特許第5876488号(P5876488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5876488修飾フィラーおよびそれを含むエラストマーコンポジット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876488
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】修飾フィラーおよびそれを含むエラストマーコンポジット
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/08 20060101AFI20160218BHJP
   C09C 1/00 20060101ALI20160218BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20160218BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20160218BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20160218BHJP
   C07D 249/14 20060101ALI20160218BHJP
   C07D 249/12 20060101ALI20160218BHJP
   C07D 249/08 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   C09C3/08
   C09C1/00
   C08K9/04
   C08L21/00
   B60C1/00 A
   B60C1/00 B
   C07D249/14 505
   C07D249/12 510
   C07D249/12 509
   C07D249/08 537
【請求項の数】23
【全頁数】83
(21)【出願番号】特願2013-527337(P2013-527337)
(86)(22)【出願日】2011年9月2日
(65)【公表番号】特表2013-538902(P2013-538902A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011050298
(87)【国際公開番号】WO2012031183
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2013年4月26日
(31)【優先権主張番号】61/380,032
(32)【優先日】2010年9月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391010758
【氏名又は名称】キャボット コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 正晴
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エー.ベルモント
(72)【発明者】
【氏名】ビジャイ アール.ティルマラ
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−510861(JP,A)
【文献】 特表2001−520702(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0034629(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0101901(US,A1)
【文献】 特開2000−026661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 3/08
C09C 1/00
C08K 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾フィラーであって:
【化1】

【化2】
、または
その互変異性体を含むトリアゾールをその上に吸着されて有するフィラーを含み;
式中、Zは、アルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
Xは、同一または異なっていて、H、NH2、SH、NHNH2、CHO、COOR、COOH,CONR2、CN、CH3、OH、NDD’、またはCF3であり;
Yは、HまたはNH2であり、
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;あるいは無置換もしくは置換アリールアルキルであり;
kは、RがHの場合、1から8の整数であり、それ以外の場合、kは、2から8であり;
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;
Eは、wが2から8であるSw、SSO、SSO2、SOSO2、SO2SO2であり;ならびに、
前記トリアゾールは、NDD’置換基によってN置換されていてもよく、この場合、DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルである、
修飾フィラー。
【請求項2】
前記トリアゾールが:
【化3】
または
その互変異性体を含む、
請求項1に記載の修飾フィラー。
【請求項3】
前記フィラーが:3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド、1,2,4‐トリアゾール‐3‐チオール、もしくは1,2,4‐トリアゾール‐3‐イルジスルフィド、またはこれらのいずれかの組み合わせを、その上に吸着されて有する、請求項1に記載の修飾フィラー。
【請求項4】
前記トリアゾールが:
【化4】

【化5】
、または
その互変異性体を含む、請求項1に記載の修飾フィラー。
【請求項5】
修飾フィラーであって:
3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−チオール、4−アミノ−3−ヒドラジノ−1,2,4−トリアゾール−5−チオール、1,2,4−トリアゾール−3−チオール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−イルジスルフィド、1,2,4−トリアゾール−3−イルジスルフィド、または(1,2,4−トリアゾール−3−イルメチル)ジスルフィドから選ばれた少なくとも1つの1,2,4−トリアゾール;
をその上に吸着されて有するフィラーを含み、ここで、前記修飾フィラーは、エラストマー組成物中に存在する場合、修飾されていない前記フィラーと比較して、ヒステリシスおよび/または耐摩耗性を改善する、修飾フィラー。
【請求項6】
前記フィラーに結合された少なくとも1つの化学基をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
【請求項7】
前記化学基が少なくとも1つの有機基であり、前記有機基が:
a)少なくとも1つのトリアゾール;
b)少なくとも1つのピラゾール;
c)少なくとも1つのイミダゾール;または、
これらのいずれかの組み合わせ、
を含む、請求項に記載の修飾フィラー。
【請求項8】
前記トリアゾールが、前記フィラーに結合し、および:
【化6】

【化7】
、または
その互変異性体を含み;
式中、Zは、アルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
少なくとも1つのXは、前記フィラーへの結合を含み、および残りのXのいずれも、前記フィラーへの結合、またはH、NH2、SH、NHNH2、CHO、COOR、COOH,CONR2、CN、CH3、OH、NDD’、もしくはCF3、またはA、R、もしくはR’である官能基を含み;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;あるいは無置換もしくは置換アリールアルキルであり;
kは、RがHである場合、1から8の整数であり、それ以外の場合、kは、2から8であり;
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;
Eは、wが2から8であるSw、SSO、SSO2、SOSO2、SO2SO2であり;ならびに、
前記トリアゾールは、NDD’置換基によってN置換されていてもよく、この場合、DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルである、
請求項に記載の修飾フィラー。
【請求項9】
前記トリアゾールが、前記フィラーに結合し、1,2,4‐トリアゾール‐3‐イル基、または3‐メルカプト‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イル基である、請求項に記載の修飾フィラー。
【請求項10】
前記化学基が、R、OR、COR、COOR、OCOR、カルボン酸塩、ハロゲン、CN、NR2、SO3H、スルホン酸塩、NR(COR)、CONR2、NO2、PO32、ホスホン酸塩、リン酸塩 N=NR、NR3+-、PR3+-、SkR、SSO3H、SSO3-塩、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、2‐(1,3‐ジチオラニル)、SOR、またはSO2Rである官能基を少なくとも有するアルキル基または芳香族基を含み、ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、独立して、水素、分岐鎖状または非分岐鎖状、置換または無置換、飽和または不飽和のC1‐C12炭化水素であり、kは、1〜8の範囲の整数であり、X-は、ハロゲン化物、または無機もしくは有機酸由来のアニオンであり、Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、wは、2から6の整数であり、xおよびzは、独立して、1から6の整数である、請求項に記載の修飾フィラー。
【請求項11】
前記化学基が、式AyAr−を有する芳香族基を含み、式中、Arは、芳香族ラジカルであり、Aは、R、OR、COR、COOR、OCOR、カルボン酸塩、ハロゲン、CN、NR2、SO3H、スルホン酸塩、NR(COR)、CONR2、NO2、PO32、ホスホン酸塩、リン酸塩 N=NR、NR3+-、PR3+-、SkR、SSO3H、SSO3-塩、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、2‐(1,3‐ジチオラニル)、SOR、またはSO2Rであり、ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、独立して、水素、分岐鎖状または非分岐鎖状、置換または無置換、飽和または不飽和のC1‐C100炭化水素であり、kは、1〜8の範囲の整数であり、X-は、ハロゲン化物、または無機もしくは有機酸由来のアニオンであり、Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、wは、2から6の整数であり、xおよびzは、独立して、1から6の整数であり、yは、1から前記芳香族ラジカル中の−CHラジカルの総数までの整数である、請求項に記載の修飾フィラー。
【請求項12】
前記Arが、トリアゾール基、ピラゾール基、またはイミダゾール基を含む、請求項11に記載の修飾フィラー。
【請求項13】
前記化学基が、少なくとも1つのアミノメチルフェニル基である、請求項に記載の修飾フィラー。
【請求項14】
前記化学基が、少なくとも1つの芳香族スルフィドまたはポリスルフィドを含む、請求項に記載の修飾フィラー。
【請求項15】
前記修飾フィラーが、エラストマー組成物中に存在する場合、修飾されていない前記フィラーと比較して、耐摩耗性を改善する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
【請求項16】
前記修飾フィラーが、エラストマー組成物中に存在する場合、修飾されていない前記フィラーと比較して、耐摩耗性を改善し、および前記エラストマー組成物中に存在する場合、未修飾の前記フィラーと比較して、ヒステリシスを改善(低減)する、請求項14のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
【請求項17】
修飾フィラーであって:
【化8】

