(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876304
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】静電容量式タッチ入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20160218BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/044 120
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-13394(P2012-13394)
(22)【出願日】2012年1月25日
(65)【公開番号】特開2013-152635(P2013-152635A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 誠也
(72)【発明者】
【氏名】吉川 治
【審査官】
岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−092275(JP,A)
【文献】
特開2010−140465(JP,A)
【文献】
特開2002−041216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041− 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁パネルに等間隔で第1方向に沿って配線される複数の駆動電極と、
絶縁パネルに第1方向と直交する第2方向に沿って配線され、それぞれ前記複数の全ての駆動電極と絶縁間隔を隔てて交差する複数の検出電極S(m)と、
交流の検出電圧を発生する検出電圧発生回路と、
第2方向で隣り合う2以上の駆動電極からなる駆動電極群DV(n)を、全ての駆動電極が少なくともいずれかの駆動電極群DV(n)に属するように、第2方向に沿って複数設定し、各駆動電極群DV(n)毎に駆動電極群DV(n)に属する各駆動電極へ検出電圧を同期させて印加する駆動制御を、全ての駆動電極群DV(n)について実行する駆動制御部と、
駆動制御部が駆動電極群DV(n)を駆動制御した際に、駆動電極群DV(n)と入力操作体との静電容量の変化に応じて、駆動電極群DV(n)と交差する検出電極S(m)に表れる検出電圧レベルR(m、n)を検出する静電容量検出手段とを備え、
全ての駆動電極群DV(n)を駆動制御する毎に、全ての検出電極S(m)について、それぞれ静電容量検出手段が検出した検出電圧レベルR(m、n)から、絶縁パネル上の第1方向と第2方向の入力操作体の入力操作位置を検出する静電容量式タッチ入力装置であって、
第2方向で隣り合う駆動電極群DV(n)と駆動電極群DV(n’)にそれぞれ属する2以上の駆動電極の一つが、その間に配線される駆動電極で共通し、
駆動電極群DV(n)に第2方向で隣り合う駆動電極群DV(n’)の中間位置に入力操作体の入力操作位置がある場合に、第1方向でその入力操作位置の近傍に配線される検出電極S(m)に、駆動制御部が駆動電極群DV(n)を駆動制御することによる検出電圧レベルR(m、n)の変化が表れるように、第2方向に等間隔で配線される駆動電極間のピッチを設定することを特徴とする静電容量式タッチ入力装置。
【請求項2】
第2方向に沿って複数設定される各駆動電極群DV(n)を、第2方向と異なる順に駆動制御することを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチ入力装置。
【請求項3】
駆動制御部は、複数の各駆動電極にそれぞれ対応する複数の入出力ポートを有するマイコンで形成され、
検出電圧発生回路と各駆動電極間を接続する電圧出力線毎に、その駆動電極に対応するマイコンの入出力ポートを接続し、
