(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流電力を伝送する内部導体と、前記内部導体の外周に前記内部導体と同軸に配置された筒状の外部導体と、を備える同軸構造体に接続され、前記内部導体を介して交流電力が伝送される点火プラグであって、
主体金具と、
前記主体金具の内周に設けられた絶縁体と、
前記主体金具と前記外部導体とを電気的に接続する接続器と、
を備え、
前記主体金具は、前記絶縁体を固定するための加締め部を有し、
前記接続器は、筒状であり、内径が、前記絶縁体のうち、前記主体金具よりも後端側の部分の外径よりも大きく、
前記接続器は、前記主体金具と接する第1の接続部と、前記外部導体と接する第2の接続部と、を備え、
前記第1の接続部は、前記主体金具のうち、前記加締め部よりも先端側の部位と接する、点火プラグ。
交流電力を伝送する内部導体と、前記内部導体の外周に前記内部導体と同軸に配置された筒状の外部導体と、を備える同軸構造体に接続され、前記内部導体を介して交流電力が伝送される点火プラグであって、
前記点火プラグをエンジンヘッドに取り付けるための取付ネジ部と、前記取付ネジ部より後端側に形成され、前記取付ネジ部の外径よりも大きな外径を備える座面と、を有する主体金具と、
前記主体金具と前記外部導体とを電気的に接続する接続器と、
を備え、
前記接続器は、筒状であり、内径が、前記取付ネジ部の外径よりも大きく、
前記接続器は、前記主体金具と接する第1の接続部と、前記外部導体と接する第2の接続部と、を備え、
前記第1の接続部は、前記主体金具の前記座面と接する、点火プラグ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した従来の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、交流電力を効率よく伝送することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
本発明の第一の形態は、交流電力を伝送する内部導体と、前記内部導体の外周に前記内部導体と同軸に配置された筒状の外部導体と、を備える同軸構造体に接続され、前記内部導体を介して交流電力が伝送される点火プラグであって、主体金具と、前記主体金具の内周に設けられた絶縁体と、前記主体金具と前記外部導体とを電気的に接続する接続器と、を備え、前記主体金具は、前記絶縁体を固定するための加締め部を有し、前記接続器は、筒状であり、内径が、前記絶縁体のうち、前記主体金具よりも後端側の部分の外径よりも大きく、前記接続器は、前記主体金具と接する第1の接続部と、前記外部導体と接する第2の接続部と、を備え、前記第1の接続部は、前記主体金具のうち、前記加締め部よりも先端側の部位と接する、点火プラグとして提供される。本発明の第二の形態は、交流電力を伝送する内部導体と、前記内部導体の外周に前記内部導体と同軸に配置された筒状の外部導体と、を備える同軸構造体に接続され、前記内部導体を介して交流電力が伝送される点火プラグであって、前記点火プラグをエンジンヘッドに取り付けるための取付ネジ部と、前記取付ネジ部より後端側に形成され、前記取付ネジ部の外径よりも大きな外径を備える座面と、を有する主体金具と、前記主体金具と前記外部導体とを電気的に接続する接続器と、を備え、前記接続器は、筒状であり、内径が、前記取付ネジ部の外径よりも大きく、前記接続器は、前記主体金具と接する第1の接続部と、前記外部導体と接する第2の接続部と、を備え、前記第1の接続部は、前記主体金具の前記座面と接する、点火プラグとして提供される。前記形態において、前記接続器の表面は、前記主体金具の表面よりも高い導電性を有してよい。前記形態において、前記接続器より先端側には、前記点火プラグと前記エンジンヘッドとの間の気密を保持するためのガスケットが配置されてよい。前記形態において、前記接続器は、磁性を有する部材で形成されてよい。
【0006】
[適用例1]
主体金具を備える点火プラグと、前記点火プラグに対して交流電力を伝送する内部導体と前記内部導体の外周に前記内部導体と同軸に配置された筒状の外部導体とを備える同軸構造体と、を接続する接続器であって、
前記接続器は、前記主体金具と接する第1の接続部と、前記外部導体と接する第2の接続部とを備えることにより、前記主体金具と前記外部導体とを電気的に接続することを特徴とする、接続器。
この構成によれば、主体金具と外部導体とを確実に接続することができるので、主体金具と外部導体との電気的な接続を十分に確保することができ、交流電力を効率よく伝送することができる。
【0007】
[適用例2]
適用例1に記載の接続器が取り付けられた点火プラグ。
この構成によれば、主体金具と外部導体とを確実に接続することができるので、主体金具と外部導体との電気的な接続を十分に確保することができ、交流電力を効率よく伝送することができる。
【0008】
[適用例3]
