【文献】
GRIGELMO-MIGUEL, N., et al.,COMPARISON OF DIETARY FIBRE FROM BY-PRODUCTS OF PROCESSING FRUITS AND GREENS AND FROM CEREALS,LEBENSMITTEL-WISSENSCHAFT AND TECHNOLOGIE,1999年,32(8),pp.503-508
【文献】
HU, Y.-B., et al.,TREATMENT OF CORN BRAN DIETARY FIBER WITH XYLANASE INCREASES ITA ABILITY TO BIND BINE SALTS, IN VITRO,FOOD CHEMISTRY,NL,ELSEVIER LTD,2007年 8月29日,106(1),pp.113-121
【文献】
RASCO, B.A., et al.,EVALUATION OF ENZYME AND CHEMICALLY TREATED WHEAT BRAN INGREDIENTS IN YEAST-RAISED BREADS,CEREAL CHEMISTRY,米国,AMERICAN ASSOCIATION OF CEREAL CHEMISTS,1991年,68(3),pp.295-299
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セルラーゼが、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、マンナナーゼ、β−グルカナーゼ、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、セロビアーゼ、酸化セルラーゼ、またはセルロースホスホリラーゼである、請求項2または3に記載の方法。
さらなる酵素活性を不活性化するため、そして/またはあらゆる残留デンプンをゼラチン化するため、そして/またはWHCをさらに増大させるために、前記穀類ふすま画分が、加熱処理においてしばらくの間さらに処理される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
植物材料の加工からの穀類サイドストリームが、植物油の精製からのソープストック、ビール醸造粕、または可溶性物質添加乾燥穀類蒸留粕(DDGS)である、請求項18に記載の方法。
処理された前記穀類ふすま画分をスプレー乾燥するステップ、および/または処理された前記穀類ふすま画分を凍結乾燥するステップをさらに含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
Fibrexよりも天然である代替的な水結合剤は、例えば、小麦、ライ麦、オート麦、大麦またはコーンからの穀類ふすまであり得る。しかしながら、これらの穀類バイストリーム(bi−stream)は、Fibrexと同じ水結合特性を有するわけではない。本発明に従う方法を使用することによって、穀類バイストリームの水結合特性を著しくそして重大に改善することができる。本発明に従うこの方法を用いると、製粉業者はその穀粉製造からのサイドストリームを、「Fibrex」のような製品に匹敵するがより低い使用コストの製品にグレードアップすることが可能であり得る。
【0022】
さらに、本方法は、製品の技術的性質と、健康および栄養特性との両方に影響を与え得る特徴である穀類繊維の溶解度をさらに変化させ、より可溶性にすることができる。溶解度の増大は、多数の食物用途、すなわち、パン製造および朝食用シリアルにおいて用いられると、技術的特性を改善するであろう。いずれの場合も、溶解度がより高いと、加工性、外観および知覚特性に関して、ふすまを添加することの有害作用が低減されるであろう。修飾されたふすまの溶解度の増大は、修飾されたふすまの健康および栄養的価値を高めるであろう。
【0023】
本発明の発明者らは、ふすまサイドストリームの水結合を増大し得る方法を開発した。
【0024】
本発明の重要な態様は、細胞壁修飾酵素の組み合わせの使用、既に可溶性の細胞壁多糖類の過度の解重合を防止するための穀類ふすま画分の低水分酵素処理の使用を含む。
【0025】
酵素処理は加熱処理と併用されてもよい。加熱処理は、使用される酵素の不活性化ステップとしての役割を果たすことができるが、原材料中の残留デンプンのゼラチン化を提供して、穀類ふすま画分の水結合特性をさらに増大させることもできる。
【0026】
本発明に従う方法は、細胞壁の構造を「ゆるめ」、残留デンプンをゼラチン化し、穀類ふすまの水結合を増大させることが意図される。
【0027】
本方法は、製粉業者がサイドストリームの技術的使用をグレードアップできるようにし得るので、高い商業的妥当性を有すると考えられる。これらは、現在は飼料のために使用されることが多いが、相当にグレードアップされるであろう。当該技術分野では、穀類ふすまの水結合特性を増大させることが長年にわたって切実に必要とされている。
【0028】
このふすまの修飾は、畜牛飼料から食品グレード製品へのグレードアップを意味する。本方法によって、現在甜菜パルプ(Fibrex)を使用しているパン製造業者は、「天然」製品を作ることができるようになるであろう。低含水量のふすまの修飾方法は、湿式プロセス用の設備に慣れていないか、湿式プロセス用の設備を所有していない製粉業者によって実行され得るので、大きな利点である。製品を安定化させるために乾燥させなければならない場合、本発明に従う方法を用いると、湿式プロセスと比較して多大な節約を得ることができる。修飾によってふすまはより可溶性になり得るので、本方法はふすまの健康および栄養特性をグレードアップするであろう。
【0029】
本発明に従う方法は、最も効率的であると期待されるキシラナーゼの使用によって実施され得る。しかしながら、セルラーゼ、グルカナーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、フェルラ酸エステラーゼ、ペクチナーゼおよびマンナナーゼなどの他の細胞壁修飾酵素も、正しく投与されれば同じ効果を有し得る。
【0030】
低含水量における穀類ふすまの修飾は、より高い含水量での修飾と比較して、水の蒸発/乾燥がはるかに少ないので、エネルギー節約に関して大きな効果を有するであろう。
【0031】
本方法は、液体プロセスを取扱うための装置を通常有していない製粉業者によって容易に取扱われるであろう。
【0032】
最終的に、安定な製品(水分と、それによる微生物汚染とに関して)、および残留酵素活性を持たない(最終的に、適用の際に次の使用に対する有害作用を有さないであろう酵素活性まで)製品を生じるパラメータに設定する。
【0033】
酵素処理中のpHは、使用される酵素に従って、適切なpHに調整されなければならない。
【0034】
乾燥プロセス、乾燥プロセスの継続時間、タイプおよび温度は、当業者に周知である。
【0035】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、工業プロセスのサイドストリームまたは副産物である。いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、酵母および/または細菌細胞を含有し得る発酵からの副産物などの非植物材料を含有することもある。
【0036】
いくつかの特定の実施形態では、穀類ふすま画分は、実質的にデンプンを含まないか、あるいは低減されたデンプン含量、例えば40%未満、例えば35%未満、例えば30%未満、例えば25%未満、例えば20%未満、例えば15%未満、例えば10%未満、例えば5%(w/w)未満を有する。
【0037】
いくつかの特定の実施形態では、穀類ふすま画分は伝統的な製粉からのものであり、例えば、伝統的な製粉からの小麦ふすまである。
【0038】
本明細書で使用される場合、「穀類ふすま画分の保水力(WHC)の増大」という用語は、未処理の同じ穀類ふすまと比較したときの保水力の任意の増大を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、同じ穀類ふすまであるがどんな外因性酵素処理もされていない穀類ふすまと比較したときの保水力の増大を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「水」という用語は、水または水を含有する組成物のあらゆる形態を指す。いくつかの好ましい実施形態では、「水」は単に本質的に純粋な水を指すか、あるいは主成分として水を有する水溶液を指す。