マイコンは、入出力ポートを出力ポートとするOFFモードと、入出力ポートを入力ポートもしくはハイインピーダンスとするONモードとの間で切り換え、その入出力ポートが接続する駆動電極への検出電圧の印加と印加停止を切り換え制御することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の静電容量式タッチ入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力操作体が接近することにより入力操作体との静電容量が増大する検出電極の絶縁パネル上の配置位置から、入力操作位置を検出する電容量式タッチパネル、あるいは、静電容量式タッチパッドなどのような静電容量式タッチ入力装置に関し、更に詳しくは、検出電圧を印加する駆動電極と駆動電極に直交する検出電極との交差位置毎に入力操作体が接近することによる静電容量の変化を検出するクロスポイント方式で入力操作位置を検出する静電容量式タッチ入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指などの入力操作体による入力位置を検出する静電容量式タッチ入力装置の入力検出方式は、入力操作体が接近することにより浮遊容量が増大する検出電極を検出し、その検出電極の配置位置から入力操作位置を検出する自己容量方式(1線式)と、駆動電極へ所定電圧レベルの検出電圧を印加し、入力操作体が接近することにより検出電圧レベルが低下する検出電極を検出し、その検出電極の配置位置から入力操作位置を検出する相互容量方式(2線式)とに分けられる。前者の方式は、駆動電極を配線しないので、構造が簡略化されるが、検出する浮遊容量が10乃至20pFと検出が困難な微小レベルであるので、一般には後者の相互容量方式が採用されている。
【0003】
相互容量方式は、更に、複数のX方向電極と複数のY方向電極を互いに絶縁して絶縁パネル上に配置し、その一方を検出電圧を印加する駆動電極、他方を検出電圧レベルを検出する検出電極とする検出動作を交互に行い、検出電圧レベルが低下した検出電極の位置からXY方向での入力位置を検出するプロジェクティブ方式と、検出電圧を印加する複数の駆動電極と検出電圧レベルを検出する複数の検出電極を互いに直交させて配線し、駆動電極と検出電圧が交差する交差位置毎に、検出電圧レベルが低下した検出電極の交差位置から入力位置を検出するクロスポイント方式に分けられる。プロジェクティブ方式は、X方向電極若しくはY方向電極の複数の駆動電極全体に同時に検出電圧を印加し、他側の全ての検出電極から、検出電圧レベルが低下した検出電極を検出することによって、短時間に入力位置を検出できるが、入力操作面の異なる2つの入力位置を同時に入力操作した場合には、2つの入力位置のXY方向に更に二つの入力位置と判定される虚像が生じ、2点以上の同時入力操作では入力位置を検出できない。
【0004】
逆に、クロスポイント方式によれば、全ての交差位置について入力操作体の接近による検出電圧レベルを検出するので、2点以上の異なる位置が同時に入力操作されても、各入力位置を検出できるが、複数の駆動電極毎に検出電圧を印加し、検出電圧を印加した駆動電極毎に直交する全ての検出電極の検出電圧レベルを検出するので、入力位置の検出が遅れる。特に、入力操作面を拡大させた静電容量式タッチパネルでは、検出する交差位置数も比例して増大するので、入力操作の応答速度が低下するという問題が顕在化する。
【0005】
そこで、クロスポイント方式で入力位置を検出する従来の静電容量式タッチパネルでは、検出電圧を印加する駆動電極の一部を間引く飛び越し駆動走査を行い、入力操作を検出した場合に、入力操作位置近傍の全ての駆動電極を詳細に駆動走査する静電容量式タッチパネル(特許文献1)や、駆動走査方向で隣り合う複数本の駆動電極を束ねて、束ねた駆動電極群毎に検出電圧を印加する静電容量式タッチパネル(特許文献2)が提案されている。
【0006】
図6は、特許文献2に開示された静電容量式タッチパネル100により入力操作位置を検出する方法を示す説明図であり、この静電容量式タッチパネル100では、同中の紙面に直交する方向に配線される複数の駆動電極Dn(nは1以上の自然数)のうち、駆動走査方向(図中左右方向)で隣り合う2本の駆動電極D2n−1、D2nを駆動電極群として、駆動電極群DV(n)毎に交流の駆動電圧を印加する。
図6の(a)(b)(c)は、それぞれ各駆動電極群DV(n)に駆動電圧を印加した際に、駆動走査方向に沿った入力操作体の入力操作位置と、入力操作位置近傍で駆動走査方向に沿って配線される検出電極S(m)に表れる検出電圧レベルR(m、n)との関係を、検出電圧レベルR(m、n)の極性を反転させて示している。
【0007】
