(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、生成するのに経済的であり、多孔質のフォーム、および優れた特性を有する他のCASE材料に転換することができる、炭化水素との相溶性が良好なポリエステルポリオールに対する必要性が存在する。粘度が低く、炭化水素との相溶性が良好である芳香族ポリエステルポリオールを保有することがさらに望ましく、それは、芳香族含量に基づいて、難燃標準に合致するポリウレタン生成物の生成において使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、テレフタル酸のエステル交換反応生成物と、名目官能価が3〜4である少なくとも1種のポリエーテルポリオールとを含む、平均官能価が約2.4〜3である新種の芳香族ポリエステルポリオールに関する。一態様では、本発明は、少なくとも
A)80モル%以上のテレフタル酸を含む芳香族成分と、
B)名目官能価が2を超え4以下であり、分子量が250〜1000であり、ポリオキシプロピレン含量がポリオールの少なくとも70重量%である少なくとも1種のポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250であるB以外の少なくとも1種のグリコールと
の反応生成物を含み、A、BおよびCが反応生成物中に、重量%基準で20〜60重量%のA)、15〜70重量%のB)および10〜50重量%のC)が存在するポリエステルポリオールである。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、
A)80モル%以上のテレフタル酸を含む芳香族成分と、
B)名目官能価が2を超え4以下であり、分子量が250〜1000であり、ポリオキシプロピレン含量がポリオールの少なくとも70重量%である少なくとも1種のポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250であるB以外の少なくとも1種のグリコールと
の反応生成物から本質的になり、A、BおよびCが反応生成物中に、重量%基準で20〜60重量%のA)、15〜70重量%のB)および10〜50重量%のC)が存在するポリエステルポリオールである。詳細には、ポリエステルは、(i)当量が約130〜1000であること、(ii)約8〜60個の炭素原子を含むこと、および(iii)カルボキシル、ヒドロキシルおよびその混合物からなる群から選択される分子あたり少なくとも1個で4個を超えない基を含むことを特徴とする約0.1〜約20モル%の少なくとも1種の疎水性材料の不存在下で作製される。
【0009】
本発明はまた、かかる芳香族ポリエステルポリオールを作製するための方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、かかる芳香族ポリエステルポリオールを使用して作製される多孔質ポリウレタンおよびポリウレタン/ポリイソシアヌレートフォームである。
【0010】
本発明の芳香族ポリエステルポリオールは、所望なら従来技術のポリオール、およびまた、樹脂プレポリマーブレンドの配合物で従来から使用されているさまざまな添加剤と容易にブレンドすることができる。
【0011】
ポリオールブレンドは、電気器具用の硬質フォームを作製するためのポリオール配合物で特に有用である。こうしたブレンドは、10〜40重量%の上述の芳香族ポリエステルポリオールを含み、残余は、少なくとも1種の第二のポリオールであり、該第二のポリオールは、官能価が2〜8であり、分子量が100〜2,000であるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはその組合せである。
【0012】
本発明の別の態様は、建築用途、特に建築パネル用の断熱フォームを生成するためのポリオールブレンドを提供する。こうしたブレンドは、一般に、10〜90重量%の、上述の芳香族ポリエステルポリオールを含むことになり、残余は、少なくとも1種の第二のポリオールであり、該第二のポリオールは、官能価が2〜8であり、分子量が100〜10,000であるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはその組合せである。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、
1)A)80モル%以上のテレフタル酸を含む芳香族成分と、
B)名目官能価が2を超え4以下であり、分子量が250〜1000であり、ポリオキシプロピレン含量がポリオールの少なくとも70重量%であるポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250であるグリコールまたはグリコール混合物と
の反応生成物であり、A、BおよびCが反応生成物中に、重量%基準で20〜60重量%のA)、15〜70重量%のB)および10〜50重量%のC)が存在する、10〜90重量%のポリオールを含むポリオール成分と、
2)ポリイソシアネートと、
3)任意選択でそれ自体が公知である添加剤および補助剤と
を含むポリオール組成物を含む、硬質フォームを生成するための反応システムを提供する。かかる任意選択の添加剤または補助剤は、染料、顔料、内部金型離型剤、物理的発泡剤、化学的発泡剤、難燃剤、充填剤、補強剤、可塑剤、発煙防止剤、芳香剤、帯電防止剤、殺生物剤、酸化防止剤、光安定剤、接着促進剤およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0014】
さらなる態様では、本発明のポリエステルポリオールは、硬質フォームを生成するための反応システムにおいて10〜75重量%のポリオールブレンドを含む。
【0015】
別の態様では、本発明は、
a)少なくとも
1)請求項1に記載のポリエステル、または該ポリエステルと少なくとも1種の他のポリオールとの混合物であって、但し少なくとも10重量%のポリエステルを含む混合物と、
2)ポリイソシアネートと、
3)炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテル、またはフッ素置換ジアルキルエーテル物理的発泡剤のうちの少なくとも1種と
を含む反応性混合物を形成するステップと、
b)反応性混合物が膨張し、硬化して硬質ポリウレタンフォームを形成するような条件に反応性混合物を曝露するステップと
を含む、硬質ポリウレタンフォームを調製するための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の芳香族ポリエステルポリオールは、少なくともA)テレフタル酸と、B)官能価が2を超え4以下であり、ポリオキシプロピレン含量がポリオールの少なくとも70重量%である少なくとも1種のポリエーテルポリオールと、C)分子量が60〜250であるB)以外の少なくとも1種のグリコール成分とを含む反応混合物から調製される。本発明のポリエステルは、未硬化強度が良好であるポリウレタンフォームを生成するのに使用できることが見出された。かかるポリエステルはまた、他のポリエーテルポリオールおよび炭化水素発泡剤との相溶性が良好であることも見出された。「未硬化強度」という用語は、脱型時のフォームの基本的な一体性および強度を指し、脱型時膨張とも呼ばれる。
