特許第5876496号(P5876496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876496
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】インク印刷可能な構成物
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20160218BHJP
   B41M 5/50 20060101ALI20160218BHJP
   B41M 5/52 20060101ALI20160218BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20160218BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   B41M5/00 B
   B32B27/28 101
   C08L29/04 B
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-532756(P2013-532756)
(86)(22)【出願日】2010年10月5日
(65)【公表番号】特表2013-541615(P2013-541615A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】US2010051460
(87)【国際公開番号】WO2012047203
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2013年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】ニウ,ボー−ジウン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ハイガン
(72)【発明者】
【氏名】アンダーウッド,リサ,エイ
(72)【発明者】
【氏名】プール,ジョアンナ,ジー
【審査官】 久保田 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−310673(JP,A)
【文献】 特開昭62−197437(JP,A)
【文献】 特開2006−096816(JP,A)
【文献】 特開2006−096370(JP,A)
【文献】 特開昭62−299391(JP,A)
【文献】 特開2000−309160(JP,A)
【文献】 特開2000−280615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00
B32B 27/00− 27/42
B41M 5/50
B41M 5/52
C08L 1/00−101/14
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク受容材料を押し出された形態で含むインク印刷可能な構成物であって、前記インク受容材料が、(i)エチレン残基及びビニルアルコール残基を含むポリマー、並びにビニルアルコール残基を含むポリマーからなる群から選択される第1のポリマー、並びに(ii)エチレン残基、酢酸ビニル残基及び無水マレイン酸残基を含む第2のポリマーの混合物を含み、前記混合物中の第1のポリマーの量が50重量%〜95重量%であり、
ここで、前記第1のポリマーが、エチレン残基及びビニルアルコール残基を含み、前記第1のポリマー中のビニルアルコール残基の量が50%〜99重量%であり、
前記第2のポリマー中の酢酸ビニル残基の量が20%〜30%であり、前記第2のポリマー中の無水マレイン酸残基の量が0.05%〜5%であり、
前記インク印刷可能な構成物が支持体をさらに含み、前記支持体が2つの基材層の間に設けられたスクリムを含み、前記インク受容材料が前記2つの基材層の一方又は両方の表面上に設けられている、
構成物。
【請求項2】
前記支持体の組成が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、及びセルロース、並びにこれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の前記インク印刷可能な構成物。
【請求項3】
前記支持体の構成物が、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの一方又は両方を含む、請求項1に記載の前記インク印刷可能な構成物。
【請求項4】
請求項1に記載のインク印刷可能な構成物を準備する方法であって、
(a)前記2つの基材層を前記スクリムの両側に押し出し、
(b)前記2つの基材層の一方又は両方の表面上に、前記インク受容材料を押し出すことを含む、方法。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載のインク印刷可能な構成物、及び前記インク受容材料上のインクによるデザインを含むディスプレイ。
【請求項6】
(a)第1の側及び第2の側を有する平坦なスクリム、
(b)前記平坦なスクリムの第1の側及び第2の側上に押し出されたポリマーフィルム、並びに
(c)インク受容材料として、前記平坦なスクリムの第1の側及び第2の側の一方又は両方上の前記押し出されたポリマーフィルム上に押し出されたフィルム
を含むインク印刷可能な構成物であって、前記インク受容材料の前記押し出されたフィルムが、(i)エチレン残基及びビニルアルコール残基を含む第1のポリマーと、(ii)エチレン残基、酢酸ビニル残基及び無水マレイン酸残基を含む第2のポリマーとの混合物を含み、前記混合物中の前記第1のポリマーの量が50%〜95重量%であり、
ここで、前記第1のポリマーが、エチレン残基及びビニルアルコール残基を含み、前記第1のポリマー中のビニルアルコール残基の量が50%〜99重量%であり、
前記第2のポリマー中の酢酸ビニル残基の量が20%〜30%であり、前記第2のポリマー中の無水マレイン酸残基の量が0.05%〜5%である、構成物。
【請求項7】
前記押し出されたポリマーフィルムが、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの一方又は両方を含む、請求項6に記載のインク印刷可能な構成物。
【請求項8】
(a)第1のポリマーフィルムを、前記平坦なスクリムの少なくとも第1の側上に押し出し、
(b)第2のポリマーフィルムを、前記平坦なスクリムの前記第2の側に押し出し、
(c)前記インク受容材料を、押し出されたフィルムの形態で、前記第1のポリマーフィルム及び前記第2のポリマーフィルムの一方又は両方上に押し出すことを含み、
前記インク受容材料が、(i)エチレン残基及びビニルアルコール残基を含む第1のポリマー、並びに(ii)エチレン残基、酢酸ビニル残基及び無水マレイン酸残基を含む第2のポリマーの混合物を含み、前記混合物中の第1のポリマーの量が50重量%〜95重量%であり、
ここで、前記第1のポリマーが、エチレン残基及びビニルアルコール残基を含み、前記第1のポリマー中のビニルアルコール残基の量が50%〜99重量%であり、
前記第2のポリマー中の酢酸ビニル残基の量が20%〜30%であり、前記第2のポリマー中の無水マレイン酸残基の量が0.05%〜5%である、
請求項6もしくは7に記載のインク印刷可能な構成物を準備する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連する出願の参照
なし
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
なし
背景技術
本開示は、印刷媒体、及び印刷媒体を準備する方法に関する。
【0002】
インクジェットプリンタは、今や非常に普及し且つ価格も手ごろであり、これにより、比較的高い速度で優れた印刷品質及び印刷耐性を経済上有利に得ることを可能にしている。インクジェットプリンタは、家庭用の印刷、オフィス用の印刷及び商業用の印刷で用いられている。インクジェットプリンタは、多数の異なる媒体上に印刷するために使用される。
【0003】
