(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外配置筒部が大径部位とこれに連続した小径部位を有していて、前記大径部位に前記雄ねじ部が設けられ、前記小径部位に前記雄ねじ部より小径な他の雄ねじ部が設けられていて、前記他の雄ねじ部に前記ストッパ部が螺合されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。
前記外配置筒部の外周径が各部同じで、この外配置筒部の略全長にわたり前記雄ねじ部が形成されていて、この雄ねじ部に前記ロック部材と前記ストッパ部が夫々螺合されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。
前記ロック部材が前記機器外装体に接して位置決めされた状態で前記ロック部材の先端から露出されるとともに、前記ストッパ部に前記係止部が接離された状態で前記ロック部材の先端部で覆われる目印が、前記ヘッドに設けられていることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の携帯機器。
【背景技術】
【0002】
腕時計や懐中時計などの携帯時計、ストップウオッチ、携帯電話、携帯型情報端末機などの携帯機器の中には、例えば機器外装体内の接点等を動作させる押しボタンを機器外装体に取付けたものがある。押しボタンが所定ストローク押込まれることによって、例えば携帯時計では、文字板の照明、又は時計表示をアナログ表示からデジタル表示に或いはこの逆に切換えることができ、或いは、デジタル表示された日付や曜日を修正することができる。
【0003】
この種の携帯機器は、押しボタンがその押込み方向と逆方向にばねで付勢されているので、このばねの力でパイプから押しボタンが外側に抜けないように構成されている。そのための構成として、機器外装体に固定されたパイプを通って機器外装体の内部に達した押しボタンの端部に、パイプの端に引っ掛かるC型やE型の止め輪が取付けられている。
【0004】
こうした構成を前提として、従来の携帯機器は、押しボタンの誤操作を防止するためのロック部材を備えている。ロック部材は、その内周に形成された雌ねじ部を、機器外装体に固定されたパイプの外周に形成した雄ねじ部に螺合させて、これらねじ部の噛み合いの変化により、ロック位置と非ロック位置とにわたって移動可能に設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この構成においてロック部材が非ロック位置に移動されると、パイプを貫通した押しボタンのヘッドからロック部材が離れる。このため、その離れた距離に相当するストロークで押しボタンの押し込み操作が許容される。この逆に、ロック部材がロック位置に移動されると、ロック部材が押しボタンのヘッドに接した状態となる。これにより、押しボタンの押し込みが防止される。
【0006】
更に、ロック状態と非ロック状態とで押しボタンの外観が変わることがなく、しかも、ロック状態でも雌雄のねじ部にゴミが侵入し難くなるようにした従来技術も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
この従来技術では、機器外装体に固定されたパイプの外周にロック部材を軸方向に移動可能に嵌合し、このロック部材を覆う回転リングをパイプに対して軸方向に移動できないように保持している。そして、回転リングの内周に形成された雌ねじ部はロック部材の外周に形成された雄ねじ部に螺合されている。そのため、これらねじ部の噛み合いの変化により、ロック部材をロック位置と非ロック位置とにわたって移動させることができる。
【0008】
この構成において回転リングが回転操作されるに伴いロック部材が非ロック位置に移動されると、パイプを貫通した押しボタンのヘッドからロック部材が離れる。このため、ロック部材とヘッドとの離間距離に相当するストロークで、押しボタンの押し込み操作が許容される。この逆に、回転リングの回転によりロック部材がロック位置に移動されると、このロック部材が押しボタンのヘッドに接した状態となる。これにより、押しボタンの押し込みが防止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術は、押しボタンを、これに取付けられた止め輪が機器外装体内においてパイプの端に引っ掛かることで位置決めし、この状態の押ボタンのヘッドに、ロック位置に移動されたロック部材が接触するように構成されている。こうして押しボタンがロックされた状態でも、雄ねじ部と雌ねじ部との噛み合った状態は維持されている。
【0011】
ところで、ロック部材がロック位置に達することに引き続いて、雌ねじ部を有したロック部材又は回転リングが操作者により誤って過度に回転操作されることがある。
このような誤操作は次の理由により可能である。つまり、止め輪の強度は、さほど大きくなく、止め輪の弾性変形も比較的容易であり、しかも、止め輪は切れ目を有しているので縮径するように変形可能である。このため、ロック部材がロック位置に達したことが、止め輪の弾性変形により使用者にとって感知し難い。このことに起因して既述のようにロック部材又は回転リングが誤操作されることがある。
【0012】
