(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5875672
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】ジブロモマロンアミドの組成物および殺生物剤としてのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A01N 37/30 20060101AFI20160218BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20160218BHJP
A01N 59/08 20060101ALI20160218BHJP
A01N 43/50 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
A01N37/30
A01P3/00
A01N59/08 A
A01N43/50 R
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-501134(P2014-501134)
(86)(22)【出願日】2012年3月12日
(65)【公表番号】特表2014-511838(P2014-511838A)
(43)【公表日】2014年5月19日
(86)【国際出願番号】US2012028701
(87)【国際公開番号】WO2012134790
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年2月26日
(31)【優先権主張番号】61/467,414
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シングルトン,フレディ・エル.
(72)【発明者】
【氏名】イン,ベイ
【審査官】
三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−171575(JP,A)
【文献】
特開平11−140795(JP,A)
【文献】
特開2001−219173(JP,A)
【文献】
特開2000−086413(JP,A)
【文献】
特開2006−022097(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0117202(US,A1)
【文献】
国際公開第2008/091453(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/135195(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 1/00−65/48
A01P 1/00−23/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,2−ジブロモマロンアミドと、
モノハロジメチルヒダントインとを含む、殺生物組成物。
【請求項2】
2,2−ジブロモマロンアミドと、次亜塩素酸もしくはその塩、モノハロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントインおよびジブロモジメチルヒダントインからなる群から選択される酸化性殺生物剤とを含み、2,2−ジブロモマロンアミド:前記酸化性殺生物剤の重量比が、16:1から1:8までである、殺生物組成物。
【請求項3】
2,2−ジブロモマロンアミドと、次亜塩素酸もしくはその塩とを含み、
2,2−ジブロモマロンアミド:次亜塩素酸もしくはその塩の重量比が、16:1から1:1までである、殺生物組成物。
【請求項4】
2,2−ジブロモマロンアミドと、モノハロジメチルヒダントインとを含み、
前記2,2−ジブロモマロンアミド:前記モノハロジメチルヒダントインの重量比が、1:1から1:4までである、殺生物組成物。
【請求項5】
2,2−ジブロモマロンアミドと、ジクロロジメチルヒダントインとを含み、
前記2,2−ジブロモマロンアミド:前記ジクロロジメチルヒダントインの重量比が、16:1から1:2までである、殺生物組成物。
【請求項6】
2,2−ジブロモマロンアミドと、ジブロモジメチルヒダントインとを含み、
前記2,2−ジブロモマロンアミド:前記ジブロモジメチルヒダントインの重量比が、16:1から1:8までである、殺生物組成物。
【請求項7】
