特許第5876303号(P5876303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876303
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】信号伝送モード選択方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20160218BHJP
   H04B 7/04 20060101ALI20160218BHJP
   H04B 7/10 20060101ALI20160218BHJP
   H04J 99/00 20090101ALI20160218BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20160218BHJP
【FI】
   H04W16/28 130
   H04B7/04
   H04B7/10 A
   H04J15/00
   H04W28/16
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-13153(P2012-13153)
(22)【出願日】2012年1月25日
(62)【分割の表示】特願2010-540593(P2010-540593)の分割
【原出願日】2008年12月31日
(65)【公開番号】特開2012-130027(P2012-130027A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2012年1月25日
【審判番号】不服2015-1543(P2015-1543/J1)
【審判請求日】2015年1月27日
(31)【優先権主張番号】10-2007-0141690
(32)【優先日】2007年12月31日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2008-0120603
(32)【優先日】2008年12月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リム,ドン グク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ス ナン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ビン チュル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェ ワン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウク ボン
【合議体】
【審判長】 水野 恵雄
【審判官】 加藤 恵一
【審判官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/063138(WO,A2)
【文献】 特開2006−157848(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/019263(WO,A2)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末が信号伝送モードを選択する方法であって、
サービング基地局及び該サービング基地局から受信される信号に干渉を与える一つ以上の隣接基地局のチャンネル信号を測定するステップと、
前記測定されたチャンネル信号に基づいて、受信信号対干渉雑音比(SINR)を計算するステップと、
前記受信SINRと目標サービス品質(QoS)を比較することにより、協調MIMOモード及びセル間干渉緩和モードのうちの一つの伝送モードを選択するステップと、
前記選択された伝送モードに関するモード切替情報を前記サービング基地局に伝送するステップと、
を含むことを特徴とする信号伝送モード選択方法。
【請求項2】
前記選択された伝送モードが前記セル間干渉緩和モードである場合、
前記一つ以上の隣接基地局が特定周波数帯域に与える干渉が最大化する第1プリコーディング行列インデックス及び前記干渉が最小化する第2プリコーディング行列インデックスのうちの一つ以上を算定するステップと、
算定された前記第1プリコーディング行列インデックス及び前記第2プリコーディング行列インデックスのうちの一つ以上を、対応する基地局識別子情報と共にサービング基地局に伝送するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の信号伝送モード選択方法。
【請求項3】
前記選択された伝送モードが前記協調MIMOモードの場合、
前記サービング基地局及び前記一つ以上の隣接基地局を含む協調基地局からのチャンネル信号を測定するステップと、
前記測定されたチャンネル信号に基づいて、前記協調基地局のそれぞれに関するプリコーディング行列インデックスを決定して、前記プリコーディング行列インデックスを前記サービング基地局に報告するステップと、
前記協調基地局から同一の信号または独立した信号を受信するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の信号伝送モード選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重セル環境の通信システムに係り、特に、多重セル環境でセル間干渉を減少させる方法及び協調多重入出力方式で信号を送受信する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信サービスの普及及び様々なマルチメディアサービスの登場、そして高品質サービスの出現などに伴い、無線通信サービスに対する要求が急増してきている。これに積極的に対処するためには、通信システムの容量を増大させる一方でデータの伝送信頼性を高めなければならない。
【0003】
無線通信環境で通信容量を増やすための方法として、利用可能な周波数帯域を新たに見出す方法と、与えられたリソースの効率性を高める方法が考えられる。中でも、後者の方法としては、最近、送受信機に多数のアンテナを装着してリソース活用のための空間的な領域をさらに確保することによってダイバーシティ利得を得たり、それぞれのアンテナを通じてデータを並列に伝送することによって伝送容量を増やす、いわゆる多重アンテナ送受信技術(Multiple Input Multiple Output Antenna;以下、「MIMO」と称する。)が注目され、活発に開発されている。
