特許第5876612号(P5876612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5876612非円形状の光ビームに信号ビームを結合するための光ファイバーカプラー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5876612
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】非円形状の光ビームに信号ビームを結合するための光ファイバーカプラー
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/26 20060101AFI20160218BHJP
   G02B 6/06 20060101ALI20160218BHJP
   G02B 6/28 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   G02B6/26 301
   G02B6/06 A
   G02B6/28 P
【請求項の数】32
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-505705(P2015-505705)
(86)(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公表番号】特表2015-513124(P2015-513124A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】US2013024708
(87)【国際公開番号】WO2013154662
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2014年10月20日
(31)【優先権主張番号】13/445,404
(32)【優先日】2012年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ビクター・キトロフ
(72)【発明者】
【氏名】デービッド・エイ・ロックウェル
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0189138(US,A1)
【文献】 特表2008−511871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26
G02B 6/06
G02B 6/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力光ファイバーから信号ビームを受け取り、非円形状の出力光ビームを生成するように構成された光ファイバーカプラーであって、
テーパー光学装置の入力端で第1コア径の1以上のコア、1以上のクラッディング、及び第1モードフィールド径を有し、テーパー光学装置の出力端で第2コア径及び第2モードフィールド径を有する断熱のテーパー光学装置であって、第2コア径第1コア径で除算した比に等しいコアテーパー比を有し、また第2モードフィールド径第1モードフィールド径で除算した比に等しいモードテーパー比を有し、前記入力端で前記複数の入力光ファイバーに直接的に取り付けられるように構成され、前記出力端で非円形状の出力ビームを生成するように構成された断熱のテーパー光学装置を備え、
前記複数の入力光ファイバーは、少なくとも一つのマルチモード光ファイバーを含み、
前記モードテーパー比が、前記コアテーパー比よりも大きく、
前記出力端での隣接のコアの間隔が、およそ前記コアテーパー比だけ、前記入力端での隣接のコアの間隔よりも小さく、これにより、およそ前記コアテーパー比により前記モードテーパー比が除算された比に等しい係数だけ、前記複数の入力光ファイバーの組み合わされた輝度と比べて、組み合わされた出力光信号の輝度が高められる、カプラー。
【請求項2】
前記テーパー光学装置は、断熱テーパーマルチコア導波路を含む、請求項1に記載のカプラー。
【請求項3】
前記断熱テーパーマルチコア導波路が、コア及びクラッディングを含み、前記断熱テーパーマルチコア導波路の前記コア及び前記クラッディングの断面形状が、長方形状、楕円形状、円形状、三角形状、六角形状、多角形状、又は他の形状から成る群から選択される、請求項2に記載のカプラー。
【請求項4】
前記テーパー光学装置は、断熱テーパーLMA光ファイバーアレイを含む、請求項1に記載のカプラー。
【請求項5】
前記断熱テーパーLMA光ファイバーアレイがリニアアレイである、請求項4に記載のカプラー。
【請求項6】
前記断熱テーパーLMA光ファイバーアレイが、リニアとは異なる形状を持つアレイである、請求項4に記載のカプラー。
【請求項7】
各断熱テーパーLMA光ファイバーの断面形状が、長方形状、楕円形状、円形状、三角形状、六角形状、多角形状のファイバー、又は他の形状のファイバーから成る群から選択される、請求項4に記載のカプラー。
【請求項8】
断熱テーパーLMA光ファイバーの各々のクラッディングが平坦な研磨面を含む、請求項7に記載のカプラー。
【請求項9】
前記カプラーが石英ガラス材料を含む、請求項1に記載のカプラー。
【請求項10】
前記出力光ビームが、前記テーパー光学装置の前記出力端で複数の光ビームピークを呈するマルチモードビームを含む、請求項1に記載のカプラー。
【請求項11】
前記断熱テーパーLMA光ファイバーアレイが、接合、接着、隔壁コネクターの使用、又は前記アレイの溶着接続により前記複数の入力光ファイバーに直接的に取り付けられる、請求項4に記載のカプラー。
【請求項12】
前記コアテーパー比が1未満である、請求項1に記載のカプラー。
【請求項13】
前記非円形状の出力光ビームが、前記複数の入力光ファイバーからの信号ビームを非円形状の出力光学装置に結合するために用いられる、請求項1に記載のカプラー。
【請求項14】
