【文献】
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【文献】
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【文献】
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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給電装置と、該給電装置から給電される蓄電装置を搭載した車両とを、給電に用いる給電線及び接地線、並びに前記蓄電装置の給電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線にて接続する給電システムにおいて、
前記車両は、
前記制御信号と異なる通信信号を送受信する通信部と、
前記制御用線及び接地線に対し、前記通信信号の重畳分離を行う車両側重畳分離部と
を備え、
該車両側重畳分離部は、前記制御用線及び接地線の少なくとも一方に接続する一次コイル、及び該一次コイルに電磁的に結合し、前記通信部に接続する二次コイルを有する電磁誘導式の信号変換器を備え、
前記一次コイル及び二次コイルの巻き数比は、M:N(N>M)であり、
前記給電装置は、
前記制御用線及び接地線を介した通信に対し、前記通信信号の重畳分離を行う給電装置側重畳分離部を備え、
前記通信信号の通信に関する系は、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導キャパシタンス成分による漏話の影響が、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導インダクタンス成分による漏話の影響よりも大きいという特性を有すること
を特徴とする給電システム。
給電装置と、該給電装置から給電される蓄電装置を搭載した車両とを、給電に用いる給電線及び接地線、並びに前記蓄電装置の給電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線にて接続する給電システムにおいて、
前記車両は、
前記制御信号と異なる通信信号を送受信する通信部と、
前記制御用線及び接地線に対し、前記通信信号の重畳分離を行う車両側重畳分離部と
を備え、
該車両側重畳分離部は、前記制御用線及び接地線の少なくとも一方に接続する一次コイル、及び該一次コイルに電磁的に結合し、前記通信部に接続する二次コイルを有する電磁誘導式の信号変換器を備え、
前記一次コイル及び二次コイルの巻き数比は、N:M(N>M)であり、
前記給電装置は、
前記制御用線及び接地線を介した通信に対し、前記通信信号の重畳分離を行う給電装置側重畳分離部を備え、
前記通信信号の通信に関する系は、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導キャパシタンス成分による漏話の影響が、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導インダクタンス成分による漏話の影響よりも小さいという特性を有すること
を特徴とする給電システム。
車両に搭載された蓄電装置への給電に要する給電線及び接地線、並びに前記蓄電装置の給電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線を、車外のケーブルと接続するための接続手段を備える接続コネクタにおいて、
前記制御用線及び接地線に対し、前記制御信号と異なる通信信号の重畳分離を行う重畳分離部を備え、
該重畳分離部は、前記制御用線及び接地線の少なくとも一方に接続する一次コイル、及び該一次コイルに電磁的に結合し、前記通信信号を送受信する通信部に接続する二次コイルを有する電磁誘導式の信号変換器を備え、
前記一次コイル及び二次コイルの巻き数比は、M:N(N>M)であり、
前記通信信号の通信に関する系は、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導キャパシタンス成分による漏話の影響が、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導インダクタンス成分による漏話の影響よりも大きいという特性を有すること
を特徴とする接続コネクタ。
車両に搭載された蓄電装置への給電に要する給電線及び接地線、並びに前記蓄電装置の給電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線を、車外のケーブルと接続するための接続手段を備える接続コネクタにおいて、
前記制御用線及び接地線に対し、前記制御信号と異なる通信信号の重畳分離を行う重畳分離部を備え、