【0004】
一般に、MIMO手法は、通信システムの信頼性を高めたり伝送効率を向上させたりするために考慮され、ビームフォーミング手法、空間ダイバーシティ手法、及び空間多重化手法の3種類に大別される。
【0005】
信頼性を高めるために複数の送信アンテナを用いるビームフォーミング手法と空間ダイバーシティ手法は、通常、単一データストリームを複数本の送信アンテナを通じて伝送し、伝送効率を高めるために用いられる空間多重化手法は、複数のデータストリームを同時に複数の送信アンテナを通じて伝送する。
【0006】
空間多重化手法で、同時に伝送されるデータストリームの個数を空間多重化率といい、この空間多重化率は、送受信アンテナの個数及びチャンネル状況に応じて適切に選択しなければならない。一般に、最大限に得られる空間多重化率は、送信アンテナ数と受信アンテナ数のうち小さい値によって制限され、チャンネルの相関度が高くなると小さい空間多重化率を用いる。
【0007】
空間多重化手法を用いる場合、仮想アンテナシグナリング手法を適用すると様々な利益を得ることができる。例えば、仮想アンテナシグナリング手法を適用すると、複数のデータストリームのチャンネル環境が同一になるので、ロバストなチャンネル品質情報(Channel quality information;CQI)を提供することができ、悪いチャンネル状況を有するデータストリームの信頼性を増大させることができる。
【0008】
また、仮想アンテナシグナリング手法が適用される物理アンテナにおける送信電力を略一定に維持することが可能になる。すなわち、物理的送信アンテナは、セットとして複数本のビームを生成するが、これらそれぞれのビームは、それぞれの仮想アンテナに該当する。それぞれ異なるビームは、全ての物理的なアンテナから同一の電力を伝送するように生成される他、チャンネル特性を保存するように生成される。
【0009】
基本的に、生成された仮想アンテナの総数は、利用可能な空間ダイバーシティまたは空間多重化率を決定する。さらに、この仮想アンテナの総数は、空間チャンネルを測定するために必要なオーバーヘッドの量を決定する。以下では、物理的送信アンテナの数をMt、物理的な受信アンテナの数をMr、利用可能な仮想送信アンテナの数をMeとし、同時に送信されるレイヤーをMとする。ここで、レイヤーは、独立して符号化され、変調されて伝送される送信シンボルを意味する。
【0010】
一方、通信システムの信頼性を高めたり伝送効率を向上させたりするための空間処理手法には、プリコーディング手法がある。プリコーディング手法は、多重アンテナシステムで空間多重化率に拘ることなく利用可能な手法であり、通常、チャンネルの信号対雑音比(signal to noise ration;SNR)を増大させる。一般に、送信端で現チャンネル環境に最も適切な行列またはベクトルをデータに乗じて伝送するが、ここで、乗じられる行列またはベクトルは、受信端からフィードバックして用いたり、または、送信端でダウンリンクのチャンネル情報を知る場合には適切な行列またはベクトルを選択して用いたりすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、多重セル環境で効率的にセル間干渉を減少させる方法及び協調多重入出力方式で信号を送受信する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は一つの側面において、端末が多重セル環境でセル間干渉を減少させる方法を提供する。
【0013】
一実施形態として、サービング基地局からの信号に干渉を与える一つ以上の隣接基地局からのチャンネル信号を測定するステップと、測定されたチャンネル信号に基づいて、干渉が最大化する第1プリコーディング行列インデックス(Precoding Matrix index;PMI)及び干渉が最小化する第2プリコーディング行列インデックス(PMI)のうち一つ以上を算定するステップと、算定された第1プリコーディング行列インデックス及び第2プリコーディング行列インデックスのうち一つ以上を、対応する基地局識別子情報と共にサービング基地局に伝送するステップと、を含むセル間干渉を減少させる方法を提案する。
【0014】
ここで、第1プリコーディング行列インデックスは、一つ以上の隣接基地局にプリコーディング行列インデックスの使用を制限することを要請するためのプリコーディング行列インデックスであり、第2プリコーディング行列インデックスは、一つ以上の隣接基地局にプリコーディング行列インデックスの使用を推奨するためのプリコーディング行列インデックスであってもよい。
【0015】
また、サービング基地局に伝送するステップにおいて、第1プリコーディング行列インデックス及び第2プリコーディング行列インデックスに加えて、一つ以上の隣接基地局からの干渉量情報を伝送することもできる。
【0016】
また、第1プリコーディング行列インデックス及び第2プリコーディング行列インデックスをそれぞれ、測定されたチャンネル信号に基づいて、干渉が最大化する順にまたは干渉が最小化する順に2個以上ずつ算定して、サービング基地局に伝送することができる。
【0017】
なお、サービング基地局に基地局識別子と共に伝送された第1プリコーディング行列インデックス及び第2プリコーディング行列インデックスは、サービング基地局を通じて基地局識別子に対応する隣接基地局に伝送されてもよい。
【0018】
他の実施の形態として、サービング基地局からの信号に干渉を与える一つ以上の隣接基地局からのチャンネル信号を測定するステップと、測定されたチャンネル信号に基づいて干渉値を算定して、サービング基地局に伝送するステップと、を含み、干渉値は、各基地局におけるプリコーディング行列インデックスの選択の優先順位を定めるのに用いられ、優先順位の情報は、サービング基地局から一つ以上の隣接基地局に伝達されることを特徴とするセル間干渉を減少させる方法を提案する。
【0019】
