(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンをポリテトラフルオロエチレンに対するメラミンシアヌレートの質量割合が0.6乃至9となる割合にて含むものであり、
樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンの混合潤滑成分を2質量%乃至10質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ。
前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンをポリテトラフルオロエチレンに対するメラミンシアヌレートの質量割合が0.6乃至9となる割合にて含むものであり、
樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンの混合潤滑成分を2質量%乃至10質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項6に記載のアクチュエータ。
前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンをポリテトラフルオロエチレンに対するメラミンシアヌレートの質量割合が0.6乃至9となる割合にて含むものであり、
樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンの混合潤滑成分を2質量%乃至10質量%の割合で含むことを特徴とする、請求項9に記載の樹脂歯車装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、プラスチック歯車の樹脂素材をポリウレタンゴムやエラストマー材等の弾性歯車に変えることにより、騒音低減の効果を得られるものの、耐久性に劣り、歯車装置としての寿命が短く、実用的に問題がある。
【0007】
一方、上述のアクチュエータに用いるプラスチック歯車に使用するグリースは、車載用であるため、潤滑性能そのものだけでなく、−40℃といった低温環境下における動作性や起動性も重要視され、特にハイブリッド車や電気自動車では低電圧化が図れることも要求されている。加えて、グリースの信頼性や長寿命化の要求も高く、こうした要求性能を
総て満足できるようなグリース組成物に対する要求がある。
またこうした低温環境下における起動性について、グリース組成の観点からみると、低温起動時の低電圧化を図るためには低粘度基油を用いることが重要であるが、蒸発量が多いために長寿命化を満足することはできない。一方、高粘度基油を用いると蒸発特性が良好になるため長寿命化を図れるものの、低温起動時に高電圧を必要とする。このように、グリース組成物の観点では、低温環境下における起動性の向上とグリースの長寿命化の両立は非常に困難であるという問題がある。
加えて、樹脂潤滑用グリースの基油には、歯車等を構成する樹脂材料へのケミカルアタックを避けるために、一般に合成炭化水素油(ポリαオレフィン)が使用されている。しかしながら、合成炭化水素油はリチウム石鹸からなる増ちょう剤との相性が悪く、離油現象が大きくなり、油のにじみ出しによる製品の汚染と歯車の静粛性が損なわれるという問題がある。
【0008】
さらに、アクチュエータ歯車の軸受部には、ケース材と一体成型された樹脂製のピンあるいは金属製の軸を使用しているが、長期使用に伴い、樹脂の摩耗が起こり、樹脂材料の強度を高めるために配合されているガラス繊維が部材表面から露出する。そして露出した硬質のガラス繊維が、さらにアブレシブ摩耗を引き起こし、歯車と軸受部のクリアランスが大きくなることから、これにより振動や騒音が発生するという問題がある。
加えて樹脂歯車装置の長期使用に伴い、樹脂歯車表面のグリースが接触面から排除され、歯車同士が振動し、騒音悪化に繋がる虞があるという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、特定のグリースの使用により、騒音の低減と装置の長寿命化を両立させることができるプラスチック歯車装置を備えるアクチュエータ、特にHVACシステムに適し、また低温環境下でこうした効果を奏するアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、低粘度の基油を用い、増粘剤としてスチレン系共重合体及び/又は液状イソプレンゴムを使用することにより、優れた低温起動性や離油の抑制が可能となるグリース組成物が得られることを見出した。
加えて、固体潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレンとメラミンシアヌレートを使用し、また耐摩耗剤としてリン酸トリクレジル又は高分子エステルを使用することにより、樹脂軸受部の摩耗耐性が向上するグリース組成物が得られることを見出した。