【化9】
、または
その互変異性体を含むトリアゾールをその上に結合されて有するフィラーを含み、
式中、Zはアルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
少なくとも1つのXは、前記フィラーへの結合を含み、および残りのXのいずれも、前記フィラーへの結合、またはH、NH2、SH、NHNH2、CHO、COOR、COOH,CONR2、CN、CH3、OH、NDD’、もしくはCF3、またはA、R、もしくはR’である官能基を含み;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていてよく、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;あるいは無置換もしくは置換アリールアルキル、であり;
kは、1から8の整数であり;
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;
Eは、wが2から8であるSw、SSO、SSO2、SOSO2、SO2SO2であり;ならびに、
前記トリアゾールは、NDD’置換基によってN置換されていてもよく、この場合、DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルである、
修飾フィラー。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の修飾フィラー、および少なくとも1つのエラストマーを含む、エラストマー組成物。
【請求項19】
請求項18に記載のエラストマー組成物を含む、製品。
【請求項20】
前記製品が、タイヤまたはその構成部品である、請求項19に記載の製品。
【請求項21】
エラストマー組成物において、請求項1〜17のいずれか一項に記載の修飾フィラーの少なくとも1つを前記エラストマー組成物中に硬化前に導入することを含む、耐摩耗性を改善するための方法。
【請求項22】
エラストマー組成物において、請求項14または請求項18のいずれか一項に記載の修飾フィラーの少なくとも1つを前記エラストマー組成物中に硬化前に導入することを含む、ヒステリシスを改善(低減)するための方法。
【請求項23】
エラストマー組成物において、請求項14のいずれか一項に記載の修飾フィラーを前記エラストマー組成物中に硬化前に導入することを含む、耐摩耗性を増加し、ヒステリシスを低減するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる2010年9月3日に出願された先願である米国特許仮出願第61/380,032号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、フィラー、エラストマー組成物またはコンポジット、およびそれを作製するための方法、ならびにエラストマー組成物の1つ以上の性質を改善するための方法に関する。より詳細には、本発明は、修飾フィラー、およびこれらのフィラーのエラストマー組成物における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
カーボンブラックおよびその他のフィラーが、ゴム、プラスチック、紙、または布地の用途で用いられる組成物のコンパウンディングおよび作製において、顔料、フィラー、および/または強化剤として利用されてきた。カーボンブラックまたはその他のフィラーの特性は、このような組成物の種々の性能特性を決定する際の重要な因子である。
【0004】
過去数十年にわたり、カーボンブラックの表面化学を修飾するために大きな労力が払われてきた。有機基をカーボンブラックへ結合させるための有用なプロセス、および得られた生成物の使用は、例えば、米国特許第5,559,169号;同第5,900,029号;同第5,851,280号;同第6,042,643号;同第6,494,946号;同第6,740,151号;および同第7,294,185号に記載されており、これらはすべて、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、米国特許第5,559,169号は、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマー(EPDM)、アクロニトリルおよびブタジエンの部分水素化コポリマー(HNBR)、またはブチルゴム組成物に用いることができる、式 〜Ar〜Sn〜Ar’〜または〜Ar〜Sn〜Ar’’〜(式中、ArおよびAr’は、アリーレン基であり、Ar’’は、アリール基であり、nは、1から8である)の有機基が結合されたカーボンブラック生成物を開示している。
【0005】
エラストマー組成物の重要な用途は、タイヤの製造に関連し、最終製品またはその構成部品に特定の特性を付与するために、追加の成分が添加されることが多い。例えば、米国特許第6,014,998号には、タイヤ構成部品用のシリカ強化ゴム組成物において、ヒステリシスを悪化させることなく、硬化速度、硬化効率、硬度、静的および動的弾性率を改善するために、ベンゾトリアゾールまたはトリルトリアゾールを用いることが記載されている。これらの組成物は、ゴム100部に対して、約2から約35部のトリアゾール(好ましくは、約2から約6部のトリアゾール)を含む。いくつかの場合では、真鍮粉末および導電性カーボンブラックも添加され、この組成物は、一工程または複数工程にて、従来の手段で混合される。
【0006】
米国特許第6,758,891号は、カーボンブラック、グラファイト粉末、グラファイトファイバー、カーボンファイバー、カーボンフィブリル、カーボンナノチューブ、カーボンファブリック、ガラス状カーボン生成物、および活性炭素の、トリアゼン修飾剤との反応による処理に関する。得られたカーボンは、ゴム、プラスチック、印刷インク、インク、インクジェットインク、ラッカー、トナーおよび着色剤、ビチュメン、コンクリート、その他の建築材料、ならびに紙に用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記で述べたように、フィラーは、エラストマー組成物を含む様々な材料に強化という利点を提供することができる。従来のフィラーの属性に加えて、1つ以上のエラストマー特性、特にヒステリシスおよび/または耐摩耗性を改善することができるフィラーの提供が望まれている。しかし、これまで、フィラーを用いたいくつかのエラストマー組成物では、フィラーは通常、1つの特性を改善することができるが、他の特性が犠牲になってしまう。例えば、ヒステリシスが改善され得る一方、耐摩耗性が低下するか、改善されない場合がある。従って、好ましくは、これらの特性の1つを、他の特性を大きく悪化させることなく、向上することができるフィラーを提供することが求められている。さらにより好ましいのは、両方の特性を改善することができる、すなわち、ヒステリシスを改善し、耐摩耗性も改善することができるフィラーである。
【0008】
本発明の特徴は、1つ以上の有益な特性を高める新しい種類のフィラーを提供することである。
【0009】
本発明のさらなる特徴は、エラストマー組成物において、存在する場合に、ヒステリシスを改善する能力を有することができるフィラーを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる特徴は、エラストマー組成物において、存在する場合に、耐摩耗性を改善する能力を有することができるフィラーを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる特徴は、エラストマー組成物において、ヒステリシスおよび耐摩耗性に関する性質のバランスを達成するための方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点は、本明細書に一部示されており、一部は本明細書から明らかであるか、または本発明の実践から習得することができる。本発明の特徴およびその他の利点は、本明細書および添付の請求項にて特に指摘される要素および組み合わせにより、理解され、達成されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらのおよびその他の利点を達成するために、および本発明の目的に従って、本明細書にて具体的に表現され、広く記述されるように、本発明は、修飾カーボンブラック、修飾金属酸化物、炭素相およびケイ素含有種相を有する修飾フィラーなどの修飾フィラーに関する。修飾フィラーは、少なくとも1つのトリアゾール、または少なくとも1つのピラゾール、またはこれらのいずれかの組み合わせがその上に吸着されたフィラーであってよい。より具体的な式および例は提供される。
【0014】
この修飾フィラーは、所望に応じて、少なくとも1つのアルキル基および/または芳香族基を含む有機基を例とする有機基などの少なくとも1つの化学基が結合されていてよい。アルキル基および/または芳香族基は、フィラーに直接結合されていてよい。化学基は、フィラー上に吸着された基と同一であっても、類似であっても、異なっていてもよい。結合された化学基は、少なくとも1つのトリアゾール、または少なくとも1つのピラゾール、または少なくとも1つのイミダゾール、またはこれらのいずれかの組み合わせであってよいか、またはそれらを含んでいてよい。
【0015】
本発明はまた、その上に少なくとも1つのトリアゾールが結合された、修飾カーボンブラックまたは修飾金属酸化物などの修飾フィラーにも関する。
【0016】
本発明はさらに、本発明のいずれかの1つ以上の修飾フィラーおよび少なくとも1つのエラストマーを含有するエラストマー組成物、ならびにそれを作製するための方法にも関する。
【0017】
本発明はさらに、本発明の1つ以上の修飾フィラー、および/または本発明の1つ以上のエラストマー組成物もしくはポリマー組成物から作製されるか、またはそれを含有する物品にも関し、タイヤまたはその部品、ならびにその他のエラストマーおよび/またはポリマー物品などである。
【0018】
本発明はさらに、本発明の1つ以上の修飾フィラーをエラストマー組成物中に組み込むことによる、タイヤまたはその部品などのエラストマー組成物におけるヒステリシスおよび/または耐摩耗性を改善するための方法にも関する。
【0019】
前述の概略的な記述、および以下の詳細な記述はいずれも、単に代表的および説明的なものであり、請求される本発明のさらなる説明を提供することを意図していることは理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、修飾フィラー、修飾フィラーを含有するエラストマー組成物、修飾フィラーまたはエラストマーもしくはその他のポリマー組成物から作製されるか、またはそれを含有する物品、それを作製するための方法、ならびにヒステリシスおよび/または耐摩耗性を含むがこれらに限定されないエラストマー特性を改善する方法に関する。
【0021】
より詳細には、本発明は、一部分において、(a)1,2,4トリアゾールなどの少なくとも1つのトリアゾール;(b)少なくとも1つのピラゾール;またはこれらのいずれかの組み合わせがその上に吸着されたフィラーであるか、またはそのフィラーを含むものである修飾フィラーに関する。修飾フィラーは、好ましくは、エラストマー組成物中に存在する場合、修飾されていない同じフィラーと比較して(すなわち、未処理または未修飾フィラーと比較して)、耐摩耗性を改善する。この試験パラメータを確認するために用いられるエラストマー組成物は、実施例で用いられるエラストマー組成物の1つであってよい。
【0022】
本発明はまた、一部分において:
a)いずれかの他の芳香族基の存在下、または非存在下での、硫黄含有またはポリ硫黄含有置換基を有する少なくとも1つの1,2,4トリアゾールなどの少なくとも1つのトリアゾール;または、
b)いずれかの他の芳香族基の存在下、または非存在下での、硫黄含有置換基を有する少なくとも1つのピラゾール、またはこれらのいずれかの組み合わせがその上に吸着されたフィラーであるか、またはそれを含むものである修飾フィラーにも関する。ここでも、好ましくは、修飾フィラーは、エラストマー組成物中に存在する場合、修飾されていないフィラーと比較して、耐摩耗性を改善する。ここでも、この試験特性を確認するために、実施例で用いられるエラストマー成物の1つを用いてよい。
【0023】
本発明の目的のために、(a)および/または(b)の吸着とは、吸着化学基が、フィラーの表面に化学的に結合しておらず、ソックスレー抽出などの溶媒抽出によって表面から除去可能であることを意味する。例えば、フィラー上に吸着された化学基は、メタノールまたはエタノール中16〜18時間で行うことができるソックスレー抽出によって除去することができ、ここで、この抽出により、すべての、またはほとんどすべての、または実質的にすべての化学基が除去される。抽出は、1回以上繰り返してよい。吸着基の残基がフィラーの表面上に残留し得ることも考えられる。本発明の目的のために、本明細書で述べるように、溶媒による抽出は、吸着化学基の少なくとも80重量%を、一般的には、吸着化学基の少なくとも90重量%または少なくとも95重量%を除去することができる。これは、抽出および未抽出サンプルの元素分析によって測定することができる。
【0024】
本発明の目的のために、トリアゾールは、トリアゾール含有基を有する化学基を含む。トリアゾールは、1,2,4トリアゾールまたは1,2,3トリアゾールであってよい。トリアゾールは、チオールまたはポリスルフィド含有ポリトリアゾールであってよい。1,2,4トリアゾールまたは1,2,4マゾール(1,2,4 Mazole)含有基が、吸着化学基として好ましい。トリアゾールの例としては、以下の式:
【化1】
もしくは
【化2】
を有するトリアゾール(もしくはその互変異性体)、または、以下の式:
【化3】
もしくは
【化4】
を有するトリアゾール(もしくはその互変異性体)が挙げられ、
式中、Zは、アルキレン基(例:C1‐C4アルキレン)であり、ここで、bは、0または1であり;
Xは、同一または異なっていて、H、NH2、SH、NHNH2、CHO、COOR、COOH、CONR2、CN、CH3、OH、NDD’、またはCF3であり;
Yは、HまたはNH2であり;
Aは、官能基であり、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)であってよいか、またはこれらを含んでよく;または、1つ以上のその官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびRは、同一であってもまたは異なっていてもよく、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、1から8の整数であり;ならびに、
Qは、(CH2w、(CH2)xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6である。SkRは、SkHであってよい。SkRについて、RがHでない場合、kは、2から8であり、RがHである場合、kは1から8であり;
Eは、Sw(ここで、wは2から8である)、SSO、SSO2、SOSO2、SO2SO2などのポリ硫黄含有基であり;ならびに、
トリアゾールは、所望に応じて、NDD’置換基によってN置換されていてよく、この場合、DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルである。
【0025】
トリアゾールのより具体的な例としては、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イル‐ジスルフィド;1,2,4‐トリアゾール‐3‐チオール;1,2,4‐トリアゾール‐3‐イル‐ジスルフィド;3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イル‐トリスルフィド;4‐アミノ‐3‐ヒドラジノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本発明の目的のために、ピラゾールは、ピラゾール含有基を有する化学種を含む。ピラゾールは、チオールまたはポリスルフィド含有ポリピラゾールであってよい。ピラゾールの例としては、以下の式:
【化5】
を有するピラゾール(もしくはその互変異性体)、または、以下の式:
【化6】
を有するピラゾール(もしくはその互変異性体)を挙げることができ、
式中、Zは、アルキレン基(例:C1‐C4アルキレン)であり、ここで、bは、0または1であり;
XおよびYは、独立して、H、NH2、SH、NHNH2、CHO、COOR、COOH,CONR2、CN、CH3、OH、NDD’、もしくはCF3であるか、またはYは、Rであってよく、ここで、XおよびYの各々は、同一または異なっており;
Aは、官能基であり、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)であってよいか、またはこれらを含んでよく;または、1つ以上のその官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一であってもまたは異なっていてもよく、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;kは、1から8の整数であり;ならびに、Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6である。SkRは、SkHであってよい。SkRについて、RがHでない場合、kは、2から8であり、RがHである場合、kは1から8である。Eは、Sw(ここで、wは2から8である)、SSO、SSO2、SOSO2、またはSO2SO2などのポリ硫黄含有基であり;ならびに、
DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルである。
【0027】
ピラゾールのより具体的な例としては、ピラゾール‐3‐チオール、ピラゾール‐3‐イルジスルフィド、および/または3‐メチル‐ピラゾール‐5‐チオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で示される式のいずれについても、置換基Aに関して、より具体的な例としては、SH;ArがトリアゾールもしくはピラゾールであるAr、またはArが異なるヘテロ環であるSSArが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
述べたように、フィラー上またはフィラーの表面上に吸着されてこの種類の修飾フィラーを作り出す化学基は、単一の化学基であっても、または2つ以上の異なる種類の化学基であってもよい。1つ以上の異なる種類のトリアゾールが存在してよく、および/もしくは1つ以上の異なる種類のピラゾールが存在してよく、または1つ以上のピラゾールと共に1つ以上のトリアゾールなどのこれらのいずれかの組み合わせであってもよい。加えて、選択肢として、トリアゾールおよび/またはピラゾール以外のその他の化学基も、吸着化学基としてフィラー上に追加的に存在してもよい。
【0030】
吸着化学基は、フィラーの露出表面の表面領域上全体に、もしくは実質的に全体にあって、修飾フィラーを形成してよく、またはこれより少ない量であってもよい。例えば、吸着化学基は、フィラー表面の表面領域の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、もしくは約100%、またはフィラーの表面上の表面領域の100%を占めていてよい。
【0031】
(1もしくは複数の)吸着化学基の量は、フィラー上におけるいずれの量であってもよい。例えば、吸着化学基の総量は、窒素吸着(BET法)で測定した場合、フィラー表面積(m2)あたり約0.01から約10マイクロモルのヘテロ環式基であってよく、約1から約8マイクロモル/m2、約2から約6マイクロモル/m2、または約3から約5マイクロモル/m2を含む。
【0032】
(1もしくは複数の)吸着化学基および/または結合化学基を受けるフィラーは、本明細書で述べるように、従来のいずれのフィラーであってもよい。フィラーは、微粒子フィラーである。例えば、フィラーは、1種類以上のカーボンブラック、1種類以上の金属酸化物もしくは金属含有フィラー(例:ケイ素、マグネシウム、カルシウム、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、スズ、アンチモン、クロム、ネオジウム、鉛、バリウム、セシウム、および/もしくはモリブデンの、またはそれらを含有する、酸化物またはフィラー)、または少なくとも1つの炭素相および少なくとも1つの金属含有種相またはケイ素含有種相(ケイ素処理カーボンブラックとしても知られる)を含む多相凝集体などの1種類以上のその他の炭素含有フィラーであってよい。フィラーは、シリカ被覆カーボンブラック、酸化カーボンブラック、スルホン化カーボンブラック、または有機基などの1つ以上の化学基が結合されたフィラーであってよい。カーボンブラックに関して、カーボンブラックは、ASTM‐100からASTM‐1000タイプのカーボンブラックなどのいずれのASTM‐タイプのカーボンブラックであってもよい。フィラーは、強化グレードのフィラー、タイヤグレードのフィラー、またはゴムグレードのフィラーの1種類以上であってよく、タイヤグレードのカーボンブラックまたはゴムグレードのカーボンブラックなどである。フィラーのその他の例としては、炭酸カルシウム、クレイ、タルク、シリケートなどが挙げられる。
【0033】
フィラーは、ファイバー、ナノチューブ、グラフェンなどのいずれの炭素含有フィラーであってもよい。
【0034】
カーボンブラックなどのフィラーまたは強化剤は、キャボットコーポレーション、デグサまたはエボニックコーポレーションなどから提供されるものなど、市販のカーボンブラックおよび/またはシリカのいずれであってもよい。本発明の(1もしくは複数の)修飾フィラーの形成に用いることができるカーボンブラック、シリカ、またはその他のフィラーの種類に対して決定的なものはまったく存在しない。従って、カーボンブラックおよび/またはシリカなどのフィラーは、いかなる物理的、分析的、および/または形態学的特性を有していてもよい。適切なカーボンブラックの例としては、本明細書で列挙されるもの、ならびに非導電性または導電性ファーネスブラック、キャボットのBlack Pearls(登録商標)カーボンブラック、キャボットのVulcan(登録商標)カーボンブラック、キャボットのSterling(登録商標)カーボンブラック、キャボットのRegal(登録商標)カーボンブラック、キャボットのSpheron(登録商標)カーボンブラック、キャボットのMonarch(登録商標)カーボンブラック、キャボットのElftex(登録商標)カーボンブラック、キャボットのEmperor(登録商標)カーボンブラック、キャボットのIRX(商標)カーボンブラック、キャボットのMogul(登録商標)カーボンブラック、キャボットのCRX(商標)カーボンブラック、キャボットのCSX(商標)カーボンブラック、キャボットのEcoblack(商標)カーボンブラック、デグサのCK‐3カーボンブラック、デグサのCorax(登録商標)カーボンブラック、デグサのDurex(登録商標)カーボンブラック、デグサのEcoraxカーボンブラック、デグサのPrintex(登録商標)カーボンブラック、デグサのPurex(登録商標)カーボンブラックが挙げられる。その他の例としては、ランプブラック、有機基などの(1もしくは複数の)化学基が結合されたカーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、金属処理カーボンブラック、シリカ被覆カーボンブラック、化学処理(例:界面活性剤処理)カーボンブラック、およびいずれかのグレードのカーボンブラックまたはシリカが挙げられる。
【0035】
カーボンブラックは、以下の特性の1つ以上を有し得る。CTAB表面積は、10m2/gから400m2/gであってよく、20m2/gから250m2/g、または50m2/gから150m2/gなどである。ヨウ素価は、10m2/gから1000m2/g、20m2/gから400m2/g、または20から300m2/g、または50m2/g、および150m2/gであってよい。DBPAは、20mL/100gから300mL/100gであってよく、30mL/100gから200mL/100g、または50mL/100gから150mL/100gなどである。多くの適切なカーボンブラック出発物質が市販されている。市販のカーボンブラックの代表的な例としては、Regal(登録商標)、Sterling(登録商標)、およびVulcan(登録商標)の商品名でキャボットコーポレーションから市販されているカーボンブラックが挙げられる(Regal(登録商標)330、Regal(登録商標)300、Regal(登録商標)90、Regal(登録商標)85、Regal(登録商標)80、Sterling(登録商標)SO、Sterling(登録商標)SO‐1、Sterling(登録商標)V、Sterling(登録商標)VH、Sterling(登録商標)NS‐1、Vulcan(登録商標)10H、Vulcan(登録商標)9、Vulcan(登録商標)7H、Vulcan(登録商標)6、Vulcan(登録商標)6LM、Vulcan(登録商標)3、Vulcan(登録商標)M、Vulcan(登録商標)3H、Vulcan(登録商標)P、Vulcan(登録商標)K、Vulcan(登録商標)J、およびVulcan(登録商標)XC72など)。他の供給業者から入手可能であるカーボンブラックを用いてもよい。出発カーボン品は、炭素相、および酸化または炭化金属を例とする第二相を含む二相粒子であってよい。
【0036】
カーボンブラックなどのフィラーは、低PAH量を有していてよい。カーボンブラックは、カーボンブラックが低PAH量を有するように形成してよく、または、市販のカーボンブラックは、低PAH量を有するカーボンブラックが形成されるように、PAHを除去するために適切に処理されてよい。本発明のカーボンブラックは、例えば、ヨウ素吸収量、DBPA、粉砕後DBPA、CTAB、窒素表面積、STSA、および/または着色力などに関するいずれかの標準ASTMカーボンブラック規格と共に、低PAH量を有していてよい。カーボンブラックは、ASTM規格カーボンブラックであってよく、N110、N121、N220、N231、N234、N299、N326、N330、N339、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N650、N660、N683、N762、N765、N774、N787、および/またはN990カーボンブラックなどであり、これらは、特定のN‐シリーズカーボンブラックに対するASTM規格の特性を有する。カーボンブラックは、20m2/gから150m2/g、またはそれ以上の範囲のSTSAを有してよい。カーボンブラックは、低PAH量を有するいかなるASTMグレードカーボンブラックであってもよく、N110 ASTMカーボンブラックからN990 ASTMカーボンブラックなどであり、より好ましくは、N110からN500 ASTMカーボンブラックである。いかなる市販グレードのカーボンブラックも、低PAH量を有するように形成されていてよく、および/または本発明に基づいて低PAH量を有するように続いて処理されてよい。
【0037】
本発明の目的のために、低PAH量は、低PAH22を含むか、またはこれによって定められる。上述のように、PAH22は、米国特許出願公開第2008/159947号の図1に示されるPAHの尺度である。本発明の目的のために、低PAH量は、低PAH22によって定められてよい。適切な量の例としては、カーボンブラック中に存在するPAH22の量に関して、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、150ppm以下、125ppm以下、100ppm以下、75ppm以下、50ppm以下、25ppm以下が挙げられる。適切な範囲としては、カーボンブラック中に存在するPAH22の総量に関して、約1ppmから約500ppm、5ppmから500ppm、15ppmから500ppm、5ppmから50ppm、5ppmから100ppm、1ppmから100ppm、または1ppmから30ppmが挙げられる。上記で提供される範囲または量のいずれについても、下限は、0.1ppm、1ppm、2ppm、5ppm、10ppm、または15ppmであってよい。範囲は、厳密なものであっても、またはおおよそのもの(例:「約1ppm」など)であってもよい。ppm範囲は、すべての、またはいずれの数のPAHに対しても適用され得る(例:すべてのPAH、またはPAHの1つ以上)。本発明の目的のために、PAH22は、ベンゾ(j)フルオラントレン(Benzo(j)fluoranthrene)を除いて、米国特許出願公開第2008/159947号の図1にて識別されるPAHの尺度である。また、PAH8は、本発明の目的のために、ベンゾ(a)アントラセン、ベンゾ(a)ピレン、ベンゾ(e)ピレン、ベンゾ(b)フルオラントレン、ベンゾQフルオラントレン、ベンゾ(k)フルオラントレン、クリセン、およびジベンゾ(a,h)アントラセンの尺度である。BaPは、ベンゾ(a)ピレンを意味する。
【0038】
本発明のカーボンブラックは、約0.15から約2マイクログラム/m2のPAH含有量を有してよく、0.2から1.5マイクログラム/m2、または0.3から1.25マイクログラム/m2、または0.4から1.0マイクログラム/m2などである。
【0039】
一般的に、カーボンブラックは、ファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、プラズマブラック、ケイ素含有種および/または金属含有種を含有するカーボン生成物などであってよい。カーボンブラックは、ショートクエンチ(short quench)またはロングクエンチ(long quench)ブラックであってよい。
【0040】
本発明の目的のために、ショートクエンチカーボンブラックを用いてよく、これは、熱分解からの形成後にカーボンブラックがショートクエンチに付されてカーボンブラック形成反応が停止されるプロセスによって形成されたカーボンブラックであると考えることができる。ショートクエンチは、CBトルエン着色度(ASTM D1618に従って試験)の値が95%以下となることを確実にするファーネスカーボンブラック製造プロセスのパラメータである。ショートクエンチカーボンブラックの例としては、Vulcan(登録商標)7H カーボンブラック、Vulcan(登録商標)J カーボンブラック、Vulcan(登録商標)10H カーボンブラック、Vulcan(登録商標)10 カーボンブラック、Vulcan(登録商標)K カーボンブラック、Vulcan(登録商標)M カーボンブラック、およびN‐121 カーボンブラックが挙げられるが、これらに限定されない。ショートクエンチカーボンブラックは、ファーネスカーボンブラックであってよい。ショートクエンチカーボンブラックは、Nil 0からN798 ASTMのカーボンブラックであってよい。ショートクエンチカーボンブラックは、PAH含有量、STSA、I2No(mg/g)/STSA(m2/g)比、DBPなどに関して、上述のパラメータのいずれを有していてもよい。
【0041】
カーボンブラックは、酸化剤を用いて予め酸化されたものなどの酸化カーボンブラックであってよい。酸化剤としては、空気、酸素ガス、オゾン、NO2(NO2と空気との混合物を含む)、過酸化水素などの過酸化物、過硫酸ナトリウム、カリウム、もしくはアンモニウムを含む過硫酸塩、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、もしくは過ハロゲン酸塩(亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、もしくは過塩素酸ナトリウムなど)、硝酸などの酸化酸、および過マンガン酸塩、四酸化オスミウム、酸化クロム、もしくは硝酸セリウムアンモニウム(eerie ammonium nitrate)などの遷移金属含有酸化剤が挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤の混合物、特に、酸素およびオゾンなどの気体酸化剤の混合物を用いてよい。加えて、塩素化およびスルホン化など、その他の表面修飾法を用いて、顔料表面上にイオン性もしくはイオン化可能基を導入して作製されたカーボンブラックも用いてよい。予め酸化されたカーボンブラックの作製に用いてよいプロセスは、本技術分野にて公知であり、いくつかの種類の酸化カーボンブラックが市販されている。
【0042】
ケイ素処理カーボンブラックおよびその製造法に関する詳細は、例えば、いずれもその全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,830,930号;同第5,877,238号;同第6,028,137号;および同第6,323,273B1号に提供されている。
【0043】
シリカ被覆カーボンブラックも、出発物質として適している。そのようなカーボンブラックは、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,197,274B1号に記載されている。
【0044】
ケイ素処理カーボンブラックは、例えば、硝酸およびオゾンなどの酸化剤で酸化されてよく、ならびに/または、例えば米国特許第6,323,273B1号に記載のようなカップリング剤と組み合わされてもよい。
【0045】
金属酸化物に関して、金属酸化物は、アルミナ、アルミニウム含有フィラー、酸化亜鉛、亜鉛含有フィラー、ヒュームドシリカもしくは沈降シリカなどのシリカまたはシリカ含有フィラーであってよい。シリカは、分散シリカであってよく、それは、この用語がエラストマーで用いられるからである。より具体的な例としては、Z1 165シリカ、ローディア(ローヌ‐プーラン)のZeosil(登録商標)HDS、エボニックインダストリー(デグサ)のUltrasil(登録商標)5000 GRおよび7000 GR、ならびにPPGのHi‐Sil 223、Agilon 400、およびCiptane(商標)シリカが挙げられる。シリカなどの金属酸化物は、100m2/gから240m2/gのCTAB、および/もしくは100から240m2/gのBET;ならびに/または少なくとも2.5cm3/gの全細孔体積および/もしくは150mL/100gから400mL/100gのDOPオイル吸着量を有していてよい。
【0046】
本発明の目的のために、シリカ含有フィラーは、フィラーの重量パーセントに基づいて、少なくとも0.1重量%のシリカ含有量を有するいかなるフィラーも含む。シリカ含有フィラーが含有するシリカの重量パーセントは、少なくとも0.3重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも7.5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも17.5重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、または0.1重量%から100重量%、2重量%から100重量%、5重量%から99重量%、10重量%から90重量%、15重量%から90重量%、15重量%から50重量%、15重量%から35重量%、または50重量%以下、およびその他のいずれの重量パーセントであってもよく、重量パーセントはすべて、シリカ含有フィラーの総重量に基づいている。シリカ含有フィラーは、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、シリカ被覆カーボンブラック、および/またはケイ素処理カーボンブラックであってよいか、またはそれらを含んでよい。シリカ含有フィラーのいずいれも、有機基が結合されるなどの化学基が結合されるなど、化学的に官能化されてよい。シリカ含有フィラーのいかなる組み合わせを用いてもよい。さらに、(1もしくは複数の)シリカ含有フィラーを、選択肢として、(1もしくは複数の)カーボンブラックなどのいかなるシリカ非含有フィラーと組み合わせて用いてもよい。
【0047】
ケイ素処理カーボンブラックにおいて、ケイ素の酸化物または炭化物などのケイ素含有種は、カーボンブラックの固有部分として、カーボンブラック凝集体の少なくとも一部を通して分布される。従来のカーボンブラックは、凝集体の形態で存在し、各凝集体は、炭素である単相から成っている。この相は、グラファイト微結晶および/またはアモルファス炭素の形態で存在し得るものであり、通常は、この2つの形態が混在している。カーボンブラック凝集体は、シリカなどのケイ素含有種をカーボンブラック凝集体表面の少なくとも一部に堆積させることによって修飾され得る。得られたものは、ケイ素被覆カーボンブラックと記述され得る。
【0048】
本明細書にてケイ素処理カーボンブラックとして記述される物質は、被覆またはそれ以外で修飾されたカーボンブラック凝集体ではなく、実際は、2つの相を有する異なる種類の凝集体を表す。1つの相は炭素であり、さらにグラファイト微結晶および/またはアモルファス炭素として存在し、一方第二の相は、シリカ(および可能性として、その他のケイ素含有種)である。従って、ケイ素処理カーボンブラックのケイ素含有種相は、凝集体の固有部分であり;凝集体の少なくとも一部の全体に分布している。種々のケイ素処理ブラックが、キャボットコーポレーションより、Ecoblack(商標)CRX2125およびCRX4210の商品名で市販されている。上述のシリカ被覆カーボンブラックは、その表面にケイ素含有種が堆積した予め形成された単相カーボンブラック凝集体から成るものであり、多相凝集体はそれとは非常に異なるものであることは理解される。そのようなカーボンブラックは、例えば米国特許第6,929,783号に記載のように、カーボンブラック凝集体の表面にシリカ官能基を配置するために、表面処理が施され得る。
【0049】
ケイ素処理カーボンブラックは、主としてカーボンブラックの凝集体表面にケイ素含有領域を含みながらも、それでもカーボンブラックの一部分であってよく、および/または、ケイ素処理カーボンブラックは、カーボンブラック凝集体全体に分布したケイ素含有領域を含んでもよい。ケイ素処理カーボンブラックは、酸化されてよい。ケイ素処理カーボンブラックは、ケイ素処理カーボンブラックの重量に基づいて、約0.1重量%から約50重量%のケイ素を含有してよい。これらの量は、約0.5重量%から約25重量%、または約2重量%から約15重量%のケイ素であってよく、すべてケイ素処理カーボンブラックの重量に基づいている。
【0050】
(1もしくは複数の)吸着化学基を有する修飾フィラーを形成するためのプロセスに関して、従来のいずれの吸着技術を用いてもよい。例えば、この種類の修飾フィラーを形成するためにフィラー上またはフィラー表面上に所望される化学基は、適切な溶媒に溶解されて、フィラー表面に適用されてよく、ここで、続いて溶媒が、蒸発法などによって除去されてよい。別の選択肢として、修飾フィラーを形成するためにフィラー表面上に吸着されるべき化学種は、溶融されてもよい。フィラーとフィラー表面上に吸着されるべき化学種との接触は、いかなる方法で行ってもよく、スプレーコーティング法などがある。フィラー上に吸着されるべき化学溶液は、ピンペレタイザー中にて一緒に混合されてよく、次に溶媒が蒸発されてよい。
【0051】
また、選択肢として、本明細書で述べる吸着化学基を有する修飾フィラーは、所望に応じて、1つ以上の化学基の結合を含んでいてもよい。
【0052】
本発明の目的のために、1つ以上の化学基の結合とは、化学基が、フィラー表面上に吸着されるのではなく、吸着化学種を除去する目的で前述した抽出プロセスによって除去できないか、または実質的に除去できないことを意味する。少なくとも1つの化学基の結合は、一般的に、共有結合によるなどの化学結合によるものである。
【0053】
化学基は、少なくとも1つの有機基であってよい。有機基は、アルキル基および/または芳香族基を含んでよいか、またはそれらであってよい。より具体的な例としては、C1-20アルキル基またはC6-18芳香族基が挙げられ、C1-12アルキル基または(1もしくは複数の)C6‐C12芳香族基などである。結合基の例としては、本明細書で述べる置換基Aと同じであってよい1つ以上の官能基を有するアルキルまたは芳香族基を挙げることができる。アルキル基および/または芳香族基は、フィラーと直接結合していてよい。
【0054】
1つ以上の化学基をフィラー上に結合させてこの種類の修飾フィラーを形成するための方法は、ジアゾニウム反応を含む、フィラー粒子へ化学基を結合させるための公知のいかなる結合機構を含んでもよい。
【0055】
結合化学基を有する修飾フィラーは、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,554,739号;同第5,707,432号;同第5,837,045号;同第5,851,280号;同第5,885,335号;同第5,895,522号;同第5,900,029号;同第5,922,118号;同第6,042,643号;同第6,398,858号;同第7,175,946号;同第6,471,763号;同第6,780,389号;同第7,217,405号;同第5,859,120号;および同第6,290,767号;米国特許出願公開第2003‐0129529 A1号;同第2002‐0020318号;同第2002‐0011185 A1号;および同第2006‐0084751 A1号、ならびにPCT国際出願第99/23174号に記載の方法を用い、適合させることで作製することができる。これらの参考文献は、一部、顔料へ官能基を結合させるためのジアゾニウム化学の使用について記載している。単なる一例として、これらのプロセスは、本発明の修飾フィラー(結合化学基を有する)の形成に適合され、使用された。
【0056】
アミノ型のトリアゾール、ピラゾール、および/またはイミダゾールを用いてよく(例は、本出願の実施例のセクションに提供される)、そして、例えば上記の特許に記載のようなジアゾニウム反応を用いてこれらをフィラー上に結合させ、有機基などの、ならびに結合された少なくとも1つのトリアゾール基、ピラゾール基、および/またはイミダゾール基などの結合化学基を有するこの型の修飾フィラーを形成してよい。結合されたトリアゾール、ピラゾール、および/またはイミダゾール基は、別の型の修飾フィラーの場合について以下でさらに例示され、ここでも適用可能であろう。
【0057】
修飾フィラー(結合化学基を有する)は、当業者に公知である化学基を結合させるためのいかなる方法を用いて作製してもよい。例えば、修飾フィラーは、上記で引用した特許/刊行物に記載の方法を用いて作製してよい。修飾フィラーを作製するためのその他の方法としては、利用可能な官能基を有するフィラーを、有機基を含む試薬と反応させることを含み、例えば、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,723,783号に記載のものなどである。そのような官能性フィラーは、上記で組み込まれる参考文献に記載の方法を用いて作製してよい。加えて、結合官能基を含有する修飾フィラーはまた、各々についてその全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,831,194号および同第6,660,075号、米国特許出願公開第2003‐0101901号および同第2001‐0036994号、カナダ特許第2,351,162号、欧州特許第1 394 221号、およびPCT国際公開第04/63289号、ならびにN. Tsubokawa, Polym. Sci., 17, 417, 1992に記載の方法によって作製してもよい。
【0058】
結合基の量は、修飾フィラーの所望される用途および結合基の種類に応じて様々であり得る。例えば、結合有機基の総量は、窒素吸着(BET法)で測定される場合、フィラー表面積(m2)あたり約0.01から約6.0マイクロモルの基であってよく、約0.1から約5.0マイクロモル/m2、約0.2から約3.0マイクロモル/m2、または約0.3から約2.0マイクロモル/m2を含む。
【0059】
トリアゾール、ピラゾール、および/またはイミダゾール基の例は、これらの基が、例えば化学結合によってフィラーへ結合すること以外は、上述の吸着化学基の場合と同じである。結合化学基の例を、以下に示す。
【0060】
本発明の目的のために、トリアゾールは、トリアゾール含有基を有する化学基を含む。トリアゾールは、1,2,4トリアゾールまたは1,2,3トリアゾールであってよい。トリアゾールは、チオールまたはポリスルフィド含有ポリトリアゾールであってよい。1,2,4トリアゾールまたは1,2,4トリアゾール含有基が、達成される特性の観点から、特にエラストマーコンポジットにおいて、吸着および/または結合トリアゾール化学基として好ましい。結合トリアゾールに関して、例としては、これらに限定されないが、以下のもの:
【化7】