適用例2に記載の点火プラグであって、
前記接続器の表面は、前記主体金具の表面よりも高い導電性を有することを特徴とする、点火プラグ。
この構成によれば、交流電力が接続器の表面を伝わりやすくなるため、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。
【0009】
[適用例4]
適用例2または適用例3に記載の点火プラグであって、
前記点火プラグは、前記主体金具の内周に設けられた絶縁体を備え、前記主体金具は、前記絶縁体を固定するための加締め部を有しており、
前記接続器は、筒状であり、内径が、前記絶縁体のうち、前記主体金具よりも後端側の部分の外径よりも大きく、
前記第1の接続部は、前記主体金具のうち、前記加締め部よりも先端側の部位と接することを特徴とする、
点火プラグ。
この構成によれば、主体金具における交流電力の経路を短くすることができるので、主体金具における交流電力のロスを低減することができ、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。
【0010】
[適用例5]
適用例2または適用例3に記載の点火プラグであって、
前記点火プラグの前記主体金具は、前記点火プラグをエンジンヘッドに取り付けるための取付ネジ部と、前記取付ネジ部より後端側に形成され、前記取付ネジ部の外径よりも大きな外径を備える座面とを有しており、
前記接続器は、筒状であり、内径が、前記取付ネジ部の外径よりも大きく、
前記第1の接続部は、前記主体金具の前記座面と接することを特徴とする、
点火プラグ。
この構成によれば、主体金具における交流電力の経路をさらに短くすることができるので、主体金具における交流電力のロスをさらに低減することができ、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。
【0011】
[適用例6]
適用例5に記載の点火プラグであって、
前記接続器より先端側には、前記点火プラグと前記エンジンヘッドとの間の気密を保持するためのガスケットが配置されていることを特徴とする、点火プラグ。
この構成によれば、接続器がエンジンヘッドに接している場合に比べて、点火プラグとエンジンヘッドとの間の気密をさらに高めることができる。
【0012】
[適用例7]
適用例1に記載の接続器であって、
前記接続器は、磁性を有する部材で形成されていることを特徴とする、接続器。
この構成によれば、接続器は、磁力によって主体金具及び外部導体に吸着するため、振動等による接続器の緩みを抑制することができる。したがって、交流電力を安定して効率よく伝送することができる。
【0013】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、点火プラグの製造方法および製造装置、点火プラグを備えたエンジン、当該エンジンを備えた車両等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A〜I.第1実施形態〜第9実施形態:
J.実験例:
J1.接続器400の材料に関する実験例:
J2.接続器400と主体金具50との接触位置に関する実験例:
K.変形例:
【0016】
A.第1実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としてのスパークプラグ100の断面構成を示す説明図である。以下では、
図1においてスパークプラグ100の軸線方向ODを図面における上下方向とし、下側(発火部側)をスパークプラグの先端側、上側(端子側)を後端側として説明する。
【0017】
スパークプラグ100は、軸線方向ODに沿って延びる軸孔12を有する筒状の絶縁碍子10と、この絶縁碍子10の周囲を取り囲む筒状の主体金具50と、絶縁碍子10の軸孔12の後端に設けられた端子金具40と、絶縁碍子10の軸孔12の先端に設けられた中心電極20と、主体金具50の先端に接合され、中心電極20の先端と対向するように屈曲した接地電極30とを備える。
【0018】
スパークプラグ100の主体金具50の後端近傍には、筒状の接続器400が取り付けられている。この接続器400の表面は、導電性を有している。接続器400の内径は、絶縁碍子10のうち、主体金具50よりも後端側の部分の外径よりも大きいため、接続器400は、絶縁碍子10の後端側から取り付けることができる。接続器400の詳細については後述する。
【0019】
スパークプラグ100は、交流電源150からの交流電力の供給を受け、中心電極20と接地電極30との間でプラズマを発生させる。交流電源150の周波数は、スパークプラグ100を含む回路の共振周波数に設定されており、交流電源150からの交流電力は、端子金具40及び接続器400に接続された同軸構造体300によって、スパークプラグ100に伝送される。
【0020】
