特許第5876437号(P5876437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5876437保護管補修方法、保護管補修用型枠、及び補修管
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876437
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】保護管補修方法、保護管補修用型枠、及び補修管
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20160218BHJP
【FI】
   H02G1/06
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-88284(P2013-88284)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2014-212640(P2014-212640A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】硲 昌也
(72)【発明者】
【氏名】藤本 光伸
(72)【発明者】
【氏名】奥田 忠弘
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−174699(JP,A)
【文献】 特開平04−092190(JP,A)
【文献】 特開2007−282343(JP,A)
【文献】 特公昭59−031925(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/00− 1/10
F16L 17/00−19/08
F16L 51/00−55/24
B29C 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設のケーブル(C)を内部に通しつつ、周方向に分割された複数の分割型枠(3)を組み合わせて管状の型枠(4)を形成する工程と、
前記型枠(4)の外周面に沿って、周方向に継ぎ目のない補修管(2)を形成する工程と、
前記補修管(2)の形成後に、この補修管(2)の内部で、管状とした前記型枠(4)を前記分割型枠(3)に再分割する工程と、
前記ケーブル(C)を前記補修管(2)内に残しつつ、前記再分割した前記分割型枠(3)を前記補修管(2)の端部から抜き取る工程と、
前記補修管(2)の端部と既設管(1)の端部とを連結する工程と、
を有する保護管補修方法。
【請求項2】
前記分割型枠(3)が、基部(5)と、前記基部(5)の一方の周方向端部に、この基部(5)に対して管軸中心方向に相対回動自在に連結された第一分割部(7)と、前記基部(5)の他方の周方向端部に、この基部(5)に対して管軸中心方向に相対回動自在に連結された第二分割部(8)と、前記管状の型枠(4)を形成した際に、前記第一分割部(7)と前記第二分割部(8)に介在して、前記型枠(4)の管体の一部を構成するスペーサ(9)と、を有する請求項1に記載の保護管補修方法。
【請求項3】
前記補修管(2)を形成する工程が、前記型枠(4)の外周面に未硬化の樹脂材を含む素材を巻き付ける工程と、この巻き付け工程後に前記樹脂材を硬化させる工程と、を有する請求項1又は2に記載の保護管補修方法。
【請求項4】
周方向に分割された複数の分割型枠(3)を有し、この分割型枠(3)を組み合わせて管状とし、の外周に、周方向に継ぎ目のない補修管(2)を形成する際に用いられ、
前記分割型枠()が、基部(5)と、前記基部(5)の一方の周方向端部に、この基部(5)に対して前記周方向端部周りに相対回動自在に連結された第一分割部(7)と、前記基部(5)の他方の周方向端部に、この基部(5)に対して前記周方向端部周りに相対回動自在に連結された第二分割部(8)と前記第一分割部(7)と前記第二分割部(8)に介在して管体の一部を構成するスペーサ(9)と、を有する保護管補修用型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、橋梁に添架されたり、地中に埋設されたりする電力ケーブルや通信ケーブル等のケーブルを保護するための保護管補修方法、その補修方法に用いる保護管補修用型枠、及びその補修方法によって形成された補修管に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力ケーブルや通信ケーブル等のケーブルは、橋梁に添架されたり、地下に埋設されたりするケースが増大している。この際、このケーブルを保護管の内部に収納して、その保護を図るのが一般的である。この保護管に、外部からの外的要因や地震等の地盤変動によって部分的に損傷が生じたり、経年劣化が生じたりした場合は、その損傷等した部分のみを補修する補修工事が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、周方向に二つ割れ構造とした分割管をその端面同士で突き合わせて管状とし、その内部に既設のケーブルを収納したケーブル収容管が開示されている。この端面同士を突き合わせた突き合わせ端部には、水密機能を備えたジッパー付きのH字形のガスケットが介在して設けられている。そして、このジッパーを閉めることによって、この突き合わせ端部の水密を図っている(同文献の図6等を参照)。また、特許文献2には、成形金型の外周に未硬化の樹脂を含浸した強化繊維を巻き付けて積層し、この樹脂を硬化させた後に成形金型を抜き取ることによって形成した、周方向に継ぎ目がない繊維強化樹脂製の管継手が開示されている。このように、周方向の継ぎ目をなくした管継手を保護管の補修に用いることにより、その補修箇所において、既設の保護管と同等の強度と水密を確保している。これらに示すように、管体の強度や水密状態を確保することにより、収納したケーブルを確実に保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3113083号公報