【化8】

【化9】
、または
その互変異性体が挙げられ、
式中、置換基は、前述のものと同じであるが、ただし、X(またはXのうちの1つ)は、結合された状態となるためのフィラーへの結合であるか、またはそれを含む。
【0061】
このトリアゾールの式中にて、
Zは、アルキレン基(例:C1‐C4アルキレン)であり、ここで、bは、0または1であり;
少なくとも1つのXは、フィラーへの結合を含み、ならびに残りのXのいずれも、フィラーへの結合、または本明細書で述べる種々の置換基Aおよび/もしくはRなどの官能基を含み;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上のその官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、RがHである場合、1から8の整数であり、それ以外の場合、kは、2から8であり;
Qは、(CH2w、(CH2)xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(C3/4)zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;
Eは、ポリ硫黄含有ラジカルであり;ならびに、
トリアゾールは、所望に応じて、NDD’置換基によってN置換されていてよく、この場合、DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルであり;ならびに、
Yは、H、アルキル、アリール、またはNH2である。
【0062】
具体的な例において、フィラーに結合した基は、5‐メルカプト‐1,2,4‐トリアゾール‐3‐イル基、および/またはトリアゾールジスルフィド基、および/または1,2,4‐トリアゾール‐3‐イル基を例とするメルカプトトリアゾリル基であってよいか、またはこれを含んでよい。フィラーに結合した基は、2‐メルカプト‐1,3,4‐チアジアゾール‐5‐イル基、および/またはチアジアゾールジスルフィド基であってよいか、またはこれを含んでよい。置換または無置換オキサジアゾール基、ならびにジアゾールを例とするその他の置換または無置換アゾール基が、例えば直接、フィラーに結合していてよい。
【0063】
本発明の目的のために、結合ピラゾールは、ピラゾール含有基を有する化学種であるか、またはそれを含む。ピラゾールは、チオールまたはポリスルフィド含有ポリピラゾールであってよい。ピラゾールに関して、例としては、これらに限定されないが、以下のもの:
【化10】

【化11】
、または
その互変異性体が挙げられ、
式中、置換基は、前述のものと同じであるが、ただし、X(またはXのうちの1つ)は、結合された状態となるためのフィラーへの結合であるか、またはそれを含む。
【0064】
このピラゾール式中において、
Zは、アルキレン基(例:C1‐C4アルキレン)であり、ここで、bは、0または1であり;
少なくとも1つのXまたはYは、フィラーへの結合を含み、およびその他のXまたはYのいずれも、同一または異なっていて、フィラーへの結合、または本明細書で述べる種々の置換基Aおよび/もしくはRなどの官能基を含み;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上のその官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、RがHの場合、1から8の整数であり、それ以外の場合、kは、2から8であり;
Qは、(CH2w、(CH2)xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;ならびに、
Eは、ポリ硫黄含有基である。
【0065】
本発明の目的のために、結合イミダゾールは、イミダゾール含有基を有する化学種であるか、それを含む。イミダゾールは、チオールまたはポリスルフィド含有ポリイミダゾールであってよい。イミダゾールに関して、例としては、これらに限定されないが、以下のもの:
【化12】