そしてこれらの構成を有するグリース組成物をアクチュエータを構成する歯車装置の各歯車の噛み合せ部及び歯車軸受部に適用することにより、騒音の低減とともに製品の長寿命化を図れることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち本発明は、ステッピングモータと、前記ステッピングモータの回転を順に減速して回転トルクを増強するための、前記モータの回転軸に取り付けた第一段歯車を含め、各段の歯車がそれぞれ次段の歯車と噛み合う多段歯車装置と、前記多段歯車装置および前記ステッピングモータを設置するベース部材とを有するアクチュエータであって、
前記多段歯車装置は、少なくともいずれかの歯車の軸受部並びに歯車と歯車との噛み合せ部に、樹脂用グリース組成物を塗り備えてなり、そして該樹脂用グリース組成物が、
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm
2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であることを特徴とする、アクチュエータに関する。
【0012】
また本発明は、モータと、前記モータの回転軸に取り付けた第一段歯車を含め、各段の歯車がそれぞれ次段の歯車と噛み合う多段歯車装置と、前記多段歯車装置および前記モータを設置するベース部材とを有するアクチュエータであって、前記多段歯車装置は、前記歯車と歯車との噛み合せ部に、樹脂用グリース組成物を塗り備えてなり、そして該樹脂用グリース組成物が、
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm
2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であることを特徴とする、アクチュエータに関する。
【0013】
さらに本発明は、モータの回転軸に取り付けた第一段歯車と、第一段歯車と噛み合う第二段歯車を少なくとも有する樹脂歯車装置であって、少なくとも前記第一段歯車と前記第二段歯車のいずれかが樹脂製であり、かつ前記第一段歯車と前記第二段歯車との噛み合わせ部に樹脂用グリース組成物が塗り備えてなり、そして該樹脂用グリース組成物が、
(a)ポリアルファオレフィン油からなる基油であって、100℃における動粘度が4〜6mm
2/sである基油、
(b)リチウム石鹸である増ちょう剤、
(c)増粘剤、
(d)固体潤滑剤、並びに
(e)耐摩耗剤
を含有し、該組成物のちょう度がNLGIちょう度番号00号、0号、1号又は2号であることを特徴とする、樹脂歯車装置も対象とする。
【0014】
前記(c)増粘剤は、スチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムのいずれか一方又は双方を含むことが好ましい。
ここで前記(c)増粘剤がスチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムのいずれか一方を含む場合、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂を0.5質量%乃至6質量%の割合で、又は液状イソプレンゴムを5質量%乃至12質量%の割合で含むことが好ましい。
或いは前記(c)増粘剤がスチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムの双方を含む場合、スチレンイソプレン樹脂に対する液状イソプレンゴムの質量割合が2乃至5となる割合にて含むことが好ましく、このとき、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムの混合増粘成分を0.9質量%乃至12質量%の割合で含むことが好ましい。
【0015】
また前記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンをポリテトラフルオロエチレンに対するメラミンシアヌレートの質量割合が0.6乃至9となる割合にて含むことが好ましく、このとき、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンの混合潤滑成分を2質量%乃至10質量%の割合で含むことが好ましい。
特に前記(d)固体潤滑剤が、メラミンシアヌレートとポリテトラフルオロエチレンのみからなるものが好ましい。
【0016】