【0040】
「穀類」という用語は、本明細書で使用される場合、イネ科の植物からの果実を指し、このような種子は、果皮、種皮(seed coat)(あるいは、種皮(testa)とも呼ばれる)および/または胚のさらなる存在の有無に関わらず、少なくとも、糊粉を含むふすま、およびデンプン質の胚乳を含有する。この用語は、小麦、大麦、オート麦、スペルト、ライ麦、ソルガム、トウモロコシ(コーン)、米、キビ、キノア、ソバ、ライ小麦、およびフォニオなどの種を含むが、これらに限定されない。
【0041】
「ふすま」という用語は、本明細書で使用される場合、対応する完全なままの種子と比較して、糊粉、果皮および種皮から選択される組織のいずれかまたは全てが豊富な穀類由来の製粉画分を指す。
【0042】
「製粉画分」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、限定はされないが、切断、圧延、破砕、破損または製粉による、粒子サイズの機械的減少から得られる画分の全てまたは一部を指し、例えば、限定はされないが、ふるい(sieving)、スクリーニング、ふるい分け(sifting)、ブローイング、吸引、遠心ふるい分け(centrifugal sifting)、ウィンドシフティング(windsifting)、静電分離、または電界分離による分画を伴っても、伴わなくてもよい。
【0043】
従って、「穀類ふすま画分」という用語は、本明細書で使用される場合、ふすまを含有する、製粉から直接得られる穀類画分を指す。本発明の方法において使用される穀類ふすま画分が、「穀類ふすま画分」からの残留デンプンの除去、そしてその後の穀類ふすま成分、例えば糊粉、果皮および/または種皮などが多い画分への分離または分画などのために、化学的または酵素的な修飾または処理を受けていないことは明らかである。従って、本発明に従う「微粒子状穀類ふすま画分」は、1つまたは複数の細胞壁修飾酵素による処理(例えば、外因性アミラーゼによる処理など)の前に、任意の外因性酵素によって処理および/または修飾され、その後ふすま成分の含量がより高い画分へ分離または分画されたふすまを含む組成物を含むことは意図されない。また、本発明に従う「微粒子状穀類ふすま画分」は、1つまたは複数の細胞壁修飾酵素による処理の前に、例えば、エタノール沈殿による処理などの、デンプン除去のための方法ステップを受けているふすまを含む組成物を含むことは意図されない。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明に従う微粒子状穀類ふすま画分は、1つまたは複数の細胞壁修飾酵素による処理の前に、かなりのレベルのデンプン、例えば2、4、6、8、10、12、14、16、18、または20%w/wよりも多いデンプンを含有する。
【0045】
本発明の文脈において、「細胞壁修飾酵素」は、植物細胞壁の複合マトリックス多糖類を加水分解または修飾することができるあらゆる酵素、例えば、本明細書に含まれる「細胞壁可溶化アッセイ」において活性を有し得るあらゆる酵素を指す。「細胞壁修飾酵素」のこの定義には、セルラーゼ、例えば、セロビオヒドロラーゼIおよびセロビオヒドロラーゼII、エンドグルカナーゼならびにβ−グルコシダーゼと、ヘミセルロース分解酵素、例えば、キシラナーゼとが含まれる。
【0046】
「セルラーゼ」または「セルロース分解酵素」という用語は、本明細書で使用される場合、セロビオヒドロラーゼ(EC3.2.1.91)、例えばセロビオヒドロラーゼIおよびセロビオヒドロラーゼII、ならびにエンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)およびβ−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)を含むと理解される。
【0047】
セルラーゼの定義には、セルロース鎖をランダムに切断するエンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)と、セルロース鎖の末端からセロビオシル単位を切断するセロビオヒドロラーゼ(EC3.2.1.91)と、セロビオースおよび可溶性セロデキストリンをグルコースに変換するβ−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)とが含まれる。セルロースの生分解に関与するこれらの3つの酵素の種類の中で、セロビオヒドロラーゼは、天然結晶セルロースの分解のための重要な酵素である。「セロビオヒドロラーゼI」という用語は、本明細書では、酵素クラスEC3.2.1.91において定義されるような、セルロース1,4−β−セロビオシダーゼ(エキソグルカナーゼ、エキソセロビオヒドロラーゼまたは1,4−β−セロビオヒドロラーゼとも称される)活性であると定義され、鎖の非還元末端からのセロビオースの遊離によってセルロースおよびセロテトラオース中の1,4−β−D−グルコシド結合の加水分解を触媒する。「セロビオヒドロラーゼII活性」という用語の定義は、セロビオヒドロラーゼIIが鎖の還元末端から攻撃する点を除いて同一である。
【0048】
セルラーゼは、酵素のセルロース含有繊維への結合を増強し、酵素の触媒活性部分の効力を増大させる炭水化物結合モジュール(CBM)を含むことができる。CBMは、炭水化物結合活性を有する目立たない折り畳み(discreet fold)を有する炭水化物活性酵素内の隣接アミノ酸配列であると定義される。CBMのさらなる情報については、CAZyインターネットサーバー(上記)またはTomme et al.(1995)のEnzymatic Degradation of Insoluble Polysaccharides(Saddler and Penner,eds.),Cellulose−binding domains:classification and properties,pp.142−163,American Chemical Society、Washingtonが参照される。好ましい実施形態では、セルラーゼまたはセルロース分解酵素は、米国特許出願第60/941,251号明細書(参照によって本明細書に援用される)に定義されるようなセルロース分解性調製物であり得る。好ましい実施形態では、セルロース分解性調製物はセルロース分解性増強活性を有するポリペプチド(GH61A)を含み、好ましくは、国際公開第2005/074656号パンフレットに開示されるものである。細胞壁修飾酵素は、さらに、β−グルコシダーゼ、例えば、米国特許出願第60/832,511号明細書(Novozymes)に開示されるβ−グルコシダーゼ活性を有する融合タンパク質を含む、トリコデルマ属、アスペルギルス属またはペニシリウム属の株に由来するβ−グルコシダーゼであってもよい。いくつかの実施形態では、細胞壁修飾酵素は、CBHII、例えば、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)セロビオヒドロラーゼIl(CEL6A)である。いくつかの実施形態では、細胞壁修飾酵素は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)に由来するものなどのセルラーゼ酵素である。
【0049】
セルロース分解活性は、いくつかの実施形態では、真菌源、例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)株などのトリコデルマ属の株、またはフミコラ・インソレンス(Humicola insolens)株などのフミコラ属の株に由来し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、細胞壁修飾酵素は、国際公開第2005/074656号パンフレットに開示されるセルロース分解性増強活性を有するポリペプチド(GH61A)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)セロビオヒドロラーゼIl(CEL6A)などのセロビオヒドロラーゼ、β−グルコシダーゼ(例えば、米国特許出願第60/832,511号明細書に開示される融合タンパク質)、および例えばトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)に由来するセルロース分解酵素である。