該重畳分離部は、前記制御用線及び接地線の少なくとも一方に接続する一次コイル、及び該一次コイルに電磁的に結合し、前記通信信号を送受信する通信部に接続する二次コイルを有する電磁誘導式の信号変換器を備え、
前記一次コイル及び二次コイルの巻き数比は、N:M(N>M)であり、
前記通信信号の通信に関する系は、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導キャパシタンス成分による漏話の影響が、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導インダクタンス成分による漏話の影響よりも小さいという特性を有すること
を特徴とする接続コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の通信システムの実装に際して、給電に要する充電ケーブルは、給電線、接地線及び制御用線を内包する構成となる。そして、充電ケーブルの長さは10mに達する場合もある。このため制御用線に対して2〜30MHzの通信信号を数Vppの電圧で重畳すると、コントロールパイロット信号に重畳している通信信号が、給電線にクロストーク(漏話)するという問題がある。このようなクロストークは、給電等の事象に悪影響を与えることは言うまでもなく、また、FCC、VCCI、CEマークの貼付等の規定に必要な認証試験に係る基準を満たさない場合には、製品の出荷が制限される場合があるという問題がある。
【0006】
クロストークを抑制する方法としては、例えば、制御用線に重畳する通信信号の電力のレベルを抑制する方法が挙げられる。ただし、通信信号の電力のレベルを抑制すると、車両に搭載されている様々な電子機器に起因する雑音の影響が相対的に大きくなるため、S/N比(信号対雑音比)が悪化することになり、通信性能が劣化するという問題に繋がる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、通信信号の電力の出力レベルを過剰に抑制することなく、通信信号の電圧のレベル又は電流のレベルを抑制することにより、クロストークの発生を抑制することが可能な給電システム及び接続コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る給電システムは、給電装置と、該給電装置から給電される蓄電装置を搭載した車両とを、給電に用いる給電線及び接地線、並びに前記蓄電装置の給電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線にて接続する給電システムにおいて、前記車両は、前記制御信号と異なる通信信号を送受信する通信部と、前記制御用線及び接地線に対し、前記通信信号の重畳分離を行う車両側重畳分離部とを備え、該車両側重畳分離部は、前記制御用線及び接地線の少なくとも一方に接続する一次コイル、及び該一次コイルに電磁的に結合し、前記通信部に接続する二次コイルを有する電磁誘導式の信号変換器を備え、前記一次コイル及び二次コイルの巻き数比は、M:N(N>M)であり、前記給電装置は、前記制御用線及び接地線を介した通信に対し、前記通信信号の重畳分離を行う給電装置側重畳分離部を備え
、前記通信信号の通信に関する系は、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導キャパシタンス成分による漏話の影響が、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導インダクタンス成分による漏話の影響よりも大きいという特性を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る給電システムは、給電装置と、該給電装置から給電される蓄電装置を搭載した車両とを、給電に用いる給電線及び接地線、並びに前記蓄電装置の給電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線にて接続する給電システムにおいて、前記車両は、前記制御信号と異なる通信信号を送受信する通信部と、前記制御用線及び接地線に対し、前記通信信号の重畳分離を行う車両側重畳分離部とを備え、該車両側重畳分離部は、前記制御用線及び接地線の少なくとも一方に接続する一次コイル、及び該一次コイルに電磁的に結合し、前記通信部に接続する二次コイルを有する電磁誘導式の信号変換器を備え、前記一次コイル及び二次コイルの巻き数比は、N:M(N>M)であり、前記給電装置は、前記制御用線及び接地線を介した通信に対し、前記通信信号の重畳分離を行う給電装置側重畳分離部を備え