さらに前記(e)耐摩耗剤は、トリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を含むことが好ましく、このとき、樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、トリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を0.5質量%乃至3質量%の割合で含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上述の構成を有する樹脂用グリース組成物を多段歯車装置や樹脂歯車装置に用いることにより、摩耗による歯車の噛み合せ部及び軸受部のガタつきが低減され、騒音の低減とともに製品の長寿命化を両立させた歯車装置、そして該歯車装置を具えたアクチュエータを提供できる。特に騒音について、上述の構成を備える本発明のアクチュエータは、正回転と逆回転での騒音レベルの差を小さくし、聴感的にも大きな効果を得ることができ、アクチュエータを搭載する製品そのものの品質向上にもつながる。
とりわけ本発明のアクチュエータは、低温環境下における起動性(低電圧化)に優れたものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一般に、ステッピングモータと、前記ステッピングモータの回転を順に減速して回転トルクを増強する少なくとも複数段の歯車で構成される多段歯車装置から構成されるアクチュエータにおいて、モータ回転軸の一端に設置された第一段歯車と第二段歯車が噛み合って回転をする際、モータが起震源となる。そして、モータの振動がシャフトやベース部材及び外装を伝わって歯車を振動させ、この振動が歯車同士の噛み合いの際における周期音の発生に繋がる。アクチュエータの構造上、歯車を直線状に並べることができないため、この周期音は回転方向の違いによって振動と音圧に差異を生じさせ、振動音圧が大きい回転方向の振動音が騒音として耳につくようになる。また軸受部の摩耗により隙間が生じて、これもまた振動と騒音の原因となる。
本発明者らは、こうしたアクチュエータにおけるモータと歯車装置に起因する騒音の低減にあたり、特に液状イソプレンゴム成分あるいはスチレン系ブロック共重合体を増粘剤として配合したグリース組成物を採用し、これを歯車の噛み合せ部と歯車の軸受部に塗布することにより、これら部分へのグリースのつきまわり性に優れ、そして歯車の噛み合せ部及び歯車の軸受部の摩耗が低減でき、さらに騒音の低減と製品寿命を両立させたアクチュエータを得、本発明を完成させたものである。
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)について詳細に説明する。
なお、本発明に用いる「多段歯車装置」は、少なくともいずれかの歯車が樹脂製である歯車を備えた多段の歯車装置を指す。すなわち、本発明におけるアクチュエータは、多段歯車装置において、樹脂製歯車と例えば金属製歯車等の樹脂以外の材料からなる歯車とが混在していてもよく、また樹脂製歯車のみで構成されていてもよい。
そして本発明においては、後述する樹脂用グリース組成物が、前記樹脂製の歯車の軸受
部に、そして樹脂製の歯車と樹脂製又は樹脂以外の材料からなる歯車との噛み合せ部に、それぞれ塗り備えられる。
【0021】
図1は本発明の一実施形態によるアクチュエータの要部構造を説明するための模式図である。
図1に示すアクチュエータ10は、HVACシステム用のアクチュエータである。このアクチュエータ10は、ステッピングモータ11と、このステッピングモータ11の出力軸11aに一体回転可能に取り付けられた第一段歯車12、及び第一段歯車12と噛合された第二段歯車13、並びに第二段歯車13と噛合された第三段歯車14等の複数段の歯車を有する多段歯車装置15を備え、ステッピングモータ11の回転を第一段歯車12、第二段歯車13、第三段歯車14等の順に減速し、図示しない外部機器側に出力するように構成されている。
【0022】
前記ステッピングモータ11は、ロータ11Aと、このロータ11Aの外周に配設されたステータ11Bを有してなり、ベース部材16の一面側に縦置き型にして設置されている。
【0023】
前記多段歯車装置15は、ベース部材16の他面側に、ステッピングモータ11に対応するように設置されている。そして、ベース部材16の一面側から孔17を貫通して他面側、すなわち多段歯車装置15側に突出されたステッピングモータ11の出力軸11aに前記第一段歯車12を取り付けてなる。
【0024】
また、ステッピングモータ11の外側には、このステッピングモータ11を外側から保持する第1外装部材18がベース部材16と対向して設けられており、多段歯車装置15の外側には、この多段歯車装置15を外側から保持する第2外装部材19がベース部材16と対向して設けられている。すなわち、ステッピングモータ11の出力軸11a及び多段歯車装置15の各軸は、それらベース部材16及び第1外装部材18及び第2外装部材19にそれぞれ支持されている。また、第1外装部材18と第2外装部材19は互いに結合されて、アクチュエータ10用のケースを構成してなる。
【0025】
前記第二段歯車13は、互いに軸方向に直結された第1歯車部13aと第2歯車部13bとからなり、第1歯車部13aが第一段歯車12と噛み合っており、第2歯車部13bが第三段歯車14と噛み合っている。なお、第1歯車部13aと第2歯車部13bは好ましくは一体成型して作られるが、別体に成型して後から一体化するようにしても良い。
