(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャップが開位置と閉位置の間で回転可能であり、前記キャップの開位置と閉位置の間での回転に応じて前記アクチュエータが前記ハウジングに対して回転することを特徴とする請求項1に記載の吸入器。
前記キャップが前記ハウジングに取り付けられ、前記マウスピースをカバーする閉位置と、前記マウスピースが現れユーザがマウスピースを通して吸入可能となる開位置との間で枢動自在であることを特徴とする請求項2に記載の吸入器。
前記位置合わせホイールは、前記キャップが前記ハウジングに対して開位置から閉位置に回転するのに応答して、前記ブリスターを動かすように回転して前記ブリスター穿刺部材と位置を合わせることを特徴とする請求項4に記載の吸入器。
前記キャップと前記アクチュエータは、前記キャップの開位置から閉位置への回転に応答して前記アクチュエータが前記ハウジングに対して回転するように、前記アクチュエータと前記キャップとを連結する協働手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の吸入器。
各々が穿刺可能な蓋を有しユーザによって吸入される一服の薬剤を含むブリスターのストリップをハウジング内に組み込んだことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の吸入器。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述したタイプの従来の吸入装置についての課題を解決するか、または実質的に軽減する吸入装置を提供しようとする。特に、本発明は、装置の全体的な寸法を大きく増加させることなく、多くの容量を収容できる比較的多数のブリスターを格納することが可能であり、既知の装置よりもかなり簡単な構造を有する装置を提供する。本発明の吸入装置はより安価に製造できるほか、作成、組み立ておよび操作もはるかに簡単なものとなるであろう。
【0012】
本発明によると、吸入器が提供される。この吸入器は、穿刺可能な蓋をそれぞれ有しユーザによって吸入される一服の薬剤を含有する複数のブリスターを収容するハウジングと、ユーザがこれを通して一服の薬剤を吸入するマウスピースと、各ブリスターを順次動かしてブリスター穿刺部材と位置合わせするよう動作可能なアクチュエータとを備える。ユーザがマウスピースを介して吸入するとき、ブリスター部材がブリスターの蓋を突き刺すようにアクチュエータを動作させることができ、これによりブリスターを通る気流が発生してその中に収容された薬が引き出され、ブリスターから出てマウスピースを通りユーザの気道へと入る。
【0013】
好ましい実施形態では、アクチュエータはハウジングに枢動自在に取り付けられ、一端がハウジングに枢動自在に取り付けられたアームを備えてもよい。ブリスター穿刺部材は一組の穿刺ヘッドを備えてもよく、この穿刺ヘッドは、アームがハウジングと実質的に突き合わさって位置する閉位置にあるときハウジングの孔を貫いて延びるように配置されたアームの一端からたれ下がり、孔と位置合わせされたブリスターの蓋を突き刺す。
【0014】
各穿刺ヘッドは、好ましくは第1切断要素と該第1切断要素の各端部を横方向に横切って延びる一組の第2切断要素とを備える。都合の良いことには、第1切断要素と第2切断要素はそれぞれとがった先端を有しており、第1切断要素の先端は、第2切断要素それぞれの先端を越えて延びる。第2要素は平行である必要はなく任意の便利な角度で第1切断要素から延びることができるが、理想的には、第2切断要素は互いに平行であり第1切断要素と直角に延びる。
【0015】
好ましい実施形態では、各穿刺ヘッドの近傍でアームに開口部が形成され、開口部の少なくとも一方はブリスター内部への気流引入口を形成し、開口部の少なくとも他方はブリスターから出る気流放出口を形成する。都合の良いことには、第2切断要素はアームの開口部の端すなわち周縁から直立し、第1切断要素は開口部を横切って延び、第2切断要素のそれぞれと接続する。
【0016】
有利なことには、マウスピースはアーム上にあり、穿刺ヘッドが延びる方向とは反対の方向に延び、アームの開口部はマウスピースの内部と連通している。アーム上に着脱自在に取り付け可能であるか、または製造中にアームに少なくとも個別に取り付け可能である個別の穿刺モジュール上に穿刺ヘッドを形成することも可能であるが、一実施形態では、マウスピース、アームおよび穿刺ヘッドは一体的に形成される。
【0017】
好ましくは、マウスピースは、アームの気流引入開口部と連通する外部空気流入口を有する第1室とアームの気流放出開口部と連通する第2室とを有し、ユーザがマウスピースを介して吸入するとき、外部空気流入口と第1室とを経由し気流引入開口部を通ってブリスター内部へ空気が引き込まれて一服の薬が気流に引き出され、引き出された薬が気流放出開口部を通ってマウスピースの第2室に入り、そこでユーザの気道に運ばれる。
【0018】
仕切り壁がマウスピース内を第1室と第2室とに分離してもよい。少なくとも一つの空気バイパス孔が仕切り壁を貫通して第1室と第2室とを連通させてもよい。ユーザが吸入するとき、ブリスターを通る空気に加えて第1室から第2室に空気が直接通過することができるので、マウスピースを通して吸入するのに必要な労力が削減される。
【0019】
各バイパス孔を通り第1室から第2室へ入る気流と、各気流放出開口部からの気流とが、互いに実質的に直角に合流するように各バイパス孔を構成してもよい。流れがある角度で出会うと、一服の薬の集積の分解(deagglomeration)を助け、吸入可能なエアロゾル(aerosol)の生成を助ける乱流の程度が増加する。
【0020】
好ましい実施形態では、吸入器は、ブリスター穿刺部材と位置が合うようにブリスターを移動させるインデクシング部材を有するインデクシング機構を備える。最も好ましくは、インデクシング部材は、ブリスターを移動させてブリスター穿刺部材と位置を合わせるように回転するホイールである。しかしながら、例えば、摺動部材または往復運動部材を組み込んだ機構などの他の構成が可能であることも認められよう。
【0021】
好ましい実施形態では、アクチュエータが一方向に回転するときブリスターストリップの送りが発生し、アクチュエータが反対方向に回転するときブリスターの穿刺が発生するように、吸入器が構成される。しかしながら、インデクシングホイールがアクチュエータのハウジングに対する一方向への回転に応答してブリスターを動かすように回転しブリスター穿刺部材と位置を合わせ、アクチュエータの同じ方向への移動が、ブリスター穿刺部材と位置合わせされたブリスターの蓋を突き刺すように動作可能となるように、本装置を構成してもよい。
【0022】
好ましくは、インデクシングホイールとアクチュエータは、アクチュエータが一方向に回転したときに係合してインデクシングホイールを回転させる協働手段を備える。
【0023】
一実施形態では、協働手段は、インデクシングホイール上の一組のラチェット歯とアクチュエータ上の駆動爪とを含む。
【0024】
有利には、ハウジングからぶら下がる手段は、アクチュエータの一方向への移動によるものインデクシングホイールの回転を実質的に防止する。
【0025】
一実施形態では、前記手段は、インデクシングホイールの凹みの一つの内部に延びる第1の弾性変形可能なアンチ回転爪をハウジングに備える。アクチュエータは、駆動爪がラチェット歯と係合するとき、凹みからアンチ回転爪を外してインデクシングホイールの回転を許す手段を備える。
【0026】
アクチュエータは駆動板を備えてもよく、第1アンチ回転爪を外すためのアクチュエータ上の手段は、駆動板から直立する解放ピンを備える。解放ピンは爪と係合して弾性的に爪を凹みの外に外し、インデクシングホイールの回転を可能にする。
【0027】
吸入器は、ハウジング上に第2弾性変形可能アンチ回転爪を備え、アクチュエータ上にカム部材を備えてもよい。カム部材は、第1アンチ回転爪が凹みの外に外されるとき第2アンチ回転爪上のカム表面と係合し、インデクシングホイールの所定の角度以上の回転を防止する。
【0028】
吸入器は、アクチュエータとマウスピースとを覆う閉位置と、アクチュエータとマウスピースとが現れユーザがマウスピースを通して吸入可能となる開位置との間で枢動可能にハウジングに取り付けられたキャップを備えてもよい。
【0029】
本発明の別の実施形態では、インデクシングホイールは、ハウジングに対するキャップの開位置から閉位置への回転に応答してブリスターを動かすように回転し、ブリスター穿刺部材と位置を合わせる。この実施形態は、マウスピースを越えて位置するキャップの開閉に応答して穿刺ステップとインデクシングステップとをさらに実行することによって、装置の操作を簡単にする。
【0030】
好ましくは、キャップとアクチュエータは、開位置と閉位置の間でのキャップの回転に応答してハウジングに対してアクチュエータが回転するように、アクチュエータをキャップに連結する協働手段を備える。
【0031】