【0051】
いくつかの実施形態では、細胞壁修飾酵素は、国際公開第2005/074656号パンフレットに開示されるセルロース分解性増強活性を有するポリペプチド(GH61A)、β−グルコシダーゼ(例えば、米国特許出願第60/832,511号明細書に開示される融合タンパク質)、および例えばトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)に由来するセルロース分解酵素である。いくつかの実施形態では、細胞壁修飾酵素は、Genencor,A Danisco Division,USから得られるGC220、またはNovozymes A/S,Denmarから得られるCELLUCLAST(登録商標)1.5LもしくはCELLUZYME(商標)などの市販の製品である。
【0052】
エンドグルカナーゼ(ECNo.3.2.1.4)は、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースなど)、リケニン中の1,4−β−D−グリコシド結合、混合β−1,3グルカン、例えば、穀類β−D−グルカンまたはキシログルカン、およびセルロース部分を含有する他の植物材料中のβ−1,4結合の内部加水分解(endo hydrolysis)を触媒する。公認された名称はエンド−1,4−β−D−グルカン4−グルカノヒドロラーゼであるが、本明細書では略語のエンドグルカナーゼが使用される。エンドグルカナーゼ活性は、Ghose,1987,Pure and Appl.Chem.59:257−268の手順に従ってカルボキシメチルセルロース(CMC)加水分解を用いて決定することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、エンドグルカナーゼは、トリコデルマ・リーゼイ(trichoderma reesei)株などのトリコデルマ属の株、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)株などのフミコラ属の株、またはクリソスポリウム属の株、好ましくはクリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)株に由来し得る。
【0054】
「セロビオヒドロラーゼ」という用語は1,4−β−D−グルカンセロビオヒドロラーゼ(E.C.3.2.1.91)を意味し、セルロース、セロオリゴ糖、または任意のβ−1,4−連結グルコース含有ポリマー中の1,4−β−D−グルコシド結合の加水分解を触媒し、鎖の還元末端または非還元末端からセロビオースを遊離する。
【0055】
セロビオヒドロラーゼ(cellobiohydrolose)の例は上記で延べられており、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)由来のCBH IおよびCBH Il、ならびにチエラビア・テレストリス(Thielavia teπrestris)セロビオヒドロラーゼ(CELL6A)由来のCBH Ilが含まれる。
【0056】
セロビオヒドロラーゼ活性は、Lever et al.,1972,Anal.Biochem.47:273−279によって、そしてvan Tilbeurgh et al.,1982,FEBS Letters 149:152−156、van Tilbeurgh and Claeyssens,1985,FEBS Letters 187:283−288によって記載される手順に従って決定することができる。Leverらの方法はトウモロコシ茎葉中のセルロースの加水分解を評価するために適切であり、van Tilbeurghらの方法は、蛍光二糖類誘導体におけるセロビオヒドロラーゼ活性を決定するために適切である。
【0057】
「β−グルコシダーゼ」という用語はβ−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ(E.C.3.2.1.21)を意味し、β−D−グルコースの遊離を伴う末端非還元性β−D−グルコース残基の加水分解を触媒する。本発明の目的のために、β−グルコシダーゼ活性は、本明細書中に記載されるように異なる条件を使用した点を除いて、Venturi et al.,2002,J.Basic Microbiol.42:55−66によって記載される基本的な手順に従って決定される。β−グルコシダーゼ活性の1単位は、100mMのクエン酸ナトリウム、0.01%のTWEEN(登録商標)20中、基質としての4mMのp−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシドから、500C、pH5で1分当たり産生される1.0μモルのp−ニトロフェノールであると定義される。
【0058】
いくつかの実施形態では、β−グルコシダーゼは、トリコデルマ属、アスペルギルス属またはペニシリウム属の株などの真菌起源である。いくつかの実施形態では、β−グルコシダーゼはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)に由来し、例えば、bgl1遺伝子によってコードされるβ−グルコシダーゼである(欧州特許第562003号明細書を参照)。別の実施形態では、β−グルコシダーゼは、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)(国際公開第02/095014号パンフレットに従ってアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)において組換えで産生)、アスペルギルス・フミガータス(Aspergillus fumigatus)(国際公開第02/095014号パンフレットの実施例22に従ってアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)において組換えで産生)、またはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)(1981,J.Appl.3:157−163)に由来する。
【0059】
「ヘミセルロース分解酵素」または「ヘミセルラーゼ」という用語は、本明細書で使用される場合、ヘミセルロースを分解し得る酵素を指す。
【0060】
好ましくはアラビノキシランオリゴ糖へのヘミセルロースの加水分解における使用に適したあらゆるヘミセルラーゼを使用することができる。好ましいヘミセルラーゼとしては、キシラナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、フェルロイルエステラーゼ、グルクロニダーゼ、ガラクタナーゼ、エンドガラクタナーゼ、マンナーゼ、エンドまたはエキソアラビナーゼ、エキソガラクタナーゼ(exo−galactanse)、ペクチナーゼ、キシログルカナーゼ、またはこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。本発明における使用に適したヘミセルラーゼの例としては、Grindamyl Powerbake930(Danisco A/S,Denmarから入手可能)、またはVISCOZYM E(商標)(Novozymes A/S,Denmarkから入手可能)が挙げられる。一実施形態では、ヘミセルラーゼはキシラナーゼである。一実施形態では、キシラナーゼは微生物起源であり、例えば真菌起源(例えば、トリコデルマ、メリピルス(Meripilus)、フミコラ、アスペルギルス、フザリウム)または細菌起源(例えば、バチルス)である。いくつかの実施形態では、キシラナーゼは糸状菌に由来し、好ましくは、アスペルギルス・アキュリエタス(Aspergillus aculeatus)などのアスペルギルスの株、またはフミコラ(Humicola)、好ましくはフミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)の株に由来する。キシラナーゼは、好ましくはエンド−1,4−β−キシラナーゼ、より好ましくは、GH10またはGH11のエンド−1,4−β−キシラナーゼであり得る。市販のキシラナーゼの例としては、Danisco A/S,DenmarkからのGrindamyl H121もしくはGrindamyl Powerbake930、またはNovozymes A/S,DenmarkからのSHEARZYME(商標)およびBIOFEED WHEAT(商標)が挙げられる。