前記非円形状の出力光ビームが、前記非円形状の出力光学装置よりも小さいビームを生成するように構成及び配置される、請求項13に記載のカプラー。
【請求項15】
前記非円形状の出力光学装置が、HARCファイバー、平面導波路、又は他の非円形状の導波路を含む、請求項13に記載のカプラー。
【請求項16】
複数の入力光ファイバーからの信号ビームを非円形状の出力光学装置内に結合するように構成された光ファイバーカプラーであって、
テーパー光学装置の入力端で第1コア径の1以上のコア、1以上のクラッディング、及び第1モードフィールド径を有し、またテーパー光学装置の出力端で第2コア径及び第2モードフィールド径を有し、前記第2コア径前記第1コア径で除算した比に等しいコアテーパー比と、前記第2モードフィールド径前記第1モードフィールド径で除算した比に等しいモードテーパー比を有し、前記入力端で複数の入力光ファイバー及び前記出力端で前記非円形状の出力光学装置に直接的に取り付けられるように構成された断熱のテーパー光学装置を備え、
前記複数の入力光ファイバーは、少なくとも一つのマルチモード光ファイバーを含み、
前記モードテーパー比が前記コアテーパー比よりも大きく、
前記出力端での隣接のコアの間隔が、およそ前記コアテーパー比だけ、前記テーパー光学装置の前記入力端での隣接のコアの間隔よりも小さく、これにより、およそ前記コアテーパー比により前記モードテーパー比が除算された比に等しい係数だけ、前記複数の入力光ファイバーの組み合わされた輝度に比べて組み合わされた出力光信号の輝度が高められる、カプラー。
【請求項17】
前記テーパー光学装置は、断熱テーパーマルチコア導波路を含む、請求項16に記載のカプラー。
【請求項18】
前記断熱テーパーマルチコア導波路が、コア及びクラッディングを含み、前記断熱テーパーマルチコア導波路の前記コア及び前記クラッディングの断面形状が、長方形状、楕円形状、円形状、三角形状、六角形状、多角形状、又は他の形状から成る群から選択される、請求項17に記載のカプラー。
【請求項19】
前記非円形状の出力光学装置が、HARCファイバー、平面導波路、又は他の非円形状の導波路を含む、請求項16に記載のカプラー。
【請求項20】
前記テーパー光学装置は、断熱テーパーLMA光ファイバーアレイを含む、請求項16に記載のカプラー。
【請求項21】
前記断熱テーパーLMA光ファイバーアレイがリニアアレイである、請求項20に記載のカプラー。
【請求項22】
前記断熱テーパーLMA光ファイバーアレイが、リニアとは異なる形状を持つアレイである、請求項20に記載のカプラー。
【請求項23】
各断熱テーパーLMA光ファイバーの断面形状が、長方形状、楕円形状、円形状、三角形状、六角形状、多角形状のファイバー、又は他の形状のファイバーから成る群から選択される、請求項20に記載のカプラー。
【請求項24】
前記断熱テーパーLMA光ファイバーの各々のクラッディングが平坦な研磨面を含む、請求項20に記載のカプラー。
【請求項25】
前記カプラーが石英ガラス材料を含む、請求項16に記載のカプラー。
【請求項26】
前記断熱テーパーLMA光ファイバーアレイが、接合、接着、隔壁コネクターの使用、又は前記アレイの溶着接続により前記複数の入力光ファイバーに直接的に取り付けられる、請求項20に記載のカプラー。
【請求項27】
前記断熱テーパーLMA光ファイバーアレイが、接合、接着、又は前記アレイの溶着接続により前記非円形状の出力光学装置に直接的に取り付けられる、請求項20に記載のカプラー。
【請求項28】
前記コアテーパー比が1未満である、請求項16に記載のカプラー。
【請求項29】
前記テーパー光学装置の前記出力端と前記非円形状の出力光学装置の間に設けられ、前記テーパー光学装置からの信号を前記非円形状の出力光学装置のコアサイズ及び開口数に適合させる平坦屈折率分布型導波路を更に備える、請求項16に記載のカプラー。
【請求項30】
複数の入力光ファイバーから信号ビームを受け取り、非円形状の出力光ビームを生成するように構成された光ファイバーカプラーであって、
テーパー光学装置の入力端で第1コア径の1以上のコア、1以上のクラッディング、及び第1モードフィールド径を有し、テーパー光学装置の出力端で第2コア径及び第2モードフィールド径を有する断熱のテーパー光学装置であって、第2コア径を第1コア径で除算した比に等しいコアテーパー比を有し、また第2モードフィールド径を第1モードフィールド径で除算した比に等しいモードテーパー比を有し、前記入力端で前記複数の入力光ファイバーに直接的に取り付けられるように構成され、前記出力端で非円形状の出力ビームを生成するように構成された断熱のテーパー光学装置を備え、
前記モードテーパー比が、前記コアテーパー比よりも大きく、
前記出力端での隣接のコアの間隔が、およそ前記コアテーパー比だけ、前記入力端での隣接のコアの間隔よりも小さく、これにより、およそ前記コアテーパー比により前記モードテーパー比が除算された比に等しい係数だけ、前記複数の入力光ファイバーの組み合わされた輝度と比べて、組み合わされた出力光信号の輝度が高められ、
前記テーパー光学装置が、延長された出力領域を含み、これにより、前記組み合わされた出力光信号が、少なくとも隣接するコア間で結合した光信号を含む、カプラー。
【請求項31】
前記テーパー光学装置は、断熱テーパーLMA光ファイバーアレイを含む、請求項30に記載のカプラー。
【請求項32】
複数の入力光ファイバーからの信号ビームを非円形状の出力光学装置内に結合するように構成された光ファイバーカプラーであって、
テーパー光学装置の入力端で第1コア径の1以上のコア、1以上のクラッディング、及び第1モードフィールド径を有し、またテーパー光学装置の出力端で第2コア径及び第2モードフィールド径を有し、前記第2コア径を前記第1コア径で除算した比に等しいコアテーパー比と、前記第2モードフィールド径を前記第1モードフィールド径で除算した比に等しいモードテーパー比を有し、前記入力端で複数の入力光ファイバー及び前記出力端で前記非円形状の出力光学装置に直接的に取り付けられるように構成された断熱のテーパー光学装置を備え、
