特許第5876281号(P5876281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5876281-ディーゼルエンジン 図000002
  • 特許5876281-ディーゼルエンジン 図000003
  • 特許5876281-ディーゼルエンジン 図000004
  • 特許5876281-ディーゼルエンジン 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876281
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/00 20160101AFI20160218BHJP
   F02M 26/02 20160101ALI20160218BHJP
   F02M 26/14 20160101ALI20160218BHJP
   F02M 26/35 20160101ALI20160218BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20160218BHJP
   F02D 21/08 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   F02M25/07 570D
   F02M25/07 570P
   F02M25/07 580A
   F02M25/07 580D
   F02D23/00 J
   F02D21/08 311B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-274469(P2011-274469)
(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公開番号】特開2013-124615(P2013-124615A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123696
【弁理士】
【氏名又は名称】稲田 弘明
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(72)【発明者】
【氏名】坂本 繁
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−156231(JP,A)
【文献】 特開2007−297948(JP,A)
【文献】 特開2008−232093(JP,A)
【文献】 特開2005−256649(JP,A)
【文献】 特開2005−188287(JP,A)
【文献】 特開平5−86949(JP,A)
【文献】 特開2009−174374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/07
F02D 21/08
F02D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスによって駆動されるタービン及び前記タービンによって駆動されるコンプレッサを有するターボ過給機と、
前記タービンの下流側に設けられたディーゼルパティキュレートフィルタと、
前記ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側から抽出された排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入する第1のEGR流路と、
前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側から抽出された排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入する第2のEGR流路と、
前記第1のEGR流路と前記第2のEGR流路とを切替える切替手段とを備え、
前記切替手段は、エンジンの負荷状態が所定の高負荷状態にあるときは前記第1のEGR流路から排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入し、前記高負荷状態よりも負荷が低い所定の低負荷状態にあるときは前記第2のEGR流路から排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入すること
を特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項2】
前記切替手段は、前記第2のEGR流路を用いて前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側から抽出された排ガスを、前記第1のEGR流路を用いて前記ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側に還流可能であること
を特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン。
【請求項3】
排ガスによって駆動されるタービン及び前記タービンによって駆動されるコンプレッサを有するターボ過給機と、
前記タービンの下流側に設けられたディーゼルパティキュレートフィルタと、
前記ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側から抽出された排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入する第1のEGR流路と、
前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側から抽出された排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入する第2のEGR流路と、
前記第1のEGR流路と前記第2のEGR流路とを切替える切替手段とを備え、
前記切替手段は、前記第2のEGR流路を用いて前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側から抽出された排ガスを、前記第1のEGR流路を用いて前記ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側に還流可能であること