絶縁碍子10は、アルミナ等を焼成することにより形成されており、端子金具40から中心電極20に至る電気回路を他から絶縁している。絶縁碍子10の軸線方向ODの略中央には、外径が最も大きな鍔部19が形成されており、鍔部19より後端側には後端側胴部18が形成されている。鍔部19より先端側には、後端側胴部18よりも外径の小さな先端側胴部17が形成されている。先端側胴部17よりもさらに先端側には、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。この脚長部13は、スパークプラグ100が内燃機関のエンジンヘッド200に取り付けられた際には、内燃機関の燃焼室内に曝される。
【0021】
脚長部13と先端側胴部17との間には段部15が形成されている。絶縁碍子10と主体金具50との間の気密性は、絶縁碍子10の段部15と、主体金具50の内周面に形成された段部56との間に介在する環状の板パッキン8によって保持され、燃焼ガスの漏出が抑制される。
【0022】
主体金具50は、低炭素鋼材より形成された筒状の金具であり、絶縁碍子10の後端側胴部18の一部から脚長部13の一部にかけての部位を取り囲んでいる。主体金具50には、工具係合部51と、取付ネジ部52とが形成されている。工具係合部51は、スパークプラグレンチ(図示せず)が嵌合する部位であり、軸線方向ODから見た場合に、六角形の形状を有している。取付ネジ部52は、スパークプラグ100をエンジンヘッド200に取り付けるためにネジ山が形成された部位であり、内燃機関の上部に設けられたエンジンヘッド200の取付ネジ孔201に螺合する。このように、主体金具50の取付ネジ部52をエンジンヘッド200の取付ネジ孔201に螺合させて締め付けることより、スパークプラグ100は、内燃機関のエンジンヘッド200に固定される。
【0023】
取付ネジ部52より後端側であって工具係合部51より先端側には、取付ネジ部52の外径よりも大きな外径を備えるフランジ状の鍔部54及びその座面55が形成されている。取付ネジ部52と鍔部54との間のネジ首59には、板体を折り曲げることによって形成された環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、スパークプラグ100をエンジンヘッド200に取り付けた際に、鍔部54の座面55と取付ネジ孔201の開口周縁部205との間で押し潰されて変形する。このガスケット5の変形により、スパークプラグ100とエンジンヘッド200間が封止され、取付ネジ孔201を介した燃焼ガスの漏出が抑制される。
【0024】
主体金具50の工具係合部51より後端側には、薄肉の加締め部53が形成されている。この加締め部53を内側に折り曲げるようにして加締めることによって、主体金具50と絶縁碍子10とが固定される。この加締め工程は、冷間でも熱間でも行なうことができる。
【0025】
主体金具50の工具係合部51から加締め部53にかけての内周面と、絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には、円環状のリング部材6,7が挿入されている。さらに、両リング部材6,7の間には、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密を保持するための充填材として、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。
【0026】
主体金具50の鍔部54と工具係合部51との間には、薄肉の座屈部58が形成されている。この座屈部58は、加締め部53を加締める際に、圧縮力の付加に伴って外向きに撓み変形するように構成されており、タルク9の圧縮長さを確保して主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性を高めている。
【0027】
中心電極20は、軸孔12内に配置された棒状の電極であり、絶縁碍子10の先端側においてその一部が露出している。中心電極20は、電極母材21と、電極母材21の内部に埋設された芯材25とを有している。通常、中心電極20は、有底筒状に形成された電極母材21の内部に芯材25を詰め、底側から押出成形を行って引き延ばすことで作製される。
【0028】
電極母材21は、クロム、シリコン、マンガン等を含有したニッケルを主成分とした合金や、インコネル600またはインコネル601等(「インコネル」は商標名)のニッケルまたはニッケルを主成分とする合金から形成されている。芯材25は、電極母材21よりも熱伝導性に優れる銅または銅を主成分とする合金から形成されている。
【0029】
軸孔12の内部のうち、中心電極20の後端側には、シール体4および端子金具40が配置されている。すなわち、中心電極20は、シール体4および端子金具40に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、端子金具40は、ニッケルめっきが施された鉄で形成されている。
【0030】