、前記通信信号の通信に関する系は、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導キャパシタンス成分による漏話の影響が、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導インダクタンス成分による漏話の影響よりも小さいという特性を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る給電システムは、前記給電装置は、前記通信信号を送受信する給電装置側通信部を更に備え、前記給電装置側重畳分離部は、前記制御用線及び接地線と少なくとも一方に接続する一次コイル、及び該一次コイルに電磁的に結合し、前記給電装置側通信部に接続する二次コイルを有する電磁誘導式の信号変換器を備え、前記給電装置側重畳分離部が備える一次コイル及び二次コイルの巻き数比は、前記車両側重畳分離部が備える一次コイル及び二次コイルの巻き数比と略同一であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る給電システムは、前記一次コイルは、前記制御用線若しくは接地線中又は両方に介装されることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る給電システムは、前記一次コイルは、前記制御用線及び接地線夫々から分岐した2本の支線に接続されることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る接続コネクタは、車両に搭載された蓄電装置への給電に要する給電線及び接地線、並びに前記蓄電装置の給電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線を、車外のケーブルと接続するための接続手段を備える接続コネクタにおいて、前記制御用線及び接地線に対し、前記制御信号と異なる通信信号の重畳分離を行う重畳分離部を備え、該重畳分離部は、前記制御用線及び接地線の少なくとも一方に接続する一次コイル、及び該一次コイルに電磁的に結合し、前記通信信号を送受信する通信部に接続する二次コイルを有する電磁誘導式の信号変換器を備え、前記一次コイル及び二次コイルの巻き数比は、M:N(N>M)であ
り、前記通信信号の通信に関する系は、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導キャパシタンス成分による漏話の影響が、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導インダクタンス成分による漏話の影響よりも大きいという特性を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る接続コネクタは、車両に搭載された蓄電装置への給電に要する給電線及び接地線、並びに前記蓄電装置の給電制御に用いる制御信号を伝送する制御用線を、車外のケーブルと接続するための接続手段を備える接続コネクタにおいて、前記制御用線及び接地線に対し、前記制御信号と異なる通信信号の重畳分離を行う重畳分離部を備え、該重畳分離部は、前記制御用線及び接地線の少なくとも一方に接続する一次コイル、及び該一次コイルに電磁的に結合し、前記通信信号を送受信する通信部に接続する二次コイルを有する電磁誘導式の信号変換器を備え、前記一次コイル及び二次コイルの巻き数比は、N:M(N>M)であ
り、前記通信信号の通信に関する系は、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導キャパシタンス成分による漏話の影響が、前記制御用線及び接地線と前記給電線との間の誘導インダクタンス成分による漏話の影響よりも小さいという特性を有することを特徴とする。
【0017】
本発明では、一次コイル及び二次コイルの巻き数比を適宜設計することにより、通信信号の電力のレベルを過剰に抑制することなく、通信に関する系の特性に応じて通信信号の電圧のレベル又は電流のレベルを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る給電システム及び接続コネクタは、一次コイル及び二次コイルの巻き数比を適宜設計することにより、通信に関する系の特性に応じて通信信号の電圧レベル又は電流レベルを抑制することができる。従って、S/N比を悪化させることなく、クロストークの発生を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。そして、クロストークの発生を抑制することにより、給電等の事象に与える悪影響を抑制し、また、製品出荷等に関する各種認証試験に係る基準を満たす優良な製品を生産することが可能である等、優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0021】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る給電システムの構成例を示す説明図である。