インクジェット印刷の多くの肯定的な観点故に、インクジェット印刷を、表示若しくはディスプレイ、特に、商業的な表示若しくはディスプレイのために使用される薄い平坦なフィルム上に印刷するために使用することが望ましい。このようなディスプレイのために使用される薄い平坦なフィルムは、多くの異なる構成物を有する。インクジェットプリンタにおいて最も一般に使用されるインクは、水ベース又は溶剤ベースであるが、UV硬化型インクも含む。ディスプレイフィルム用に最も適した材料のいくつかは、インクジェットインクに対してあまり受容性がなく、受容性があったとしても、得られる印刷後の材料は、典型的には、1つ以上の否定的な品質、例えば、ディスプレイ材料に対する低い接着性、低い耐性及び低い画像品質が問題となる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の原理に基づくいくつかの例は、エチレン残滓及びビニルアルコール残滓を含むポリマー、並びにビニルアルコール残滓を含むポリマーからなる群から選択される第1のポリマーと、エチレン残滓、酢酸ビニル残滓及び無水マレイン酸残滓を含む第2のポリマーとの混合物を含む構成物に関する。混合物中の第1のポリマーの量は、約50重量%〜約95重量%である。いくつかの例では、混合物は押出し可能である、つまり、混合物は、溶融後、押出機を使用して安定なフィルムを形成することができる。
【0005】
本明細書に記載の原理に基づくいくつかの例は、インク受容材料を押し出された形で含むインク印刷可能な構成物に関する。インク受容材料は、エチレン残滓及びビニルアルコール残滓を含むポリマー、並びにビニルアルコール残滓を含むポリマーからなる群から選択される第1のポリマーと、エチレン残滓、酢酸ビニル残滓及び無水マレイン酸残滓を含む第2のポリマーとの混合物を含む。混合物中の第1のポリマーの量は、約50重量%〜約95重量%である。上述のように、インク受容材料は、押し出された形態となっており、これは、インク受容材料が、それ自体の三次元形状又は押出しダイ及び冷却ロールにより付与される輪郭形状を有し、インクジェット印刷用途のためのインク受容層としての使用のための形態となっていることを意味する。インク受容材料の表面は、滑らかであってもよいし粗くてもよい(例えばザラザラしている(textured))。
【0006】
本明細書に記載の原理に基づく本願の例のインク受容材料及びインク受容材料を含むインク印刷可能な構成物は、少なくとも全ての次の性質、つまり、良好なディスプレイインクの接着性、良好な耐性(化学的擦過又は引掻きに対する抵抗)及び良好な画像品質を示す。上で使用される「良好」という語は、インク受容材料が、画像品質、化学的擦過抵抗、引掻き抵抗及びインク接着の試験において3より小さい(5までのうち)ランク付けを示すことを意味し、その例は、例示として非限定的に以下に示す。
【0007】
インク印刷可能な構成物は特徴部を有するものであり、当該特徴部は、該特徴部に塗布されたインク、例えば、インク印刷可能な構成物の特徴部上に塗布、例えば印刷されたインクを受容し保持することができるものである。この特徴部は、特徴部に塗布されるインクに対する良好な親和性及び良好な適合性の一方又は両方を有していなくてはならない。この特徴部は、塗布されるインクの比較的迅速な乾燥も可能にする。この目的を達成するインク印刷可能な構成物の特徴部を、本明細書ではインク受容材料と呼ぶ。
【0008】
本明細書に記載の原理によれば、インク受容材料はポリマーの混合物を含む。ポリマーは、直鎖若しくは分枝、又はこれらの組合せであってよい。直鎖ポリマーは、原子の直線的な鎖を含み、分枝ポリマーは、原子の枝分かれした鎖を含む。ポリマー中の異なるモノマー残滓の関係は、例えば、ランダム、交互、周期的、又はブロック、又はそれらの2つ以上の組合せであってよい。
【0009】
「モノマー残滓」という語は、本明細書で用いられる場合には、ポリマーの構造単位又は構成ブロック又は繰り返し単位を指し、モノマーの重合から得られるという点でモノマーから誘導されたものである。例えば、例として非限定的でなく、炭素原子間の二重結合である不飽和部分を含むモノマーは、重合した場合、ポリマー中にモノマー残滓を生ぜしめ、当該モノマー残滓は2つの炭素原子間の単結合を有するものである、つまり、二重結合は重合プロセスの際に飽和となる。モノマー残滓は、モノマー自体ではないが、モノマーから誘導されたものである。
【0010】
各ポリマーは、例えば、約100〜約500,000以上のモノマー残滓、又は約100〜約400,000以上のモノマー残滓、又は約100〜約300,000以上モノマー残滓、又は約100〜約200,000以上のモノマー残滓、又は約100〜約100,000以上のモノマー残滓、又は約500〜約200,000のモノマー残滓、又は約500〜約100,000のモノマー残滓、又は約1,000〜約100,000のモノマー残滓、又は約2,000〜約100,000のモノマー残滓、又は約1,000〜約50,000のモノマー残滓、又は約5,000〜約50,000のモノマー残滓を有する。モノマー残滓の数は、例えば、ポリマー混合物の押出し能力、インク受容材料に塗布するインクの性質、インク受容材料を形成するポリマーの性質、押出しプロセスのためのインク受容材料の物理的特性、及び押し出された形態でのインク受容材料物理的特性の1つ以上に依存する。本明細書に記載の原理による本願の例の性質は、インク受容材料を、例えば、インク受容材料を調製するために使用されるポリマー中のモノマー残滓の重量パーセントを調節することによって、及び混合物中の第1及び第2のポリマーの重量パーセントを調節することによっても、特定のインクに合わせて調整できることである。
【0011】
いくつかの例では、ポリマーの平均分子量(グラム/モル)は、例えば、約1,000〜約1,000、000以上、又は約5,000〜約1,000、000、又は約10,000〜約900,000、又は約100,000〜約900,000、又は約1,000〜約750,000、又は約1,000〜約500,000、又は約10,000〜約500,000、又は約100,000〜約500,000である。
【0012】
少なくとも1つのポリマー(本明細書では任意に第1のポリマーと呼ぶ)は、エチレン残滓及びビニルアルコール残滓を含むポリマー、及びビニルアルコール残滓を含むポリマーからなる群から選択される。「ビニルアルコール残滓」という語は、最終的なポリマー中の残滓の状態を指し、ビニルアルコール残滓を含むポリマーが調製される得る方法とは無関係である。例えば、例として非限定的に、エチレン残滓及びビニルアルコール残滓を含む第1のポリマーは、エチレン及び酢酸ビニルを重合させ、続いてアセテート部分を加水分解して、ビニルアルコール残滓の遊離アルコール部分を生成させることによって調製することができる。
【0013】
第1のポリマー中のビニルアルコール残滓の重量パーセントは、例えば、約50%〜約100%、又は約50%〜約99%、又は約50%〜約95%、又は約50%〜約90%、又は約50%〜約85%、又は約50%〜約80%、又は約50%〜約75%、又は約50%〜約70%、又は約50%〜約65%、又は約50%〜約60%、又は約50%〜約55%、又は約60%〜約100%、又は約60%〜約99%、又は約60%〜約95%、又は約60%〜約90%、又は約60%〜約85%、又は約60%〜約80%、又は約60%〜約75%、又は約60%〜約70%、又は約60%〜約65%、又は約65%〜約100%、又は約65%〜約99%、又は約65%〜約95%、又は約65%〜約90%、又は約65%〜約85%、又は約65%〜約80%、又は約65%〜約75%、又は約65%〜約70%、又は約70%〜約100%、又は約70%〜約99%、又は約70%〜約95%、又は約70%〜約90%、又は約70%〜約85%、又は約70%〜約80%、又は約70%〜約75%、又は約80%〜約100%、又は約80%〜約99%、又は約80%〜約95%、又は約80%〜約90%、又は約80%〜約85%である。上述のように、パーセントは、重量に基づく、つまり、重合されるモノマー混合物中の1つのモノマーの重量とモノマー混合物の全重量とに基づく。ビニルアルコール残滓100%という重量パーセントは、ポリマーがビニルアルコール残滓のみを含むことを、100%未満の重量パーセントは、ポリマーがエチレン残滓も含むことを意味することは明らかである。
【0014】