【0026】
前述したように、この実施形態でのアクチュエータ10では、ステッピングモータ11が回転すると、ステッピングモータ11で発生した振動は第一段歯車12及び第二段歯車13に対して、
図1中に一点鎖線で示すように伝播される。そして、最終的に第一段歯車12と第二段歯車13の噛み合せ部(噛合箇所)Xに集まり、噛み合せ部Xに大きな周期音を発生させる。また、第一段歯車12と第二段歯車13との回転方向の違いによっても振動と音圧に差異が生じ、振動音圧が大きい回転方向の振動音が騒音として耳につくことになる。
そこで本実施形態では、歯車の噛み合せ部及び歯車の軸受部に後述するグリース組成物を使用し、騒音の低減と製品寿命の長期化を図っている。
【0027】
図2は、本発明の実施形態であるアクチュエータの多段歯車装置のより詳細な模式図であり、
図2(a)は多段歯車装置の正面図、図(b)多段歯車装置の側面図(一部断面を含む)である。
図1同様、ステッピングモータ11の出力軸11aに一体回転可能に取り付けられた第一段歯車12と、第一段歯車12に噛合されてなる第二段歯車13、第二段歯車13に噛合されてなる第三段歯車14が図示され、また本図には、第二段歯車13の
軸20、第三段歯車14の軸21がそれぞれ図示され、アクチュエータ出力軸22についても図示される。
そして、本実施形態では、
図2における第一段歯車12と第二段歯車13との噛み合せ部X、第二段歯車13と第三段歯車14との噛み合せ部Y、第二段歯車13の軸受部20a、および第三段歯車14の軸受部21aに、それぞれ後述するグリース組成物が塗布され、これによりこれらの部位にグリース塗布部が形成されている。
【0028】
なお、本発明のアクチュエータにおいて、アクチュエータを構成する軸、すなわちモータの出力軸、多段歯車装置の各軸並びにアクチュエータの出力軸は、金属製又は樹脂製のいずれであってもよい。
例えば、上記
図1及び
図2に示す二つの実施形態において、アクチュエータ10のステッピングモータ11の出力軸11aは金属製の回転する軸である。出力軸11aと第一段歯車12は固定されており、第一段歯車12は出力軸11aとともに回転するため、第一段歯車12と出力軸11aの間には相対的に回転する軸受部は存在しない。
一方、第二段歯車13の軸20と第三段歯車14の軸21は、いずれも樹脂製であって固定軸である。そして第二段歯車と第三段歯車は、それぞれの固定軸に対して摺動しながら回転する。そのため、第二段歯車13と第二段歯車の軸20(固定軸)との間の軸受部20a、並びに第三段歯車14と第三段歯車の軸21(固定軸)との間の軸受部21aには、それぞれ後述するグリース組成物が噛みあわせ部X、Yに加えて塗布される。
【0029】
なお、これらアクチュエータ(モータの出力軸、歯車、歯車の軸、ベース部材、外装部材(ケース)、アクチュエータの出力軸等)を構成する樹脂部材として使用可能な樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂(ABS)、ポリアセタール(POM)、ナイロン(PA)、ポリカーボネート(PC)、フェノール樹脂(PF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。
【0030】
本発明のアクチュエータに使用する樹脂用グリース組成物は、(a)基油、(b)増ちょう剤、(c)増粘剤、(d)固体潤滑剤、並びに(e)耐摩耗剤を含有してなり、NLGIちょう度番号が00号、0号、1号又は2号(すなわち混和ちょう度範囲にするとおよそ430〜260の範囲内にあるもの)である。これ以上に柔らかいグリースの場合、使用時にグリースの漏えいが起こり、また硬い場合は接触面にグリースが残存しにくくなる。
【0031】
上記(a)基油は、低粘度の合成炭化水素油を使用することが好ましく、具体的には、本発明で使用する(a)基油はポリアルファオレフィン油(以下、PAOとも称する)からなり、本発明において、上記PAOからなる基油は、100℃における動粘度が4〜6mm
2/sであるものを使用する。
本発明において、該基油の粘度が上記数値範囲より大きい場合、低温下におけるトルク性能が劣ることとなり、また上記数値範囲より小さい場合には、高温での蒸発量が増加するため好適でない。
上記(a)基油は、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて70質量%乃至90質量%の割合で含むことが好ましい。
【0032】
上記(b)増ちょう剤としては、リチウム石鹸を使用する。
上記(b)増ちょう剤の配合量は、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて3質量%乃至15質量%の割合で含むことが好ましい