図1は、本発明の給電システムを、電気自動車又はプラグインハイブリッド車等の車両1が備えるバッテリ(蓄電装置)10に対し、充電スタンド等の給電装置2から給電する際の給電制御に適用する例を示している。
【0022】
車両1及び給電装置2の間は、充電ケーブル3により接続することが可能である。充電ケーブル3は、電力供給線として用いられる2本の給電線30、31、充電制御に用いるコントロールパイロット信号等の制御信号を伝送する制御用線32、及び接地用の導線である接地線33を内包している。充電ケーブル3の一端は、給電装置2側に接続されており、他端側に設けられたプラグを車両1側に接続部として配設されている接続コネクタ4に接続することができる。充電ケーブル3の他端を接続コネクタ4に接続することにより、充電ケーブル3内の給電線30、31、制御用線32及び接地線33が、接続コネクタ4内に設けられた接続端子30a、31a、32a、33aと結合し、
図1に例示する回路構成となる。
【0023】
給電線30、31は、交流電圧が印加されるAC線である。制御用線32は、コントロールパイロット信号等の制御信号を送受信する信号線であり、送受信されるコントロールパイロット信号に基づいて充電制御が行われる。さらに、本発明に係る給電システムでは、充電管理、又は課金管理等の管理を行うための情報、その他各種情報を、制御信号と異なる通信信号として、制御用線32及び接地線33の2本の導線を用いて伝送する。即ち、本発明の給電システムは、制御用線32及び接地線33の2本のケーブルを介して、通信される制御信号(コントロールパイロット信号)に、通信信号を重畳し、通信を行うものである。
【0024】
給電装置2は、交流電力を供給する電力供給部20と、充電制御に係る通信を行う充電制御部21と、通信信号の重畳及び分離を行う重畳分離部22と、通信信号の送受信を行う通信部23とを備えている。
【0025】
電力供給部20には、給電線30、31の一端及び接地線33が接続されている。充電制御部21には、制御用線32の一端及び接地線33が接続されている。なお、給電線30、31及び接地線33は、電力供給部20から他の装置又は配線に接続される。給電装置2内の配線は、給電装置2外部の充電ケーブル3に内包された給電線30、31、制御用線32及び接地線33と接続端子30b、31b、32b及び33bを介して接続された延長線として機能する内部導線ということになるが、以降の説明では、便宜上、内部導線として配設された延長線部分も含めて、給電線30、31、制御用線32及び接地線33として説明する。
【0026】
充電制御部21は、例えば、充電制御に関する国際規格に準拠した出力側の回路であり、コントロールパイロット信号等の制御信号を送受信することにより、接続確認、又は通電開始等の様々な状態における充電制御を行う。充電制御部21内には、制御用線32及び接地線33間を接続するキャパシタ210、制御信号を発振する発振回路等の各種素子及び回路、その他、電力供給部20及びバッテリ10の状態の検出及び発信すべき制御信号の決定に用いるマイコン及びバッファ等の図示しない様々な回路が配設されている。
【0027】
重畳分離部22は、制御用線32上で充電制御部21及び接続端子32bの間となる位置に配設されている。重畳分離部22は、カップリングトランス(電磁誘導式の信号変換器)を構成する一次コイル22a、二次コイル22b及び磁性体コア22cを備えており、カップリングトランスの一次コイル22aが、制御用線32中に介装された状態で設けられている。カップリングトランスの二次コイル22bは、通信部23に接続されている。なお、ここでは、一次コイル22aが、制御用線32中に介装された状態を例示するが、本発明はこれに限らず、一次コイル22aが、接地線33中に、又は制御用線32及び接地線33の双方に介装されるようにしても良い。
【0028】
重畳分離部22は、制御用線32を介して、コントロールパイロット信号等の制御信号の通信に、各種通信信号を重畳し、また、重畳された各種通信信号を分離する。重畳分離部22が、通信部23から出力される各種通信信号を重畳し、また、分離した各種通信信号を通信部23に入力することで、通信部23の通信が行われる。
【0029】
車両1は、バッテリ10及び接続コネクタ4の他、バッテリ10に対する充電を行う充電部11と、充電制御に係る通信を行う充電制御部12と、通信信号の送受信を行う通信部13とを備えている。
【0030】