前記モードテーパー比が前記コアテーパー比よりも大きく、
前記出力端での隣接のコアの間隔が、およそ前記コアテーパー比だけ、前記テーパー光学装置の前記入力端での隣接のコアの間隔よりも小さく、これにより、およそ前記コアテーパー比により前記モードテーパー比が除算された比に等しい係数だけ、前記複数の入力光ファイバーの組み合わされた輝度に比べて組み合わされた出力光信号の輝度が高められ、
前記テーパー光学装置が、延長された出力領域を含み、これにより、前記組み合わされた出力光信号が、少なくとも隣接するコア間で結合した光信号を含む、カプラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の入力光ファイバーからの信号ビームを非円形状の出力光ビームに結合するように構成された光ファイバーカプラーに関する。
【背景技術】
【0002】
高アスペクト比コア(HARC)光ファイバーは、一般的に、レーザー及びレーザービーム配送用途において用いられている。特定のファイバーの設計に依存して、HARCファイバーは、一つの方向においてHARCファイバーを通じて伝播するビームが回折限界に近いビーム品質を有し、垂直方向においてビームが、マルチモード品質も有し、若しくは回折限界に近いビーム品質を有するという特性を持つ。
【0003】
図1は、ファイバーアレイの輝度を高めるように構成された慣例の構成を示す。図1に示すように、マイクロレンズアレイ100がファイバー200のリニアアレイ近傍に配置され、アレイ200のファイバー200a間の間隔を除去し、これにより、ファイバーアレイ200の輝度が高められる。レンズ100のアレイは、クラッディング200bが占める空間を光学的に除去するように構成され、これにより、クラッディング無しのコアのアレイの光学的な均等物が形成される。
【0004】
図1に示す構成においては、ファイバー200a間の中心間の空間がピッチpとして表され、各ファイバー200aのコアサイズがdとして表され、生ビームの発散角がθrawとして表され、また倍率がMとして表される。
【0005】
図1に示すように、ファイバー200aらは、それらの放出面が単一平面にあるように整列され、レンズアレイ100が、レンズの焦点距離に等しい距離にファイバー200aから離れて位置される。レンズ100aを介して伝播するビームがお互いに平行である。もしレンズ口径が倍率Mを適切に構成するように設計されるならば、結果として得られる出力ビームは、初期のファイバーアレイ200のものに比べて高められた輝度に対応してそれらの間に非常に小さな間隔を有する。
【0006】
図1に図示及び図1に関して説明した方法は、光学的な製作及び位置決め公差に関する多数の困難を被り、これが、出力ビームの最終の平行化及び並行度に影響する。
【0007】
ファイバーアレイ200の輝度を高めるように設計された別の方法においては、1/4ピッチ屈折率分布型(GRIN)レンズのアレイ(不図示)が、図1のマイクロレンズアレイ100の代わりに用いられる。1/4ピッチGRINレンズのアレイが、個別の入力ファイバーとHARC出力ファイバー(不図示)の間に溶着される。しかしながら、この方法は、図1に関して記述した方法と同様、光学的な製作及び位置決め公差の問題を治癒しない。
【0008】
本出願人は、多数のファイバー結合装置からの光信号(群)を、非円形状の導波路(例えば、HARCファイバー、平面導波路など)を有する装置内に結合可能である、若しくは自由空間ビームとして利用可能である非円形状の出力光ビームに結合することができる全ファイバー装置の必要性を特定した。そのような全ファイバーカプラー装置は、輝度を高めながらビーム品質を保持する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施形態が、複数の入力光ファイバーから信号ビームを受け取り、非円形状の出力光ビームを生成するように構成された光ファイバーカプラーに関する。カプラーは、断熱のテーパー光学装置を含む。断熱のテーパー光学装置は、テーパー光学装置の入力端で、第1コア径の1以上のコア、1以上のクラッディング、及び第1モードフィールド径、またテーパー光学装置の出力端で第2コア径及び第2モードフィールド径を有する。テーパー光学装置は、第2コア径と第1コア径の間の比に等しいコアテーパー比を有し、第2モードフィールド径と第1モードフィールド径の間の比に等しいモードテーパー比を有する。テーパー光学装置は、入力端で複数の入力光ファイバーに直接的に取り付けられるように構成され、出力端で非円形状の出力ビームを生成するように構成される。モードテーパー比がコアテーパー比よりも大きく、他方、出力端での隣接するコアの間隔が、およそコアテーパー比だけ、テーパー光学装置の入力端で隣接するコアの間隔よりも小さく、従って、およそコアテーパー比に対するモードテーパー比の比に等しい係数だけ、複数の入力光ファイバーの組み合わされた輝度に比べて、結合された出力光信号の輝度が高められる。
【0010】
別の実施形態が、複数の入力光ファイバーからの信号ビームを非円形状の出力光学装置内に結合するように構成された光ファイバーカプラーに関する。カプラーは、断熱のテーパー光学装置を含む。断熱のテーパー光学装置は、テーパー光学装置の入力端で、第1コア径の1以上のコア、1以上のクラッディング、及び第1モードフィールド径を有し、またテーパー光学装置の出力端で第2コア径及び第2モードフィールド径を有する。テーパー光学装置は、第2コア径と第1コア径の間の比に等しいコアテーパー比と、第2モードフィールド径と第1モードフィールド径の間の比に等しいモードテーパー比を有する。テーパー光学装置は、入力端で複数の入力光ファイバーに、また出力端で非円形状の出力装置に直接的に取り付けられるように構成される。モードテーパー比がコアテーパー比よりも大きく、他方、出力端での隣接のコアの間隔が、およそコアテーパー比だけ、テーパー光学装置の入力端での隣接のコアの間隔よりも小さく、これにより、およそコアテーパー比に対するモードテーパー比の比に等しい係数だけ、複数の入力光ファイバーの組み合わされた輝度に比べて、組み合わされた出力光信号の輝度が高められる。