なお本発明に用いる樹脂用グリース組成物は、そのNLGIちょう度番号が00号、0号、1号又は2号となるよう、上記(a)基油及び上記(b)増ちょう剤の配合量を適宜
調整する。
【0033】
上記(c)増粘剤は、グリース組成物に通常使用されるポリマー等を使用でき、中でも増粘剤としての効果、並びにグリース組成物として使用したときの装置の低温起動性や耐久性等への効果等を考慮し、スチレンイソプレン樹脂や液状イソプレンゴムを使用することが特に好ましい。
スチレンイソプレン樹脂としては、数平均分子量が100,000乃至200,000のものを好適に使用し得、分子量が高いものの方が増粘剤としての作用が大きいものとなる。本発明で使用するスチレンイソプレン樹脂は前記数平均分子量を満たすものであれば特に限定されず好適に使用し得るが、具体例を挙げるとすれば、たとえばJSR(株)製JSR SIS 5200、同5405、同5505;ルーブリゾール(Lubrizol)社製Lubrizol(登録商標)7306、同7308、同7460;インフィニアムジャパン(株)製Infineum(登録商標)SV140、同SV150、同SV160;(株)クラレ製Septon(登録商標)1001、同1020などが挙げられる。
また液状イソプレンゴムとしては、イソプレン単分子のみからなるホモポリマータイプを使用することが好ましい。なおブタジエンを含むコポリマータイプの液状イソプレンゴムは、加熱により熱硬化を起こし、すなわちグリース組成物に配合した場合にグリースの固化やそれによる機動性の悪化をもたらす問題を生じ得るため、好ましくない。
上記液状イソプレンゴム(ホモポリマー)は、数平均分子量が28,000乃至54,000程度の範囲にあるものが好ましい。なお、一般に数平均分子量が100,000を超えるものを多量に含有すると固化する虞があり、基油への分散性が悪くなる。本発明で使用する液状イソプレンゴムは前記性質を有するものであれば特に限定されず好適に使用し得るが、具体例を挙げるとすれば、たとえば(株)クラレ製クラプレン(登録商標)LIR−30、同LIR−50、同LIR−200、同LIR−290;ロイヤルエラストマーズ(ROYAL ELASTOMERS)社製ISOLENE40、同400などが挙げられる。
【0034】
上記(c)増粘剤としてスチレンイソプレン樹脂又は液状イソプレンゴムを単独使用する場合、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂は0.5質量%乃至6質量%、より好ましくは2質量%乃至4質量%の割合で含むことが好ましい。また液状イソプレンゴムは、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、5質量%乃至12質量、より好ましくは5質量%乃至8質量%の割合で含むことが好ましい。
また、上記(c)増粘剤としてスチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムを併用する場合、スチレンイソプレン樹脂に対する液状イソプレンゴムの質量割合が2乃至5となる割合、すなわち、液状イソプレンゴム/スチレンイソプレン樹脂=2乃至5の質量割合にて併用することが好ましい。そして該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、スチレンイソプレン樹脂及び液状イソプレンゴムの混合増粘成分を0.9質量%乃至12質量%、より好ましくは0.9質量%乃至6質量%の割合で含むことが好ましい。
【0035】
またこの他にも、増粘剤としてポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン等を使用することができる。但し、高粘度を有するPAO100等のポリアルファオレフィン、或いはアルファオレフィンコポリマー(AOCP)等は、低温下における粘度上昇が懸念されるため好ましくない。
【0036】
上記(d)固体潤滑剤は、メラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンを併用することが好ましい。特に本発明の効果を最も好適に発揮するという観点より、メラミンシアヌレートとポリテトラフルオロエチレンのみを使用することが好ましい。
これらは、ポリテトラフルオロエチレンに対するメラミンシアヌレートの質量割合が0.6乃至9となる割合、すなわち、メラミンシアヌレート/ポリテトラフルオロエチレン
=0.6乃至9の質量割合にて併用することが好ましい。そしてメラミンシアヌレート及びポリテトラフルオロエチレンの混合潤滑成分を、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて2質量%乃至10質量%の割合で含むことが好ましい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲において、(d)固体潤滑剤として、炭酸カルシウムや二硫化モリブデンなどの当該技術分野に既知の固体潤滑剤を配合してもよい。