【0017】
本発明のポリエステルポリオールの芳香族成分(成分A)は、主として、テレフタル酸に由来する。このテレフタル酸成分は、一般に、芳香族含量の80モル%以上を占める。さらなる実施形態では、テレフタル酸は、芳香族成分の85モル%以上を占める。別の実施形態では、テレフタル酸は、芳香族ポリエステルポリオールを製造するための芳香族成分の90モル%以上を占める。別の実施形態では、芳香族含量は、95モル%超のテレフタル酸を含む。別の実施形態では、芳香族含量は、本質的に、テレフタル酸に由来する。ポリエステルポリオールは、実質的に純粋なテレフタル酸から調製することができるが、テレフタル酸の製造に由来するサイドストリーム、廃棄物またはスクラップ残渣などより複雑な成分を使用することもできる。ポリエチレンテレフタレートの分解生成物など、テレフタル酸とジエチレングリコールに分解できるリサイクル材料も使用することができる。
【0018】
成分A)は、一般に、反応混合物の20〜60重量%を占める。さらなる実施形態では、成分A)は、反応混合物の25重量%以上を占める。さらなる実施形態では、成分A)は、反応混合物の55重量%以下を占める。
【0019】
ポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−もしくは2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシドまたはそれらの2つ以上の組合せなどのC
2〜C
4アルキレンオキシドによる適切な出発分子(開始剤)のアルコキシル化によって得られるものを含む。このポリエーテルポリオールは、一般に、プロピレンオキシド(PO)単位に由来する70重量%超のオキシアルキレン単位、好ましくは、POに由来する少なくとも75重量%のオキシアルキレン単位を含む。他の実施形態では、ポリオールは、POに由来する80重量%超のオキシアルキレン単位を含むことになり、さらなる実施形態では、85重量%以上のオキシアルキレン単位がPOに由来する。一部の実施形態では、プロピレンオキシドは、ポリオールの生成で使用される唯一のアルキレンオキシドになる。PO以外のアルキレンオキシドが使用される場合、エチレンオキシドやブチレンオキシドなど追加のアルキレンオキシドをPOとの共同原料として供給すること、または内部ブロックとして供給することが好ましい。アルキレンオキシドのこうした重合に対する触媒反応は、アニオン性であってもカチオン性であってもよく、水酸化カリウム、水酸化セシウム、三フッ化ホウ素などの触媒、またはヘキサシアノコバルト酸亜鉛や第四級ホスファゼニウム化合物などの二重シアニド錯体(DMC)触媒が用いられる。アルカリ性触媒の場合、こうしたアルカリ性触媒は、好ましくは、合体、珪酸マグネシウム分離または酸中和など適切な仕上げ工程によって、生成の最後でポリオールから除去される。
【0020】
ポリプロピレンオキシド系ポリオールは、一般に、分子量が250〜1,000である。一実施形態では、分子量は、260以上である。さらなる実施形態では、分子量は、800未満、または600未満にもなる。さらなる実施形態では、分子量は、500未満である。
【0021】
成分Bを生成するための開始剤は、官能価が2を超え4以下である;つまり、2個を超え最大4個の活性水素を含む。本明細書では、別段の指示のない限り、官能価は、名目官能価を指す。例えば、かかる開始剤の非限定的な例として、グリセロール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミンおよびエタノールアミンなどのアミノアルコールが挙げられる。さらなる実施形態では、ポリエーテル用の開始剤は、3個の活性水素原子を含む。
【0022】
プロピレンオキシド系ポリオールは、一般に、反応混合物の10〜70重量%を占める。さらなる実施形態では、プロピレンオキシド系ポリオールは、反応混合物の10〜60重量%を占める。別の実施形態では、ポリプロピレンオキシド系ポリオールは、反応混合物の50重量%未満を占める。
【0023】
芳香族成分A)およびポリプロピレンオキシド系ポリオール成分B)に加えて、ポリエステルポリオールを生成するための反応混合物は、成分B)と異なり、分子量が60〜250である、1種または複数のグリコール(成分C))を含有する。かかるグリコールまたはグリコールブレンドは、一般に、名目官能価が2〜3である。成分C)は、材料の粘度の上昇を防止するために官能価が3超であるグリコールを含んでもよいが、成分C)を含むこうしたグリコールブレンドの官能価は3以下になることが一般に好ましい。
【0024】
一実施形態では、成分C)の二官能価グリコールは、次式
【0025】
【化1】
で表すことができ、式中、Rは水素、または炭素原子1〜4個の低級アルキルであり、nは分子量250以下になるように選択される。さらなる実施形態では、nは、分子量200未満になるように選択される。さらなる実施形態では、Rは水素である。本発明で使用できるジグリコールの非限定的な例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、および他のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。例えば、三官能価グリコールとしてグリセリンおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。一実施形態では、グリコール成分C)は、2つ以上のグリコールの組合せを含む。かかる組合せの例として、グリセロールとジエチレングリコール;ジエチレングリコールと分子量が150超であるポリエチレングリコールが挙げられる。
【0026】
成分C)は、一般に、ポリエステルを製造するための反応混合物の10重量%超、およびポリエステルを製造するための反応混合物の一般に50重量%未満を占める。別の実施形態では、グリコール成分は、反応混合物の15重量%超を占める。さらなる実施形態では、グリコール成分は、反応混合物の45重量%未満である。
【0027】
ワンショット合成において成分A)、B)およびC)を含ませることによって、芳香族成分とポリエーテルポリオールおよびグリコールとがランダムに反応することが可能になると考えられている。ポリエステルを製造する際の成分に基づいて、ポリエステルは、名目官能価が2.4〜3.0の間、一般に2.5〜2.9となる。ポリエステルを製造する際に使用される材料の量は、一般に、ヒドロキシル数が200〜400であるポリエステルをもたらす。さらなる実施形態では、ポリエステルのヒドロキシル数は、350未満である。
【0028】
芳香族成分と共に、上記したような他のグリコールと一緒にポリプロピレンオキシド系ポリオールの指定量を含ませることによって、生成ポリエステルの粘度は、一般に、UNI EN ISO 3219によって測定した場合、25℃で60,000mPa*s未満である。さらなる実施形態では、ポリエステルポリオールの粘度は、50,000mPa*s未満である。可能な限り低い粘度を有するポリオールを含むことが望ましいが、実際的な化学的な制約および末端用途のためにポリオールの粘度は、一般に、2,000mPa*s超になる。