接地電極30は、耐腐食性の高い金属から形成され、例えば、インコネル600または601等(「インコネル」は商標名)のニッケル合金から形成されている。この接地電極30は、溶接によって、主体金具50の先端部に接合されている。また、接地電極30は屈曲しており、接地電極30の先端部33は、中心電極20の先端と対向している。
【0031】
同軸構造体300は、交流電源150からの交流電力をスパークプラグ100に対して伝送する内部導体302と、内部導体の外周に内部導体と同軸に配置された筒状の外部導体304とを有している。内部導体302と外部導体304との間には、フッ素系の樹脂が充填されている。スパークプラグ100の使用時には、この同軸構造体300に交流電源150が接続されるとともに、内部導体302は端子金具40に接続され、外部導体304は接続器400に接続される。したがって、交流電力は、同軸構造体300の内部導体302、端子金具40、中心電極20、接地電極30、主体金具50、接続器400、外部導体304という経路を通って伝送する。
【0032】
接続器400は、主体金具50と接する第1の接続部401(図中の太線部分)と、外部導体304と接する第2の接続部402(図中の太線部分)とを備えている。このため、主体金具50と外部導体304とは、接続器400によって確実に接続されることとなり、主体金具50と外部導体304との電気的な接続が十分に確保される。したがって、本実施形態によれば、交流電力を効率よく伝送することができる。なお、本実施形態では、第1の接続部401は、主体金具50の加締め部53と接している。
【0033】
また、本実施形態では、接続器400は、磁性を有する部材で形成されており、本実施形態ではフェライトで形成されている。したがって、接続器400は、磁力によって主体金具50及び外部導体304に吸着するため、振動等による接続器400の緩みを抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、交流電力を安定して伝送することができる。なお、接続器400は、フェライトに限らず、サマリウムコバルト磁石やネオジム磁石等のように、磁性を有する他の部材で形成されていてもよい。
【0034】
さらに、本実施形態では、接続器400の表面には、金めっきが施されているため、接続器400の表面は、主体金具50の表面よりも高い導電性を有している。したがって、交流電力は、接続器400の表面を伝わりやすくなるため、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。なお、接続器400の表面には、金めっきの代わりに、銀めっきや銅めっき等の主体金具50の表面より導電性の高い他の金属めっきを施してもよい。
【0035】
このように、本実施形態では、接続器400によって主体金具50と外部導体304とを確実に接続することができるので、主体金具と外部導体との電気的な接続を十分に確保することができ、交流電力を効率よく伝送することができる。
【0036】
B.第2実施形態:
図2は、第2実施形態におけるスパークプラグ100bの構成の一部を拡大して示す説明図である。
図1に示した第1実施形態との違いは、接続器400bの第1の接続部401bが、主体金具50のうち、加締め部53よりも先端側の部位と接している点と、接続器400bが銅(Cu)で形成されている点であり、他の構成及び主たる効果は第1実施形態と同じである。
【0037】
具体的には、本実施形態では、第1の接続部401bは、加締め部53に加えて、工具係合部51及び座屈部58の一部と接している。このため、主体金具50の先端側から伝送されてきた交流電力は、座屈部58や工具係合部51を介して接続器400bに伝送されることになる。すなわち、本実施形態では、主体金具50における交流電力の経路が短くなるので、主体金具における交流電力のロスを低減することができ、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。
【0038】
また、本実施形態では、接続器400bは、銅で形成されているため、接続器400bの表面は、主体金具50の表面よりも高い導電性を有している。したがって、本実施形態によっても、交流電力を効率よく伝送することができる。
【0039】
C.第3実施形態:
図3は、第3実施形態におけるスパークプラグ100cの構成の一部を拡大して示す説明図である。
図2に示した第2実施形態との違いは、接続器400cの第2の接続部402cが溝状に形成されている点と、外部導体304が、溝状の第2の接続部402cに嵌合している点であり、他の構成及び主たる効果は第2実施形態と同じである。接続器400cをこのような形状としても、主体金具50における交流電力の経路が短くなるので、主体金具における交流電力のロスを低減することができ、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。