を特徴とするディーゼルエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンに関し、特に、燃費を悪化させることなくEGRガス量を増加させることが可能なものに関する。
【0002】
ディーゼルエンジンにおいて、排ガス中に含まれるNOxを低減するため、排気系から排ガスの一部を抽出し、吸気系に導入することによって、燃焼温度を低下させる排ガス再循環(EGR)を行うことが一般的である。
従来、エンジンから出た排ガスを、ターボチャージャのタービン上流側から抽出し、コンプレッサ下流側の吸気管路内に導入する高圧EGRが知られている。
また、EGRガスを吸気系の比較的低圧の部分に導入するとともに吸気温度を低下させて大量EGRを可能とするため、タービンの下流側に設けられ排ガス中の粒子状物質(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の下流側から排ガスを抽出し、吸気系におけるコンプレッサの上流側に導入する低圧EGRが知られている。
【0003】
ディーゼルエンジンのEGRに関する従来技術として、例えば特許文献1には、排ガスの後処理装置の下流側から抽出した排ガスを、機械式過給機の上流側に導入するとともに、温度変化によるコンプレッサの破損を防止するよう過給圧を制御することが記載されている。
また、特許文献2には、DPFの下流側から抽出した排ガスをターボチャージャのコンプレッサ上流側に導入するとともに、DPF上流側とEGRクーラ下流側との差圧を用いてDPFの詰まり判定を行うことが記載されている。
また、特許文献3には、タービンの下流側かつDPFの上流側から抽出した排ガスを、コンプレッサの上流側又は下流側に導入することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−299537号公報
【特許文献2】特開2010−216449号公報
【特許文献3】特開2011− 58428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DPFの下流側から排ガスを抽出する低圧EGR(LP−EGR)を行なうと、コンプレッサによる過給前の低圧場に排ガスを導入するため、大量のEGRを行なうことが可能となり、また、タービンの上流側から排ガスを抽出する高圧EGR(HP−EGR)と異なり、排ガスが全てタービンを通るため、排気エネルギの回収をより有効に行なうことができる。
さらに、EGRされる排ガスはEGRクーラ及びインタークーラで2回冷却されるので、EGRガスの温度を下げることができる。
しかし、DPFの下流側においては、排ガスの圧力が比較的低く吸気側との差圧が小さいため、EGR量を増加させるためには排気絞りバルブで排気の圧力を高める必要があり、ポンピングロスの増加による燃費悪化の要因となる。
【0006】
これに対し、特許文献3に記載された技術のように、DPFの上流側から排ガスを抽出して中圧EGR(MP−EGR)することができれば、DPF下流側よりも高圧の排ガスを得ることができ、ポンピングロスを悪化させずにEGR量を増加させることが容易となる。
しかし、DPFの上流側から排ガスを抽出する場合、排ガスの温度が低くなる低負荷時に、EGRガスの抽出によってDPFに直接導入される排ガス量が減少すると、DPFの温度が低下することが懸念される。
DPFにスート(煤)が堆積した状態でDPFの温度が低下すると、DPF再生モード時により多くの燃料を強制的に噴射する必要があり、燃費が悪化するとともに排ガス、騒音が悪化することから、DPFの温度を下げないようにすることは重要である。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、燃費を悪化させることなくEGRガス量を増加させることが可能なディーゼルエンジンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、排ガスによって駆動されるタービン及び前記タービンによって駆動されるコンプレッサを有するターボ過給機と、前記タービンの下流側に設けられたディーゼルパティキュレートフィルタと、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側から抽出された排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入する第1のEGR流路と、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側から抽出された排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入する第2のEGR流路と、前記第1のEGR流路と前記第2のEGR流路とを切替える切替手段とを備え、前記切替手段は、エンジンの負荷状態が所定の高負荷状態にあるときは前記第1のEGR流路から排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入し、前記高負荷状態よりも負荷が低い所定の低負荷状態にあるときは前記第2のEGR流路から排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入することを特徴とするディーゼルエンジンである。
これによれば、低負荷時には第2のEGR流路を用いたLP−EGRを行なうことによって、排ガスの全量がディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を通過することになるため、DPFの温度低下を防止して燃料を多量に消費するDPF再生モードの実行頻度を下げ、燃費の悪化を防止することができる。
一方、大量のEGRガスが必要となる中負荷以上の場合には、第1のEGR流路を用いたMP−EGRとすることによって、DPF上流側の排ガス圧力が高い箇所から排ガスを抽出し、燃費悪化を伴う排気絞り等を行なうことなくEGRガス量を増加させることができる。