【0029】
本発明の芳香族ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオール調製後に残留する任意の少量の未反応グリコールを含んでいてもよい。望ましいことではないが、芳香族ポリエステルポリオールは、最大約30重量%の遊離グリコール/ポリオールを含むことができる。本発明の芳香族ポリエステルポリオールの遊離グリコール含量は、ポリエステルポリオール成分の全重量に対して、一般に、約0〜約30重量%、通常は、1〜約25重量%である。ポリエステルポリオールはまた、少量の残留非エステル交換芳香族成分を含むこともできる。通常は、非エステル交換芳香族材料は、本発明の芳香族ポリエステルポリオールを形成するために合わせた成分の全重量に対して2重量%未満の量で存在する。
【0030】
ポリエステルポリオールは、当技術分野で周知の条件下で成分A、B、およびCを重縮合/エステル交換および重合させることによって形成することができる。例えば、G. Oertel、Polyurethane Handbook、Carl Hanser Verlag、Munich、ドイツ、1985年、54〜62頁およびMihail Ionescu、Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes、Rapra Technology、2005年、263〜294頁を参照されたい。一般には、合成は温度180〜280℃で実施される。別の実施形態では、合成は温度少なくとも200℃で実施される。さらなる実施形態では、合成は温度215℃以上で実施される。さらなる実施形態では、合成は温度260℃以下で実施される。
【0031】
合成は、減圧または昇圧下で実施してもよいが、反応は、一般に、大気圧近傍の条件で実施される。
【0032】
合成は触媒なしで実施してもよいが、エステル化/エステル交換/重合反応を促進する触媒を使用することもできる。かかる触媒の例として、テトラブチルチタネート、ジブチルスズオキシド、カリウムメトキシド、または亜鉛、鉛またはアンチモンの酸化物;チタン(IV)イソプロポキシドやチタンアセチルアセトネートなどのチタン化合物が挙げられる。使用される場合、かかる触媒は、全混合物の0.005〜1重量%の量で使用される。さらなる実施形態では、触媒は、全混合物の0.005〜0.5重量%の量で存在する。
【0033】
反応の揮発性生成物(複数可)、例えば、水および/またはメタノールは、一般に、工程において塔頂から(overheaad)除去され、エステル交換反応を完結させる。
【0034】
合成には通常、1〜5時間を要する。当然のことながら、所要の実時間は、触媒濃度、温度などとともに変動する。一般には、経済的な理由、および、重合サイクルが長すぎると熱劣化が起こる恐れがあるという理由によって重合サイクルをあまり長くしないことが望ましい。
【0035】
本発明のポリエステルは、多様なポリウレタンまたはポリイソシアヌレート生成物を製造するためのポリオール配合物の一部として使用することもできる。イソシアネート反応性成分とも呼ばれるポリオールは、イソシアネート成分と一緒に、我々に、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートを生成するためのシステムを提供する。ポリエステルは、ポリウレタンを製造するための配合物の一部として使用することができ、硬質フォームを生成するための配合物で特に適応することができる。
【0036】
本発明のポリエステルは、単独で使用することもでき、またポリオールブレンドを生成するために他の公知のポリオールとブレンドすることもできる。用途に応じて、ポリエステルは、一般に、全ポリオール配合物の10〜90重量%の範囲である。特定の用途のために使用できるポリエステルポリオールの量は、当業者によって容易に決定することができる。例えば、硬質フォームの建築用途における配合物の場合、ポリエステルは、一般に、ポリオール配合物の10から最大80重量%を占めることができる。他のかかる実施形態では、ポリエステルは、ポリオール配合物の70重量%未満を占める。硬質フォーム用途のための電気器具断熱配合物では、ポリエステルは、一般に、ポリオールブレンドの40重量%以下となる。
【0037】
代表的なポリオールとして、ポリエーテルポリオール、本発明のポリエステルとは異なるポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、およびヒドロキシル末端アミンが挙げられる。使用できる代替のポリオールとして、ポリアルキレンカーボネート系ポリオールおよびポリホスフェート系ポリオールが挙げられる。ポリエーテルまたはポリエステルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはその組合せなどのアルキレンオキシドを活性水素原子が2〜8個である開始剤に添加することによって調製される。配合物で使用されるポリオール(複数可)の官能価は、当業者に公知である末端用途によって決まる。かかるポリオールは、有利には、分子あたり少なくとも2、好ましくは3、最大8、好ましくは最大6の活性水素原子の官能価を有する。硬質フォーム用に使用されるポリオールは、一般に、ヒドロキシル数が約200〜約1,200、より好ましくは、約250〜約800である。ある種の用途では、モノールもポリオール配合物の一部として使用することができる。
【0038】
植物油や動物性脂肪など再生可能な資源に由来するポリオールもまた、追加のポリオールとして使用することができる。かかるポリオールの例として、ヒマシ油、WO04/096882およびWO04/096883に記載のヒドロキシメチル化ポリエステル、米国特許第4,423,162号、第4,496,487号および第4,543,369号に記載のヒドロキシメチル化ポリオール、米国特許出願公開第2002/0121328号、第2002/0119321号および第2002/0090488号に記載の「発泡」植物油が挙げられる。
【0039】
一般には、ポリオールシステムのために反応性を向上させ、脱型時間を低減し、熱伝導度を低減しおよび/または最終の硬質フォームに寸法安定性を付与する目的で、イソシアネートと反応するためのポリオール成分は、本発明のポリエステルポリオールに加えて、一般に、少なくとも一つのアミン基を含む開始剤から得られた5〜60重量%のポリオールを含む。かかるアミン開始ポリオールは、一般に、官能価が2〜8、好ましくは、3〜8であり、平均ヒドロキシル数が約200〜約850、好ましくは、約300〜約770である。さらなる実施形態では、アミン開始ポリオールは、ポリオール配合物の少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20または少なくとも25重量部を占める。アミン開始ポリオールは、窒素原子が存在するために、主にフォーム硬化に関して、触媒活性を有する場合があり、発泡反応に影響を及ぼす場合がある。
【0040】