【0061】
アラビノフラノシダーゼ(EC3.2.1.55)は、α−L−アラビノシド中の末端非還元性α−L−アラビノフラノシド残基の加水分解を触媒する。ガラクタナーゼ(EC3.2.1.89)、アラビノガラクタンエンド−1,4−β−ガラクトシダーゼは、アラビノガラクタン中の1,4−D−ガラクトシド結合の内部加水分解を触媒する。
【0062】
ペクチナーゼ(EC3.2.1.15)は、ペクテートおよび他のガラクツロナン(galacturonan)中の1,4−α−D−ガラクトシドウロン(galactosiduronic)結合の加水分解を触媒する。
【0063】
キシログルカナーゼは、キシログルカンの加水分解を触媒する。
【0064】
「キシラナーゼ」という用語は、本明細書で使用される場合、キシランまたはアラビノキシランの非末端β−D−キシロピラノシル−1,4−β−D−キシロピラノシル単位中のβ−1,4グリコシル結合を加水分解することができる酵素を指す。他の名称としては、1,4−β−D−キシランキシラノヒドロラーゼ、1,4−β−キシランキシラノヒドロラーゼ、β−1,4−キシランキシラノヒドロラーゼ、(1−4)−β−キシラン4−キシラノヒドロラーゼ、エンド−1,4−β−キシラナーゼ、エンド−(1−4)−β−キシラナーゼ、エンド−β−1,4−キシラナーゼ、エンド−1,4−β−D−キシラナーゼ、エンド−1,4−キシラナーゼ、キシラナーゼ、β−1,4−キシラナーゼ、β−キシラナーゼ、β−D−キシラナーゼが挙げられる。キシラナーゼは、植物、真菌(例えば、アスペルギルス、ペニシリウム、ディスポロトリカム(Disporotrichum)、ニューロスポラ、フザリウム、フミコラ、トリコデルマの種)、または細菌種(例えば、バチルス、エロモナス、ストレプトミセス、ノカルジオプシス(Nocardiopsis)、サーモミセス(Thermomyces)の種)を含む様々な生物に由来することができる(例えば、国際公開第92/17573号パンフレット、国際公開第92/01793号パンフレット、国際公開第91/19782号パンフレット、国際公開第94/21785号パンフレットを参照)。
【0065】
本発明の一態様では、本発明の方法において使用されるキシラナーゼは、EC3.2.1.8として分類される酵素である。正式名はエンド−1,4−β−キシラナーゼである。系統名は1,4−β−D−キシランキシラノヒドロラーゼである。エンド−(1−4)−β−キシラナーゼ、(1−4)−β−キシラン4−キシラノヒドロラーゼ、エンド−1,4−キシラナーゼ、キシラナーゼ、β−1,4−キシラナーゼ、エンド−1,4−キシラナーゼ、エンド−β−1,4−キシラナーゼ、エンド−1,4−β−D−キシラナーゼ、1,4−β−キシランキシラノヒドロラーゼ、β−キシラナーゼ、β−1,4−キシランキシラノヒドロラーゼ、エンド−1,4−β−キシラナーゼ、β−D−キシラナーゼなどの他の名称が使用されてもよい。触媒される反応は、キシラン中の1,4−β−D−キシロシド結合の内部加水分解である。
【0066】
本発明の一態様では、本発明のキシラナーゼは、グリコシドヒドロラーゼ(Glycoside Hydrolyase)(GH)ファミリー11のキシラナーゼである。「グリコシドヒドロラーゼ(GH)ファミリー11の」という用語は、問題になっているキシラナーゼがGHファミリー11に分類されるか、あるいは分類され得ることを意味する。
【0067】
本発明の一態様では、本発明に従って使用されるキシラナーゼは、本明細書中に記載される「キシラナーゼアッセイ」において測定される場合にキシラナーゼ活性を有するキシラナーゼである。
【0068】
Cazy(ModO)サイトによると、ファミリー11グリコシドヒドロラーゼは、以下のように特徴付けることができる:
既知の活性:キシラナーゼ(EC3.2.1.8)
メカニズム:保持
触媒求核試薬/塩基:Glu(実験的)
触媒プロトン供与体:Glu(実験的)
3D構造状態:折り畳み:β−ゼリーロール
クラン:GH−C
【0069】
本明細書で使用される場合、「クランC」または「クラン」は、共通の三次元の折り畳みおよび同一の触媒機構を共有するファミリーのグループを指す(例えば、Henrissat,B.and Bairoch,A.,(1996)Biochem.J.,316,695−696を参照)。
【0070】
本明細書で使用される場合、「ファミリー11」は、Henrissat and Bairoch(1993)Biochem J.,293,781−788によって確立されたような酵素のファミリーを指す(Henrissat and Davies(1997)Current Opinion in Structural Biol.1997,&:637−644も参照)。ファミリー11メンバーの共通の特徴には、高い遺伝的相同性、約20kDaのサイズおよび二重置換触触媒メカニズムが含まれる(Tenkanen et al.,1992、Wakarchuk et al.,1994を参照)。ファミリー11キシラナーゼの構造は、β−ストランドから作られる2つの大きいβ−シートおよびα−ヘリックスを含む。
【0071】
ファミリー11キシラナーゼには、以下の:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)XynA、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)XynC、アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubigensis)XynA、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)XynA、バチルスプンジルス(Bacilluspunzilus)XynA、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)XynA、ネオカリマスチクス・パトリシアラム(Neocalliniastix patriciarum)XynA、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)XynB、ストレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)XynC、ストレプトミセス・サーモビオラセウス(Streptomyces therinoviolaceus)XynII、サーモモノスポラ・フスカ(Thermomonospora fusca)XynA、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)Xyn、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)XynI、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)XynII、トリコデルマビリデ(Trichodermaviride)Xynが含まれる。
【0072】
本発明に従って使用される酵素は、好ましくは、使用される穀類ふすまに対して外因性であり、すなわち、使用される穀類ふすまに由来しないことは、明らかである。
【0073】
本発明に従う酵素活性アッセイ:
細胞壁可溶化アッセイ:
ふすまの溶解度は、以下のアッセイを用いて測定することができる。
【0074】