こうしてロック部材又は回転リングが誤って過度に回転操作された場合、それに伴って、変形された止め輪がパイプの内部に引き込まれることがある。その結果、誤操作後における押しボタンの円滑な軸方向移動が阻害されるおそれが考えられる。特に、操作性を向上するために、ロック部材又は回転リングの外径がより大きく設計されている場合は、既述の誤操作による回転トルクが増える。これに伴い、止め輪の変形がより容易となって、止め輪がよりパイプの内部に引き込まれる可能性が高い。しかも、既述の誤操作がもたらす不具合は、ロック部材又は回転リングの外径をより大きく設計することを妨げる因子となっている。
【0013】
なお、既述の不具合への対策として、止め輪の肉厚を厚くし、或いは高強度の材料で止め輪を形成することで、止め輪を変形し難くすることが考えられる。しかし、このようにすることは、新たに開発を要する専用の止め輪が用いるので、コスト高になる。加えて、押しボタンの軸部に対する止め輪の着脱作業が面倒となり、押しボタンまわりを分解して掃除する場合の作業性を大きく低下させることになる。したがって、好ましい対策ではない。
【0014】
本発明の目的は、ロック部材が押しボタンの押込みを妨げるロック位置に移動された状態で、このロック部材が誤って過度に回転操作されることを防止可能な携帯機器及び携帯時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本発明の携帯機器は、貫通孔が形成された機器外装体と、前記貫通孔に挿入して前記機器外装体に固定された挿入筒部、及びこの挿入筒部と一体で前記機器外装体の外部に配置されるとともに雄ねじ部及びストッパ部が設けられた外配置筒部を備えるパイプと、前記ストッパ部に接離される係止部、ボタン押込み用の凹部、及び雌ねじ部を夫々備え、前記雌ねじ部を前記雄ねじ部に螺合しかつ前記外配置筒部を覆って前記パイプの軸方向に移動可能に取付けられたロック部材と、前記パイプを貫通した軸部、及び前記凹部の底面と対向する対向部を有して前記機器外装体の外部に位置されたヘッドを備えて、軸方向に移動可能に設けられた押しボタンと、この押しボタンを前記機器外装体の外部に向けて付勢するばねと、前記軸部の前記機器外装体の内部に位置された軸端部に取付けられて前記押しボタンを前記パイプから抜け止めする止め輪と、を具備し、前記ロック部材が前記機器外装体に接して位置決めされた状態での前記ストッパ部とこれに対向した前記係止部との離間距離A、及び同状態での前記底面と前記対向部との離間距離Bが、A≦Bの関係であることを特徴としている。
【0016】
本発明の携帯機器は、腕時計や懐中時計などの携帯時計、ストップウオッチ、携帯電話、携帯型情報端末機等に適用でき、その機器外装体とは外装ケース等を指している。本発明で、パイプのストッパ部は、パイプの外配置筒部と一体に形成されていても、外配置筒部とは別体で外配置筒部の外周に取付けられた構造物で形成されていてもよい。本発明で、ロック部材の係止部は、ロック部材の内周に周方向に沿って途切れることなく突出された環状部で形成することができ、或いは、同様に設けられた他の環状部で兼ねることも可能である。
【0017】
本発明で、押しボタンのヘッドが有した対向部は、ヘッドの裏側の端面を利用することが好ましい。しかし、ヘッドの周部外周を、ヘッドの表面と反対の裏側から切削し、それにより形成された環状の薄肉周部の根元に対して直角に連続する面を、対向部とすることも可能である。更に、対向部は面以外の構成であっても差し支えない。本発明で、止め輪には、C型又はE型の止め輪を使用することができる。
【0018】
本発明で、ばねが押しボタンを機器外装体の外方に付勢するとは、押しボタンが機器外装体の正面から押込まれるように設けられる場合、ばねが押しボタンを上方に付勢することを指し、又、押しボタンが機器外装体の側面から押込まれる場合、ばねが押しボタンを外側方に付勢することを指している。
【0019】
本発明で、使用者等によりロック部材が回転操作されることで、この部材の雌ねじ部とパイプの雄ねじ部との噛み合いの変化に伴って、ロック部材が非ロック位置とロック位置とに移動される。
【0020】
ロック部材が非ロック位置に移動された状態で、ロック部材の係止部はパイプのストッパ部から離れている。これとともに、同状態で、ロック部材が有したボタン押込み用の凹部の底面は、押しボタンが有したヘッドの対向部から離れている。このため、押しボタンを押込み操作することが可能である。押込まれた押しボタンの軸部によって、機器外装体内に配設されている例えば接点等のボタン応答部材を動作させることができる。
【0021】
ロック部材がロック位置に移動された状態で、ロック部材が有したボタン押込み用の凹部の底面は、押しボタンが有したヘッドの対向部に近接又は接している。これにより、ボタン押込み用凹部の底面がストッパとなって、押しボタンを押込まれないように保持できる。
【0022】
これとともに、ロック部材がロック位置に移動された状態で、ロック部材の係止部はパイプのストッパ部に接している。パイプの挿入筒部は機器外装体に固定されているので、結局のところ、係止部とストッパ部の接触(係合)によって、それ以上、ロック部材が機器外装体から離れないように、このロック部材は機器外装体に位置決めされた状態に保持されている。
これにより、使用者等がロック位置に移動されたロック部材を更に回転させようと試みても、ロック部材が誤った方向に回転されることが妨げられる。即ち、ロック位置に移動されたロック部材の誤操作を防止できる。
【0023】