第1のポリマー中のエチレン残滓の重量パーセントは、例えば、約0%〜約50%、又は約0%〜約40%、又は約0%〜約30%、又は約0%〜約20%、又は約0%〜約15%、又は約0%〜約10%、又は約1%〜約50%、又は約1%〜約40%、又は約1%〜約30%、又は約1%〜約20%、又は約1%〜約15%、又は約1%〜約10%、又は約5%〜約50%、又は約5%〜約40%、又は約5%〜約30%、又は約5%〜約20%、又は約5%〜約15%、又は約5%〜約10%、又は約10%〜約50%、又は約10%〜約40%、又は約10%〜約30%、又は約10%〜約20%、又は約10%〜約15%、又は約20%〜約50%、又は約20%〜約40%、又は約20%〜約30%、又は約30%〜約50%、又は約30%〜約40%、又は約40%〜約50%である。
【0015】
いくつかの例では、第1のポリマー中のビニルアルコール残滓のパーセントの、エチレン残滓のパーセントに対する比は、例えば、約50〜50、又は約60〜約40、又は約65〜約35、又は約70〜約30、又は約75〜約25、又は約80〜約20、又は約85〜約15、又は約90〜約10である。いくつかの例では、第1のポリマー中のビニルアルコール残滓は約50%〜約95%の範囲にあり、これに対応するエチレン残滓の範囲は約50%〜約5%の範囲にある。いくつかの例では、第1のポリマー中のビニルアルコール残滓は約50%〜約90%の範囲にあり、これに対応するエチレン残滓の範囲は約50%〜約10%の範囲にある。いくつかの例では、第1のポリマー中のビニルアルコール残滓は約60%〜約90%の範囲にあり、これに対応するエチレン残滓の範囲は約40%〜約10%の範囲にある。いくつかの例では、第1のポリマー中のビニルアルコール残滓は約50%〜約80%の範囲にあり、これに対応するエチレン残滓の範囲は約50%〜約20%の範囲にある。
【0016】
上述のように、いくつかの例では、本明細書に記載の原理によれば、第1のポリマーは市販されているものであってよい。例として非限定的に、第1のポリマーとして適した市販のポリマーの例は、例えば、SOAROL(登録商標)A4412ポリマー(Noltex,L.L.C.、LaPorte、テキサス州又はSoarus L.L.C.、Arlington Height、イリノイ州)(約56%ビニルアルコール残滓及び約44%エチレン残滓の組成、メルトインデックス数12)、SOARNOL(登録商標)E3808ポリマー(Noltex,L.L.C.又はSoarus L.L.C.)(約62%ビニルアルコール残滓及び約38%エチレン残滓の組成、メルトインデックス数8)、並びにSOARNOL(登録商標)AT4403ポリマー(Noltex,)L.L.C.又はSoarus L.L.C.)(約56%ビニルアルコール残滓及び約44%エチレン残滓の組成、メルトインデックス数3)を含む。上述のように、第1のポリマー中のエチレン残滓及びビニルアルコール残滓の他のパーセントも使用することができる。
【0017】
インク受容材料の少なくとも1つのポリマー(本明細書では任意に第2のポリマーと呼ぶ)は、エチレン残滓、酢酸ビニル残滓及び無水マレイン酸残滓を含む。第2のポリマー中のエチレン残滓の重量パーセントは、例えば、約50%〜約90%、又は約50%〜約80%、又は約50%〜約75%、又は約50%〜約70%、又は約60%〜約90%、又は約60%〜約80%、又は約60%〜約75%、又は約60%〜約70%、又は約65%〜約90%、又は約65%〜約80%、又は約65%〜約75%、又は約65%〜約70%、又は約70%〜約90%、又は約70%〜約85%、又は約70%〜約80%、又は約70%〜約75%である。
【0018】
第2のポリマー中の酢酸ビニル残滓の重量パーセントは、例えば、約10%〜約50%、又は約10%〜約40%、又は約10%〜約35%、又は約10%〜約30%、又は約10%〜約25%、又は約10%〜約20%、又は約10%〜約15%、又は約15%〜約50%、又は約15%〜約40%、又は約15%〜約30%、又は約15%〜約25%、又は約15%〜約20%、又は約20%〜約50%、又は約20%〜約40%、又は約20%〜約30%、又は約20%〜約25%である。
【0019】
第2のポリマー中の無水マレイン酸残滓の重量パーセントは、例えば、約0.01%〜約10%、又は約0.01%〜約5%、又は約0.01%〜約4%、又は約0.01%〜約3%、又は約0.01%〜約2%、又は約0.01%〜約1%、又は約0.05%〜約10%、又は約0.05%〜約5%、又は約0.05%〜約4%、又は約0.05%〜約3%、又は約0.05%〜約2%、又は約0.05%〜約1%、又は約0.1%〜約10%、又は約0.1%〜約5%、又は約0.1%〜約4%、又は約0.1%〜約3%、又は約0.1%〜約2%、又は約0.1%〜約1%、又は約0.5%〜約10%、又は約0.5%〜約5%、又は約0.5%〜約4%、又は約0.5%〜約3%、又は約0.5%〜約2%、又は約0.5%〜約1%、又は約1%〜約10%、又は約1%〜約5%、又は約1%〜約4%、又は約1%〜約3%、又は約1%〜約2%である。
【0020】
一例では、第2のポリマー中のエチレン残滓の量は約70%〜約80%であり、第2のポリマー中の酢酸ビニル残滓の量は約20%〜約30%であり、第2のポリマー中の無水マレイン酸残滓の量は、約0.05%〜約5%である。上述のように、いくつかの例では、第2のポリマーは市販されているものであってよい。例として非限定的に、第2のポリマーとして適した市販のポリマーの一例は、OREVAC−T(登録商標)9304ターポリマー(Arkema Canada,Inc.、Becancour、ケベック州)である。OREVAC−T(登録商標)9304ポリマーの組成は、エチレン残滓が約74.84%、酢酸ビニル残滓が約25.00%、及び無水マレイン酸残滓が約0.16%である。例として非限定的に、第2のポリマーとして適した市販のポリマーの別の例は、BYNEL(登録商標)E418(DuPont、Wilmington、デラウェア)であり、これは、無水マレイン酸修飾されたエチレン酢酸ビニルである。上述のように、第2のポリマー中のエチレン残滓、酢酸ビニル残滓及び無水マレイン酸残滓の他のパーセントを用いることができ、ポリマーは、追加的な異なるモノマー残滓を含んでいてよい。
【0021】
本明細書に記載の原理に基づき実施例において使用されるポリマーは、適切なモノマー又はモノマー残滓前駆体のポリマー合成により得ることができるし、或いはいくつかのポリマーは市場で得ることができる。「モノマー」又は「モノマー単位」という語は、重合してポリマーを形成することができる分子を意味する。モノマー残滓前駆体は、重合後の追加的な処理により所望のモノマー残滓を生ぜしめるモノマーである。例えば、エチレン残滓及びビニルアルコール残滓を含むポリマーは、エチレン及び酢酸ビニルを共重合し、続いて得られたポリマー中のアセテート残滓を加水分解して、ビニルアルコール残滓を有する所望のポリマーを得ることにより調製することができる。この特定の例では、酢酸ビニルがモノマー残滓前駆体である。
【0022】
ポリマーを調製するための手法の例は、例として非限定的に、例えば、乳化又は乳化重合、フリーラジカル重合、バルク重合、遷移金属触媒カップリング、縮合(ステップ成長)重合、リビング重合、リビングラジカル重合、付加(連鎖反応)重合(アニオン性等)、配位重合、開環重合、溶液重合、プラズマ重合、ラジカル重合、原子移動ラジカル重合、及び可逆付加、並びに可逆的付加開裂を含む。
【0023】
インク受容材料を形成するポリマーの混合物は、ポリマーを共に混合することによって得られる物理的な混合物である。混合は、例えば、非限定的に、押出機へと搬送する前に、予乾燥させた個々のポリマーペレットの混合物を混合ホッパ内でブレンドすること、又は予乾燥させた個々のポリマーペレットの混合物を混ぜ合わせて単一のペレットにすることを含む方法により達成することができる。混合の程度は、押出し時の均一な性能及び押し出された製品の均一性の一方又は両方のために提供するのに十分なものでなくてはならない。
【0024】