ここで、干渉値は、信号対干渉雑音比(SINR)、正規化した干渉電力及びIoT(Interference over Thermal)のうち一つ以上を含むことができる。
【0020】
また、プリコーディング行列インデックスの選択の優先順位は、2つ以上の端末からの特定プリコーディングインデックス使用の制限要請または特定プリコーディングインデックス使用の推奨要請が相衝する場合に、各基地局で使用するプリコーディング行列インデックスを決定するのに用いることができる。
【0021】
また、測定された干渉値を、対応する基地局識別子情報と共にサービング基地局に伝送することができる。
【0022】
また、チャンネル信号を測定するステップの後に、干渉が最大化する第1プリコーディング行列インデックス(PMI)及び干渉が最小化する第2プリコーディング行列インデックス(PMI)のうち一つ以上を算定するステップと、算定された第1プリコーディング行列インデックス及び第2プリコーディング行列インデックスのうち一つ以上を、対応する基地局識別子情報と共にサービング基地局に伝送するステップと、をさらに含むこともできる。
【0023】
一方、上記目的を達成するために、本発明は他の側面において、特定基地局が多重セル環境でセル間干渉を減少させる方法を提供する。
【0024】
一実施形態として、端末から、一つ以上の隣接基地局のチャンネル信号が、特定基地局が端末に伝送する信号に干渉を最大限に与えるようにする第1プリコーディング行列インデックス(PMI)及び干渉を最小限に与えるようにする第2プリコーディング行列インデックスのうち一つ以上を、対応する基地局識別子情報と共に受信するステップと、受信した第1プリコーディング行列インデックス及び第2プリコーディング行列インデックスのうち一つ以上を、基地局識別子情報によって一つ以上の隣接基地局に伝達するステップと、を含むセル間干渉を減少させる方法を提案する。
【0025】
他の実施形態として、端末から、各基地局におけるプリコーディング行列の選択の優先順位の決定に用いられる干渉値を受信するステップと、干渉値に基づく優先順位の情報を一つ以上の隣接基地局に伝達するステップと、を含み、干渉値は、特定基地局が端末に伝送する信号に一つ以上の隣接基地局のチャンネル信号が与える干渉の量として端末で測定される、セル間干渉を減少させる方法を提案する。
【0026】
一方、本発明はさらに他の側面において、端末が多重セル環境で協調多重入出力(Co-MIMO)方式で信号を受信する方法を提供する。
【0027】
一実施形態として、サービング基地局及び該サービング基地局と共に協調多重入出力方式を行い、一つ以上の隣接基地局を含む協調基地局からのチャンネル信号を測定するステップと、協調基地局のそれぞれに関するプリコーディング行列インデックス(PMI)を決定してサービング基地局に報告するステップと、協調基地局から同一の信号または独立した信号を受信するステップと、を含む協調多重入出力方式の信号受信方法を提案する。
【0028】
ここで、協調基地局のそれぞれに関するプリコーディング行列インデックス(PMI)は、システムであらかじめ決定されたコードブックに基づいて選択されたプリコーディング行列インデックスであってもよい。
【0029】
また、協調基地局のそれぞれに関するプリコーディング行列インデックス(PMI)は、端末が協調基地局のそれぞれから同一の信号または独立した信号を協調して受信する場合、多重セルダイバーシティ利得または多重セルマルチプレキシング利得を最大限に獲得するプリコーディング行列インデックスを、端末が各協調基地局ごとに決定したものであってもよい。
【0030】
また、協調基地局のそれぞれに関するプリコーディング行列インデックス(PMI)は、端末が協調基地局のそれぞれから同一の信号または独立した信号を協調して受信する場合、端末が各協調基地局ごとに多重セルダイバーシティ利得または多重セルマルチプレキシング利得を最大限に獲得するプリコーディング行列インデックスから順次に所定個数を決定したものであってもよい。
【0031】
また、協調基地局は、端末に関するリソース割当情報を互いに共有し、端末に同一の信号または独立した信号を共通のリソースを用いて伝送することが好ましい。
【0032】
また、サービング基地局に報告された協調基地局のそれぞれに関するプリコーディング行列インデックス(PMI)は、サービング基地局からネットワーク間インターフェース、例えば、基地局を連結するバックボーンネットワークを通じて協調基地局のそれぞれに伝達することができる。
【0033】
また、協調基地局が多重セルダイバーシティモードで動作する場合、端末は、協調基地局から同一の信号を受信し、協調基地局が多重セルマルチプレキシングモードで動作する場合、端末は、協調基地局から独立した信号を受信することができる。
【0034】
一方、本発明はさらに他の側面において、特定基地局が一つ以上の隣接基地局と協調多重入出力(Co-MIMO)方式で信号を伝送する方法を提供する。
【0035】
一実施形態として、協調多重入出力方式で信号を受信する端末から、特定基地局及び特定基地局と共に協調多重入出力方式を行うための一つ以上の隣接基地局を含む協調基地局のそれぞれに関するプリコーディング行列インデックス(PMI)を受信するステップと、受信された協調基地局のそれぞれに関するプリコーディング行列インデックスを、一つ以上の隣接基地局にネットワーク間インターフェースを通じて伝達するステップと、一つ以上の隣接基地局と共に端末に同一の信号または独立した信号を伝送するステップと、を含む協調多重入出力方式の信号伝送方法を提案する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、多重セル環境で効率的にセル間干渉を除去でき、かつ、協調多重入出力方式で効率的に信号を送受信することができる。
【0037】
多重セル環境において多数の基地局から一つの端末のデータ信号を伝送するとき、閉ループ方式で端末から伝送されるプリコーディング行列情報を共有してプリコーディングを行うことができる。
【0038】
そして、スケジューラで端末から受信されるプリコーディング行列情報を組み合わせて多数の隣接基地局のプリコーディング行列を決定して知らせることができる。これにより、隣接基地局のチャンネルを考慮し、隣接基地局から該当の端末に与えられる干渉を緩和させることができる。