【0037】
上記(e)耐摩耗剤はトリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を使用することが好ましい。
上記高分子エステルとしては、例えば脂肪族1価カルボン酸及び2価カルボン酸と、多価アルコールとのエステルが挙げられる。上記高分子エステルの具体例としては、例えばクローダジャパン社製のPRIOLUBE(登録商標)シリーズなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらトリクレジルホスフェート及び高分子エステルのいずれか一方又は双方を、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、0.5質量%乃至3質量%の割合で含むことが好ましい。
【0038】
また、本発明のアクチュエータに使用する樹脂用グリース組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、油性向上剤、腐食防止剤等を適宜選択して添加することができる。
酸化防止剤としては、例えばオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
これら酸化防止剤は一種を単独で使用しても二種以上を組み合わせて使用してもよく、通常、該樹脂用グリース組成物の総質量に基いて、0.01質量%乃至5質量%の割合で添加することが好ましい。
【0039】
上述の構成を有する樹脂用グリース組成物は、樹脂製の歯車や軸受等の摺動部に対して優れた潤滑特性を提供するのみならず、これら部品への油のにじみ(離油)が改善され、且つ低温における起動性(低電圧化)や耐摩耗特性を優れたものとすることができる。
したがって上記樹脂用グリース組成物を歯車の軸受部並びに歯車同士の噛み合せ部に塗り備えてなる本発明のアクチュエータは、歯車等の汚染の発生や歯車の静粛性の損失が抑制され、低温下における起動性に優れ、騒音の低減を実現し、そして装置の長寿命化を図ることができる。
【0040】
なお本発明は上記に詳述した構成のアクチュエータだけでなく、モータと、前記モータの回転軸に取り付けた第一段歯車を含め、各段の歯車がそれぞれ次段の歯車と噛み合う多段歯車装置と、前記多段歯車装置および前記モータを設置するベース部材とを有するアクチュエータや、モータの回転軸に取り付けた第一段歯車と、第一段歯車と噛み合う第二段歯車を少なくとも有する樹脂歯車装置において、前述の樹脂用グリース組成物を歯車同士の噛み合せ部に塗り備えてなるアクチュエータ並びに樹脂歯車装置も対象とするものである。これらアクチュエータ及び樹脂歯車装置を構成する要部構造や、これらを構成する樹
脂部材、樹脂用グリース組成物は、先に詳述した構成のアクチュエータに準じて構成され得るものである。そしてこれらアクチュエータ並びに樹脂歯車装置も、上述したように、歯車等の汚染の発生や歯車の静粛性の損失が抑制され、低温下における起動性に優れ、騒音の低減を実現し、そして装置の長寿命化を図ることができるものである。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
〔グリース組成物の調製及び評価〕
下記各表に示す配合量にて(a)基油及び(b)増ちょう剤を加熱撹拌し、溶解させた後冷却し、ここに(c)増粘剤、(d)固体潤滑剤、(e)耐摩耗剤及び酸化防止剤を加え、ロールミルで均質化し、実施例1乃至実施例20並びに比較例1乃至比較例9に使用するグリース組成物を調製した。
【0043】
なおグリースの調製に用いた各成分の詳細及びその略称は以下のとおりである。
(a)基油
・PAO:ポリαオレフィン(100℃における動粘度:4mm
2/s)
(b)増ちょう剤
・Li石鹸:12ヒドロキシステアリン酸リチウム
(c)増粘剤
・SIP:スチレンイソプレン樹脂(Infineum(登録商標)SV150)
・LIR:液状イソプレンゴム(クラプレン(登録商標)LIR−50)
(d)固体潤滑剤
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(粒径10〜25μm)
・MCA:メラミンシアヌレート(粒径15〜30μm)
(e)耐摩耗剤
・TCP:トリクレジルホスフェート
・高分子エステル:クローダジャパン製 PRIOLUBE(登録商標)3986
(その他添加剤)
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
【0044】
得られたグリース組成物の特性について、以下の手順を用いて混和ちょう度及び離油度について評価した。
【0045】
(1)混和ちょう度(JIS K2220 7.)