協働手段は、カムガイドスロットをキャップ上に備え、カムガイドスロット内に摺動可能に配置されるカムフォロワをアクチュエータ上に備えてもよい。理想的には、カムガイドスロットは、キャップが閉位置から開位置に回転したとき、カムフォロワがカムガイドスロットに沿って移動してアクチュエータを回転させ、ブリスター穿刺部材が孔と位置合わせされたブリスターを突き刺させるような形状とされる。また、キャップが開位置から閉位置に回転したとき、カムガイドスロットに沿ってカムが戻り、アクチュエータを反対方向に回転させ、ブリスターから穿刺部材を引き戻すような形状とされる。さらに、キャップが閉位置から開位置への移動の終端に向かうまでアクチュエータが回転せず、また、キャップの開位置から閉位置への移動の初期にアクチュエータが回転するように、カムガイドスロットが構成されてもよい。
【0032】
好ましい構成では、インデクシングホイールとキャップはそれぞれギザギザのギア部材を備え、これは、開位置と閉位置の間でのキャップの回転によりインデクシングホイール上のギア部材が回転するように係合する。
【0033】
好ましくは、クラッチ部材がインデクシングホイール上のギア部材とインデクシングホイールとを連結し、キャップが開位置から閉位置に回転するときに、インデクシングホイールがそれに連結されているギア部材とともに回転して、後続のブリスターをブリスター穿刺部材と位置合わせするように移動させる。
【0034】
有利には、ハウジングは使用済みのブリスターを収容する室を有する。使用済みブリスター室はハウジングに取り付けられた蓋で覆われ、この蓋は使用済みブリスターを装置内に残るブリスターから取り除くことが容易になるよう開閉可能である。
【0035】
一実施形態では、ハウジングには分離要素が取り付けられ、これは使用済みブリスターの部分の取り外しを可能にするよう操作可能である。好ましくは、分離要素は、ブリスタースプリットをハウジングに対して押しつけるように動作可能であり、残りのブリスターからの使用済み部分の分離を容易にする弾性ブリスターグリップを有する。
【0036】
本発明の吸入器は、ハウジング内にブリスターのコイル状ストリップを組み込み可能である。各ブリスターは、穿刺可能な蓋を有し、ユーザによって吸入される一服の薬剤を含有する。
【0037】
本発明によると、本発明にしたがった吸入器を使用する方法も提供される。この方法は、アクチュエータを回転させてハウジングのブリスター穿刺部材と位置が合うようにブリスターを動かし、ブリスター穿刺部材と位置合わせされたブリスターの蓋を突き刺すステップと、マウスピースを介した吸入によりブリスターを通る気流を生成し、その中に含まれる一服の薬を引き出し孔を通ってマウスピースを経由してユーザの気道に運ぶステップと、を含む。
【0038】
アクチュエータを回転させるステップは、アクチュエータを第1の方向に回転させてブリスター穿刺部材と位置が合うようにブリスターを動かすステップと、吸入ステップが完了すると、アクチュエータを第2の方向に回転させて後続のブリスターを動かしてハウジングのブリスター穿刺部材と位置を合わせるステップと、を含んでもよい。さらに、アクチュエータを回転させるステップは、アクチュエータと連結されたキャップを回転させるステップを含んでもよい。
【0039】
本発明の別の態様によると、穿刺可能な蓋を有しユーザによって吸入される一服の薬剤を含むブリスターを収容するハウジングを備える吸入器が提供される。この装置は、ブリスターの蓋を突き刺して、ユーザがブリスターから装置を通してその中に含まれる薬を吸入可能とするブリスター穿刺ヘッドを備える。穿刺ヘッドは、該穿刺ヘッドがブリスターに進入するとき蓋に第1の線状スリットを切開するように構成された第1切断要素と、穿刺ヘッドがブリスターに進入し続けるとき第1切断要素によって形成された第1の線状スリットの各端部を横切って延びる第2の線状スリットを切開するように構成された、第1切断要素から横方向に延びる第2切断要素と、を備える。第1切断要素と第2切断要素は、穿刺ヘッドがブリスター内にさらに進入すると、穿刺ヘッドによって側方に折り込まれる一組のフラップを共同して蓋に形成する。
【0040】
吸入器は、わずか一つのブリスターを収容可能であってもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、吸入器はそれぞれが一服の薬剤を収納するブリスターのストリップを収容する。この場合、吸入器はブリスターストリップインデクシング機構を備えてもよい。この機構は、本発明の別の実施形態を参照して述べたのと同様に、各ブリスターが穿刺ヘッドにより突き刺されるような位置にブリスターストリップを順次送るように動作可能である。
【0041】
好ましい実施形態では、穿刺ヘッドは第2切断要素の組を備える。第2切断要素は互いに離間して配置されてもよく、第1切断要素は第2切断要素の組に取り付けられそれらの間に延びる。
【0042】
好ましくは、第1切断要素は刃で形成され、この刃の面は、穿刺の準備ができた位置で吸入器に配置されたブリスターの蓋によって占められる面と実質的に直角である。
【0043】
有利には、第1切断要素は、ブリスターの蓋に第1の線状スリットを切開するための鋭利な刃を有する。刃は、とがった先端に向けて先細になっており、第2切断要素の中間に配置されてもよい。
【0044】
第1穿刺要素の各端部を横切って第2穿刺要素が横方向に延びるように、第2穿刺要素が配置される。
【0045】
第2穿刺要素はそれぞれ刃で形成されてもよく、この刃の面は第1穿刺要素を形成する刃の面と実質的に直角に配置され、穿刺位置に配置されたブリスターの蓋と実質的に直角である。第1穿刺要素に関して、第2穿刺要素のそれぞれは鋭利な刃を有してもよく、ブリスターの蓋に第2の線状スリットを切開する。
【0046】
第2穿刺要素のそれぞれの刃は、とがった先端に向けて先細になっている。
【0047】
好ましい実施形態では、第2穿刺要素のそれぞれのとがった先端は、第1穿刺要素により占められる面に位置する。
【0048】
都合の良いことには、第2穿刺要素のそれそれのとがった先端は、第1穿刺要素と第2穿刺要素とが互いに出会う地点において、第1穿刺要素と同じ高さにある。
【0049】
別の実施形態では、第1切断要素は、各第2切断要素を第1切断要素の両側から横方向に延びる第1切断部材と第2切断部材とに分割する。
【0050】
好ましくは、第1切断部材と第2切断部材は互いに対してある角度で集まり、第1切断要素は、各第2切断要素上で第1切断部材と第2切断部材とが出会う地点から、第2切断要素の最上部から直立している。
【0051】
第2切断要素は、互いに向けて内方へ角度が付けられており、穿刺ヘッドがブリスターに進入するときブリスターの蓋のフラップの形成および折り込みを助ける。
【0052】
吸入器は、穿刺部材から直立する穿刺ヘッドの組を備えることが好ましい。
【0053】
好ましくは、第1切断要素と第2切断要素は、一つの部品に一体的に成形される。
【0054】
好ましい実施形態では、第2切断要素は、第1切断要素に対して90度の角度で該第1切断要素から横方向に延びる。しかしながら、第2切断要素が90度未満または90度以上の角度で第1切断要素から横方向に延びてもよいことは認められよう。
【0055】
好ましくは、第1切断要素は、第2切断要素のそれぞれを、第1切断要素から異なる距離だけ横方向に延びる第2切断部材に分割し、これによって、第1切断要素の一側から横方向に延びる第2切断部材によってブリスターに切開されたフラップを、第1切断要素の他側から横方向に延びる第2切断部材によってブリスターに切開されたフラップとは異なるサイズとする。
【0056】
本発明の任意の実施形態によると、穿刺部材は分離した穿刺モジュールを備えてもよい。このモジュールは別々に成形され、組み立てによって取り外し不可能に、または必要であれば、ユーザによる交換のためにアクチュエータから着脱自在に、アクチュエータに取り付けられる。都合の良いことには、穿刺モジュールは、第1穿刺ヘッドと第2穿刺ヘッドとがそこから直立する主本体部分を備える。
【0057】
好ましくは、穿刺部材の主本体部分を貫通する空気引入口と空気放出口とを備え、穿刺ヘッドの一つは空気引入口の周縁から下がって空気引入口を越えて延び、他の穿刺ヘッドは空気放出口の周縁から下がって空気放出口を越えて延びる。
【0058】
主本体部分は空気引入口の周りに凹み領域を有してもよく、穿刺ヘッドは凹み領域から空気引入口の周縁から下がる。
【0059】
好ましくは、空気放出口は、空気放出口の周縁から延びる穿刺ヘッドとは反対の方向に主本体から延びる放出管と連通する。
【0060】
好ましい実施形態では、空気放出管は、マウスピースの壁付き凹み内に穿刺ヘッドを配置する外面に形成された軸方向に延びるリッジを備える。
【0061】
有利には、リッジと壁付き凹みとの間に形成される空間が、患者がマウスピースを通して吸入するとき外部からマウスピース内部へ直接空気を直接流すためのバイパス空気溝となる。
【0062】
好ましい実施形態では、インデクシング機構は、ハウジングの孔を通り越してブリスターストリップ用の通路を画成するブリスターストリップ位置決めシャシーを備える。
【0063】
好ましくは、ブリスターストリップ位置決めシャシーから弾性変形可能なアームが延び、インデクシング機構は、ブリスターストリップがその上を通過する弾性変形可能なアームの自由端に回転自在に取り付けられたインデクシングホイールを備える
【0064】