インク受容材料中の第1のポリマーの重量パーセントは、例えば、約50%〜約95%、又は約50%〜約90%、又は約50%〜約85%、又は約50%〜約80%、又は約50%〜約75%、又は約50%〜約70%、又は約50%〜約65%、又は約50%〜約60%、又は約50%〜約55%、又は約60%〜約95%、又は約60%〜約90%、又は約60%〜約85%、又は約60%〜約80%、又は約60%〜約75%、又は約60%〜約70%、又は約60%〜約65%、又は約65%〜約95%、又は約65%〜約90%、又は約65%〜約85%、又は約65%〜約80%、又は約65%〜約75%、又は約65%〜約70%、又は約70%〜約95%、又は約70%〜約90%、又は約70%〜約85%、又は約70%〜約80%、又は約70%〜約75%、又は約80%〜約95%、又は約80%〜約90%、又は約80%〜約85%である。
【0025】
上述のように、インク受容材料中の第1のポリマー及び第2のポリマーのパーセントは、重量、つまり、第1のポリマーの重量及び合わせられたポリマー(この例では、第1及び第2のポリマー)の全重量に基づく。いくつかの例では、第1のポリマーのパーセントの第2のポリマーのパーセントに対する比は、例えば、約60〜約40、又は約65〜約35、又は約70〜約30、又は約75〜約25、又は約80〜約20、又は約85〜約15、又は約90〜約10である。いくつかの例では、構成物中の第1のポリマーのパーセントは約50%〜約95%の範囲にあり、これに対応する第2のポリマーの範囲は約50%〜約5%である。いくつかの例では、構成物中の第1のポリマーのパーセントは約60%〜約90%の範囲にあり、これに対応する第2のポリマーの範囲は約40%〜約10%である。いくつかの例では、構成物中の第1のポリマーのパーセントは約65%〜約85%の範囲にあり、これに対応する第2のポリマーの範囲は約35%〜約15%である。
【0026】
いくつかの例では、本明細書に記載の原理によれば、本開示によるインク受容材料は、例えば、充填材、顔料、処理助剤、及び性能助剤のような1つ以上の添加剤を含んでいてよい。一例では、添加剤は、押出しプロセス前に、初期の混合物調製の際に又は別個の混合ステップで混合物に添加される。
【0027】
本明細書に記載の原理によるインク印刷可能な構成物のいくつかの例は、インク受容材料と結合する支持体をさらに含む。支持体は、インク印刷可能な構成物がその意図された用途に使用することができるように、インク印刷可能な構成物に対する1つ以上の構造及び完全性、並びにさらなる支持体層に対する追加的な接着性を提供する任意の物質である。インク受容材料は支持体に結合されており、これは、インク受容材料と支持体との関係が、インク受容材料が支持体に対する実質的に脱着不能な接着性を示すものであることを意味する。インク受容材料の1つ以上の層が、支持体と結合していてよい。「実質的に脱着不能な接着性」という語は、平均の剥離力が、Instronの装置(Instron Industrial Products、Grove Cityペンシルバニア州)で測定して、1分当たり50.8mmのクロスヘッド速度で50.8mmワイドストリップ当たり約7ニュートン以上であることを意味する。
【0028】
支持体は、インク印刷可能な構成物内で異なる機能を提供する1つ以上の構成要素を含んでいてよい。この構成要素は、任意の数の形態、例えば層を有していてよい。例として非限定的に、支持体の一部を形成していてよい構成要素の例は、例えば、拘束要素、構造提供要素(基材)、スクリム(織材料及び不織材料)、湿潤バリア、蒸気/空気バリア及び接着促進剤を含む。
【0029】
支持体又は支持体の1つ以上の構成要素は、半透明、透明又は不透明であってよく、その上に印刷画像を有するインク印刷可能な構成物の最終用途に応じて、例えば、白又はグレーのような任意の色であってよい。
【0030】
いくつかの例では、支持体の1つ以上の構成要素は、所定の方式の互いに結合する層の形態となっている。層は、例えば、フィルム、シート、織スクリム及び不織スクリムの形態であってよい。「不織スクリム」という語は、現実には織られていないが、擬似的に織られた層を指す、つまり、不織スクリムは、長い繊維又はフィラメントが、化学的な処理(例えば溶剤処理を含む)、機械的な処理(例えばエンボシングを含む)及び加熱の1つ以上によって互いに接合された結果、織布の性質を有する。
【0031】
いくつかの例では、支持体は、追加的な物理的な完全性及び形態をインク印刷可能な構成物に提供する少なくとも1つの構造提供成分又は基材を有する。基材の性質は、例えば、インク印刷可能な構成物の意図された用途、インク受容材料の性質、設計された引裂き強さ、設計された引張り強さ、設計された表面テクスチャ及び設計された寿命の1つ以上に依存する。支持体の1つ以上の基材は、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ乳酸、及びセルロース、並びに前記の2つ以上の組合せから製造することができる。いくつかの例では、基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリサルフォン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンメチルアクリレート、ポリエチレンメタクリル酸、ポリエチレンエチルアクリレート、ナイロン、ポリビニルピロリドン、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、ポリカーボネート、スチレンアクリロニトリルポリマー、ポリメチルメタクリレート、セルロース類、フルオロプラスチック、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー、ポリエチレンビニルアルコール、及びポリ乳酸、及びコポリマー(2つ以上のモノマー残滓)、並びに前記の2つ以上の組合せから製造されていてよい。
【0032】
基材は、例えば、押し出されたフィルム又は層、織られた層(スクリム)、不織スクリム、又は紙の形態であってよい。いくつかの例では、本願のインク印刷可能な構成物の例の1つ以上の基材は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート、及びポリアミドポリマー、並びに前記の2つ以上の組合せから製造されていてよい。本願のインク印刷可能な構成物の一例では、基材は、PEから製造されている。本願のインク印刷可能な構成物の別の例では、基材は、低密度PE(LDPE)及び高密度PE(HDPE)の一方又は両方から製造されている。いくつかの例では、1つ以上の基材は、LDPE及びHDPEの一方又は両方の織られた層(スクリム)である。
【0033】
基材の厚みは、例えば、基材の物理的な形態(例えば押し出された層、押し出されたフィルム、織られたスクリム、又は不織スクリム)、基材の機能の性質(例えば、堅さ(剛性)、引裂き及び引張り強さ、不透明性、寿命、並びに再使用の可能性を提供するものの1つ以上)、インク受容材料の性質、基材が結合する材料の性質の1つ以上に依存する。いくつかの例では、押し出された層又はスクリムの形態での基材の厚みは、例えば、約10〜約500ミクロン、又は約25〜約500ミクロン、又は約50〜約500ミクロン、又は約100〜約500ミクロン、又は約250〜約500ミクロン、又は約10〜約400ミクロン、又は約10〜約300ミクロン、又は約10〜約200ミクロン、又は約10〜約100ミクロン、又は約50〜約400ミクロン、又は約50〜約300ミクロン、又は約50〜約200ミクロン、又は約50〜約100ミクロンである。
【0034】
いくつかの例では、支持体は、インク受容材料の支持体に対する実質的に着脱不能な接着性を提供する拘束要素を含む。拘束要素の使用は任意であって、結合能力の相対的な度合い並びにインク受容材料と支持体の1つ以上の基材との間の適合性に基づくことを理解されたい。いくつかの例では、拘束要素の性質及び選択の一方又は両方は、例えば、インク受容材料の組成、及びインク受容材料が接合又は結合される支持体の構成要素の組成の1つ以上に依存し得る。いくつかの例では、拘束層の性質及び選択の一方又は両方が、上記要因には依存せず、接着される層の十分な接着性を得ることのみに依存する。いくつかの例では、拘束要素は、拘束層としての押し出されたフィルム又は共押し出されたフィルムであってよい。
【0035】