塗料、コーティング剤、水性エマルジョン、ラテックス、接着剤、インク、顔料分散物、家庭用もしくは工業用洗浄剤、洗剤、食器用洗剤、鉱物スラリーポリマーエマルジョン、コーキング材、接着剤、テープジョイントコンパウンド、消毒剤、殺菌剤、金属加工油剤、建築用品、パーソナルケア製品、繊維用流体、スピン仕上げ剤、産業プロセス水、油田およびガス田圧入水、生産水、油およびガス機能液、掘削泥水、破砕流体、油田およびガス田輸送パイプライン中の流体、燃料、空気洗浄器、廃水、バラスト水、ろ過システム、スイミングプールもしくは温泉水である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
水性系または水含有系における微生物増殖を抑制する方法であって、
前記水性系または水含有系を、有効量の、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物で処理することを含む、方法。
【請求項9】
前記水性系または水含有系が、塗料、コーティング剤、水性エマルジョン、ラテックス、接着剤、インク、顔料分散物、家庭用もしくは工業用洗浄剤、洗剤、食器用洗剤、鉱物スラリーポリマーエマルジョン、コーキング材、接着剤、テープジョイントコンパウンド、消毒剤、殺菌剤、金属加工油剤、建築用品、パーソナルケア製品、繊維用流体、スピン仕上げ剤、産業プロセス水、油田およびガス田圧入水、生産水、油およびガス機能液、掘削泥水、破砕流体、油田およびガス田輸送パイプライン中の流体、燃料、空気洗浄器、廃水、バラスト水、ろ過システム、スイミングプールもしくは温泉水である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/467,414号の優先権を主張し、その全体が参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、殺生物組成物および、水性系および水含有系における微生物の抑制のためのその使用方法に関する。前記組成物は、2,2−ジブロモマロンアミドおよび酸化性殺生物剤を含む。
【背景技術】
【0003】
水系は、藻類、細菌、ウイルスおよび真菌(これらのいくつかは病原性でありうる)のためのよく増殖する場所を提供する。このような微生物汚染は、各種の問題を引き起こし得る。前記問題には、美的不快感、例えば、ぬるぬるした緑色の水、重大な健康上のリスク、例えば、真菌、細菌またはウイルスの感染症、ならびに、閉塞、設備の腐食および伝熱の低下を含む機械的な問題が含まれる。
【0004】
殺生物剤は、一般的に、水性系および水含有系における微生物の殺菌、および、増殖の抑制に使用される。しかしながら、全ての殺生物剤が、広範囲の微生物および/または温度に対して効果的であるとは限らない。一部は、他の化学処理添加剤と相いれない。さらに、一部の殺生物剤は、十分に長期間にわたる微生物の抑制を提供しない。
【0005】
これらの欠点のいくつかは、前記殺生物剤のより多い量の使用により克服され得るが、この選択は、コストの増加、廃棄物の増加、および処理された媒体の望ましい特性を前記殺生物剤が妨げる可能性の増加を含む、それ自身の問題を引き起こす。さらに、より多い量の前記殺生物剤を使用したとしても、多くの市販の殺生物化合物は、特定の種類の微生物に対する弱い活性、またはそれら化合物への微生物の耐性のせいで、効果的な抑制を提供できない。
【0006】
1つ以上の下記の利点:低濃度での向上した有効性、前記処理された媒体での物理的な条件および他の添加剤との適合性、広いスペクトルの微生物に対する有効性、ならびに/または、微生物の短期間および長期間の抑制を提供する能力:を提供する、水系の処理のための殺生物組成物を提供することが、当分野における重要な進歩であろう。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本発明は、殺生物組成物を提供する。前記組成物は、水性系または水含有系において微生物を抑制するのに有用である。前記組成物は、2,2−ジブロモマロンアミドと、次亜塩素酸もしくはその塩、モノハロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントインまたはジブロモジメチルヒダントインを含む酸化性殺生物剤とを含む。
【0008】
第2の態様において、本発明は、水性系または水含有系において微生物を抑制する方法を提供する。前記方法は、有効量の、本明細書に記載の殺生物組成物で、前記系を処理することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前述のように、本発明は、殺生物組成物および、微生物の抑制においてそれを使用する方法を提供する。前記組成物は、2,2−ジブロモマロンアミドと、次亜塩素酸もしくはその塩、モノハロジメチルヒダントイン、ジクロロジメチルヒダントインまたはジブロモジメチルヒダントインを含む酸化性殺生物剤とを含む。驚くべきことに、2,2−ジブロモマロンアミドと、本明細書に記載の酸化性殺生物剤との、特定の重量比での組み合わせは、水性媒体または水含有媒体において微生物抑制に使用される場合、相乗的であることが見いだされた。すなわち、前記組み合わせられた材料は、そうでなければ、それらの個々の性能に基づいて予期されるであろうよりも改善された殺生物特性をもたらす。前記相乗効果は、所望の殺生物性能を達成するのに使用される材料の量を低減させ、このため、環境への影響および材料コストを潜在的に低減しながら、産業プロセス水における微生物の増殖により引き起こされる問題を低減する。