インデクシングホイールは一組のスポークを備えてもよく、アクチュエータは、該アクチュエータがハウジングに対して開位置に枢動するとき第1のスポークと係合可能な駆動歯であって、インデクシングホイールをアクチュエータとともに回転させてブリスターストリップを位置決めする駆動歯を有する。
【0065】
好ましくは、インデクシングホイールが回転するとき該インデクシングホイールの別のスポークと係合するアンチ回転傾斜部をハウジング上に備え、この係合によってアームが変形してスポークがアンチ回転傾斜部から外れ、スポークが傾斜部から外れるとアームが非変形状態に復帰し、これによってインデクシングホイールの反対方向への回転が防止される。
【0066】
好ましくは、アクチュエータ上の駆動歯は、該アクチュエータが開位置から閉位置まで反対方向に回転するとき、駆動歯がインデクシングホイールの先行するスポークの上面を摺動するような形状とされる。
【0067】
都合の良いことには、各スポークの刃は、アクチュエータが開位置から閉位置まで回転するとき、駆動歯が刃の上を通過できるような形状とされる。
【0068】
一実施形態では、アンチ回転傾斜部に隣接するが離間して位置傾斜部が配置されてもよい。この場合、駆動歯は、該駆動歯がスポークの上面を摺動するときアームを弾性変形させるよう動作可能であってもよく、これによりアンチ回転傾斜部と位置傾斜部の間の空間にインデクシングホイールの別のスポークを延在させ、インデクシングホイールのいずれの方向への回転も防止する。
【0069】
添付の図面を参照して、例示のみを目的として本発明の実施形態を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明に係る吸入器の第1実施形態を
図1〜10を参照して説明する。この実施形態は、同一のアクチュエータを用いてブリスターを割り出して(index)ブリスターを穿刺する(pierce)、単純で使いやすい吸入装置を提供する。さらに、アクチュエータは、アクチュエータの同一のストロークまたは同一の回転方向の間、ブリスターを割り出してブリスターを穿刺する。
【0072】
図を参照すると、
図1は、アクチュエータ3が枢動可能に取り付けられたハウジング2を備える本発明の第1の実施形態による吸入器1を示す。キャップ4は、ハウジング2の上端に一体的にヒンジ結合され、
図1に示す閉位置と
図2に示す開位置との間で枢動し、アクチュエータ3と一体的に形成されアクチュエータ3から直立するマウスピース5にアクセスできるようにする。キャップ4が閉じられるとマウスピース5を完全に覆ってマウスピースを保護し、その汚染を防止し、または、装置が使用されたときに吸入され得るハウジング2内部へのほこりの進入の可能性を防止する。
【0073】
吸入器1は、それぞれが吸入用の粉末薬剤の前もって計量された一服分を収納する防湿ブリスター(
図13を参照)のストリップ6とともに使用することが意図されている。ストリップ6の各ブリスター6aは、全体として半球形状のポケット6bと、ポケット6bを恒久的に熱シールして内部の薬を密封する平坦な穿刺可能な蓋6cとを含む。ストリップ6は、箔のラミネートで製造されるか、またはアルミニウム等の箔のラミネートとプラスチック材料の組み合わせで製造されることが好ましい。
【0074】
好ましい実施形態では、ブリスターはベースと蓋からなる。ベース材料は、薬と接触するポリマー層と、柔らかく調整されたアルミニウム層と、外部ポリマー層とを含む積層体である。アルミニウムは、水分と酸素に対するバリアを提供する一方、ポリマーは薬と接触する比較的不活性な層を提供する。柔らかく調整されたアルミニウムは延性を有するので、ブリスターの形状へと「冷間成形」することが可能である。それは、典型的には45μmの厚さである。外側のポリマー層は、積層体にさらなる耐久性を与える。蓋の材料は、ヒートシールラッカーと、硬い圧延アルミニウム層(典型的に20〜30μm厚)と、外部のラッカー層とからなる穿刺可能な積層体である。ヒートシールラッカーは、ヒートシールの間、ベースの箔ラミネートのポリマー層に接着する。薬と接触するポリマー層の材料は、ボリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)を含む。PEの場合、箔の蓋のヒートシールラッカーは、PEの別の層と置換される。ヒートシールすることで、PEの二つの層が溶けて互いに融合する。ベース箔上の外部ポリマー層は、典型的に配向ポリアミド(oPA)である。
【0075】
アクチュエータ3は、ハウジング2に枢動可能に取り付けられた一端を有するレバーアーム7を備える。レバーアームは、
図1、
図2、
図4に示す閉位置から
図3に示す開位置にハウジングを回転することができる。
図3から分かるように、ハウジング2はその内部に孔8を有する。孔8は、アクチュエータ3が閉位置にあるときレバーアーム7から延び、ハウジング2の内部で孔8の直下に配置されたブリスターの蓋6cを貫通する、一対の穿刺ヘッド9を含む穿刺部材を受け入れる。
【0076】
穿刺ヘッド9の形状は、
図8Aを参照して説明する。ブリスター6aの蓋6cに作られる孔は、十分な断面積および形状をなし、ブリスター6aを通して空気の自由な流れを促進しなければならず、また、ブリスター6aの内部容量の全てが気流によって掃き出され、その結果全てまたは実質的に全ての薬が伴出されてブリスター6aから運ばれなければならないため、穿刺ヘッドの形状は重要である。各穿刺ヘッド9は、平坦なブレード状の中央歯すなわち第1切断要素10と、一対の平坦なブレード状の端部歯すなわち第2切断要素11とを有する全体として「H」字状の要素である。第2切断要素11は、第1切断要素10の各端部を横切って延びる。第1切断要素10と第2切断要素11は、とがった先端に向けて先細になっている。第1切断要素10のとがった先端10aは、その中心、すなわち第2切断要素11の中間に位置してもよい。しかしながら、例えば、穿刺ヘッド9の接近の角度が箔に対して直角でないときに正確な穿刺が容易になるように、とがった先端10aが、他の第2切断要素11よりも第2穿刺要素の一つに近接するように第1切断要素10を形成することが有利である。第2切断要素11のそれぞれの高さは、第2切断要素11のとがった先端11aが第1切断要素10の刃と同じ高さになるようにされ、ここで第1切断要素10と第2切断要素11とが出会う。したがって、第1切断要素10aのとがった先端10aは、第2切断要素11のそれぞれのとがった先端11aよりも上にあり、第1切断要素10がブリスターに第1の線状スリットを切り開くか、または少なくとも切開を開始した後に、第2切断要素11のいずれかがブリスターへの第2の線状スリットの切開を開始する。第1切断要素10および第2切断要素11それぞれの上端は、ブリスター6aの蓋6cをたやすく貫き切断できるように鋭くなっている。
【0077】
図8Aで分かるように、各穿刺ヘッド9の第2切断要素11は、レバーアーム7の孔12の両側から直立し、穿刺部材9を用いてブリスター6bの蓋6cに作られた穴を経由し、アーム7を通ってブリスター6bの内部に、およびブリスター6bから外に空気を流すことができる。第1切断要素10は、第2切断要素11のそれぞれに取り付けられ、それらの間に支持される。第1切断要素は孔12を横切って延び、したがってレバーアーム7には直接取り付けられていない。
【0078】
図8Bは、ブリスター6aのストリップ6の短い部分を表し、
図8Aを参照して述べた穿刺要素9のそれぞれがブリスター6bの蓋6cに切り開いた開口部の形状およびサイズを示す。第1切断要素10は、最初に蓋6cを貫通し(
図8Bの点A)、ブリスター6aに進入するにつれて、矢印「B」で示すように、各第1切断要素10よって二つの線状切れ目すなわちスリットが作られる。穿刺ヘッドがブリスターにさらに進入すると、第2切断要素11がブリスター6aを貫通し、矢印「C」で示すように、第1穿刺要素10によって形成された第1線状切れ目に直角の線状切れ目の各端部に、さらなる線状切れ目が作られる。これらの切れ目はフラップ12aを作り出す効果を有し、穿刺ヘッド9がブリスターの内部にさらに進入するにつれて、フラップはブリスター6aの中に折り返される。これらの穿刺ヘッド9は、ブリスター6aの蓋6cの表面積の30%から50%に及ぶ開口部を形成することができる。例えば、
図27の実施形態では、ブリスターの蓋の面積は67mm
2であり、穿刺具は29mm
2の面積を開口したが、これは蓋の表面積の43%に相当する。
【0079】
図4に示すように、ハウジング2の側面にカバー13が枢動可能に取り付けられ、ハウジング2の壁面のスロット14を通って送り込まれる使用済みブリスター6dを受け入れる空間を取り囲む。カバー13の内部の空間は、いくつかの使用済みブリスター6bをその中に収容するのに十分な大きさがある。また、弾性があり柔軟性があるブリスターグリップ15がハウジング2から延び出し、ハウジング2に残るブリスター6からいくつかの使用済みブリスター6dを取り除くことを容易にする。使用済みブリスター6dの部分を取り除くために、ブリスターグリップ15をストリップ6に押しつけて、グリップ15とハウジング2の側壁との間にストリップ6を挟む。こうして、ハウジング2から引き出されてしまいがちなブリスターストリップ6の残りの部分に不注意に過度の力を与えることなく、使用済みブリスター6dの見える部分を手でつかんで引きちぎり、廃棄することができる。