【0011】
動作の方法、及び構造の関連の要素の機能、及び部品の組み合わせ、及び製造経済と同様、本開示のこれらまた他の側面が、その全てが本明細書の一部であり、同一の参照番号が様々な図面において対応の部分を示す添付図面を参照して次の記述及び添付請求項を検討することにより、より明確になる。本開示の一例においては、本明細書に図示の構造的な部品が縮尺するように描かれるものと理解され得る。しかしながら、多くの他の構成が可能であり、図面が例示、図示、及び記述のみのためであり、定義若しくは本開示の範囲を限定するように意図されないことが明白に理解される。また、本明細書に開示の一つの実施形態の特徴が本明細書に開示の他の実施形態において使用可能であるものと理解される。本明細書及び請求項で用いられるように、不定冠詞及び定冠詞の単一形が、内容が明らかに逆を要求しなければ複数の指示物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
対応の参照記号が対応の部分を示す添付の概略の図面を参照して様々な実施形態が例示のみのために開示される。
【0013】
図1図1は、マイクロレンズアレイを用いることによりファイバーアレイの輝度を高める慣例のシステムを図示する。
【0014】
図2A図2Aは、本開示の実施形態に係る複数の入力光ファイバーからの信号ビームを非円形状の出力光ビームに結合するように構成された光ファイバーカプラーを図示する。
【0015】
図2B図2Bは、本開示の実施形態に係る入力光ファイバーの断面図を図示する。
【0016】
図3図3は、本開示の実施形態に係る光ファイバーカプラーにおけるモードフィールド径(MFD)の挙動のグラフ表示を図示する。
【0017】
図4A図4Aは、本開示の実施形態に係る光ファイバーカプラーに沿う屈折率を図示する。
図4B図4Bは、本開示の実施形態に係る光ファイバーカプラーに沿う光信号進展の表示を図示する。
【0018】
図5図5は、本開示の実施形態に係る光ファイバーカプラーの入力端での信号強度分布のグラフ表示を図示する。
【0019】
図6図6は、本開示の実施形態に係る光ファイバーカプラーの出力端での信号強度分布のグラフ表示を図示する。
【0020】
図7A図7Aは、本開示の別の実施形態に係る光ファイバーカプラーに沿う屈折率の表示を図示する。
図7B図7Bは、本開示の別の実施形態に係る光ファイバーカプラーに沿う光信号進展の表示を図示する。
【0021】
図8A図8Aは、本開示の別の実施形態に係る光ファイバーカプラーの入力端での信号強度分布のグラフ表示を図示する。
図8B図8Bは、本開示の別の実施形態に係る光ファイバーカプラーの出力端での信号強度分布のグラフ表示を図示する。
【0022】
図9図9は、本開示の実施形態に係る平坦なエッジを有する光ファイバーカプラーの例示の光ファイバーを示す。
【0023】
図10図10は、本開示の実施形態に係る一緒に積層された平坦エッジ付きのファイバーのアレイを示す。
【0024】
図10A図10Aは、本開示の実施形態に係るカプラーに用いられるマルチコアテーパー導波路を示す。
【0025】
図11図11は、本開示の実施形態に係る光ファイバーカプラーと非円形状のコア出力光学装置の間に設けられた平坦屈折率分布型導波路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図2Aは、本開示の実施形態に係る複数の入力光ファイバー302からの信号ビームを非円形状の出力光学装置304内に結合するように構成された光ファイバーカプラー300を示す。光ファイバーカプラー300は、任意の自由空間光学系が無い全ファイバーアーキテクチャーを有する。そのような全ファイバーカプラー装置は、輝度を高めながらビーム品質を保持するように構成される。
【0027】
ある実施形態においては、本出願の全ファイバー光学カプラー300は、複数の入力光ファイバー302から光信号(群)を受け取り、非円形状の出力光ビーム303を生成することができる。そのような実施形態においては、非円形状の出力光ビーム303が、自由空間ビームとして用いられ、若しくは更に非円形状の導波路(例えば、HARCファイバー、平面導波路、非円形状の導波路等)を有する装置(例えば、304)内にさらに結合される。
【0028】
別の実施形態においては、本出願の全ファイバー光学カプラー300が、複数の入力光ファイバー302からの光信号(群)を非円形状の出力光学装置304(例えば、HARCファイバー、平面導波路、非円形状の導波路等)内に結合することができる。
【0029】
カプラー300は、断熱のテーパー光学装置(adiabatically tapered optical device)312を含む。ある実施形態においては、以下に詳述のように、断熱のテーパー光学装置312が、断熱のテーパーマルチコア導波路を含む。別の実施形態においては、以下に詳述また図2Aに示すように、断熱のテーパー光学装置312が、断熱のテーパー光ファイバーアレイ306を含む。
【0030】
断熱テーパー付け(Adiabatic tapering)は、一般的に低い若しくは皆無の信号ロスを伴う光ファイバー又は導波路の漸次のテーパー付けを呼ぶ。光ファイバーの断熱のテーパー付けは、例えば、Timothy A. Birks 及び Youwei W. Liの「ファイバーテーパーの形状」と題されたジャーナル・オブ・ライトウェーブ・テクノロジー、10号、No.4、1992年4月;及びJ.D. Love、W.M. Henry、 W.J. Stewart、 R. J. Black、 S. Lacroix、 及びF. Gonthierの「テーパー付けられたシングルモードファイバー及び装置」と題されたIEEプロシーディング−J、138号、No.5、1991年10月に詳細に記述されており、これらの各々が、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