【0039】
そして、プリコーディング行列情報を、隣接基地局を対象とするコードブックベースのMIMOに適用する場合、端末に伝送される信号間ユニタリー特性を維持させ、端末における受信性能を向上させることができる。
【0040】
なお、プリコーディング行列情報を、隣接基地局を対象とするコードブックベースのビームフォーミングに適用する場合、端末に伝送される信号の強度を増幅させることができ、かつ、端末に伝送される多数の基地局信号間に発生しうる干渉を軽減させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】多重セル環境の通信システムにおける信号送受信において可能な干渉を考慮して説明するための図である。
図2】本発明の一実施例によって多重セル環境の通信システムにおける信号送受信方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施例によってスケジューラで各基地局のプリコーディング行列インデックスを決定する方法の一例を説明するための図である。
図4】多重セル環境で協調多重入出力方式を適用する通信システムにおける信号送受信方法を説明するための図である。
図5】本発明の一実施例によって協調多重入出力方式を適用する通信システムにおける信号送受信方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の好適な実施の形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのもので、本発明が実施されうる唯一の実施の形態を表すためのものではない。以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を助けるために具体的な細部事項を含む。ただし、当業者には、このような具体的な細部事項がなくても本発明を実施できることが理解される。例えば、以下の説明では、特定の用語を中心に説明するが、それらの用語に限定される必要はなく、任意の用語で表される場合にも同一の意味を有することができる。
【0043】
場合によっては、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び/または装置を省略することもでき、各構造及び/または装置の核心機能を中心に示すブロック図及び/または流れ図の形式で表すこともできる。また、本明細書全体において同一の構成要素については同一の図面符号を使用して説明する。
【0044】
以下の実施例は、本発明の構成要素と特徴が所定の形態で結合したものである。各構成要素または特徴は、別途の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素または特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態とすることもできる。また、一部の構成要素及び/または特徴を結合して本発明の実施例を構成することも可能である。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成または特徴に置き換えることもできる。
【0045】
本発明の実施例において、基地局と端末機とのデータ送受信関係を中心に説明する。ここで、「基地局」は、端末機と直接的に通信を行うネットワークの終端ノードとしての意味を有する。基地局によって行われると説明された特定の動作は、場合によっては、基地局の上位ノードによって行われてもよい。すなわち、基地局を含む多数のネットワークノードからなるネットワークにおいて端末機との通信のために行われる様々な動作は、基地局または基地局以外のネットワークノードによって行われてもよいことは自明である。用語「基地局」は、固定局、Node B、eNode B(eNB)、アクセスポイントなどに置き換えることもできる。また、用語「端末機」は、ユーザ装置(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、移動加入者局(Mobile Subscriber Station;MSS)などに置き換えることもできる。
【0046】
多重セル環境で通信している端末、特に、各セルの縁部に位置する端末の場合、サービスが提供されるサービング基地局から送信される信号は、その強度が弱いとともに、他の隣接した基地局から送信される信号により干渉の発生する確率が高い。したがって、このようなセルの縁部に位置している端末は、その通信環境を考慮して、以下に説明する協調多重入出力方式(Collaborative MIMO)を通じてユーザの受信性能を高めることができる。
【0047】
図1は、多重セル環境の通信システムにおける信号送受信において可能性がある干渉概念を説明するための図である。
【0048】
2つ以上のセル領域に位置する多数の基地局で一つの端末に信号を送信する場合、図1に示すように、他のセルに位置する端末に送信する信号によって自分のセルに位置する端末に干渉を招くことがある。
【0049】
図1を参照すると、MS1(23)、MS2(24)及びMS3(25)はそれぞれ、BS1(20)、BS2(21)及びBS3(22)から信号を受信することが確認できる。然るに、BS1(20)からMS2(24)及びMS3(25)に伝送する信号(1)は、MS1(23)に干渉を与えることがある。そして、BS2(21)からMS3(25)に伝送する信号(2)は、MS2(24)に干渉を与えることがある。同様に、BS3(22)からMS1(23)に伝送する信号(3)は、MS3(25)に干渉を与えることある。
【0050】
したがって、以下に説明する本発明の実施例では、多重セル環境の通信システムにおけるプリコーディング情報を使用するにあたり、コードブックを用いて閉ループ動作を通じて、多数の基地局から伝送する信号が互いに干渉するのを軽減できる信号送信方法を提供する。
【0051】
図2は、本発明の一実施例による多重セル環境の通信システムにおける信号送受信方法を示すフローチャートである。
【0052】
以下、本実施例によって端末、特に、セル端に位置する端末に閉ループ方式のコードブックベースのプリコーディングを適用しようとするとき、隣接セルにおける干渉を最小化できる方法の一例についてより具体的に説明する。