同図から明らかなように、駆動電圧を印加した駆動電極群DV(n)の近傍に入力操作体が接近すると、駆動電圧が印加された駆動電極と入力操作体間の静電容量が増加し、駆動電圧信号の一部が入力操作体へ流れ、駆動電極と一定の静電容量で容量結合する検出電極において駆動電圧を検出する検出電圧レベルR(m、n)が低下する(図示では極性を逆転させているので、上昇する)。一方、駆動電圧を印加した駆動電極群DV(n)から離れた位置に入力操作体があると、駆動電圧が印加された駆動電極と検出電極間の静電容量に対して、駆動電極と入力操作体間の静電容量は無視できるほど低下するので、検出電極において検出される検出電圧レベルR(m、n)が変化しない。
【0008】
従って、各駆動電極群DV(n)に駆動電圧を印加した際に、検出電極S(m)に表れる検出電圧レベルR(m、n)から、入力操作体の入力操作位置を検出できる。例えば、駆動走査方向に沿った図中y
0の位置が入力操作位置であるとすると、駆動電極群DV(n)(nは1から3)に駆動電圧を印加した際に、
入力操作位置近傍に配線される検出電極S(m)から検出される検出電圧レベルR(m、n)は、それぞれその変化量に応じて、a
0、b
0、c
0となる。検出電圧レベルR(m、n)は、駆動電圧を印加した駆動電極群DV(n)の配線位置から離れるほど小さくなるので、a
0とb
0との比から駆動電極群DV(1)と駆動電極群DV(2)の配線位置間の入力操作位置y
0が得られる。
【0009】
このように、特許文献1や特許文献2に示される従来の静電容量式タッチ入力装置によれば、実際に配線される検出電極数に比べて少ない回数で駆動電圧を印加するので、入力操作位置の検出時間が短縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−129308号公報
【特許文献2】特開2009−258903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の特許文献1に開示された静電容量式タッチ入力装置では、特定の入力位置について詳細に駆動走査を行っている間に、他の位置へ入力操作があった場合には、その入力位置を検出できず、2点以上の入力位置が同時に入力操作された場合には、飛び越し走査の後に、その入力位置毎に重ねて詳細な駆動走査を行う必要があり、充分に入力位置の検出時間を短縮させることができない。
【0012】
また、特許文献2に示される静電容量式タッチ入力装置では、駆動電極群DV(n)を構成する複数の駆動電極に同時に検出電圧を印加するので、駆動電圧を印加した駆動電極間では、
図6に示すように、いずれの位置が入力操作位置であっても、検出電極S(m)に表れる検出電圧レベルR(m、n)の変化量はほぼ一定値となり、駆動電極間の入力操作位置を正確に検出できない。特に検出電圧レベルR(m、n)は、駆動電極群DV(n)の中央位置をピークとして中央位置に対称に表れるので、入力操作位置が駆動電極群DV(n)の中央位置から等距離離れたy
1、y
2である場合には、検出電圧レベルR(m、n)の変化量を表す(a
1、b
1、c
1)と(a
2、b
2、c
2)とがそれぞれ等しく、入力操作位置がy
1とy
2のいずれであるのかを判別できない。
【0013】
従って、入力操作位置が駆動電圧を印加する駆動電極間にある場合には、再びその駆動電極群DV(n)を構成する各駆動電極毎に駆動電圧を印加して、入力操作位置を検出する必要があり、特許文献1に記載の発明と同様に、充分に入力位置の検出時間を短縮させることができない。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、2点以上の異なる入力操作位置が検出可能で、各入力操作位置を短時間に検出する静電容量式タッチ入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するため、請求項1の静電容量式タッチ入力装置は、絶縁パネルに等間隔で第1方向に沿って配線される複数の駆動電極と、絶縁パネルに第1方向と直交する第2方向に沿って配線され、それぞれ前記複数の全ての駆動電極と絶縁間隔を隔てて交差する複数の検出電極S(m)と、交流の検出電圧を発生する検出電圧発生回路と、第2方向で隣り合う2以上の駆動電極からなる駆動電極群DV(n)を、全ての駆動電極が少なくともいずれかの駆動電極群DV(n)に属するように、第2方向に沿って複数設定し、各駆動電極群DV(n)毎に駆動電極群DV(n)に属する各駆動電極へ検出電圧を同期させて印加する駆動制御を、全ての駆動電極群DV(n)について実行する駆動制御部と、駆動制御部が駆動電極群DV(n)を駆動制御した際に、駆動電極群DV(n)と入力操作体との静電容量の変化に応じて、駆動電極群DV(n)と交差する検出電極S(m)に表れる検出電圧レベルR(m、n)を検出する静電容量検出手段とを備え、全ての駆動電極群DV(n)を駆動制御する毎に、全ての検出電極S(m)について、それぞれ静電容量検出手段が検出した検出電圧レベルR(m、n)から、絶縁パネル上の第1方向と第2方向の入力操作体の入力操作位置を検出する静電容量式タッチ入力装置であって、