いくつかの例では、拘束要素は、例えば、様々な基材に接合できる材料、例えば、ポリオレフィン(例えば、エチレンベース、プロピレンベース、ポリエチレン及びポリプロピレンのブレンド)、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチルオキサゾリン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール、及びポリエチレンアクリレートコポリマーである。例として非限定的に、適した拘束要素の構成物の例は、例えば、押出し可能な樹脂、例えば、EVA樹脂、修飾EVA樹脂(酸、アクリレート、無水マレイン酸でそれぞれ又は組み合わされて修飾されたもの)、ポリエチレンイミン、無水物修飾されたポリオレフィン(例えば、無水物修飾されたポリプロピレン、無水物修飾されたポリエチレン、無水物修飾されたエチレン酢酸ビニル、無水物修飾されたエチルメチルアクリレート及び無水物修飾されたエチルアクリル酸)、並びに前記の2つ以上の組合せを含む。
【0036】
拘束要素の厚みは、例えば、インク受容材料の性質、拘束層が結合する支持体の要素の性質、拘束要素の物理的な形態、及び拘束層が結合する支持体の表面粗さの1つ以上に依存する。いくつかの例では、層の形態での拘束要素の厚みは、例えば、約0.5〜約100ミクロン、又は約0.5〜約75ミクロン、又は約0.5〜約50ミクロン、又は約1〜約100ミクロン、又は約1〜約75ミクロン、又は約1〜約50ミクロン、又は約5〜約100ミクロン、又は約5〜約75ミクロン、又は約5〜約50ミクロン、又は約10〜約100ミクロン、又は約10〜約75ミクロン、又は約10〜約50ミクロン、又は約25〜約100ミクロン、又は約25〜約75ミクロン、又は約25〜約50ミクロン、又は約30〜約100ミクロン、又は約30〜約75ミクロン、又は約30〜約50ミクロン、又は約35〜約75ミクロン、又は約35〜約50ミクロンである。
【0037】
インク印刷可能な構成物の一例では、支持体は、2つの基材層の間にスクリムを含み、インク受容材料が、2つの基材層の一方又は両方の表面上に設けられる。インク印刷可能な構成物の一例では、支持体は、基材層及び基材層上に設けられた拘束層を含み、インク受容材料は、拘束層の表面上に設けられている。インク印刷可能な構成物の一例では、支持体は、2つの基材層間のスクリム、並びに2つの基材層の一方又は両方上に設けられている拘束層を含み、インク受容材料は、拘束層の表面上に設けられている。インク印刷可能な構成物の一例では、支持体は、2つの拘束層間のスクリムを含み、インク受容材料が、各拘束層の表面上に設けられている。
【0038】
本明細書に記載の原理に基づくいくつかの例は、第1の側及び第2の側を有する平坦なスクリム、当該平坦なスクリムの第1の側及び第2の側上に押し出されたポリマーフィルム、並びにインク受容材料として、前記平坦なスクリムの第1の側及び第2の側の一方又は両方上に押し出された前記ポリマーフィルム上に押し出されたフィルムを含むインク印刷可能な構成物に関する。インク受容材料の押し出されたフィルムは、エチレン残滓及びビニルアルコール残滓を含む第1のポリマーと、エチレン残滓、酢酸ビニル残滓及び無水マレイン酸残滓を含む第2のポリマーとの混合物を含む。混合物中の第1のポリマーの量は、約50%〜約95%、又は約65%〜約85重量%である。
【0039】
インク印刷可能な構成物の製造
インク印刷可能な構成物は、押出しプロセスによって準備することができる。例えば、いくつかの例では、本明細書に記載の原理に基づき、インク受容層及び支持体の様々な構成要素は、例えば、共押出し、押出しコーティング、ホットメルト押出し、キャスト押出しプロセス、キャスト押出し又はコーティング操作の変形、ラミネーション、インフレーション押出し(blown extrusion)プロセス、フィルム押出し、及びシート押出しによって一緒に形成することができる。押出しシステムは、例として非限定的に、例えば、垂直単軸スクリュー押出機又は水平単軸スクリュー押出機を含んでいてよい。いくつかの例では、インク受容材料は、支持体が押出しプロセスの前又は押出しプロセス時に組み合わせられる押出しプロセスによって支持体上に形成される。したがって、このような押出しプロセス、例えば共押出しは、インク受容層の支持体上への押出しの前に支持体の他の構成要素を組み合わせるために使用することができる。本明細書で用いられる場合には、「押し出す」又は「押出し」又は「押出しプロセス」という語は、材料を、押し出される材料の処理温度又は融解温度と同じ又はそれを上回る所定の温度に加熱し、その後、移動する支持体上に実質的に均一の厚みで堆積させるプロセスを指す。上記のように処理される押出しの押出しステップは、同時に行うことができるし、又は押出しステップの1つ以上を、別の押出しステップとは独立して行うことができる。
【0040】
本開示によるインク印刷可能な構成物は、時間がかかり且つ高価な複数のプロセスステップの必要性を回避する方式で製造される。本願のインク受容材料により追加的なコーティングの必要性が回避されるが、さもなくばラテックスインクのようなインクを使用した場合の画像品質を改善するために必要となり得る。押出し技術の使用により、より低コストの製造プロセスで、且つ得られるインク印刷可能な構成物の全性能を有しなくとも、本願のインク受容材料の被着が可能となる。
【0041】
上述のように、いくつかの例では、本明細書に記載の原理に基づき、例えば、ペレット、ビーズ、フレーク、又は粉体の形態であってよい押し出す材料を融解することを通常伴う押出機及び押出しプロセスを使用して、インク印刷可能な構成物が製造される。押し出される材料の性質に依存して、材料は、押出し液体を含んでいてもよい。そして、融解された材料は、例えば、融解された材料に熱及び力を適用することによって、ダイを通して流入せしめられ、これにより、押し出された形態又は三次元のプロファイル形状、例えば、フィルム又はシートが作り出される。一例では、インク受容材料の押し出された形態が、第1のポリマー及び第2のポリマーの混合物に対して押出しプロセスを行うことによって準備される。上述のように、第1のポリマー及び第2のポリマーの混合物は混ぜ合わせることによって準備することができるし、又は、第1のポリマー及び第2のポリマーの混合物は押出し装置において形成することができる。
【0042】
別の例では、インク印刷可能な構成物は、第1のポリマー及び第2のポリマーの混合物を、例えばポリオレフィン基材のフィルムのような支持体の表面上に共押出しすることによって、又は第1のポリマー及び第2のポリマーの混合物を、支持体の表面上に、拘束層のような別の層と共に共押出しすることによって形成される。特定の押出しプロセスにおいて利用される温度及び押出し速度は、例えば、インク受容材料の性質、基材又は支持体の他の構成要素の性質、及び押出機の性質の1つ以上に依存する。共押出しは、2つの異なるポリマーブレンドを2つの異なる押出機において同時に押し出し、そして、ダイにおいて接触させて互いに接着するプロセスである。
【0043】
上述のように、インク印刷可能な構成物の一例では、支持体は、2つの基材層間のスクリムを含み、インク受容材料は、2つの基材層の一方又は両方の表面に設けられている。上記のインク印刷可能な構成物を準備する方法は、2つの基材層をスクリムの両側に押し出して、その2つの基材層の一方又は両方の表面上にインク受容材料を押し出すことを含む。
【0044】
本明細書に記載の原理によるいくつかの例は、第1の側及び第2の側を有する平坦なスクリム、平坦なスクリムの第1の側及び第2の側上に押し出されたポリマーフィルム、並びに押し出されたポリマーフィルム上のインク受容材料を含むインク印刷可能な構成物を準備する方法に関する。図1を参照すると、一例では、インク印刷可能な構成物を準備する方法は、例として非限定的に、第1のポリマーフィルム42を第1の側及び第2の側を有する平坦なスクリム40の少なくとも第1の側上に押し出し、第2のポリマーフィルム44を平坦なスクリム40の第2の側上に押し出し、インク受容材料46を押し出されたフィルムの形態で、第1のポリマーフィルム42及び第2のポリマーフィルム44の一方又は両方上に(それぞれ平坦なスクリム40の第1の側及び第2の側上に)押し出すことを含む。上述の押出しステップは同時に行うことができるし、又は押出しステップの1つ以上を別の押出しステップとは独立に行うことができる。一例では、インク受容材料46は、エチレン残滓及びビニルアルコール残滓を含む第1のポリマーと、エチレン残滓、酢酸ビニル残滓及び無水マレイン酸残滓から誘導された第2のポリマーとの混合物を含む。混合物中の第1のポリマーの量は、約50重量%〜約95重量%、又は約65重量%〜約85重量%である。