【0053】
ステップS40で、端末、特に、セル端に位置する端末は、サービング基地局を含む隣接セルの基地局BS1〜BSNのそれぞれからの同一使用周波数帯域に関するチャンネル推定を行うことができる。そして、端末は、各基地局に関するチャンネル推定結果に基づいて各基地局の信号強度を決定する。
【0054】
そして、端末では、本実施例によって、干渉を最小化させてサービング基地局の信号強度を最大化させるコードブックインデックスを探し、それを隣接セルに使用させることによって、隣接セルにおける干渉を最小化することができる。または、端末では、干渉を最大化させて信号強度を最小化させるコードブックインデックスを使用することを防ぎ、隣接セルにおける干渉を最小化することもできる。もちろん、これら両方法を同時に使用することも可能である。
【0055】
隣接基地局BS1〜BSNが端末MSに対して共通のコードブックを使用するとして説明すると、例えば、セル端に位置する端末は、ステップS40で、各基地局から受信されるパイロット信号などを通じてチャンネルを推定し、ステップS41で、共通のコードブックからプリコーディング行列インデックス(PMI)の順にプリコーディング行列を順次に適用して共分散値RW1,RW2,…,RWNを計算することができる。ここで、下付き文字は、各基地局で適用されたプリコーディング行列を表すもので、各基地局を区分するための識別子である。
【0056】
現在、端末が基地局BS1に位置しているとすれば、サービング基地局BS1の信号成分を表すRW1を除くRW2,RW3,…,RWNは干渉成分になりうる。
【0057】
このとき、基地局BS1における信号強度を最大化させるコードブックインデックスを探す方法と、基地局BS1における信号強度を最小化させるコードブックインデックスを探す方法はそれぞれ、下記の式1及び式2で示すことができる。
【0058】
【数1】
【0059】
【数2】
【0060】
式1及び式2で、Wi,maxは、i番目の基地局BSiの信号強度を最大化させるプリコーディング行列を表す。そして、Wi,minは、i番目の基地局BSiの信号強度を最小化させるプリコーディング行列を表す。
【0061】
これらは、i番目の基地局BSiから受信されたチャンネルに対してコードブック探索を通じて計算することができ、これらを計算することによって、該当の受信DU比(Desired to Undesired signal power Ratio;DUR)が最大(DURmax)または最小(DURmin)であるプリコーディング行列を探すことができる。すなわち、DURmaxを獲得するためには、サービング基地局の信号強度は最大にさせ、隣接基地局の信号強度は最小にさせるプリコーディング行列を適用し、DURminを獲得するためには、サービング基地局の信号強度は最大にさせ、隣接基地局の信号強度も最大にさせるプリコーディング行列を適用すればよい。
【0062】
そして、RW1,RW2,…,RWNは、各基地局の信号強度を表すもので、例えば、端末がステップS40で各基地局から受信される信号を通じて推定したチャンネルと、各基地局及び端末間に共通に適用されるコードブックとを用いて、下記の式3のように共分散形態で表現することができる。
【0063】
【数3】
【0064】
式3で、H1,H2,…,HNは、端末が各基地局から受信される信号を通じて推定したチャンネルを表し、W1,W2,…,WNは、各基地局及び端末で共通に使用されるコードブックに含まれるプリコーディング行列のうち、各基地局からのチャンネル推定受信信号に基づいて特定プリコーディング行列と決定することができる。すなわち、共通に使用されるコードブックに含まれたプリコーディング行列をそれぞれ上記の式3に適用して、各プリコーディング行列の信号強度を決定し、これを用いて式1及び式2でDURmax及びDURminをそれぞれ求めることができる。
【0065】
端末は、ステップS41で、式1乃至式3により、各基地局のコードブックに含まれるプリコーディング行列を適用してDURmax及びDURminを計算し、ステップS42で、DURmaxを決定する各基地局のプリコーディング行列を含むプリコーディング行列集合DURmax[W1,W2,…,WN]と、DURminを決定する各基地局のプリコーディング行列を含むプリコーディング行列集合DURmin[W1,W2,…,WN]を構成することができる。
【0066】
その後、端末は、DURmax及び/またはDURminに該当する値と、それによるプリコーディング行列集合情報をサービング基地局に伝送することができる。場合によって、端末は、サービング基地局に干渉制御モード開始情報、該当のセルIDなどをさらに伝送することもできる。また、Nの個数は、端末の演算能力、アップリンクフィードバック情報に対するオーバーヘッド、干渉強度などを考慮して1〜2個程度に制限することもできる。
【0067】
サービング基地局では、ステップS43で、端末から受信したDURmax及び/またはDURminに該当する値と、それによるプリコーディング行列集合情報をネットワークインターフェース、例えば、バックボーンネットワークを通じてスケジューラに伝達する。場合によっては、アップリンクオーバーヘッドを考慮してプリコーディング行列集合情報のみを送ることもできる。
【0068】
また、プリコーディング行列インデックス(PMI)更新及びバックボーンネットワーク伝送遅延による性能低下及びサービング基地局のオーバーヘッド増加を防ぐために、端末は、隣接基地局に関するプリコーディング行列インデックス(PMI)を含むプリコーディング行列集合情報を、サービング基地局を介さずに直接、該当の基地局のアップリンクチャンネルを通じて送ることもできる。
【0069】
そして、スケジューラでは、バックボーンネットワークを通じて受信された情報に基づいて、与えられた無線リソースを効率的に使用するために、特定スケジューリングアルゴリズムによって各基地局に適合するプリコーディング行列を選択したり組み合わせたりして、ステップS45で、各基地局に関するプリコーディング行列インデックスを決定することができる。
【0070】