図10Aないし
図10Cは、吸入器1の三つの正面断面図を示す。
図10Aでは、スロット14を通して突き出る空のブリスター6dはない。
図10Bでは、装置が二回以上作動され、したがって二つの空のブリスター6dがスロット14を通っている。
図10Cでは、ブリスターグリップ15が矢印「A」の方向にハウジングに対して押しつけられ、二つの空のブリスター6dを矢印「B」の方向に引っ張ることで、空のブリスター6dを引き離すことができる。
【0080】
カバー13は不可欠なものではなく、ハウジング2の壁面の孔14から使用済みブリスター6dが現れたら直ちに使用済みブリスターを取り除いてもよいことはいうまでもない。別の実施形態では、除去すべき使用済みブリスター6dの部分に対して押しつけてそれらの切り離しを容易にするように、刃または鋸歯などの切断器具(図示せず)を吸入器1が備えていてもよい。好ましい構成では、刃はブリスターグリップ15に取り付けられブリスターグリップから延び出してもよく、刃をハウジング2に対して押しつけて、ブリスターグリップ15とハウジング2との間に位置するストリップ6dを切断する。さらに別の実施形態では、吸入器1は、使用済みブリスターストリップ6dの全体を除去可能とするために、使用済みブリスターストリップがその周りに巻き付けられる巻き取りスプールを持つことができるより広い内室を備えていてもよい。こうすると、ブリスター6aの短い部分が使用されるたびにストリップ6dの一部を切り離す必要がなくなる。しかしながら、装置をできるだけ小型にするために、使用済みブリスター6dの少なくとも一部を装置から容易に取り除くことができる一方で、未使用のブリスターが内部に残る構成を提供することが好ましい。
【0081】
図5を参照して、ハウジング2は、全体として円筒形状の室20を備える。室20は、吸入器1を用いて搬送される予め計量された一服の薬剤をそれぞれ収容するブリスター6のコイル状ストリップすなわち巻き取りストリップを収容する。ストリップ6の先端6eは、ブリスター送り込み通路21に収容される。ブリスター送り込み通路21は、ハウジング2の孔8と隣接し孔8と連通する全体として円筒形の空洞22内で開口している。空洞22は、インデクシングホイール23を回転可能に収容する。使用済みブリスター送り出し通路30は、円筒形の空洞22から延び、ハウジング2の壁面の孔14につながる。
【0082】
室20は、ハウジング2の一部を形成するカバー(
図5には示さず)を有する。吸入器1の内部へのアクセスを可能にして、新たなブリスターのストリップをその中に挿入できるようにするために、カバーはハウジング2の残りの部分に着脱自在に取り付けられることが好ましい。しかしながら、装置を使い捨てユニットとして作成することも考えられる。この場合、組み立て中にブリスターストリップ6を装置に組み込み、取り外しできないようにカバーを取り付ける。ストリップが使い果たされると、装置の全体が廃棄される。装置の構造を単純にして独立した部品を比較的少なくすれば、装置を非常に安価に製造することができ、使い捨ての装置も現実的な提案となる。
【0083】
インデクシングホイール23は、全体として円筒形状の部材であり、外面に沿って長手方向に回転軸と平行に延びる一組のブリスター受け入れ溝すなわち凹み24を有する。溝24はそれぞれ、インデクシングホイール23の回転につれてその内部にブリスター6aを受け入れるような形状とされるが、これについては詳細に後述する。
図13に示すブリスターの組の中心線間の距離「d」に等しいピッチだけ、凹み24は離間される。インデクシングホイール23が回転すると、ブリスター送り通路21を通りインデクシングホイール23を越えて延びるストリップ6が引き出され、孔8のすぐ反対側に位置するインデクシングホイール23の凹み24内にブリスター6aが配置される。これについては詳細に後述する。アクチュエータ3の一方向への回転に応答してインデクシングホイール23が回転可能となるように、インデクシングホイールの一端面に、アクチュエータ3と連携するラチェット歯25が形成される。これについては、簡単に後述する。各歯25は、円弧形状の傾斜部26と肩部27で構成される。ストリップ6がインデクシングホイール23によってしっかりと保持され、孔8の反対にある凹み24内に各ブリスター6aをぴったりと受け入れ保持する一方、インデクシングホイール23を回転させて装置を通したブリスターストリップ6の送りを可能にするために、インデクシングホイール23は円筒形の空洞22内にぴったりと収まる。インデクシングホイール23が回転すると、使用済みブリスター6dは使用済みブリスター送り通路30を下って空洞22から送り出され、スロット14を通ってハウジング2から送り出される。
【0084】
駆動板27aは、レバーアーム7の長手端部から下がり、アクチュエータ3が開位置から閉位置へと回転する間、インデクシングホイール23のラチェット歯25と協働する駆動爪28を保持する。駆動爪28は、U字形のスロットを切り込むことによって駆動板27aと一体的に形成され、駆動爪28がそこから直立する弾性変形可能なタブ29を形成する。
【0085】
マウスピース5は、アクチュエータ3のレバーアーム7と一体的に形成され、穿刺ヘッド9が延びる面とは反対側の面から直立する。マウスピース5の内部は
図9の断面図で見ることができ、分離壁33によって第1室31と第2室32とに分割されている。レバーアーム7と接続するか、またはレバーアーム7となる場所に近接するマウスピース5の側壁にある外部空気引入オリフィス34は、第1室31と連通する。第1室31は、穿刺ヘッド9に近接して形成されたレバーバーム7にある孔11aの一つとも連通する。第2室32は、マウスピース5の内部容積の主要部を占め、レバーアームにあるもう一方の孔11bと連通する。バイパス孔35は、分離壁33を貫通して第1室31と第2室32とを連通させるが、この理由はいずれ明らかとなる。
【0086】
装置を通るブリスターストリップ6の通路およびブリスターストリップ6を室20内に配置する方法は、
図7に最も明瞭に表されている。ブリスターストリップ6のコイルは室20内で緩やかに巻かれているので、インデクシングホイール23が回転すると、インデクシングホイール23によってストリップの先端6eに加えられた引く力に応答して、ブリスターストリップ6が解きほどかれることが認められよう。
【0087】
作動部材3の回転によるもの以外のインデクシングホイール23の回転を防ぐために、ハウジング2は、アンチ回転爪37を担持する一体的に形成された弾性のある可撓性アーム36を備えている。
図6に示すように、アンチ回転爪37は、通常、ブリスター6aによって占有されていないインデクシングホイール23の凹みの一つに位置している。インデクシングホイール23と爪37の係合により、インデクシングホイール23の回転を防止する。アーム37と係合する駆動板27aからは解放ピン38が直立しており、アクチュエータ3がその全開位置に接近すると、凹みから爪37を押し出してインデクシングホイール23の回転を可能にする。
【0088】
爪37が凹み24から外されると、ブリスターストリップ6はハウジング2から引き出されうる状態になる。これを防止すべく、ハウジング2には、第2の弾性変形可能なアンチ回転爪39が備えられる。第2のアンチ回転爪39は、その上にカム面40を有し、カム面40は、第1アンチ回転爪37がインデクシングホイール23の凹み24から押し出されるとアクチュエータ3のカム部材41によって係合される。したがって、第2アンチ回転爪39が引っかけられ、インデクシングホイール23の別の凹み17の中に突き出される。これにより、インデクシングホイール23が約45度以上回転することを防止し、したがってストリップ6は、ブリスターの幅のおよそ半分だけしか装置から引き出されなくなる。
【0089】
以上の説明から、本発明の実施形態による吸入装置は、比較的少数の部品からなり非常に単純な構造を有することが認められよう。キャップ4が一回の成形でハウジング2と一体的に形成され、アクチュエータ3がマウスピース5、穿刺ヘッド9、駆動板27aおよび駆動爪28と別の成形で一緒に形成されるとすると、装置は、わずか4つ、5つまたは6つの成形プラスチック部品で形成することができる。
【0090】
次に、吸入器1の動作を説明する。吸入器1が使用中でないとき、キャップ4とレバーアーム7は、ともに閉位置にある。閉位置では、キャップ4はマウスピース5を覆い、レバーアーム7はハウジング2の側面に対する位置にある。このとき、穿刺ヘッド9はハウジング2の孔8を貫通し、孔8の直下に横たわる既に使用されたブリスター6dの中に閉じこめられる。第1アンチ回転爪37と第2回転爪39は、インデクシングホイール23のいずれの方向への回転も防止し、したがってブリスターを適所に配置する。
【0091】
キャップ4が開けられると、レバーアーム7は
図3に示す位置に枢動可能となる。レバーアーム7が枢動すると、駆動板27a上の駆動爪28がインデクシングホイール23の端部のラチェット歯の一つを形成する傾斜部26をずり上がり、したがって、インデクシングホイール23の回転は起こらない。