車両1には、充電ケーブル3の他端が接続されており、従って、充電ケーブル3に内包された給電線30、31の他端、制御用線32の他端及び接地線33の他端が車両1の内部配線に接続されている。給電線30、31の他端は、車両1内の内部に配設されたAC線を介して充電部11に接続されており、充電部11によりバッテリ10に対する充電が行われる。制御用線32の他端は、車両1内の内部配線として配設された延長線を介して充電制御部12に接続されている。また、接地線33の他端は、車両1内の内部配線として配設された延長線を介して充電部11及びバッテリ10並びに充電制御部12に接続されている。なお、給電線30、31に接続されるAC線、制御用線32に接続される延長線及び接地線33に接続される延長線の先端は、接続コネクタ4内に設けられた挿通孔内に挿通されている。そして、接続コネクタ4に充電ケーブル3を接続することにより、充電ケーブル3内の給電線30、31、制御用線32及び接地線33が接続コネクタ4内部の配線と接続される。なお、以降では、便宜上、AC線、内部配線をも含めて、給電線30、31、制御用線32及び接地線33として説明する。
【0031】
充電制御部12は、例えば、充電制御に関する国際規格に準拠した入力側の回路であり、コントロールパイロット信号等の制御信号を送受信することにより、接続確認、又は通電開始等の様々な状態における充電制御を行う。充電制御部12内には、制御用線32及び接地線33間を接続するキャパシタ120等の各種素子、その他、バッテリ10及び充電部11の状態の検出及び制御信号に基づく処理に用いるマイコン及びバッファ等の図示しない様々な回路が配設されている。なお、
図1に示す回路構成はあくまでも一例であり、キャパシタ120を接続コネクタ4内に設ける等、適宜設計することが可能である。
【0032】
接続コネクタ4は、通信信号の重畳分離を行う重畳分離部40を備え、重畳分離部40内には制御用線32が挿通されている。また、重畳分離部40は、カップリングトランス(電磁誘導式の信号変換器)として、制御用線32中に介装された一次コイル40aと、通信部13に接続する二次コイル40bと、磁性体コア40cとを備えている。磁性体コア40cは、環状又は棒状等の形状をなし、一次コイル40a及び二次コイル40bにて巻回されている。そして、重畳分離部40は、制御用線32を介して、制御信号の通信に、通信信号を重畳し、また、重畳された通信信号を分離する。なお、ここでは、一次コイル40aが、制御用線32中に介装された状態を例示するが、本発明はこれに限らず、一次コイル40aが、接地線33中に、又は制御用線32及び接地線33の双方に介装されるようにしても良い。このようにして、接続コネクタ4内の重畳分離部40が、通信部13から出力される各種通信信号を重畳し、また、分離した各種通信信号を通信部13に入力することで、通信部13の通信が行われる。即ち、制御信号の伝送に際し、通信信号を重畳及び分離する通信を実現し、充電量管理、又は課金管理等の管理を行うための情報を通信信号として送受信することが可能となる。
【0033】
給電装置2及び車両1を充電ケーブル3に内包された給電線30、31、制御用線32及び接地線33で接続することにより、給電線30、31による通電経路と、制御用線32による制御信号の伝送経路とが確保され、また接地が行われる。給電装置2及び車両1が制御用線32及び接地線33で接続された状態においては、制御用線32、接地線33、キャパシタ210、給電装置2の一次コイル22a、接続コネクタ4内の一次コイル40a、及びキャパシタ120によって閉じられた電流ループ回路が構成される。そして、このループ内にカップリングトランスとして配置された給電装置2内の重畳分離部22及び接続コネクタ4内の重畳分離部40により、通信信号の重畳及び分離を行うことができ、給電装置2及び車両1間で通信を行うことができる。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態1に係る給電システムの構成例を示す模式図である。
図2は、
図1に示した給電システムにおいて、制御用線32及び接地線33に対して通信信号を重畳分離する通信に関し、給電装置2から通信信号を送信し、車両1で受信する場合の構成例を更に示したものである。
【0035】
給電装置2側で送信処理を行う通信部23は、
図2に示すように、通信信号を発信する発信器230及び抵抗231を用いた等価回路として示すことができる。また、車両1側で受信処理を行う通信部13は、
図2に示すように、抵抗130を用いた等価回路として示すことができる。
【0036】
また、車両1側の重畳分離部40が備える一次コイル40a及び二次コイル40bの巻き数は夫々N1 及びN2 であり、給電装置2側の重畳分離部22が備える一次コイル22a及び二次コイル22bの巻き数は夫々N3 及びN4 である。
【0037】
図2に示すように、給電線30、31、制御用線32及び接地線33は、充電ケーブル3に内包されているため、給電線30、31と、通信信号が重畳される制御用線32及び接地線33とは近接している。このため、制御用線32及び接地線33を媒体とした通信信号等の信号の伝送が、給電線30、31に対してクロストークとして影響を与える可能性がある。