例えば、スケジューラは、DURmax[W1,W2,…,WN]のプリコーディング行列集合に含まれるプリコーディング行列を優先して選択し、DURmin[W1,W2,…,WN]のプリコーディング行列集合に含まれるプリコーディング行列は選択されないように動作することで、各該当基地局IDに該当する基地局に適切なプリコーディングベクトルまたは行列を割り当てたり、使用上制限を加えたりすることができる。
【0071】
そして、ステップS44で、スケジューラは、チャンネル状況またはシステム状況を考慮して所定の変動可能な基準値をあらかじめ設定し、サービング基地局から受信したDURmaxまたはDURminを、設定された基準値と比較する過程をさらに行うこともできる。
【0072】
スケジューラは、ステップS46で、バックボーンネットワークを通じて、ステップS45で決定された各基地局に関するプリコーディング行列インデックス(PMI)を該当の基地局に伝達する。
【0073】
図3は、本発明の一実施例によってスケジューラで各基地局のプリコーディング行列インデックスを決定する方法の一例を説明するための図である。
【0074】
所定の境界に含まれる基地局間の調整機能を行うスケジューラは、図3に示すように、各基地局に関するプリコーディング行列W1,W2,…,WNを求めるために基準値を設定し、端末、特に、セル端に位置する端末から各基地局に伝送されるプリコーディング行列インデックス(PMI)情報を用いて、各端末の受信SINRが最大となるようにスケジューリングを行うことができる。
【0075】
スケジューラでは、最も好ましくは、各基地局で最高の性能を示しうるプリコーディング行列集合情報を受信してこれを適用するようにする。しかし、場合によっては、他の隣接基地局との関係を考慮して、最高の性能を示しうるプリコーディング行列集合情報によってプリコーディングできない場合が発生しうる。
【0076】
例えば、基地局BS1では、プリコーディング行列インデックスPMI1の含まれたプリコーディング行列集合情報を、最高の性能を示すプリコーディング行列集合情報として伝達したが、隣接基地局の基地局BS2では、プリコーディング行列インデックスPMI1の含まれたプリコーディング行列集合情報を、最低の性能を示すプリコーディング行列集合情報として伝達することがある。
【0077】
この場合、スケジューラでは、本実施例によって基地局BS1ではPMI1を使用することはできないが、最高の性能に最も近接する性能を示す他のプリコーディング行列に組み替え、それを使用するように知らせることができる。
【0078】
例えば、スケジューラでは、DURmax(50)とDURmin(51)の値によって各基地局別に適切なプリコーディング行列インデックス(PMI)を決定することができる。すなわち、スケジューラは、必要な場合、特定基地局に対して自身のセル内に位置する端末にDURmin(51)値またはこれに近接する値を招くプリコーディング行列インデックス(PMI)は使用しないようにスケジューリングしたり、場合によっては、DURmax(50)値またはこれに近接する値を招くプリコーディング行列インデックス(PMI)を使用するように推奨することができる。このとき、各基地局に伝送されるプリコーディング行列インデックス(PMI)は、少なくともスケジューラで設定した閾値52による性能以上は保障できることが好ましい。
【0079】
図3にしたがって各基地局に対するプリコーディング行列インデックス(PMI)値をスケジューリングする場合、基地局間に互いに強い干渉を与えるプリコーディング行列インデックス(PMI)を制限する方にスケジューリングをすると、セル端に位置する隣接端末間に互いにプリコーディング行列インデックス(PMI)を制限しようとする衝突問題が生じうる。この場合、端末側では、制御しようとする干渉信号の大きさを一定量の干渉量の範囲に量子化した参照テーブルを用いることで上記の衝突問題を解決することができる。すなわち、参照テーブルの値を比較して該当の量子化レベルを基地局に通報し、スケジューラでは、端末間に量子化レベルに従う優先順位を付与することで、端末間プリコーディング行列インデックス(PMI)の衝突を防止することができる。
【0080】
すなわち、端末は、サービング基地局及びサービング基地局からの信号に干渉を与える隣接基地局からのチャンネル信号を測定し、測定されたチャンネル信号に基づいて干渉値を算定してサービング基地局に伝送することができる。このような干渉値には、信号対干渉雑音比(SINR)、正規化した干渉電力、IoT(Interference over Thermal)などを含むことができる。
【0081】
この干渉値は、各基地局でPMIを選択する上での優先順位を定めるのに用いることができる。サービング基地局が受信した干渉値情報は、上述したように、各基地局におけるPMI選択の優先順位を決定するのに用いられ、この優先順位の情報は、隣接基地局にバックボーンネットワークを通じて伝達することができる。また、上述したような干渉値情報は、干渉を誘発する該当基地局の識別子情報と共に端末からサービング基地局に伝達することができる。
【0082】
一方、アップリンクの制御信号に対するオーバーヘッドを減らすために基地局スケジューラがプリコーディング行列インデックス(PMI)情報を各基地局に割り当てようとするとき、このスケジューラは、互いに制限または抑制しようとするプリコーディング行列インデックス(PMI)が相手側の基地局に該当してプリコーディング行列インデックス(PMI)衝突が起こるときに限って、該当の端末に干渉量量子化レベル情報をフィードバックするように要求することもできる。
【0083】
上述したように、多重セル環境で干渉を最大限に与えるPMI及び/または干渉を最小限に与えるPMIを伝送する方法と、各基地局でPMI選択の優先順位の決定に用いられる干渉値情報を伝送する方法とを、互いに結合して用いることができる。
【0084】
一方、本発明の他の側面において、セル端に位置する端末が、要求されるサービス品質(Quality of Service;QoS)によって受信性能を高める必要があると判断する場合は、多重セルの環境下において干渉除去モードではなく協調多重セルMIMO方式を適用することができる。このために、端末は、協調MIMOモードまたはセル間干渉緩和モード、これら両モードからいずれか一方を選択できる情報であるモード切替情報を、サービング基地局に伝送することができる。また、このようなモード切替は、端末ではなく、基地局またはネットワーク端で決定されて端末にシグナリングしても良い。