この場合、仮に、雌ねじ部と雄ねじ部との螺合部での噛み合いの遊びに基づくロック部材の回転が若干可能であるとしても、そのときにロック部材を移動させようとする力は、パイプを介して機器外装体で支持される。このため、ボタン押込み用凹部の底面が押しボタンの対向部を強く押すことが防止される。
したがって、本発明によれば、押しボタンを介して止め輪に過負荷が掛からないようにでき、それに伴って、止め輪が変形してパイプ内に引き込まれるおそれをなくすことが可能である。
【0024】
本発明の携帯機器の好ましい形態は、前記発明において、更に、前記離間距離Bが前記離間距離Aより大きいことを特徴としている。
この好ましい形態では、ロック部材がストッパ部で位置決めされた状態で、ボタン押込み用の凹部の底面と押しボタンの対向部との間に隙間が形成される。このため、パイプの雄ねじ部とロック部材の雌ねじ部との噛み合いに遊びがあって、それを原因として、ロック位置に配置されたロック部材が誤った方向に回転操作されることがあっても、ロック部材が押しボタンの対向部を押すことがない。このため、止め輪が変形してパイプ内に引き込まれるおそれを、より確実になくすことが可能である。
【0025】
本発明の携帯機器の好ましい形態は、前記ストッパ部が、前記外配置筒部とは別体でかつ前記軸部及び前記ばねが貫通するリングで形成されていて、前記外配置筒部に取外し可能に螺合されていることを特徴としている。
この好ましい形態では、前記発明において、更に、パイプが有するストッパ部を、機器外装体に固定されたパイプの外配置筒部から取外すことで、ストッパ部に接離される係止部を有したロック部材を外配置筒部から外すことが可能となる。これにより、雌ねじ部と雄ねじ部との螺合部等を分解して掃除することが可能である。
【0026】
本発明の携帯機器の好ましい形態は、前記発明において、更に、前記外配置筒部が大径部位とこれに連続した小径部位を有していて、前記大径部位に前記雄ねじ部が設けられ、前記小径部位に前記雄ねじ部より小径な他の雄ねじ部が設けられていて、前記他の雄ねじ部に前記ストッパ部が螺合されていることを特徴としている。
この好ましい形態では、外配置筒部の小径部位の外周にストッパ部が螺合されているので、このストッパ部を覆うロック部材の内径を小さくでき、それに応じてロック部材の外径も小さくすることが可能である。これにより、手回し操作されるロック部材の外径が小さいことが要求される携帯機器例えば厚みの薄い携帯時計として実施する上で、この発明の形態は好適である。
【0027】
本発明の携帯機器の好ましい形態は、前記発明において、更に、前記外配置筒部の外周径が各部同じで、この外配置筒部の略全長にわたり前記雄ねじ部が形成されていて、この雄ねじ部に前記ロック部材と前記ストッパ部が夫々螺合されていることを特徴としている。
この好ましい形態では、外配置筒部の最大外径を規定する雄ねじ部にストッパ部が螺合されているので、このストッパ部を覆うロック部材の内径が大きくなり、それに応じてロック部材の外径も大きくなる。これにより、手回し操作されるロック部材の外径が大きいことが要求される携帯機器例えば厚みの厚い携帯時計として実施する上で、この発明の形態は好適である。
これとともに、ロック部材を回転操作する際のトルクが増えてロック部材の操作性を向上できる。それにも拘らず、既述のようにパイプ内に止め輪を引き込むような力が押しボタンに与えられることを防止できる。しかも、パイプの外配置筒部の外周に対するねじ部の加工が一度でよいので、パイプの加工コストを低減することが可能である。
【0028】
本発明の携帯機器の好ましい形態は、前記発明において、更に、前記係止部の内周に前記雌ねじ部が設けられていることを特徴としている。
この好ましい形態では、雌ねじ部とは別にこれに係止部を並べてロック部材に形成する加工を省略できる。これにより、ロック部材の加工コストを低減することが可能である。
【0029】
本発明の携帯機器の好ましい形態は、前記発明において、更に、前記ロック部材が前記機器外装体に接して位置決めされた状態で前記ロック部材の先端から露出されるとともに、前記ストッパ部に前記係止部が接離された状態で前記ロック部材の先端部で覆われる目印が、前記ヘッドに設けられていることを特徴としている。
この好ましい形態では、押しボタンがばねに抗して押込まれた場合、ヘッドの目印はロック部材の内部に没入して配置される。この逆に、ばねの力で押しボタンが押し戻された場合、ヘッドの目印はロック部材の外部に配置される。このため、押しボタンの押込みが完了したこと、又は、押しボタンが押込み可能であるのかどうかを、目印によって使用者に知らせることが可能である。
【0030】
前記課題を解決するために、本発明の携帯時計は、前記各発明のうちのいずれかの発明の携帯機器で形成されている。
本発明によれば、前記各発明のうちのいずれかの発明の携帯機器で携帯時計が形成されているので、ロック部材が押しボタンの押込みを妨げるロック位置に移動された状態で、このロック部材が誤って過度に回転操作されることを防止可能な携帯時計を提供できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ロック部材が押しボタンの押込みを妨げるロック位置に移動されたときに、機器外装体に固定されたパイプを介してロック部材を機器外装体に位置決めし、それ以上ロック部材が移動されないようにした構成を備えたので、ロック位置に移動された状態のロック部材が誤って過度に回転操作されることを防止可能な携帯機器及び携帯時計を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の第1の実施の形態を