【特許文献2】特開2010−280100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すケーブル収容管は、二つ割れ構造とした分割管の突き合わせ端部の水密を確保するために、特殊なジッパーが必要となるため、コスト的に高くつきやすい。また、このジッパーが経年劣化した際に水密が低下して、このケーブル収容管内に水が浸入してケーブルに支障を来たす問題が生じ得る。しかも、二つ割れ構造であることから、周方向に継ぎ目がない既設の保護管と比較して、強度面で劣るという問題等もある。また、特許文献2に示す管継手は、その周方向に継ぎ目がないため、特許文献1に示すケーブル収容管のように、強度低下を生じたり、周面から水が浸入したりする恐れはないが、既設のケーブルを直接その管内に設けることができず、補修工事の際に既設のケーブルを一旦切断して、管継手の設置後に再接続しなければならないという手間を要する問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、保護管の補修工事をスムーズに行いつつ、既設の保護管と同等の強度、水密性等の性能を有する補修管を現地にて成形することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、この発明は、既設のケーブルを内部に通しつつ、周方向に分割された複数の分割型枠を組み合わせて管状の型枠を形成する工程と、前記型枠の外周面に沿って、周方向に継ぎ目のない補修管を形成する工程と、前記補修管の形成後に、この補修管の内部で、管状とした前記型枠を前記分割型枠に再分割する工程と、前記ケーブルを前記補修管内に残しつつ、前記再分割した前記分割型枠を前記補修管の端部から抜き取る工程と、前記補修管の端部と既設管の端部とを連結する工程と、を有する保護管補修方法を構成した。
【0008】
このように、分割型枠を組み合わせて管状の型枠を形成し、この型枠に沿って継ぎ目のない補修管を形成することにより、既設の保護管と同等の強度を確保し得るとともに、この補修管の周面からの水漏れを防止することができる。また、補修管の形成に用いる型枠として分割型枠を採用したことにより、管状の型枠の組み合わせ前に分割型枠同士の間の隙間から既設のケーブルを予めその内側に収納しておくことができる。さらに、補修管の形成後に型枠を分割型枠に再分割することで、分割型枠同士の間の隙間からこのケーブルを取り出すことができる。つまり、型枠内へのケーブルの収納及び取り出しに際し、このケーブルを一旦切断する必要がなく、一連の補修工事をスムーズに行うことができる。ここでいう分割とは、各分割型枠を物理的に離れた状態とするだけでなく、後述するように各分割型枠がヒンジ等の連結手段で連結されている場合において、管状とした状態から、管状でない状態に相対回動させた場合も含む。
【0009】
この分割型枠として、複数の分割型枠の全てを分離した構成(連結されていない構成)としてもよいが、このケーブルの収納及び取り出しを自在に行い得る限りにおいて、複数の分割型枠のうち幾つかをヒンジ等の連結手段によって相対回動自在に連結した構成とすることもできる。このように分割型枠の幾つかを連結することによって、この分割型枠がバラバラの状態になりにくく、管状の型枠に組み合わせる際、及びこの分割型枠を補修管の端部から抜き取る際の作業性が向上する。
【0010】
前記構成においては、前記分割型枠が、基部と、前記基部の一方の周方向端部に、この基部に対して管軸中心方向に相対回動自在に連結された第一分割部と、前記基部の他方の周方向端部に、この基部に対して管軸中心方向に相対回動自在に連結された第二分割部と、前記管状の型枠を形成した際に、前記第一分割部と前記第二分割部に介在して、前記型枠の管体の一部を構成するスペーサと、を有するように構成するのが好ましい。
【0011】
このように、基部に対して、第一分割部と第二分割部を管軸中心方向に相対回動自在に連結するとともに、両分割部の間にスペーサを設けるようにすれば、このスペーサの着脱によって、各分割型枠を容易に組み合わせ、又は、分解することができる。この際、各分割部とスペーサとの間の隙間から、既設のケーブルの収納及び取り出しを行うことにより、上記と同様に、既設のケーブルを切断することなく、スムーズに補修工事を進めることができる。
【0012】
前記各構成においては、前記補修管を形成する工程が、前記型枠の外周面に未硬化の樹脂材を含む素材を巻き付ける工程と、この巻き付け工程後に前記樹脂材を硬化させる工程と、を有するのが好ましい。
【0013】
このようにすれば、継ぎ目のない補修管を容易に形成することができる。未硬化の樹脂として、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、常温硬化性樹脂等、種々のタイプの樹脂から選択して採用することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、複数の分割型枠を組み合わせて管状の型枠を形成し、この型枠に沿って継ぎ目のない補修管を形成する構成とした。このように、分割型枠を用いることにより、この分割型枠同士の間の隙間からケーブルを収納し又は取り出すことができる。このため、既設のケーブルを一旦切断することなく、継ぎ目のない補修管内に収納した状態とすることができる。しかも、補修管の継ぎ目がないため、既設の保護管と同等の強度を確保し得るとともに、補修管の周面からの水漏れを防止することができる。このため、補修管内に収納したケーブルを確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本願発明に係る保護管補修方法の工程を示す斜視図であって、(a)は損傷等が生じた保護管の一部を除去した状態、(b)は分割型枠内に既設のケーブルを収納した状態、(c)は型枠の外周面に沿って補修管を形成した状態
