【実施例1】
【0014】
以下、本発明を適用したウインドウウォッシャ装置の実施例1について説明する。
実施例1のウインドウウォッシャ装置は、例えば、乗用車等の自動車のフロントウインドウ部に設けられるものである。
図1は、本発明を適用したウインドウウォッシャ装置の実施例1の構成を示す模式図である。
フロントウインドウガラス10は、キャビンの前方側に設けられ、例えば、2次元曲面を有する合わせガラス等によって形成されている。
図1において、右ハンドル車を車外側から見た状態を示しており、左側が運転席側、右側が助手席側である。なお、左ハンドル車の場合には、左右反転した構成とすればよい。
【0015】
フロントウインドウガラス10には、運転席側ワイパ払拭領域11、助手席側ワイパ払拭領域12、運転席側撮像領域13、助手席側撮像領域14が設けられている。
運転席側、助手席側のワイパは、それぞれ収納時における運転席側に回動中心を有するワイパアームと、このワイパアームに取付けられたワイパブレードを有し、各払拭領域は、この回動中心と同心の扇形状となる。
運転席側ワイパ払拭領域11、助手席側ワイパ払拭領域12は、フロントウインドウガラス10の上部における車幅方向中央部においては、重複するように配置されている。
【0016】
運転席側撮像領域13、助手席側撮像領域14は、車室内に配置され、車両前方側の画像を撮像して外界認識を行う外界認識装置における運転席側カメラ、助手席側カメラの画角内に含まれる領域である。
運転席側カメラ、助手席側カメラは、1対のステレオカメラを構成し、外界認識装置は、画像処理によって車両前方の物体を認識するとともに、両者の視差を利用して物体までの距離を算出することができる。
運転席側撮像領域13、助手席側撮像領域14は、フロントウインドウガラス10の上端部近傍における車幅方向の中央部に、車幅方向に離間して配置されている。
【0017】
実施例1のウインドウウォッシャ装置100は、運転席側拡散ノズル110、助手席側拡散ノズル120、ジェットノズル130、及び、ウォッシャタンク、ウォッシャポンプ等を有して構成されている。
ウォッシャタンクは、ウォッシャ液が貯留される容器である。
ウォッシャポンプは、ウォッシャタンク内のウォッシャ液を加圧して吐出し、各ノズルに供給するものである。
【0018】
運転席側拡散ノズル110、助手席側拡散ノズル120は、フロントウインドウガラス10の広範な範囲にわたって、シャワー状にウォッシャ液を噴射するものである。
運転席側拡散ノズル110、助手席側拡散ノズル120は、車両のフロントフード上又はカウルトップ部に、車幅方向に離間して形成されている。
【0019】
上述した運転席側拡散ノズル110、助手席側拡散ノズル120のみにおいては、撮像領域、特に助手席側撮像領域14へのウォッシャ液供給が不十分となる場合がある。
そこで、実施例1においては、以下説明するジェットノズル130を設けている。
ジェットノズル130は、ウォッシャポンプから圧送されるウォッシャ液を、実質的に線状に、助手席側撮像領域14が主噴射領域となるように噴射するものである。
ジェットノズル130の噴射範囲は、運転席側拡散ノズル110、助手席側拡散ノズル120に対して狭小となっている。
ジェットノズル130は、運転席側拡散ノズル110、助手席側拡散ノズル120の間に配置されている。
【0020】
また、ウォッシャポンプからウォッシャノズル130にウォッシャ液を供給する供給管路は、ウォッシャポンプから運転席側拡散ノズル110、助手席側拡散ノズル120にウォッシャ液を供給する供給管路に対して短く形成され、これによって圧力損失も小さくされている。
なお、このような各供給管路は、ウォッシャ液を加温して粘性増加を抑制するため、エンジンや、電動車両の場合にはインバータ等の熱源に沿って配置することが好ましい。
【0021】
図1に、走行時に車両の外表面に沿って流れる気流の方向を破線矢印で示す。
ジェットノズル130は、助手席側撮像領域14に対して、この気流方向における上流側に配置されている。
また、ジェットノズル130は、車幅方向における位置が、車体の左右中心よりも助手席側であって、助手席側撮像領域14よりも車幅方向内側に配置されている。
