationから市販されている接着剤である、R1500などの薄膜接着剤を必要とする。この接着剤はまた、厚さ0.002’’で使用される時には、マニフォルドとヒータの界面とにおいて必要な要件である、表面平坦度の不均一性を吸収する能力を有する。
【0021】
R1500基準接着剤を使用する印字ヘッドが、適さないUV硬化可能なインクと共に使用される時には、インク内のアクリレートモノマーが、時間の経過と共に接着剤内のアクリル樹脂を攻撃し得る。化学反応に関するこの適合が材料を膨張させ、これが入口の直径と流れとの両方を減少させるだけでなく、材料の界面における材料の剥離をもたらす。この障害メカニズムが、弱く欠落した噴霧、誤った方向への噴霧、および色の混合をもたらす。これらのインクの化学反応は、重量パーセントの点で、Diアクリレートモノマー(50%〜80%)と多機能アクリレートコポリマー(5%〜25%)とで大部分が構成される。最初のテストは、これらのモノマーが基準R1500接着剤において使用されるアクリル樹脂と適合しないことを示した。
【0022】
図2は、R1500の硬化されたクーポンを85℃で浸漬したUVインク温浴浸漬テストの、時間の経過による重量増加の結果を示す。980時間目において、R1500クーポンは、厚さ方向において48%の寸法変化と共に160%の重量増加を経験した。高さの吸収と物理的な寸法の変化とを考慮すると、(アクリル接着剤と分類される)R1500は、硬化可能なUVインク用途のために設計された印字ヘッドに対する貧弱な結合接着剤と識別された。基準R1500接着剤の不具合に加えて、他の市販の接着剤製品もまたこのように上手く働かなかった。表1は、これらの材料と、接着剤の種類と、結果としての重量パーセントの増加とを列挙し、興味深いことは、3つの接着剤のうちの2つが、改変アクリル樹脂であり、3つ目は、ニトリルフェノリックであるという事実である
【表1】
【0023】
下記の表2は、UV種のインクと適合性があると考えられる必要があるBステージ接着剤に関する一組の機能要件を列挙する。
【表2】
【0024】
表2に列挙された全ての機能要件を満たす1つの接着剤を見つける困難度を減少させるために、これらの要件を満たす方法が開示され、その方法は、機能要件を2つの組に分ける。第1接着剤は、比較的に低い弾性率を有する材料を選択することによって、時には弾性と呼ばれ、そして、硬さまたは剛性とは反対の意味であるコンプライアンス性能を対処するために選択されることが出来る。例えば、第1接着剤は、約20℃における約100MPaと1500MPaとの間の範囲の貯蔵弾性率と、約120℃における約3MPaと700MPaとの間の範囲の貯蔵弾性率とを有することが出来る。第2接着剤は、耐化学性(膨張)に対処するように選択されることが出来る。本明細書の態様は、任意の所与の層において利用している2つの接着剤、すなわち、コンプライアンス(結合)強度のための接着剤と耐化学性のための接着剤とがどのように、低コストで高性能な印字ヘッドを作り上げるために使用されることが出来るかを記載する。このように作り上げられた印字ヘッドは、適しないUV硬化可能なインクおよびゲルインクの用途だけでなく市場にある全てのインクの化学変化に対する要求をも満たすことが出来る。いくつかの態様において、2つの接着剤は、エポキシ膜または液体分散型接着剤であってもよい。
【0025】
表2に列挙された11個全ての要件を満たす良好な耐化学性の接着剤の問題点説明するために、Resin Designの12300エポキシ薄膜の化学的適合性が優れている(1%未満の重量増加および寸法変化)ことが
図3aおよび
図3bに示されるが、はみ出し性能(要件番号2)は貧弱であり、65%の変化を示す(
図4を参照)。TechFilm 12300(TF−12300)は、マサチューセッツ州BillericaのTechFilm社によって製造され、BisPhenol A Epoxy Resin、Silica、Latent Curing Agent、およびEpoxy Cresol Novalac Resinを含む。
【0026】
一般的に、本明細書の態様は、上側ジェットスタックにおける任意の所与の層における2つの接着剤材料(薄いBステージ膜および液体接着剤)の統合に関する。R1500などの基準接着剤が、5番目(耐化学性)の例外を伴って、表2における要件の第1の組を満たすように選択され、Resin Designの12300またはその他任意の化学的に適合性のある液体エポキシ製剤などの第2接着剤材料が、UV硬化可能なインクなどのインクとの化学的適合性が必要とされる領域において配置されるように選択される。
【0027】
図5は、