なお、中負荷以上の場合には、排ガス温度は十分に高いため、一部をEGRガスとして抽出し、DPFを直接通過する排ガスの量が減ったとしても、DPFの温度低下は許容し得る範囲内となる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記切替手段は、前記第2のEGR流路を用いて前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側から抽出された排ガスを、前記第1のEGR流路を用いて前記ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側に還流可能であることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンである。
請求項3に係る発明は、排ガスによって駆動されるタービン及び前記タービンによって駆動されるコンプレッサを有するターボ過給機と、前記タービンの下流側に設けられたディーゼルパティキュレートフィルタと、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側から抽出された排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入する第1のEGR流路と、前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側から抽出された排ガスを前記コンプレッサの上流側に導入する第2のEGR流路と、前記第1のEGR流路と前記第2のEGR流路とを切替える切替手段とを備え、前記切替手段は、前記第2のEGR流路を用いて前記ディーゼルパティキュレートフィルタの下流側から抽出された排ガスを、前記第1のEGR流路を用いて前記ディーゼルパティキュレートフィルタの上流側に還流可能であることを特徴とするディーゼルエンジンである。
これらの各発明によれば、DPFの温度が低下しやすいコースト(惰行)時に、高温の排ガスをDPFに循環させることによって、DPFの温度低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、燃費を悪化させることなくEGRガス量を増加させることが可能なディーゼルエンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を適用したディーゼルエンジンの実施例の構成を示す図であって、低負荷時の状態を示す図である。
図2】本発明を適用したディーゼルエンジンの実施例の構成を示す図であって、中負荷以上時の状態を示す図である。
図3】本発明を適用したディーゼルエンジンの実施例の構成を示す図であって、コースト時の状態を示す図である。
図4】排気系の各部位における排ガス圧力の推移を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、燃費を悪化させることなくEGRガス量を増加させることが可能なディーゼルエンジンを提供する課題を、DPFの下流側から抽出した排ガスをコンプレッサの上流側に導入するLP−EGRと、DPFの上流側から抽出した排ガスをコンプレッサの上流側に導入するMP−EGRとを切替可能とすることによって解決した。
【実施例】
【0013】
以下、本発明を適用したディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」と称する)について説明する。
図1は、実施例のエンジンの構成を示す図であって、低負荷時の状態を示す図である。
図2は、実施例のエンジンの構成を示す図であって、中負荷以上時の状態を示す図である。
図3は、実施例のエンジンの構成を示す図であって、コースト時の状態を示す図である。
【0014】
エンジン10は、ターボチャージャ20、吸気系30、排気系40、EGR装置50等を備えて構成されている。
エンジン10は、例えば乗用車等の自動車の走行用動力として用いられる4ストロークのコモンレール直噴ディーゼルエンジンである。
【0015】
ターボチャージャ20は、エンジン10の排ガスのエネルギを用いて、燃焼用空気(新気)を圧縮する過給機である。
ターボチャージャ20は、コンプレッサ21、タービン22を備えている。
コンプレッサ21は、新気を圧縮する遠心式圧縮機である。
タービン22は、排気エネルギを用いてコンプレッサ21を駆動する可変ノズルタービンである。
【0016】
吸気系30は、エンジン10に空気を導入するものであって、インテークダクト31、エアクリーナ32、インタークーラ33、スロットル34、インテークマニホールド35等を備えて構成されている。
インテークダクト31は、外部から導入した空気をエンジン10に導入する管路である。
エアクリーナ32は、インテークダクト31の上流側の端部に設けられ、外部から導入された空気を濾過し、ダスト等を除去するものである。エアクリーナ32を出た空気は、ターボチャージャ20のコンプレッサ21に導入され、ここで圧縮される。
インタークーラ33は、ターボチャージャ20のコンプレッサ21を出た空気を、走行風との熱交換によって冷却するものである。
スロットル34は、インタークーラ33の下流側に設けられ、運転状態により吸入空気量を絞るものである。
インテークマニホールド35は、スロットル34から出た空気を、エンジン10の各気筒の吸気ポートに分配する分岐管である。
【0017】
排気系40は、エンジン10から出た排ガス(既燃ガス)を後処理して外部へ排出するものである。
排気系40は、エキゾーストマニホールド41、エキゾーストパイプ42、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)43、排気絞りバルブ44、マフラ45等を有して構成されている。
エキゾーストマニホールド41は、エンジン10の各気筒の排気ポートから出た排ガスを集合させ、ターボチャージャ20のタービン22に導入するものである。
エキゾーストパイプ42は、タービン22から出た排ガスを外部に排出する管路である。
DPF43は、エキゾーストパイプ42の中間部に設けられ、排ガス中のスート(煤)等の粒子状物質を捕集するものである。