第2方向で隣り合う駆動電極群DV(n)と駆動電極群DV(n’)にそれぞれ属する2以上の駆動電極の一つが、その間に配線される駆動電極で共通し、
駆動電極群DV(n)に第2方向で隣り合う駆動電極群DV(n’)の中間位置に入力操作体の入力操作位置がある場合に、第1方向でその入力操作位置の近傍に配線される検出電極S(m)に、駆動制御部が駆動電極群DV(n)を駆動制御することによる検出電圧レベルR(m、n)の変化が表れるように、第2方向に等間隔で配線される駆動電極間のピッチを設定することを特徴とする。
【0016】
第2方向に沿った全ての入力操作位置で、第2方向で隣り合う駆動電極群DV(n)と駆動電極群DV(n’)を駆動制御した際に、それぞれ検出電極S(m)に検出電圧レベルR(m、n)と検出電圧レベルR(m、n’)の変化が表れるので、検出電圧レベルR(m、n)と検出電圧レベルR(m、n’)の変化量と、駆動電極群DV(n)と駆動電極群DV(n’)の第2方向に沿った配線位置とから、第2方向に沿った全ての入力操作位置を検出できる。
【0017】
駆動電圧を印加して駆動制御する駆動電極群DV(n)の数nは、絶縁パネルに配線される駆動電極の数以下であるので、検出電圧レベルR(m、n)を検出する検出電極S(m)との交差位置数を減少させることができ、入力操作位置の検出時間が短縮される。
【0018】
請求項2の静電容量式タッチ入力装置は、第2方向に沿って複数設定される各駆動電極群DV(n)を、第2方向と異なる順に駆動制御することを特徴とする。
【0019】
各駆動電極群DV(n)の駆動制御順にかかわらず、全ての駆動電極群DV(n)を駆動制御する一走査周期内で、各検出電極S(m)との交差位置毎に検出する検出電圧レベルR(m、n)から入力操作位置が検出される。
【0020】
請求項3の静電容量式タッチ入力装置は、駆動制御部は、複数の各駆動電極にそれぞれ対応する複数の入出力ポートを有するマイコンで形成され、検出電圧発生回路と各駆動電極間を接続する電圧出力線毎に、その駆動電極に対応するマイコンの入出力ポートを接続し、マイコンは、入出力ポートを出力ポートとするOFFモードと、入出力ポートを入力ポートもしくはハイインピーダンスとするONモードとの間で切り換え、その入出力ポートが接続する駆動電極への検出電圧の印加と印加停止を切り換え制御することを特徴とする。
【0021】
入出力ポートが出力ポートの状態では、その入出力ポートが接続する駆動電極の電位が出力ポートの電位で安定し、交流の検出電圧が印加されない。入出力ポートが入力ポートもしくはハイインピーダンスの状態では、検出電圧発生回路から入出力ポートに電流が流れず、駆動電極に交流の検出電圧が印加される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、駆動電極群DV(n)と検出電極S(m)との交差位置毎の静電容量の変化から入力操作位置を検出するので、絶縁パネル上の2点以上の異なる位置を同時に入力操作しても、各入力操作位置を検出でき、また、絶縁パネルに配線される駆動電極の数より少ない数の駆動電極群DV(n)毎に駆動制御して、入力操作位置を検出するので、短時間に全ての入力操作位置を検出できる。
【0023】
請求項2の発明によれば、第2方向に沿って複数設定される各駆動電極群DV(n)を、任意の順に駆動制御することができるので、周囲の商用交流電源から周期的に発生するコモンモードノイズの影響を受けないように駆動制御順を調整したり、入力操作速度に応じて駆動電極群DV(n)を飛び越し駆動制御することができる。
【0024】
請求項3の発明よれば、マイコンの入出力ポートの状態を切り換える簡単な構成で、入力操作位置や入力操作速度に応じて、絶縁パネル上の駆動電極群を構成する駆動電極数を変更したり、駆動電極群の駆動順序を変更でき、より正確に迅速に入力操作位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る静電容量式タッチパネル1の駆動電極群DV(n)と検出電極Smに表れる検出電圧レベルR(m、n)との関係を示す説明図である。
【