図1に示された例として「コンプライアンス壁」接着剤層を使用した2材料手法を説明する。インク入口505は、ジェットスタック層を通るインク流路を提供する。R1500 Adhesiveなどの第1接着剤510は、インク入口505の近くである、ジェットスタック層のエリアに提供されることが出来る。Resin Design Adhesiveなどの第2接着剤515は、インク入口505の近くではなく第1接着剤510を有さない、ジャックスタック層のエリアに提供されることが出来る。
【0028】
いくつかの構成において、各インク入口505の直径は、約1.5mmであり得る。第1接着剤の種類とインク入口505の直径とに従って、各インク入口505は、液体エポキシビードが入口の周囲から離れた表面上で制御して堆積されるのを可能にするように半径が15ミル(1ミル=0.001インチ)だけさらに拡大される必要があり得る。非限定的な例として、堆積針の直径は、典型的には、最小で4ミルまでしか下がらないので、2ミルのR1500層は、8ミルの幅の最終的なビード幅にすることが出来る。これが、半径上に合計約15ミルの追加空間をもたらす。液体エポキシに(塩化メチレンなどの)溶媒をさらに添加することによって直径4ミルのエポキシビードを減少させることも可能である。これは、典型的には、元々の被覆厚が25ミクロンであり、約半日程度の蒸発時間であると仮定すると、ミクロン単位の薄い被覆が達成されることが出来るシートタイプの被覆で行われる。この手法は、コンプライアンス壁、外側マニフォルド取付具、ヒータ取付具、およびBossプレート接着剤などのR1500層のうちの任意のものにおいて実装されることが出来る。
【0029】
R1500など第1接着剤または基準接着剤は、幾何形状の特徴が小さい領域にわたって使用されることが出来る(R1500の影を付けられた領域に示された開口部が、フレックス構成要素とPZT構成要素との間で電気接触することを可能にする)。スタンドオフ層の残りの領域は、UVインクと化学的に適合性があることがテストして示されたResin Designエポキシ樹脂接着剤で構成される。インク入口へのはみ出しを防止するために、接着剤の特徴としては、半径で約15ミルだけ大きくなり得る。R1500は、PZTと接触したままであり、高弾性率のResin Design Epoxyには接触しない。印刷の品質の問題となる、PZT間のクロストークを減少または排除するために、低弾性率のR1500は、図に示されるように、適切な領域に維持されることが出来る。
【0030】
図6は、同じジェットスタック層(スタンドオフ)に関して、Resin Design Adhesiveが、エポキシ二重被覆ポリイミド薄膜と交換されることが出来る別の例を示す。インク入口605は、ジェットスタック層を通るインク流路を提供する。R1500 Adhesiveなどの第1接着剤610は、インク入口605の近くにある、ジェットスタック層のエリアに提供されることが出来る。エポキシ被覆ポリイミド薄膜などの第2接着剤615は、インク入口605の近くにはなく第1接着剤610を有さない、ジェットスタック層のエリアに提供されることが出来る。エポキシ被覆ポリイミド薄膜は、適切な被覆設定値を達成するように、溶媒−エポキシ混合物を使用して達成され、それから、引張棒固定具を使用して約25ミクロンの厚さでポリイミド膜上に被覆されることが出来る。膜は溶媒が完全に蒸発するのを可能にするように室温で乾燥されることが出来る。結果として得られる被覆の厚さは、はみ出しと結合強度性能との両方にとってほぼ最適である約5ミクロンである。プロセスは第2の側を被覆するために繰り返されることが出来る。
【0031】
図7a(平面図)と
図7b(側面図)とは、1つの層に2つの接着膜を統合する別の例を示す。この例において、
図1のコンプライアンス壁は、存在するR1500接着膜におけるサイズの大きい開口部にはめ込まれる耐化学性のあるBステージエポキシ「リング」(膜から切り取られる)を使用して改変される。
図7aは、R1500の開口部720によって取り囲まれたエポキシビード715によって取り囲まれたPl開口部710を有するコンプライアンス壁層の拡大されたエリア705を示す。
図7bは、断面図において、エリア705の周りの拡大されたエリア725を示す。インク流路755においては、インク730がインクジェットスタックを通って流れることが出来る。インクジェットスタックは、Plを備える上部層740と、インク流路755のいずれの側にも配置された液体エポキシ735(エポキシ715)ビードとR1500とを備える中間層745と、マニフォルド構造を備える下部層750とを含むことが出来る。ポリマー接着剤は、例えば、架橋可能なアクリル接着剤であっても、熱可塑性ポリイミドであってもよい。本明細書における例において、ポリマー接着剤は、R1500接着剤である。
【0032】
図8は、どのように、Resin Designの液体エポキシがポリイミド膜上に硬化され、それから許容可能な結合強度とはみ出しとを有する接着膜として使用されることが出来るかを示すデータを示す図を示す。