図1から
図4を参照して説明する。
図1から
図4中符号11は携帯機器例えば携帯時計具体的には防水時計として使用される腕時計を示している。腕時計11は機器外装体例えば時計外装体12を備えている。
図3及び
図4に示すように時計外装体12内に、表示板例えば文字板13、表示を制御する機器例えば時刻表示用の針の動きを制御するムーブメント14、図示しないランプ、及び電源として図示しない電池等の所要部材が収められている。
【0034】
ムーブメント14は、ボタン応答部材例えば接点15を、少なくとも一個例えば2個(
図2及び
図4に夫々1個のみ図示する)有している。これらの接点15は、板ばね等で形成されていて、ムーブメント14の外周から突出されている。接点15が後述の押しボタン61で押されることによって、ムーブメント14等が夫々の押しボタン61に与えられた機能を発揮するようになっている。例えば、
図1及び
図2中右上の押しボタン61はスタート・ストップの機能を分担し、
図1及び
図2中右下の押しボタン61はランプの点灯・消灯をする機能を分担している。
【0035】
図3及び
図4に示すように時計外装体12は、ステンレス鋼やチタンなどの金属により環状に作られた胴21の正面に、文字板13を透視させるカバーガラス22を液密に装着するとともに、胴21の裏面に、金属や合成樹脂などから作られた裏蓋23を液密に装着して形成されている。
なお、
図3及び
図4中符号25はムーブメント14を支持する中枠を示している。更に、
図3及び
図4中符号26,27は夫々時計外装体12の液密を保持するためのパッキンを示している。又、
図1及び
図2中符号28は竜頭を示している。
【0036】
次に、時計外装体12の所定箇所例えばこの時計外装体12の側壁をなす胴21の二箇所に後述の押しボタン61を配設する構成を説明する。両押しボタン61とそれらを時計外装体12に配設する構成は同じであるため、ここでは
図3及び
図4を参照して文字板13を照明するランプの点灯・消灯を担う押しボタン61を胴21に配設する構成を代表して説明する。
【0037】
胴21は凹部31と貫通孔33を有している。凹部31は胴21の胴外面(外装体外側面)21aに開放して形成されている。貫通孔33は、その一端を凹部31の底面に開放するとともに、他端を時計外装体12の内面例えば胴内面(外装体内側面)21bに開放して形成されている。凹部31及びこれより小径の貫通孔33は、いずれも円形であるとともに、同心的に設けられている。
【0038】
胴21に円形のパイプ35が固定されている。パイプ35は、ステンレス鋼やチタンなどの金属製であって、挿入筒部36と、これと一体の外配置筒部37とで形成されている。挿入筒部36の先端部は縮径されている。なお、パイプ35は、それに後述のストッパ部40を一体形成する場合、金属製に限らず、合成樹脂製とすることも可能である。
【0039】
外配置筒部37の外周に雄ねじ部38,39とストッパ部40が設けられている。
外配置筒部37は、大径部位37aとこれに連続した小径部位37bを有している。大径部位37aは、挿入筒部36の最大外径より大径であって、挿入筒部36に連続している。小径部位37bは、大径部位37aを境に挿入筒部36と反対側で大径部位37aに連続している。この小径部位37bの外径は挿入筒部36の最大外径と略同じである。外配置筒部37の内面にパッキン収容溝37cが形成されていて、このパッキン収容溝37cは外配置筒部37の先端に開放されている。
【0040】
パイプ35の挿入筒部36は胴21の外側から貫通孔33に挿入されている。この場合、大径部位37aが凹部31の底面31aに接するまで挿入筒部36が挿入されているとともに、この挿入筒部36の縮径された先端部は例えば胴21の内部に突出されている。このパイプ35は金属製のろう材34により胴21に固定されている。ろう材34は、凹部31の底面31aと貫通孔33とがなす角部に形成された環形の溝に納められている。
【0041】
こうして時計外装体12に固定されたパイプ35の外配置筒部37は、凹部31の中央部に位置して胴21の外部、つまり、時計外装体12の外部に配置されている。外配置筒部37の大径部位37aの外周部に雄ねじ部38が形成されている。この雄ねじ部38は後述するロック部材51を軸方向に進退させるために設けられている。更に、外配置筒部37の小径部位37bの外周部に他の雄ねじ部39が形成されている。他の雄ねじ部39はストッパ部40を取付けるために設けられている。
【0042】
ストッパ部40は例えば外配置筒部37と別体の部品からなる。ストッパ部40は、金属製で、中央孔40aを有したリングで形成されており、その外径は雄ねじ部38の外径より大きい。中央孔40aの径はパッキン収容溝37cの開放端の径と略同じである。
【0043】
ストッパ部40の内周面に雌ねじ部41が形成されている。この雌ねじ部41を外配置筒部37の先端部に形成された他の雄ねじ部39に螺合させることによって、ストッパ部40が外配置筒部37の先端部を覆って取付けられている。この場合、外配置筒部37の先端にストッパ部40の底壁が接することによって、ストッパ部40は外配置筒部37の軸方向に位置決めされている。こうして取付けられたストッパ部40の中央孔40aはパッキン収容溝37cに連続している。