(0.1M)−リン酸水素二ナトリウム(0.2M)緩衝液、pH5.0中の小麦ふすまの懸濁液を1,33%のふすまの濃度(w/w)に調製する。この懸濁液から、750μlのアリコートを攪拌しながらEppendorf管に移す。各基質の管を40℃で5分間予熱する。これに、250μlの酵素溶液を添加し、基質の最終濃度を1%にする。各決定時間(0、30、60および240分)に対して、酵素濃度を増大させて(例えば、0,33、1,0および3,0μg酵素/グラムふすま)、本発明に従う各酵素組成物から3つの希釈物(2通り)を作る。ブランクとして、酵素組成物の熱変性溶液を使用する。95℃に設定したインキュベーターに管を移すことにより、所与の時間に反応を終了させる。全ての酵素反応が終了するまで、熱変性サンプルを4℃で維持する。全ての酵素反応が終了したら、Eppendorph管を遠心分離して、透明な上澄みを得る。ふすまを可溶化する酵素の能力は、PAHBAHを用いて決定されるように還元末端基の増大として表される(Lever,1972)。
【0075】
使用されるふすまが残留デンプンを含有する場合、アミラーゼ活性などの副活性は上記のアッセイを妨害し得るので、ふすま可溶化アッセイは、精製された細胞壁修飾酵素(アミラーゼ活性を有さない)においてのみ実行されるべきである。
【0076】
キシラナーゼアッセイ(エンド−β−1,4−キシラナーゼ活性)
このアッセイでは、約OD
590=0.7を得るように、クエン酸(0.1M)−リン酸水素二ナトリウム(0.2M)緩衝液、pH5.0中にサンプルを希釈した。サンプルの3つの異なる希釈物を40℃で5分間プレインキュベートした。時間=5分において、1つのXylazyme錠剤(架橋、染色されたキシラン基質、Megazyme,Bray,Ireland)を1mlの反応容積の酵素溶液に添加した。時間=15分において、10mlの2%のTRIS/NaOH、pH12を添加することによって反応を終了させた。酵素溶液の代わりに1000μlの緩衝液を用いてブランクを調製した。反応混合物を遠心分離し(1500×g、10分間、20℃)、上澄みのODを590nmで測定した。1キシラナーゼ単位(XU)は、1分当たり0.025でOD
590を増大させるキシラナーゼ活性であると定義される。
【0077】
いくつかの態様では、本発明は、食料または食料材料として使用され得る、本発明に従って調製された穀類ふすま画分を提供する。
【0078】
適切には、「食料」という用語は、本明細書で使用される場合、消費に対する準備が整った形態の食料を意味し得る。しかしながら、代替的または付加的に、食料という用語は、本明細書で使用される場合、食料の調製において使用される1つまたは複数の食材を意味し得る。ほんの一例として、食料という用語は、生地から製造された焼いた食品、および前記焼いた食品の調製において使用される生地の両方を包含する。
【0079】
適切には、「食料」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトおよび/または動物の消費に適した物質を意味する。
【0080】
別の態様では、本発明に従う食料は動物飼料であってもよい。いくつかの実施形態では、食料は、ドッグフードやキャットフードなどのペットフードである。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される食料は、以下の:卵、卵ベースの製品(マヨネーズ、サラダドレッシング、ソース、アイスクリーム、卵粉、改質卵黄およびこれらから作られた製品を含むがこれらに限定されない)、焼いた食品(パン、ケーキ、甘い生地製品、層状生地、液体衣(batter)、マフィン、ドーナツ、ビスケット、クラッカーおよびクッキーを含む)、菓子類(チョコレート、キャンディ、カラメル、ハラワ(halawa)、ガム、例えば、無糖および砂糖入りガム、風船ガム、ソフト風船ガム、チューインガムおよびプディングを含む)、凍結製品(ソルベを含む)、好ましくは凍結乳製品(アイスクリームおよびアイスミルクを含む)、乳製品(チーズ、バター、ミルク、コーヒークリーム、ホイップクリーム、カスタードクリーム、乳飲料およびヨーグルトを含む)、ムース、ホイップ野菜クリーム、食肉製品(加工食肉製品を含む)、食用油および脂肪、発泡および非発泡ホイップ製品、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マーガリン、ショートニングおよびスプレッド(低脂肪および超低脂肪スプレッドを含む)、ドレッシング、マヨネーズ、ディップ、クリームベースのソース、クリームベースのスープ、飲料、スパイスエマルジョンおよびソースのうちの1つまたは複数から選択される。
【0082】
適切には、本発明に従う食料は、ケーキ、ペストリー、菓子類、チョコレート、ファッジなどを含む「ファインフード」であり得る。
【0083】
一態様では、本発明に従う食料は、生地製品または焼き製品、例えば、パン、フライ製品、スナック、ケーキ、パイ、ブラウニー、クッキー、めん類、即席めん類、トルティーヤ、スナック類、例えば、クラッカー、グラハムクラッカー、プレッツェル、およびポテトチップス、およびパスタ、および朝食用シリアルであり得る。
【0084】
さらなる態様では、本発明に従う食料は、小麦粉、プレミックス、油、脂肪、ココアバター、コーヒー用クリーム、サラダドレッシング、マーガリン、スプレッド、ピーナッツバター、ショートニング、アイスクリーム、料理用油などの植物由来の食品であり得る。
【0085】
別の態様では、本発明に従う食料は、バター、ミルク、クリーム、様々な形態(細切り、ブロック、スライスまたは粉を含む)のチーズ(ナチュラル、プロセス、およびイミテーションチーズなど)、クリームチーズ、アイスクリーム、凍結デザート、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、バター脂肪、無水乳脂肪、他の乳製品を含む乳製品であり得る。本発明に従って使用される酵素は、乳製品における脂肪安定性を改善することができる。
【0086】
別の態様では、本発明に従う食料は、加工食肉製品、料理用油、ショートニングなどの、動物由来の材料を含有する食品であり得る。
【0087】
さらなる態様では、本発明に従う食料は、飲料、果実、混合果実、野菜またはワインであり得る。
【0088】
別の態様では、本発明に従う食料は動物飼料であり得る。適切には、動物飼料は家禽飼料であり得る。食料が家禽飼料である場合、本発明は、本発明に従う食料が与えられた家禽によって生産される卵のコレステロール含量を低くするために使用され得る。
【0089】
一態様では、好ましくは、食料は、以下の:卵、卵ベース製品(マヨネーズ、サラダドレッシング、ソース、アイスクリーム、卵粉、改質卵黄およびこれらから作られた製品を含む)のうちの1つまたは複数から選択される。
【0090】
好ましくは、本発明に従う食料は、水を含有する食料である。適切には、食料は、10〜98%の水、適切には14〜98%の水、適切には18〜98%の水、適切には20〜98%の水、適切には40〜98%の水、適切には50〜98%の水、適切には70〜98%の水、適切には75〜98%の水を含み得る。
【0091】
増大したWHCを有する穀類ふすま画分は、食品改良剤として使用することができる。
【0092】
本発明の一態様では、食品改良剤はケーキ改良剤である。
【0093】
本発明の一態様では、食品改良剤はパン改良剤である。
【0094】
本発明に従って生成される食品改良剤は、適切には、以下の添加剤:大豆タンパク質材料、カロテノイド、フラベノイド(flavenoid)、酸化防止剤および植物化学物質(特に、アントシアノニド(anthocyanonide)、カロテノイド、ビオフラビノイド(bioflavinoid)、グルタチオン、カテキン、イソフラボン、リコペン、ジンセノサイド、ピクノジェノール、アルカロイド、ピジウムフィトステロール、スルホラフォン(sulphoraphone)、レスベレトール(resveretol)、ブドウ種子抽出物、またはスタノールエステルを含有する食物)、ビタミン(特に、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB3、ビタミンD、ビタミンE、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ピリドキシン、シアノコバラミン、葉酸、ビオチン、パントテン酸またはビタミンK)、ミネラル(特に、カルシウム、ヨウ素、マグネシウム、亜鉛、鉄、セレン、マンガン、クロム、銅、コバルト、モリブデンまたはリン)、脂肪酸(特に、γ−リノール酸、エイコサペンタエン酸(ucospentaenoic acid)またはドコサヘキサエン酸(decosahexaenoic acid))、油(特に、ボラージオイル、高カロテノイドキャノーラ油またはアマニ油)、グルセロール(glucerol)、ソルビトール、アミノ酸(特に、トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、タウリンまたはチロシン)、上記で定義した酵素(特に、ブロメライン、パパイン、アミラーゼ、セルラーゼまたは補酵素Q)、リグニン、スタノールエステルまたは友好的な細菌(特に、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ビフィズス(Lactobacillus bifidus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)またはストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium))、葉酸、不溶性および/または可溶性繊維、のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0095】