図3】駆動電極群DV(n)を駆動制御するマイコン4の入出力ポートpのモード状態を示す状態図である。
【
図4】
駆動電極群DV(n)に駆動電圧を印加した際に、Y方向に沿った入力操作体の入力操作位置と、入力操作位置でY方向に沿って配線される検出電極S(m)に表れる検出電圧レベルR(m、n)との関係を、検出電圧レベルR(m、n)の極性を反転させて示し、(a)は、駆動電極群DV(1)を駆動制御した際の
Y方向に沿った入力操作体の入力操作位置と、検出電圧レベルR(m、1)
との関係を、(b)は、駆動電極群DV(2)を駆動制御した際の
Y方向に沿った入力操作体の入力操作位置と、検出電圧レベルR(m、2)
との関係を、(c)は、駆動電極群DV(3)を駆動制御した際の
Y方向に沿った入力操作体の入力操作位置と、検出電圧レベルR(m、3)
との関係を、それぞれを示す
説明図である。
【
図5】検出電圧レベルR(m、n)から入力操作位置を検出する方法を示す説明図である。
【
図6】従来の静電容量式タッチパネル100
の駆動電極群DV(n)に駆動電圧を印加した際に、駆動走査方向に沿った入力操作体の入力操作位置と、入力操作位置近傍で駆動走査方向に沿って配線される検出電極S(m)に表れる検出電圧レベルR(m、n)との関係を、検出電圧レベルR(m、n)の極性を反転させて示し、(a)は、駆動電極群DV(1)を駆動制御した際の
駆動走査方向に沿った入力操作体の入力操作位置と、検出電圧レベルR(m、1)との関係を、(b)は、駆動電極群DV(2)を駆動制御した際の
駆動走査方向に沿った入力操作体の入力操作位置と、検出電圧レベルR(m、2)との関係を、(c)は、駆動電極群DV(3)を駆動制御した際の
駆動走査方向に沿った入力操作体の入力操作位置と、検出電圧レベルR(m、3)との関係を、それぞれを示す
説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態に係る静電容量式タッチパネル(以下、タッチパネルという)1を、
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1に示すように、このタッチパネル1は、絶縁パネル2上に、X方向に沿って菱形のパターンを連続させた13本の駆動電極D1〜D13と、Y方向に沿って菱形のパターンを連続させた12本の検出電極S1〜S12がそれぞれ互いに絶縁して配線されている。13本の駆動電極D1〜D13は、Y方向に等ピッチで、12本の検出電極S1〜S12は、X方向に等ピッチで配線され、一方の電極の菱形のパターンが他方の電極の菱形のパターンの隙間を相補し、全体で千鳥状のパターンとなって表れている。
【0027】
絶縁パネル2上に格子状に配線された駆動電極D1〜D13及び検出電極S1〜S12の表面側は、これらの電極を保護するとともに、指等の入力操作体が直接これらの電極に触れて誤作動しないように、図示しない透明絶縁シートで覆われている。すなわち、本実施の形態に係るタッチパネル1は、入力操作体を透明絶縁シートに触れ、若しくは近接させて入力操作を行い、透明絶縁シートを介して入力操作体が接近することによる駆動電極Dと入力操作体間の静電容量の増大を、入力操作体近傍の検出電極S(m)に表れる検出電圧レベルR(m、n)から読みとり、入力操作位置を検出するものである。この検出原理のもとに、駆動電極D1〜D13間のピッチは、絶縁パネル2上のいずれに入力操作があっても、その入力操作位置が検出できるピッチとするが、その詳細は、後述する。
【0028】
図2に示すように、各駆動電極D1〜D13は、それぞれノイズを除去するダンピング抵抗6を介して、パルス高さがVoの検出電圧を矩形波交流信号にして出力する検出電圧発生回路3に接続している。また、各駆動電極D1〜D13とダンピング抵抗6の接続点には、マイコン4の入出力ポートP1〜P13が各駆動電極D1〜D13に対応して接続している。
【0029】
入出力ポートPが、その入出力ポートPを出力ポートの状態とするOFFモードである場合には、その入出力ポートが接続する駆動電極(図中のD1、D5、D13)の電位が出力ポートの電位(例えば「L」)レベルであれば0V、「H」レベルであればVCC)で安定し、検出電圧発生回路3から出力される矩形波交流信号の検出電圧は、その入出力ポートPに接続する駆動電極D(図中のD1、D5、D13)に印加されない。また、入出力ポートPが、その入出力ポートPを入力ポートの状態とするONモードである場合には、その入力ポートPがハイインピーダンス状態であるので、検出電圧発生回路3から出力される矩形波交流信号は、入出力ポートP(図中のP2〜P4)へ流れ込まず、その入出力ポートPに接続する駆動電極D(図中のD2〜D4)に、矩形波交流信号による検出電圧が印加される。つまり、マイコン4は、任意の順に任意の1又は2以上の入出力ポートPを出力ポートか入力ポートの状態とするだけで、その入出力ポートPが接続する駆動電極Dへの検出電圧を印加を制御することができる。