【0044】
ストッパ部40の底壁外面に溝42が設けられている。溝42は十の字に交叉するように形成されていて、この溝42に工具を係合させた状態でストッパ部40を回転させることができるようになっている。このため、ストッパ部40は取外し可能に外配置筒部37に螺合されている。
【0045】
外配置筒部37にこれを覆うロック部材51がパイプ35の軸方向に移動可能に取付けられている。
詳しくは、ロック部材51は、小径部51aと大径部51bを有して外周面が段付き形状をなす金属製のリングで形成されている。このロック部材51は、雌ねじ部52と、ボタン押込み用の凹部53と、中間凹部54と、係止部55を備えている。
雌ねじ部52は小径部51aの内面に形成されている。凹部53は、大径部51bの内面に、この大径部51bと同心的に形成されていて、大径部51bの端面に開放されている。
【0046】
中間凹部54は、雌ねじ部52と凹部53との間に形成されていて、凹部53の底面53aに直角に連続されている。このため、凹部53の底面53aは、凹部53の内周面と中間凹部54との間の段差を形成している。ボタン押込み用の凹部53及び中間凹部54の内径は雌ねじ部52より大きい。凹部53の内径は後述するヘッド63の外径より若干大きい。中間凹部54の内径は、凹部53の内径より小さく、かつ、ロック部材51の外径より若干大きい。
【0047】
係止部55は、雌ねじ部52と中間凹部54との間に設けられている。この係止部55は、ロック部材51の周方向に切れ目なく連続した環状の凸部で形成されていて、中間凹部54の底を仕切っている。
【0048】
ロック部材51は、その雌ねじ部52をパイプ35の雄ねじ部38に螺合させて、外配置筒部37に取付けられていて、この外配置筒部37を覆っている。ロック部材51の小径部51aは凹部31に収容されている。又、ロック部材51の大径部51bは凹部31外に配置されている。以上のようにロック部材51がパイプ35に支持された状態で、このロック部材51の係止部55は、雄ねじ部38及び雌ねじ部52の螺合部とストッパ部40との間に配設されている。
【0049】
なお、小径部51aの先端部外周に、この外周と凹部31の内周面との間をシールする防塵及び防水用のパッキン57が取付けられている。又、大径部51bの外周に、ロック部材51を手回し操作する際に指が滑らないようにするための複数の切溝56が、ロック部材51の軸方向と平行に設けられている。
パイプ35に押しボタン61が支持されている。押しボタン61は、金属又は合成樹脂の一体成形品であって、軸部62とヘッド63を備えている。
【0050】
軸部62は、円柱状であって、パイプ35の軸長より長い。この軸部62はパイプ35を軸方向に移動可能に貫通していて、胴21の内部に突出された軸部62の軸端部(先端部)に、パイプ35から押しボタン61を抜け止めする止め輪64が取付けられている。止め輪64は、金属製でC型又はE型であって、胴21の内部に突出された挿入筒部36の端面に引っ掛かる大きさを有している。
【0051】
軸部62の他の軸端に一体に設けられたヘッド63の外径は、ボタン押込み用の凹部53の内径より僅かに小さい。このヘッド63は対向部65を有している。対向部65は例えばヘッド63の裏側の端面で形成されている。更に、ヘッド63の外周に目印66が設けられている。この目印66は、ヘッド63の周方向に沿って連続しかつヘッド63の外周面に開放する環状溝の底に、ヘッド63をなした金属の地肌色とは異なる色の塗料を塗って形成されている。
【0052】
押しボタン61の軸部62を胴21の外側からパイプ35に挿入して貫通させた後に、胴21の内部に突出された軸部62の軸端部に止め輪64を取付けることにより、押しボタン61が、パイプ35に対して抜け止めされた状態に取付けられている。この取付けに伴って、ヘッド63は、時計外装体12の外部でかつボタン押込み用の凹部53内に嵌入して配置される。これとともに、対向部65が凹部53の底面53aに対向される。
【0053】
パイプ35のパッキン収容溝37cに、防水及び防塵のための少なくとも一個のパッキン71、例えば複数のパッキン71がパイプ35の軸方向に並べて収容されている。各パッキン71は弾性変形が可能なゴム系又はプラスチックス系の材料でリング状に形成されている。パッキン71は軸部62の周面に密接されている。このパッキン71によりパイプ35と押しボタン61との間がシールされている。
【0054】
更に、パッキン収容溝37cにパッキン押さえ72が収容されていて、このパッキン押さえ72は最も外側のパッキン71に接している。パッキン押さえ72とヘッド63との間にばね例えばコイルばね73が圧縮状態に挟まれている。コイルばね73は、押しボタン61が押し込まれることにより更に圧縮可能である。
【0055】
このコイルばね73のばね力によって、押しボタン61が時計外装体12の外部に向けて、具体的には胴21の外側方に向けて付勢されている。それにより、止め輪64が時計外装体12の内部に突出されたパイプ35の端面に引っ掛かった状態に保持される。なお、コイルばね73のばね力は、各パッキン71を時計外装体12の内部に向けて押えるので、これらパッキン71は軸部62により強く密接されてシール性が向上される。
【0056】
次に、胴21に固定されたパイプ35のまわりに種々の部品を取付ける手順を説明する。
