(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0010】
上記欲求の1つ以上を一層よりよく処理するために、一つの態様の本発明は、式Iで表される抗ウイルス性イミダゾピリジン化合物、またはそのプロドラッグ、N−オキシド、付加塩、第四級アミン、金属複合体もしくは立体化学異性体形態物を提供する。
【0012】
上式中、各Xは独立して、CまたはNであり;
各Yは独立して、CまたはNであり;
R
1はXがCであるときに存在し、かつ、R
1はH、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、C
3−C
7シクロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、N(R
5)
2、CO(R
6)、CH
2NH
2、CH
2OH、CN、C(=NOH)NH
2、C(=NOCH
3)NH
2、C(=NH)NH
2、CF
3、OCF
3およびB(OH)
2;B(O−C
1−C
6アルキル)
2の群から選ばれ;
R
1はXがNであるときは存在せず、
R
2はH、ハロゲン、−(CR
7R
8)
n−R
9、C≡C−CH
2−R
9およびC≡C−R
9、およびC=C−R
9からなる群より選ばれ:
R
3はH、C
1−C
10アルキル、C
3−C
7シクロアルキル、C
2−C
10アルケニル
、SO
2−R
7からなる群より選ばれるか、または酸素原子1個を含有する4〜6員の飽和環であり;
R
4は、YがCであるときに存在し、かつ、H、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6シクロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、CO(R
7)、CF
3およびハロゲンからなる群より選ばれ;
R
5はH、C
1−C
6アルキル、COOCH
3およびCONHSO
2CH
3からなる群より選ばれ;
R
6はOH、O(C
1−C
6アルキル)、NH
2、NHSO
2N(C
1−C
6アルキル)
2、NHSO
2NHCH
3、NHSO
2(C
1−C
6アルキル),NHSO
2(C
3−C
7シクロアルキル)およびN(C
1−C
6−アルキル)
2からなる群より選ばれ;
R
7およびR
8は各々独立して、H、C
1−C
10アルキル、C
3−C
7シクロアルキルから選ばれるか、またはR
7とR
8は一緒になって、基N、S、Oから選ばれる少なくとも1つを場合によっては含んでいてもよい4〜6員の脂肪族環を形成し;
R
9はH、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
3−C
7シクロアルキル、OH、CN、F、CF
2H、CF
3、CONR
7R
8、COOR
7、CON(R
7)SO
2R
8、CON(R
7)SO
2N(R
7R
8)、NR
7R
8、NR
7COOR
8、OCOR
7、NR
7SO
2R
8、SO
2NR
7R
8、SO
2R
7からなる群より選ばれるか、または酸素原子を1個含有する4〜6員の飽和環であり;
nは2〜6の整数である。
【0013】
好ましくは、R
7およびR
8が各々独立して、H、C
1−C
10アルキル、C
3−C
7シクロアルキルから選ばれるか、またはR
7とR
8は一緒になって、基N、S、Oから選ばれるヘテロ原子の1つを場合によっては含んでいてもよい4〜6員の脂肪族環を形成する。
【0014】
好ましい態様では、R
2がH、ハロゲン、−(CR
7R
8)
n−R
9、C≡C−CH
2−R
9およびC≡C−R
9からなる群より選ばれる。
【0015】
別の態様では、本発明は、温血動物、好ましくはヒトにおけるRSV感染症の治療において使用するための前記化合物に関する。さらなる別の態様では、本発明は、必要とする患者におけるウイルスRSV感染症の治療方法であって、前記患者に上記に定義した化合物の効果的な量を投与することを含む方法を提供する。さらなる別の態様では、本発明は、RSV感染症の治療における医薬の製造のための、上記化合物の使用にある。
【0016】
さらなる別の態様では、本発明は、上記に定義した化合物および製薬学的に許容され得る助剤を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【0017】
まだその上のさらなる態様では、本発明は、上記に定義した化合物の製造方法を提供する。
【0018】
<発明の詳細な記述>
先行技術から逸脱する式Iの分子は、一つの側(描かれたところの式中の左側)にイミダゾール環と縮合した芳香族6員環を有し、当該6員環はイミダゾール環と共有する少なくとも1つの窒素原子を含む。要するに、これは置換イミダゾピリジン部分と称される。「イミダゾール」の語はすべてのX原子がCである場合に適用可能であると認識され得るが、本短縮語の「イミダゾピリジン」はX原子の1以上がCまたはNであるかにかかわりなく、6員環について式Iで表されるすべての選択肢、例えば、イミダゾピラジンを包含する。
【0019】
本発明は、広範な意味において、これらの「イミダゾピリジン」化合物が一般的に興味
深いRSV阻害活性を有するとの思慮深い認識に基づく。さらに、これらの化合物は、前記文献で利用可能な範囲のより高い領域(すなわち、より低い末端のEC
50値)における抗RSV活性物を利用可能にする。特に、これらの化合物に基づけば、分子構造が生物学的活性に関して参照化合物より一層優れていることを明らかできる。
【0020】
本発明は、特定の態様に関して、一定の例を参照しながらさらに記述されるが、本発明をこれらに限定するものでなく、請求項のみにより限定されるにすぎない。本明細書および請求項において「含んでなる」の語が使用される場合、それは他の態様またはステップを除外するものでない。単一の名詞、例えば、“a”もしくは“an”,“the”に言及する不定冠詞または定冠詞が使用される場合、これは特に別の何かが述べられていない限り、その名詞の複数を包含する。
【0021】
本明細書全体を通じて使用される語「プロドラッグ」は、薬理学的に許容され得る誘導体、例えば、該誘導体の生物変換の結果得られる生成物が式(I)の化合物において定義されるところの活性薬剤であるような、エステルまたはアミドを意味する。一般的にプロドラッグを記載するグッドマン(Goodman)およびギルマン(Gilman)の文献、the Pharmacological Basis of Therapeutics、8th ed.,McGraw−Hill,Int.Ed.1992,“Biotransformation of Drugs”,P.13−15の内容を本明細書に組み入れる。プロドラッグは良好な水溶性および生物学的利用能に、かつ、インビボで容易に活性阻害剤までに代謝されることに特徴がある。
【0022】
本明細書で基または基の部分として使用されるC
1−C
6アルキルは、炭素原子1〜6個を有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルブチル、等として定義する。
【0023】
基としてまたは基の部分としてのC
1−C
10アルキルは、炭素原子1〜10個を有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基、例えば、C
1−C
6アルキルについて定義した基、ならびにヘプチル、オクチル、ノニル、2−メチルヘキシル、2−メチルペプチル、デシル、2−メチルノニル、等として定義する。
【0024】
本明細書で基または基の部分として使用される語「C
2−C
10アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合、好ましくは一つの二重結合、および2〜10個の炭素原子をもつ直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基を含むものとの意味を有し、例えば、エテニル、プロペニル、ブテン−1−イル、ブテン−2−イル、ペンテン−1−イル、ペンテン−2−イル、ヘキセン−1−イル、ヘキセン−2−イル、ヘキセン−3−イル、2−メチルブテン−1−イル、ヘプテン−1−イル、ヘプテン−2−イル、ヘプテン−3−イル、ヘプテン−4−イル、2−メチルヘキセン−1−イル、オクテン−1−イル、オクテン−2−イル、オクテン−3−イル、オクテン−4−イル、2−メチルへプテン−1−イル、ノネン−1−イル、ノネン−2−イル、ノネン−3−イル、ノネン−4−イル、ノネン−5−イル、2−メチルオクテン−1−イル、デセン−1−イル、デセン−2−イル、デセン−3−イル、デセン−4−イル、デセン−5−イル、2−メチルノネン−1−イル、等である。