【0040】
D.第4実施形態:
図4は、第4実施形態におけるスパークプラグ100dの構成の一部を拡大して示す説明図である。
図2に示した第2実施形態との違いは、以下の点であり、他の構成及び主たる効果は第2実施形態と同じである。
・接続器400dの第1の接続部401dは、主体金具50のうち、加締め部53の一部及び工具係合部51と接しており、座屈部58とは接していない点
・接続器400dの外周側にネジ溝403dが形成されており、当該ネジ溝403dに、外部導体304の内周側に形成されたネジ溝304dが外側から螺合する点
【0041】
接続器400dをこのような形状としても、主体金具50における交流電力の経路が短くなるので、主体金具における交流電力のロスを低減することができ、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。また、接続器400dと外部導体304とがネジ構造によって固定されるので、接続器400dと外部導体304とを強固に接続することができ、外部導体304を外れにくくすることができる。
【0042】
E.第5実施形態:
図5は、第5実施形態におけるスパークプラグ100eの構成の一部を拡大して示す説明図である。
図4に示した第4実施形態との違いは、以下の点であり、他の構成及び主たる効果は第4実施形態と同じである。
・接続器400eの第1の接続部401eは、主体金具50のうち、座屈部58の一部とも接している点
・接続器400eの外周側に溝部403eが形成されており、当該溝部403eに、外部導体304の内周側に形成された突起部304eが外側から嵌合する点
【0043】
接続器400eをこのような形状としても、主体金具50における交流電力の経路が短くなるので、主体金具における交流電力のロスを低減することができ、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。また、接続器400eと外部導体304とが溝部403e及び突起部304eによって固定されるので、接続器400eと外部導体304とを強固に接続することができ、外れにくくすることができる。
【0044】
F.第6実施形態:
図6は、第6実施形態におけるスパークプラグ100fの構成の一部を拡大して示す説明図である。
図2に示した第2実施形態との違いは、接続器400fの第1の接続部401fが、主体金具50のうち、加締め部53の一部、工具係合部51の一部、及び、鍔部54の一部と接している点であり、他の構成及び主たる効果は第2実施形態と同じである。
【0045】
接続器400fをこのような形状としても、主体金具50における交流電力の経路が短くなるので、主体金具における交流電力のロスを低減することができ、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。
【0046】
G.第7実施形態:
図7は、第7実施形態におけるスパークプラグ100gの構成の一部を拡大して示す説明図である。
図2に示した第2実施形態との違いは、以下の点だけであり、他の構成及び主たる効果は第2実施形態と同じである。
・接続器400gの内径は、取付ネジ部52の外径よりも大きく、接続器400gは、主体金具50の先端側から装着される点
・接続器400gの第1の接続部401gは、主体金具50の座面55と接する点
【0047】
接続器400gをこのような形状とすると、主体金具50における交流電力の経路がさらに短くなるので、主体金具における交流電力のロスをさらに低減することができ、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。
【0048】
H.第8実施形態:
図8は、第8実施形態におけるスパークプラグ100hの構成の一部を拡大して示す説明図である。
図7に示した第7実施形態との違いは、接続器400hの第2の接続部402hが、外部導体304の外周側と接している点であり、他の構成及び主たる効果は第7実施形態と同じである。
【0049】
接続器400hをこのような形状としても、主体金具50における交流電力の経路が短くなるので、主体金具における交流電力のロスを低減することができ、交流電力をさらに効率よく伝送することができる。
【0050】
I.第9実施形態:
図9は、第9実施形態におけるスパークプラグ100iの構成の一部を拡大して示す説明図である。
図7に示した第7実施形態との違いは、接続器400iより先端側に、スパークプラグ100iとエンジンヘッド200との間の気密を保持するためのガスケット5が配置されている点であり、他の構成は第7実施形態と同じである。このように、接続器400iとエンジンヘッド200との間にガスケット5を配置すれば、スパークプラグ100iとエンジンヘッド200との間の気密をさらに高めることができる。
【0051】
J.実験例:
J1.接続器400の材料に関する実験例:
本実験例では、接続器400の材料と、プラズマの発生のしやすさとの関係を調べた。具体的には、接続器400の材料の異なる複数のサンプルを用意し、それぞれのサンプルに対して供給する交流電力を大きくしていき、プラズマが発生したときの最小の電力(以下、プラズマ発生電力ともいう。)を測定した。この実験例は、0.4MPaのチャンバー内で行なわれた。なお、本実験例は、接続器400を用いずに、同軸構造体300の外部導体304と主体金具50とを直接接続した比較例としてのサンプルに対しても行なわれた。
【0052】
図10は、比較例としてのスパークプラグ100jの構成の一部を拡大して示す説明図である。上述したように、この比較例では、接続器400が用いられておらず、同軸構造体300の外部導体304は、主体金具50の加締め部53と直接接続されている。したがって、この比較例では、外部導体304と加締め部53との接続箇所が形状的に不安定であり、外部導体304と加締め部53との接触が不十分となっている。比較例のその他の構成は、上記の第1実施形態と同じである。
【0053】
図11は、接続器400の材料と、プラズマが発生したときの最小電力[W]との関係をグラフ形式で示す説明図である。この
図11には、接続器400の材料として、鉄(Fe)、真鍮、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)を用いたサンプルが示されている。なお、本実験例のサンプルに用いられた接続器の形状は、第2実施形態の接続器400bの形状と同じである。
【0054】
この
図11に示したように、プラズマ発生電力の大きい順は、比較例、鉄(Fe)、真鍮、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)となっている。したがって、接続器400を用いれば、プラズマ発生電力を小さくすることができ、交流電力を効率よく伝送することができる。さらに、接続器400の材料としては、銅(Cu)が最も好ましく、アルミニウム(Al)や、ニッケル(Ni)、真鍮が好ましい。なお、これらの金属を接続器400の表面にめっき処理することとしてもよい。すなわち、接続器の表面は、主体金具の表面よりも高い導電性を有していることが好ましく、例えば、真鍮の導電率(0.16(Ω・m)
-1)以上の導電率を有していることが好ましい。
【0055】
J2.接続器400と主体金具50との接触位置に関する実験例:
本実験例では、接続器400が主体金具50のどの部位(位置)と接触していれば、プラズマが発生しやすくなるのかを調べた。具体的には、接続器400と主体金具50との接触部位の異なる複数のサンプルを用意した。実験方法は、上記の実験例と同じである。
【0056】
図12は、主体金具50の接続器400との接触位置と、プラズマ発生電力との関係をグラフ形式で示す説明図である。この
図12には、以下の5つのサンプルの実験結果が示されている。
・接続器400が用いられていないサンプル(
図10に示された比較例)
・接続器400が工具係合部51と接しているサンプル(上記の第2実施形態)
・接続器400が鍔部54と接しているサンプル(上記の第6実施形態)
・接続器400が座面55と接しているサンプル(上記の第7実施形態)
・接続器400が座面55と接しており、接続器400の先端側にガスケット5が配置されているサンプル(上記の第9実施形態)
【0057】
この
図12に示したように、主体金具50の接続器400との接触位置が、工具係合部51(第2実施形態)、鍔部54(第6実施形態)、座面55(第7実施形態、第9実施形態)となるにしたがって、換言すれば、主体金具50の接続器400との接触位置が、主体金具50の先端側に近づくにしたがって、プラズマ発生電力が小さくなり、プラズマが発生しやすくなっている。この理由は、主体金具50の接続器400との接触位置が、主体金具50の先端側に近づくほど、主体金具50における交流電力の経路が短くなるので、主体金具における交流電力のロスを低減することができるからである。したがって、主体金具50の接続器400との接触位置は、主体金具50の先端側であることが好ましい。
【0058】
K.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0059】
K1.変形例1:
上記実施形態では、同軸構造体300は、交流電源150に接続されているが、同軸構造体300は、交流電源と直流電源とに接続された混合回路に接続されていてもよい。
【0060】
K2.変形例2:
上記実施形態では、接続器400は、金めっきが施されていたり、銅によって形成されているが、これらに限定されず、接続器400は、主体金具50の表面よりも高い導電性を有する他の部材で形成されていてもよい。例えば、接続器400は、真鍮やニッケル、アルミニウム等で形成されていてもよい。もちろん、接続器400は、主体金具50の表面よりも低いまたは同じ導電性を有する他の部材で形成されていてもよい。