【0085】
図4は、多重セル環境で協調多重入出力方式を適用する通信システムにおける信号送受信方法を説明するための図である。
【0086】
本実施の形態によれば、単一のセル単位でMIMOを適用してダイバーシティ、単一ユーザMIMO、多重ユーザMIMOを具現した既存のものとは違い、多重セル環境で複数個の基地局を用いてMIMOを適用することができる。
【0087】
図4を参照すると、MS1(13)は、BS1(10)及びBS3(12)から信号を受信し、MS2(14)は、BS1(10)及びBS2(11)から信号を受信し、MS3(15)は、BS2(11)及びBS3(12)から信号を受信することが確認できる。そして、多数の基地局から端末に伝送されるデータは、スケジューラ16で多数の基地局を考慮して構成した後、ネットワーク間インターフェース、例えば、バックボーンネットワーク17を通じて各基地局に伝達される。
【0088】
この場合、各基地局から受信される信号は、互いに同一であっても良く、異なっても良い。各基地局から同一データを受信する場合にはダイバーシティ利得を獲得でき、各基地局から異なるデータを受信する場合にはデータ伝送速度、すなわち、データ処理量を高めてマルチプレキシング利得を獲得することができる。
【0089】
端末が、同一セル基地局の多重アンテナを通じて単一ユーザMIMOまたは多重ユーザMIMOにより受信性能を高めたのと類似の方法で、隣接した多数のセルに位置する基地局から同一チャンネルの信号を受信して、ダイバーシティ、単一ユーザMIMOまたは多重ユーザMIMOを具現することができる。特に、隣接セルから干渉を受けやすいセル端に位置する端末は、このような状況を逆に利用して、隣接基地局から同一チャンネルの信号を受信し、ダイバーシティ、単一ユーザMIMOまたは多重ユーザMIMOを具現することができる。
【0090】
多数の端末または特定端末に多数の独立したストリームを送るので、単一ユーザMIMOまたは多重ユーザMIMOを具現するために協調多重入出力方式を適用するとき、多数の基地局が端末からチャンネル推定関連情報(Channel Status Information;CSI)を受信し、これを用いてチャンネルを推定することができる。そして、このようなチャンネル推定結果に基づいて各基地局で別々にアンテナ重み値を生成し、プリコーディングを行い、プリコーディングされた信号を伝送することができる。
【0091】
図5は、本発明の一実施例によって協調多重入出力方式を適用する通信システムにおける信号送受信方法を説明するための図である。
【0092】
図5で、端末30のサービング基地局BS1(31−1)とM−1個の隣接基地局を含むM個の基地局は、協調MIMO方式によって端末30にデータストリームdを伝送する。このとき、各基地局、すなわち、サービング基地局BS1(31−1)乃至基地局BSM(31−M)は、スケジューラ35で受信した情報に基づいて構成されてバックボーンネットワーク34を通じて伝達されたデータストリームdをそれぞれ伝送する。
【0093】
この場合、各基地局に伝達されるデータは、互いに同一であっても良く、異なっても良い。ただし、各基地局に伝達されるデータは、各基地局から伝達されるチャンネル情報に基づいて適切にコーディング及び変調して構成されるデータであることが好ましい。
【0094】
多数の基地局のうち基地局BS1(31−1)を挙げて、データを伝送する各基地局の構成についてより具体的に説明する。基地局BS1(31−1)は、データストリームdをバックボーンネットワーク34を通じて受け取った後、端末30に送信する前に、該データストリームdにプリコーディングを行う。すなわち、プリコーディング行列生成部32−1は、プリコーディングを行うときに用いられる重み値またはプリコーディング行列を生成する。
【0095】
この場合、プリコーディング行列生成部32−1は、コードブックを用いて重み値またはプリコーディング行列を生成することができる。例えば、端末では本実施例によってフィードバック情報としてプリコーディング行列インデックス(PMI)を伝送し、プリコーディング行列生成部32−1では、端末30からフィードバック情報として受信したプリコーディング行列インデックス(PMI)を用いてプリコーディング行列を生成することができる。
【0096】
そして、プリコーダ33−1は、この生成された重み値またはプリコーディング行列をデータストリームdに乗じてプリコーディングを行う。そして、プリコーディングされた信号を端末30に伝送する。
【0097】
本実施例によって、各基地局でプリコーディング行列インデックス(PMI)を用いてプリコーディング行列を生成できるように、基地局、特に、サービング基地局31−1では、端末30からフィードバック情報としてプリコーディング行列インデックス(PMI)を受信するが、このとき、サービング基地局31−1に関するプリコーディング行列インデックス(PMI)だけでなく、BSM(31−M)を含む隣接基地局に関するプリコーディング行列インデックス(PMI)も共に受信する。
【0098】
そして、各基地局に関するプリコーディング行列インデックス(PMI)を、バックボーンネットワーク34を通じて該当の基地局に伝達する。すなわち、ここで、バックボーンネットワークは、多数の隣接した基地局間に情報の送受信及び共有のために定義された通信ネットワークと見なすことができる。このとき、スケジューラ35が関与してプリコーディング行列インデックス(PMI)をより好ましい場合に調整して伝達することもできる。
【0099】
さらに、スケジューラ35は、各基地局で端末から受信した信号から獲得したチャンネル情報を、バックボーンネットワーク34を通じて受信し、これを用いて該当の端末に伝送するデータを構成することもできる。すなわち、チャンネル情報には、上記のプリコーディング行列インデックス(PMI)の他に、チャンネル品質情報(Channel Quality Information;CQI)及びランク情報なども含むことができる。そして、このようなチャンネル情報に基づいてスケジューラ35では該当の端末のチャンネル状態に最適のコーディング及び変調手法を選択し、これを適用して構成されたデータを各基地局にバックボーンネットワーク34を通じて伝達し、端末に伝送されるようにすることができる。