本発明は、卵製品、特にマヨネーズにおいて、以下の予想外の技術的効果:低温殺菌中の熱安定性の改善、官能特性の改善、粘稠度の改善、のうちの1つまたは複数を提供することができる。
【0096】
本発明は、生地および/または焼き製品において、以下の予想外の技術的効果:生地または焼き製品(例えば、パンおよび/またはケーキ)のいずれかの比体積の改善、生地安定性の改善、皮のスコアの改善(例えば、より薄いおよび/またはよりパリパリしたパンの皮)、中身のスコアの改善(例えば、より均一な中身の分布および/またはより細かい中身の構造および/またはより柔らかい中身)、外観の改善(例えば、膨れまたは孔のない、あるいは実質的に膨れまたは孔のない滑らかな表面)、劣化の低減、柔らかさの増強、臭気の改善、味の改善、のうちの1つまたは複数を提供することができる。
【0097】
本発明に従う方法によって処理された穀類ふすま画分などのこれらの機能性化合物は次に、以下の:生地の粘着性の減少、生地の機械加工性の改善、焼き製品のベーキング中の膨れの減少、パン体積および/または柔らかさの改善、焼き製品および/または生地の貯蔵期間の延長、焼き製品および/または生地の劣化防止効果の改善、焼き製品の中身の構造の改善、焼き製品の細孔不均一性の減少、焼き製品の細孔均一性の改善、焼き製品の平均細孔サイズの低下、生地のグルテン指数の向上、焼き製品の風味および/または臭気の改善、焼き製品の皮の色の改善、のうちの1つまたは複数のために、前記機能性化合物を生地に添加し、そして(場合により)焼き製品を作るために生地を焼くことを含む、生地および/または焼き製品の製造において使用することができる。
【0098】
一態様では、本発明に従う方法によって生成される機能性化合物は精製または部分的に精製される。
【0099】
一態様では、本発明に従う方法によって生成される機能性化合物は、食料における使用の前にさらに精製されない。
【0100】
一態様では、本発明に従う方法によって生成される機能性化合物は、乾燥製品に配合される。
【0101】
一態様では、機能性化合物は、食料における使用の前に濃縮または希釈される。
【0102】
本発明の別の態様では、めん類またはめん類の生地またはめん類ベースの製品の製造方法が提供されており、本方法は、本発明に従う機能性化合物を、めん類またはめん類の生地またはめん類ベースの製品に添加することを含む。
【0103】
本発明の一態様では、色/黄色さの改善、色特性の安定化、輝度の低下、脂肪含量の減少、質感および噛むこと(噛み応え)の改善、水活性の低下、破損の減少、芯の硬さの増大、および加工中の形状保持の改善、のうちの1つまたは複数のために、本発明に従う機能性化合物のめん類またはめん類ベースの製品の製造における使用が提供されている。
【0104】
本発明の別の態様では、トルティーヤまたはトルティーヤ生地の製造方法が提供されており、本方法は、本発明に従って生成される食品改良剤をトルティーヤまたはトルティーヤ生地に添加することを含む。
【0105】
本発明の別の態様では、パスタまたは全粒パスタまたはパスタ生地の製造方法が提供されており、本方法は、本発明に従って生成される食品改良剤をパスタまたはパスタ生地に添加することを含む。
【0106】
本発明のさらなる態様では、トルティーヤの延伸性(ability to role)の改善、トルティーヤの柔軟性の増大、トルティーヤおよび/またはトルティーヤ生地の劣化防止特性の改善、トルティーヤおよび/またはトルティーヤ生地の柔らかさの改善および/または異臭の減少のために、本発明に従って生成される食品改良剤のトルティーヤまたはトルティーヤ生地の製造における使用が提供される。
【0107】
食品改良剤の機能性は、DATEMなどの乳化剤との併用によって改善することができる。
【0108】
適切には、本発明は、食料において、以下の予想外の技術的効果:外観の改善、口当たりの改善、安定性の改善、特に熱安定性の改善、味の改善、柔らかさの改善、弾力の改善、乳化の改善、のうちの1つまたは複数を提供し得る。
【0109】
適切には、本発明は、例えばアイスクリームなどの乳製品において、以下の予想外の技術的効果:口当たりの改善(好ましくは、よりクリーミーな口当たり)、味の改善、溶解の改善、のうちの1つまたは複数を提供し得る。
【0110】
適切には、本発明は、卵または卵製品において、以下の予想外の技術的効果:エマルジョンの安定性の改善、エマルジョンの熱安定性、風味の改善、悪臭の減少、増粘特性の改善、粘稠性の改善、のうちの1つまたは複数を提供し得る。
【0111】
本明細書において定義される食品改良剤の食料の調製における使用に関連する特定の技術的効果は、以下の表に記載されている。
【0113】
食品改良剤は、パンまたは他の焼き製品の製造プロセス中、パンまたは他の焼き製品の特性の改善を提供するために小麦粉および/または生地に通常添加される、パン改良添加剤、例えば、生地組成物、生地添加剤、生地調整剤、プレミックスおよび同様の調製物において使用されてもよい。
【0114】
従って、本発明はさらに、本発明に従って生成される食品改良剤を含むパン改良組成物および/または生地改良組成物と、このようなパン改良および/または生地改良組成物を含む生地または焼き製品とに関する。
【0115】
パン改良組成物および/または生地改良組成物は、本発明に従って得られるふすま画分に加えて、生地および/または焼き製品の特性を改善するためにベーキングにおいて通常使用される他の物質を含むこともできる。
【0116】
パン改良組成物および/または生地改良組成物は、1つまたは複数の従来のベーキング剤、例えば、以下の成分:粉乳、グルテン、乳化剤、粒状脂肪、酸化剤、アミノ酸、糖、塩、小麦粉またはデンプン、のうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0117】
本発明に従う方法によって生成される機能性化合物、例えば1つまたは複数の酵素で処理された穀類ふすま画分が生地および/または焼き製品の製造において使用される場合、グルテンは有利に添加され得る。グルテンは、生地中で使用される小麦粉の約0〜15%(w/w)の濃度範囲、例えば約6〜15%の範囲、例えば約6〜10%の範囲、例えば約6%の濃度になるように添加される。
【0118】
適切な乳化剤の例は、モノグリセリド、脂肪酸のモノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、糖エステル、ステアロイルラクチル酸ナトリウム(SSL)およびレシチンである。
【0119】
パンおよび/または生地改良組成物は、さらに、デンプン分解酵素(エンドまたはエキソアミラーゼ、プルラナーゼ、脱分枝酵素など)、ヘミセルラーゼ(キシラナーゼを含む)、セルラーゼ、オキシドレダクターゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、スルフヒドリルオキシダーゼまたは炭水化物オキシダーゼ(マルトースを酸化するものなど、例えばヘキソースオキシダーゼ(HOX))、リパーゼ、ホスホリパーゼ、ガラクトリパーゼ、およびヘキソースオキシダーゼ、プロテアーゼおよびアシルトランスフェラーゼ(例えば、国際公開第04/064987号パンフレットに記載されるものなど)を含む、1つまたは複数の他の適切な食品グレード酵素などの別の酵素を含んでいてもよい。