【0025】
C
2−C
10アルケニル基がヘテロ原子に結合する場合、好ましくは、飽和炭素原子を介して結合する。
【0026】
基または基の一部としてC
1−C
6アルコキシは、O−C
1−C
6アルキルであって、ここでC
1−C
6アルキルは独立して上記に提供した意味を有する。
【0027】
C
3−C
7シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルについての総称である。
【0028】
本明細書で使用される語−(CR
7R
8)
nは、サブグループCR
7R
8のn回反復として定義され、これらのサブグループの各々は独立して定義される。
【0029】
ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードについての総称である。
【0030】
上記定義において使用される如何なる分子部分上の基の位置は、それが化学的に安定である限り、かような部分上のどこであってもよいものと認識されなければならない。
【0031】
可変的なものの上記定義において使用される基は、別に指定されていない限り全ての可能な異性体を包含する。例えば、ペンチルは1−ペンチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルを包含する。
【0032】
いずれかの構成において一度以上いずれかの変化が起こる場合は、各定義は独立している。
【0033】
下文で使用するとき、用語「式(I)の化合物」もしくは「本発明化合物」または類似の用語は、一般式(I)の化合物、それらのプロドラッグ、N−オキシド、付加塩、第四級アミン、金属複合体および立体化学異性体形態物を包含することを意味する。
【0034】
式(I)の化合物のいくつかは、1以上のキラル中心を含み、立体化学異性体として存在するものと認識され得る。
【0035】
上文で用いたところの用語「立体化学異性体形態物」は、同じ一続きの結合により結合される複数原子により構成されるが、相互変換できない異なる三次元構造を有し、式(I)の化合物が持つことのできる、可能なすべての化合物と定義する。
【0036】
別に記載しないか、または表示しないかぎり、化合物の化学名は、該化合物が持ち得る可能な立体化学異性体形態物すべての混合物を包含する。該混合物は、該化合物の基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含むことができる。本発明化合物のすべての立体化学異性体は、純粋な形態または相互に混合物の形態の両者が本発明の範囲内に包含されるものと意図されている。
【0037】
本明細書に記載される化合物および中間体の立体化学的に純粋な形態は、該化合物または中間体の同じ基本的な分子構造の他のエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態を実質的に含まない異性体と定義する。特に、用語「立体異性体的に純粋」は、少なくとも80%の立体異性体過剰(すなわち、最小90%の一つの異性体と最大10%の他の可能な異性体)から100%の立体異性体過剰(すなわち、100%の一つの異性体と他の異性体無し)までを有する化合物または中間体、より特別には、90%から100%まで立体異性体過剰を有する、さらにより特別には94%から100%まで立体異性体過剰を有する、最も特別には、97%から100%まで立体異性体過剰を有する、化合物または中間体に関する。用語「純粋なエナンチオマー」および「純粋なジアステレオマー」は、同様な意味に理解しなければならないが、しかし一方では、問題の混合物の、それぞれ、エナンチオマー過剰、ジアステレオマー過剰を考慮している。
【0038】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体異性体形態物は、技術的に既知の方法により取得することができる。例えば、エナンチオマーはそれらのジアステレオマーと光学的に活性な酸または塩基との選択的な結晶化により相互に分離することができる。それらの例
は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸である。別法として、エナンチオマーはキラル固定相を用いるクロマトグラフィー技法により分離できる。該純粋な立体化学的異性体形態物は、反応が立体特異的に起こることを前提条件に、適当な出発原料の対応する純粋な立体化学異性体形態物から誘導することもできる。好ましくは、特定の立体異性体が望まれる場合には、該化合物は立体特異的製造方法により合成できる。これらの方法は、エナンチオマー的に純粋な出発原料を用いるのが有利である。
【0039】
式(I)のジアステレオマー性ラセミ化合物は常法により分離して取得できる。有利に用いることのできる適当な物理的分離方法は、例えば、選択的結晶化およびクロマトグラフィー(例、カラムクロマトグラフィー)である。
【0040】
式(I)の化合物、それらのプロドラッグ、N−オキシド、塩、溶媒和物、第四級アミン、または金属複合体、およびそれらの製造に用いる中間体のいくつかについては、絶対的な立体配置は実験的に決定されていない。当業者は、かような化合物の絶対的な立体配置を技術的に既知の方法、例えば、X線回折等、を用いて決定できる。
【0041】
本発明は、本化合物上に存在する全ての原子のアイソト−プを包含することも意図されている。アイソト−プは同じ原子数をもつが、異なる質量数をもつそれらの原子を包含する。限定するものでない一般的な例によると、水素のアイソトープにはトリチウムおよびジュ−テリウムが含まれる。炭素のアイソトープはC−13およびC−14を含む。
【0042】
治療用途について、式(I)の化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容され得るものである。しかし、製薬学的に許容され得るものでない酸および塩基の塩も、例えば、製薬学的に許容され得る化合物の製造または精製において使用できることも見出されている。製薬学的に許容され得るか、またはされ得ないに拘わらず、全ての塩が本発明の範囲内に包含される。
【0043】
上記の製薬学的に許容され得る酸および塩基付加塩は、式(I)の化合物が生成できる、治療上有効な、非毒性酸および塩基の付加塩形態を含むことを意味する。製薬学的に許容され得る酸付加塩は、塩基形態物をかような適当な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適当な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸(例、塩化水素酸、臭化水素酸)、硫酸、硝酸、リン酸、等の無機酸、または例えば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、蓚酸(すなわち、エタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸(すなわち、ヒドロキシブタン二酸)、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸、等、を包含する。
【0044】
前記塩と逆の形態物は、適当な塩基で処理することにより遊離塩基形態物に転換できる。
【0045】
酸性プロトン含有式(I)の化合物は、適当な有機および無機塩基で処理することによりそれらの非毒性金属またはアミン付加塩の形態物に転換することもできる。適当な塩基塩形態物は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩(例、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、等)ならびに有機塩基(例、ベンザチン塩、N−メチル−D−グルカミン塩、ヒドラバミン塩)、および例えば、アルギニン、リシン、等のアミノ酸との塩を包含する。
【0046】
上記で使用されるところの用語付加塩は、式(I)の化合物並びにそれらの塩が生成で
きる、溶媒和物も含む。かような溶媒和物は、例えば、水和物、アルコラート、等である。
【0047】
上記で使用されるところの用語第四級アミンは、式(I)の化合物が式(I)の化合物の塩基性窒素と適当な四級化剤(例えば、場合により置換されていてもよい、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化アラルキル、具体的には、ヨウ化メチルまたはヨウ化ベンジル)の間の反応により生成できる第四級アンモニウム塩として定義する。良好な脱離基を有する他の反応体、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸アルキル、メタンスルホン酸アルキル、p−トルエンスルホン酸アルキル等も使用できる。第四級アミンは正荷電窒素を有する。製薬学的に許容され得る対イオンは、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、トリフルオロ酢酸イオンおよび酢酸イオンを包含する。選択された対イオンはイオン交換樹脂を用いて導入できる。