【化13】
、または
その互変異性体が挙げられ、
式中、置換基は、前述のものと同じであるが、ただし、X(またはXのうちの1つ)は、結合された状態となるためのフィラーへの結合であるか、またはそれを含む。
【0066】
このイミダゾールの式中にて、
Zは、アルキレン基(例:C1‐C4アルキレン)であり、ここで、bは、0または1であり;
各Xは、フィラーへの結合、H、アルキル(他所にて提供される例がここで適用される)、アリール(他所にて提供される例がここで適用される)、またはNH2を含むが、ただし、少なくとも1つのXは、結合を含み;
Yは、HまたはNH2であり;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていてよく、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、1から8の整数であり;
Qは、(CH2w、(CH2)xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;ならびに、
Eは、ポリ硫黄含有基である。
【0067】
結合有機基は、R、OR、COR、COOR、OCOR、カルボン酸塩、ハロゲン、CN、NR‐2、SO3H、スルホン酸塩、NR(COR)、CONR2、NO2、PO32、ホスホン酸塩、リン酸塩、N=NR、NR3+-、PR3+-、SkR、SSO3H、SSO3-塩、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、2‐(1,3‐ジチオラニル)、SOR、またはSO2Rである官能基を少なくとも有するアルキル基または芳香族基であってよいか、またはそれらを含んでよく、ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、独立して、水素、分岐鎖状または非分岐鎖状、置換または無置換、飽和または不飽和のC1‐C100炭化水素であり、kは、1〜8の範囲の整数であり、X-は、ハロゲン化物、または無機もしくは有機酸由来のアニオンであり、Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、wは、2から6の整数であり、xおよびzは、独立して、1から6の整数である。
【0068】
結合有機基は、式AyAr−を有する芳香族基であってよいか、またはそれを含んでよく、式中、Arは、芳香族ラジカルであり、Aは、R、OR、COR、COOR、OCOR、カルボン酸塩、ハロゲン、CN、NR2、SO3H、スルホン酸塩、NR(COR)、CONR2、NO2、PO32、ホスホン酸塩、リン酸塩、N=NR、NR3+-、PR3+-、SkR、SSO3H、SSO3-塩、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、2‐(1,3‐ジチオラニル)、SOR、またはSO2Rであり、ここで、RおよびRは、同一または異なっていて、独立して、水素、分岐鎖状または非分岐鎖状、置換または無置換、飽和または不飽和のC1‐C100炭化水素であり、kは、1〜8の範囲の整数であり、X-は、ハロゲン化物、または無機もしくは有機酸由来のアニオンであり、Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、wは、2から6の整数であり、xおよびzは、独立して、1から6の整数であり、yは、1から芳香族ラジカル中の−CHラジカルの総数までの整数である。
【0069】
Arは、トリアゾール基であってよいか、もしくはそれを含んでよく、Arは、ピラゾール基であってよいか、もしくはそれを含んでよく、またはArは、イミダゾール基であってよいか、もしくはそれを含んでよい。
【0070】
結合有機基は、少なくとも1つのアミノメチルフェニル基および/もしくはカルボキシフェニルであってよいか、またはそれらを含んでよい。
【0071】
結合有機基は、X−C64−S−S−C64−Xであってよいか、またはそれを含んでよく、ここで、少なくとも一方のXは、フィラーへの結合であり、他方のXは、フィラーへの結合、または本明細書で述べる置換基Aなどの官能基である。
【0072】
結合有機基は、少なくとも1つの芳香族スルフィドまたはポリスルフィドであってよいか、またはそれを含んでよい。
【0073】
選択肢として、1つ以上の追加のしかし異なる化学基が、フィラー上に結合されていてよく、結合トリアゾール、結合ピラゾール、および/または結合イミダゾールとは異なる1つ以上の追加の化学基などである。この結合化学基は、前述の、および/または上述した特許文献中のいずれの結合化学基であってもよく、結合アルキル基および/または結合芳香族基などであり、例えば、アミノメチルフェニル、カルボキシフェニル、またはフェニルジスルフィドフェニル(C65−S−S−C64)である。
【0074】
本発明の目的のために、本発明の修飾フィラーのさらなる型は、修飾フィラーが、少なくとも1,2,4トリアゾールなど、少なくとも硫黄含有置換基を有する1,2,4トリアゾールなどの少なくとも1つのトリアゾールを、例えばその他のいずれかの芳香族基の存在下または非存在下にて結合されて有するフィラーを含む場合である。少なくとも1つのトリアゾールなどの結合化学基を有する修飾フィラーは、修飾されていない同一のフィラーと比較して、エラストマー組成物中に存在する場合、ヒステリシスを改善することができる。ここでも、この試験性質を確認するために、実施例で示されるエラストマー配合物を用いてよい。本発明のさらなる修飾フィラーは、以下:
【化14】