【0045】
本明細書に記載の原理によるいくつかの例は、平坦なスクリム、1つ以上の基材層、及び拘束層を含むインク印刷可能な構成物を準備する方法に関する。第1の基材層は、第1の側及び第2の側を有する平坦なスクリムの少なくとも第1の側に押し出されている。拘束層又は第2の基材層は、平坦なスクリムの第2の側又は第2の基材層の表面上にの一方に押し出されている。インク受容材料は、拘束層の表面及び基材層の表面の一方又は両方上に押し出されている。上記の押出しステップは同時に行うことができるし、又は押出しステップの1つ以上を別の押出しステップとは独立して行うことができる。一例では、インク受容材料は、エチレン残滓及びビニルアルコール残滓を含む第1のポリマーと、エチレン残滓、酢酸ビニル残滓及び無水マレイン酸残滓を含む第2のポリマーとの混合物を含み、混合物中の第1のポリマーの量は、約50重量%〜約95重量%、又は約65重量%〜約85重量%である。
【0046】
インク印刷可能な構成物の例
本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の例について、以下、例示として非限定的に説明する。本開示は、広範な用途を有し、任意の数のインク印刷可能な組成を、本明細書で開示の教示に基づき製造することができる。
【0047】
図2に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Aは、インク受容層12を含む。
【0048】
図3に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の別の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Bは、支持体22の表面22a上に設けられたインク受容層12を含み、当該支持体22は、「n」個の数の層、例えば、1つ以上の基材層、1つ以上のスクリム、1つ以上の拘束層、及び1つ以上の湿潤バリアを含んでいてよい。支持体22の少なくとも1つの層は、基材層又はスクリムである。
【0049】
図4に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の別の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Cは、例えば、1つ以上の基材層、1つ以上のスクリム、1つ以上の拘束層、及び1つ以上の湿潤バリアといった「n」個の数の層を含み得る支持体22の表面22a上に設けられたインク受容層12a、並びに反対側の表面上に設けられたインク受容層12bを含む。支持体22の少なくとも1つの層は、基材層又はスクリムである。
【0050】
図5に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の別の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Dは、基材層14の表面14a上に設けられたインク受容層12を含む。
【0051】
図6に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の別の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Eは、支持体24上に設けられたインク受容層12を含み、当該支持体24は、拘束層16を含み、「n」数の追加的な層26、例えば、1つ以上の追加的な基材層、1つ以上のスクリム、1つ以上の拘束層、及び1つ以上の湿潤バリアを含み得る。支持体24の少なくとも1つの追加的な層は、基材層又はスクリムである。拘束層16は、インク受容層12の、追加的な層26の表面26aに対する接着性を提供する。
【0052】
図7に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の別の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Fは、支持体24上に設けられたインク受容層12を含み、当該支持体24は、拘束層16及び基材層14を含む。拘束層16は、インク受容層12の、基材層14の表面14aに対する接着性を提供する。
【0053】
図8に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の別の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Gは、支持体28上に設けられたインク受容層12を含み、当該支持体28は、拘束層16、スクリム18及び基材層14を含む。拘束層16は、インク受容層12の、スクリム18の表面18aに対する接着性を提供する。
【0054】
図9に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の別の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Hは、支持体30の表面30a上に設けられたインク受容層12を含み、当該支持体は、基材層14、スクリム18及び基材層20を含む。
【0055】
図10に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の別の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Jは、支持体32の表面32a上に設けられたインク受容層12を含み、当該支持体32は、拘束層16、基材層14、スクリム18及び基材層20を含む。拘束層16は、インク受容層12の、基材層14の表面14aに対する接着性を提供する。
【0056】
図11に、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の別の例の概略を巨視的に示す。インク印刷可能な構成物10Kは、支持体34の互いに反対側の両表面上に設けられたインク受容層12を含み、当該支持体34は、拘束層16、スクリム18、及び第2の拘束層16を含む。拘束層は、インク受容層12の、スクリム18の互いに反対側の表面18a及び18bに対する接着性を提供する。
インク印刷可能な構成物の使用
本願のインク印刷可能な構成物の例は、詳細には、インクジェットインク組成物と共に使用されるのに適した印刷媒体として使用することができる。このような組成物は、例えば、ラテックスインクジェットインク及びUV硬化型インクジェットインク、並びにこれらの組合せを含む。本願のインク印刷可能な構成物の例は、例えば、印刷装置の性質に応じて広範な温度で印刷することができる。いくつかの例では、例として非限定的に、本願のインク印刷可能な構成物は、HP DESIGNJET(登録商標)L25500プリンタ(Hewlett Packard、Palo Alto、カリフォルニア州)において、約70℃〜約100℃、又は約70℃〜約130℃、又は約80℃〜約130℃、又は約80℃〜100℃の硬化ゾーン温度範囲で印刷することができる。本願構成物のより低温での硬化により、印刷及び硬化プロセス時の、また印刷された材料として使用する上での本構成物の拡張された性能及びを得ることができる。「ラテックスインクジェットインク」という語は、ポリマーラテックスを含有するインク構成物を指す。「UV硬化型インクジェットインク」という語は、UV硬化型材料を含有するインク構成物を意味する。「インクジェットインク」という語は、インクジェット装置及びインクジェット印刷プロセスの一方又は両方における使用に適したインクを意味する。
【0057】
一例では、インクジェットインクは、所望の色を印刷される対象に付与する1つ以上の着色剤を含む。このような着色剤は、例えば、染料及び顔料を含む。着色剤は、一般に、インクジェットインク中に、所望のコントラスト及び可読性を得るために必要な量で存在していてよい。使用できる顔料は、有機又は無機であってよく、例えば、自己分散性顔料及び非自己分散性顔料を含む。顔料は、任意の色であってよく、非限定的にブラック、ブルー、ブラウン、シアン、グリーン、ホワイト、バイオレット、マゼンタ、レッド、オレンジ及びイエロー、並びにそれらの混合物からのスポットカラーが含まれる。