排気絞りバルブ44は、エキゾーストパイプ42におけるDPF43の下流側に設けられ、運転状態等に応じて排気を絞るものである。
マフラ45は、排ガスの音響エネルギを低減する消音器である。
【0018】
EGR装置50は、排気系40から排ガスの一部を抽出し、これをEGRガスとしてインテークダクト31におけるコンプレッサ21の上流側に導入するものである。
EGR装置50は、第1EGRライン51、第2EGRライン52、EGR導入ライン53、EGRクーラ54、EGRバルブ55、切替弁56〜58等を有して構成されている。
第1EGRライン51は、エキゾーストパイプ42におけるタービン22の下流側でありかつDPF43の上流側の領域と連通し、排ガスを抽出するEGR流路である。
第2EGRライン52は、エキゾーストパイプ42におけるDPF43の下流側でありかつ排気絞りバルブ44の上流側の領域と連通し、排ガスを抽出するEGR流路である。
第1EGRライン51及び第2EGRライン52は、下流側の端部において集合してEGR導入ライン53に接続され、これらは相互に連通している。
【0019】
EGR導入ライン53は、第1EGRライン51、第2EGRライン52から導入された排ガスを、インテークダクト31内に導入するEGR流路である。
EGRクーラ54は、EGR導入ライン53の途中に設けられ、通過する排ガスを冷却水等との熱交換によって冷却するものである。
EGRバルブ55は、EGR導入ライン53におけるEGRクーラ54の下流側に設けられ、インテークダクト31内に導入される排ガス量(EGRガス量)を調節するものである。
【0020】
切替弁56は、第1EGRライン51の途中に設けられた開閉弁である。
切替弁57は、第2EGRライン52の途中に設けられた開閉弁である。
切替弁58は、EGR導入ライン53の途中に設けられた開閉弁である。
上述したEGRバルブ55及び切替弁56〜58は、図示しないエンジン制御ユニットによって、エンジン10の運転状態に応じて開閉及び開度が切り替えられる。
【0021】
以下、上述したEGR装置50の動作について説明する。
図1に示す低負荷時においては、切替バルブ56を閉じるとともに、切替バルブ57,58を開くことによって、DPF43の下流側から、第2EGRライン52により抽出された排ガスをEGRするLP−EGRを行なう。
このようなLP−EGRにおいては、エンジン10から出た排ガスの全量が直接DPF43を通過するため、排ガスの温度が低い低負荷時であっても、DPF43の温度低下を防止し、多量の燃料を消費するDPF再生モードが実行される頻度を低減し、燃費を向上することができる。
【0022】
図2に示す中負荷〜高負荷時においては、切替バルブ56,58を開くとともに、切替バルブ57を閉じることによって、DPF43の上流側から、第1EGRライン51により抽出された排ガスをEGRするMP−EGRを行なう。このようなLP−EGRからMP−EGRへの切替は、エンジン10の負荷状態が、LP−EGRを行なう所定の低負荷状態よりも高負荷である所定の高負荷状態となった場合に行われる。また、その後エンジン10の負荷状態が低負荷状態に戻った場合には、MP−EGRからLP−EGRへの切替が行なわれる。
図4は、排気系の各部位における排ガス圧力の推移を模式的に示すグラフである。
図4に示すように、排ガス圧力は、エンジン10のポート直下から、タービン22、DPF43を順次通過する際に逐次低下する。このため、LP−EGRにおいては、排ガス圧力が下がったところから排ガスを抽出するため、新気側との圧力差が小さく、多量のEGRガスが必要となる中負荷、高負荷領域では、燃費悪化を伴う排気絞り等を行なわなければ必要なEGRガス量を確保することが困難である。
【0023】
MP−EGRにおいては、LP−EGRよりも圧力が高いDPF43の上流側から排ガスを抽出することによって、排気絞りバルブ44の絞り量を大きくしなくてもEGRガス量を増加させることが可能となり、ポンピングロス増加による燃費悪化を防止することができる。
また、過給前の低圧場にEGRガスを導入することによって、大量のEGRガスを吸気系20に導入することができる。
さらに、EGRガスがEGRクーラ54及びインタークーラ33で2段冷却されることによって、エンジン10に導入されるEGRガスの温度を低下させることができる。
【0024】
図3に示すコースト(惰行)時においては、切替バルブ56,57を開くとともに、切替バルブ58を閉じ、排気絞りバルブ44を絞ることによって、DPF43の下流側から出た排ガスをDPF43の上流側に導入し、高温の排ガスをループさせる。
これによって、燃料の噴射カットが実行されDPF43の温度が低下しやすいコースト時に、DPF43を高温に維持し、DPF再生モードが実行される頻度を低減して燃費悪化を防止することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、燃費を悪化させることなくEGRガス量を増加させることが可能なディーゼルエンジンを提供することができる。
【0025】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、ディーゼルエンジン及びその補機類の構成や配置は、上述した実施例に限定されず、適宜変更することが可能である。
例えば、排気系は、実施例で示した構成以外に、酸化触媒や選択還元触媒等を備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0026】
10 エンジン 20 ターボチャージャ
21 コンプレッサ 22 タービン
30 吸気系 31 インテークダクト
32 エアクリーナ 33 インタークーラ
34 スロットル 35 インテークマニホールド
40 排気系 41 エキゾーストマニホールド
42 エキゾーストパイプ 43 ディーゼルパティキュレートフィルタ
44 排気絞りバルブ 45 マフラ
50 EGR装置 51 第1EGRライン
52 第2EGRライン 53 EGR導入ライン
54 EGRクーラ 55 EGRバルブ
56〜58 切替バルブ
図1
図2
図3
図4