まず、パイプ35の小径部51aの先端が凹部31の底面31aに接するまで、パイプ35の雄ねじ部38にロック部材51の雌ねじ部52をねじ込んで、パイプ35の外配置筒部37をロック部材51で覆う。
【0057】
次に、外配置筒部37の先端にストッパ部40が当たるまで、パイプ35の雄ねじ部39にストッパ部40の雌ねじ部41をねじ込んで、このストッパ部40を外配置筒部37の先端部に取付ける。このとき、取付け後においてストッパ部40が不用意に回転しないように、ストッパ部40をねじ込む前に雌ねじ部41に接着剤を塗布しておくことにより、雌ねじ部41を雄ねじ部39に接着止めすることが好ましい。この場合の接着力は、雌ねじ部41と雄ねじ部39の螺合を必要に応じて解除できる程度に設定するとよい。
【0058】
最後に、押しボタン61を取付ける。つまり、コイルばね73、パッキン押さえ72、及びパッキン71を、この記載順に押しボタン61の軸部62に嵌めてか、コイルばね73の圧縮を伴いながら軸部62をパイプ35の胴21の外部から貫通させる。これに伴って、コイルばね73及び軸部62がストッパ部40の中央孔40aに通される。そして、胴21の内部に突出された軸部62の先端部に止め輪64を取付けて、押しボタン61の抜け止めをする。
【0059】
又、腕時計11を分解掃除する際にパイプ35のまわりの部品を外すには、以上説明した取付けの手順とは逆の手順によって行うことが可能である。したがって、パイプ35のまわりの部品を外して、雌ねじ部41及び雄ねじ部39の掃除やパッキン71などの部品交換を行うことができる。
【0060】
以上の構成を備えた腕時計11において、押しボタン61を使用可能な通常状態で、押しボタン61は、このボタンの押込み方向と逆方向に押しボタン61を付勢するコイルばね73によって、
図3に示す非ロック位置に配置されていて、押し込み可能な状態に保持されている。この場合、止め輪64が挿入筒部36の先端部に引っ掛かって押しボタン61は外れ止めされている。
【0061】
これとともに、前記通常状態では、ロック部材51が最も深くねじ込まれていて、その小径部51aの先端は時計外装体12の凹部31の底面31aに接している。このため、ロック部材51は時計外装体12の胴21に位置決めされた状態にある。
【0062】
しかも、ロック部材51が最も深くねじ込まれていることに伴い、相対的に押しボタン61のヘッド63の大部分がロック部材51の外部に突出されているので、使用者は目印66を視認可能である。このため、目印66を視認した使用者は、押しボタン61が押込み可能な状態にあることを知ることができる。
【0063】
こうした通常状態で、ロック部材51の係止部55は、パイプ35の雄ねじ部38に接近されているとともに、パイプ35のストッパ部40から最も離れている。このときのストッパ部40とこれに対向した係止部55との離間距離をAとする。これとともに、前記通常状態で、ロック部材51が有した凹部53の底面53aは、押しボタン61のヘッド63が有した対向部65から最も離れている。このときの底面53aと対向部65との離間距離をBとする。そして、前記通常状態での離間距離Aと離間距離BとはA≦Bの関係にあり、第1実施形態では好ましい例としてA<Bの関係に設定されている。
【0064】
離間距離Aと離間距離Bによって押しボタン61の押し込みが可能である。この押しボタン61の押込みストロークは、離間距離Aと離間距離Bのうちで少なくとも離間距離Aにより規定されている。
【0065】
押しボタン61が胴21の外側からコイルばね73のばね力に抗して押し込まれた場合、軸部62の先端62aがこれに対向して配設されている接点15を押圧する。それにより、押しボタン61に割り当てられた機能が発揮されるようにムーブメント14が動作される。この後、押しボタン61の押圧が解除されるに伴い、押しボタン61はコイルばね73のばね力で元の状態に押し戻される。
【0066】
又、腕時計11の携帯中等に押しボタン61が不用意に押込まれないようにするには、ロック部材51を弛む方向に回転させれば良い。これに伴う雄ねじ部39と雌ねじ部52との噛み合いの変化によって、ロック部材51は、凹部31の底面31aから離れて時計外装体12の胴21から突出するように軸方向に移動される。
【0067】
こうしたロック部材51の移動は、その係止部55がパイプ35のストッパ部40に引っ掛かった状態に接触することで妨げられ、それ以上のロック部材51の回転操作ができなくなる。こうしてロック部材51がロック位置に移動された状態を
図4に示す。この状態で、押しボタン61が押込み力を受けた場合、ヘッド63の対向部65とボタン押込み用の凹部53の底面53aとの接触により、押しボタン61が押し込まれることが妨げられる。
【0068】
しかも、回転されることによりロック部材51が胴21に対して最も突出されるに伴い、相対的に押しボタン61のヘッド63の大部分がロック部材51の凹部53内に没して、目印66がロック部材51の先端部である大径部51bで覆い隠される。このように目印66が隠されることで、使用者は、押しボタン61の押込みができない状態にあることを知ることができる。
【0069】