さらなる実施形態では、アミン開始ポリオール用の開始剤は、芳香族アミン、脂肪族アミンまたは脂環式アミンである。脂環式アミンの例として、メチレンビス(シクロヘキシルアミン;1,2−,1,3−もしくは1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン;アミノシクロヘキサンアルキルアミン;2−もしくは4−アルキルシクロヘキサン−1,3−ジアミン;イソホロンジアミンまたはそれらの組合せまたはそれらのジアステレオマー体が挙げられる。直鎖アルキルアミンの例として、例えば、エチレンジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミンなどが挙げられる。適切な芳香族アミン開始剤の例として、例えば、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン;2,3−、2,4−、3,4−および2,6−トルエンジアミン;4,4’−、2,4’−および2,2’−ジアミノジフェニルメタン;ポリフェニル−ポリメチレン−ポリアミンが挙げられる。一実施形態では、本発明のポリエステルと共に使用されるポリオール成分は、トルエンジアミン(TDA)開始ポリオールであり、より好ましくは、少なくとも85重量%のTDAがオルト−TDAである。エチレンジアミン−およびトルエンジアミン−開始ポリオールは、本発明のポリエステルと共に使用するための好ましいアミン開始ポリオールである。
【0041】
アミン開始ポリオールに加えて、架橋ネットワークを増加させるために、ポリオールブレンドは、官能価が5〜8であるより高官能価のポリオールを含むことができる。かかるポリオール用の開始剤として、例えば、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、フルクトースまたは他のショ糖などが挙げられる。アミン開始ポリオールに関しては、かかるより高官能価のポリオールは、平均ヒドロキシル数が約200〜約850、好ましくは、約300〜約770である。グリセリンなどの他の開始剤は、より高官能価のポリオールに添加して共開始(co-initiated)ポリオールに分子あたりヒドロキシル基4.5〜7の官能価および100〜175のヒドロキシル当量を与えることができる。使用される場合、かかるポリオールは、一般に、特定の用途に応じて、硬質フォームを製造するためのポリオール配合物の5〜60重量%を占める。
【0042】
ポリオール混合物は、最大20重量%のさらなる別のポリオールを含むことができ、そのポリオールは、ポリエステルでも、アミン開始ポリオールでも、またより高官能価のポリオールでもなく、ヒドロキシル官能価が2.0〜3.0であり、ヒドロキシル当量が90〜600である。建築用途では、ポリオールブレンドはまた、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂のアルコキシル化生成物であるポリオールを含むこともできる。かかるポリオールは、当技術分野でノボラックポリオールとして公知である。配合物で使用される場合、かかるノボラックポリオールは、最大40重量%の量で存在することができる。
【0043】
一実施形態では、本発明は、10〜90重量%の上述の芳香族ポリエステルポリオールを含むポリオールブレンドを提供し、残余は、官能価が2〜8であり、分子量が100〜10,000である少なくとも1種のポリオールまたはポリオールの組合せである。
【0044】
電気器具断熱用の硬質フォームを生成するのに適したポリオール混合物の具体的な例として、10〜50重量%の本発明のポリエステルと、10〜60重量%の、官能価が3〜8であり平均ヒドロキシル数が約200〜約850である少なくとも1種のアミン開始ポリオールと、10〜45重量%の、ソルビトールまたはスクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールであって、ポリオールまたはポリオールブレンドは、官能価が5〜8でありヒドロキシル当量が200〜850であるポリエーテルポリオールと、最大20重量%の、ヒドロキシル官能価が2.0〜3.0でありヒドロキシル当量が30〜500である別のポリオールとの混合物が挙げられる。
【0045】
記載されたポリオール混合物は、個別に成分ポリオールを製造し、次いでそれらを一緒にブレンドすることによって調製することができる。あるいは、ポリエステルを含まないポリオール混合物は、個別の開始剤化合物の混合物を形成し、次いで開始剤混合物をアルコキシル化してポリオール混合物を直接に形成することによっても調製することができる。こうした手法の組合せも使用することができる。
【0046】
硬質フォーム用途では、ポリエステルポリオールと共に使用されるポリオールは、一般に、ポリオキシプロピレンに基づいている、すなわち、70重量%以上のポリオキシプロピレン単位を含む。
【0047】
ポリウレタン生成物を生成するのに適切なポリイソシアネートとして、芳香族、脂環式および脂肪族イソシアネートが挙げられる。かかるイソシアネートは、当技術分野で周知である。適切な芳香族イソシアネートの例として、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’−、2,4’および2,2’−異性体、それらのブレンドおよびポリマーおよびモノマーMDIブレンド、トルエン−2,4−および2,6−ジイソシアネート(TDI)、m−およびp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニル−メタン−4,4’−ジイソシアネートおよびジフェニルエーテルジイソシアネート、ならびに2,4,6−トリイソシアナトトルエンおよび2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルが挙げられる。
【0048】
トルエンジアミン混合物のホスゲン化によって得られる粗製トルエンジイソシアネートや粗製メチレンジフェニルアミンのホスゲン化によって得られる粗製ジフェニルメタンジイソシアネートなどの粗製ポリイソシアネートもまた、本発明の実施で使用することができる。一実施形態では、TDI/MDIブレンドが使用される。
【0049】
脂肪族ポリイソシアネートの例として、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−および/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(シス−またはトランス−いずれかの異性体を含めて)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキサンイソシアネート)(H
12MDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、上述の芳香族イソシアネートの飽和類似体、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
ビウレット、尿素、カルボジイミド、アロホネートおよび/またはイソシアヌレート群を含む前述のポリイソシアネート群のうちの任意のものの誘導体もまた使用することができる。こうした誘導体は、増加したイソシアネート官能価を有する場合が多く、架橋度がより大きい生成物が望まれる場合に好んで使用される。
【0051】
硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート材料を生成する場合、ポリイソシアネートは、一般に、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、そのポリマーもしくは誘導体、またはその混合物である。好ましい一実施形態では、イソシアネート末端プレポリマーは、4,4’−MDIまたは4,4’−異性体の相当部分を含む他のMDIブレンドまたは上述のように改変されたMDIを用いて調製される。好ましくは、MDIは、45〜95重量%の4,4’−異性体を含む。
【0052】
イソシアネート成分は、過剰のイソシアネートをポリオールまたは本発明のポリエステルを含めてのポリエステルと反応させることによって形成されるイソシアネート末端プレポリマーの形態であってもよい。
【0053】
本発明のポリエステルは、過剰のポリエステルをイソシアネートと反応させることによって形成されるヒドロキシル末端プレポリマーを生成するために使用することができる。
【0054】
ポリイソシアネートは、80〜600のイソシアネート指数をもたらすのに十分な量で使用される。イソシアネート指数は、ポリイソシアネート成分によって提供される反応性イソシアネート基数をポリウレタン形成組成物中のイソシアネート反応性基数(水などのイソシアネート反応性発泡剤によって含まれるものを含めての)で除して100を乗じて算出される。水は、イソシアネート指数を計算する目的では分子あたり2個のイソシアネート反応性基を有するものとみなされる。好ましいイソシアネート指数は90〜400である。硬質フォーム用途では、イソシアネート指数は、一般に、100〜150である。ポリウレタン−ポリイソシアヌレート生成物では、イソシアネート指数は、一般に、150を超え最大800になる。
【0055】
ポリウレタン生成物を生成するための配合物中で1種または複数の鎖延長剤を使用することも可能である。鎖延長剤が存在すると、生成ポリマーの望ましい物理特性が提供される。鎖延長剤は、ポリオール成分とブレンドしてもよく、またポリウレタンポリマーの形成中に別個の流れとして存在してもよい。鎖延長剤は、分子あたりのイソシアネート反応性基が2個であり、イソシアネート反応性基あたりの当量が400未満、好ましくは、300未満、特に31〜125ダルトンである材料である。架橋剤を本発明のポリウレタンポリマーを生成するための配合物中に含ませることもできる。「架橋剤」は、分子あたりのイソシアネート反応性基が3個以上であり、イソシアネート反応性基あたりの当量が400未満である材料である。架橋剤は、好ましくは、分子あたり3〜8個、特に3〜4個のヒドロキシル、第一級アミン基または第二級アミン基を含み、当量が30〜約200、特に50〜125である。
【0056】
本発明のポリエステルポリオールは、多様な発泡剤と一緒に使用することができる。ポリウレタン形成組成物で使用される発泡剤は、少なくとも1種の物理的発泡剤を含み、その物理的発泡剤は、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテルもしくはフッ素置換ジアルキルエーテル、またはそれらの2つ以上の混合物である。こうした種類の発泡剤として、プロパン、イソペンタン、n−ペンタン、n−ブタン、イソブタン、イソブテン、シクロペンタン、ジメチルエーテル、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)および1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)が挙げられる。炭化水素およびヒドロフルオロカーボン発泡剤が好ましい。本発明のポリエステルは、ペンタンやブタンのさまざまな異性体などの炭化水素発泡剤と良好な相溶性を示す。さらなる実施形態では、使用される炭化水素発泡剤は、シクロペンタンである。物理的発泡剤に加えて配合物中に水をさらに含ませることが一般に好ましい。
【0057】
発泡剤(複数可)は、好ましくは、配合物が硬化して成型密度が16〜160kg/m
3、好ましくは、16〜64kg/m
3、特に、20〜48kg/m
3であるフォームを形成するのに十分な量で使用される。こうした密度を実現するために、炭化水素またはヒドロフルオロカーボン発泡剤は、好都合には、ポリオール(複数可)100重量部あたり、約10〜約40、好ましくは、約12〜約35重量部の範囲の量で使用される。水はイソシアネート基と反応して二酸化炭素を生成し、この二酸化炭素が膨張ガスとして作用する。水は、適切には、ポリオール(複数可)100重量部あたり、0.5〜3.5、好ましくは、1.0〜3.0重量部の範囲内の量で使用される。
【0058】
ポリウレタン形成組成物は、通常、ポリオール(複数可)および/または水とポリイソシアネートを反応させるための少なくとも1種の触媒を含む。適切なウレタン形成触媒として、双方が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,390,645号およびWO02/079340に記載の触媒が挙げられる。代表的な触媒として、第三級アミンおよびホスフィン化合物、多様な金属のキレート、強酸の酸性金属塩、強塩基、多様な金属のアルコラートおよびフェノラート、有機酸の多様な金属塩、4価のスズ、3価および5価のAs、SbおよびBiの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニルが挙げられる。
【0059】
第三級アミン触媒が一般に好ましい。第三級アミン触媒の中には、ジメチルベンジルアミン(Rhine Chemie製のDesmorapid(登録商標)DBなどの)、1,8−ジアザ(5,4,0)ウンデカン−7(Air Products製のPolycat(登録商標)SA−1などの)、ペンタメチルジエチレントリアミン(Air Products製のPolycat(登録商標)5などの)、ジメチルシクロヘキシルアミン(Air Products製のPolycat(登録商標)8などの)、トリエチレンジアミン(Air Products製のDabco(登録商標)33LVなどの)、ジメチルエチルアミン、n−エチルモルホリン、N−エチルN,N−ジメチルアミンやN−セチルN,N−ジメチルアミンなどのN−アルキルジメチルアミン化合物、N−エチルモルホリンやN−ココモルホリンなどのN−アルキルモルホリン化合物などがある。有用である他の第三級アミン触媒として、商品名Dabco(登録商標)NE1060、Dabco(登録商標)NE1070、Dabco(登録商標)NE500、Dabco(登録商標)TMR−2、Dabco(登録商標)TMR30、Polycat(登録商標)1058、Polycat(登録商標)11、Polycat 15、Polycat(登録商標)33、Polycat(登録商標)41およびDabco(登録商標)MD45でAir Productsから販売されているもの、ならびに商品名ZR50およびZR70でHuntsmanから販売されているものが挙げられる。加えて、WO01/58976Aに記載のものを含めてのある種のアミン開始ポリオールも触媒材料として本発明において使用することができる。前述の2つ以上の混合物を使用することもできる。