【0030】
本実施の形態では、
図1に示すように、Y方向で隣り合う3本の駆動電極D毎に駆動電極群DV(n)にまとめられ、Y方向で隣り合う駆動電極群DV(n)と駆動電極群DV(n’)は、その間に配線される駆動電極Dにおいて重複し、重複する駆動電極Dがいずれの駆動電極群DV(n)、DV(n’)をも構成している。このようにして、絶縁パネル2に配線される13本の駆動電極Dから、6種類の駆動電極群DV(n)(nは1から6までの整数)が設定される。
【0031】
マイコン4は、
図3に示すように、Y方向に沿った駆動電極群DV(n)の順に、駆動電極群DV(n)に対応する入出力ポートPを0Nモードとして、その駆動電極群DV(n)を構成する3本の駆動電極Dに同期する矩形波交流信号を出力し、パルス高さがVoの駆動電圧を印加する。これにより、駆動電極群DV(n)毎に駆動電圧を印加する6回の駆動制御で、絶縁パネル2上に配線された全ての駆動電極Dへ駆動電圧を印加することができる。
【0032】
12本の検出電極S(m)(mは1から12までの整数)は、マイコン4からの制御によりマイコン4の電圧検出回路4aとの接続が切り換えられるマルチプレクサ7に接続している。マイコン4は、各駆動電極群DV(n)の駆動制御期間毎に、12本の検出電極S(m)との接続を順に切り換え、切り替え接続した検出電極S(m)をマイコン4の電圧検出回路4aへ接続する。
【0033】
電圧検出回路4aは、駆動電極群DV(n)の3本の駆動電極Dに駆動電圧を印加することにより、駆動電極群DV(n)と交差する検出電極S(m)間の静電容量C
0を介して検出電極S(m)に表れる矩形波交流信号のパルス高さ(入力電圧Vi)を読みとる。この静電容量C
0はほぼ一定値であるので、入力操作体が接近せずに駆動電極群DV(n)の浮遊容量に変動がなければ、入力電圧Viは、駆動電圧Voに比例する一定電圧Vcで変化しない。一方、入力操作体が駆動制御された駆動電極群DV(n)若しくは検出電極S(m)に接近すると、駆動電極群DV(n)若しくは検出電極S(m)と入力操作体間の静電容量が増大し、矩形波交流信号の一部が入力操作体へ流れ、検出電極S(m)に表れる入力電圧Viは低下する。入力操作体とこれらの駆動電極群DV(n)若しくは検出電極S(m)との距離が接近するほど、入力電圧Viは、一定電圧Vcから低下するので、マイコン4がこの電位差から入力操作位置を算出するように、電圧検出回路4aは、読みとった入力電圧Viを、一定電圧Vcとの電位差を反転させて二値化した検出電圧レベルR(m、n)で表す。
【0034】
マイコン4は、各駆動電極群DV(n)を駆動制御し、駆動制御した駆動電極群DV(n)毎に交差する検出電極S(m)の接続を切り替え制御するので、これらの一走査周期で電圧検出回路4aから、
図1に示すように、n行m列の検出電圧レベルR(m、n)が得られる。ここで、検出電圧レベルR(m、n)は、駆動電極群DV(n)を駆動制御している間に駆動電極群DV(n)に交差する検出電極S(m)に表れる電位の変化量を表すので、入力操作体が駆動電極群DV(n)と検出電極S(m)の交差位置に接近すると、検出電圧レベルR(m、n)が増大する。従って、マイコン4は、n行m列の検出電圧レベルR(m、n)を比較し、極大値が検出された交差位置の近傍を入力操作位置として検出する。
【0035】
図4は、検出電極S(m)の配線位置をX方向の入力操作位置とし、駆動電極群DV(1)、DV(2)、DV(3)を駆動制御した場合に、検出電極S(m)から検出される検出電圧レベルR(m、n)とY方向の入力操作位置(検出電極S(m)上のY方向の位置)との関係を示す波形図であり、同図(b)に示すように、駆動電極群DV(2)を駆動制御した場合の検出電圧レベルR(m、2)は、入力操作位置が駆動電極群DV(2)の中央(駆動電極D4の配線位置)である場合に最も高く、入力操作位置が駆動電極群DV(2)を構成する駆動電極D1とD3間で高い値で推移する。上述の通り、入力操作位置が駆動制御される駆動電極群DV(2)からはずれるほど検出電圧レベルR(m、2)は減少するが、少なくとも入力操作位置が駆動電極群DV(2)に隣り合う駆動電極群DV(1)、DV(3)の中間位置(Y