【化15】
、または
その互変異性体を含む結合トリアゾールをその上に有するフィラーであるか、またはそれを含み:
式中、Zは、アルキレン基(例:C1‐C4アルキレン)であり、ここで、bは、0または1であり;
少なくとも1つのXは、フィラーへの結合を含み、ならびに残りのXのいずれも、フィラーへの結合、または本明細書で述べる種々の置換基AもしくはRなどの官能基を含み;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上のその官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていてよく、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、1から8の整数であり;
Qは、(CH2w、(CH2)xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH23/4であり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;
Eは、ポリ硫黄含有ラジカルであり;ならびに、
トリアゾールは、所望に応じて、NDD’置換基によってN置換されていてよく、この場合、DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルである。
この型の修飾フィラーは、いずれの吸着化学基を有していても、または有していなくてもよい。
【0075】
本出願全体を通して、フィラー上への結合化学基に関して、化学基は、化学基からフィラーへの少なくとも1つの結合を通して結合されている。本出願において、置換基Xは、結合を表してよいか、または結合を含んでよい。本発明の目的のために、置換基Xは、結合、ならびに、例えばフィラーへの結合を達成する目的のその他の置換基または元素を含んでよいことは理解されたい。例えば、Xは、結合であってよいか、または結合から成っていてよい。別の選択肢として、Xは、結合を含んでよい。例えば、Xは、リンカー基を含む結合であってよい。リンカー基は、シランリンカー基、またはシランカップリング剤由来のものであってよい。リンカー基は、Si含有基、Ti含有基、Cr含有基、および/もしくはZr含有基、またはシリカを例とする金属酸化物フィラーなどのフィラーへの化学基の結合を促進するその他の適切なリンカー基であってよいか、またはそれを含んでよい。本発明の目的のために適合することができるそのようなリンカーの例としては、いずれもその全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,947,436号;同第5,159,009号;および同第5,116,886号に示されているものが挙げられる。
【0076】
本発明において、本発明の修飾フィラーの種々の型(吸着および/または結合基)について、修飾フィラーの作製は、少なくとも1つのエラストマーなど、エラストマー組成物を形成するための成分などのその他の成分がフィラーに導入される前に行ってよく、行うべきである。言い換えると、本発明で用いられる(1もしくは複数の)化学基は、少なくとも1つのエラストマー、もしくは少なくとも1つのポリマー、および/または配合物のその他の成分との混合、または配合、またはそれ以外での接触を行う前に、(1もしくは複数の)フィラーへ予め吸着および/または予め結合される。本発明者らは、少なくとも1つのエラストマーおよび/または少なくとも1つのポリマーとの配合を試みるなど、フィラーの修飾をその他の成分の存在下(例:in situ)で試みる場合、本出願によって達成される種々の特性、すなわち、ヒステリシスおよび/または耐摩耗性が、減少してしまうか、またはまったく達成されない可能性があることを見出した。
【0077】
本発明の目的のために、本発明の修飾フィラーのいずれの組み合わせを用いてもよい。例えば、本明細書で述べるように、様々な型の修飾フィラーについて記載してきた。例えば、本発明の修飾フィラーの1つの型は、吸着基を有し、所望に応じて結合化学基も有していてよいフィラーである。本発明の別の型は、結合化学基を有し、いずれの吸着基も持たないフィラーを含む。従って、1つの選択肢として、エラストマー配合物などの配合物は、本発明の種々の修飾フィラーの組み合わせを含んでよく、例えば、1つ以上の吸着化学基を有するいくつかの修飾フィラーを、結合化学基を有する1つ以上の他の修飾フィラーと組み合わせて用いてよい。従って、エラストマーまたはポリマー配合物などの配合物中に、いかなる組み合わせの修飾フィラーを用いてもよい。
【0078】
本発明の目的のために、修飾フィラーが吸着化学基および結合化学基を有する場合、吸着化学基のフィラー上への配置は、化学基の結合の前、結合の間、および/もしくは結合後に行ってよく、または、2つ以上の吸着基および/もしくは2つ以上の結合基がフィラー上に存在する場合は、いかなる順序で行ってもよい。
【0079】
本発明は、さらに、エラストマー組成物、またはエラストマーコンポジットに関し、さらにはゴム組成物またはコンポジットも考慮される。エラストマー組成物は、少なくとも1つのエラストマーおよび少なくとも1つの本発明の修飾フィラー、ならびに所望に応じて、エラストマー配合物に用いられる1つ以上の従来の成分を含有する。2つ以上の種類の修飾フィラーを用いてよい。
【0080】
代表的なエラストマーとしては、これらに限定されないが、ゴム、1,3‐ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、アルキルがメチル、エチル、プロピルなどであってよい2,3‐ジアルキル‐1,3‐ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレンなどのポリマー(例:ホモポリマー、コポリマー、および/またはターポリマー)が挙げられる。エラストマーは、示差走査熱分析(DSC)によって測定される場合、約−120℃から約0℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有し得る。例としては、これらに限定されないが、溶液SBR、スチレン‐ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴムおよび塩素化ゴムなどのその誘導体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン‐ブタジエンコポリマー、ならびにこれらのいずれかの油展誘導体が挙げられる。前述のいずれのもののブレンドも用いてよい。特に適する合成ゴムとしては:19部のスチレンと81部のブタジエンとのコポリマー、30部のスチレンと70部のブタジエンとのコポリマー、43部のスチレンと57部のブタジエンとのコポリマー、および50部のスチレンと50部のブタジエンとのコポリマーなどの、約10から約70重量パーセントのスチレンと約90から約30重量パーセントのブタジエンとのコポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレンなどの共役ジエンのポリマーおよびコポリマー、ならびにそのような共役ジエンと、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2‐ビニル‐ピリジン、5‐メチル‐2‐ビニルピリジン、5‐エチル‐2‐ビニルピリジン、2‐メチル‐5‐ビニルピリジン、アリル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、アクリル酸およびジアルキルアクリル酸アミドなどのアルファメチレンカルボン酸ならびにそのエステルおよびアミドなどのそれと共重合可能であるエチレン性基含有モノマーとのコポリマーが挙げられる。本発明での使用に適するものとしては、さらに、エチレンと、プロピレン、1‐ブテン、および1‐ペンテンなどのその他の高級アルファオレフィンとのコポリマーである。以下でさらに述べるように、ゴム組成物は、エラストマーおよびフィラーおよびカップリング剤に加えて、種々の加工助剤、エキステンダー油、劣化防止剤、および/またはその他の添加剤を含有してよい。
【0081】
選択肢として、連続フィードされるラテックス、およびカーボンブラックスラリーなどのフィラーは、凝集タンク内に導入され、攪拌されてよい。これは、「湿式混合」法としても知られる。ラテックスおよびフィラースラリーは、凝集タンク内で混合および凝集されて、「ウェットクラム(wet crumb)」と称される小ビーズとされてよい。米国特許第4,029,633号;同第3,048,559号;同第6,048,923号;同第6,929,783号;同第6,908,961号;同第4,271,213号;同第5,753,742号;および同第6,521,691号に記載の種々のプロセスおよび技術を、フィラーとエラストマーとのこの組み合わせ、およびラテックスの凝集に用いてよい。これらの特許文献の各々は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。本発明の修飾フィラーが用いられること以外はこれらの特許文献およびプロセスで述べられる種々の技術、配合物、ならびにその他のパラメータを用いることで、この種のエラストマー配合物を本発明の修飾フィラーと共に用いることができる。
【0082】
代表的な天然ゴムラテックスとしては、これらに限定されないが、フィールドラテックス、ラテックス濃縮物(例えば、蒸発、遠心分離、またはクリーミングによって作製される)、スキムラテックス(例:遠心分離によるラテックス濃縮物作製後に残された上清)、およびこれらのいずれかの2つ以上のいずれかの割合でのブレンドが挙げられる。ラテックスは、選択された湿式マスターバッチプロセス(wet masterbatch process)、および意図する目的または最終ゴム製品の用途に対して適切なものであるべきである。ラテックスは、通常、水性キャリア液体中にて提供される。適切なラテックスまたはラテックスブレンドの選択は、本開示の有益性、および本業界にて一般的に十分に認識されている選択基準の知識が与えられる場合、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0083】
エラストマーコンポジットは、少なくとも約40phr、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、もしくは少なくとも約70phrのカーボンブラック、例えば、約40から約70phr、約50から約75phr、約55から約80phr、60から約85phr、65から約90phr、70から約90phr、40から約60phr、50と約65phrとの間、55から約80phr、約60から約90phr、約65から約80phr、もしくは約70から約80phr、のフィラー充填量で作製されてよい。
【0084】
1つ以上のカップリング剤を本発明で用いてよい。カップリング剤は、1つ以上のシランカップリング剤、1つ以上のジルコネートカップリング剤、1つ以上のチタネートカップリング剤、1つ以上のニトロカップリング剤、またはこれらのいずれかの組み合わせであってよいか、またはそれを含んでよい。カップリング剤は、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン(例:エボニックインダストリーからのSi 69、ストラクトール社(Struktol Company)からのStruktol SCA98)、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン(例:エボニックインダストリーからのSi 75およびSi 266、ストラクトール社からのStruktol SCA985)、3‐チオシアナートプロピル‐トリエトキシシラン(例:エボニックインダストリーからのSi 264)、ガンマ‐メルカプトプロピル‐トリメトキシシラン(例:エボニックインダストリーからのVP Si 163、ストラクトール社からのStruktol SCA989)、ガンマ‐メルカプトプロピル‐トリエトキシシラン(例:エボニックインダストリーからのVP Si 263)、ジルコニウムジネオアルカノラートジ(3‐メルカプト)プロピオナート‐O(zirconium dineoalkanolatodi(3-mercapto) propionato-O)、N,N’‐ビス(2‐メチル‐2‐ニトロプロピル)‐1,6‐ジアミノへキサン、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ,ウイルトン,コネチカット州、からのNXTシランカップリング剤(チオカルボキシレート官能シラン:3‐オクタノイルチオ‐1‐プロピルトリエトキシシラン)、および/または化学的に類似するか、もしくは1つ以上の同じ化学基を有するカップリング剤であってよいか、またはそれを含んでよい。商品名によるカップリング剤のさらなる具体例としては、エボニックインダストリーからのVP Si 363が挙げられるが、これに限定されない。カップリング剤は、エラストマーコンポジット中に、いかなる量で存在してもよい。例えば、カップリング剤は、エラストマーコンポジット中に、シリカなどのフィラー100部あたり少なくとも0.2部(質量基準)、シリカなどのフィラー100部あたり約0.2から60部、シリカなどのフィラー100部あたり約1から30部、シリカなどのフィラー100部あたり約2から15部、またはシリカなどのフィラー100部あたり約5から10部の量で存在してよい。
【0085】
本発明のプロセスのいずれにおいても、1つ以上の酸化防止剤を用いてよい。酸化防止剤(劣化防止剤の一例)は、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イミダゾール系酸化防止剤、カルバミン酸金属塩、(1もしくは複数の)パラ‐フェニレンジアミン、および/または(1もしくは複数の)ジヒドロトリメチルキノリン、高分子化キニン酸化防止剤、および/またはワックス、および/またはエラストマー配合物で用いられるその他の酸化防止剤であってよい。具体例としては、N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン(6‐PPD、例:住友化学株式会社より入手可能なANTIGENE 6C、および大内新興化学工業株式会社より入手可能なNOCLAC 6C)、精工化学株式会社製の「Ozonon」6C、重合1,2‐ジヒドロ‐2,2,4‐トリメチルキノリン、R.T.バンダービルトより入手可能であるAgerite Resin D、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、およびブチルヒドロキシアニソール(BHA)などが挙げられるが、これらに限定されない。その他の代表的な酸化防止剤は、例えば、ジフェニル‐p‐フェニレンジアミン、および、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるThe Vanderbilt Rubber Handbook (1978), pages 344‐346に開示されるものなどのその他のものであり得る。酸化防止剤およびオゾン化防止剤はまとめて、劣化防止剤である。これらの劣化防止剤は、実例として、アミン、フェノール、イミダゾール、ワックス、イミダゾールの金属塩、およびこれらの組み合わせなどの化学官能基を含む。本発明で有効である具体的な劣化防止剤としては、実例として、N‐イソプロピル‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン、N‐(1‐メチルヘプチル)‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン、6‐エトキシ‐2,2,4‐トリメチル‐1,2‐ジヒドロキノリン、Ν,Ν’‐ジフェニル‐p‐フェニレンジアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’‐ビス(a,a’‐ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4’‐ジクミル‐ジフェニルアミン、2,5‐ジ‐tert‐ブチル‐ヒドロキノン、2,2’‐メチレン‐ビス(4‐メチル‐6‐tert‐ブチルフェノール)、2,2’‐メチレンビス(4‐メチル‐6‐メチルシクロへキシルフェノール)、4,4’‐チオ‐ビス(3‐メチル‐6‐tert‐ブチルフェノール)、4,4’‐ブチリデン‐ビス(3‐メチル‐6‐tert‐ブチルフェノール)、トリス(ノニル化フェニル)ホスファイト、トリス‐(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスファイト、2‐メルカプトベンズイミダゾール、および亜鉛2‐メルカプトベンズイミダゾールが挙げられる。例は、少なくとも1つのアミンおよび1つのイミダゾールを含む。所望に応じて、重合キノリンを用いてよい。酸化防止剤の相対量は、0.5から3部のアミン、0.5から2.5部のイミダゾール、および0.5から1.5部の所望に応じて用いてよい重合キノリンを含んでよい。劣化防止剤のアミンは、4,4’‐ビス(アルファ‐ジメチルベンジル)ジフェニルアミンであってよく、イミダゾールは、亜鉛2‐メルカプトトルイミダゾールであってよく、および重合キノリンは、重合1,2‐ジヒドロ‐2,2,4‐トリメチルキノリンであってよい。一般的に、劣化防止剤(例:(1もしくは複数の)酸化防止剤)は、通常、ポリマーまたはゴム系100重量部あたり0.1から20重量部(phr)存在する。酸化防止剤の典型的な量は、例えば、約1から約5phrを含み得る。
【0086】
ゴム組成物は、タイヤまたはタイヤ部品用であってよく、親水性フィラーを用いてよい。親水性フィラーは、フィラーに結合した有機基を有していてよく、この有機基は、置換もしくは無置換のアゾール基であるか、またはそれを含む。この基は、メルカプトトリアゾールを例とするトリアゾール、および/またはトリアゾールジスルフィドであてよい。この基は、チオール置換チアジアゾールを例とするチアジアゾールであってよい。
【0087】
修飾フィラーは、ゴム、加工助剤、促進剤、架橋および硬化剤、酸化防止剤、オゾン化防止剤、フィラー、樹脂など、従来のタイヤ配合成分および添加剤と組み合わされてタイヤ配合物が作製されてよい。加工助剤としては、これらに限定されないが、メルカプタン、合成オイル、石油および植物油、樹脂、ロジンなどの、可塑剤、粘着性付与剤、エキステンダー、化学コンディショナー、均質剤、およびペプタイザーが挙げられる。促進剤としては、アミン、グアニジン、チオウレア、チウラム、スルフェンアミド、チオカルバメート、キサンテート、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。架橋および硬化剤としては、過酸化物、硫黄、硫黄ドナー、促進剤、酸化亜鉛、および脂肪酸が挙げられる。フィラーとしては、クレイ、ベントナイト、二酸化チタン、タルク、硫酸カルシウム、シリカ、シリケート、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0088】
本発明の修飾フィラーをエラストマーコンポジットのその他の成分と組み合わせるには、従来のいかなる混合手順を用いてもよい。ゴムのコンパウンディングに用いられる典型的な手順は、Maurice Morton, RUBBER TECHNOLOGY 3rd Edition, Van Norstrand Reinhold Company, New York 1987, and 2nd Edition, Van Nordstrand Reinhold Company, New York 1973に記載されている。本発明の修飾カーボンブラック生成物およびエラストマーを含む成分の混合物は、好ましくは、120℃から180℃の間の温度にて、熱機械的に一緒に混合される。
【0089】
例えば、本発明のエラストマーコンポジットは、バンバリー、インターメッシュミキサー、押出機などの密閉式ミキサーによる、ミルによる、またはその他の適切な装置を利用することによる一段階または多段階の混合を例えば用いて均質なブレンドを生成させる適切な技術によって得ることができる。具体的な実施においては、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる1996年9月24日公開の米国特許第5,559,169号に記載のものなどの技術が用いられる。
【0090】
硬化は、本技術分野で公知の技術によって行われてよい。例えば、本発明の修飾フィラーは、硫黄硬化、過酸化物硬化などが行われたゴム組成物に用いられてよい。
【0091】
(1もしくは複数の)本発明の修飾フィラーは、ヒステリシスおよび/または耐摩耗性などの1つ以上のエラストマー特性を改善することができる。ヒステリシスの改善は、タンデルタ特性の測定によって評価することができる。
【0092】
摩耗指数は、内部コントロール組成物の摩耗速度を、本発明の修飾フィラーを用いて作製したゴム組成物の摩耗速度で除した比である。単純化のために、以下の例では相対摩耗指数値が用いられる。相対摩耗指数は、本発明の修飾フィラーによるゴム組成物の摩耗指数を未処理フィラーによるゴム組成物の摩耗指数で除した比として定義される。本発明の修飾フィラーが他の処理と組み合わせて用いられる例では、相対摩耗指数は、第二の処理と組み合わせて用いられる本発明の修飾フィラーによるゴム組成物の摩耗指数を、同じ第二の処理で処理されたフィラーによるゴム組成物の摩耗指数で除した比として定義される。一般的に、タイヤトレッドの作製では、十分な耐摩耗性および および/または低減された転がり抵抗を有するタイヤトレッドを作製するフィラーを用いることが望ましい。通常、タイヤのトレッド摩耗特性は、この耐摩耗性と関連する。耐摩耗性が高いほど、タイヤが摩耗することなく持続されるマイル数が増加する。ゴム組成物に対する摩耗データは、ランボーン型試験機に基づく摩耗試験機を用いて測定してよい(例えば、米国特許第4,995,197号を参照)。摩耗速度(立方センチメートル/センチメートル移動)は、通常14%または21%スリップで測定され、スリップは、サンプルホイールと回転砥石との間の相対速度に基づく。
【0093】
また、本発明の修飾フィラーは、未処理フィラーと比較してより低い相対最大tanδ(デルタ)値で例えば示されるヒステリシスを改善することができることも見出された。より低い相対最大tanδ(デルタ)値は、それが転がり抵抗の低下およびタイヤのトレッド部における熱蓄積の低減を反映することから、望ましいものである。転がり抵抗の低下は、自動車の燃費を向上させるものであり、タイヤのトレッド部に用いられるエラストマーコンポジットの所望される属性である。
【0094】
tanδは、レオメトリックス(Rheometrics)の動的分光器モデルARES‐2Kにより、10Hzの一定振動数および一定温度にて、および歪みせん断モードにより測定した。0.1%から60%の二倍歪み振幅(double strain amplitude)で歪み掃引を行った。ディケードあたり10点の測定を行い、tanδの最大測定値を報告した。相対最大tanδ値は、本発明の修飾フィラーによるゴム組成物の測定最大tanδを、未処理フィラーによるゴム組成物の最大tanδで除した比として定義される。本発明の修飾フィラーが他の処理と組み合わせて用いられる例では、相対最大tanδは、第二の処理と組み合わせて用いられる本発明の修飾フィラーによるゴム組成物の測定最大tanδを、同じ第二の処理で処理されたフィラーによるゴム組成物の測定最大tanδで除した比として定義される。
【0095】
本発明において、本明細書で述べるように吸着化学基を有するフィラーであってよい修飾フィラーは、エラストマー組成物にて耐摩耗性を改善する能力を有し、これは、エラストマー組成物が同じフィラーであるが未修飾であるフィラーを含有する場合と比較することができる。言い換えると、2つのエラストマー組成物を形成することができ、1つは、吸着化学基を有するように修飾されたフィラーAである本発明の修飾フィラーを含有するものであり、これは、同じフィラーAであるが、いかなる吸着化学基によっても修飾されていないもの(例:未修飾フィラーA)と比較することができる。この比較を行うと、エラストマー組成物中に存在する本発明の修飾フィラーは、耐摩耗性を改善することができる。例えば、耐摩耗性を、未修飾フィラーと比較して、5%から200%など、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも200%増加させることができる。
【0096】
本発明において、本明細書で述べるように結合化学基を有するフィラーであってよい修飾フィラーは、エラストマー組成物にてヒステリシスを改善する能力を有し、これは、エラストマー組成物が同じフィラーであるが未修飾であるフィラーを含有する場合と比較することができる。言い換えると、2つのエラストマー組成物を形成することができ、1つは、結合化学基を有するように修飾されたフィラーBである本発明の修飾フィラーを含有するものであり、これは、同じフィラーBであるが、いかなる結合化学基によっても修飾されていないもの(例:未修飾フィラーB)と比較することができる。この比較を行うと、エラストマー組成物中に存在する本発明の修飾フィラーは、ヒステリシスを改善することができる。例えば、ヒステリシスを、未修飾フィラーと比較して、1%から50%など、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低減させることができる。
【0097】
耐摩耗性およびヒステリシスに関する上述の有益性は、本発明において、同時に達成することができ、または個々に制御することもできる。より具体的には、本明細書で述べる吸着化学基および本明細書で述べる結合化学基を有する修飾フィラーを用いることにより、ヒステリシスの改善(低減)および耐摩耗性の増加を行うことができる。ヒステリシスおよび耐摩耗性に関して達成される改善の種類の例(すなわち、前述の改善パーセント)は、組み合わせて達成することができ、上述のヒステリシスおよび耐摩耗性に対する種々のパーセントのいかなる組み合わせも達成可能である。
【0098】
本発明の修飾フィラーは、インク、コーティング、トナー、プラスチック、ケーブルなど、従来のフィラーと同じ用途に用いることができる。
【0099】
本発明は、本発明の代表例であることを意図する以下の例によってさらに明らかとなるであろう。
【実施例】
【0100】
例1 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。21.7gの水による2.60g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1301gの水、5.00gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および5.14gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて約5分間かけて添加した。混合を、70℃にて50分間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH溶液によりpHを8.1に調節した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。生成物は、1.53重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSと比較して、0.89重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0101】
例2 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。23.1gの水による2.61g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1301gの水、4.31gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および5.14gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて10分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH溶液によりpHを7.5に調節した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。生成物は、1.41重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSと比較して、0.89重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0102】
例3 − 比較カーボンブラック生成物の作製
本例は、APDSのジアゾニウム塩を用いて修飾したカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。直径8インチおよび長さ8インチの混合チャンバーを有するバッチペレタイザーを、60℃に加熱し、ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックの300gを投入した。4‐アミノフェニルジスルフィド(19.0g)および209gの水を添加した。少し混合した後、27.9%硫酸の29.0gを添加した。少し混合した後、20%のNaNO2水溶液の52gを、間に少しの攪拌を入れながら、数回に分けて5分間かけて添加した。水(50g)を添加し、混合を、60℃にて30分間継続し、生成物をペレタイザーから取り出し、4Lの水に懸濁し、ろ過した。生成物をエタノールで洗浄し、次に4Lの水に懸濁した。NaOH溶液によりpHを8に調節し、この混合物をろ過し、ろ液の導電率が225μS/cmとなるまで洗浄した。生成物を70℃にて空気乾燥した。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.60重量%のSと比較して、1.61重量%のSを有していた。
【0103】
例4 − 比較カーボンブラック生成物の作製
本例は、ATPのジアゾニウム塩を用いて修飾したカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。直径8インチおよび長さ8インチの混合チャンバーを有するバッチペレタイザーを、60℃に加熱し、ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックの300gを投入した。4‐アミノチオフェノール(9.67g)および240gの水を添加した。少し混合した後、27.9%硫酸の14.5gを添加した。少し混合した後、20%のNaNO2水溶液の26gを、間に少しの攪拌を入れながら、数回に分けて5分間かけて添加した。水(50g)を添加し、混合を、60℃にて30分間継続し、生成物をペレタイザーから取り出し、4Lの水に懸濁し、ろ過した。生成物を4Lの水に懸濁した。NaOH溶液によりpHを9に調節し、この混合物をろ過し、ろ液の導電率が250μS/cm未満となるまで洗浄した。生成物を70℃にて空気乾燥した。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.60重量%のSと比較して、1.09重量%のSを有していた。
【0104】
例5 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。11.9gの水による1.29g NaNO2の溶液を、150gの中間体サンプルX、1301gの水、2.17gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および2.58gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて5分間かけて添加した。混合を、70℃にて75分間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH溶液によりpHを7.5に調節した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。生成物は、1.07重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSと比較して、0.80重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0105】
例6 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。1300gの水、150gのカーボンブラック、および100gのClorox 次亜塩素酸ナトリウム溶液の懸濁液を混合し、90℃に加熱した。カーボンブラックは、ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gであった。混合を70分間継続し、この懸濁液を70℃に冷却した。0.166gの濃H2SO4により、pHを4.9に調節した。3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール(4.32g)および5.15gの70%メタンスルホン酸を添加した。21.6gの水による2.60g NaNO2の溶液を、10分間かけて添加した。混合を70℃にて65分間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH溶液にてpH7.6に調節した。生成物をろ過で回収し、2Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。生成物は、1.38重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSと比較して、0.87重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0106】
例7 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。12.0gの水による1.30g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1300gの水、2.16gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および2.58gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて6分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。スルファニル酸(6.49g)を添加し、次に、22.3gの水による2.59g NaNO2の溶液を、5分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH水溶液によりpHを7.5に調節した。生成物を回収し、0.45ミクロンの膜を有するミリポア加圧フィルターを用いてメタノールで洗浄した。得られた分散液を、70℃にて乾燥した。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSおよび0.34重量%のNと比較して、1.37重量%のSおよび0.58重量%のNを有していた。
【0107】
例8 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。21.8gの水による2.62g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1301gの水、4.31gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および5.15gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて15分間かけて添加した。混合を、70℃にて65分間継続した。スルファニル酸(6.49g)を添加し、次に、23.1gの水による2.59g NaNO2の溶液を、約10分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH水溶液によりpHを7.5に調節した。生成物を回収し、50/50 水/メタノールで洗浄し、0.45ミクロンの膜を有するミリポア加圧フィルターを用いてメタノールで洗浄した。得られた分散液を、70℃にて乾燥した。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSおよび0.34重量%のNと比較して、1.31重量%のSおよび0.64重量%のNを有していた。
【0108】
例9 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。22.4gの水による2.60g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1301gの水、4.31gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および5.16gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて10分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。スルファニル酸(3.24g)を添加し、次に、11.7gの水による1.32g NaNO2の溶液を、4分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH水溶液により中和した。生成物を回収し、0.45ミクロンの膜を有するミリポア加圧フィルターを用いてメタノールで洗浄した。得られた分散液を、70℃にて真空乾燥した。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSおよび0.34重量%のNと比較して、1.24重量%のSおよび0.62重量%のNを有していた。
【0109】