【0022】
上述した運転席側拡散ノズル110、助手席側拡散ノズル120は、内部で渦流を発生させて拡散水流を形成しているため、低温等によってウォッシャ液の粘性が増加すると、内部での圧力損失が増加して噴射量は減少する。
これに対し、ジェットノズル130は、圧力損失が各拡散ノズル110,120に対して小さく、さらに供給管路も短く形成されていることから、ウォッシャ液の粘性が増加した場合であっても、拡散ノズル110,120側の圧力損失増大及びパスカルの原理により、噴出圧力を維持でき、飛翔距離も安定する。
【0023】
以上説明した実施例1によれば、低温等によってウォッシャ液の粘性が増加した場合であっても、ジェットノズル130の噴出圧力への影響を抑制することができ、ジェットノズル130からのウォッシャ液の飛翔距離を安定化し、助手席側撮像領域14を適切に洗浄することができる。
また、ウォッシャ液の供給管路をエンジン等の熱源に沿って配置し、ウォッシャ液を加熱することによって、外勤低下時のウォッシャ液の粘性増加を抑制するとともに、温水を噴射することで融雪性能や洗浄性能も向上することができる。
【実施例2】
【0024】
次に、本発明を適用したウインドウウォッシャ装置の実施例2について説明する。
なお、上述した実施例1と実質的に同様の箇所には、同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
実施例2のウインドウウォッシャ装置は、実施例1のウインドウウォッシャ装置に、以下説明するウォッシャ液の再加圧装置200を設けたものである。
【0025】
図2は、再加圧装置の構成を示す模式図である。
再加圧装置200は、ウォッシャポンプからジェットノズル130にウォッシャ液を供給する供給管路210の途中に接続されている。
供給管路210は、ウォッシャ液の逆流を防止するワンウェイバルブ(逆止弁)211と、このワンウェイバルブ211よりも下流側から分岐した分岐管212を有している。
【0026】
再加圧装置200は、円筒状に形成されたシリンダ220を有する。
シリンダ220内には、分岐管212が接続された第1室221、及び、エンジンの吸気管負圧が導入される第2室222が設けられている。
第1室221と第2室222との間には、シリンダ220に対して相対移動可能なピストン223によって区画されている。
ピストン223は、スプリング224によって第1室221側に付勢されている。
【0027】
第2室222に接続される吸気管負圧配管225には、図示しない開閉弁であるバキューム弁が設けられている。
このバキューム弁は、例えば外気温が所定値以下である低温状態であり、かつ、ジェットノズル130の非噴射時には開かれ、ピストン223は、吸気管負圧によって、第2室222を狭くする側へ移動している。
そして、低温状態でありかつジェットノズル130の噴射時には、バキューム弁は閉じられ、ピストン223は、スプリング224の付勢力によって、第1室221を狭くする方向に移動し、第1室221内に貯留されていたウォッシャ液を加圧して吐出する。
【0028】
以上説明した実施例2によれば、以上説明した実施例1の効果と実質的に同様の効果に加えて、ウォッシャ液の粘性が増加する低温時に、ジェットノズル130に供給されるウォッシャ液を再加圧装置200で再加圧することによって、ジェットノズル130の噴出圧力を高め、飛翔距離を安定化させてより精度よく助手席側撮像領域14を洗浄することができる。
また、エンジンで発生する吸気管負圧を利用するため、構造が簡単で、他に動力源を設ける必要がなく、さらに制御も容易である。
また、助手席側撮像領域14を強力に洗浄したい場合には、このような再加圧装置をマニュアル操作して噴出力を高めることも可能である。
【0029】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、ウインドウウォッシャ装置、再加圧装置を構成する各部材の構造、個数、配置等は、上述した各実施例の構成に限定されず、適宜変更することができる。