【0038】
図3A及び
図3Bは、静電結合によるクロストークの例を示す説明図である。
図3Aは、2本の通信線間で発生する静電結合によるクロストークを模式的に示しており、
図3Bは、
図3Aの等価回路を示している。信号を伝送する2本の通信線が近接する場合、当該通信線は誘導キャパシタンスがCs のキャパシタにて結合されているとみなすことができる。さらに、発信される信号の周波数がf、信号源電圧がVi、そして通信線と接地位との間の負荷インピーダンスがRI とすると、静電結合によるクロストーク電圧VnC は、下記の式1として示すことができる。
【0039】
VnC =2πf・Cs ・RI ・Vi …式1
【0040】
本発明の給電システムでは、制御用線32及び接地線33を媒体とした通信信号等の信号の伝送が、給電線30、31に対してクロストークするので、
図3A及び
図3Bに示すモデルより複雑になるが、実質的に
図3A及び
図3Bのモデルに近似することができる。従って、
図2に示した本発明の実施の形態1に係る給電システムにおいても、静電結合によるクロストーク電圧VnC を下記の式2として示すことができる。
【0041】
VnC =2πf・Cs ・RI ・Vi …式2
但し、f :発信器230から発信される通信信号の周波数
Cs :制御用線32及び接地線33と給電線30、31との間の誘導キャパシタンス
RI :制御用線32及び接地線33と給電線30、31との間の近端側の負荷インピーダンス
Vi :発信器230から発信される通信信号の信号源電圧
【0042】
図4A及び
図4Bは、電磁結合によるクロストークの例を示す説明図である。
図4Aは、2本の通信線間で発生する電磁結合によるクロストークを模式的に示しており、
図4Bは、
図4Aの等価回路を示している。信号を伝送する2本の通信線が近接する場合、当該通信線は誘導インダクタンスがLm のコイルを有するとみなすことができる。さらに、発信される信号の周波数がf、信号源電流がIn 、そして通信線と接地位との間の負荷インピーダンスがRI とすると、電磁結合によるクロストーク電圧VnL は、下記の式3として示すことができる。
【0043】
VnL =2πf・Lm ・RI ・In …式3
【0044】
本発明の給電システムでは、制御用線32及び接地線33を媒体とした通信信号等の信号の伝送が、給電線30、31に対してクロストークするので、
図4A及び
図4Bに示すモデルより複雑になるが、実質的に
図4A及び
図4Bのモデルに近似することができる。従って、
図2に示した本発明の実施の形態1に係る給電システムにおいても、電磁結合によるクロストーク電圧VnL を下記の式4として示すことができる。
【0045】
VnL =2πf・Lm ・RI ・In …式4
但し、f :発信器230から発信される通信信号の周波数
Lm :制御用線32及び接地線33と給電線30、31との間の誘導インダクタンス
RI :制御用線32及び接地線33と給電線30、31との間の近端側の負荷インピーダンス
In :発信器230から発信される通信信号の信号源電流
【0046】
実際の給電システムにおいては、静電結合によるクロストーク及び電磁結合によるクロストークの双方が発生する可能性がある。なお、静電結合によるクロストーク電圧VnC 及び電磁結合によるクロストーク電圧VnL の合算値であるクロストーク電圧Vnは、疑似電源網回路(LISN:Line Impedance Stabilization Network)を用いて測定することができる。疑似電源網回路とは、CEマーク等の規約に関する試験実施時において、伝導性エミッションのデータの取得等の処理を行うための装置であり、クロストーク電圧Vnの測定等の機能を有している。
【0047】
本発明の給電システムにおいては、静電結合によるクロストーク電圧VnC 及び電磁結合によるクロストーク電圧VnL の関係として示すことができる通信に関する系の特性に応じて、車両1側の一次コイル40a及び二次コイル40bの巻き数比(N1 :N2 )と、給電装置2側の一次コイル22a及び二次コイル22bの巻き数比(N3 :N4 )とを設計する。
【0048】
具体的には、VnC >VnL の場合に、一次コイル40aの巻き数N1 より、二次コイル40bの巻き数N2 の方が多く、また、一次コイル22aの巻き数N3 より、二次コイル22bの巻き数N4 の方が多くなるように、N1 :N2 及びN3 :N4 を設計する。即ち、VnC >VnL の場合、一次コイル40a(22a)及び二次コイル40b(22b)の巻き数比が、1:N(N>1)となるように、N1 :N2 (N3 :N4 )を設計する。なお、ここでは、1:N(N>1)と表現するが、一次コイル40a(22a)側の巻き数が、二次コイル40b(22b)側の巻き数より少なければ良いので、M:N(N>M)と一般化することができる。