図3に示すような全開位置に達すると、駆動爪28は傾斜部26の端に到達し、対応する肩部27の面に対して下に落ちるので、アクチュエータ3が開位置から閉位置まで反対の方向に回転すると、駆動爪28と肩部27との係合によって、インデクシングホイール23が回転する。レバーアーム7が完全に開かれずにその後閉位置に戻されると、駆動爪28は下に落ちず、傾斜部26の最上部で肩部27と係合するので、インデクシングホイール23は回転しない。
【0092】
レバーアーム7が全開位置に達する直前に、駆動板27a上の解放ピン38は、第1アンチ回転爪37が延び出しアンチ回転爪37を外すアーム36と係合し、アンチ回転爪37をインデクシングホイール23の凹み24から外へ動かす。したがって、レバーアーム7が反対方向に回転すると、インデクシングホイール23が回転可能となり、ストリップ6を位置決め可能となる。同時に、カム部材41は第2のアンチ回転爪39のカム面40と係合し、それを適所にロックして、ストリップ6がブリスター6bの幅のおよそ半分以上は吸入器1から引き出されないようにする。
【0093】
レバーアーム7が閉位置に戻されると、駆動爪28とインデクシングホイール23上の肩部27とが係合する結果、インデクシングホイール23は90度まで回転する。レバーアーム7がその閉位置へと戻る一方で、アンチ回転爪37、39は本来の位置へと復帰し、インデクシングホイール23を適所にロックする。インデクシングホイール23のこの回転により、ハウジング2の孔8の真下の位置に次のブリスター6bが運ばれる。
【0094】
レバーアーム7の閉位置への戻りストロークの最終段階において、穿刺ヘッド9がハウジング2の孔8を通り抜け、インデクシングホイール23によってその位置にちょうど移動してきたブリスター6aの蓋6cを突き刺す。そして、これから説明するように、一服の薬の吸入が準備される。
【0095】
ユーザがマウスピース5を介して吸入するとき、
図9に矢印「X」で示すように、第2室32内に作り出された低圧領域によって、外部空気引入口34から第1室31およびレバーアーム7の気流開口部11aを経由し、ブリスター6aを通る空気が引き込まれる。ブリスター6bを通るこの気流により、ブリスター内に含まれた一服の薬が引き出されて第2室32内へと運ばれ、そこから患者の気道へと入る。
【0096】
レバーアーム7の孔11bを通り穿刺要素9の周辺で発生した乱流の気流は、一服の薬を散乱させ、呼吸可能なエアロゾル(aerosol)を作り出すのに役立つ。第1室31と第2室32の間の分離壁33の空気バイパスオリフィス35は、装置にわたる全体の圧力降下を低減して、患者が容易に吸入できるようにする。また、第2室32の乱流も増加させる。特に好ましい構成では、バイパスオリフィス35は、
図9に「Y」で示すように、そこを通る気流が、ブリスターから第2室32へと進入する気流と正接にすなわち直角に交わるような位置に配置され、サイクロン効果(cyclonic effect)すなわち分散(deagglomeration)を助ける気流の乱流を増加させる効果を生み出す。
【0097】
既に説明したように、装置を複数回使用したらサイドカバー13を開き、使用済みブリスターの見える部分6dを装置内に残る部分から切り離してもよい。
【0098】
次に、本発明による吸入器の第2実施形態を
図11および
図12を特に参照して説明する。本実施形態では、キャップを開いたときにブリスターに穴が開けられ、キャップを閉じたときにハウジングの孔の下の位置に次の未使用のブリスターを移動させるように、マウスピースを覆うキャップにアクチュエータが結合されている。これにより、ユーザがキャップを開いた後にアクチュエータを回動させてブリスターの割り出しと突き刺しを行う必要のない、操作が非常に簡単な装置が提供される。
【0099】
図11の分解図を参照すると、吸入器1は、インデクシングホイール23のラチェット歯がギザギザの歯車40と置換されている点を除いて、第1実施形態を参照して述べた装置と同様である。ギザギザの歯車40は、一方向すなわちクラッチ機構(図示せず)を介してインデクシングホイールに取り付けられ、インデクシングホイール23が歯車40とともに一方の回転方向にしか回転しないようにする。インデクシングホイール23に対する反対方向には、歯車は自由に回転する。
【0100】
アクチュエータは、第1実施形態のアクチュエータ3と同様の構造を有し、マウスピース5を持つレバーアーム7と、レバーアーム7の反対側から直立する穿刺ヘッド9とを備える。しかしながら、本実施形態では、ユーザはアクチュエータ3を直接回動させない。代わりに、ハウジング2に枢動可能に取り付けられる端と反対の遠端に近接するレバーアーム7の側面から、カムピン41が突出する。カムピン41は、ハウジング2の側面に枢動可能に取り付けられたキャップ43の内面の同じ端に形成されたカムトラックすなわち溝42に配置される。しかし、カムピン41は、アクチュエータ3がハウジング2に枢動可能に取り付けられた位置から離して配置される。キャップ43は、キャップ43とともに回転するためにキャップ43に取り付けられたギザギザの歯車43も担持する。歯車43は、インデクシングホイール23の歯車40と噛み合った状態で配置される。
【0101】
第1実施形態を参照して既に述べたように、第2実施形態による吸入装置も、比較的少ない部品でなる非常に簡単な構造を有する。例えば、歯車44をキャップとともに一体的に形成し、アクチュエータ3をマウスピース5および穿刺ヘッド9とともに形成すれば、装置全体をわずか4つ、5つまたは6つの成形プラスチック部品から形成することができる。
【0102】
部品数が少なくまた装置が単純であるため、ブリスター用の格納空間を装置内部により多くとることができ、これによって、ブリスターを補充または交換しなければならない頻度が低下する。本発明の装置は、1服から100服を保持する容量を有することを意図している。しかし、1服から60服を保持する容量があることが好ましく、30服から60服の間が最も好ましい。各ブリスターの内容量は、1μgから100mgの間であってよい。しかしながら、内容量は1mgから50mgの範囲であることが好ましく、10mgから20mgの間が最も好ましい。その簡単さのために、収納しているブリスターの全てを使い果たしたら装置が使い捨てられてもよいことは認められよう。この場合、混入を防止するために、取り外しのできない密封筐体としてハウジングを形成してもよい。
【0103】
次に、第2の実施形態による吸入器の動作を特に
図12Aおよび
図12Bを参照して説明する。
図12Aから分かるように、キャップ43を閉じると、キャップ43のカムトラック42に位置するカムピン41によって、ハウジング2の孔8からアクチュエータ3の穿刺ヘッド9が離れる。アクチュエータ3のいかなる動きも生じさせることなく、キャップ43がハウジング2に対して最初に少なくとも90度だけ枢動できるように、カムトラック42を形作ることが好ましい。これによって、ブリスター6aを突き刺すことなく、マウスピース5の検査または清掃が可能になる。しかしながら、キャップ43がハウジング2に対して90度を越えて回転すると、カムピン41がトラック42によりガイドされて、
図12Bで示す位置にアクチュエータ3を枢動させる。この位置において、穿刺要素9がハウジング2の孔8を貫通し、ハウジング2内部の孔8の直下に位置するブリスター6bを突き刺す。この段階で、一服の薬がマウスピース5を通して吸入可能になる。
【0104】
キャップ43が開くにつれて、キャップ43の歯車44との係合により歯車40が回転する。しかしながら、一方向クラッチ機構のため、キャップ43が開くときインデクシングホイール23は回転せず、歯車40はこの最初の方向に回転する。しかしながら、キャップ43が反対方向に回転すると、すなわち開位置から後に吸入が続く閉位置へと回転すると、歯車40の駆動がインデクシングホイール23に伝達されてインデクシングホイールが回転し、次のブリスター6aを孔8と合う位置に移動する。キャップ43の開位置から閉位置までの最初の移動の間、アクチュエータ3は、カムトラック42内のカムピン41の係合のために最初に枢動し、その結果穿刺要素9は孔8の外に持ち上げられ、
図12Aに示す位置に戻される。
【0105】
いずれの実施形態においても、ユーザが使用済みのまたは装置内に残る薬の数を監視できるようにするために、ハウジング2に開口部または孔を設け、開口部または孔を通して読み取り可能な番号を各ブリスター6aに印字しておいてもよいことは認められよう。これにより、従来の装置においてしばしばみられた複雑な服用数カウント機構の必要がなくなる。代替的に、装置内に残っているブリスター6の数をハウジング2の壁を通して明瞭に観察できるように、ハウジング2の全体または一部を透明の材料で形成してもよい。
【0106】
図13に示すように、本発明の吸入器1とともに用いられるブリスターストリップ6は、ブリスター6aの互いからの分離を容易にするべく、刻み目、切れ目50または他の壊れやすい機構を有していてもよい。代替的に、または壊れやすい機構に加えて、ブリスターストリップ6の端に、ストリップを破りやすくするための切り欠き51を各ブリスター6aの間に有していてもよい。
【0107】
次に、装置の別の実施形態を
図14Aないし