【0048】
本発明化合物のN−オキシド形態物は、一つまたは数個の窒素原子が所謂、N−オキシドまで酸化されている式(I)の化合物を含むことを意味する。
【0049】
式(I)の化合物は金属バインディング、キレート化、複合体形成特性を有し得るので、金属複合体または金属キレート化物として存在できることが認識されている。このような式(I)の化合物の金属化誘導体は、本発明の範囲内に包含されるものと意図されている。
【0050】
また、式(I)の化合物のあるものは、互変異性体の形態物として存在することもできる。このような形態物は上記式中に具体的に示していないが、本発明の範囲内に包含されるものと意図されている。
【0051】
本発明の化合物は、式Iの上記左側および右側部分に関して、多種多様な修飾を提供することが認識されている。
【0052】
本発明の範囲全体を害するものでないが、一定の態様について下記により詳細に論ずる。
【0053】
これらの態様の検討を容易にするために、下記(式Ia)のように炭素原子に番号付けをし、置換基に番号付けをした別の様式で式Iを示している。
【0055】
一つの態様では、番号5または6の付されたXの一つがNである。好ましい態様では、X原子のすべてがCである。
【0056】
一つの態様では、置換基R
1のすべてがHである。好ましい態様では、X
5(すなわち、C
5)の置換基がハロゲン、より好ましくはClまたはBrである。
【0057】
さらなる態様では、C
1上で変動が起こる。置換基R
2は2〜6(上記式Iの定義中の整数n)原子の炭素鎖を含む。好ましくは、これが2〜4であり、より好ましくは3〜5である。より好ましい態様では、この置換基の末端、R
9が、OH、OC
1−C
6アルキル、第二級C
1−C
6アルキルからなる群より選ばれ、より好ましくは、OHまたは2−プロピルである。「第二級C
1−C
6アルキル」は非末端炭素原子を介して結合するアルキル部分、例えば2−プロピル、3−ペンチル等を称することを意図している。他の好ましい態様では、R
2がC≡C−C−R
9である。ここで、R
9は、好ましくはC
1−C
6アルコキシ、好ましくはメトキシまたはC
1−C
6アルキル、好ましくは分岐アルキルである。
【0058】
好ましい態様では、R
3がC
3−C
7シクロアルキル、より好ましくはシクロプロピルである。
【0059】
好ましい態様では、かつ、より好ましくは、他の好ましい態様と共に、一つのYがNであり、他の複数のYがCである。最も好ましい態様では、その一つのYがNであり、N−R
3に対してパラ位(すなわち、式Iaの7’位)にそのYがある。
【0060】
好ましくは、多くて一つのR
4がH、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6−アルコキシ、ハロゲンからなる群より選ばれる。
【0061】
好ましい態様では、R
3がC
3−C
7シクロアルキル、より好ましくはシクロプロピルである。
【0062】
好ましい化合物は下記表1に列挙される化合物である。より好ましいのは、化合物番号P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8およびP9である。最も好ましいのは、化合物番号P1、P2、P3およびP4である。
【0063】
式Iの化合物は、有機化学技術分野で公知の合成方法または当業者に熟知されている修飾および誘導化法を用いる後述の方法により製造できる。本明細書で使用される出発原料は、市販されているか、標準的な参考書に記載されている方法等の、当該技術分野で公知の慣用方法により製造できる。限定されるものでないが、好ましい方法には下記の方法が包含される。
【0064】
下記の合成手順のすべてを通して、関連する分子上の感受性または反応性基を保護することは、必要および/または望ましくもあるかも知れない。これは、常用の保護基、例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,John Wiley & Sons,1999(引用することにおり、その内容は本明細書に組み入れられる)に記載されたものにより達成できる。
【0065】
式Iの化合物またはそれらの製薬学的に許容され得る塩は、本明細書の下記の反応スキームに従って製造できる。別に表示しない限り、反応スキーム中の置換基は上記に定義したとおりである。生成物の分離および精製は、通常の技能を有する化学者にとって公知の標準的な方法により達成できる。
【0066】
下記スキームは式Iの化合物の製造方法の模範的なものである。下記スキームにおいて
、数詞I〜XVIIIをはじめとする、使用されている数詞はスキーム中の式を選定するために便宜上使用される。下記スキーム中の数詞I〜XVIIIの使用は、かような数詞により選定される化合物が本明細書に上述され、添付の特許請求の範囲に記載された式I〜XVIIIの化合物に相当することを意味するものとは意図されていない。
【0068】
スキーム1は、式I(式中のR
1〜R
9、XおよびYは上記のとおりに定義される。)の化合物の製造方法を図解する。
【0069】
IV型化合物は2−ヒドロキシメチレンイミダゾピリジンII−aをN
3−置換ベンズイミダゾロンIIIとDMFまたはTHFのような適当な溶媒中でアザジイソプロピルジカルボキシレートおよびトリフェニルホスフィンを使用するミツノブ(Mitsunobu)反応のような当該技術分野で既知の方法によりカップリングさせることにより製造できる。別法として、式Iの化合物は、DMFまたはTHFなどの適当な溶媒中で、限定されるものではないが、水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下のW(ハロゲン、好ましくは塩素である:II−bまたはスルホネート、例えばメシラートもしくはトシラート:II−c)の置換により製造できる。限定されるものでないが、N−ヨードスクシンイミドのようなハロゲン化試薬を使用してIV型化合物をV型化合物へ転化でき、CH
3CNがこの反応に適する溶媒である。ソノガシラ(Sonogashira)形カップリング反応のような当該技術分野で公知の方法でのV型化合物へのアルキンのカップリングにより、VI型化合物を生成できる。三重結合の還元は、メタノールのような適当な溶媒中で、パラジウムまたは白金のような触媒の存在下で水素を使用する触媒法によるか、または塩化アンモニウムの存在下で鉄もしくは濃塩酸の存在下で塩化錫を使用する化学量論的な方法により実施することで式Iの化合物を得ることができる。
【0071】
II−a型化合物の合成は、一般的にスキーム2に記載されているように製造できる。IX型化合物は、市販のVII型化合物を、市販のVIII型化合物(式中のハロゲンは、好ましくは臭素である。)と、塩基を媒介とするカップリング反応を介するカップリングにより合成できる。この反応を遂行するための可能な塩基は、限定されるものでないが、K
2CO
3、Cs
2CO
3、トリエチルアミンおよび水素化ナトリウムである。この種の塩基を媒介とするカップリングに適する溶媒はDMEである。熱加熱による分子内閉環後、化合物Xは生成し得る。化合物XのアルキルエステルのアルコールII−aへの転化は、THFまたはメタノールのような適当な溶媒中で、水素化アルミニウムリチウムまたは水素化ホウ素ナトリウムのような水素化金属を用いて実施された。
【0073】
スキーム3は、II−bおよびII−c型化合物を合成するための合成にふさわしい方法を示す。
【0074】
アルコールII−aの、限定されるものでないが、SOCl
2、PBr
3,p−TsCl、MsClのような作用剤での処理は、2−クロロメチルインドールII−bを提供し、また、ジクロロメタンのような適当な溶媒中でのトリエチルアミンまたはジイソプロピルアミンのような有機塩基の存在下では中間体II−cを提供する。これは方法1により具体的に説明されている。
【0075】
別法では、II−b型化合物は、市販のXI型化合物とまた、市販のXII型化合物との間の分子間閉環を通じて生成できる。
【0077】
化合物IIIはスキーム4に記載された手順を使用して合成できる。
【0078】