【0010】
本明細書の目的のために、「微生物」の意味としては、これらに制限されないが、細菌、真菌、藻類およびウイルスがあげられる。「抑制する(control)」および「抑制(controlling)」の語は、それらの意味内で、かつ、それらに制限されないが、微生物の増殖または繁殖を阻止すること、微生物を殺すこと、殺菌および/または防腐を含むと、広く解釈されるべきである。ある好ましい実施形態では、「抑制する」および「抑制」は、前記微生物の増殖または繁殖を阻止することを意味する。さらなる実施形態では、「抑制する」および「抑制」は、微生物を殺すことを意味する。
【0011】
「2,2−ジブロモマロンアミド」の語は、下記化学式により表される化合物を意味する。
【化1】
【0012】
特に断らない限り、本明細書で使用される、比率、パーセント、部等は、重量に基づくものであり、数値範囲は、前記範囲を規定する数を含む。
【0013】
本発明のある実施形態では、2,2−ジブロモマロンアミドと前記酸化性殺生物剤の重量比は、16:1から1:8までである。
【0014】
ある実施形態では、本発明の組成物は、2,2−ジブロモマロンアミドと、次亜塩素酸もしくはその塩、例えば、次亜塩素酸ナトリウムとを含む。前記2,2−ジブロモマロンアミドおよび次亜塩素酸または次亜塩素酸塩は、市販されており、および/または、周知の技術を使用して当業者により容易に調製され得る。次亜塩素酸塩は、例えば、市販の漂白剤(例えば、Clorox
(登録商標))または、典型的には工業用途に使用され得る、より濃縮された市販のグレード(例えば、15%)の形態でもよい。次亜塩素酸塩は、電解によって産生されてもよい。
【0015】
ある実施形態では、2,2−ジブロモマロンアミドと次亜塩素酸もしくはその塩との重量比は、16:1から1:1までである。
【0016】
さらなる実施形態では、本発明の組成物は、2,2−ジブロモマロンアミドと、モノハロジメチルヒダントインとを含む。適切なモノハロジメチルヒダントインの例としては、モノクロロジメチルヒダントインおよびモノブロモジメチルヒダントインがあげられ、モノクロロジメチルヒダントインが好ましい。前記材料は、当業者により容易に調製され得る。モノクロロジメチルヒダントインは、例えば、ジメチルヒダントインを次亜塩素酸と1:1のモル比で反応させることにより、調製されてもよい。前記モノハロジメチルヒダントインは、前記水性系への添加前に予め調製されてもよいし、その場(in situ)で生成されてもよい。
【0017】
ある実施形態では、2,2−ジブロモマロンアミド:モノハロジメチルヒダントインの重量比は、1:1から1:4までである。
【0018】
もう1つの実施形態では、本発明の組成物は、2,2−ジブロモマロンアミドと、ジクロロジメチルヒダントインとを含む。ジクロロジメチルヒダントインは、例えば、ジメチルヒダントインを次亜塩素酸と1:2のモル比で反応させることにより、調製されてもよい。前記ジクロロジメチルヒダントインは、前記水性系への添加前に予め調製されてもよいし、その場で生成されてもよい。
【0019】
ある実施形態では、2,2−ジブロモマロンアミド:ジクロロジメチルヒダントインの重量比は、16:1から1:2までである。
【0020】
さらなる実施形態では、本発明の組成物は、2,2−ジブロモマロンアミドと、ジブロモジメチルヒダントインとを含む。ジブロモジメチルヒダントインは、例えば、ジメチルヒダントインを次亜臭素酸と1:2のモル比で反応させることにより、調製されてもよい。前記ジブロモジメチルヒダントインは、前記水性系への添加前に予め調製されてもよいし、その場で生成されてもよい。
【0021】
一部の実施形態では、2,2−ジブロモマロンアミド:ジブロモジメチルヒダントインの重量比は、16:1から1:8までである。
【0022】