【0120】
「焼き製品」という用語は、本明細書で使用される場合、生地から調製された製品を含む。本発明によって有利に製造され得る焼き製品(白いタイプ、明るいタイプまたは暗いタイプのどれであろうと)の例には、以下の:通常ローフまたはロールまたはトーストの形態であるパン(白パン、全粒小麦パンおよびライ麦パンを含む)、フレンチバゲット型パン、ピタパン、トルティーヤ、タコス、ケーキ、パンケーキ、ビスケット、クリスプパン、パスタ、めん類などのうちの1つまたは複数が含まれる。
【0121】
本発明に従う生地は、発酵された生地であっても、発酵を受ける予定の生地であってもよい。生地は、重炭酸ナトリウムなどの添加、あるいは適切な酵母培養物、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の培養物(パン酵母)の添加などの種々の方法で発酵され得る。
【0122】
本発明に従う生地は、乾燥穀類製品、クリスプパン、ビスケットまたはクラッカーを作るための生地であってもよい。
【0123】
本発明の特定の実施形態
いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される1つまたは複数の細胞壁修飾酵素は、ヘミセルラーゼ、例えば、キシラナーゼ、フェルラ酸エステラーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、および/またはペクチナーゼと、セルラーゼ、例えば、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、マンナナーゼ、およびβ−グルカナーゼとからなる群から選択される。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明に従って使用されるセルラーゼは、エンドセルラーゼ、エキソセルラーゼ、セロビアーゼ、酸化セルラーゼ、セルロースホスホリラーゼから選択される。
【0125】
いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される1つまたは複数のさらなる酵素は、ヘミセルラーゼ、例えば、キシラナーゼ、フェルラ酸エステラーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、および/またはペクチナーゼと、セルラーゼ、例えば、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼ、マンナナーゼ、β−グルカナーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、酸化酵素、またはトランスグルタミナーゼなどの架橋酵素からなる群から選択される。
【0126】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、本発明に従う方法において、1つまたは複数の細胞壁修飾酵素によってのみ処理され、さらなる酵素では処理されない。
【0127】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、本発明に従う方法において、1つまたは複数の細胞壁修飾酵素による前記処理の後、1つまたは複数のさらなる酵素によって処理される。
【0128】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、本発明に従う方法において、アミラーゼによって処理されない。
【0129】
「アミラーゼ」とは、あらゆるアミラーゼ、例えば、グルコアミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、ならびにB.リケニフォルミス(B.licheniformis)および枯草菌(B.subtilis)などのバチルス(Bacillus)種の野生型α−アミラーゼを含むことが意図される。「アミラーゼ」は、特に、デンプンの分解を触媒することができる酵素を意味するものとする。アミラーゼは、デンプン中のα−D−(1→4)O−グリコシド結合を切断するヒドロラーゼである。通常、α−アミラーゼ(EC3.2.1.1、(X−D−(1→4)−グルカングルカノヒドロラーゼ)は、デンプン分子内のα−D−(1→4)O−グリコシド結合をランダムな形で切断するエンド作用型酵素であると定義される。対照的に、エキソ作用型デンプン分解酵素、例えば、β−アミラーゼ(EC3.2.1.2、α−D−(1→4)−グルカンマルトヒドロラーゼ)、およびマルトース産生性(maltogenic)α−アミラーゼ(EC3.2.1.133)のようないくつかの産物特異的アミラーゼは、基質の非還元末端からデンプン分子を切断し、β−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ(EC3.2.1.20、α−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ)、グルコアミラーゼ(EC3.2.1.3、α−D−(1→4)−グルカングルコヒドロラーゼ)、および産物特異的アミラーゼは、デンプンからグルコースを産生することができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、さらなる酵素活性を不活性化するため、そして/あるいはあらゆる残留デンプンをゼラチン化するため、そして/あるいはWHCをさらに増大させるために、加熱処理においてしばらくの間さらに処理される。
【0131】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、40〜300℃の範囲、例えば50〜150℃の範囲、例えば60〜120℃の範囲、例えば60〜90℃の範囲の温度で加熱処理において処理される。
【0132】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、含水量を低下させるために、酵素活性が著しく低減される温度、例えば40〜60℃の範囲の温度で、穀類ふすま画分中の含水量を実質的に乾燥製品になるまで低下させるのに十分な時間、加熱処理ステップにおいて処理される。
【0133】
いくつかの実施形態では、処理された穀類ふすま画分は、乾物対乾物ふすま(drymatter versus drymatter bran)において決定される場合に、5%よりも高い、例えば10%よりも高い、例えば15%よりも高い、例えば20%よりも高い、例えば25%よりも高い、例えば30%よりも高い、例えば35%よりも高い、例えば10%〜40%の範囲、例えば15%〜40%の範囲、例えば15%〜35%の範囲、例えば10%〜35%の範囲の程度まで増大された溶解度を有する。
【0134】
いくつかの実施形態では、処理された穀類ふすま画分は、乾物対乾物ふすまにおいて決定される場合に、5%よりも高い、例えば10%よりも高い、例えば15%よりも高い、例えば20%よりも高い、例えば25%よりも高い、例えば30%よりも高い、例えば35%よりも高い、例えば10%〜40%の範囲、例えば15%〜40%の範囲、例えば15%〜35%の範囲、例えば10%〜35%の範囲の程度まで可溶化される。
【0135】
乾物対乾物パーセンテージで表される溶解度は、実施例で記載されるふすま溶解度アッセイにおいて決定される通りである。
【0136】
いくつかの実施形態では、前記微粒子状ふすまの平均粒径は、3000μm未満、例えば1000μm未満、例えば500μm未満である。
【0137】
いくつかの実施形態では、本発明に従う方法において使用される穀類ふすま画分は工業的な製粉プロセスから得られ、500μm未満、例えば400μm未満、例えば200μm未満の平均粒径を得るようにさらに製粉される。
【0138】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、小麦、大麦、オート麦、ライ麦およびライ小麦、米、ならびにコーンから選択される。