例10 − ケイ素処理カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のケイ素処理カーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が113、STSAが128m2/g、DBPAが107mL/100g、およびケイ素含有量が2.64重量%のケイ素処理カーボンブラックを用いた。22.4gの水による2.60g NaNO2の溶液を、150gのケイ素処理カーボンブラック、1305gの水、4.32gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および5.16gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて10分間かけて添加した。混合を、70℃にて65分間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH溶液によりpH7.5に調節した。生成物をろ過により回収し、2Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。生成物は、1.04重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのケイ素処理カーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.35重量%のSと比較して、0.54重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0110】
例11 − ケイ素処理カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のケイ素処理カーボンブラック生成物の作製を説明するものである。1300gの水、150gのケイ素処理カーボンブラック、および100gのClorox 次亜塩素酸ナトリウム溶液の懸濁液を混合し、90℃に加熱した。ヨウ素価が113、STSAが128m2/g、DBPAが107mL/100g、およびケイ素含有量が2.64重量%のケイ素処理カーボンブラックを用いた。混合を65分間継続し、この懸濁液を70℃に冷却した。0.042gの濃H2SO4により、pHを5.1に調節した。3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール(4.32g)および5.17gの70%メタンスルホン酸を添加した。22.1gの水による2.62g NaNO2の溶液を、10分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH溶液によりpH7.6に調節した。生成物をろ過により回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。生成物は、1.00重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.35重量%のSと比較して、0.54重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0111】
例12 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。22.5gの水による2.60g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1300gの水、4.33gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および5.14gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて10分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH溶液によりpHを7.5に調節した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄した。生成物を、実質的に同じ方法で作製したさらなる2バッチ分のものと共に1つにまとめた。この混合物の一部を70℃にて真空乾燥し、例26で用いた。生成物は、1.49重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSと比較して、0.88重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0112】
例13 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。35.0gの水による3.91g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1299gの水、4.31gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および7.71gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて5分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH溶液によりpHを7.5に調節した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。生成物は、1.45重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSと比較して、1.03重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0113】
例14 − カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明のカーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。46.8gの水による5.21g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1300gの水、4.32gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、および10.3gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて10分間かけて添加した。混合を、70℃にて1時間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH溶液によりpHを7.6に調節した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。生成物は、1.38重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSと比較して、1.30重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0114】
比較例A
この物質は、例1〜9で用いたヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックである。
【0115】
中間体サンプルX
Process All 4HVミキサー(4L)に、ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを600g投入した。この物質を、10分間混合し、55〜75℃に加熱した。過酸化水素水溶液(30%、675g)を、20分間かけて添加した。混合を、75℃にてさらに30分間継続した。生成物を130℃にて一晩空気乾燥した。
【0116】
比較例B
中間体サンプルXの150g分を、1300gの水と混合した。NaOH水溶液によりpHを7.7に調節し、ろ過し、70℃にて真空乾燥した。
【0117】
比較例C
1302gの水、150gのカーボンブラック、および100gのClorox 次亜塩素酸ナトリウム溶液の懸濁液を混合し、90℃に加熱した。カーボンブラックは、ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gであった。混合を1時間継続し、この懸濁液を室温に冷却した。NaOH水溶液にてpH7.5に調節した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。
【0118】
比較例D
22.3gの水による2.62g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1300gの水、および6.49gのスルファニル酸の攪拌混合物へ、70℃にて10分間かけて添加した。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。混合を、70℃にて1時間継続した。この混合物を室温まで冷却し、NaOH水溶液によりpHを7.4に調節した。生成物に、溶出液の導電率が350μS/cmとなるまでダイアフィルトレーションを施した。得られた分散液を70℃にて真空乾燥した。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.65重量%のSと比較して、1.00重量%のSを有していた。
【0119】
比較例E
この物質は、ヨウ素価が113、STSAが128m2/g、DBPAが107mL/100g、およびケイ素含有量が2.64重量%のケイ素処理カーボンブラックである。
【0120】
比較例F
1300gの水、150gのケイ素処理カーボンブラック、および100gのClorox 次亜塩素酸ナトリウム溶液の懸濁液を混合し、90℃に加熱した。ヨウ素価が113、STSAが128m2/g、DBPAが107mL/100g、およびケイ素含有量が2.64重量%のケイ素処理カーボンブラックを用いた。混合を1時間継続し、この懸濁液を室温に冷却した。NaOH水溶液にてpH7.5に調節した。生成物をろ過で回収し、2Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。
【0121】
比較例G
901gのメタノール、150gのカーボンブラック、および4.32gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオールの懸濁液を、10分間混合した。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、生成物を、70℃にて真空乾燥した。
【0122】
エラストマーコンポジットの性能特性
上記の例に従って作製したカーボンブラックまたはカーボンブラック生成物を用いてエラストマーコンポジットの組成物を作製し、これを以下の表AおよびBに示す。すべての例において、特に断りのない限り、数値は重量部を表す。
【0123】
ここで用いたエラストマーコンポジットは、Duradene(商標)739ポリマーをカーボンブラックまたはカーボンブラック生成物と混合することによって作製した。Duradene(商標)739ポリマー(ファイヤストーンポリマー(Firestone Polymers、アクロン,オハイオ州)は、20%のスチレンおよび60%のビニルブタジエンを有する溶液重合スチレン‐ブタジエンコポリマーである。エラストマーコンポジットに用いられる成分を、Barbender Plasti‐corder EPL‐Vミキサーにより、第一段階はローター速度60rpmおよび開始温度80℃にて、続いての第二段階では、硬化剤(ヴァラシュスケーメジジーチー,チェコ共和国より購入した硫黄 ASTM QA;ソルーシア社,セントルイス,ミズーリ州、より購入したSantocure CBSおよびPerkacit MBT)を添加し、ローター速度50rpmおよび開始温度50℃にて、二段階混合に従って混合した。第一段階の成分は、合計で5分間混合され、その後、オープンミルに3回通した。第二段階混合の前に、ミルで処理された第一段階混合からのコンパウンドを、2時間室温で保持した。次に、第二段階にて、硬化剤を2分間混合した。
【表1】
【表2】
【0124】
表Iに、未処理カーボンブラック(例29)と比較した性能結果を示す(カーボンブラック生成物を含むエラストマーコンポジット(本発明の例15および16)について、相対tanデルタと14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表3】
【0125】
修飾カーボンブラックを含んだ両サンプル(例15および16)共に、改善された(低減した)相対最大tanデルタ値および増加した相対摩耗指数を示した。上記で考察したように、相対最大tanデルタ値の低減は、それが繰り返し歪みを受けた場合のエラストマーコンポジット中の熱の蓄積の低減を反映することから、望ましいものである。相対摩耗指数の増加も望ましく、それは、改善された耐摩耗性を反映する。
【0126】
ATTのジアゾニウム塩を用いて得られた結果とは対照的に、表IIのデータは、これまでに開示されたフェニル含有剤:4,4‐アミノフェニルジスルフィド(APDS)または4‐アミノチオフェノール(ATP)のジアゾニウム塩を用いて修飾されたカーボンブラック生成物を用いたエラストマーコンポジットの性能に関するものである。表IIはまた、未処理カーボンの性能データも示す。
【表4】
【0127】
表Iおよび表IIに示すデータを調べることで、これまでに知られている処理剤から得られる物質の性能と比較して、ATTのジアゾニウム塩から得られるカーボンブラック生成物は、耐摩耗性が大きく改善されており、一方tanデルタは同等の改善が維持されることが明らかとなる。これは、トリアゾール基のフィラーとの結合および吸着によってなされるものであると考えられる。
【0128】
ATTをその他の処理と組み合わせて用いることで得られたカーボンブラック生成物を含むエラストマーコンポジットの性能を調べるために、いくつかの実験を行った。
【0129】
例えば、表IIIは、ATT修飾と共に、またはそれを伴わずに、過酸化水素で過酸化処理を行ったカーボンブラックについての比較データを示す。
【表5】
【0130】
表IVは、ATT修飾と共に、またはそれを伴わずに、次亜塩素酸ナトリウムで過酸化処理を行ったカーボンブラックについての比較データを示す。
【表6】
【0131】
表Vは、ATTと共に、またはそれを伴わずに、スルファニル酸のジアゾニウム塩で処理したカーボンブラックを用いて作製したエラストマーコンポジットについての結果を示す。
【表7】
【0132】
二重相ケイ素含有フィラー(すなわち、ケイ素処理カーボンブラック)または過酸化処理したケイ素含有フィラーである出発物質を用いたエラストマーコンポジットについてのデータを、表VI‐AおよびVI‐Bにそれぞれ示す。
【表8】
【表9】
【0133】
すべての場合において、ATTのジアゾニウム塩から作製されたカーボンブラック生成物は、コントロールよりも低いtanデルタ値を有していた。いくつかの場合では、耐摩耗性の中程度から強い程度の改善も見られた。
【0134】
また、ATTのジアゾニウム塩を用いて得られた結合トリアゾール基を有するカーボンブラック生成物を用いたエラストマーコンポジットと、米国特許第6,014,998号に記載のように、ATTが結合しているのではなく、ゴムとのコンパウンディング時にカーボンブラックと物理的に混合されるものであるエラストマー組成物とを比較するための実験も行った。表VIIは、例12、13、および14に従って作製されたカーボンブラック生成物、ならびに比較例AおよびGからのカーボンブラックを用いて得られた性能データを示す。
【0135】
表VIIに示される結果を調べると、本明細書で開示される実施形態に従うカーボンブラック表面への結合が(例:例26、27、および28)、所望される性能属性を特に改善することが明らかに示される。さらに、これらの例は、結合レベルが、エラストマーコンポジットの最適性能を得るために変動させることができる重要なパラメータであることも示している。物理的に吸着させたATTを有するカーボンブラックから作製されたコンパウンド(例35)は、耐摩耗性の改善を示した。コンパウンディング中にATTを添加した未処理カーボンブラックからの結果(例36)は、本発明のカーボンブラック生成物で作製したものよりも劣っていた。
【表10】
【0136】
例37:3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドの作製
氷酢酸(2.60g)を、15%過酸化水素水溶液の4.89gに添加した。得られた溶液を、5.01gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、65.2gの水、および4.33gの40% NaOHから作製した溶液へ、20分間かけて添加した。添加する間、氷浴を用いて、この反応混合物を18℃〜22℃の間に保持した。75分間の攪拌後、生成物をろ過し、水で洗浄し、次に70℃にて真空乾燥した。
【0137】
例38:3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド硫酸塩の作製
濃H2SO4を、180.0gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオールおよび2958gの水の攪拌混合物へ添加した。30%過酸化水素溶液(87.8g)を添加し、攪拌を一晩継続した。過酸化物試験紙により、すべての過酸化物が消費されたことが示された。生成物は、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド硫酸塩の溶液である。
【0138】
例39:1,2,4‐トリアゾール‐3‐イルジスルフィドの作製
氷酢酸(7.89g)を、15%過酸化水素水溶液の18.7gに添加した。得られた溶液を、16.5gの1,2,4‐トリアゾール‐3‐チオール、160gの水、および16.3gの40% NaOHから作製した溶液へ、ゆっくり添加した。添加する間、氷浴を用いて、温和な反応温度とした。室温にて一晩攪拌後、生成物をろ過し、水で洗浄し、次に70℃にて真空乾燥した。
【0139】
例40から45:修飾フィラーの作製
これらの例は、吸着基を有する本発明の修飾フィラーの作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。列挙した化合物を約1Lの溶媒に溶解し、150gのカーボンブラックと約15分間混合した。次に、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、70℃にて真空乾燥した。いくつかのサンプルの一部に、メタノールによるソックスレー抽出を一晩施し、硫黄の分析を行って吸着を確認した。得られたS分析から、吸着化合物がほぼ完全に除去されたことが示され、従って、結合ではなく吸着であることが確認された。
【表11】
【0140】
例46:修飾フィラーの作製
5.00gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド、0.70gの硫黄、および5.34gのN‐メチルピロリドンを、攪拌しながら100℃に加熱した。サンプルの加熱に従って、固体物質の一部をスパチュラで崩した。100℃にて1時間加熱した後には、すべての硫黄が反応した。サンプルを冷却し、得られた固体を5gの水で洗浄し、乾燥した。HPLC/MS分析により、生成物である3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルトリスルフィドは、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドおよび3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオールも含有していることが示された。生成物(8.67gおよび52% 非揮発性分)を熱ジメチルホルムアミドに溶解し、ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックの137gと混合した。約15分間の攪拌後、混合物を室温まで冷却し、ろ過した。固体を1Lの水で3回洗浄し、70℃にて真空乾燥した。吸着基がフィラー上に存在することが確認された。
【0141】
例47:修飾フィラーの作製
4‐アミノ‐3‐ヒドラジノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール(5.48g)を、1Lの水および3.0gのNaOHの溶液へ溶解した。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラック(150g)を添加し、この混合物を攪拌した。濃硫酸の7.2gを添加して、pHを7.2まで低下させた。この混合物をろ過し、約3.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。吸着基がフィラー上に存在することが確認された。
【0142】
例48:修飾フィラーの作製
本例は、参照カーボンブラックのPAH22含有量 710ppmと比較して、PAH22含有量が25ppmである本発明の修飾フィラーの作製を説明するものである。カーボンブラックは、ヨウ素価が137およびDBPAが120mL/100gであった。150gのカーボンブラック、4.32gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド、および1Lのメタノールの混合物を15分間攪拌した。メタノールをロータリーエバポレーターで除去し、生成物を70℃にて真空乾燥した。吸着基がフィラー上に存在することが確認された。
【0143】
例49:修飾フィラーの作製
20LのRossミキサーに、11.26kgの水、および3.00kgのカーボンブラック、および1543gの0.243mmol/g 3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド硫酸塩溶液を投入した。カーボンブラックは、ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gであった。70℃に加熱後、20%のNaNO2水溶液の259gを10分間かけて添加した。この混合物を70℃にて1時間攪拌し、室温まで冷却した。40%のNaOH水溶液(37.6g)を添加し、混合物をさらに5分間攪拌した。この混合物をろ過し、生成物を、導電率が約5000uS/cmとなるまで水で洗浄した。生成物を100℃にて乾燥した。生成物は、1.35重量%のSを有していた。メタノールによる一晩のソックスレー抽出を施した後のこの修飾カーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.75重量%のSと比較して、1.04重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0144】
例50:修飾フィラーの作製
この修飾カーボンブラック生成物は、例49と実質的に同じ方法で作製した。
【0145】
例51:修飾フィラーの作製
本例は、本発明の修飾フィラーの作製を説明するものである。直径8インチおよび長さ8インチの混合チャンバーを有するバッチペレタイザーを、50℃に加熱し、ヨウ素価が149およびDBPAが125mL/100gの綿状(fluffy)カーボンブラックの224gを投入した。水(17g)および0.235mmol/gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド硫酸塩溶液 132gを添加し、この混合物を500rpmにて1分間混合した。4.21重量%のNaNO2溶液(107g)を噴霧添加し、処理をさらに5分間継続した。生成物をオーブンにて100℃で乾燥した。メタノールによるソックスレー抽出を一晩施した後のこの修飾カーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.47重量%のSと比較して、0.79重量%のSを有していた。このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0146】
例52:修飾フィラーの作製
本例は、本発明の修飾フィラーの作製を説明するものである。ヨウ素価が70およびDBPAが118mL/100gのカーボンブラックを用いた。13.2gの水による1.56g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1300gの水、および0.241mmol/gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド硫酸塩溶液 47.5gの攪拌混合物へ、70℃にて約5分間かけて添加した。混合を、70℃にて65分間継続した。この混合物を室温まで冷却し、40% NaOH水溶液の1.28gによりpHを7.4に調節した。生成物をろ過で回収し、2Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。このカーボンブラック生成物(120.0g)を663gのメタノールに懸濁し、3.4gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドを添加した。15分間の攪拌後、メタノールをロータリーエバポレーターで除去し、生成物を70℃にて真空乾燥した。メタノールによるソックスレー抽出を一晩施した後のこの修飾カーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの1.31重量%のSと比較して、1.41重量%のSを有していた。このサンプルは、従って、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0147】
例53:修飾フィラーの作製
本例は、本発明の修飾カーボンブラック生成物の作製を説明するものである。それは、参照カーボンブラックのPAH22含有量 710ppmと比較して、PAH22含有量が25ppmであった。カーボンブラックは、ヨウ素価が137およびCOANが120mL/100gであった。24.7gの水による2.60g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1300gの水、4.31gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド、および5.14gの70% メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて6分間かけて添加した。混合を、70℃にて66分間継続した。この混合物を室温まで冷却した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。メタノールによるソックスレー抽出を一晩施した後のこの修飾カーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.48重量%のSと比較して、0.77重量%のSを有していた。このサンプルは、結合および吸着トリアゾールを有していた。
【0148】
例54:カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明の修飾カーボンブラック生成物の作製を説明するものである。1302gの水、150gのカーボンブラック、および100gのClorox 次亜塩素酸ナトリウム溶液の懸濁液を混合し、90℃に加熱した。カーボンブラックは、ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gであった。混合を60分間継続し、この懸濁液を70℃に冷却した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド(3.44g)を、約0.8Lの溶媒に溶解し、120gのカーボンブラックと約15分間混合した。次に、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、70℃にて真空乾燥した。サンプルの一部にメタノールによるソックスレー抽出を一晩施し、硫黄の分析を行った。得られたS分析から、化合物をほぼ完全に除去することができ、従って、トリアゾールはフィラー上に吸着されていたことが示される。
【0149】
例55:修飾ケイ素処理カーボンブラック生成物の作製
本例は、本発明の修飾ケイ素処理カーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が64、STSAが120m2/g、DBPAが157mL/100g、およびケイ素含有量が10重量%であるケイ素処理カーボンブラックを用いた。このケイ素処理カーボンブラック(150g)を、メタノール約1L中の4.31g 3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドの溶液と共に、15分間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、生成物を70℃にて真空乾燥した。フィラー上に吸着された基が確認された。
【0150】
例56:修飾シリカ生成物の作製
本例は、本発明の修飾シリカ生成物の作製を説明するものである。Zeosil 1165シリカ(ローディアの製品)を、メタノール約1L中の7.93g 3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドの溶液と共に、15分間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、生成物を70℃にて真空乾燥した。フィラー上に吸着された基が確認された。
【0151】
例57から66:修飾フィラーの作製
これらの例では、ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。NaNO2の10重量%水溶液を、300gのカーボンブラック、2600gの水、示した化合物、および70% メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて約5分間かけて添加した。混合を、70℃にて約1時間継続した。この混合物を室温まで冷却した。表に示すように、いくつかの生成物について、ろ過に続いて、水での洗浄により(A)、または水での洗浄、続いてエタノール次に水での洗浄により(B)、精製した。いくつかの生成物について、2もしくは3回の水の交換を行って(C)、または水、続いてエタノール、次に水により(D)、遠心分離によって精製した。生成物を70℃にて真空乾燥した。生成物は、結合有機基を有していた。
【表12】
【0152】
例67から76:修飾フィラーの作製
本発明のこれらの例において、例57から66の結合基を有するカーボンブラック生成物上に、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドを吸着させた。各々の場合において、カーボンブラック生成物を、エタノール1L中の4.3g 3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドの溶液と共に、15分間攪拌した。エタノールをロータリーエバポレーターで除去し、生成物を70℃にて真空乾燥した。
【表13】
【0153】
例77:修飾フィラーの作製
本例は、本発明の修飾フィラーの作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。35.3gの水による3.88g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1300gの水、6.86gの4‐アミノベンジルアミン、および17.05gの70% メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて約10分間かけて添加した。混合を、70℃にて60分間継続した。この混合物を室温まで冷却し、5.44gの40% NaOH水溶液でpH8.4に調節した。生成物をろ過で回収し、2.5Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。このカーボンブラック生成物(120.1g)を、660gのメタノールに懸濁し、3.47gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドを添加した。15分間の攪拌の後、メタノールをロータリーエバポレーターで除去し、生成物を70℃にて真空乾燥した。フィラー上の吸着基が確認された。
【0154】
例78:ベンゾイミダゾール‐2‐イルジスルフィドの作製
10.0gの2‐メルカプトベンゾイミダゾール、88gのエタノール、および6.68gの40% NaOH水溶液から作製した溶液を、79gのエタノール中の8.54gのヨウ素の溶液と混合した。得られた混合物をろ過し、回収した生成物をエタノールで洗浄し、70℃にて真空乾燥した。
【0155】
例79:2‐アミノ‐1,3,4‐チアジアゾール‐5‐イルジスルフィドの作製
10.0gの2‐アミノ‐1,3,4‐チアジアゾール‐5‐チオール、81gのエタノール、および7.78gの40% NaOH水溶液から作製した溶液を、75gのエタノール中の9.48gのヨウ素の溶液と混合した。得られた混合物をろ過し、回収した生成物をエタノールで洗浄し、70℃にて真空乾燥した。
【0156】
例80:1,2,3‐トリアゾール‐4‐チオールの作製
濃HCl(12.06g)を、104gのエタノール中の14.98gの5‐メルカプト‐1,2,3‐トリアゾールナトリウム塩の溶液へ添加した。固体をろ過で除去し、得られた1,2,3‐トリアゾール‐4‐チオールの溶液を直接用いた。
【0157】
例81:(1,2,4‐トリアゾール‐3‐イルメチル)ジスルフィドの作製
J. Am. Chem. Soc. 77 1540 (1955)に記載の方法に類似の方法により、3‐クロロメチル‐1,2,4‐トリアゾールを作製した。国際公開第2008151288号に記載の方法に類似の方法により、3‐クロロメチル‐1,2,4‐トリアゾールを、30容量部の還流エタノール中、1当量のチオウレアと15時間反応させた。反応生成物を、12%のNaOH水溶液により、50℃にて20分間加水分解した。0.5当量の12およびNaIの添加により、(1,2,4‐トリアゾール‐3‐イルメチル)ジスルフィドが得られた。
【0158】
比較例82
この物質は、例52で用いた、ヨウ素価が70およびDBPAが118mL/100gのカーボンブラックである。
【0159】
比較例83
この物質は、水と共にペレット化して100℃で乾燥した、例51で用いたヨウ素価が149およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックである。
【0160】
比較例84
この物質は、例55で用いた、ヨウ素価が64、STSAが120m2/g、DBPAが157mL/100g、およびケイ素含有量が10%のケイ素処理カーボンブラックである。
【0161】
比較例85
これは、例56で用いたZeosil 1165シリカである。
【0162】
比較例86
この物質は、例53で用いたカーボンブラックである。これは、参照カーボンブラックのPAH22含有量 710ppmと比較して、PAH22含有量が25ppmであった。このカーボンブラックは、ヨウ素価が137およびCOANが120mL/100gであった。
【0163】
比較例87
3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドの4.31g、およびヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックの150gの乾燥混合物を、ワーリングブレンダーにて30秒間混合した。
【0164】
例88から100:物質の作製
これらの例は、種々の物質の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。示した化合物を約1Lの溶媒に溶解し、150gのカーボンブラックと約15分間混合した。次に、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、70℃にて真空乾燥した。
【表14】
【0165】
例101:比較物質の作製
本例は、比較物質の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。ベンゾイミダゾール‐2‐イルジスルフィド(5.62g)を約1Lの熱ジメチルホルムアミドに溶解し、150gのカーボンブラックと約15分間混合した。この混合物を冷却し、ろ過した。生成物を水で3回洗浄し、70℃にて真空乾燥した。
【0166】
例102:比較物質の作製
本例は、比較物質の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。2‐アミノ‐1,3,4‐チアジアゾリル‐5‐イルジスルフィド(4.95g)を約700mLのジメチルスルホキシドに溶解し、150gのカーボンブラックと約15分間混合した。水(500g)を添加し、この混合物を冷蔵庫に3日間保存した。この混合物をろ過し、4Lの水で洗浄し、70℃にて真空乾燥した。
【0167】
例103:比較物質の作製
本例は、比較カーボンブラック生成物の作製を説明するものである。ヨウ素価が119およびDBPAが125mL/100gのカーボンブラックを用いた。21.3gの水による2.59g NaNO2の溶液を、150gのカーボンブラック、1300gの水、4.33gの3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド、および5.15gの70%メタンスルホン酸の攪拌混合物へ、70℃にて5分間かけて添加した。混合を、70℃にて65分間継続した。この混合物を室温まで冷却した。生成物をろ過で回収し、3Lの水、2Lのメタノールで洗浄し、70℃にて真空乾燥した。生成物は、1.06重量%のSを有していた。メタノールによるソックスレー抽出を施した後のこのカーボンブラック生成物のサンプルは、未処理カーボンブラックの0.75重量%のSと比較して、0.97重量%のSを有していた。従って、このサンプルは、結合トリアゾールを有しており、残留抽出可能物質は表面に残っている。
【0168】
エラストマーコンポジットの性能特性
以下の例は、エラストマーコンポジットを形成するための、本発明の修飾フィラーまたは比較フィラーのエラストマー配合物における使用に関するものである。フィラーに応じて、いくつかの異なるエラストマー配合物を用いた。特に断りのない限り、エラストマーコンポジットの作製方法は、前述の例15〜36と同じとした。
配合物(特に断りのない限り、単位はphr):
配合物AA(配合物AAは、例29、40、42、45、88、82、52、41、43、54、89、90、46、102、87、91〜96、47、97、98、44、49、57、67、58、68、59、69、60、70、61、71、62、72、63、73、64、74、65、75、66、76、77、83、51、86、53、48、100、102、103、および99で用い、ここでは、カーボンブラックをフィラーとして、または修飾されたフィラーとして用いた。)
Duradene 739 100
(示した例番号の)カーボンブラック 50
酸化亜鉛 3
ステアリン酸 2
Santoflex 6PPD 1
硫黄 1.75
Santocure CBS 1.25
Perkacit MBT 0.2