本発明の組成物は、各種の水性系および水含有系において、微生物を抑制するのに有用である。このような系の例としては、これらに制限されないが、塗料およびコーティング剤、水性エマルジョン、ラテックス、接着剤、インク、顔料分散物、家庭用洗浄剤および工業用洗浄剤、洗剤、食器用洗剤、鉱物スラリーポリマーエマルジョン、コーキング材および接着剤、テープジョイントコンパウンド、消毒剤、殺菌剤、金属加工油剤、建築用品、パーソナルケア製品、繊維用流体、例えば、スピン仕上げ剤、産業プロセス水(例えば、油田水、パルプおよび紙用の水、冷却水)、油田およびガス田圧入水、生産水、他の油およびガス機能液、例えば、掘削泥水および破砕流体、油田およびガス田輸送パイプラインに使用するための流体、燃料、空気洗浄器、廃水、バラスト水、ろ過システム、スイミングプールもしくは温泉水があげられる。好ましい水性系は、金属加工油剤、パーソナルケア、家庭用および工業用洗浄剤、産業プロセス水ならびに塗料およびコーティング剤があげられる。産業プロセス水、塗料およびコーティング剤、金属加工油剤ならびに繊維用流体、例えば、スピン仕上げ剤が特に好ましい。
【0023】
当業者であれば、微生物の抑制を提供するための任意の特定の用途に使用されるべき組成物の有効量を、過度の実験をすることなく、容易に測定し得る。実例として、適切な活性成分濃度(2,2−ジブロモマロンアミドと酸化性殺生物剤との両方の合計)は、前記水性系または水含有系の全重量に基づいて、典型的には、少なくとも1ppmであり、または、少なくとも3ppmであり、または、少なくとも7ppmであり、または、少なくとも10ppmであり、または、少なくとも30ppmであり、または、少なくとも100ppmである。ある実施形態では、前記活性成分濃度についての適切な上限は、前記水性系または水含有系の全重量に基づいて、1000ppm、または、500ppm、または、100ppm、または、50ppm、または、30ppm、または、15ppm、または、10ppm、または、7ppmである。
【0024】
前記組成物の成分は、前記水性系または水含有系に、別々に添加され得る、または、添加前に予め混合され得る。さらに、前記酸化性殺生物剤は、前記水性系または水含有系にいてその場で生成されてもよい。当業者であれば、添加および/または生成の適切な方法を、容易に決定し得る。前記組成物は、他の添加剤、例えば、これらに制限されないが、界面活性剤、イオン性/非イオン性ポリマーならびに、スケール防止剤および腐食防止剤、脱酸素剤および/またはさらなる殺生物剤と共に、前記系に使用され得る。
【0025】
下記の実施例は、本発明を説明するものであり、その範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0026】
本実施例において提示された結果は、増殖阻止アッセイを使用して得られる。各アッセイの詳細は、以下に提示される。
【0027】
増殖阻止アッセイ
本実施例で使用される前記増殖阻止アッセイは、微生物共同体の増殖の阻止(またはそれらの欠如)を測定する。増殖の阻止は、細胞を殺すこと(したがって増殖が起こらない)、再増殖に長時間が必要となるような、細胞集団のかなりの部分を殺すこと、または、殺すことなしに増殖の阻止(静菌)の結果であり得る。作用のメカニズムに関係なく、殺生物剤(または殺生物剤の組み合わせ)の効果を、コミュニティサイズの増加に基づいて、経時的に測定し得る。
【0028】
前記アッセイは、希釈無機塩培地におけるバクテリアの共同体の増殖を妨げることについて、1つ以上の殺生物剤の有効性を測定する。前記培地は、下記の成分を含む(mg/l):FeCl
3・6H
2O(1);CaCl
2・2H
2O(10);MgSO
4・7H
2O(22.5);(NH
4)
2SO
4(40);KH
2PO
4(10);K
2HPO
4(25.5);酵母エキス(10);およびグルコース(100)。全ての成分を脱イオン水に添加した後に、前記培地のpHを、7.5に調節する。ろ過滅菌に続けて、一定分量を、滅菌マイクロタイタープレートのウェルに、100μl量で分注する。ついで、2,2−ジブロモマロンアミド(「DBMAL」)および/または「殺生物剤B」の希釈物を、前記マイクロタイタープレートに添加する。以下に説明されるように、活性成分の組み合わせを調製した後、緑膿菌(シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、肺炎桿菌(クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae))、黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))および枯草菌(バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis))の混合物を、1ミリリットルあたり約1×10