1)(Y
4)まで離れている場合にも、検出電圧レベルR(m、2)が一定値(b1)(b4)として検出されるように、駆動電極群DV(2)から中間位置(Y
1)(Y
4)までの距離、すなわち、駆動電極D間のY方向のピッチを設定する。ここでの入力操作位置とは、入力操作体を透明絶縁シートに触れ、若しくは近接させる入力操作での入力操作体のY方向の位置であり、従って、入力操作体を中間位置(Y
1)(Y
4)の上方に近接させた状態で、少なくとも検出電圧レベルR(m、2)が一定値(b1)(b4)として検出される。
【0036】
各駆動電極D1〜D13は、同一形状で互いが等ピッチで配線されているので、駆動電極群DV(1)を駆動制御し、その駆動電極群DV(1)に隣り合う駆動電極群DV(2)の中間位置(駆動電極D4の配線位置)が入力操作位置である場合であっても、検出電圧レベルR(m、1)が一定値で検出され、また、同様に、駆動電極群DV(3)を駆動制御し、その駆動電極群DV(3)に隣り合う駆動電極群DV(2)の中間位置(駆動電極D4の配線位置)が入力操作位置である場合であっても、検出電圧レベルR(m、3)が一定値で検出される。その結果、入力操作位置(検出電極S(m)上のY方向の位置)がY方向のいずれにあっても、その周囲で隣り合う少なくとも2種類の駆動電極群DV(n)DV(n’)を駆動制御した際に検出される各検出電圧レベルR(m、n)、R(m、n’)が0とならない一定値で検出され、この値からY方向のいずれの入力操作位置であっても検出できる。
【0037】
例えば、
図4において、入力操作位置がY
1である場合に、検出電圧レベルR(m、1)が駆動電極群DV(1)内の入力操作位置を示すa1、検出電圧レベルR(m、2)が駆動電極群DV(2)から入力操作位置が離れるほど減少するb1であることから、駆動電極群DV(1)内の入力操作位置Y
1が検出される。
【0038】
また、同様に駆動電極群DV(2)内の入力操作位置Y
2、Y
3であっても、入力操作位置がY
2である場合の検出電圧レベルR(m、1)が駆動電極群DV(1)から入力操作位置が離れるほど減少するa2であること、及び入力操作位置がY
3である場合の検出電圧レベルR(m、3)が駆動電極群DV(3)から入力操作位置が離れるほど減少するc3であることから、駆動電極群DV(2)内の入力操作位置Y
2とY
3が正確に検出される。
【0039】
以下、上述のタッチパネル1により入力操作体の入力操作位置を検出する一例を説明する。6種類の各駆動電極群DV(n)を駆動制御している間に、12本の各検出電極S(m)から読みとった入力電圧Viをもとに、
図5に示すように、6行12列の検出電圧レベルR(m、n)が検出されたものとする。ここで、説明を容易にするため、電圧検出回路4aにより二値化された検出電圧レベルR(m、n)は、10進値で示している。
【0040】
入力操作体との静電容量が無視できるほど入力操作位置から離れた交差位置(m、n)では、検出電極S(m)から読みとった入力電圧Viは、一定電圧Vcであるので、その交差位置(m、n)での検出電圧レベルR(m、n)は「0」となる。一方、入力操作位置近傍の交差位置(m、n)での検出電圧レベルR(m、n)は、その周囲に比べて最大となるので、図中X方向とY方向で極大値が検出された交差位置(m、n)の近傍が入力操作位置であると推定し、その交差位置(m、n)に隣接する周囲の交差位置での検出電圧レベルR(m、n)を入力操作位置の検出に利用する有効データとする。
【0041】
しかしながら、入力操作体と無関係に、コモンモードノイズや検出誤差などにより、検出電圧レベルR(m、n)が一定値となる場合があるので、入力操作による入力電圧Viの変化と識別するため、極大値が一定の閾値未満(
図5では「20」未満)の検出電圧レベルR(m、n)である場合には無視し、以下の入力操作位置の検出を行わない。また、閾値以上の極大値が複数検出された場合には、それぞれの交差位置の近傍に同時に入力操作があったものと推定し、各交差位置について入力操作位置の検出を繰り返して行う。
【0042】
図5では、極大値のうち、所定の閾値を越えた極大値は、検出電極S(7)と駆動電極群DV(4)の交差位置(7,4)での「90」のみであるので、交差位置(7,4)近傍の一箇所への入力操作と推定し、その交差位置(7,4)周囲の検出電圧レベルR(6−8、3−5)を有効データ(図中斜線で表示)とする。