配合物BB(配合物BBは、表XIVのATTおよびATT2の例に用い、ここで、化学基(トリアゾール)は、比較例として、コンパウンディングの間に添加した。)
これらのサンプルは、コンパウンディングの間にトリアゾールを添加したものである:
配合物BB #1 #2
Duradene 739 100 100
(示した例番号の)カーボンブラック 50 50
3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール 1.45
3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド 1.44
酸化亜鉛 3 3
ステアリン酸 2 2
Santoflex 6PPD 1 1
硫黄 1.75 1.75
Santocure CBS 1.25 1.25
Perkacit MBT 0.2 0.2

配合物CC(配合物CCは、例85、56、84、および55で用い、ここでは、フィラーは、シリカまたはケイ素処理カーボンブラックであった(本発明またはその比較例)。)
配合物CC #1 #2 #3 #4
Duradene 739 100 100 100 100
SiO2(例85) 56
例56 56
ケイ素処理フィラー(例84) 50
例55 50
ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド
4.48 4.48 2 2
酸化亜鉛 3 3 3 3
ステアリン酸 2 2 2 2
Santoflex 6PPD 1 1 1 1
硫黄 1.5 1.5 1.5 1.5
Santocure CBS 1.7 1.7 1.4 1.4
Perkacit MBT 1.5 1.5 0.7 0.7
【0169】
表VIIIに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック(例29)と比較した、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオールまたは3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドの吸着化合物を有する本発明の修飾フィラーを含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表15】
【0170】
修飾カーボンブラックを含んだ両サンプル(例)共に、改善された(低減した)相対tanデルタ値および増加した相対摩耗指数を示した。上記で考察したように、相対tanデルタ値の低減は、それが繰り返し歪みを受けた場合のエラストマーコンポジット中の熱の蓄積の低減を反映することから、望ましいものである。相対摩耗指数の増加も望ましく、それは、改善された耐摩耗性を反映する。
【0171】
表IXに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック(例29)および1,2,4‐トリアゾール‐3‐イルジスルフィドではない吸着化合物を有する比較カーボンブラックと比較した、1,2,4‐トリアゾール‐3‐イルジスルフィドの吸着化合物を有する本発明のカーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表16】
【0172】
本発明の1,2,4‐トリアゾール‐3‐イルジスルフィド吸着化合物を有する修飾カーボンブラックを含有するサンプルは、大きく改善された増加した相対摩耗指数およびコントロールと類似するtanデルタ値を示した。1,2,4‐トリアゾール‐3‐イルジスルフィドではない吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物は、摩耗指数が大きく低下する結果となった。
【0173】
表Xに、性能結果を提供する(未修飾シリカ(例85)と比較した、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドの吸着化合物を有する本発明のシリカ生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表17】
【0174】
本発明の吸着化合物を有する修飾シリカを含有するサンプルは、コントロールと比較して、大きく改善された増加した相対摩耗指数および僅かに増加しただけであるtanデルタ値を示した。
【0175】
表XIに、性能結果を提供する(未修飾ケイ素処理カーボンブラック生成物(例84)と比較した、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドの吸着化合物を有する本発明の修飾ケイ素処理カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表18】
【0176】
本発明の吸着化合物を有する修飾ケイ素処理カーボンブラック生成物を含有するサンプルは、コントロールと比較して大きく改善された増加した相対摩耗指数を示した。
【0177】
表XIIに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック生成物(例82)と比較した、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィドの吸着化合物および結合有機基を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表19】
【0178】
吸着化合物および結合有機基を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するサンプルは、同じフィラーを用いたコントロールと比較して、大きく改善された増加した相対摩耗指数およびtanデルタ値の改善を示した。さらに、吸着化合物および結合有機基を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物は、トレッドコンパウンドに一般的に用いられる未処理カーボンブラック(例29)と比較して、改善された増加した相対摩耗指数およびtanデルタの著しい改善を示した。
【0179】
表XIIIに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック(例29)および異なる吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物と比較した、吸着化合物を有する本発明のカーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表20】
【0180】
本発明の吸着化合物を有する修飾カーボンブラックを含有するサンプルは、コントロールと比較して、大きく改善された増加した相対摩耗指数を示した。本発明の吸着化合物を有する酸化ブラックを含有するサンプルは、未修飾カーボンブラックを含有するコントロールと比較して、大きく改善された増加した相対摩耗指数を示した。異なる吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物は、摩耗指数が実質的に変化しないか、または低下する結果となった。
【0181】
表XIVに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック(例29)を含有するエラストマーコンポジット、および3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオールがカーボンブラック上に予め吸着させることなくミキサーに添加されたコンパウンドについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表21】
【0182】
示されるように、カーボンブラック上に予め吸着させることなく、化合物をミキサーに直接添加すると、摩耗指数値が不良であるコンパウンドが得られた。
【0183】
表XVに、性能結果を提供する(異なる吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物、未修飾カーボンブラック(例29)、およびカーボンブラック上に予め吸着させることなくその化合物をカーボンブラックと予め乾式混合しておいたコンパウンドと比較した、吸着化合物を有する本発明のカーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表22】
【0184】
本発明の吸着化合物を有する修飾カーボンブラックを含有するサンプルは、コントロールと比較して、大きく改善された増加した相対摩耗指数および改善されたtanデルタ値を示した。異なる吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物は、摩耗指数が低下する結果となった。吸着ではなく、予めカーボンブラックと化合物を乾式混合したものからは、不良な摩耗指数値を有するコンパウンドが得られた。
【0185】
表XVIに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック(例29)および吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表23】
【0186】
吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物は、摩耗指数が低下する結果であるか、または未処理カーボンブラックに類似の結果であった。
【0187】
表XVIIに、未修飾カーボンブラック(例29)と比較した、吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての性能結果(相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)を提供する。
【表24】
【0188】
吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物は、摩耗指数が低下する結果であった。
【0189】
表XVIIIに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック(例29)および異なる吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物と比較した、吸着化合物を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表25】
【0190】
本発明の吸着化合物を有する修飾カーボンブラックを含有するサンプルは、大きく改善された増加した相対摩耗指数、およびコントロールと類似のtanデルタ値を示した。異なる吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物は、摩耗指数が低下する結果となった。
【0191】
表XIXに、未修飾カーボンブラック(例29)と比較した、吸着化合物を有する本発明のカーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての性能結果(相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)を提供する。
【表26】
【0192】
本発明の修飾カーボンブラックを含有するサンプルは、改善された相対摩耗指数を示した。
【0193】
表XXに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック(例29)と比較した、結合有機基および吸着化合物を有する本発明のカーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表27】
【0194】
本発明の修飾カーボンブラックを含有するサンプルは、改善されたtanデルタ性能、および改善された相対摩耗指数を示した。
【0195】
表XXIに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック、および結合有機基は持つが吸着化合物は持たないカーボンブラックと比較した、吸着化合物および結合有機基を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表28】
【0196】
吸着化合物および結合有機基を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物(例67〜71)を含有するサンプルは、同じ結合有機基のみを有するカーボンブラックと比較して、改善された増加した相対摩耗指数を示した。
【0197】
表XXIIに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック、および結合有機基は持つが吸着化合物は持たないカーボンブラックと比較した、吸着化合物および結合有機基を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表29】
【0198】
吸着化合物および結合有機基を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物(例72〜76)を含有するサンプルは、同じ結合有機基のみを有するカーボンブラックと比較して、改善された増加した相対摩耗指数を示した。
【0199】
表XXIIIに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラックと比較した、吸着化合物および結合有機基を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表30】
【0200】
吸着化合物および結合有機基を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するサンプルは、未修飾カーボンブラックのものと比較して、改善され低減されたtanデルタ値および改善された増加した相対摩耗指数を示した。
【0201】
表XXIVに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラックと比較した、結合有機基および吸着化合物を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表31】
【0202】
修飾カーボンブラックを含有するサンプルは、改善されたtanデルタ性能、および改善された相対摩耗指数を示した。
【0203】
表XXVに、結合有機基に加えて吸着化合物を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての性能結果(相対tanデルタ、ならびに14%相対スリップにおける相対摩耗指数)を提供する。この表はまた、吸着化合物を有する第二のカーボンブラック生成物の性能結果も示す。未処理の参照カーボンブラックは、低PAH含有量である。
【表32】
【0204】
本発明の吸着化合物(例53)および結合有機基を有する修飾カーボンブラックを含有するサンプルは、未処理カーボンブラックと比較して、大きく改善された増加した相対摩耗指数および改善されたtanデルタ性能を示した。本発明の吸着化合物を有する修飾カーボンブラック(例48)を含有するサンプルは、未処理カーボンブラックと比較して、改善された増加した相対摩耗指数を示した。
【0205】
表XXVIに、未修飾カーボンブラック(例29)および吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての性能結果(相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)を提供する。
【表33】
【0206】
吸着化合物を有する比較カーボンブラック生成物は、摩耗指数が低下するか、または未処理カーボンブラックのそれと類似する結果となった。
【0207】
表XXVIIに、性能結果を提供する(未修飾カーボンブラック(例29)、および吸着化合物を用いて作製され、続いてそれが実質的に除去された比較カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての、相対tanデルタ、ならびに14%および21%スリップにおける相対摩耗指数)。
【表34】
【0208】
吸着化合物を持たなくなった比較カーボンブラック生成物を含有するサンプルは、摩耗性能が改善されなかった。
【0209】
表XXIXに、未修飾カーボンブラック(例29)と比較した、吸着化合物を有する本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有するエラストマーコンポジットについての性能結果(相対tanデルタ、ならびに14%スリップにおける相対摩耗指数)を提供する。
【表35】
【0210】
本発明の吸着化合物を有する修飾カーボンブラックを含有するサンプルは、コントロールと比較して、改善された増加した相対摩耗指数および改善されたtanデルタ値を示した。
【0211】
これらの残りの例について、表XXXIIIに用いた配合を示す。エラストマーコンポジットに用いられる成分を、BR バンバリーミキサーによる二段階混合で混合し、第一段階はローター速度80rpmおよび開始温度50℃にて、続いての第二段階では、硬化剤(硫黄、BBTS)を添加し、ローター速度50rpmおよび開始温度50℃にて行った。第一段階の成分は、合計で6分間混合し、その後、オープンミルに6回通した。第二段階混合の前に、ミルで処理された第一段階混合からのコンパウンドを、少なくとも2時間室温で保持した。次に、第二段階にて、硬化剤を2分間混合した。表XXXに、未修飾カーボンブラック(例29)および未修飾シリカと比較した、本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有する天然ゴムコンポジットについての性能結果(相対tanデルタ、ならびに7%および14%スリップにおける相対摩耗指数)を提供する。
【表36】
【0212】
本発明の修飾カーボンブラックは、カーボンブラックサンプルと比較して、低減された望ましいtanデルタ指数、およびシリカと比較して、増加した望ましい摩耗指数を有していた。7%スリップにおいて、本発明の修飾カーボンブラックは、未処理カーボンブラックと未処理シリカとの間の好ましい中間的な性質であった。
【0213】
表XXXIに、未修飾カーボンブラック(例29)と比較した、本発明の修飾カーボンブラック生成物を含有する天然ゴム/ポリブタジエンコンポジットについての性能結果(相対tanデルタ、ならびに7%および14%スリップにおける相対摩耗指数)を提供する。
【表37】
【0214】
本発明の修飾カーボンブラックは、カーボンブラックサンプルと比較して、低減された望ましいtanデルタ指数、およびコントロールに類似する7%スリップにおける摩耗指数値を有していた。
【0215】
表XXXIIに、未修飾カーボンブラック(例29)と比較した、本発明のカーボンブラック生成物を含有するポリイソプレンコンポジットについての性能結果(相対tanデルタ、ならびに7%および14%スリップにおける相対摩耗指数)を提供する。
【表38】
【0216】
本発明の修飾カーボンブラックは、カーボンブラックサンプルと比較して、低減された望ましいtanデルタ指数を有していた。本発明の修飾カーボンブラック生成物を含むサンプルの結果は、tanデルタ指数と7%スリップにおける摩耗指数とを好ましく兼ね備えるものである。
【表39】
【0217】
出願者らは、引用されるすべての参考文献の全内容を本開示に明確に組み込むものである。さらに、量、濃度、またはその他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または上側の好ましい値と下側の好ましい値のリストのいずれかとして与えられる場合、それは、範囲が別個に開示されるかどうかに関わらず、いずれかの範囲上限もしくは好ましい値、およびいずれかの範囲下限もしくは好ましい値のいずれのペアから形成される範囲についても、そのすべてを明確に開示するものとして理解されたい。数値の範囲が本明細書にて列挙される場合、特に断りのない限り、その範囲は、その端点、ならびにその範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図している。範囲を定める場合に列挙される具体的な数値に本発明の範囲が限定されることを意図するものではない。
【0218】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察、および本明細書に開示される本発明の実践から、当業者には明らかであろう。本明細書および例は、単なる代表例と見なされ、本発明の実際の範囲および趣旨は、以下の請求項およびその均等物によって示されることを意図している。
本発明は、以下の態様を含んでいる。
(1)修飾フィラーであって:
【化16】