6細胞で含む、100μlの細胞懸濁液で、各ウェルに植菌する。各ウェルにおける前記培地の最終総容量は300μlである。本明細書に記載のように調製された時点で、各活性成分の濃度は、表1に示されるように、25ppmから0.195ppmの範囲である。得られたマトリクスは、8通りの濃度の各活性成分、および(活性成分の)複数の比率での64通りの活性成分の組み合わせの試験を可能にする。
【0029】
【表1】
【0030】
前記マイクロタイタープレートを準備した後すぐに、各ウェルについての光学濃度(OD)の測定値を、580nmで測定し、ついで、前記プレートを、37℃で24時間インキュベートする。インキュベーション期間後、OD
580値を収集する前に、前記プレートを穏やかに攪拌する。T
0での前記OD
580値を、T
24の値から差し引いて、発生する増殖(またはそれらの欠如)の総量を決定する。これらの値を使用して、各殺生物剤および64通りの各組み合わせの存在により引き起こされる増殖の阻止パーセントを算出する。増殖の90%阻止を、下記等式による相乗効果指数(SI)値を算出するための閾値として使用する。
【数1】
式中、
C
DBMAL:単独で使用された場合の、≧90%の細菌増殖を阻止するのに必要なDBMALの濃度
C
B:単独で使用された場合の、≧90%の細菌増殖を阻止するのに必要な殺生物剤(B)の濃度
M
DBMAL:殺生物剤(B)との組み合わせで使用された場合の、≧90%の細菌増殖を阻止するのに必要なDBMALの濃度
M
B:DBMALとの組み合わせで使用された場合の、≧90%の細菌増殖を阻止するのに必要な殺生物剤(B)の濃度
である。
【0031】
前記SI値を、下記のように解釈する。
SI<1:相乗的な組み合わせ
SI=1:相加的な組み合わせ
SI>1:拮抗的な組み合わせ
【0032】
以下の実施例では、前記溶液における殺生物剤の量を、溶液1リットルあたりのmg(mg/l)で測定する。溶液密度がおおよそ1.00であるため、mg/lの測定は、重量に相当し、百万分率(ppm)として表され得る。したがって、本実施例では、両方の単位を、入れ替え可能に使用し得る。
【0033】
実施例1
DBMALと次亜塩素酸
細胞懸濁液が、DBMAL、次亜塩素酸(HOCl)および、DBMALとHOClとの組み合わせで試験される。増殖の阻止パーセント値を、前述のように算出し、増殖の少なくとも90%阻止をもたらすための、各活性成分および活性成分の組み合わせにおける最少濃度(I
90値)を決定するのに使用する。DBMALおよびHOClについての前記I
90値は、それぞれ6.25mg/lおよび0.78mg/lである。各活性成分の濃度が前記各I
90値より少ない、複数のDBMALとHOClとの組み合わせが、>90%の増殖阻止をもたらす。表2は、相乗的な組み合わせについての比率および相乗効果指数値を含む。
【0034】
【表2】
【0035】
実施例2
DBMALとモノクロロジメチルヒダントイン
この実施例では、ジメチルヒダントイン(DMH)をHOClと1:1のモル比で反応させることにより調製された、モノクロロジメチルヒダントイン(MCDMH)との相乗効果について、DBMALを評価する。前記アッセイを行う直前に、DMHの溶液およびHOClの溶液を組み合わせて、等モル濃度の各反応物を提供する。得られたモノクロル化されたヒダントインである、MCDMHを、前記アッセイに使用する。DBMALおよびMCDMHについての前記I
90値は、それぞれ6.25mg/lおよび3.13mg/lである。前記各I
90濃度より低い濃度で使用された場合、DBMALとMCDMHとのいくつかの組み合わせが、>90%の増殖阻止を引き起こす。相乗的であることが見出されたDBMALとMCDMHとの組み合わせが、表3に示される。
【0036】
【表3】
【0037】
実施例3
DBMALとジクロロジメチルヒダントイン
この実施例では、DBMALを、単独で、および、DMHをHOClと1:2のモル比で反応させることにより調製された、ジクロロジメチルヒダントイン(DCDMH)との組み合わせで試験した。DBMALおよびDCDMHについての前記I
90値は、それぞれ6.25mg/lおよび0.78mg/lである。表4は、前記2つの活性成分の組み合わせについての、相乗効果比率および相乗効果指数値を含む。
【0038】
【表4】
【0039】
実施例4
DBMALとジブロモジメチルヒダントイン
この実施例では、DMHを、(NaBrとHOClとを等モル比で一緒にすることにより形成された)HOBrと1:2のモル比で反応させて、ジブロモジメチルヒダントイン(DBDMH)を形成する。DBMALおよびDBDMHについての前記I
90値は、それぞれ6.25mg/lおよび3.13mg/lである。HOBrは、12.5mg/lのI
90値を有する。前記2つの活性成分のいくつかの組み合わせは、表5に示されるように、相乗的である。
【0040】
【表5】