グリースの外観的硬さを評価するものであり、潤滑油の粘度に相当するものといえる。
試験温度:25℃
試験方法:JIS K2220 7.に準拠し、標準円すいを用いる混和ちょう度試験の手順に従い、混和ちょう度測定を行った。
【0046】
(2)離油度試験(JIS K2220 11.)
離油度は、静的な条件におけるグリースの油分離傾向を評価するものである。
離油度は、円錘型金網を用いたろ過器に試料である各グリース組成物20gを取り、重量既知のビーカー中につるし、規定温度(100℃)の恒温槽内に規定時間(24時間)保ち、放冷後ビーカー中の分離油の重量を測定し、試料に対する質量%として算出される。得られた分離油の質量%は以下の基準に従い評価した。分離油の質量%の数値が高い(グリースの油分離性が大きい)と貯蔵安定性が悪く、軸受などの長期使用に対しても不都合である。
・温度:100℃ 時間:24時間
[評価:分離油の質量%]
0質量%以上〜7質量%以下: ○ 使用可能
7質量%超 〜 : × 使用不可
【0047】
〔アクチュエータ実機による評価〕
上述のグリース組成物を用いて、低温時における起動電圧測定による低温起動性評価、並びに、一定荷重におけるサイル試験後の騒音測定による耐久性評価を実施した。
アクチュエータ実機として、前述の
図1に示す要部構造を有するアクチュエータを使用した。
【0048】
(3)低温起動性評価(アクチュエータ実機による起動電圧測定)
・荷重:20Ncm 環境温度:−40℃
[評価:起動電圧]
測定された起動電圧の値について以下の基準に従い評価した。
9V未満 : ◎ 低温起動性に特に優れる
9V以上〜12V未満: ○ 低温起動性に優れる
12V以上〜13V未満: △ 低温起動性にやや劣る
13V以上 : × 低温起動性に劣る
【0049】
(4)耐久性評価(アクチュエータ実機による耐久試験後の騒音測定)
・荷重:35Ncm
・環境温度:−30℃〜85℃ サイクル条件(
図3参照)の恒温槽中で試験を実施した。
・
図4に示すように、アクチュエータ実機の出力軸にアームと錘(負荷荷重)を設置し、上記温度条件でアクチュエータ出力軸に取り付けたアームと錘の往復運動(CW、CCW1回の往復運動)を45,000回(1回約15秒)連続動作させた。
・上記荷重・環境温度における連続動作後にアクチュエータからの距離約100mmの位置にマイクを設置し、騒音(音圧)測定を実施した。なお耐久試験前の騒音は約28dBであった。以下の基準に従い評価した。
[騒音評価]
35dB以下 : ○ アクチュエータとして良好な騒音レベル
35dB超〜40dB未満: △ アクチュエータとして使用可能な騒音レベル
40dB以上 : × アクチュエータとして使用不可な騒音レベル
【0050】
〔軸受部摩耗の評価〕
(5)摩耗試験評価
図5の摩耗試験の概念図に示すように、樹脂軸と樹脂製円柱ブロックによる負荷試験を実施し、耐摩耗性(軸受部摩耗)を評価した。
[測定条件]
・樹脂軸 軸径:直径4mm、樹脂材料:ガラスフィラ−30%配合 ポリブチレンテレフタレート(PBT)
・樹脂製円柱ブロック:径10mm、樹脂材料:ポリアセタール(POM)(ガラスフィラーなし)
・荷重:30Ncm 温度:室温(約25℃)
・軸周速20rpm 4.2mm/s
・試験時間:500時間
[手順]
図2(概念図)に示す樹脂軸の外周面に各グリース組成物を塗布した後、該樹脂軸を樹脂製円柱ブロックに挿入した。前記円柱ブロックに錘(負荷荷重)を付けて荷重をかけ、
樹脂軸を回転機(図示せず)に接続し、回転させた。上記測定条件に示す条件にて回転させた後、前記円柱ブロックと接している樹脂軸の外周面を観察した。
[評価]
耐久試験後に目視により円柱ブロックに接している樹脂軸の外周面の摩耗状況を観察し、以下の評価基準にて評価した
○;摩耗なし
×;摩耗あり(ガラス繊維のむき出し)
【0051】