【0060】
触媒は、触媒として十分な量で使用される。好ましい第三級アミン触媒では、適量の触媒は、ポリオール(複数可)100重量部あたり、約1〜約4部、特に、約1.5〜約3部の第三級アミン触媒(複数可)である。
【0061】
ポリウレタン形成組成物はまた、好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤を含み、その界面活性剤は、ガスが発生して泡を形成し、フォームを膨張させる時に組成物の小胞を安定させるのに役立つ。適切な界面活性剤の例として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、オレイン酸ジエタノールアミン、ステアリン酸ジエタノールアミン、リシノール酸ジエタノールアミンなどの脂肪酸のアルカリ金属塩およびアミン塩;ドデシルベンゼンスルホン酸やジナフチルメタンジスルホン酸などのスルホン酸のアルカリ金属塩およびアミン塩;リシノール酸;シロキサン−オキサルキレンポリマーまたはコポリマーおよび他のオルガノポリシロキサン;オキシエチル化アルキルフェノール(The Dow Chemical Company製のTergitol NP9およびTriton X100などの);The Dow Chemical Company製のTergitol 15−S−9などのオキシエチル化脂肪族アルコール;パラフィン油;ヒマシ油;リシノール酸エステル;トルコ赤油;落花生油;パラフィン;脂肪族アルコール;ポリオキシアルキレンおよびフルオロアルカン側鎖基を含むジメチルポリシロキサンおよびオリゴマー性アクリレートが挙げられる。こうした界面活性剤は、一般に、ポリオール100重量部に対して0.01〜6重量部の量で使用される。
【0062】
オルガノシリコーン界面活性剤は、一般に、好ましい種類である。Tegostab(登録商標)名でGoldschmidtから販売されているもの(Tegostab B−8462、B8427、B8433、およびB−8404界面活性剤などの)、Niax(登録商標)名でOSi Specialtiesから販売されているもの(Niax(登録商標)L6900およびL6988界面活性剤などの)、およびDC−193、DC−198、DC−5000、DC−5043およびDC−5098界面活性剤などのAir Products and Chemicalsから市販されている多様な界面活性剤製品を含めての多様なこうしたオルガノシリコーン界面活性剤が市販されている。
【0063】
前述の成分に加えて、ポリウレタン形成組成物は、充填剤、着色剤、悪臭防止剤、難燃剤、殺生物剤、酸化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、粘度調整剤などの多様な補助成分を含むことができる。
【0064】
適切な難燃剤の例として、リン化合物、ハロゲン含有化合物およびメラミンが挙げられる。
【0065】
充填剤および顔料の例として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン、リサイクルされた硬質ポリウレタンフォームおよびカーボンブラックが挙げられる。
【0066】
UV安定剤の例として、ヒドロキシベンゾトリアゾール、亜鉛ジブチルチオカルバメート、2,6−ジ−tert−ブチルカテコール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒンダードアミンおよびホスフィットが挙げられる。
【0067】
充填剤を除いて、前述の添加剤は、一般に、少量で使用される。それぞれが、ポリウレタン配合物の全重量の0.01%〜3%を占めることができる。充填剤は、ポリウレタン配合物の全重量の50%もの量で使用することができる。
【0068】
ポリウレタン形成組成物は、ポリオール(複数可)とイソシアネート(複数可)が反応し、発泡剤がガスを発生し、組成物が膨張し、硬化する条件下で、多様な成分を一緒にすることによって調製される。ポリイソシアネートを除くすべての成分(またはその任意の部分組合せ)は、所望なら、予備ブレンドし、配合されたポリオール組成物にすることができ、次いで、フォームを調製する段階でこの配合されたポリオール組成物をポリイソシアネートと混合する。成分は、所望なら、予熱することができるが、この予熱は通常必要ではなく、成分は、ほぼ室温(約22℃)で一緒にして反応を実施させることができる。組成物に熱を加えて硬化を促進することは通常必要ではないが、所望であれば実施することもできる。
【0069】
本発明は、いわゆる「現場注入」用途で特に有用であり、この「現場注入」では、ポリウレタン形成組成物は、ある空洞部内に計量分配され、その空洞部内で発泡してその空洞部を満たし、アセンブリに構造および/または断熱特性を提供する。「現場注入」という名称は、フォームが、一つの段階で創製されその後別個の製造段階で必要な場所に組み込まれるのではなくて、必要な場所で創製されるという事実を指すものである。現場注入工程は、通常、断熱フォームを収容する壁面を備える冷蔵庫、フリーザーおよびクーラーおよび類似の製品などの電気器具製品を作成するのに使用される。ポリウレタン形成組成物中の高官能価ポリエステルポリオールに加えてアミン開始ポリオールが存在すると、流動性が良好で、脱型時間が短い配合物がもたらされる傾向にあるが、同時にk因子が低いフォームがもたらされる。
【0070】
冷蔵庫、フリーザーおよびクーラーなどの電気器具の壁面は、最も好都合には、空洞部が外殻とライナーとの間に形成されるように外殻と内部ライナーを最初に組み立てることによって本発明に従って断熱される。この空洞部は、断熱すべき空間、ならびに生成するフォームの寸法および形状を画定する。通常、外殻とライナーは、フォーム配合物を導入する前に、溶接、溶融接合または何らかの接着剤の使用(またはこれらのいくつかの組み合せ)によるなどの何らかの方法によって接合される。大抵の場合、外殻とライナーは、ジグまたは他の器具を使用して正しい相対位置に支持または保持することができる。空洞部への一つまたは複数の入口が設けられ、その入口からフォーム配合物を導入することができる。通常、空洞部がフォーム配合物で満たされフォーム配合物が膨張する際に空洞部内の空気が逃げることができるように、一つまたは複数の出口が設けられる。
【0071】
外殻とライナー用の構造材料は、それがフォーム配合物の硬化反応および膨張反応の条件に耐えることができるならば、特に重要ではない。大抵の場合、構造材料は、最終生成物で望ましい特定の性能特性に関して選択される。鋼鉄などの金属が、通常、外殻として使用されるが、フリーザーや冷蔵庫などの比較的大型の電気器具の場合特にそうである。ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂または高耐衝撃性ポリスチレンなどのプラスチックが、比較的小型の電気器具(クーラーなどの)または軽量が重要である電気器具でよりしばしば使用される。ライナーは、金属であってもよいが、丁度記載したようにプラスチックの方がより普通である。
【0072】