断熱のテーパー光学装置312は、光学装置312のビーム品質を保ちながら、信号ロスを最小化するように構成される。断熱のテーパー付けは、またカプラー300の入力端308でのフィルファクター(fill factor)も高め、また低い信号ロスで光学装置312の輝度を高める。
【0032】
断熱のテーパー光学装置312は、テーパー光学装置の入力端308で、第1コア径の1以上のコア、1以上のクラッディング、及び第1モードフィールド径(MFD)を有し、またテーパー光学装置の出力端310で第2コア径及び第2MFDを有する。
【0033】
コア径は、一般的に光ファイバーのコアの直径を呼ぶ。モードフィールド径(MFD)は、一般的に基本モードの空間広がりを考慮する。つまり、光が光ファイバーを通じて伝播するとき、大半の光が光ファイバーのコア内を伝播し、幾つかの光が少なくとも光ファイバーのクラッディングの部分内に広がる。光ファイバーにおいて光が伝播するこの円形状エリアの直径が、ファイバーのモードフィールド径又はMFDと呼ばれる。
【0034】
断熱のテーパー光学装置312は、第2コア径と第1コア径の間の比に等しいコアテーパー比を有し、また第2MFDと第1MFDの間の比に等しいモードテーパー比を有する。モードテーパー比は、コアテーパー比よりも大きい。ある実施形態においては、コアテーパー比が1未満である。
【0035】
ある実施形態においては、モードテーパー比が実質的に単一であり、断熱のテーパー光学装置312の入力端308及び出力端310でのファイバーコアが、実質的に同一又は異なるモードフィールド径を生成する。ある実施形態においては、以下に詳述のように、アレイ312のファイバー306が、ちょうどに位置決めされ、また一緒に積み(整列)上げされる。
【0036】
テーパー光学装置の出力端310での隣接のコアの間隔が、コアテーパー比だけ、テーパー光学装置の入力端308での隣接のコアの間隔よりも小さく、これにより、およそコアテーパー比に対するモードテーパー比の比に等しい係数だけ(又はそれ未満だけ)、複数の入力光ファイバー302の組み合わされた輝度に比べて、組み合わされた出力光信号の輝度が高められる。
【0037】
一般的に輝度は、単位立体角当たりの単位面積当たりの光パワーと呼ばれる。カプラー300は、ビームを接近させて束にしつつ、各ビームの全体のパワー及び輝度(つまり、組み合わされた出力ビームの立体角)を保持することにより、出力光ビームの輝度を高めるように構成され、これにより、光が放出される全面積(つまり、出力ファイバーのコア面積)が減じられる。本開示で用いられた特定のテーパーが、出力ビームのアレイを生成し、この各々が、個別の入力ファイバーの各々と同一又は異なるモードフィールド径及びビーム発散角を有する(つまり、各個別のテーパーファイバーの輝度が保持される)が、ビームらは、それらがお互いに近接して可能な限り近くに詰められるならば、個別の入力ファイバーの面積の総和未満である全面積内に含まれる。
【0038】
ある実施形態においては、出力端310でのテーパー光学装置312の断面積が、非円形状のコア出力光学装置304の入力面積314に本質的に適合するように設計され、これにより、複数の入力光ファイバー302からの信号ビームの非円形状のコア出力光学装置304への結合が可能になる。
【0039】
別の実施形態においては、(カプラーの端部とは反対の端部での)ビーム303の断面積が、非円形状の出力光学装置304の入力面積314に本質的に適合するように設計され、これにより、非円形状の出力光学装置304へのビーム303からの信号ビームの結合が可能になる。
【0040】
別の実施形態においては、出力端310でのテーパー光学装置312の断面積が、非円形状のコア出力光学装置303の意図された若しくは所望の面積に本質的に適合するように設計される。
【0041】
つまり、カプラー300のファイバー306は、カプラー300から光信号を受け取る非円形状のコア出力光学装置の受容面積に適合する態様で設けられる。例えば、カプラー300のファイバー306は、リニアリボンアレイ(linear ribbon array)若しくは幾つかの他の構成として設けられる。また、本開示のカプラー300のファイバー306は、ファイバー結合信号源302に適合する必要がある。ファイバー306のパラメーターは、用いられる入力信号ファイバー302及び特定の非円形状のコア出力光学装置304に依存する。別の実施形態においては、ファイバー306のパラメーターが、生成される入力信号ファイバー302及び特定の非円形状のコア出力光ビーム303に依存する。
【0042】
ある実施形態においては、光ファイバー306のアレイ312がリニアアレイである。別の実施形態においては、光ファイバー306のアレイ312が、リニアとは異なる形状を有するアレイである。ある実施形態においては、N×1リニアアレイ、N×Mアレイ若しくは幾つかの他の構成が、要求される出力ビーム形状に適合するように用いられる。図示の実施形態においては、図2Aに示すように、4×1リニアアレイが、要求の出力ビーム形状に適合するように用いられる。
【0043】
ある実施形態においては、カプラー300の光ファイバー306が、リニアアレイにおいて整列され、4倍だけ断熱にテーパー付けられる。つまり、カプラー300のテーパー比が4である。他の実施形態においては、カプラー300で用いられるテーパー比が変わる。テーパー比は、入力及び出力ビーム面積及び/又はレイアウトに明確に適合するように選択される。
【0044】