【0139】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、植物材料の加工からの穀類サイドストリーム、例えば、植物油の精製からのソープストック、ビール醸造粕(brewers spent grain)または可溶性物質添加乾燥穀類蒸留粕(DDGS)に由来する。
【0140】
いくつかの実施形態では、本発明に従う方法は、処理された穀類ふすま画分をスプレー乾燥するステップをさらに含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明に従う方法は、処理された穀類ふすま画分を凍結乾燥するステップをさらに含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、150%(w/w)よりも高い、例えば160%(w/w)よりも高い、例えば170%(w/w)よりも高い、例えば180%(w/w)よりも高い、例えば190%(w/w)よりも高い、例えば200%(w/w)よりも高いWHCを得るように、本発明に従って処理される。
【0143】
本明細書において言及されるWHC、またはWHCの増大の特定の値がどれも、本明細書において記載されるアッセイ「保水力(WHC)の決定」において決定されるWHCまたはWHCの増大の値に相当するWHCまたはWHCの増大の値を指すことは明らかである。
【0144】
いくつかの実施形態では、本発明に従う穀類ふすま画分は、150%(w/w)よりも高い、例えば160%(w/w)よりも高い、例えば170%(w/w)よりも高い、例えば180%(w/w)よりも高い、例えば190%(w/w)よりも高い、例えば200%(w/w)よりも高いWHCを有する。
【0145】
いくつかの実施形態では、穀類ふすま画分は、本発明に従って、ステップb)において、10〜70℃の範囲、例えば20〜60℃の範囲、例えば30〜50℃の範囲の温度で処理される。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明に従って、ステップa)において、5〜100%(w/w)の範囲、例えば10〜90%(w/w)の範囲、例えば15〜80%(w/w)の範囲、例えば20〜70%(w/w)の範囲、例えば30〜60%(w/w)の範囲、例えば40〜50%(w/w)の範囲、または90%(w/w)未満、例えば80%(w/w)未満、例えば70%(w/w)未満、例えば60%(w/w)未満、例えば50%(w/w)未満の含水量を得るように水が添加される。
【0147】
水の添加によって得られる「含水量」のパーセンテージが、ふすま重量当たり添加される水の重量を指すことは明らかである。従って、45gの水が100gのふすまに添加される場合、得られる含水量は45%w/wである。
【0148】
いくつかの実施形態では、微粒子状穀類ふすまは、本発明に従って、ステップb)において、穀類ふすま画分1kg当たり0.01mgの酵素タンパク質〜2mgの酵素タンパク質の範囲、例えば0.01mgの酵素タンパク質〜1mgの酵素タンパク質の範囲、例えば0.01mgの酵素タンパク質〜0.5mgの酵素タンパク質の範囲の濃度の1つまたは複数の細胞壁修飾酵素によって処理される。
【0149】
いくつかの実施形態では、微粒子状穀類ふすまは、本発明に従って、ステップb)において、1〜10000分の範囲、例えば5〜1440分の範囲、例えば10〜240分の範囲、例えば10〜120分の範囲の時間、1つまたは複数の細胞壁修飾酵素によって処理される。いくつかの実施形態では、本発明に従う方法において得られる増大したWHCを有する穀類ふすま画分は、食料品の製造において直接添加される。
【0150】
いくつかの実施形態では、本発明に従う食料品は、パン、朝食用シリアル、パスタ、ビスケット、クッキー、スナック、およびビールからなる群から選択される。
【0151】
本明細書において引用される全ての特許、特許出願、および刊行された参考文献は、参照によってその全体が本明細書に援用される。本明細書中に記載される開示は特にその好ましい実施形態に関連して説明および記載されているが、本開示によって包含される範囲から逸脱することなく、形態および詳細において種々の変化がそこに成され得ることは、当業者にには明らかであろう。
【実施例】
【0152】
実施例1
材料:
ふすま:
以下の組成を有する、1つはライ麦由来、そしてもう1つは小麦由来である、2つの穀類ふすま画分(以下、ライ麦および小麦)を使用した。
【0153】
【表2】
【0154】
基準として、Fibrex595が使用される。
【0155】
酵素:
穀類ふすまを修飾するために、Grindamyl PowerBake950(キシラナーゼ)を使用した。
【0156】
方法:
ふすまの修飾:
45%w/wの含水量になるまで混合しながらふすまに水(+/−酵素)を添加(例えば、45gの水を100gのふすまに添加)した。水(+/−酵素)を添加したふすまを、ふすま成分の修飾のために40℃で30分間放置した。その後、オーブン中でふすまを乾燥させた(80℃、一晩)。乾燥プロセスは3つの主な目的を有し得る。1)修飾されたふすまが安定な製品を得るために乾燥され得る。2)プロセスにより、ふすま中の残留デンプンがゼラチン化され、修飾ふすまの保水力が増大し得る。そして、3)プロセスにより、添加した酵素が不活性化され得る。
【0157】
保水力(WHC)の決定:
5グラムのふすまを50mlの遠心分離管中に秤量する。管およびサンプルを秤量する(重量_1)。その後、25mlの脱塩水を添加し、室温で60分間、回転子(rotater)(Stuart SB2,Bie & Berntsen,Denmark)を用いてサンプルをゆっくりとひっくり返すことによってサンプルを混合する。その後、水和サンプルを遠心分離する(1700×g、10分間、20℃)。上澄みをデカントし、水和サンプルの入った管を秤量する(重量_2)。
【0158】
WHC(%)は、式1に従って計算することができる。
式1:WHC,%=((重量_2−重量_1)
*100%)/5グラムサンプル。
【0159】
ふすま溶解度の決定:
1グラムのふすま、または修飾ふすまに密封管中で5mLの脱塩水を添加し、回転により周囲温度で30分間抽出した。その後、管を周囲温度において1500×gで遠心分離した。上澄みを回収し、HB43−S Halogen Moistureアナライザー(Mettler Toledo)を用いて上澄み中の乾燥物質含量を決定した。
【0160】
上澄み中の乾燥物質の回収は、使用した抽出液の体積の量に対する上澄みの量について補正されなければならない。
【0161】
結果:
上述のふすまサンプルおよびプロトコールを用いて、表1および
図1の結果を得た。
【0162】
【表3】
【0163】
表1の結果は、
図1で説明される。
【0164】
結果から分かるように、プロセスはふすまの保水力に対して著しい効果を有する。この最初の痕跡において得られた効果を評価するために、結果をFibrex595の保水力と比較した。結果は、表2および
図2において報告される。
【0165】
【表4】
【0166】
表2の結果は、
図2で説明される。
【0167】
ライ麦ふすまと小麦ふすまとの間の保水力の違いがデンプン含量の違いによるものであるか、あるいはふすま細胞壁材料の構造の違いによるものであるかをさらに調査するために、2つのサンプル中のデンプン含量を調査した。結果は
図3に要約される。
【0168】
ふすま材料の可溶化の増大は多大な技術的ならびに健康および栄養的な価値を有し得ることが分かっているので、異なる方法で処理されたふすまの溶解度を調査した。異なる方法で処理された小麦ふすまの溶解度は
図4および
図5に示される。
【0169】
データに基づいて、本発明に従うプロセスが穀類ふすまの保水力および溶解度に対して著しい効果を有することは明らかである。試験した2つのふすまの間で効果に違いがある。この理由は、ふすま細胞壁材料間の構造の違いによるものであることが予想される。あるいは、サンプル中の異なる内在性酵素濃度によるものであり得る。さらに、酵素の添加を伴わないプロセス自体は、これらのふすま場合、保水力に対して正の効果を有するが、ふすまの溶解度に対しては負の効果を有することが明らかである。低水分含量において酵素処理を実行したにもかかわらず、酵素処理はふすまの可溶化に対して著しい正の効果を有する。