化合物XIIIのZ(ハロゲン、好ましくはフッ素もしくは塩素、またはアルコキシ基、好ましくはメトキシである。)の、アミンによる、適当な溶媒(例えば、THFまたはDMF)中の有機塩基(例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)の存在下での置換は、化合物XIVを与える。アミンXVへのニトロ基の還元は、メタノールのような適当な溶媒中で、パラジウムまたは白金のような触媒の存在下で水素を使用する触媒法によるか、または塩化アンモニウムの存在下で鉄をもしくは濃塩酸の存在下で塩化錫を使用する化学量論的な方法により実施できる。得られたジアミンXVの、溶媒、例えばアセトニトリルまたはTHF中でCDI、ホスゲンまたはトリホスゲンを使用する環化は化合物IIIを提供する。
【0079】
別法としては、III型化合物は、CDI、ホスゲンまたはトリホスゲンにより閉環することができる市販のジアニリンXVIから出発し、XVII型の中間体を経ることにより製造できる。XVIIの尿素窒素のアルキル化またはスルホニル化は、市販のアルコールを用いるミツノブ反応によるか、またはXVIII型の化合物における塩素の置換により、式IIIの化合物を得ることができる。
【0080】
式(I)の化合物は、三価の窒素をそのN−オキシド形態物に転化するための当該技術分野で公知の方法に従い、対応するN−オキシド形態物に転化することができる。該N−オキシド化反応は、一般的に、式(I)の出発原料を適当な有機または無機の過酸化物と反応させることにより実施できる。適当な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過酸化物(例、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム)を包含し、適当な有機過酸化物は、過安息香酸またはハロ置換過安息香酸(例、3−クロロ過安息香酸)、ペルオキソアルカン酸(例、ペルオキソ酢酸)、アルキルヒドロペルオキシド(例、t−ブチルヒドロペルオキシド)などのペルオキシ酸を包含する。適当な溶媒は、例えば、水、低級アルコール(例、エタノール等)、炭化水素(例、トルエン)、ケトン(例、2−ブタノン)、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン)およびかような溶媒の混合物である。
【0081】
式(I)の化合物の純粋な立体化学異性体形態物は、当該技術分野で既知の方法を適用することにより得ることができる。ジアステレオマーは、選択的な結晶化およびクロマトグラフィー技法(例、向流分配、液体クロマトグラフィー、等)のような物理的方法により分離できる。
【0082】
上記の方法で製造される式(I)の化合物は、一般的に、エナンチオマーのラセミ混合物であり、該混合物は当該技術分野で既知の分離方法に従い相互に分離できる。十分に塩基または酸である式(I)のラセミ化合物は、それぞれ、適当なキラル酸またはキラル塩基により対応するジアステレオマー塩に変換できる。前記ジアステレオマー塩形態物は、続いて、例えば、選択的または分別結晶化により分離され、該エナンチオマーはアルカリまたは酸によりそれらから遊離される。式(I)の化合物のエナンチオマー形態物を分離する別法は、液体クロマトグラフィー、特に、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを包含する。前記の純粋な立体化学的異性体形態物をまた、対応する純粋は立体化学的異性体形態物の適当な出発原料から誘導できるが、ただし、この反応は立体化学的に起こることが前提条件である。仮に特定の立体異性体が望まれる場合には、好ましくは、該化合物は立体特異的製造方法により合成される。これらの方法は、有利には、エナチオマー的に純粋な出発原料を用いることであろう。
【0083】
さらなる態様では、本発明は本明細書で特定されるところの式(I)の化合物または本明細書で特定されるところの式(I)の化合物のいずれかの実施態様の化合物の治療上効果的な量および製薬学的に許容され得るキャリヤーを含んでなる製薬学的組成物に関する。この文脈上、治療上効果的な量は、感染した患者または感染するリスクのある患者において、ウイルス感染、特にRSVウイルス感染に対して予防的に作用するために、または該感染を安定させ若しくは低減させるために十分な量である。またさらなる態様では、本発明は本明細書で特定したところの製薬学的組成物の調製方法に関し、該方法は本明細書に特定したところの式(I)の化合物または本明細書で特定されるところの式(I)の化合物のいずれかの実施態様の化合物の治療上効果的な量と製薬学的に許容され得るキャリヤーを緊密に混合することを含んでなる。
【0084】
したがって、本発明の化合物またはそのいずれかの態様は、投与目的のための種々の製薬学的剤形に配合できる。適当な組成物としては、全身的に投与する薬剤に通常用いられるすべての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を調製するには、有効成分としての特定の化合物、任意の酸付加塩形態物または金属複合体の有効量を、投与に望まれる調製物の形態に依存して多種多様な形態をとることができる、製薬学的に許容され得るキャリヤーと緊密に混合した状態で配合される。これらの製薬学的組成物は、特に、経口、直腸、経皮、または非経口注入により投与するのに適する単一投与剤形にあることが望ましい。例えば、経口投与製剤における組成物の調製に際しては、常用の製薬学的媒質のいずれか、懸濁剤、シロップ、エリキシル、乳剤および溶液のような経口液体製剤の場合には、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、等など、または粉剤、ピル、カプセル剤および錠剤の場合には、澱粉、糖、カオリン、滑剤、結合剤、崩壊剤、等などの固体キャリヤーを使用することができる。これらの投与の容易性のため、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口投与単位製剤を表し、この場合には固体の製薬学的キャリヤー使用されることが明らかである。非経口組成物について、キャリヤーは通常、少なくとも大部分を滅菌水が占めるが、例えば、溶解性を促進するための他の成分を含めてもよい。注入可能な溶液は、例えば、生理食塩水溶液、グルコース溶液または食塩とグルコースの混合溶液中で調製できる。注入可能な懸濁剤は、適当な液体キャリヤー、懸濁剤、等を使用して調製できる。また、使用直前に液体形態の製剤に変換することを意図する固体製剤も包含される。経皮投与に適する組成物では、キャリヤーは、浸透促進剤および/または適当な湿潤剤を含んでいてもよく、より小さな割合では、どのような性質の適当な添加剤が配合されていてもよく、添加剤は皮膚に著しい悪影響を及ぼすものであってはならな
い。
【0085】
本発明の化合物は、経口吸入または経口ガス注入により投与でき、この様式を介して投与するために当該技術分野で使用されている方法および製剤により投与される。したがって、一般的に本発明の化合物は、液体、懸濁剤または乾燥粉末の状態で肺に投与できるが、液体が好ましいものである。経口吸入または経口ガス注入による液体、懸濁剤または乾燥粉末のデリバリー用に開発される系は、本発明化合物の投与に適する。
【0086】
従って、本発明はまた、口を介する吸入またはガス注入による投与に適合された、式(I)の化合物および製薬学的に許容され得るキャリヤーを含んでなる製薬学的組成物も提供する。好ましくは、本発明の化合物は噴霧型またはエアゾール型剤形の溶液の吸入を介して投与される。
【0087】
容易な投与および均一な投薬のためには、前記の製薬学的組成物を単位投薬製剤に配合することが特に有利である。本明細書で使用するところの単位投薬製剤は、一元の投薬として適する物理的に個別の単位を意味し、各単位は、必要な製薬学的キャリヤーと共に所望の治療に効果を奏するものと計算された有効成分の予め決定された量を含有する。このような単位投薬製剤の例は、錠剤(切り込み線入りまたはコートされた錠剤を包含する)、カプセル剤、ピル、坐剤、粉末小包、カシェ剤、注入可能な溶液剤もしくは懸濁剤、等、およびそれらの隔離された多重剤である。
【0088】
式(I)の化合物は抗ウイルス特性を示す。本発明の化合物および方法を用いて処置できるウイルス感染症は、オルト−およびパラミクソウイルス、特に、ヒトおよびウシ呼吸合胞体ウイルス(RSV)によりもたらされる感染症を包含する。本発明の大多数の化合物は、さらに、RSVの変異株に対して活性である。加えて、本発明の多くの化合物は、有利な薬物動態プロファイルを示し、許容され得る半減期、AUCおよびピーク値を含み、不十分に早い発病および組織滞留のような好ましくない現象を欠く、生物学的利用能の点で魅力ある特性を有する。
【0089】