【化17】
、または
その互変異性体を含むトリアゾールをその上に吸着されて有するフィラーを含み;
式中、Zは、アルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
Xは、同一または異なっていて、H、NH2、SH、NHN3/4、CHO、COOR、COOH,CONR2、CN、CH3、OH、NDD’、またはCF3であり;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、RがHの場合、1から8の整数であり、それ以外の場合、kは、2から8であり;
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;
Eは、ポリ硫黄含有基であり;ならびに、
前記トリアゾールは、NDD’置換基によってN置換されていてもよく、この場合、DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルである、
修飾フィラー。
(2)前記トリアゾールが:
【化18】
または
その互変異性体を含み、
Eが、wが2から8であるSw、SSO、SSO2、SOSO2、SO2SO2である、
(1)に記載の修飾フィラー。
(3)前記トリアゾールが:
【化19】
または
その互変異性体を含む、(1)に記載の修飾フィラー。
(4)前記トリアゾールが:
【化20】
または
その互変異性体であり、
Yが、HまたはNH2である、
(1)に記載の修飾フィラー。
(5)前記フィラーが:3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐チオール、3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イルジスルフィド、1,2,4‐トリアゾール‐3‐チオール、もしくは1,2,4‐トリアゾール‐3‐イルジスルフィド、またはこれらのいずれかの組み合わせを、その上に吸着されて有する、(1)に記載の修飾フィラー。
(6)修飾フィラーであって:
【化21】

【化22】
、または
その互変異性体を含むピラゾールをその上に吸着されて有するフィラーを含み;
式中、Zは、アルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
XおよびYは、独立して、H、NH2、SH、NHNH2、CHO、COOR、COOH、CONR2、CN、CH3、OH、NDD’、もしくはCF3であるか、またはYは、Rであり、ここで、XおよびYの各々は、同一または異なっており;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっており、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、RがHの場合、1から8の整数であり、それ以外の場合、kは、2から8であり;
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;ならびに、
DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルであり、
Eは、ポリ硫黄含有基である、
修飾フィラー。
(7)前記ピラゾールが:
【化23】
または
その互変異性体を含む、(6)に記載の修飾フィラー。
(8)前記ピラゾールが:
【化24】
または
その互変異性体であり、
ここで、Yは、各々、HまたはN3/4である、
(6)に記載の修飾フィラー。
(9)前記ピラゾールが:
【化25】
または
その互変異性体を含み、
Eが、wが2から8であるSw、SSO、SSO2、SOSO2、SO2SO2である、
(6)に記載の修飾フィラー。
(10)修飾フィラーであって:
a)少なくとも1つのトリアゾール;
b)少なくとも1つのピラゾール;または、
これらのいずれかの組み合わせ、
をその上に吸着されて有するフィラーを含み、ここで、前記修飾フィラーは、エラストマー組成物中に存在する場合、修飾されていない前記フィラーと比較して、耐摩耗性を改善する、修飾フィラー。
(11)a)が存在して、それが、1,2,4トリアゾールである、(10)に記載の修飾フィラー。
(12)b)が存在する、(10)に記載の修飾フィラー。
(13)a)またはb)が、硫黄含有置換基を含む、(10)に記載の修飾フィラー。
(14)前記フィラーに結合された少なくとも1つの化学基をさらに含む、(1〜13)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(15)前記化学基が、少なくとも1つの有機基である、(14)に記載の修飾フィラー。
(16)前記有機基が:
a)少なくとも1つのトリアゾール;
b)少なくとも1つのピラゾール;
c)少なくとも1つのイミダゾール;または、
これらのいずれかの組み合わせ、
を含む、(15)に記載の修飾フィラー。
(17)前記トリアゾールが、前記フィラーに結合し、および:
【化26】
または
その互変異性体を含み;
式中、Zは、アルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
Xは、前記フィラーへの結合を含み
Yは、H、アルキル、アリール、またはNH2であり;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、1から8の整数であり;ならびに、
Qは、(C3/4)w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6である、
(16)に記載の修飾フィラー。
(18)前記トリアゾールが、前記フィラーに結合し、および:
【化27】

【化28】
、または
その互変異性体を含み;
式中、Zは、アルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
少なくとも1つのXは、前記フィラーへの結合を含み、および残りのXのいずれも、前記フィラーへの結合、または官能基を含み;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、RがHである場合、1から8の整数であり、それ以外の場合、kは、2から8であり;
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;
Eは、ポリ硫黄含有ラジカルであり;ならびに、
前記トリアゾールは、NDD’置換基によってN置換されていてもよく、この場合、DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルである、
(16)に記載の修飾フィラー。
(19)前記トリアゾールが、前記フィラーに結合し、および:
【化29】
または
その互変異性体を含み;
少なくとも1つのXが、前記結合であり、その他のXが、H、NH2、またはOHである、
(18)に記載の修飾フィラー。
(20)前記トリアゾールが、前記フィラーに結合し、および:
【化30】
または
その互変異性体を含み;
式中、EはS2であり、
Xは、H、OH、もしくはNH2であるか、または前記フィラーへの結合を含み、且つ、
少なくとも1つのXは、前記フィラーへの結合を含む、
(16)に記載の修飾フィラー。
(21)前記トリアゾールが、前記フィラーに結合し、1,2,4‐トリアゾール‐3‐イル基である、(16)に記載の修飾フィラー。
(22)前記トリアゾールが、前記フィラーに結合し、3‐メルカプト‐1,2,4‐トリアゾール‐5‐イル基である、(16)に記載の修飾フィラー。
(23)前記ピラゾールが、前記フィラーに結合し、および:
【化31】
または
その互変異性体を含み;
式中、Zは、アルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
各Xは、H、アルキル、アリール、NH2であるか、または前記フィラーへの結合を含むが、ただし、少なくとも1つのXは、結合を含み;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、1から8の整数であり;ならびに、
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6である、
(16)に記載の修飾フィラー。
(24)前記ピラゾールが、前記フィラーに結合し、および:
【化32】

【化33】
、または
その互変異性体を含み;
式中、Zは、アルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
少なくとも1つのXまたはYは、前記フィラーへの結合を含み、他のいずれのXまたはYは、同一または異なっていて、結合または官能基を含み;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっており、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、RがHの場合、1から8の整数であり、それ以外の場合、kは、2から8であり;
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;ならびに、
Eは、ポリ硫黄含有基である、
(16)に記載の修飾フィラー。
(25)前記イミダゾールが、前記フィラーに結合している、(16)に記載の修飾フィラー。
(26)前記イミダゾールが、前記フィラーに結合し、および:
【化34】

【化35】
、または
その互変異性体を含み;
式中、Zはアルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
各Xは、前記フィラーへの結合、H、アルキル、アリール、またはNH2を含むが、ただし、少なくとも1つのXは、結合を含み;
Yは、HまたはNH2であり;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR、SO2SR、SNRR、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびRは、同一または異なっていてよく、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1−C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、1から8の整数であり;
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;ならびに、
Eは、ポリ硫黄含有基である、
(16)に記載の修飾フィラー。
(27)前記有機基が、脂肪族基または芳香族基を含む、(15)に記載の修飾フィラー。
(28)前記有機基が、R、OR、COR、COOR、OCOR、カルボン酸塩、ハロゲン、CN、NR2、SO3H、スルホン酸塩、NR(COR)、CONR2、NO2、PO32、ホスホン酸塩、リン酸塩 N=NR、NR3+-、?R3+-、SkR、SSO3H、SSO3-塩、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、2‐(1,3‐ジチオラニル)、SOR、またはSO2Rである官能基を少なくとも有するアルキル基または芳香族基を含み、ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、独立して、水素、分岐鎖状または非分岐鎖状、置換または無置換、飽和または不飽和のC1‐C12炭化水素であり、kは、1〜8の範囲の整数であり、X-は、ハロゲン化物、または無機もしくは有機酸由来のアニオンであり、Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、wは、2から6の整数であり、xおよびzは、独立して、1から6の整数である、(15)に記載の修飾フィラー。
(29)前記有機基が、式AyAr−を有する芳香族基を含み、式中、Arは、芳香族ラジカルであり、Aは、R、OR、COR、COOR、OCOR、カルボン酸塩、ハロゲン、CN、NR2、SO3H、スルホン酸塩、NR(COR)、CONR2、NO2、PO32、ホスホン酸塩、リン酸塩 N=NR、NR3+-、PR3+-、SkR、SSO3H、SSO3-塩、SO2NRR’、SO2SR、SNRR’、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、2‐(1,3‐ジチオラニル)、SOR、またはSO2Rであり、ここで、RおよびR’は、同一または異なっていて、独立して、水素、分岐鎖状または非分岐鎖状、置換または無置換、飽和または不飽和のC1‐C100炭化水素であり、kは、1〜8の範囲の整数であり、X-は、ハロゲン化物、または無機もしくは有機酸由来のアニオンであり、Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、wは、2から6の整数であり、xおよびzは、独立して、1から6の整数であり、yは、1から前記芳香族ラジカル中の−CHラジカルの総数までの整数である、(15)に記載の修飾フィラー。
(30)前記Arが、トリアゾール基を含む、(29)に記載の修飾フィラー。
(31)前記Arが、ピラゾール基を含む、(29)に記載の修飾フィラー。
(32)前記Arが、イミダゾール基を含む、(29)に記載の修飾フィラー。
(33)前記有機基が、少なくとも1つのアミノメチルフェニル基である、(15)に記載の修飾フィラー。
(34)前記有機基が、X−C64−S−S−C64−Xであり、ここで、少なくとも一方のXは、前記フィラーへの結合であり、他方のXは、前記フィラーへの結合、または官能基である、(15)に記載の修飾フィラー。
(35)前記有機基が、少なくとも1つの芳香族スルフィドまたはポリスルフィドを含む、(15)に記載の修飾フィラー。
(36)フィラー表面積(m2)あたり0.01〜10マイクロモルのヘテロ環式基の吸着量を有する、(1〜35)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(37)フィラー表面積(m2)あたり0.01〜6マイクロモルの結合量を有する、(14〜35)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(38)前記修飾フィラーが、エラストマー組成物中に存在する場合、修飾されていない前記フィラーと比較して、耐摩耗性を改善する、(1〜37)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(39)前記耐摩耗性が、少なくとも10%増加する、(38)に記載の修飾フィラー。
(40)前記耐摩耗性が、少なくとも50%増加する、(38)に記載の修飾フィラー。
(41)前記耐摩耗性が、少なくとも75%増加する、(38)に記載の修飾フィラー。
(42)前記耐摩耗性が、少なくとも100%増加する、(38)に記載の修飾フィラー。
(43)前記修飾フィラーが、エラストマー組成物中に存在する場合、修飾されていない前記フィラーと比較して、耐摩耗性を改善し、および前記エラストマー組成物中に存在する場合、未修飾の前記フィラーと比較して、ヒステリシスを改善(低減)する、(14〜35)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(44)前記ヒステリシスが、少なくとも5%改善(低減)する、(43)に記載の修飾フィラー。
(45)前記ヒステリシスが、少なくとも10%改善(低減)する、(43)に記載の修飾フィラー。
(46)前記ヒステリシスが、少なくとも20%改善(低減)する、(43)に記載の修飾フィラー。
(47)前記耐摩耗性が、少なくとも10%増加し、前記ヒステリシスが、少なくとも5%改善(低減)する、(43)に記載の修飾フィラー。
(48)前記耐摩耗性が、少なくとも50%増加し、前記ヒステリシスが、少なくとも10%改善(低減)する、(43)に記載の修飾フィラー。
(49)前記耐摩耗性が、少なくとも75%増加し、前記ヒステリシスが、少なくとも15%改善(低減)する、(43)に記載の修飾フィラー。
(50)修飾フィラーであって:
【化36】

【化37】
、または
その互変異性体を含むトリアゾールをその上に結合されて有するフィラーを含み、
式中、Zはアルキレン基であり、ここで、bは、0または1であり;
少なくとも1つのXは、前記フィラーへの結合を含み、および残りのXのいずれも、前記フィラーへの結合、または官能基を含み;
Aは、SkR、SSO3H、SO2NRR’、SO2SR、SNRR、SNQ、SO2NQ、CO2NQ、S‐(1,4‐ピペラジンジイル)‐SR、2‐(1,3‐ジチアニル)、もしくは2‐(1,3‐ジチオラニル)である官能基であるか;または、1つ以上の前記官能基で置換された直鎖状、分岐鎖状、芳香族、もしくは環状炭化水素ラジカルであり;
ここで、RおよびR’は、同一または異なっていてよく、水素;分岐鎖状または非分岐鎖状でC1‐C12の無置換または置換アルキル、アルケニル、アルキニル;無置換または置換アリール;無置換または置換ヘテロアリール;無置換または置換アルキルアリール;無置換もしくは置換アリールアルキル、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはアルキルアリーレンであり;
kは、1から8の整数であり;
Qは、(CH2w、(CH2xO(CH2z、(CH2xNR(CH2z、または(CH2xS(CH2zであり、ここで、xは、1から6であり、zは、1から6であり、wは、2から6であり;
Eは、ポリ硫黄含有ラジカルであり;ならびに、
前記トリアゾールは、NDD’置換基によってN置換されていてもよく、この場合、DおよびD’は、同一または異なっていて、HまたはC1‐C4アルキルである、
修飾フィラー。
(51)前記トリアゾールが:
【化38】
または
その互変異性体である、(50)に記載の修飾フィラー。
(52)前記トリアゾールが:
【化39】
または
その互変異性体である、(50)に記載の修飾フィラー。
(53)フィラー表面積(m2)あたり0.1〜6モルの結合量を有する、(14〜35)または(50〜52)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(54)前記修飾フィラーが、エラストマー組成物中に存在する場合、未修飾の前記フィラーと比較して、ヒステリシスを改善する、(50〜52)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(55)前記ヒステリシスが、少なくとも5%低減する、(54)に記載の修飾フィラー。
(56)前記ヒステリシスが、少なくとも10%低減する、(54)に記載の修飾フィラー。
(57)前記ヒステリシスが、少なくとも20%低減する、(54)に記載の修飾フィラー。
(58)前記フィラーが、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、ケイ素被覆カーボンブラック、または金属酸化物である、(1〜57)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(59)前記フィラーがカーボンブラックである、(1〜57)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(60)前記フィラーがシリカである、(1〜57)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(61)前記フィラーが、少なくとも1つの金属酸化物であり、前記フィラーへの結合を含む前記Xが、少なくとも1つのシランリンカー基を介している、(17〜20、23〜26、34、および50〜52)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(62)前記フィラーが、少なくとも1つの金属酸化物であり、前記フィラーへの結合を含む前記Xが、少なくとも1つのSi含有基、Ti含有基、Cr含有基、またはZr含有基を介している、(17〜20、23〜26、34、および50〜52)のいずれか一項に記載の修飾フィラー。
(63)(1〜62)のいずれか一項に記載の修飾フィラー、および少なくとも1つのエラストマーを含む、エラストマー組成物。
(64)(63)に記載のエラストマー組成物を含む、製品。
(65)前記製品が、タイヤまたはその構成部品である、(64)に記載の製品。
(66)前記製品が、タイヤトレッドまたはタイヤサイドウォールである、(64)に記載の製品。
(67)エラストマー組成物において、(1〜62)のいずれか一項に記載の修飾フィラーの少なくとも1つを前記エラストマー組成物中に硬化前に導入することを含む、耐摩耗性を改善するための方法。
(68)エラストマー組成物において、(14〜37)または(50〜52)のいずれか一項に記載の修飾フィラーの少なくとも1つを前記エラストマー組成物中に硬化前に導入することを含む、ヒステリシスを改善(低減)するための方法。
(69)エラストマー組成物において、(14〜37)のいずれか一項に記載の修飾フィラーを前記エラストマー組成物中に硬化前に導入することを含む、耐摩耗性を増加し、ヒステリシスを低減するための方法。