次いで、フォーム配合物が空洞部内に導入される。フォーム配合物の多様な成分は、一緒に混合され、混合物は、空洞部に速やかに導入され、成分は反応し膨張する。ポリオール(複数可)を水および発泡剤(およびしばしば触媒および/または界面活性剤も)と予備混合して配合ポリオールを生成することが普通である。配合ポリオールは、フォームを調製する時まで貯蔵することができ、調製時にポリイソシアネートと混合され、空洞部内に導入される。通常は、成分を空洞部内に導入する前に成分を加熱する必要はなく、通常は、空洞部内で配合物を加熱して硬化を促進する必要もない。但し、所望であれば、これらの工程の一方または双方を実施することもできる。外殻とライナーは、一部の場合、ヒートシンクとして働く場合があり、反応するフォーム配合物から熱を除去することができる。必要ならば、外殻および/またはライナーは、いくらか加熱して(最大50℃までおよびより普通には35〜40℃までなど)このヒートシンク効果を低減してもよく、また硬化を促進してもよい。
【0073】
フォーム配合物が膨張した後に生成フォームが、空洞部のフォームが所望される部分を満たすのに十分なフォーム配合物が導入される。最も普通には、本質的に空洞部全体がフォームで満たされる。空洞部を満たすのに最小限必要な量より多くフォーム配合物を導入してフォーム密度をわずかだけ増加させることによって空洞部をわずかに「過剰充填」することが一般に好ましい。過剰充填することによって、特に脱型後の期間においてフォームのより良好な寸法安定性などの利点がもたらされる。一般には、空洞部は、4〜20重量%だけ過剰充填される。真空補助注入を使用する場合、過剰充填は最大40重量%になってもよい。大抵の電気器具用途のための最終フォーム密度は、好ましくは、28〜40kg/m
3の範囲である。
【0074】
フォーム配合物が膨張し、十分な寸法安定性が得られるまで硬化した後に、生成アセンブリは、外殻およびライナーを正しい相対位置に保持するのに使用されるジグまたは他の支持体から生成アセンブリを取り外すことによって「脱型」することができる。脱型時間の短さは電気器具産業にとって重要である。その理由は、脱型時間が短いほど、所与の製造装置1個で単位時間に作成される部材量をより多くすることが可能になるからである。アセンブリラインは、可動式または静置式いずれかの治具を備えることもできる。本発明のポリエステルポリオールは、10分未満の脱型時間を望む場合に特に好適である。ポリエステルポリオールはまた、7分未満、さらにはわずかに6分未満の脱型時間を達成するのにも使用することができる。
【0075】
所望なら、電気器具を生成する工程は、例えば、国際公開第2007/058793号およびWO2010/044361に記載の真空補助注入(VAI)方法と連携して実施することもできる。この方法では、反応混合物は、減圧下にある閉じた金型空洞部内に注入される。VAI方法では、フォーム形成組成物が金型に装入される前または直後に、金型圧は、300〜950mbar(30〜95kPa)、好ましくは、400〜900mbar(40〜90kPa)、さらにより好ましくは、500〜850mbar(50〜85kPa)まで低減される。さらには、充填係数(成型フォームの密度をその自由上昇密度で除した比)は1.03〜1.9とすべきである。
【0076】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されるものであり、その範囲を限定する意図ではない。別段の指示のない限り、部数およびパーセンテージはすべて重量である。
【0077】
実施例で使用される原料の説明は以下の通りである。
VORANOL CP 450は、分子量が約450であるグリセリン開始ポリオキシプロピレンポリオールである。
VORANOL CP 260は、分子量が約260であるグリセリン開始ポリオキシプロピレンポリオールである。
VORANOL(商標)RN482ポリオールは、分子量が約700であるソルビトール開始ポリオキシプロピレンポリオールである。VORANOLはThe Dow Chemical Companyの商標である。
ポリオール1は、分子量が約1050であるグリセリン開始ポリオキシプロピレンポリオールである。
ポリオール2は、分子量が約510であるオルトトルエンジアミン開始ポリオキシプロピレンポリオールである。
VORANOL 640ポリオールは、分子量が約350であるエチレンジアミン開始ポリオキシプロピレンポリオールである。
DABCO TMR−30は、Air Productsから市販されている遅延作用ゲル化触媒である。(DABCOはAir Products Corporationの商標である。)
NIAX L−6900は、Momentiveから市販されているシリコーン界面活性剤である。(NIAXはMomentive Performance Materials Inc.の商標である。)
POLYCAT 5は、Air Productsから市販されている発泡触媒である。(POLYCATはAir Products Corporationの商標である。)
Stepanpol PS 3152は、Stepan Companyから入手でき、ヒドロキシル値が290〜325であり官能価が2であるジエチレングリコール−無水フタル酸系ポリエステルポリオールである。
Stepanpol PS 2352は、Stepan Companyから入手でき、ヒドロキシル値が235である無水フタル酸系ポリエステルポリオールである。
参照用ポリエステルは、ヒドロキシル値が315であり25℃での粘度が600cPであるテレフタル酸系ポリエステルポリオールである。
ポリエステル#1は、ヒドロキシル値が235であり、25℃での粘度が6,000cPであり、官能価が3.0であるテレフタル酸系ポリエステルポリオールである。
ポリエステル#2は、ヒドロキシル値が235であり、25℃での粘度が14,000cPであり、官能価が2.9であるテレフタル酸系ポリエステルポリオールである。
ポリエステル#3は、ヒドロキシル値が315であり、25℃での粘度が14,000cPであり、官能価が2.9であるテレフタル酸系ポリエステルポリオールである。
PAPI 27イソシアネートは、平均官能価が2.7であり、分子量が340である、MDIを含むポリメチルポリフェニルイソシアネートである。
【0078】
参照用ポリエステルの生成。原料、すなわち、ジエチレングリコール(25.8重量%)、ポリエチレングリコール200(42.2重量%)、およびテレフタル酸(32重量%)2000グラムを、窒素入口管、空気撹拌器、温度計および凝縮器を備えた3000mlガラスフラスコに装入する。加熱し、フラスコ内容物を230〜235℃まで上昇させる。温度180℃でチタンアセチルアセトネート触媒(Du Pont製のTyzor AA−105)を装入し(50ppm)、窒素流を少し流す。混合物を230〜235℃で8時間保持する。この時点のポリエステルポリオールは、2mgKOH/g未満の酸数を有する。フラスコ内容物を大気圧条件下で室温まで冷却する。
【0079】
ポリエステル#1の生成。原料、すなわち、ジエチレングリコール(15.3重量%)、VORANOL CP450ポリオール(59.7重量%)およびテレフタル酸(25重量%)2000グラムを参照用ポリエステルで記載した装置に装入する。ポリエステルを生成するための方法は、参照用ポリエステルの生成で示したのと同様である。