【0043】
X方向の入力操作位置xの検出は、有効データのX方向の加重平均値から求める。すなわち、12本の検出電極S(m)の絶縁パネル2上の配線位置毎に、初期値に「16」、X方向のピッチに「32」を割り当てて重み付けする。検出電極S(1)の重み付けを「16」とするのは、入力操作体の影響をX方向の片側からのみ受けるからである。続いて、有効データを検出電極S(6−8)毎にY方向に合計し、Sum(6)「110」、Sum(7)「177」、Sum(8)「88」を算出し、その総和「375」を算定すると共に、検出電極S(6−8)毎の合計値Sum(6−8)に、その検出電極S(6−8)の配線位置に付与された重み付けを乗じて、その総和「77296」を算出する。加重平均から求めるX方向の入力操作位置は、「77296」/「375」の206.1であり、X方向について重み付けした206.1の位置(検出電極S(6)と検出電極S(7)の間)が入力操作位置として検出される。
【0044】
同様に、Y方向の入力操作位置yの検出は、有効データのY方向の加重平均値から求める。Y方向の位置の重み付けは、6種類の各駆動電極群DV(n)間の間隔に「16」を割り当て、各駆動電極群DV(n)の中間位置毎に「16」づつ繰り上げる。続いて、有効データを駆動電極群DV(3−5)毎にX方向に合計し、Sum(3)「80」、Sum(4)「194」、Sum(5)「101」を算出し、その総和「375」を算定すると共に、駆動電極群DV(3−5)毎の合計値Sum(3−5)に、その駆動電極群DV(3−5)のY方向中間位置に付与された重み付けを乗じて、その総和「24336」を算出する。加重平均から求めるY方向の入力操作位置は、「22436」/「375」の64.9であり、Y方向について重み付けした64.9の位置(駆動電極群DV(4)と駆動電極群DV(5)の間)が入力操作位置として検出される。
【0045】
本実施の形態によれば、6種類の駆動電極群DV(n)を駆動制御するだけで、絶縁パネル2に配線した13本の駆動電極Dの全体に駆動電圧を印加することができ、少なくとも2本毎に駆動電極Dを束ねて駆動電圧を印加する制御回数以下で、駆動電極D間の入力操作位置を検出できる。
【0046】
上記実施の形態では、Y方向に沿った駆動電極群DV(n)の順に駆動制御したが、駆動制御する駆動電極群DV(n)と、各駆動電極群DV(n)を駆動制御している間の各検出電極S(m)の接続は、マイコン4による制御で任意の順とすることができる。
【0047】
また、上述のタッチパネル1では、6種類の駆動電極群DV(n)を駆動制御する一駆動走査で検出される6行12列の検出電圧レベルR(m、n)から入力操作位置を検出しているが、複数回の駆動走査を繰り返し、各交差位置(m、n)について得られる複数の検出電圧レベルR(m、n)を用いて、入力操作位置を検出してもよい。
【0048】
例えば、駆動電極群DV(n)の順を、各駆動走査毎に変えて各駆動走査毎に検出される検出電圧レベルR(m、n)の平均値を、交差位置(m、n)についての検出電圧レベルR(m、n)とし、入力操作位置を検出する検出電圧レベルR(m、n)から周期的に発生するコモンモードノイズの影響を除くようにしてもよい。
【0049】
上記実施の形態では、マイコン4の入出力ポートPについて、出力ポートと入力ポートとの間でモードを切り換えることができる入出力ポートPとして説明したが、例えば、更に、入出力ポートPを高インピーダンスモードとする、いわゆるトライステートポートであってもよく、この場合は、入力ポートとするモードに代えて、高インピーダンスモードとしても同様の機能を実現できる。
【0050】
また、上記実施の形態では、検出電圧発生回路3が矩形波交流信号を出力するものとして説明したが、交流信号は矩形波に限定されず、例えば、正弦波など、他の態様の交流信号であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、クロスポイント方式で入力操作位置を検出する静電容量式タッチ入力装置に適している。
【符号の説明】
【0052】
1 静電容量式タッチパネル
2 絶縁パネル
3 検出電圧発生回路
4 マイコン
4a 電圧検出回路(静電容量検出手段)
5 駆動制御部
D 駆動電極
DV(n) 駆動電極群
S(m) 検出電極
P 入出力ポート