図1B】本願発明に係る保護管補修方法の工程(図1Aの続き)を示す斜視図であって、(a)は型枠を分割してケーブルを型枠外に取り外した状態、(b)は分割型枠を補修管の端部から抜き取った状態、(c)は補修管の端部と既設の保護管の端部とを固定治具を用いて固定した状態
図2】本願発明に係る分割型枠を示す断面図であって、(a)は分割型枠を組み合わせて管状の型枠とした状態、(b)は型枠を分割した状態
図3】保護管と補修管を固定する固定治具を示し、(a)は側面図、(b)は一部切欠き正面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願発明に係る保護管補修方法の工程を図1A及び図1Bに示す。まず、図1A(a)に示すように破損や経年劣化等が生じた部分の保護管1を取り除く。このとき、既設のケーブルCは切断せずにそのままの状態(保護管1内に通されたままの状態)としておく。次に、図1A(b)に示すように、新たに補修管2を形成しようとする箇所に、分割型枠3を組み合わせた型枠4を設ける。この分割型枠3は、図2(a)に示すように、基部5と、この基部5の一方の周方向端部に、この基部5に対して管軸中心方向に相対回動自在にヒンジ6によって連結された第一分割部7と、この基部5の他方の周方向端部に、この基部5に対して管軸中心方向に相対回動自在にヒンジ6によって連結された第二分割部8と、管状の型枠4を形成した際に、第一分割部7と第二分割部8に介在して、型枠4の管体の一部を構成するスペーサ9と、を備えている。
【0017】
本実施形態では、スペーサ9が単に第一及び第二分割部7、8の間に挟まれることによって保持される構成となっているが、第一及び第二分割部7、8に脱落防止治具を設け、この脱落防止治具で、スペーサ9が型枠4の内側に不用意に落下するのを防止する構成とすることもできる。
【0018】
次に、図1A(c)に示すように、管状とした型枠4の外周面に沿って、未硬化の樹脂を含浸した強化繊維(FRP)を巻き付ける。この巻き付け厚さは、保護管1(補修管2)に要求される強度(既設の保護管1と同等の強度)に対応して適宜決定する。この樹脂として、例えば、所定以上の温度に加熱することによって硬化する熱硬化樹脂、常温で硬化する常温硬化樹脂、紫外線の照射によって硬化する光硬化性樹脂等、種々のタイプの硬化性樹脂を採用することができる。
【0019】
この樹脂を硬化させて補修管2を形成した後に、図1B(a)及び図2(b)に示すように、スペーサ9を型枠4の内側に取り外すとともに、第一及び第二分割部7、8を基部5に対して管軸中心方向に相対回動させ、型枠4を各分割型枠3に分割した状態とする。そして、この相対回動によって生じた補修管2と第一及び第二分割部7、8との間に形成された隙間(すなわち型枠4の外側)にケーブルCを取り出す。このスペーサ9に、型枠4内側に起立する突起9aを形成しておけば、この突起9aを摘むことによって、容易にスペーサ9の取り外しを行うことができる。
【0020】
ケーブルCを型枠4から取り出した後に、補修管2の端部から、分割型枠3(基部5、第一及び第二分割部7、8、スペーサ9)を補修管2外に抜き取る(同図中の矢印を参照)。この分割型枠3を抜き取った後に、図1B(b)に示すように、既設の保護管1と補修管2の端面が一致するように軸心を合わせ、図1B(c)に示すように、固定治具10を用いて両管1、2を固定する。
【0021】
この固定治具10は、図3に示すように周方向に2分割した半円筒状の分割治具11を、その分割端面同士で突き合わせることによって構成される。この分割治具11の周方向の両端にはフランジ12が設けられ、このフランジ12には固定用のボルト13を通すボルト孔が形成されている。この分割治具11の内面には、ゴム製の止水部材14を設けている。この止水部材14の管軸方向両端部近傍には、中心軸側に向かって起立するとともに、この分割治具11の管軸方向中央側に傾斜する襞状部15が数条形成されており、この襞状部15により既設の保護管1及び補修管2の抜け止めを図っている。
【0022】
この分割型枠3を用いた保護管補修方法によると、既設のケーブルCを一旦切断する必要がないため、その補修作業をスムーズに行うことができる。また、周方向に継ぎ目のない補修管2を形成することができるため、既設の保護管1と同等の強度を確保し得るとともに、この補修管2の周面からの水の浸入を防止でき、この補修管2内に収納したケーブルCを確実に保護することができる。
【0023】
上記の実施形態においては、分割型枠3を基部5、第一及び第二分割部7、8、スペーサ9の4つの部材で構成したが、この分割部材3の数はこれに限定されず、各分割部材3の組み合わせ及び分割、及び補修管2を形成した後のその端部からのスムーズな抜き取りを行い得る限りにおいて適宜変更することができる。また、基部5と第一又は第二分割部7、8をヒンジ6で連結せずに、それぞれを独立した部材として構成することもできる。
【0024】
また、ヒンジ6を上記の実施形態のように基部5、第一及び第二分割部7、8の外周面側に設ける代わりに、それらの内周面側に設けることもできる。このようにすれば、ヒンジ6と補修管2が干渉せず、分割型枠3の分割作業等を一層スムーズに行い得る。
【符号の説明】
【0025】
1 保護管
2 補修管
3 分割型枠
4 型枠
5 基部
6 ヒンジ
7 第一分割部
8 第二分割部
9 スペーサ
10 固定治具
11 分割治具
12 フランジ
13 ボルト
14 止水部材
15 襞状部
C ケーブル
図1A
図1B
図2
図3