カプラー300のテーパーファイバー306からの出力ビームは、(HARCファイバーといった)広(遅軸)及び狭(速軸)方向において異なる開口数を有する必要があり得る。図11に示すように、平面GRIN導波路400が一軸における開口数を変えるように用いられる。一軸における開口数を変えるために全ファイバー装置において平面GRIN導波路を用いることの詳細が、例えば、米国特許第7,860,360号明細書に記述されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、従って、本明細書では詳細に説明しない。
【0045】
図11は、アレイ312の出力端310と非円形状のコア出力光学装置304の間に配され、テーパー光学装置312からの信号を非円形状のコア出力光学装置304のコアサイズ及び開口数に適合させる例示の平面GRIN導波路400を示す。GRIN導波路400は、入力ビーム輝度を高めない。ある実施形態においては、1/4ピッチ長GRIN導波路が用いられる。他の実施形態においては、他のGRIN導波路長が、また用いられる。
【0046】
図2Aの図示の実施形態においては、円形状のコアを持つ4つの別々の入力光ファイバー302を有する例示の光ファイバーカプラー300が示される。光ファイバーカプラー300は、入力光ファイバー302からの信号をHARCファイバー304内へ結合することができる。
【0047】
ある実施形態においては、カプラー300のテーパー光学装置312は、入力端308で複数の入力光ファイバー302に、また出力端310で非円形状のコア出力光ビーム又は装置304に直接的に取り付けられるように構成される。
【0048】
別の実施形態においては、カプラー300のテーパー光学装置312は、入力端308で複数の入力光ファイバー302に直接的に取り付けられ、また出力端310で非円形状のコア出力光ビーム304を生成するように構成される。
【0049】
ある実施形態においては、入力光ファイバー302が、25マイクロメートル(μm)の直径の円形状のコア及び0.06の開口数を有する。例示の入力光ファイバー302の断面図が図2Bに図示される。図2Bに示すように、入力光ファイバー302は、25μmのコア径と100μmのクラッディング直径を有する。
【0050】
例えば、25μmの0.06NAのコアの入力光ファイバーは、回折限界ビームのマルチkWレーザーのために広く用いられている。25μmの0.06NAのコアの入力光ファイバーは、市場において商業的に入手可能であり、慣例の技術により製造され、また高レーザーパワー配送のために用いられる。25μmの0.06NAのコアの入力光ファイバーは、4つの横モードを支持するが、基本モード(LP01)のみが回折限界レーザーにおいて励振される。ある実施形態においては、カプラー300は、基本モードのみを考慮する。
【0051】
ある実施形態においては、カプラー300の入力端308は、任意のマッチングファイバー、例えば、回折限界ビームの高パワーファイバーレーザーで典型的に用いられる25μmの0.06NAのコア及び400μmのクラッディングの光ファイバーに接続される。カプラー300のアレイ312は、接合、接着、隔壁コネクターの使用、又はアレイ312の溶着接続(fusion splicing)により複数の入力光ファイバー302に直接的に取り付けられる。
【0052】
図示の実施形態においては、光ファイバーカプラー300は、4つの断熱のテーパー光ファイバー306を含む。カプラー300は、石英ガラス材料から成り、これは、近赤外(NIR)領域におけるレーザーのための適切な材料である。他の実施形態においては、カプラー300は、当業者により認識されるように任意の他の適切な光学材料から成る。入力光ファイバー302の数や断熱のテーパー光ファイバー306の数は、例示であり、他の実施形態においては変えられる。
【0053】
一般的に、軟化及びテーパー付け工程のために熱がファイバーに付与される。テーパー付けの概念が、ファイバーMFD特有の挙動に依存し、つまり、ファイバーがテーパー付けされる間、導波路があまりに弱くなるため、MFDが、まず縮小し、次に拡大する。
【0054】
図3は、コア径の関数として、テーパー広モードエリア(LMA)の25μmの0.06NAのコアのファイバーにおける基本モードMFD挙動のグラフ表示を図示する。図3のグラフは、垂直Y軸に沿うマイクロメートル(μm)でMFDを図示する。水平X軸上では、グラフは、コア径を図示し、これがマイクロメートル(μm)で表される。グラフは、25μmから6.5μmへの4倍のテーパー付けが、MFDにおいて殆ど変化がないことに帰結することを明らかに示す。つまり、図3に示すように、コア径が25μmから約12μmに漸次テーパー付けされるに応じてMFDが減少する。コア径が約12μmから約6.5μmへ更にテーパー付けられる時、MFDが増加を開始する。しかしながら、図3に示すように、4倍のコア径のテーパー付けが、MFDにおいて殆ど変化がないことに帰結する。
【0055】
商業的に入手可能なファイバー及び商業的な設備が、本開示のカプラーの製造のために用いられ得る。例えば、Vytran(登録商標)GPX−3000ファイバー処理ステーションが、本開示のカプラーの製造のために用いられる。
【0056】
ある実施形態においては、断熱のテーパー光ファイバー306の断面形状が、長方形状、楕円形状、円形状、三角形状、六角形状又は多角形状から成る群から選択される。
【0057】
ある実施形態においては、カプラー300のファイバー306が、内部構造を有する。一般的に、ファイバーは、異なる目的:偏波保持(PANDAタイプファイバー及び他の物)、広いMFD(リークチャネルファイバー(LCF(leakage-channel fiber)))、広ピッチタイプファイバー(LPF)、フォトニック結晶タイプファイバー(PCF)及び他の物)、及び他の目的のために内部構造を有する。ある実施形態においては、カプラー300のファイバー306は、偏波保持ファイバー、例えば、PANDAタイプファイバーである。しかしながら、偏波保持ファイバーの構造は、PANDAタイプファイバーに限定されず、任意の既知の構造のファイバーが使用される。