【0058】
インクジェットインク構成物中に存在していてよい有機顔料の例は、例として非限定的に、ペリレン、フタロシアニン顔料(例えば、フタログリーン、フタロブルー)、シアニン顔料(Cy3、Cy5及びCy7)、ナフタロシアニン顔料、ニトロソ顔料、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、ジアゾ縮合顔料、塩基性染料顔料、アルカリブルー顔料、ブルーレーキ顔料、フロキシン顔料、キナクリドン顔料、アシッド イエロー 1及び3のレーキ顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、カルバゾールジオキサジンバイオレット顔料、アリザリンレーキ顔料、バット顔料、フタロキシアミン顔料、カーマインレーキ顔料、テトラクロロイソインドリノン顔料、ペリノン顔料、チオインジコ顔料、アントラキノン顔料及びキノフタロン顔料、並びに前記の2つ以上の混合物、並びに前記の誘導体を含む。
【0059】
インクジェットインク構成物中に存在していてよい無機顔料は、例えば、金属酸化物(例えば、二酸化チタン、導電性二酸化チタン、酸化鉄(例えば、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化及び透明酸化鉄)、酸化アルミニウム、酸化ケイ素)、カーボンブラック顔料(例えば、ファーネスブラック)、金属硫化物、金属塩化物、並びにこれらの2つ以上の混合物を含む。
【0060】
多くの例では、着色剤は、適切なインクビヒクル中に懸濁、分散又は溶解されている。本明細書で用いられる場合には、「インクビヒクル」は、顔料を含む着色剤をインク受容材料へと運ぶために使用される任意の液体組成物を含むと定義される。広範にわたる液体ビヒクルを使用することができる。いくつかの例では、液体ビヒクルは、例えば、1つ以上の様々な異なる薬剤を含んでいてよく、当該薬剤には、非限定的に、界面活性剤、溶剤及び共溶剤、緩衝剤、殺生物剤、粘度調整剤、金属イオン封鎖剤、安定剤、並びに水が含まれる。
【0061】
本明細書に開示のインク印刷可能な構成物は、インクジェット印刷のために通常使用される任意の適切なインクジェットプリンタを用いて、ディスプレイ品を準備するために使用することができる。適切なプリンタを使用して、インクを、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物の例のインク受容材料に塗布し、印刷された画像を含む所望のディスプレイを作ることができ、インクの塗布後にその画像を乾燥せめる。
【0062】
本明細書に記載の原理によるいくつかの例は、本明細書に記載の原理に基づくインク印刷可能な構成物及びそのインク受容材料上にインク着色されたデザインを含むディスプレイを含む。インク印刷可能な構成物の構成要素の特定の性質及び構成(例えば、第1及び第2のポリマーの性質並びに支持体の性質)は、所望の用途のために選択することができ、その用途は、例として非限定的に、例えば屋内及び屋外の看板、バナー(旗若しくは横断幕)(例えば、屋外のバナー、屋内のバナー、博覧会のバナー及びイベントバナー)、店頭ディスプレイ、ビルラップ広告、ビルボード、ディスプレイ、及び壁画を含む。
【0063】
上記の使用のために、支持体の例は、非限定的に、例えば、樹脂コート紙(又はフォトベース紙)、紙、クリアフィルム、半透明フィルム、スクリムバナー(織られた又は織られていない)、他の種類のバナー、コート紙、布、アート紙(例えば水彩紙)、並びにプラスチックフィルムを含む。上述のように、選択される支持体の構成要素の1つは、多孔質又は非多孔質の表面を有していてよい。一例では、支持体の少なくとも1つの成分は紙である。別の例では、支持体の少なくとも1つの構成要素は、スクリムバナーであり、これは、押し出されたコーティング層を備えたポリマーテープ(例えば、LDPE、HDPE、PVC、及びポリエステル)の織られたコアであって、互いに固定させたものである。このような製品は、PGI Corporation(Ontario、カナダ)、Engineered Coated Products(ブリティッシュ・コロンビア州、カナダ)、Heytex(ドイツ)、Maiweave(Springfield、オハイオ州)、又はInterwrap Inc.(Vancouver、ワシントン州)から入手可能である。
【0064】
上述のように、本明細書に記載の原理に基づくインク受容材料を含むインク印刷可能な構成物は、次の性質、つまりディスプレイインクの良好な接着性、良好な耐性(化学的擦過及び引掻きに対する抵抗)並びに画像品質の少なくとも全てを示す。さらに、本願のインク印刷可能な構成物を使用するディスプレイ品は、例えば、良好な強度及び引裂き抵抗、耐候性及び温度抵抗、耐退色性、溶剤抵抗、並びに引掻き抵抗の1つ以上を示してもよく、したがって、屋外での使用のために十分に適している。本願のインク印刷可能な構成物を使用したディスプレイ品のいくつかの例は、褪色及び鮮明さの損失なしに、厳しい天候条件に耐えることができる。本願のインク印刷可能な構成物を使用したディスプレイ品の例は、軽量であり、リサイクル可能である。
【0065】
定義:
以下に、上で使用したが定義をしていない語及び語句についての定義を示す。
【0066】
「少なくとも」という語は、本明細書で用いられる場合には、特定される事項の数が、記載された数以上であり得ることを意味する。「約」という語は、本明細書で用いられる場合には、記載された数が、プラスマイナス10%違い得ることを意味し、例えば、「約5」は、4.5〜5.5の範囲を意味する。「の間」という語は、2つの数と共に使用する場合、例えば、「約2〜約50の間」とは、記載された両方の数、及び数2〜50の一部も含む。本明細書で用いられる場合には、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が別のものを明確に指示しているのでなければ、複数の参照を含む。いくつかの例では、「a」又は「an」は、本明細書で用いられる場合には、「少なくとも1つの」、又は「1つ以上の」を含む。「第1の」及び「第2の」という指示は、単に、「第1のポリマー」及び「第2のポリマー」のような2つの事項を互いに区別する目的で使用され、例えば、1つの事項の別の事項に対する、又は任意の操作の順序に対する順番又は順序又は重要性の示唆を意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本願において示された図面は、寸法通りではなく、本明細書に記載の原理に基づく特定の例を理解し易くする目的で提供されており、説明のために供されているのであって、添付の特許請求の範囲を限定するために供されているのではない。
図1】本明細書に記載の原理に基づく一例によるインク印刷可能な構成物を準備する方法を示した図である。
図2】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
図3】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
図4】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
図5】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
図6】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
図7】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
図8】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
図9】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
図10】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
図11】本明細書に記載の原理に基づく別の例によるインク印刷可能な構成物の概略を巨視的に図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