ところで、パイプ35は、時計外装体12の胴21にろう付けで固定されている。このため、ロック部材51がロック位置に移動された際にストッパ部40に加わる負荷を、パイプ35を介して胴21で支持することができる。したがって、ストッパ部40は移動されない。これに加えて、ストッパ部40及び係止部55は、いずれも切れ目なく周方向に連続した構成であり、止め輪64と比較して遥かに強度が大きく変形し難い。このため、これらストッパ部40及び係止部55が変形されることもない。
【0070】
したがって、ロック部材51がロック位置に配置される際、ロック部材51の軸方向移動を停止させる信頼性が高い。これに伴い、ロック部材51の回転操作の終了時期を、使用者に対してより明確に感知させることが可能である。これとともに、前記信頼性の向上によりロック部材51の大径部位37aの外径をより大きく形成することが可能である。こうした構成が採用された場合は、ロック部材51を回転させる操作性をより改善できる。
【0071】
しかも、第1実施形態では前記離間距離Bが前記離間距離Aより大きい。このため、係止部55がストッパ部40と引っ掛かって、ロック部材51がロック位置に配置された状態で、
図4に示すようにボタン押込み用の凹部53の底面53aとヘッド63の対向部65との間に僅かなギャップgが確保される。
【0072】
胴21から離れる方向へのロック部材51の移動量は、パイプ31の雄ねじ部38及びロック部材51の雌ねじ部52の寸法精度のばらつきや、パイプ35に対するストッパ部40の固定位置のばらつきなどに起因して、多少多めになることが考えられる。しかし、このような事態であっても、前記ギャップgにより底面53aが対向部65に接触することが妨げられて、ロック部材51を押しボタン61のヘッド63に干渉しない状態に保持できる。
【0073】
以上のようにロック部材51が過剰に回転操作されることが防止されるとともに、ロック部材51の移動量が多少ばらついても、ロック位置に移動されるロック部材51が押しボタン61のヘッド63に干渉して、押しボタン61が胴21の外方に向けて押されることがない。
【0074】
これにより、軸部62に取付けられた止め輪64がその変形を伴ってパイプ35内に引き込まれるおそれがない。それに伴い、押しボタン61が不用意に抜け出るおそれもない。そのため、ダイバーズウォッチ等の防水時計における押しボタン61のロック機構としての信頼性を向上できる。
【0075】
そして、以上のように止め輪64がパイプ35内に引き込まれるおそれがないので、ロック部材51を非ロック位置に戻した状態での押しボタン61の押込み操作に支障をきたすおそれがない。したがって、円滑に押しボタン61を押込み操作することができる。
【0076】
又、以上説明したようにパイプ35の外配置筒部37は、大径部位37aとこれに連続した小径部位37bを有していて、大径部位37aに雄ねじ部38が設けられ、小径部位37bに雄ねじ部38より小径な他の雄ねじ部39が設けられていて、他の雄ねじ部39にストッパ部40が螺合されている。
【0077】
このように外配置筒部37の小径部位37bの外周にストッパ部40が螺合されている。このため、ストッパ部40を覆うロック部材51に形成された中間凹部54の内径を小さくでき、それに応じて、ロック部材51の外径を小さくすることが可能である。この構成は、押しボタン61を備え、かつ、ロック部材51の外径が小さいことが要求される厚みの薄い腕時計として実施する上で好適である。
【0078】
図5は本発明の第2の実施の形態を示している。この第2実施形態の構成は以下の説明を除いて第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同じ構成又は同一の機能を奏する構成については、第1実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
第2実施形態で、パイプ35の外配置筒部37の外周径は各部同じで、この外配置筒部37の略全長にわたり雄ねじ部38が形成されている。つまり、第1実施形態で説明した小径部位及びここに形成された雄ねじ部は省略されている。
【0080】
第2実施形態で、ストッパ部40は外配置筒部37の先端部において雄ねじ部38に螺合されている。これとともに、凹部31の底面31aとロック部材51との間においてロック部材51が雄ねじ部38に螺合されている。
【0081】
更に、第2実施形態で、ロック部材51の小径部51a及び大径部51bは、夫々第1実施形態と比較して大径であるとともに、小径部51aの外径に応じて凹部31も大径に形成されている。以上説明した構成以外は第1実施形態と同じである。
したがって、第2実施形態でも、第1実施形態で説明した理由により本発明の課題を解決できる。加えて、以下の点で第2実施形態は第1実施形態よりも優れている。
【0082】
第1に、パイプ35の外配置筒部37の外周面の形状が単純となり、パイプ35に対する加工が容易となることに加えて、パイプ35の外配置筒部37の外周に対するねじ部の加工が一度の作業で済む。このため、パイプ35の加工コストを低減することが可能である。
【0083】
第2に、雄ねじ部38にストッパ部40を螺合させたので、このストッパ部40の外径は雄ねじ部38の外径、つまり、パイプ35の最大外径より大きい。そのため、ストッパ部40を覆うロック部材51に形成された中間凹部55の内径が大きく、それに応じてロック部材51の外径も大きい。
【0084】