【0100】
上記の本実施の形態によって、もし、協調MIMOを行う方が、干渉を除去することに比べて、目標とするQoSを得るための受信SINRを得るのに有利であると判断すると、該当の情報、例えば、1ビットを追加してサービング基地局に伝送することができる。この場合、端末は、サービング基地局及びサービング基地局と共に協調多重入出力方式を行うための隣接基地局からのチャンネル信号を測定し、測定されたチャンネル信号に基づいて協調MIMOを行うために各基地局でそれぞれ使用するPMIをサービング基地局に報告することができる。このように、協調MIMO方式を行うために協調基地局のそれぞれに伝送するPMIは、協調基地局から同一信号を受信する場合にダイバーシティ利得を最大限に獲得できるPMI及び/または協調基地局から独立した信号を受信する場合にマルチプレキシング利得を最大限に獲得できるPMIとすることができる。例えば、端末から該当の情報が基地局に受信されると、基地局は、干渉除去モードで使用を制限するように推奨していたDURmin[W1,W2,…,WN]に含まれる該当の基地局のプリコーディング行列インデックス(PMI)情報を、かえって協調MIMOに使用して受信性能を高めるように推奨することができる。
【0101】
協調MIMOのために、該当の基地局は、スケジューラから送ったDURminになるプリコーディングベクトルまたは行列を使用し、現在サービスを希望する端末が位置している基地局と送信周波数帯域などを互いに一致させた後、サービスを希望する端末に受信される同一データまたは独立した受信を希望するデータストリームを、該当の端末に伝送することによって、該当の端末では、同一信号に対する受信性能を高めたり、多数の独立したデータストリームを受信して受信データの伝送率を高めたりして、協調MIMOモードを行うことができる。
【0102】
セル間干渉緩和モードで動作する場合は、上述したように、同一のプリコーディング行列インデックス(PMI)情報DURmin[W1,W2,…,WN]を用いて、該当の基地局に伝送されたプリコーディング行列インデックス(PMI)に該当するプリコーディング行列の使用を最小限に抑えることで、サービスを希望する端末が受けるセル間受信干渉を最小化することができる。
【0103】
多重セル環境でセル端に位置する端末は、セル間干渉に弱い受信性能を示す問題点があるが、上記の実施例によれば、閉ループ方式のコードブックベースのプリコーディング手法を適用することができる。
【0104】
特に、端末で隣接基地局に対するチャンネル特性を考慮して各基地局に関するプリコーディング行列インデックスを決定し、これらを含むプリコーディング行列集合情報をサービング基地局に伝送し、スケジューラではこれを用いてスケジューリングするようにすることができる。
【0105】
そして、スケジューラでは、プリコーディング行列集合情報を用いて各基地局間に使用されるプリコーディング行列インデックスを決定してスケジューリングすることで、隣接セルからの干渉を最小限に抑えることができる。その結果、端末の受信SINR性能を高めることが可能になる。
【0106】
一方、プリコーディング行列集合情報を、隣接基地局を対象とするコードブックベースのMIMOに適用でき、この場合、端末に伝送される信号間ユニタリー特性を維持させることで、端末における受信性能を向上させることができる。
【0107】
または、プリコーディング行列集合情報を、隣接基地局を対象とするコードブックベースのビームフォーミングに適用でき、この場合、端末に伝送される信号の強度を増幅させることができ、かつ、端末に伝送される多数の基地局信号間に発生しうる干渉を軽減する効果も得られる。
【0108】
本発明による実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはそれらの結合などによって具現することができる。ハードウェアによる具現の場合、本発明の一実施例による協調多重入出力通信システムで、プリコーディングされた信号を送信する方法は、一つまたはそれ以上のASIC(application specific integrated circuits)、ディジタルシグナルプロセッサ(digital signal processors;DSP)、DSPD(digital signal processing devices)、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic devices;PLD)、FPGA(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0109】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の一実施例による協調多重入出力通信システムで、プリコーディングされた信号を送信する方法は、以上で説明した機能または動作を行うモジュール、手続き、関数などの形態で具現することができる。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶されて、プロセッサによって駆動することができる。メモリユニットは、プロセッサの内部または外部に設けられて、公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
【0110】
本発明は、本発明の精神及び必須特徴を逸脱しない範囲で、他の特定の形態に具体化できることは、当業者にとっては明らかである。よって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても限定的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮されなければならない。本発明の範囲は、添付した請求の範囲の合理的解釈によって定められるべきであり、本発明の等価的範囲内におけるあらゆる変更は、本発明の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5