部及びパーセントは、別途指示がない限り、重量に基づく。
【0069】
インク印刷可能な構成物の例は、垂直単軸スクリュー押出機を有する押出しシステムを使用して準備した。押出しプロセスは、25.4cm幅押出しダイにより、30.5cm幅艶消し(Matte)又は艶だし(Glossy)仕上げの第1冷却ロールを用いて、177℃〜260℃の温度で行った。
【0070】
例1
SOARNOL(登録商標)A4412ポリマー(Soarus L.L.C.)(エチレン(44%)及びビニルアルコール(56%)のコポリマーであり、メルトインデックス数12)(90グラム(g))と、OREVAC−T(登録商標)9304ポリマー(Arkema)(エチレン(74.84%)、酢酸ビニル(23.5〜26.5%)及び無水マレイン酸(0.16%)のターポリマー)10gとを、ミキシングバッグ中で十分に混合し、その後で押出機に混合物を入れた。混合物をフィルムとして支持体の片側に押出した。支持体は、約76.2ミクロンの厚みを有するスクリムであった。押出し時の温度は190〜260℃で制御した。押し出されたフィルムの厚みは、約50.8〜約76.2ミクロンで制御した。そして、押し出されたフィルムを、HP DESIGNJET(登録商標)L25500を使用して10パス印刷モードで印刷し、90℃で硬化し、24時間維持し、その後、画像品質、化学的擦過抵抗、引掻き抵抗、及びインク接着性の評価を行った。
【0071】
例2
SOARNOL(登録商標)A4412ポリマー80gとOREVAC−T(登録商標)9304ポリマー20gとを使用して、例1と同様の手法で一例を実施した。
【0072】
例3
SOARNOL(登録商標)A4412ポリマー70gと、OREVAC−T(登録商標)9304ポリマー30gとを使用して、例1と同様の手法で一例を実施した。
【0073】
例4
SOARNOL(登録商標)E3808ポリマー(Soarus L.L.C.)(エチレン(38%)及びビニルアルコール(62%)のコポリマー)80gと、OREVAC−T(登録商標)9304ポリマー20gとを使用して、例1と同様の手法で一例を実施した。
【0074】
例5
SOARNOL(登録商標)AT4403ポリマー(Soarus L.L.C.)(エチレン(44%)及びビニルアルコール(56%)のコポリマーであり、メルトインデックス数3)80gと、OREVAC−T(登録商標)9304ポリマー20gとを使用して、例1と同様の手法で一例を実施した。
【0075】
例6
SOARNOL(登録商標)A4412ポリマー80gと、BYNEL(登録商標)E418ポリマー20gとを使用して、例1と同様の手法で一例を実施した。
【0076】
例7
SOARNOL(登録商標)A4412ポリマー100gを使用して、例1と同様の手法で一例を実施した
例8
OREVAC−T(登録商標)9304ポリマー100gを使用して、例1と同様の手法で一例を実施した。
【0077】
例9
SOARNOL(登録商標)A4412を80gと、OREVAC(登録商標)OE825(Arkema)(無水マレイン酸修飾ポリエチレンポリマー)20gとを使用して、例1と同様の手法で一例を実施した。
【0078】
上記例1〜9から得られた押し出されたフィルムを、画像品質、化学的擦過抵抗、引掻き抵抗及びインク接着性について試験した。環境温度は22℃〜27℃の範囲で、相対湿度は45%〜55%の範囲であった。画像品質評価は、1〜5の階級に基づくランク付けスコアによる視覚的なランク付けにより行った。
【0079】
これらの試料の画像品質は、ブリード、コアレッセンス、及び印刷された材料の色の明るさを視覚的に格付けすることにより評価した。試験された試料は、次の基準に基づく視覚的に1〜5の階級で格付けした。1−印刷後試料において、目に見えるインクコアレッセンスがなく、カラー間のブリードがなく、鮮明さの度合いが高い;2−印刷後試料においてわずかにインクコアレッセンス及びカラー間のブリードがあり、中間程度の鮮明さを有する;3−印刷後試料において中間程度のインクコアレッセンス及びカラー間のブリードがあり、中間程度の鮮明さを有する;4−印刷後試料におけるインクコアレッセンス及びカラー間のブリードは良好なものでなく、鮮明さも良好でない;5−印刷後試料において深刻なインクコアレッセンス及びカラー間のブリードがあり、鮮明さの度合いは低い。化学的な擦過抵抗試験は、Taber Linear Abrasion Tester Model 5750(Taber Industries、North Tonawanda、ニューヨーク州)を使用して行った。印刷後試料を、Taber Linear Abrasion Testerの下で、平坦で且つ滑らかな表面に置いた。脱イオン水又はWINDEX(登録商標)クリーナー5mlを、印刷後試料上の試験用色エリアに塗布した。テスターにおいて、荷重力を250gに、サイクル数を5に設定した。この試験を行い、試験された試料を、次の基準に基づき1〜5の階級で視覚的に格付けした。1−布地へのインクの移りがなく、印刷後試料に対する損傷がない;2−布地へのインクの移りが少量あり、印刷後試料への損傷がない;3−布地へのインクの移りがいくらかあり、印刷後試料への損傷がない;4−印刷後試料において白色部分が透けて見える;5−印刷後試料への深刻な損傷がある。
【0080】
上記例から得た試料に、コイン引掻き方法を用いて、引掻き抵抗試験を行った。コイン軸を、試験試料に対して一定の圧力で適用し、軸を一定の速度で動かした。試験された試料は、次の基準に基づき視覚的に1〜5の階級で格付けした。1−印刷後試料における視覚的な変化がない;2−印刷後試料において光沢の視覚的な変化があった;3−印刷後試料において少量のインクの除去があった;4−印刷後試料においていくらかのインクの除去があった;5−印刷後試料において深刻なインクの除去があった。
【0081】
インク接着性試験は次のように行った。上記例により得られた試料に、「テープ剥離」試験を利用して接着性試験を行った。当該試験では、接着テープ(3Mテープ#610)の一片をインク層に被着して1分間放置する。その後、テープを剥がす。テープに移ったインクの量を視覚的に分析した。試験された試料は、次の基準に基づき階級1〜5で視覚的に格付けした。1−印刷後試料において視覚的な変化なし;2−印刷後試料においてわずかなインクの除去があった;3−印刷後試料において少量のインクの除去があった;4−印刷後試料においていくらかのインクの除去があった;5−印刷後試料において深刻なインクの除去があった。
【0082】
上記の試験の結果を、以下の表1にまとめた。上述のように、ランク付けは、1が最高で5が最低である1〜5の階級に基づく。3以上が多数ある場合は、許容不能とみなす。
【0083】
【表1】
【0084】
示されているように、本明細書に記載の原理に基づく例1〜6で生成されたフィルムのみが、全ての4つの試験、つまり、画像品質、化学的擦過抵抗、引掻き抵抗及びインク接着性において良い結果をもたらしている。
【0085】
前記例は、理解を明瞭にする目的で解説及び例により、いくらか詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の思想及び枠を逸脱することなく特定の変化及び変更を加え得ることは、本開示の教示に照らせば、当業者には直ちに明らかとなるであろう。さらに、前記の記述は、説明を目的として、本明細書に開示の原理のより深い理解を提供するため、特定の用語を使用している。しかし、本明細書に記載の原理を実行するために特定の詳細が必要でないことは当業者には明らかであろう。よって、本明細書に記載の原理に基づく特定の例の上記の説明は例示及び説明のために示されたに過ぎず、それが包括的であること又はそれが本開示を開示された正確な形式に制限することは意図されていない。さらに、本明細書の例は、例示的を意図しているに過ぎず、議論を目的として示されており、限定的なものではない。上記の教示に鑑み、多くの変更及び変形が可能である。当該例は、本明細書に開示の原理及びその実際的な応用を説明するために、及びそれにより当業者がこのような原理を利用することができるように、選択され、説明されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11