図19を参照して説明する。装置のこのバージョンは、収納可能なブリスター数に比してサイズが小さくなるという特定の利点を有する。穿刺ヘッドが貫通するハウジングの孔に近接して自身の空洞内にインデクシングホイールを配置する代わりに、インデクシングホイールは、ヒンジと一体的に構成されてもよい。ヒンジは、作動レバーをハウジングに枢動可能に接続する。これにより、ハウジング内のより広い空間をブリスターの格納のために解放する。図面から分かるように、装置は少なくとも60個のブリスターのコイルを収納することができる。
【0108】
図14Aおよび
図14Bを参照して、本実施形態による吸入器の二つの斜視図が示されている。吸入器50は、第1実施形態の吸入器1と類似しており、アクチュエータ52を有するハウジング51を備える。アクチュエータ52は、一端でハウジング51に枢動可能に取り付けられたレバーアーム53の形態をとる。穿刺部材は、一対の穿刺ヘッド54を備える。
図14Aに示すように、穿刺ヘッド54はレバーアーム53から延び出し、レバーアーム53がハウジング51に実質的に対面して位置する閉位置にアクチュエータ52があるとき、ハウジングの孔55内に配置される。キャップ56はハウジング51に枢動可能に取り付けられ、吸入器が使用されないとき、マウスピース57をカバーするように動作可能である。
【0109】
第1実施形態および第2実施形態と同様に、マウスピース57はレバーアーム53と一体であるが、マウスピース57は、口の中に配置される管状部分ではなく、唇をつける三角形または半円形の断面を有する。マウスピースの形状およびマウスピース内の気道構造は、
図17の断面図に示されている。気道構造が第1実施形態および第2実施形態を参照して述べた気道の構造と非常に類似していることが認められ、したがって、ここではさらなる説明はしない。しかしながら、ブリスターが穿刺される領域から離れてインデクシングホイールが配置されるので、突き刺すべきブリスターは、ブリスター支持ブロック58で支持されている(
図17を参照)ことが認められよう。
【0110】
本実施形態では、レバーアーム53がその回りを枢動するヒンジと一体的にインデクシングホイールが作成され、レバーアーム53と同一の軸回りを回転するという点を除き、装置50は、第1実施形態および第2実施形態を参照して既に説明したラチェット機構を組み込んだインデクシングホイール(図示せず)を備える。
【0111】
キャップ56が開けられ、レバーが閉位置(
図14A参照)から開位置(
図14B参照)に枢動すると、インデクシングホイールとレバー53の間のラチェット機構の係合のために、レバーとともにインデクシングホイールが回転し、これによりブリスターを孔55と整合する位置に引き出し、ブリスター支持ブロック58内に配置する。しかしながら、レバーを閉位置に戻すと、ラチェット機構のためにインデクシングホイールは回転せず、ブリスターストリップは静止し続ける。インデクシングホイールとハウジングの間の第2ラチェット接続は、インデクシングホイールの逆方向の回転を防止する。戻りストロークの最終部分の間、穿刺要素54は孔55を貫通し、位置合わせされたブリスターの蓋を突き刺す。そして、一服の薬をマウスピース57を通して吸入する準備ができる。
【0112】
前述の実施形態を参照して説明したように、装置は使用済みのブリスターを収容する室を組み込んでもよい。しかしながら、これは不可欠なものではなく、使用済みのブリスターが装置から単に排出されてもよい。切断刃59(
図16を参照)が開口部から延び出していてもよい。使用済みのブリスターに図中の矢印で示す方向で刃を押しつけることによって、使用済みのブリスターを引きちぎることができる。切断刃は、分離を容易にするためにギザギザにされていてもよい。ブリスター内に位置する穿刺ヘッドによって、装置の外にストリップが引き出されることが防止され、ストリップを適所に固定することに注意されたい。
【0113】
穿刺刃と同様に、中実のピンまたは中空のピンを含む、穿刺部材の任意の構成を使用できることは認められよう。しかしながら、例えば、ブリスター内に渦を巻く気流を導入することによってブリスター内の気流を強化して、薬の引き出しおよび拡散を補助する特徴を含むことが望ましい。次に、本発明の任意の実施形態とともに利用可能であり、ブリスター内へのより自由な空気の流れを可能にする穿刺ヘッド60の一特定構成を、
図18および
図19を参照して説明する。
【0114】
図18から分かるように、穿刺部材60は、レバーアームと一体であることが好ましい。レバーアームは、ブリスター内へ空気を流し、またブリスターから薬と一緒に空気を出させるための一対の孔61を有している。穿刺部材60は、一対の穿刺ヘッドを備える。各穿刺ヘッドは、互いに離間して配置され、とがった第1切断要素63から横方向に延びる一対の第2切断要素62を備える。第1切断要素63は第2切断要素62に取り付けられ、第2切断要素62の間に延びる。第1切断要素62および第2切断要素63は、レバーアーム53の開口部61の一つにわたって延びる。
【0115】
第2切断要素62はそれぞれ、第1切断要素63の両側から横方向に延びる第1切断部材62aと第2切断部材62bとに分割される。第1切断部材62aと第2切断部材62bは、レバーアームから上方に角度を付けられており、第1切断要素は、各第2切断要素62の第1切断部材62aと第2切断部材62bとが出会う地点で、第2切断要素62から直立している。第2切断要素62は互いに向けて内側に傾いており、そのため中央の穿刺部材63は側面がダイアモンド形状となっている。
図19Aに示すように、側面の歯はブリスター内への気流を制限するが、
図19Bに示すように、側面が開いた構造とすることによって、
図8Aの穿刺部材の構成と比較してより多くの空気をブリスターの側面の回りに流すことができる。
【0116】
本発明の穿刺具の寸法を、ブリスターの異なるサイズおよび形状に合わせて選択されてもよいことは認められよう。さらに、穿刺具の数および配置は、本発明の範囲内で変更可能である。例えば、より大きなブリスターであればより大きな穿刺具の対を備えてもよいし、またはより小さな穿刺具を複数対備えてもよい。例えば、二つの穿刺具が空気流入口を開け、二つの穿刺具が空気流出口を開けるようにしてもよい。
【0117】
本発明の穿刺具の使用は、本実施形態に述べる吸入器に限定されず、穿刺可能なブリスターを備える任意の吸入器とともに使用可能であることは認められよう。
【0118】
図20ないし
図26を参照すると、これから詳細を説明する本発明の別の実施形態が示されている。
【0119】
この実施形態によると、吸入器70は、アクチュエータ72を有するハウジング71を備える。アクチュエータ72は、ハウジング71に枢動可能に取り付けられ、
図20ないし
図22に「A」で表す線で示される軸の回りをハウジング71に対して回転する。キャップ73はハウジング71に枢動可能に取り付けられ、
図20に示す開位置と閉位置との間で移動可能である。閉位置では、キャップ73はマウスピース74を覆ってマウスピースを保護するとともに、マウスピース74を通ってハウジング71の内部にほこりが侵入することを防止する。
【0120】
図21では、アクチュエータ72が
図20で示す閉位置から軸「A」の回りに枢動して完全な開位置にされており、穿刺部材が出現している。穿刺部材は、一対の穿刺ヘッド75を備え、アクチュエータ72から直立している。アクチュエータ72が閉位置にあるとき、穿刺ヘッド75はハウジング71の孔76を貫通している。指グリップ77がアクチュエータ72のフロントリップ内に一体的に成形されており、開位置と閉位置の間でのユーザによるアクチュエータ72の移動を容易にする。
【0121】
前述の実施形態と同様に、ハウジング71はブリスターのコイル状ストリップ78(
図23を参照)を収納し、一つのブリスター78a(
図21を参照)が突き刺し位置に配置され、この位置において孔76を通して視認可能である。ストリップ78の各ブリスターには番号が付けられ、穿刺位置に配置されたブリスターの番号も孔76を通して視認可能であることに注意されたい。孔76の一端には切り抜き部79(
図21を参照)が設けられており、アクチュエータ72が開位置にあるとき、ユーザはブリスター78aの番号を見ることができる。
【0122】
図4の実施形態を参照して既に述べたように、カバー80はハウジング71に枢動可能に取り付けられ、ハウジング71の壁面に形成されたスロット81(
図23を参照)を通して送り込まれる使用済みブリスター78bを受け入れる空間を取り囲んでいる。カバー80によって取り囲まれる空間は、一度に少数の使用済みブリスター78bのみを収容するのに十分な大きさしかなく、使用済みブリスター78bの部分を、ハウジング71内に残る未使用のブリスター78の部分から定期的に取り除かなければならない。本実施形態では、
図22に示すように、カバー80はハウジング71に対して枢動可能にヒンジ結合され、ハウジング71から出る使用済みブリスター78bの移動方向と実質的に平行な軸の回りを回転する。カバー80を閉じたときでも、カバー80とハウジング71との間には隙間(図示せず)があるが、これは、空間が一杯となったときにユーザが使用済みブリスター78bのストリップを取り除かない場合に、使用済みブリスター78bがこの隙間を通って通過してハウジング71の外に突き出すためである。
【0123】
図23および