【0049】
巻き数比が、1:N(N>1)となることにより、充電ケーブル3内での信号電圧レベルが降圧するので、静電結合によるクロストーク電圧VnC が高い系でのクロストークを抑制することができる。例えば、巻き数比が、1:10、信号原電圧Vi が、5Vppの場合、充電ケーブル3上の信号電圧を、500mVppにまで抑制することが可能となる。このように、送信電力に対して送信電圧を抑制することができるので、S/N比(信号対雑音比)を悪化させることなく、クロストークを抑制することが可能となる。
【0050】
なお、車両1側と給電装置2側との巻き数比は、略同一であることが良好な通信品質を維持するために好ましいが、給電装置2側の一次コイル22a及び二次コイル22bの巻き数比(N3 :N4 )は、1:1であってもよい。
【0051】
VnC <VnL の場合は、巻き数比を逆にすることにより、同様の効果が得られる。具体的には、VnC <VnL の場合に、一次コイル40aの巻き数N1 より、二次コイル40bの巻き数N2 の方が少なく、また、一次コイル22aの巻き数N3 より、二次コイル22bの巻き数N4 の方が少なくなるように、N1 :N2 及びN3 :N4 を設計する。即ち、VnC <VnL の場合、一次コイル40a(22a)及び二次コイル40b(22b)の巻き数比が、N:1(N>1)となるように、N1 :N2 (N3 :N4 )を設計する。なお、ここでは、N:1(N>1)と表現するが、一次コイル40a(22a)側の巻き数が、二次コイル40b(22b)側の巻き数より多ければ良いので、N:M(N>M)と一般化することができる。
【0052】
巻き数比が、N:1(N>1)となることにより、充電ケーブル3内での信号電圧レベルが昇圧するので、電磁結合によるクロストーク電圧VnL が高い系でのクロストークを抑制することができる。このように、送信電力に対して送信電流を抑制することができるので、S/N比(信号対雑音比)を悪化させることなく、クロストークを抑制することが可能となる。
【0053】
この場合においても、車両1側と給電装置2側との巻き数比は、略同一であることが良好な通信品質を維持するために好ましいが、給電装置2側の一次コイル22a及び二次コイル22bの巻き数比(N3 :N4 )は、1:1であってもよい。
【0054】
VnC =VnL の場合は、一次コイル40aの巻き数N1 と二次コイル40bの巻き数N2 とが等しく、また、一次コイル22aの巻き数N3 と二次コイル22bの巻き数N4 とが等しくなるように、N1 :N2 及びN3 :N4 を設計する。即ち、VnC =VnL の場合、一次コイル40a(22a)及び二次コイル40b(22b)の巻き数比が1:1となるように、N1 :N2 (N3 :N4 )を設計する。
【0055】
以上のようにして本発明の実施の形態1に係る給電システムを実現することができる。
【0056】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1において、制御用線又は接地線中に重畳分離部の一次コイルを介装するのではなく、制御用線及び接地線に分岐部及び支線を設け、支線に重畳分離部の一次コイルを接続する形態である。なお、以降の説明において、実施の形態1と同様の構成については実施の形態1と同様の符号を付し、実施の形態1を参照するものとし、その説明を省略する。
【0057】
図5は、本発明の実施の形態2に係る給電システムの構成例を示す説明図である。給電装置2が備える充電制御部21は、制御用線32及び接地線33の一端が接続されている。制御用線32及び接地線33の他端は、接続端子32b、33bを介して充電ケーブル3に繋がっている。
【0058】
制御用線32及び接地線33には、充電制御部21から接続端子32b、33bまでの間で分岐する支線の一端が夫々接続されており、2本の支線の他端は、重畳分離部22に接続されている。重畳分離部22では、2本の支線の他端に対し、コンデンサ22d、22eの一端側の端子が接続されている。コンデンサ22d、22eの他端側の端子には、カップリングトランスを構成する一次コイル22aが接続されている。そして、カップリングトランスの二次コイル22bは、通信部23に接続されている。
【0059】
重畳分離部22は、支線を介して、制御信号の通信に各種通信信号を重畳し、また、重畳された各種通信信号を分離する。重畳分離部22が、通信部23から出力される各種通信信号を重畳し、また、分離した各種通信信号を通信部23に入力することで、通信部23の通信が行われる。
【0060】