本発明化合物のRSVに対するインビトロ抗ウイルス活性は、本明細書の実験部に記載されるように試験され、また、ウイルス収量低減アッセイ(virus yield reduction assay)において例証される。本発明化合物のRSVに対するインビボ抗ウルス活性は、Wyde等(Antiviral Research (1998),38,31−42)に記載されるようなコトン ラット(cotton rats)を用いる試験モデルにより例証できる。
【0090】
それらの抗ウイルス特性、特に、抗RSV特性のため、式(I)の化合物またはそれらのいずれかの実施態様、それらのプロドラッグ、N−オキシド、付加塩、第四吸アミン、金属複合体および立体化学異性体形態物は、ウイルス感染、特にRSV感染の体験者の治療、またはこれらの感染症の予防に有用である。一般的には、本発明の化合物はウイルス、特に呼吸合胞体ウイルスに感染した温血動物において有用であり得る。
【0091】
したがって、本発明の化合物またはそれらのいずれかの態様は医薬として使用され得る。医薬または治療方法での上記使用は、ウイルスの感染した患者またはウイルス感染のおそれがある患者への、ウイルス感染、特にRSV感染に伴う状態を防除するのに効果的な量の全身投与を含んでなる。
【0092】
本発明はまた、ウイルス感染症、特にRSV感染症の治療または予防用医薬の製造における本発明化合物またはそれらのいずれかの態様の使用にも関する。
【0093】
さらに本発明は、ウイルス、特にRSVの感染した、またはウイルス、特にRSVによる感染のリスクのある温血動物の治療方法に関し、該方法は、本明細書に特定されている式(I)の化合物、または本明細書に特定されている式(I)の化合物のいずれかサブグループの化合物の抗ウイルス上効果的な量を投与することを含む。
【0094】
一般的には、抗ウイルス上効果的な一日量は、体重1kg当り、0.01mg〜500mg、より好ましくは、0.1mg〜50mgである。一日中、適当な間隔で2、3、4またはそれより多くのサブ用量として必要な用量を投与するように供することできる。該サブ用量は、単位投薬製剤当り、有効成分を例えば、1〜1000mg、特に、5〜200mg含有する単位投薬製剤として処方できる。
【0095】
正確な投薬量と投与頻度は、使用される式(I)の特定の化合物、治療される特定の状態、治療される状態の重篤度、年齢、体重、性別、特定の患者の疾患および物理的状態の程度、ならびに患者が摂取している当業者に周知である他の薬剤により左右される。さらに、前記効果的な一日量は、処置される患者の応答に応じおよび/または本発明の化合物を処方する医師の判断に応じ低減または増加できることが明らかである。したがって、上記の効果的な一日量の範囲は、単なる指標にすぎない。
【0096】
また、他の抗ウイルス剤と式(I)の化合物の組み合わせ物を医薬として使用することもできる。こうして、本発明はまた、抗ウイルス処置における、同時、別々または連続使用のための組み合わせ製剤として、(a)式(I)の化合物および(b)他の抗ウイルス剤を含有する製品にも関する。異なる薬剤は、製薬学的に許容され得るキャリヤーと共に単一の製剤中で配合できる。例えば、本発明の化合物は、RSV感染症を治療または予防するためにインターフェロンβまたは腫瘍壊死因子αと組み合わせることができる。
【実施例】
【0097】
本発明は、次の何ら限定するものでない例を参照しながら下文で具体的に説明する。
【0098】
例1
本発明の代表例の合成の詳細な記述を下記に提供する。
【0099】
【化7】
【0100】
ステップ1:N−シクロプロピル−3−ニトロピリジン−4−アミン 5−bの合成
乾燥エタノール(800mL)中の4−メトキシ−3−ニトロピリジン5−a(CAS
31872−62−5)(200g,1300mmol)、シクロプロピルアミン(CAS 765−30−0)(185.5g,3250mmol)およびDIEA(CAS
7087−68−5)(336g,2600mmol)を3時間還流した。この混合物を0℃に冷却した。固体をろ過することにより集めた。ろ過ケーキを冷エタノール(150mL)で洗浄した。固体を乾燥して白色粉末として化合物5−b(167g,72%)を得た。
【0101】
ステップ2:N
4−シクロプロピルピリジン−3,4−ジアミン 5−cの合成
エタノール(1400mL)中で5−b(167g,932mmol)を、触媒として湿Pd/C(34g)を用い20℃にて水素化した(50Psi)。H
2(3eq.)消費後、触媒をろ別し、ろ液をエバポレートした。残渣をMTBEで洗浄して黄色粉末として化合物5−c(133g,95%)を得た。
【0102】
ステップ3:1−シクロプロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン 5−dの合成
0℃にて5−c(133g,891.4mmol)のCH
3CN(1800mL)溶液に、CDI(CAS 530−62−1)(151.8g,936mmol)を加えた。反応混合物を室温に加温し、1時間撹拌した。ろ過することにより固体を集め、CH
3CN(200mL)で洗浄して白色粉末として化合物5−d(101g,65%)を得た。
【0103】
【化8】
【0104】
ステップ1:2−(クロロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン 6−cの合成
1,3−ジクロロアセトン(CAS 534−07−6)(14.8g,116.9mmol)の無水エタノール(210mL)溶液を、撹拌棒、還流冷却器および空気スロットを備えた500mLフラスコ中で撹拌した。この反応混合物に室温で2−アミノピリジン6−a(CAS 504−29−0)(10g,106.3mmol)を加えた。次いで、混合物を一晩還流下で加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を水(300mL)に採り、飽和Na
2CO
3溶液でpH=9まで塩基性にした。この溶液をジクロロメタン(3x250mL)で抽出し、併せた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。生成物をジクロロメタン/メタノール 0.1%から2.5%ませのグラジエントで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。フラクションの濃縮でピンクがかった固体として生成物6−c(4.7g,27%)を得た。
【0105】
ステップ2:l−シクロプロピル−3−((3−(2−シクロプロピルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン P3の合成
【0106】
【化9】
【0107】
ステップ1:1−シクロプロピル−3−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン 7−aの合成
5−d(4.5g,25.6mmol)の乾燥DMF(100mL)溶液に、0℃にてNaH(CAS 7646−69−7) (1.1g,28.2mmol)の60%分散液を加えた。すぐさま沸騰が起こった。反応混合物をアルゴン下の0℃にて30分間撹拌した。6−c(4.7g,28.2mmol)の乾燥DMF(25mL)溶液を前記反応混合物に加えた。この混合物を室温に加温し、アルゴン下で一晩撹拌した。残留物に水(250mL)を加えた。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、エバポレートした。生成物をアセトニトリルで再結晶化してピンクがかった固体として生成物7−a(3.19g,40%)を得た。
【0108】
ステップ2:1−シクロプロピル−3−((3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン 7−bの合成
7−a(2.5g,8.29mmol)の乾燥CH
3CN(16mL)溶液に、N−ヨードスクシンイミド(CAS 516−12−1)(2.1g,9.11mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応中に沈殿が形成した。反応混合物を0℃に冷却し十分に沈殿させた。次いで、形成した固体をろ別し、冷アセトニトリルですすいだ。得られた固体を集め、徹底的に乾燥した。こうしてわずかに灰色がかった白色固体として化合物7−b(3.2g,91%)を得た。
【0109】
ステップ3:1−シクロプロピル−3−((3−(シクロプロピルエチニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン 7−cの合成
7−b(500mg,1.16mmol)の乾燥DMF(11.6mL)懸濁液に、ジ
クロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(CAS 13965−03−2)(244.8mg,0.36mmol)、トリエチルアミン(CAS 121−44−8)(0.80mL,5.80mmol))およびヨーカ銅(I)(CAS 7681−65−4)(66.3mg,0.36mmolを加えた。次いで、シクロプロピルアセチレン(CAS 6746−94−7)(0.36mL,4.17mmol)をゆっくり加え、窒素雰囲気下の室温で2日間撹拌した。混合物をシリカゲル上で濃縮し、ジクロロメタン/メタノール中7N NH
3の1%から出発し、7.5%までのグラジエントで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。集めたフラクションを併せ、濃縮して黄色がかった泡とし化合物7−c(235mg,49%)を得た。
【0110】
ステップ4:1−シクロプロピル−3−((3−(2−シクロプロピルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン P3の合成
触媒10%Pd/C(100mg)および4%チオフェン溶液(0.1mL)を窒素雰囲気下のメタノール(100mL)中に懸濁させた。次いで、7−c(230mg,0.56mmol)を加えた。反応混合物を水素雰囲気下の25℃にて水素2eq.が吸収されるまで撹拌した。ダイカライト(dicalite)ろ過により触媒を除去した。粗溶液を濃縮し、ジクロロメタン/メタノール中7N NH
3(0%から6%まで)のグラジエントで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。集めたフラクションをエバポレートし、白色の泡として生成物P3(49.9mg,23%)を得た。
【0111】
例2
3−((7−クロロ−3−(4−ヒドロキシブチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン PIの合成
【0112】
【化10】
【0113】
ステップ1:2−アミノ−4−クロロ−1−(3−エトキシ−2,3−ジオキソプロピル)ピリジニウム ブロミド 8−cの合成
4−クロロピリジン−2−アミン(CAS 19798−80−2)(47g,367mmol)およびエチル 3−ブロモ−2−オキソプロパノエート(CAS 70−23−5)(98g,487mmol)をDME(540mL)中で1時間撹拌した。沈殿をろ過し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄して黄色粉末として生成物8−c(98g,82%)を得た。
【0114】
ステップ2:エチル 7−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボキシレート臭化水素 8−dの合成
中間体8−c(98g,303mmol)をエタノール(600mL)に溶解し、3時間還流にて加熱した。反応混合物をエバポレートし、残渣をエタノール(100mL)中ですりつぶし、ろ過した。沈殿をtert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、乾燥し、黄色粉末として化合物8−d(66g,71%)を得た。
【0115】
ステップ3:エチル 7−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボキシレート 8−eの合成
中間体8−d(51g,120mmol)を水(750mL)に溶解した。Na
2CO
3粉末をpH=8になるまで注意深く加えた。固体をろ別し、H
20(100mL)およびtert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。残渣を高真空下で乾燥し、白色粉末として化合物8−e(21g,78%)を得た。
【0116】
ステップ4:エチル 7−クロロ−3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボキシレート 8−fの合成
固体8−e(10g,44.4mmol)をCH
2C1
2(200mL)に溶解した。次いでNIS(CAS 516−12−1)(20g,88.8mmol)を0℃で加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を飽和Na
2SO
3溶液(100mL)および10%K
2CO
3溶液(100mL)で洗浄した。次いで、有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、真空下でエバポレートし.白色粉末として化合物8−f(13.2g,85%)を得た。
【0117】
ステップ5:エチル−7−クロロ−3−(4−ヒドロキシブト−l−イニル)イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−2−カルボキシレート 8−gの合成
中間体8−f(8.75g,25mmol)、3−ブチン−1−オール(CAS 927−74−2)(10.5g,150mmol)、(PhCN)
2PdCl
2(0.95g,2.5mmol)およびトリエチルアミン(CAS 121−44−8)(14.5mL,150mmol)の混合物をN
2により脱気し、N
2雰囲気下で3時間還流した。溶媒を真空下で除去し、残渣を石油エーテル/酢酸エチル(1:3)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。溶媒をエバポレートし、得られた固体をtert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥し、白色固体として化合物8−g(4.75g,66%)を得た。
【0118】
ステップ6:エチル 7−クロロ−3−(4−(トリイソプロピルシリルオキシ)ブト−1−イニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボキシレート 8−hの合成
化合物8−g(1.9g,6.5mmol)およびイミダゾール(CAS 288−32−4)(1.37g,19.5mmol)の乾燥CH
2C1
2(40mL)中混合物を氷水浴中で冷却した。次いで、TIPS−Cl(CAS 13154−24−0)(1.87g,9.8mmol)を0℃にて滴下した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を水およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥し、エバポレートした。残渣を、純粋の石油エーテルから始まり酢酸エチル/石油エーテル(1:4)に至るグラジエントで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。フラクションをエバポレートした後、白色固体として生成物8−h(2.8g,96%)を得た。
【0119】
ステップ7:エチル 7−クロロ−3−(4−(トリイソプロピルシリルオキシ)ブチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボキシレート 8−iの合成
メタノール中で化合物8−h(2g,4.4mmol)を、触媒としてBaS0
4上5%Pd(2g)を用い0℃で6時間水素化(1気圧)した。H
2(2eq.)の消費後、混合物をろ過した。ろ液を真空下で濃縮し、残渣を調製HPLC(カラム:Grace,5um,25x200mm;グラジエント溶出液,CH
3CN/水 83%から100%まで(0.5%TFAの存在下);速度,25mL/分)により精製した。集めたフラクションを併せ、飽和NaHCO
3で中和した。真空下で有機溶媒を除去した。残った水性混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥した。溶媒を真空下で除去し、白色固体として化合物8−i(0.4g,20%)を得た。
【0120】
ステップ8:7−クロロ−3−(4−(トリイソプロピルシリルオキシ)ブチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボン酸 8−jの合成
中間体8−i(0.4g,0.88mmol)およびLiOH・H
2O(CAS 13
10−66−3)(0.10g,2.4mmol)を、THF(4mL)、メタノール(4mL)および水(4mL)の混合物中に懸濁させた。反応混合物を室温で8時間撹拌した。次いで、1N HC1溶液を加え混合物のpHを5になるまで酸性にした。この混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥した。真空下で溶媒を除去し、白色固体として化合物8−j(0.32g,86%)を得た。