図25から分かるように、ハウジング71は二つの部分で形成されることが好ましい。これらの部分は、全ての実施形態と同じく、ポリプロピレンなどの半透明のプラスチックで形成されてもよく、適切に配置され一体的に鋳造されたクリップイン装着ピン(図示せず)を用いてつなぎ合わされる。クリップイン装着ピンは、対応する装着ポスト83と協働する。
図23に示す装置の側面図では、ハウジング71を通るブリスターのコイル状ストリップ78の配置および経路が装置の内部部品とともにはっきりと見えるように、ハウジング71の一方の部品が取り除かれている。マウスピースキャップ73およびカバー80は、明瞭さのために
図23からは省略されている。
【0124】
二つのケーシング部品がユーザにより分離可能であり、新たなブリスターストリップをハウジングに補充できるようにしてもよいが、吸入器は「使い捨て」タイプであってもよいことは明らかであり、この場合、ブリスターのストリップは組み立て中にハウジング内に配置され、その後封止される。ブリスターストリップが使い果たされると、装置の全体が単に廃棄される。装置の好ましい実施形態の単純さ、および装置が比較的少数の部品(最大でも9つ)から作成されるという事実(部品の全てがプラスチック材料で作成される)により、装置を非常に安価に製造でき、したがって単一のブリスターストリップが使い果たされた後で装置を使い捨てにすることが現実的な提案であることを意味することは認められよう。製造中にハウジングを封止すると、不正開封が防止された装置となる。
【0125】
ブリスターストリップ78は、ハウジング71に収容され孔76に近接して取り付けられたブリスターストリップ位置決めシャシー84を通過する。
図25の分解図で最も明瞭に見られるように、シャシー84は二つの円弧形の平行した壁部材84a、84bで構成される。壁部材84a、84bは互いに接続され、ブリスターストリップ78の幅よりもほんのわずかに大きい幅だけ互いに離間して配置される。ストリップ78(そのうちの短い部分のみを
図25に示す)は壁部材84a、85bの間を通過し、それら壁部材とストリップ78が通過するハウジング71の上部の壁とによって、ストリップ78はガイドされ支持される。壁部材84a、84bはそれぞれ、一体的に成型された突起85を備える。突起85は、ハウジング71に一体的に成型された対応する突起85の間に配置される。同様に、壁部材84a、84bはそれぞれスロット87を有している。スロット87は、ハウジング71上の対応する位置決め機構82と嵌合して、ストリップ位置決めシャシー84を適所にしっかりと取り付ける。
【0126】
ストリップ位置決めシャシー84は、壁部材84a、84bの間から下がる弾性変形可能なアーム88を備える。アーム88は、ストリップ位置決めシャシー84とともに、アセタールなどのプラスチック材料で一体的に成形されることが好ましい。アーム88の自由端は、インデクシングホイール90がその間に回転可能に取り付けられる二つのフォーク89に分かれる。
【0127】
図26を参照して、インデクシングホイール90は「X」字状に構成された4つのスポーク91を有しており、アクチュエータ72がハウジング71に対して回転する軸「A」と実質的に同軸になるように配置される。ハウジング71は、インデクシングホイールアンチ回転傾斜部92および位置傾斜部93も備える。これらはインデクシングホイール90と相互作用し、それぞれ、インデクシングホイールの回転を防止し、および回転を許可する。これについては詳細に後述する。
【0128】
アクチュエータ72は、一対のフランジ94a、94bを含む。一方のフランジ94aは加工された開口部95を有する。開口部95は、ハウジング71の一方の部品に一体的に形成された、対応する加工が施されたはめ込み部(spigot)96に直接配置される。他方のフランジ94bは、結合プレート98を受け入れるように成形されたより大きな開口部97を備える。フランジ94bは、開口部97の端に凹み99を備えるが、これは、結合プレート98から突出する位置決めタブ100を受け入れる。結合プレート98は、加工された開口部98aを有する。開口部98aは、ハウジング71の他の半分上の対応する加工が施されたはめ込み部101に配置される。ハウジング71の円弧形状の開口部105は、はめ込み部101を取り囲む。角度を付けられた駆動歯102が開口部を貫通する。駆動歯102は、結合プレート98から内方へ突出する。駆動歯102は、インデクシングホイール90の二つのスポーク91の間の空間に延びる。続いて、
図26を参照して、その機能を説明する。
【0129】
図26は、アクチュエータ72が閉位置と開位置の間で回転し、再度閉位置に戻るときに、インデクシング機構が作用する様子を示す一連の図である。ブリスターストリップ78は、明瞭さのために
図26から省略してある。しかし、インデクシングホイール90が回転すると、一対のスポーク91の間にブリスターが配置され、ハウジング71を通って引っ張られることは明らかである。
【0130】
図26Aを参照すると、アクチュエータ71は閉位置にあり、アーム88は、アーム88に取り付けられたインデクシングホイールとともに非緊張状態または弛緩状態にあり、外部の力はアームに加えられていない。駆動歯102は、二つのスポーク91a、91bの間に位置している様子が見られ、スポーク91dは、アンチ回転傾斜部92および位置傾斜部93の間に位置している。アンチ回転傾斜部92は、図示するような時計回りのインデクシングホイール90のいかなる回転も防止する。
【0131】
アクチュエータ71が開位置に向けて、
図26Bの矢印「A」の方向に回転すると、駆動歯102がスポーク91bと接触する。
図26Cに示すように、アクチュエータ71がさらに回転すると、駆動歯102とスポーク91bとの係合のために、図示するような反時計回りにインデクシングホイール90が回転し、これによって、ブリスターストリップ78の割り出しをする。
【0132】
インデクシングホイール90が回転すると、スポーク91cはアンチ回転傾斜部92と接触する。アンチ回転傾斜部92とスポーク91cとが係合すると、矢印「A」の方向へのアクチュエータ71のさらなる回転により、アーム88が弾性変形して上向き(
図26Cで矢印「B」で示す向き)に偏向し、スポーク91cをアンチ回転傾斜部92から外す。アクチュエータ71が全開位置にまで回転すると、インデクシングホイール90は完全な90度だけ回転し、スポーク91cがアンチ回転傾斜部92から外れる。これによって、インデクシングホイール90が下に落ち込み、アーム88が元の未変形状態に復帰することが可能になる。
【0133】
続いて、アクチュエータ71は、
図26Eの矢印「C」の方向に回転して閉位置へと戻る。アクチュエータ71の戻りストロークにおいて、駆動歯102が先行するスポーク91aの上面に対して摺動し、インデクシングホイール90を時計回りに回転させないような形状に駆動歯102を形成する。
図26Eに示すように、駆動歯102とインデクシングホイール90の係合によって、アーム88とインデクシングホイール90は、
図26Eの矢印「D」の方向に下方へと実際に偏向する。この位置において、スポーク91cはアンチ回転傾斜部92と位置傾斜部93との間に押し下げられる。これによって、インデクシングホイール90のいずれの方向への回転も防止される。
【0134】
復帰ストロークが完了すると、穿刺ヘッド75は、ちょうど適所に送られてきており、ハウジング71の孔76を通して視認可能な以前は未使用だったブリスターを突き刺す。
【0135】
完全なストロークが完了する前にアクチュエータ71が閉位置に戻された場合、歯102はスポーク91aと係合し、インデクシングホイール90を時計回りに回転させて元の位置に戻すことは認められよう。これにより、部分的な送りが発生しないことが保証され、したがって穿刺ヘッド75は常にブリスターに進入する。
【0136】
穿刺ヘッド75をアクチュエータ71と一体的に形成してもよいが、
図27、
図27Aおよび
図27Bに示すように、穿刺部材を独立して成型された部品105として成型することも認められよう。
図28に示すように、成型部品105は、アクチュエータ72の壁付きの凹み103内に配置される。そして、穿刺ヘッドは、この独立した成型部品から延び出す。次に、これについて詳細に説明する。
【0137】
穿刺部材105は、本明細書で述べた吸入装置のいずれの実施形態とともに使用することができ、また、
図27、
図27A、
図27Bに示すように、上面107を有する主本体部分106を含む。上面107は、穿刺具がブリスター119に完全に進入したとき、突き刺されたブリスター119の蓋の上面と同一平面上にある。穿刺ヘッドは、上面107から直立する一方の穿刺歯108と、上面107の除去領域または凹み領域107aから直立する他方の穿刺歯109とを含む。歯108、109の外形は、
図18および
図19を参照して既に述べた歯の外形と近似している。歯108、109の下方には、それぞれ孔110、111が、上面107と凹み領域107aとに形成される。
【0138】
図27Aおよび
図27Bで分かるように、穿刺具の角度は、制御されていない態様で、箔を破ることなしに箔の効果的かつ巧みな切開を容易にするように選択される。これらの角度の好適な範囲および値は、以下の表に与えられている。
【0140】
第1切断要素63が第2切断要素62に対して非対称に配置されるように、第1切断要素63を形成することが有利となりうる。