【0058】
図9は、研磨/機械加工された平坦クラッディング端部を有するカプラー300の例示のファイバー306を示し、他方、図10は、一緒に積層されテーパー付けられた平坦クラッディング平面を有するファイバー306の例示のリニア(束ねられた)アレイを示す。
【0059】
ある実施形態においては、ファイバーカプラー300は、(図10に示すように)一緒に整列され、次に一緒に溶着及びテーパー付けられたファイバーから成る。つまり、ファイバーカプラー300は、テーパーバンドル(アレイ)ファイバー構成から成る。断熱のテーパー光ファイバー306の各々のクラッディングは、平坦な研磨されたクラッディング表面を有する。そのような形状(つまり、研磨された又は機械加工された平坦なクラッディング表面)及び一緒に積層する工程が、テーパー付けの安定性を高める。つまり、平坦に研磨されたクラッディング表面をファイバーに持たせることは、ファイバーの機械的なレイアウトを向上するだけでなく、テーパー付け工程の過程の安定性も提供する。平坦な研磨されたクラッディング表面は、カプラー300の入力端308でのフィルファクター(fill factor)も改善することができ、より少ないテーパー付けがファイバーに与えられる。
【0060】
ファイバーが所望の寸法にテーパー付けされた後、結果物のテーパー構造が所望の位置で切断され、HARCファイバーに作用するための適切な出力面を形成する。一般的に、平坦な出力面がそのようなインターフェースとして好まれる。切断は、例えば、カッティング、研磨又は幾つかの他の切断メカニズムにより実行できる。ある実施形態においては、商業的に入手可能なファイバーカッター、例えば、Vytran(登録商標)LDC-200がカッティングのために用いられる。ある実施形態においては、切断が、システム要求に依存し、カプラー300の光軸に対して垂直に、又は幾つかの角度で実行される。
【0061】
テーパーアレイ312が製作されると、アレイ312の出力端310が非円形状のコア出力光学装置304に直接的に取り付けられ、また光が非円形状のコア出力光学装置304内に結合する。
【0062】
別の実施形態においては、テーパーアレイ312が製作されると、アレイ312が、アレイ312の出力端310で非円形状のコア出力光ビーム303を生成するように構成される。
【0063】
別の実施形態においては、上述のように、ファイバーカプラー300が、マルチコアを有するテーパー導波路を用いて構成される。図10Aは、本出願のファイバーカプラー300として用いられる例示のテーパーマルチコア導波路構成を示す。例えば、図10Aに示すように、テーパーマルチコア導波路が、4つの丸いコアと長方形のクラッディングを有する光ファイバーを含む。
【0064】
テーパーマルチコア導波路のコア及びクラッディングは、長方形状、楕円形状、円形状、三角形状、六角形状、多角形状、又は任意の他の形状である。石英ガラス又は他の適切な材料が、テーパーマルチコア導波路の製造のために用いられる。長方形状のクラッディングの10個のコアファイバーを有する石英ガラス導波路が、例えば、L. J. Cooper、 P. Wang、 R. B. Williams、 J. K. Sahu、 W. A. Clarkson、 A. M. Scott and D. Jones著、「高パワーYbドープマルチコアリボンファイバーレーザー」、オプティクス・レター、30巻、No.21、2005年11月1日に詳細に記述されており、これが、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
4コアファイバーが、まず、製造され、次に、テーパー付けられ、テーパーマルチコア導波路が得られる。テーパーマルチコア導波路は、次に、入力ファイバー302(図2A)のコア寸法及び所望の出力ビーム寸法303(図2A)に適合するように切断される。
【0066】
図4A、4B、5、7A、7B、8A、及び8Bに示すように)カプラー性能を説明するために行われる、ビーム伝搬法(BPM)モデリングが、(図10に示すような)テーパーバンドルファイバー構成及び(図10Aに示すような)テーパーマルチコア導波路構成の両方に適用する。
【0067】
ある実施形態においては、出力光学装置304が、非円形コアを有する。
【0068】
ある実施形態においては、出力光ビーム303が、マルチモードビームを含む。ある実施形態においては、出力光ビーム303が、自由空間出力ビームを含む。
【0069】
ある実施形態においては、出力光学装置304がHARCファイバーである。他の実施形態においては、出力光学装置304が平面導波路である。図示の実施形態においては、図2Aに示すように、出力光学装置304が、長方形状の断面コアを有する。
【0070】
ある実施形態においては、非円形状の光ビーム303又は自由空間カップリング光学系が採用され、非円形状のファイバーカプラー300からの信号ビームを非円形状の出力光学装置304に結合する。そのような実施形態においては、非円形状の光ビーム303又は自由空間カップリング光学系が、非円形状の光学装置304のコアとおよそ同一のサイズを有するビームを生成するように構築及び配列される。
【0071】
アレイ312は、接合、接着、アレイ312の溶着接続、又は他の接続メカニズムにより非円形状の光学装置304に直接的に取り付けられる。ある実施形態においては、カプラー300の出力端310が、溶着接続又は接着により、25×100μm2の0.06NAのコアのHARCファイバーに接続される。他の実施形態においては、アレイ312の出力が、例えばレンズによる再画像化のため、自由空間ビームとしてカプラーから放出する。
【0072】
カプラー300の動作の原理を説明するためにカプラー300の2次元モデリングを実行した。ビーム伝搬法(BPM)が、光パワーが本開示のカプラー300をどのように伝播するのかをシミュレーションするために用いられる。基本モードが、カプラー300の各ファイバー306の入力端308に励振される。図4A及び4Bは、本発明の一実施形態に係るカプラー300に沿う屈折率及び光信号の進展の描写を示す。