【0080】
ポリエステル#2の生成。原料、すなわち、ジエチレングリコール(12重量%)、VORANOL CP260ポリオール(29.8重量%)、ポリエチレングリコールPEG200(23.2重量%)およびテレフタル酸(35重量%)2000グラムを参照用ポリエステルで記載した装置に装入する。ポリエステルを生成するための方法は、参照用ポリエステルの生成で示したのと同様である。
【0081】
ポリエステル#3の生成。原料、すなわち、ジエチレングリコール(24.8重量%)、VORANOL CP450ポリオール(40.2重量%)およびテレフタル酸(35重量%)2000グラムを参照用ポリエステルで記載した装置に装入する。ポリエステルを生成するための方法は、参照用ポリエステルの生成で示したのと同様である。
【実施例】
【0082】
実施例1〜3
上述のポリエステルポリオールを使用して冷蔵キャビネット用のポリウレタンフォームを調製した。ポリオール配合物を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
参照用配合物の特性およびポリエステル1〜3の特性をポリオール配合物の安定性と一緒に表に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
ポリエステルポリオール#1、#2および#3は、室温で液体であり、管理可能な粘度を有し、保存可能期間(安定性)が長期である。ポリオールブレンドで使用される場合、やはり、表2で示すように安定なポリオール配合物をもたらした。
【0087】
フォームを高圧機械Hi−Tech Eco−RIMを使用して生成する。ポリオール配合物とPAPI27の双方を高圧衝撃ミキサーで混合する前に70±2Fまで予熱する。反応混合物を125Fまで予熱されたアルミニウム金型(Brett金型200×20×5cm)に計量分配する。注入後3分で金型を開放することによって脱型膨張を10%過剰充填で測定する。次いで、金型蓋の最大膨張を記録する。k因子および圧縮強度のための試料を切断前に終夜にわたり後硬化させる。一旦切断したら、フォーム試料を4時間以内に試験した。圧縮強度をASTM D1621に従って測定し、k因子をASTM C518に従って測定した。機械による試験によって得られた結果を表3に示す。
【0088】
【表3】
【0089】
表3に示すように、TPA系のポリエステルはすべて、脱型膨張における改善をもたらすが、プロポキシル化グリセリンなしで製造されたポリエステルは、ポリオール配合物において圧縮強度がより低く、安定性が不十分であった。プロポキシル化グリセリンを含むグレードは、無水フタル酸ポリオールと比較して脱型膨張における改善を保持し、圧縮強度を犠牲にすることもなかった。こうしたポリエステルはまた、炭化水素発泡剤と完全に相溶性である配合物をもたらした。
【0090】
本発明の他の実施形態は、本明細書を考察することまたは本明細書に開示の本発明を実施することにより当業者には明白であろう。本明細書および実施例は例示的であるのみと考えるべきであり、本発明の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって示されることを意図するものである。
また、本発明は、以下の態様の発明を含む
[1]
少なくとも
A)80モル%以上のテレフタル酸を含む芳香族成分と、
B)名目官能価が2を超え4以下であり、分子量が250〜1000であり、ポリオキシプロピレン含量がポリオールの少なくとも70重量%である少なくとも1種のポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250である、B以外の少なくとも1種のグリコールと
の反応生成物を含み、A、BおよびCが反応生成物中に、重量%基準で20〜60重量%のA)、15〜70重量%のB)および10〜50重量%のC)が存在するポリエステルポリオール。
[2]
芳香族含量が85モル%以上のテレフタル酸を含む、[1]に記載のポリエステルポリオール。
[3]
芳香族含量が95モル%以上のテレフタル酸を含む、[2]に記載のポリエステルポリオール。
[4]
ポリオールの官能価が2.4〜3である、[1]から[3]のいずれか一項に記載のポリエステルポリオール。
[5]
ポリエーテルポリオールB)の分子量が800未満である、[4]に記載のポリエステルポリオール。
[6]
グリコールC)の官能価が2〜3である、[5]に記載のポリエステルポリオール。
[7]
二官能価グリコールが次式
【化2】
(式中、Rが水素、または炭素原子1〜4個の低級アルキルであり、nが分子量250以下になるように選択される)
によって表される、[6]に記載のポリエステルポリオール。
[8]
グリコールC)が二官能価グリコールと三官能価グリコールの混合物である、[7]に記載のポリエステルポリオール。
[9]
三官能価グリコールがグリセロール、トリメチロールプロパンまたはその組合せである、[8]に記載のポリエステルポリオール。
[10]
i)少なくとも
A)80モル%以上のテレフタル酸を含む芳香族成分と、
B)名目官能価が2を超え4以下であり、分子量が250〜1000であり、ポリオキシプロピレン含量がポリオールの少なくとも70重量%である少なくとも1種のポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250であるB)以外の少なくとも1種のグリコールと
の反応生成物を含み、A、BおよびCが反応生成物中に、重量%基準で20〜60重量%のA)、15〜70重量%のB)および10〜50重量%のC)が存在する10〜90%のポリエステルポリオールと、
ii)官能価が2〜8であり、分子量が100〜10,000である10〜90重量%の、i)以外のポリオールまたはポリオールブレンドと
を含むポリオール混合物。
[11]
少なくとも
10〜50重量%の[1]に記載のポリエステルと、
10〜60%の、官能価が3〜8であり、平均ヒドロキシル数が約200〜約850である少なくとも1種のアミン開始ポリオールと、
10〜45重量%の、ソルビトールまたはスクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールであって、ポリオールまたはポリオールブレンドの官能価が5〜8であり、ヒドロキシル当量が200〜850であるポリエーテルポリオールと、
最大20重量%の、ヒドロキシル官能価が2.0〜3.0であり、ヒドロキシル当量が30〜500である別のポリオールと
を含むポリオール混合物。
[12]
a)少なくとも
1)[1]に記載のポリエステル、または該ポリエステルと少なくとも1種の他のポリオールとの混合物であって、但し少なくとも10重量%のポリエステルを含む混合物と、
2)ポリイソシアネートと、
3)炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテル、またはフッ素置換ジアルキルエーテル物理的発泡剤のうちの少なくとも1種と
を含む反応性混合物を形成するステップと、
b)反応性混合物が膨張し、硬化して硬質ポリウレタンフォームを形成するような条件に反応性混合物を曝露するステップと
を含む、硬質ポリウレタンフォームを調製するための方法。