【0121】
ステップ9:(7−クロロ−3−(4−(トリイソプロピルシリルオキシ)ブチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メタノール 8−kの合成
乾燥THF(10mL)中の生成物8−j(0.3g,0.7mmol)を氷水浴中で冷却した。この冷混合物にNMM(CAS 109−02−4)(0.15g,1.5mmol)およびiso−ブチルクロロホルメート(CAS 543−27−1)(0.15g,1.1mmol)を滴下した。混合物を−10℃で30分間撹拌した。次いで、NaBH
4(CAS 16940−66−2)(0.08g,2.2mmol)を加え、再度、−10℃で30分間撹拌した。水を滴下して反応を停止させ、残りの混合物を1時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥した。真空下で溶媒を除去し、残渣を、石油エーテル/酢酸エチル(1:1)で溶離する調製TLCで精製し、白色の泡として生成物8−k(0.1g,30%)を得た。
【0122】
ステップ10および11:3−((7−クロロ−3−(4−ヒドロキシブチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン P1の合成
中間体8−k(0.1g,0.24mmol)、中間体5−d(0.085g,0.48mmol)およびPBu
3(CAS 998−40−3)(0.145g,0.72mmol)を乾燥THFに溶解し、氷メタノール浴中で冷却し、N
2により脱気した。DIAD(CAS 2446−83−5)(0145g,0.72mmol)を滴下し、混合物をN
2下で2時間還流した。溶媒を真空下で除去し、残渣を酢酸エチルで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。フラクションをエバポレートした後、白色の泡として生成物8−lの0.2gが得られたが、これは50%PBu
3Oに汚染されていた。次いで、THF(2mL)中の中間体8−lおよびTBAF・3H
2O(CAS 429−41−4)(0.15g,0.47mmol)を40℃で20分間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。固体残分を、水、tert−ブチルメチルエーテル、およびCH
3CNで洗浄した。十分に乾燥した後、白色粉末として生成物P1(62.0mg,総収率62%)を得た。
【0123】
例3
【0124】
【化11】
【0125】
2−(クロロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン9−aは、2−アミノピリジンの代わりにアミノピラジンを使用して2−(クロロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン6−cの合成について記載したプロトコールにしたがって合成し、収率12%でクリーム色の固体として得た。m/z=168(M+H)
+。
【0126】
1−シクロプロピル−3−((3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)
メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン 10−aの合成
【0127】
【化12】
【0128】
1−シクロプロピル−3−((3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン10−aは、2−(クロロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン6−cの代わりに、2−(クロロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン9−aを使用して、7−bの合成について報告した2段階処理に従い合成し、クリーム色の固体として得た。m/z=433(M+H)
+。
【0129】
例4
(E)−3−((3−(4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ブト−1−エンイル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン 11−aの合成
【0130】
【化13】
【0131】
1−シクロプロピル−3−((3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン 10−a(500mg,1.076mmole)、(E)−tert−ブチルジメチル(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ブト−3−エンイルオキシ)シラン(672mg,2eq)、炭酸ナトリウム(342mg,3eq)およびPdCl
2(dppf)(39mg,0.05eq,CAS 72287−26−4)の懸濁物をDME/水(5mL/1mL)中で混合し、100℃で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、DCM20mLで希釈し、ダイカライト上でろ過し、エバポレートした。残渣をDCM中MeOH0〜5%のグラジエントを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、褐色がかったオイルとして所望の生成物11−aを得
た。m/z=491(M+H)
+。
【0132】
例5
l−シクロプロピル−3−((3−(4−ヒドロキシブチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン P17の合成
【0133】
【化14】
【0134】
(E)−3−((3−(4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ブト−1−エンイル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン 11−a(480mg,0.978mmole)およびPd/C 10%(52mg,0.05eq)のMeOH(20mL)中の混合物を、2時間水素化した。次いで、反応混合物をダイカライト上でろ過、乾燥するまで濃縮した。得られた白色固体(480mg,84%)を次のステップで直接使用した。それをMeOH中に再溶解し、フッ化アンモニウム(39mg,1.1eq)を加えた。次いで、反応混合物を60℃で一晩過熱した。濃縮後、粗生成物を調製HPLC(RP Vydac Denali C18−10μm,250g,5cm)により、次の移動相(水中0.25%NH
4HCO
3溶液,CH
3CN)を用いて精製し、標的の生成物P17を収率87%(320mg)で得た。m/z=491(M+H)
+。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ ppm 0.82−0.94(m,2H),0.99−1.10(m,2H),1.36−1.46(m,2H),1.46−1.59(m,2H),2.96(tdd,J=6.96,6.96,3.64,3.51Hz,1H),3.08(t,J=7.53Hz,2H),3.34−3.43(m,2H),4.38(t,J=5.14Hz,1H),5.22(s,2H),7.23(dd,J=5.27,0.75Hz,1H),7.88(d,J=4.52Hz,1H),8.22(d,J=5.27Hz,1H),8.40(s,1H),8.44(dd,J=4.64,1.38Hz,1H),8.97(d,J=1.51Hz,1H)。
【0135】
例6
1−シクロプロピル−3−((3−(4−フルオロブチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン
P18の合成
【0136】
【化15】
【0137】
DCM(20mL)中、ジエチルアミノジフルオロスルホニウム テトラフルオロボレート(453mg,1.982mmole)、1−シクロプロピル−3−((3−(4−ヒドロキシブチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン P17(500mg,1.321mmole)およびトリエチルアミン トリヒドロフルオライド(319mg,1.5eq)の懸濁物を、室温にてN
2雰囲気下で60分間撹拌した。次いで、100mLの飽和NaHCO
3を加え、混合物をガスの発生が止まるまで(10分)撹拌した後、150mLのDCM(2x)で抽出した。併せた有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、ろ過し、乾燥するまでエバポレートした。(RP Vydac Denali C18−10μm,250g,5cm)上で移動相として(水中0.25%NH