【0073】
図5及び6は、各々、本開示の実施形態に係る光ファイバーカプラー300の入力端308及び出力端310での信号強度分布のグラフ表示を図示する。詳細には、図5及び6におけるグラフは、各々、光ファイバーカプラー300の入力端308(図5)及び出力端310(図6)で光信号強度(滑らかなカーブ)及び屈折率プロファイル(破線)の両方を図示する。
【0074】
図5及び6のグラフは、垂直なY軸の左側の任意単位の(つまり、1に標準化された)ピーク強度を図示し、また垂直なY軸の右側の光ファイバーカプラー300の屈折率を図示する。水平のX軸上では、図5及び図6のグラフが、入力端308(図5)及び出力端310(図6)での光ファイバーカプラー300の幅を図示し、これがマイクロメートル(μm)で表される。
【0075】
図5及び6のグラフの比較が、4つのテーパーファイバーが個別の信号をお互いに近接させることを示す。例えば、入力ビームが、25×320μm2の面積を占め、他方、出力光ビームが、25×100μm2の面積を占める。出射面積の低減が、光信号の輝度の増加に対応する。
【0076】
より詳細には、図5は、入力端308で、光信号が約320μmの寸法上に分布され、他方、図6は、出力端で、光信号が、約100μmのより小さい寸法上に分布されることを示す。垂直方向(入力光ファイバーのリニアアレイに直交する方向)において、MFDがさほど変化せず、回折限界近くに留まる。また、カプラー300の断熱のテーパーが、ビーム品質を保持する。従って、本開示のカプラー300を用いることにより、入力信号の輝度が、ビーム品質の低下無くして約3倍高められる。
【0077】
図7A及び7Bは、各々、本発明の別の実施形態に係るカプラー300’に沿う屈折率及び光信号の進展の描写を示す。図7Aに示されたカプラー300’は、(図4Aに示した)先の実施形態のカプラー300と比較して、出力領域311’において延長された長さの4つの断熱のテーパーファイバー306’を有する。つまり、カプラー300’の断熱のテーパー光ファイバー306’のテーパーが、出力端310’に隣接するカプラー300’の出力部311’の近くに延長される。カプラー300’は、カプラー300’の出力領域における延長された長さを除いて先の実施形態のカプラー300と同様である。
【0078】
カプラー300’の2次元モデリングが、カプラー300’の動作の原理を説明するために実行された。ビーム伝搬方法(BPM)が、本開示のカプラー300’を通じて光パワーがどのように伝播するのかをシミュレーションするために用いられる。信号が、(合計4つの入力チャンネル)のチャンネル2内に発射された。図7Bは、カプラー300’における信号の進展を示す。図7Bに示すように、光パワーが、テーパー延長出力を有する、カプラー300’に沿って伝播する過程で隣接のチャンネル(つまり、チャンネル1及び3)内に結合する。カップリングが、ファイバーの光学パラメーターと、テーパーの幾何形状に依存し、特定のカップリング要求のために工作される。カプラー300’は、例えば、コヒーレントビーム結合のチャネル間信号カップリングが用いられる装置のために有益である。
【0079】
図8A及び8Bは、本開示の別の実施形態に係る光ファイバーカプラー300’の入力端308’及び出力端310’での信号強度分布のグラフ表示を図示する。詳細には、図8A及び8Bにおけるグラフが、各々、光ファイバーカプラー300’の入力端308’(図8A)及び出力端310’(図8B)での光信号強度及び屈折率プロファイルを図示する。
【0080】
図8A及び8Bにおけるグラフの滑らかなカーブが、垂直のY軸の左側上の任意の単位の(つまり1に標準化された)ピーク強度を図示し、破線が、垂直のY軸の右側の光ファイバーカプラー300’の屈性率を図示する。水平のX軸上において、図8A及び8Bのグラフが、マイクロメートル(μm)で表された、入力端308’(図8A)及び出力端310’(図8B)での光ファイバーカプラー300’の幅を図示する。
【0081】
本開示に記述されたカプラー300及び300’の両方が、多数のファイバー結合光源からの信号を、非円形状ビームを有することが有益であるHARCファイバー又は任意の他の装置/用途に結合するために用いられる。
【0082】
本開示のカプラー300は、レーザービーム配送用途、例えば、半ガイド高アスペクト比コア(SHARC/HARCファイバー)を用いた高パワーレーザービーム配送、レーザービーム結合用途、及び/又はレーザービームによる材料処理で用いられる。
【0083】
本開示の全ファイバー光信号カプラーが、ファイバー結合ビームを、モノリシック、増加した輝度の全ファイバーフォーマットの一つの非円形状のビーム内に結合する。本開示の全ファイバー光信号カプラーは、また、輝度を高めながら入力信号ビーム品質を保持する。本開示のカプラーが、断熱ファイバーテーパリング及びモードフィールド変換を採用する。本開示のカプラーが、HARCファイバーに適合する非円形状の高アスペクト比の出力ビームを形成する。ある方向において、ビームが、特定のカプラー設計に依存して回折限界で在り得る。ビームは、品質及び輝度の損失なくしてHARCファイバーだけ延長された距離を配送される。
【0084】
本開示が図示の目的のために詳細に記述されたが、そのような詳細が単にその目的のためのものであると理解され、発明概念が開示の実施形態に限定されず、むしろ逆に、添付請求項の精神及び範囲内にある修正及び均等の構成にまで及ぶことが意図される。加えて、本開示が、可能な範囲で、任意の実施形態の1以上の特徴が、任意の他の実施形態の1以上の特徴に結合されることを想定しているものと理解される。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図10A
図11