車両1が備える接続コネクタ4には、制御用線32及び接地線33が挿通されており、制御用線32及び接地線33には、接続コネクタ4内で分岐する支線の一端が夫々接続されており、2本の支線の他端は、重畳分離部40に接続されている。重畳分離部40では、2本の支線の他端に対し、コンデンサ40d、40eの一端側の端子が接続されている。コンデンサ40d、40eの他端側の端子には、カップリングトランスを構成する一次コイル40aが接続されている。そして、カップリングトランスの二次コイル40bは、通信部13に接続されている。
【0061】
重畳分離部40は、支線を介して、制御信号の通信に各種通信信号を重畳し、また、重畳された各種通信信号を分離する。重畳分離部40が、通信部13から出力される通信信号を重畳し、また、分離した各種通信信号を通信部13に入力することで、通信部13の通信が行われる。即ち、制御信号の伝送に際し、通信信号を重畳及び分離する通信を実現し、充電量管理、又は課金管理等の管理を行うための情報を通信信号として送受信することが可能となる。
【0062】
給電装置2及び車両1を充電ケーブル3に内包された給電線30、31、制御用線32及び接地線33で接続することにより、給電線30、31による通電経路と、制御用線32による制御信号の伝送経路とが確保され、また接地が行われる。給電装置2及び車両1が制御用線32及び接地線33で接続された状態においては、制御用線32、接地線33、給電装置2の重畳分離部22内の2本の支線、コンデンサ22d、22e、及び一次コイル22a、並びに接続コネクタ4の重畳分離部40内の2本の支線、コンデンサ40d、40e、及び一次コイル40aによって閉じられた電流ループ回路が構成される。そして、このループ内にカップリングトランスとして配置された給電装置2内の重畳分離部22及び接続コネクタ4内の重畳分離部40により、通信信号の重畳及び分離を行うことができ、給電装置2及び車両1間で通信を行うことができる。
【0063】
実施の形態2においても、通信に関する系と、一次コイル40a(22a)及び二次コイル40b(22b)の巻き数比との関係は、実施の形態1と同様である。
【0064】
具体的には、VnC >VnL の場合に、一次コイル40aの巻き数N1 より、二次コイル40bの巻き数N2 の方が多く、また、一次コイル22aの巻き数N3 より、二次コイル22bの巻き数N4 の方が多くなるように、N1 :N2 及びN3 :N4 を設定する。即ち、VnC >VnL の場合、一次コイル40a(22a)及び二次コイル40b(22b)の巻き数比が、1:N(N>1)となるように、N1 :N2 (N3 :N4 )を設計する。なお、ここでは、1:N(N>1)と表現するが、一次コイル40a(22a)側の巻き数が、二次コイル40b(22b)側の巻き数より少なければ良いので、M:N(N>M)と一般化することができる。
【0065】
また、VnC <VnL の場合は、巻き数比を逆にすることにより、同様の効果が得られる。具体的には、VnC <VnL の場合に、一次コイル40aの巻き数N1 より、二次コイル40bの巻き数N2 の方が少なく、また、一次コイル22aの巻き数N3 より、二次コイル22bの巻き数N4 の方が少なくなるように、N1 :N2 及びN3 :N4 を設計する。即ち、VnC <VnL の場合、一次コイル40a(22a)及び二次コイル40b(22b)の巻き数比が、N:1(N>1)となるように、N1 :N2 (N3 :N4 )を設計する。なお、ここでは、
N:1(N>1)と表現するが、一次コイル40a(22a)側の巻き数が、二次コイル40b(22b)側の巻き数より多ければ良いので、N:M(N>M)と一般化することができる。
【0066】
また、VnC =VnL の場合は、一次コイル40aの巻き数N1 と二次コイル40bの巻き数N2 とが等しく、また、一次コイル22aの巻き数N3 と二次コイル22bの巻き数N4 とが等しくなるように、N1 :N2 及びN3 :N4 を設計する。即ち、VnC =VnL の場合、一次コイル40a(22a)及び二次コイル40b(22b)の巻き数比が1:1となるように、N1 :N2 (N3 :N4 )を設計する。
【0067】
前記実施の形態1及び2は、本発明の無数に存在する実施例の一部を開示したに過ぎず、通信の系に関する特性に応じて、巻き数比を設定し、昇圧又は降圧する様々な形態に展開することが可能である。
【0068】
例えば、車両の重畳分離
部を接続コネクタ外に設ける等、様々な形態に展開することが可能である。
【0069】
また、巻き数比は必ずしも固定する必要はなく、巻き数比を可変にすることにより、通信ケーブルの特性に応じて適宜設定することが可能となる等、様々な形態に展開することができる。
【0070】
また、充電制御に用いる制御信号の伝送に制御用線32を用い、通信信号の伝送に制御用線32及び接地線33を用いたが、充電制御に用いる制御信号の伝送、及び、通信信号の伝送の一方又は双方に、車両1のボディ、又は、給電装置2の筐体等の導体を用いてもよい。