4HCO
3溶液,MeOH)を用いる調製HPLCにより精製することで、標的の化合物P18を収率20%で得た。m/z=381(M+H)
+。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ ppm 0.82−0.92(m,2H),1.00−1.10(m,2H),1.46−1.80(m,4H),2.95(tdd,J=6.96,6.96,3.64,3.51Hz,1H),3.12(t,J=7.53Hz,2H),4.43(dt,J=47.43,6.00Hz,2H),5.23(s,2H),7.24(dd,J=5.27,0.75Hz,1H),7.89(d,J=4.52Hz,1H),8.22(d,J=5.27Hz,1H),8.41(s,1H),8.47(dd,J=4.77,1.51Hz,1H),8.98(d,J=1.51Hz,1H)。
【0138】
例7
(E)−3−((7−クロロ−3−(3−モルホリノ−3−オキソプロプ−1−エンイル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン P24の合成
【0139】
【化16】
【0140】
3−((7−クロロ−3−ヨードイミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン 12−a(ステップ1において2−アミノピリジンの代わりに4−クロロ−2−アミノピリジンを使用して、7−bについて使用した3ステップ合成に従い調製した。)およびEt
3N(2.218mL,8eq)のDMF(30mL)溶液を15分間窒素で脱気した。次いで、酢酸パラジウム(45mg,0.1eq)、トリフェニルホスフィン(173mg,0.33eq)および1−モルホリノプロプ−2−エン−1−オン(2.516mL,10eq)を加え、閉じた容器中で2時間80℃にて撹拌した。冷却後、混合物を氷水で急冷した。1時間撹拌後、沈殿をろ別し、真空中で乾燥した。固体を溶離液としてジクロロメタン/メタノール−NH
3 98/2を用い、シリカ上で精製し、標的の化合物P24を収率92%(884mg)得た。m/z=479(M+H)
+。
【0141】
例8:
3−((7−クロロ−3−(3−モルホリノ−3−オキソプロピル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン P26および1−シクロプロピル−3−((3−(3−モルホリノ−3−オキソプロピル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン P27の合成
【0142】
【化17】
【0143】
MeOH/THF(150mL,1/1混合物)中(E)−3−((7−クロロ−3−(3−モルホリノ−3−オキソプロプ−1−エンイル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン
−2−イル)メチル)−1−シクロプロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2(3H)−オン P24(880mg,1.837mmole)、Pd/C 10%(195mg,0.1eq)およびジフェニルスルフィド(0.03mL,0.1eq)の懸濁物を、4時間室温で水素化した。次いで、触媒を窒素流下のダイカライト上でろ過し、ろ液を乾燥するまでエバポレートした。残渣をアセトニトリル/イソプロピルエーテル
1/1中ですりつぶした。沈殿をろ過することにより集め、真空中で乾燥し、(RP Vydac Denali C18−10μm,250g,5cm)上で移動相として(水中0.25%NH
4HCO
3溶液,MeOH+CH
3CN)を用いる調製HPLCにより精製することで、P26の94mg(10%)およびP27の241mg(29%)を白色固体として得た。m/z(P26)=481(M+H)
+;m/z(P27)=447(M+H)
+。
【0144】
例9
化合物の特性決定、およびRSV阻害活性についての試験
HPLC−MS分析は、以下のいずれか一つの方法を使用して行った。
【0145】
方法1:
HPLC測定は、ポンプ、ダイオード−アレー検出器(DAD)(使用波長220nm)、カラムヒーターおよび下記に特定するカラムを備えたアジレント(Agilent)1100モジュールを使用して行った。カラムからの流れをアジレントMSDシリーズG1946CとG1956Aに分割した。MS検出器はAPI−ES(大気圧エレクトロスプレーイオン化)で構成されている。マススペクトルは、100から1000までを走査することにより獲得された。キャピラリー指針の電圧は、陽性イオン化モードについて2500Vで、陰性イオン化モードについて3000Vであった。フラグメンテーション電圧は50Vであった。乾燥ガス温度は10L/分の流れにおいて350℃に維持した。逆相HPLCはYMC−Pack ODS−AQ、流速0.8mL/分の50x2.0mm
5mmカラムにより実施した。2種の移動層(移動層A:0.1% TFAを含む水、移動層B:0.05% TFAを含むアセトニトリル)を使用した。最初は100%Aを1分間保持した。次いで、4分中に勾配を40%Aおよび60%Bまでかけた。典型的な注入用量2mLを使用した。オーブン温度は50℃であった(MSの極性:正)。
【0146】
方法2:
HPLC測定は、ポンプ、ダイオード−アレー検出器(DAD)(使用波長220nm)、カラムヒーターおよび下記に特定するカラムを備えたアジレント(Agilent)1100モジュールを使用して行った。カラムからの流れをアジレントMSDシリーズG1946CとG1956Aに分割した。MS検出器はAPI−ES(大気圧エレクトロスプレーイオン化)で構成されている。マススペクトルは、100から1000までを走査することにより獲得された。キャピラリー指針の電圧は、陽性イオン化モードについて2500Vで、陰性イオン化モードについて3000Vであった。フラグメンテーション電圧は50Vであった。乾燥ガス温度は10L/分の流れにおいて350℃に維持した。逆相HPLCはYMC−Pack ODS−AQ、流速0.8mL/分の50x2.0mm
5mmカラムにより実施した。2種の移動層(移動層A:0.1% TFAを含む水、移動層B:0.05% TFAを含むアセトニトリル)を使用した。最初は90%Aおよび10%Bを0.8分間保持した。次いで、3.7分中に勾配を20%Aおよび80%Bまでかけ、3分間保持した。典型的な注入用量2mLを使用した。オーブン温度は50℃であった(MSの極性:正)。
【0147】
方法3:
カラム:XTerra MS C18 2.5μ、4.6x50mm、移動層A:10mM NH
4OOCH+H
2O中0.1% HCOOH、移動層B:MeOH 流速1.
5mL/分を使用するカラム温度50℃において操作。勾配条件:t=0分:65%A、35%B;t=3.5分、5%A、95%B;t=5.5分:5%A、95%B;t=5.6分:65%A、35%B;t=7分、65%A、35%B。
【0148】
方法4:
カラム:SunFire C18 3.5μ、4.6x100mm、移動層A:水中、10mM NH
4OOCH+0.1%HCOOH、移動層B:MeOH 流速1.5mL/分を使用するカラム温度50℃において操作。勾配条件:t=0分:65%A、35%B;t=7分、5%A、95%B;t=9.6分:5%A、95%B;t=9.8分:65%A、35%B;t=12分、65%A、35%B。
【0149】
NMRスペクトルは、ブルカー エイヴァンス(Bruker Avance)400スペクトロメタ−により記録し、
1Hについては400MHzで操作する。ケミカルシフトは、ppmおよびHzにおけるJ値で提供される。多重度は、ダブレットについてd、トリプレットについてt、マルチプレットについてm、等の略号を使用して示す。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲル 60F
254(Merck KGaA)でコートされた5x10cmのアルミニウムシート上で行った。
【0150】
化合物はRSV阻害活性について試験した。式IaおよびIbに関連して結果を下記表1および2に表示する。
【0151】
【表1-1】
【0152】
【表1-2】
【0153】
【表1-3】
【0154】
【表1-4】
【0155】
【表1-5】
【0156】
【表1-6】
【0157】
【表2-1】
【0158】
【表2-2】
【0159】
【表2-3】
【0160】
【表2-4】
【0161】
【表2-5】