図27Aから分かるように、各第2切断要素62の第1切断部材62aおよび第2切断部材62bは、それぞれ、異なる距離だけ第1穿刺要素から横方向に延びており、したがって、穿刺ヘッドにより形成される二つのフラップは、同一のサイズではない。図示するように、穿刺ヘッド108、109は、ブリスターの深さが浅くなる方のブリスターの主軸の端に向けて小さい方のフラップを形成し、ブリスターが深くなる方のブリスターの中心に向けて長い方のフラップを形成するように構成されている。第1切断部材62aと第2切断部材62bの相対的な長さは、
図27Aの比率k:jによって定められる。好ましくは、この比率は1から2の間である。
図27、
図27Aおよび
図27Bの実施形態では、この比率は1.2である。フラップを不均等のサイズとすることで、薬剤の凝集物がブリスター内部にとらわれる可能性が低くなる。
【0141】
主本体部分106の別の側面からは、短い管状部112が歯108と反対方向に下がり、孔110と連通する。管状部112の外面は、軸方向に延びるスペーサリッジ113を有するが、この理由はいずれ明らかになる。主本体部分106からは装着ピン114もぶら下がり、穿刺部材105のアクチュエータ72への取り付けを容易にする。
【0142】
ユーザがマウスピース74を通して吸入すると、孔111から空気が吸い込まれ、歯109によって作成されたブリスター119の蓋119aの開口部を介してブリスター119に空気が入る。歯109は、主本体部分106の凹み領域から直立する。これにより、ブリスターの蓋119aと凹み領域107aとの間に隙間が形成され、自由で無制限の空気の流れが孔109を通ってブリスター内に入ることができる。ブリスター119に含まれる薬119cは、歯109により形成されたブリスター119に進入する気流に引っ張られ、歯108により切開された開口部を通ってブリスター119から運び出され、孔110と管状部112を通ってマウスピース74に入り、そこで患者の気道に移動する。歯108の周囲の上面107は、歯108、109が最大の深さまでブリスター119に進入したときブリスターの蓋に密接するような形状とされる。したがって、上面107とブリスターの蓋119aとの間での出口気流内への空気の漏れが最小限となる。
【0143】
図9を参照して既に述べたように、装置にわたる全体的な圧力低下を低減し、患者が一服の薬を吸入しやすくするために、バイパス溝118を通して出口気流に外気が導入される。本実施形態では、穿刺ヘッド105は、壁付き凹み103内に配置される管状部112を介してアクチュエータ72に取り付けられる。リッジ113は壁付き凹み103と干渉し、リッジ113の間の隙間すなわち空間がバイパス溝118を形成する。ブリスター119を通過する気流とともに、バイパス溝118を通ってバイパス空気がマウスピース74の中に引き込まれる。バイパス空気はブリスター119を通過せず、それとは別にマウスピース74に進入することは認められよう。これにより、吸気の流れの全体的な抵抗が低減し、装置が使いやすくなる。
図9の実施形態を参照して述べたように、ブリスター119を通過する空気とバイパス空気との混合によって、吸気中での薬の拡散がより効率的になる。吸気の全てが通過するメッシュ115(
図29を参照)をマウスピース74内に取り付けて、さらなる拡散を与えるようにしてもよい。
【0144】
マウスピース74がアクチュエータ72と接続する領域に、穴114が設けられる。この穴を通り孔111を経由してブリスター119内に空気が供給され、この穴を通りリッジ113の間の空間によって形成されたバイパス通路119を経由して、マウスピース74内に空気が供給される。
【0145】
突き刺されたブリスター119を通りマウスピース74に入る気流が、
図29に模式的に示されている。患者がマウスピース74を介して吸入すると、矢印「F」で示すように、マウスピース74とアクチュエータ72の間の穴114を通って外部から空気が引き込まれ、孔111を通ってブリスター119の中に空気が流れる。孔111を通る引入気流に加えて、矢印「G」で示すように、ブリスター119の蓋119aと凹み面107aとの間の空間を通ってブリスター119内に空気が引き込まれる。ブリスター119内への気流に加えて、穿刺ヘッド105の管状部102のリッジ113の間の空間によって形成されたバイパス溝118を通って(矢印「H」の方向に)空気が引き込まれ、穿刺部材105の孔110を通り矢印「I」の方向にブリスター119から去る出口気流と合流する。一服の薬は出口気流に引きずられ、バイパス溝118を経由してマウスピース74内へ流れた空気とともに、ブリスター119からのこの気流がメッシュ115を通過して、矢印「J」の方向に装置から出て患者の気道に入る。
【0146】
上述の実施形態は、9つの成型部品を有する。これは、同様の服用数の薬を有する他の装置よりも非常に少ない数である一方、部品点数をさらに削減することも可能である。例えば、部品の基部に組み込まれたヒンジにより接続された単一の成型として、ケース部品を成型することができる。組み立て時に、二つの部品を一緒に折り返してハウジングを形成する。同様に、キャップとブリスター扉とを一体的に成型してもよい。
【0147】
加えて、上述したように、穿刺要素をアクチュエータの一部として成型することができる。このような方法で、成型部品の数を5または6に削減することができる。
【0148】
次に、本発明による吸入器の最後の実施形態を
図30を参照して説明する。
【0149】
使用済みのブリスターを装置から放出するのが有利であることは、その結果構造が小型で単純になることから理解されよう。装置が使用済みのブリスターを保持する場合、使用済みブリスターのストリップを巻き取る巻き取りスプールが必要となる。巻き取りスプールの明らかな不利な点は、装置の使用期間中、常に空の空間が装置内に存在することである。装置が初めて使用されるときは、巻き取りスプールが空であり、装置の使用期間が終わるとき、供給スプールが空となる。したがって、使用前後の両方でブリスターストリップを収容するために、装置をさらに大きく作成しなければならない。
【0150】
本発明の別の実施形態では、吸入装置は、未使用の空間が存在しないように使用済みのブリスターをよりコンパクトな態様で保持する。これは、
図30に示すように、ブリスターストリップを循環ループに形成し、自分自身の回りに巻き付くような状態でそのループをハウジング内に搭載することで達成される。
【0151】
図30を参照すると、ハウジング120は二つの離間して配置された平行壁121、122を備え、それらの間に平行ならせん経路の組123、124を画成する。通路123、124の内側の端は、送りスプール126と送りスプロケット127とが回転可能に取り付けられた中央室領域125内で開口する。ブリスターストリップ130は、室領域125を通って一方の通路123から他の通路124へと進み、「S」字配置で送りスプール126と送りスプロケット127の回りに延びる。ブリスターストリップ130は、一方の通路124から出て、インデクシングホイール(
図30では、参照番号128で全体的に示す)の回りに巻き付き、その後他方の通路123内に戻る。両端を実際に接続することで、ブリスターストリップ130の単一の循環通路を形成する。
【0152】
ブリスターストリップ130を従来通りに形成し、その後両端をつなぎ合わせてもよい。ストリップ130の長さが二つの通路123、124を合わせた長さと一致する場合、ストリップ130を通路123、124内に搭載し、インデクシングホイール128とインナースプロケット127の歯(図示せず)の回りに配置し、同様にスプール126の回りに導くことができる。
【0153】
図20ないし
図26を参照して既に説明したように、インデクシングホイール128がマウスピース/アクチュエータ構成を介してストリップ130を送るが、他のインデクシング機構も使用することができる。
【0154】
適切な低摩擦材料を使用すれば、インナースプール126とスプロケット127はストリップ78それ自体によるもの以外に駆動される必要はない。ストリップ78が長い場合、または信頼性の高い動作を保証するために、単一の駆動トレーン、ベルトまたは同様の機構(図示せず)によって、スプール126とスプロケット127をインデクシングホイール128と接続してもよい。
【0155】
ストリップ130を循環にすると、規則的に配置されたブリスターを用いれば、ユーザは際限なくストリップ130を割り出すことができる。ストリップ130にブリスターのないブランク部129を含めることで、全てのブリスターが使用されたことを明確に伝えることができる。ストリップ130の両端がつなぎ合わされた地点にこのブランク部を都合よく設けることができる。ストリップのこのブランク部129がインデクシングホイール128に達すると、インデクシングホイール128の回転につれてストリップ78が送られることはなく、ストリップ130が使い果たされたことを明確に伝えることができる。図面において、ストリップ130は、インデクシングホイール128の直後に位置するブランク部129とともに示されている。これは、装置が初めて使用される前の位置である。
【0156】
請求項の用語の範囲に入る本発明の多くの修正および変更は当業者にとって明らかであり、前述の説明は本発明の好ましい実施形態のみの説明とみなされるべきである。