したがって、この構成は、押しボタン61を備え、かつ、ロック部材51の外径が大きいことが要求される厚みの厚い腕時計として実施する上で好適である。これとともに、大径なロック部材51の採用により、これを回転操作する際のトルクが増えて、ロック部材51の操作性が向上される。それにも拘らず、既述のようにパイプ35内に止め輪64を引き込む過大な力が押しボタン61に与えられることがない。
【0085】
図6は本発明の第3の実施の形態を示している。この第3実施形態の構成は以下の説明を除いて第2実施形態と同じであるので、第2実施形態と同じ構成又は同じ機能を奏する構成については、第2実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
第3実施形態で、ロック部材51の係止部55は、中間凹部54の底を仕切ってこれから小径部51aの先端面までの範囲を占めて形成されている。係止部55の内径は中間凹部54の内径より小さい。係止部55の側面55aは中間凹部54の底面を兼ねている。この側面55aはストッパ部40に接離する係合面として用いられている。更に、係止部55の内周に雌ねじ部52が設けられている。この雌ねじ部52をパイプ35の雄ねじ部38に螺合して、ロック部材51がパイプ35に取付けられている。以上説明した構成以外は第2実施形態と同じである。
【0087】
したがって、第3実施形態でも、第2実施形態で説明した理由により本発明の課題を解決できる。加えて、第3実施形態では、雌ねじ部52と係止部55を、ロック部材51の軸方向に並べて別々に形成する加工を省略できるので、ロック部材51の加工コストをより低減することが可能である点で、第2実施形態よりも優れている。
【0088】
図7は本発明の第4の実施の形態を示している。この第4実施形態の構成は以下の説明を除いて第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同じ構成又は同じ機能を奏する構成については、第1実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
第4実施形態で、パイプ35の外配置筒部37の小径部位37bの外周に、ストッパ部40が一体に形成されている。このストッパ部40の外径は、雄ねじ部38の外径より大きい。
【0089】
更に、第4実施形態で、ロック部材51は、第1部材要素51cと第2部材要素51dとの二部材で形成されている。
即ち、第1部材要素51cはリング形状で、その内周に、パイプ35の雄ねじ部38に螺合する雌ねじ部52が形成されているとともに、これからずれて係止部55が設けられている。係止部55の内径は、パイプ35の雄ねじ部38の外径より僅かに大きい。第1部材要素51cの外周に雄ねじ部51fが形成されている。
【0090】
この第1部材要素51cは、パイプ35が胴21にろう付けされる以前に、パイプ35の挿入筒部36側からパイプ35の雄ねじ部38に螺合して取付けられて、その係止部55がストッパ部40に接した位置決め状態に保持されるようになっている。
【0091】
第2部材要素51dは、内周に雌ねじ部51gが形成された小径部51aと、外周に切溝56を有した大径部51bとを有している。この第2部材要素51dの最小内径をなす中間凹部54の内径は、ストッパ部40の外径より大きい。第2部材要素51dの内面に、係止部55の根元に接する段部51eが形成されている。
【0092】
この第2部材要素51dは、ストッパ部40で位置決めされた状態に配置されている第1部材要素51cの外周に、挿入筒部36とは反対側からねじ込んで、第1部材要素51cに連結されている。このときの第2部材要素51dの回転方向は、第1部材要素51cをストッパ部40に接するまで挿入筒部36側からねじ込む場合の第1部材要素51cの回転方向と同じである。このため、第1部材要素51cの雄ねじ部51fと第2部材要素51dの雌ねじ部51gとの螺合が可能である。この螺合によって係止部55の根元が段部51eに接した状態にロック部材51が組立てられる。
【0093】
この場合、小径部51aの内周、つまり、小径部51aに形成された雌ねじ部51fに接着剤を塗布して、第1部材要素51cと第2部材要素51dとが連結される。このため、ロック部材51を非ロック位置とロック位置とにわたり移動させる際に、第1部材要素51cと第2部材要素51dとの連結は不用意に解除されることがない。なお、第1部材要素51cと第2部材要素51dとを接着する力を、雌ねじ部51gと雄ねじ部51fの螺合を必要に応じて解除できる程度に設定すると、押しボタン61のまわりの部品を分解及び掃除をすることが可能である。
【0094】
以上のようにパイプ35がその外配置筒部37と一体のストッパ部40を有しているにも拘らず、外配置筒部37の雄ねじ部38とストッパ部40との間に、このストッパ部40に接離される係止部55を有したロック部材51を、外配置筒部37を覆って設けることができる。以上説明した以外の構成、及び以上説明した以外のパイプ35のまわりの部品の組立て手順は第1実施形態と同じである。
【0095】
したがって、第4実施形態でも、第1実施形態で説明した理由により本発明の課題を解決できる。加えて、第4実施形態では、ストッパ部40が外配置筒部37と一体である。このため、ストッパ部40がロック部材51をロック位置に精度よく位置決めする信頼性が高い。これとともに、外配置筒部37に対するねじの加工数が減るので、ロック部材51の加工コストを低減することが可能である等の点で、第1実施形態よりも優れている。