[実施例1乃至実施例6、比較例1及び比較例2]
スチレンイソプレン樹脂(SIP)の添加量を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示すように、固体樹脂である(c)スチレンイソプレン樹脂の含有量が増加すると粘度が上昇するため、低温における起動性が悪化する結果となった。
一方、(c)スチレンイソプレン樹脂の含有量の増加による粘度上昇に伴い、ギヤや軸受部へのグリースのつきまわり性は良くなるとみられ、耐久試験後の騒音評価並びに耐摩耗性は良好な結果となり、含有量が少ない場合にはグリースのつきまわり性が低下したことにより、騒音評価の悪化につながったとみられる結果を得た。
【0054】
[実施例7乃至実施例9、比較例3及び比較例4]
液状イソプレンゴム(LIR)の添加量を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2に示すように、(c)液状イソプレンゴムは液状であるため、表1に示す固体樹脂である(c)スチレンイソプレン樹脂と比べて絶対量が多い場合においても低温起動性、耐久性(騒音評価)及び耐久性(軸の摩耗低減)が良好であるとする結果を得た。ただし、(c)スチレンイソプレン樹脂の添加量を14質量%と非常に多量にすると、粘度が増し低温起動性が悪化するという結果を得た。
【0057】
[実施例10乃至実施例13]
スチレンイソプレン樹脂(SIP)と液状イソプレンゴム(LIR)を併用し、それぞれの添加量を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】
表3に示すように、液状イソプレンゴム/スチレンイソプレン樹脂の併用割合を質量比で2〜5とするグリース組成物を、総添加量:0.9〜12質量%として用いることにより、評価項目を概ね満足する結果を得た。ただし、実施例12のように、増粘剤の添加量を0.9質量%と低くすると、低温起動性には優れるものの、アクチュエータ実機での耐久性は低下するとする結果を得た。
【0060】
[実施例1(再掲)及び実施例14乃至実施例17]
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びメラミンシアヌレート(MCA)の併用割合を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
表4に示すように、メラミンシアヌレート/ポリテトラフルオロエチレンの併用割合を質量比で0.6〜9の範囲とするグリース組成物を、総添加量:2〜10質量%として使用することにより、総ての評価項目を満足する結果を得た。
【0063】
[実施例1(再掲)及び実施例18乃至実施例20並びに比較例9]
トリクレジルホスフェート(TCP)又は高分子エステルの配合割合を種々変化させ調製したグリース組成物を用いて各種評価を行った。得られた結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】
表5に示すように、トリクレジルホスフェートまたは高分子エステルを添加したグリース組成物を用いた実施例は耐摩耗性に優れていたが、これらを含まないグリース組成物を使用した比較例9は耐摩耗性に劣るとの結果を得た。
【0066】
以上、表1乃至表5に示す実施例1乃至実施例20の結果より、増粘剤として液状イソプレンゴム及び/又はスチレンイソプレン樹脂を配合したグリース組成物をアクチュエータに用いることにより、低温における起動性、耐久性(騒音評価並び軸の摩耗低減)に効果があることが確認された。また、増粘剤の添加量を好適な範囲より増加させたグリース組成物を用いた場合には、低温における粘度が増加し、起動性が悪化するとする結果を得た。
【0067】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれものである。