(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記セルロースエーテル粒子が、110マイクロメートル以内のメジアン等価投影円直径(EQPC 50,3)を有する、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の組成物。
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の前記組成物に水を加え、バッターを形成する工程と、食品と前記バッターを接触させ、バッターがつけられた食品を製造する工程と、を含む、バッターがつけられた食品を製造する方法。
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の前記セルロースエーテル粒子を澱粉含有食品調製物に導入する工程と、前記食品調製物を成形する工程と、を含む、成形された澱粉含有食品調製物を製造する方法。
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の前記セルロースエーテル粒子を澱粉含有食品調製物に導入する工程と、前記食品調製物を成形する工程と、前記成形された食品調製物を油で揚げる工程と、を含む、油で揚げた澱粉含有食品調製物の油及び/又は脂肪吸収を低減する方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
驚くべきことに、下記のセルロースエーテル粒子は、食品調製物を含むフライ食品の油及び/又は脂肪吸収を低減するのに非常に適していることが見出された。
【0013】
セルロースエーテルは、本発明との関連において、無水グルコース単位として示される、β‐1,4‐グリコシド結合D‐グルコピラノース繰返し単位を有したセルロース主鎖を有する。
【0014】
有用なセルロースエーテルは、例えば、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシ‐C
1‐C
3‐アルキルセルロース;又は、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースなどのカルボキシ‐C
1‐C
3‐アルキルヒドロキシ‐C
1‐C
3‐アルキルセルロースである。これらのセルロースエーテルが用いられる場合、これらは、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、又はヒドロキシアルキルアルキルセルロースと組み合わせて用いられることが好ましい。
【0015】
セルロースエーテルは、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、又はヒドロキシアルキルアルキルセルロースであることが好ましい。これは、セルロースエーテルにおいて、無水グルコース単位のヒドロキシル基の少なくとも一部が、アルコキシル基若しくはヒドロキシアルコキシル基、又はアルコキシル基とヒドロキシアルコキシル基の組合せにより置換されていることを意味する。通常、1種又は2種のヒドロキシアルコキシル基は、セルロースエーテル中に存在する。好ましくは、単一の種類のヒドロキシアルコキシル基、より好ましくはヒドロキシプロポキシルが存在する。
【0016】
アルキルセルロースは、メチルセルロースであることが好ましい。混合アルキルヒドロキシアルキルセルロースを含むアルキルヒドロキシアルキルセルロースは、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはヒドロキシブチルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシプロピルセルロース、若しくはエチルヒドロキシブチルセルロースなどのヒドロキシアルキルエチルセルロース;又は、エチルヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはアルコキシヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースであることが好ましく、アルコキシ基は、直鎖であるか又は分岐し、2〜8個の炭素原子を含有する。ヒドロキシアルキルセルロースは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、若しくはヒドロキシブチルセルロース;又は、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースなどの混合ヒドロキシアルキル(hydroxylkyl)セルロースであることが好ましい。
【0017】
セルロースエーテルは、水中に熱凝集点(thermal flocculation point)を有するもの、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースであることが特に好ましい。セルロースエーテルは、水溶性であることが好ましく、すなわち、セルロースエーテルは、水に少なくとも1グラム、より好ましくは少なくとも2グラム、最も好ましくは、25℃、1気圧で蒸留水100グラムに少なくとも5グラムの溶解性を有する。
【0018】
ヒドロキシアルキルアルキルセルロースが好ましく、ヒドロキシアルキルメチルセルロースがより好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが最も好ましく、これらは、下記のMS(ヒドロキシアルコキシル)及びDS(アルコキシル)を有する。ヒドロキシアルコキシル基による無水グルコース単位のヒドロキシル基の置換度は、ヒドロキシアルコキシル基、MS(ヒドロキシアルコキシル)のモル置換度によって表わされる。MS(ヒドロキシアルコキシル)は、セルロースエーテルの無水グルコース単位当たりのヒドロキシアルコキシル基の平均モル数である。ヒドロキシアルキル化反応時に、セルロース主鎖に結合したヒドロキシアルコキシル基のヒドロキシル基は、アルキル化剤、例えば、メチル化剤、及び/又はヒドロキシアルキル化剤によって更にエーテル化できることを理解する必要がある。無水グルコース単位の同じ炭素原子位置に対する後続のヒドロキシアルキルエーテル化反応は、それぞれの側鎖を生じ、複数のヒドロキシアルコキシル基は、エーテル結合によって互いに共有結合され、全体として、それぞれの側鎖は、セルロース主鎖にヒドロキシアルコキシル置換基を形成する。したがって、「ヒドロキシアルコキシル基」という用語は、MS(ヒドロキシアルコキシル)との関連において、上に概説したように、単一のヒドロキシアルコキシル基又は側鎖のいずれかを含む、ヒドロキシアルコキシル置換基の構成単位としてのヒドロキシアルコキシル基を指し、2以上のヒドロキシアルコキシ単位は、エーテル結合によって互いに共有結合されていると解釈する必要がある。この定義の範囲内では、ヒドロキシアルコキシル置換基の末端ヒドロキシル基が、更にアルキル化される、例えば、メチル化されるか否かは重要ではなく、アルキル化及び非アルキル化ヒドロキシアルコキシル置換基はともに、MS(ヒドロキシアルコキシル)の決定のために含まれている。
【0019】
本発明に利用される(utililized)ヒドロキシアルキルアルキルセルロースは、概して、0.05〜1.00、好ましくは0.08〜0.90、より好ましくは0.12〜0.70、最も好ましくは0.15〜0.60、特に0.20〜0.50の範囲のヒドロキシアルコキシル基のモル置換度を有する。無水グルコース単位当たりの、メトキシル基などのアルコキシル基により置換されるヒドロキシル基の平均数は、アルコキシル基、DS(アルコキシル)の置換度として示される。DSの上述した定義において、「アルコキシル基により置換されるヒドロキシル基」という用語は、セルロース主鎖の炭素原子に直接結合したアルキル化ヒドロキシル基だけはなく、セルロース主鎖に結合したヒドロキシアルコキシル置換基のアルキル化ヒドロキシル基も含むように本発明の範囲内で解釈される必要がある。本発明に利用されるヒドロキシアルキルアルキルセルロースは、好ましくは1.0〜2.5、より好ましくは1.1〜2.4、最も好ましくは1.2〜2.2、特に1.6〜2.05の範囲のDS(アルコキシル)を有する。セルロースエーテルは、DS(アルコキシル)及びMS(ヒドロキシプロポキシル)について上述した範囲内のDS(メトキシル)、又はMS(ヒドロキシアルコキシル)について上述した範囲内のMS(ヒドロキシエトキシル)を有する、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はヒドロキシエチルメチルセルロースであることが最も好ましい。アルコキシル基の置換度、及びヒドロキシアルコキシル基のモル置換度は、ヨウ化水素によるセルロースエーテルのツァイゼル開裂(Zeisel cleavage)、及びその後の定量ガスクロマトグラフィー分析によって決定することができる(G. Bartelmus及びR. Ketterer, Z. Anal. Chem., 286 (1977) 161−190)。
【0020】
セルロースエーテルは,メチルセルロースであることが最も好ましい。無水グルコース単位当たりの、メトキシル基によって置換されるヒドロキシル基の平均数は、メトキシル基(DS)の置換度として示される。メチルセルロースは、好ましくは1.20〜2.25、より好ましくは1.25〜2.20、最も好ましくは1.40〜2.10のDSを有する。メチルセルロースにおけるメトキシル%の決定は、米国薬局方(USP 34)に従って行なわれる。求められる値はメトキシル%である。これらの値は、その後、メトキシル置換基の置換度(DS)に変換される。塩の残存量は、変換時に考慮されている。商標METHOCEL SG又はSGA(ダウケミカル社(The Dow Chemical Company)製)の下で市販されているメチルセルロースの等級は、下記の方法に従って本発明の食用組成物に利用されるメチルセルロースを製造するための出発物質として特に好ましい。
【0021】
例えばアルキルセルロース(メチルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルセルロース、又はヒドロキシアルキルアルキルセルロース(ヒドロキシアルキルメチルセルロースなど)のような、本発明の食用組成物に利用されるセルロースエーテルの粘度は、スピンドルLV‐1とともに10rpmで、ブルックフィールドLV粘度計を用いて25℃の水中で2重量%溶液として測定する場合、好ましくは50〜10,000mPa・s、より好ましくは200〜7,000mPa・s、最も好ましくは400〜1,000mPa・s、特に450〜750mPa・sである。
【0022】
少なくとも10体積%、好ましくは12体積%、より好ましくは15体積%、最も好ましくは17体積%の、本発明の食用組成物に利用されるセルロースエーテル粒子は、40マイクロメートル未満の粒子長LEFIを有する。
【0023】
典型的に、セルロースエーテル粒子の総体積を基準として、40マイクロメートル未満の粒子長LEFIを有するセルロースエーテル粒子の体積率は、75%以内、より典型的には60%以内、最も典型的には50%以内である。40マイクロメートル未満の粒子長LEFIを有するセルロースエーテル粒子は、以後微粒子として示される。
【0024】
本発明の食用組成物に利用されるセルロースエーテルの繊維状粒子のこの寸法パラメータは、粒子サイズと試料画像の形状解析を組み合わせる高速画像解析法を用いて決定することができる。複合粉末の画像解析方法は、W. Witt, U. Kohler, J. List, Current Limits of Particle Size and Shape Analysis with High Speed Image Analysis, PARTEC 2007に記載されている。高速画像解析システムは、動的画像解析(DIA)システムQICPIC(商標)として、シンパテック社(Sympatec GmbH)(クラウスタール‐ツェラーフェルト(Clausthal−Zellerfeld)、ドイツ)から市販されている。種々の粉末用の、シンパテック社(クラウスタール‐ツェラーフェルト、ドイツ)製のRODOS乾燥粉末分散機を備えた動的画像解析DIAシステムQICPIC(商標)は、W. Yu, K. Muteki, L. Zhang及びG. Kim, Prediction of Bulk Powder Flow Performance Using Comprehensive Particle Size and Particle Shape Distributions, JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES, VOL. 100, NO. 1, JANUARY 2011に記載されている。
【0025】
高速画像解析システムは、粒子の多くの寸法パラメータを測定及び算出するのに有用である。これらのパラメータの一部を以下に記載する。
【0026】
LEFI:粒子長LEFIは、粒子輪郭内の粒子の両端を結ぶ最長の直線経路(direct path)と定義される。「直線」とは、湾曲(loop)又は分岐(branch)がないことを意味する。
【0027】
DIFI:粒子径DIFIは、粒子の枝の全長の合計で割った、粒子の投影面積と定義される。
【0028】
伸長:粒子伸長は、式DIFI/LEFIによって定義される、粒子径DIFIと粒子長LEFIの比である。
【0029】
EQPC:粒子のEQPCは、粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径と定義される。
【0030】
フェレ径:フェレ径は、キャリパ径としても知られている。粒子輪郭の両側における、ある一定方向に平行な2本の接線間の距離が、フェレ径である。粒子が不均一形状を有する場合、フェレ径は、通常、均一形状の粒子よりも大きくばらつく。
【0031】
最小フェレ径(Fmin):ある一定方向の粒子投影に対する接線間の最小距離である。最小フェレ径は、可能な限りすべての方向(0°〜180°)を考慮した上での最小径である。不均一形状の粒子については、FminがEQPCよりも大幅に小さくなることがある。
【0032】
最大フェレ径(Fmax):ある一定方向の粒子投影に対する接線間の最大距離である。最大フェレ径は、可能な限りすべての方向(0°〜180°)を考慮した上での最大径である。Fmaxは、EQPCよりも大幅に大きくなることがある。
【0033】
アスペクト比:粉末中の粒子のアスペクト比は、最大フェレ径に対する最小フェレ径の比Fmin/Fmaxであり、粒子形状の別の尺度でもある。いずれの粒子も、Fmin/Fmaxは0〜1である。
【0034】
真球度:実際の粒子の周囲長に対する、粒子の投影面積と同じ面積を有する円における円周の比率P
EQPCである。同等の円が、所定の投影面積で可能な限り最小の円周をもたらすので、いずれの粒子も、真球度の値は0〜1である。この値が小さいほど、粒子形状は不均一である。
【0035】
本発明の食用組成物に利用されるセルロースエーテル粒子は、概して、110マイクロメートル以内、好ましくは95マイクロメートル以内、より好ましくは80マイクロメートル以内、最も好ましくは72マイクロメートル以内、最も好適な実施形態において、65マイクロメートル以内のメジアン等価投影円直径(EQPC 50,3)を有する。EQPC 50,3は、概して10マイクロメートル以上、典型的に20マイクロメートル以上、より典型的に30マイクロメートル以上、最も典型的に40マイクロメートル以上である。すべての粒度分布、例えばEQPCは、数(0)、長さ(1)、面積(2)及び体積(3)分布と示し適用することができる。体積分布は、「EQPC 50,3」という用語のコンマの後に数字3で示される。メジアンEQPCとは、粒度分布の粒子の50%が、所定値のμm(マイクロメートル)よりも小さいEQPCを有し、また、粒子の50%が、大きなEQPCを有することを意味する。50という名称は中央値を表す。
【0036】
粉末試料中の微粒子及び繊維状粒子の体積は、微粒子のそれぞれのEQPCの数分布の中央値、並びに、繊維状粒子のそれぞれのLEFI及びDIFIの数分布の中央値から算出される。数分布は、試料内のそれぞれの粒子のEQPC、DIFI及びLEFIから算出される。
【0037】
微粒子:本発明の目的上、微粒子の粒子長(LEFI)は、40マイクロメートル未満、概して少なくとも10マイクロメートルである。M7光学システムを備えた動的画像解析(DIA)システムQICPIC(商標)の検出限界は10マイクロメートルである。
【0038】
セルロースエーテルの所定試料中の微粒子の体積は、次の式1に従って算出される。
【0040】
式中、Vは微粒子の体積であり、nは試料中の微粒子の数であり、ここでは、EQPCは、微粒子の個数粒度分布から求めたメジアンEQPCある。
【0041】
繊維状粒子:当業者に一般的に理解されている繊維状粒子は、通常、不均一な形状と、一般に径よりも大幅に大きい長さによって特徴付けられる粒子である。繊維は、直線状であるか又は湾曲し、薄くても厚くてもよい。したがって、QICPIC(商標)からの形状及びサイズ情報がともに、繊維状粒子を定義するのに用いられる。本発明の目的上、粒子が以下の定義I又はIIのうちの一方を満たす場合、「繊維状」粒子である。I)0.35以下の伸長、0.45以下のアスペクト比、及び40マイクロメートル以上のLEFIを有する粒子、又は、II)0.35以下の伸長、0.45を超えるアスペクト比、0.7未満の真球度、及び40マイクロメートル以上のLEFIを有する粒子。
【0042】
セルロースエーテルの所定試料中の繊維状粒子の体積は、次の式2に従って算出することができる。
【0044】
式中、V
fは繊維状粒子の体積であり、n
fは、試料中の繊維状粒子数であり、DIFIは、繊維状粒子の個数粒度分布から求めた粒子の枝の全長の合計で割った、粒子のメジアン投影面積であり、LEFIは、繊維状粒子の個数粒度分布から求めたメジアン粒子長である。
【0045】
微粒子の体積率はV/V
totであり、繊維状粒子の体積率はV
f/V
totであり、V及びV
fは、上で算出されたとおり、微粒子及び繊維状粒子の体積であり、V
totは、セルロースエーテルの所定試料の全体積である。個々の微粒子及び個々の繊維状粒子の密度は本質的に同じであるので、体積率は、本質的に重量分率に相当する。
【0046】
本発明の食用組成物に利用されるセルロースエーテル粒子は、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、最も好ましくは25%以下の体積率の繊維状粒子を有する。通常、セルロースエーテル粒子は、1%以上の体積率の繊維状粒子を有する。前記の通り、繊維状粒子は40マイクロメートル以上のLEFIを有する。繊維状粒子のメジアンLEFIは、150マイクロメートル以下であることが好ましい。繊維状粒子のメジアンLEFIとは、個数粒度分布から算出されるように、粒度分布の繊維状粒子の画分における粒子の50%が、所定値のμm(マイクロメートル)よりも小さいLEFIを有し、また、粒子の50%が、大きなLEFIを有することを意味する。
【0047】
セルロースエーテルの製造は、一般に、当該技術分野において公知である。通常、その製造方法は、例えばアルカリ金属水酸化物処理によってセルロースを活性化する工程と、この処理後のセルロースをエーテル化剤と反応させる工程と、セルロースエーテルを洗浄し、副生成物を除去する工程と、を含む。洗浄工程後のセルロースエーテルは、湿潤したセルロースエーテルの総重量を基準として、概して30〜60パーセント、通常45〜55パーセントの含水率を有する。好ましい洗浄液はセルロースエーテルの種類によって異なり得るが、好ましい洗浄液は、一般に、水、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン又は塩水である。より好ましい洗浄液は、一般に、水又は塩水である。セルロースエーテルは、概して20〜120℃、好ましくは65〜95℃の温度で洗浄される。洗浄工程後、及び洗浄液からセルロースエーテルの分離工程後に、溶媒に湿潤させた、好ましくは水に湿潤させたろ過ケーキが得られる。この湿潤したセルロースエーテルは、通常、湿潤した顆粒状、湿潤した塊状及び/又は湿潤したペースト状で得られる。
【0048】
湿潤したセルロースエーテルは、上述したように、少なくとも10体積%の前記セルロースエーテル粒子が、40マイクロメートル未満の粒子長LEFIを有するセルロースエーテル粒子に広範囲に粉砕される。所望レベルの粉砕が達成されれば、粉砕装置の種類はそれほど重要ではない。例えば、湿潤したセルロースエーテルは、同時乾燥及び粉砕に適した装置により粉砕することができる。または、乾燥したセルロースエーテルは、衝撃式粉砕機により粉砕することができる。以下の例には、本発明の食用組成物に利用されるセルロースエーテル粒子を製造する方法が記載されている。これらのセルロースエーテル粒子を製造する粉砕工程の一部の態様は、以下でより一般的な用語により説明する。
【0049】
一粉砕方法において、湿潤したセルロースエーテルは、乾燥及び粉砕工程に供される。湿潤したセルロースエーテルを乾燥‐粉砕する場合、乾燥‐粉砕工程前のセルロースエーテルの温度は、国際公開公報第WO 2012/015400号に記載されているように、セルロースエーテル粒子のEQPC 50,3に影響を及ぼす。乾燥‐粉砕工程前のセルロースエーテルの温度は、好ましくは5〜70℃、より好ましくは8〜65℃、最も好ましくは10〜60℃の範囲で制御され、場合により変更又は調整される。乾燥‐粉砕工程前に水などの液体がセルロースエーテルに加えられる場合、乾燥‐粉砕工程前のセルロースエーテルの温度は、加えた液体の温度を制御し、場合により変更又は調整することによって、及び/又は、ジャケットを被覆した混合機にセルロースエーテル及び液体を供給することによって、並びに、混合機のジャケット温度を制御し、場合により変更又は調整することによって、制御され、場合により変更又は調整されることが好ましい。また、これは、乾燥‐粉砕工程を中断することなく、実施することもできる。混合機によって、完全でかつ極度の混合が可能となる。有用な混合機は、例えば、造粒機、ニーダ、押出機、プレス機又はローラーミルであり、セルロースエーテルと液体の混合物は、剪断力を加え、二軸スクリュー混合機などにより混合することによって均質化される。二軸スクリュー混合機の場合のように、互いに深く噛み合い、相互剥離動作を実行する、2つの水平に配置されたブレードを有したいわゆる分割トラフニーダ(divided trough kneader)が、特に適している。適切な単軸連続ニーダとしては、いわゆるReflector(商標)混合機が挙げられ、この混合機は、マルチパート加熱冷却混合シリンダ(multi−part, heatable and coolable mixing cylinder)と、一方のみに取り付けられたブレードミキサーとからなる、モジュール構造の高性能ミキサーである(メーカー:リップ(Lipp)社、ドイツ)。また、いわゆるピンシリンダ押出機、又はStiftconvert(登録商標)押出機(メーカー:ベルストルフ(Berstorff)社、ドイツ)も適切である。水平アセンブリに、いわゆるダブルブレードシグマ撹拌機(メーカー:リンデン(Linden)社、ドイツ)を備えたニーダーミキサーが、特に適している。また、撹拌シャフトとともに回転する混練物を防止するために、適切な流動バッフル(flow baffle)が管壁に取り付けられている場合、垂直に配置されたミキサー軸を有する撹拌容器も適切であり、このようにして、強力な混合作用が混練材料に付与される(メーカー:バイエル(Bayer)AG社)。さらに、遊星式撹拌機とインラインホモジナイザーを備えた二重壁混合容器も適切である。乾燥‐粉砕工程前のセルロースエーテルの含水率は、湿潤したセルロースエーテルの総重量を基準として、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは55%以上である。含水率は、湿潤したセルロースエーテルの総重量を基準として、乾燥‐粉砕工程前の好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、最も好ましくは82%以下である。含水率は、ASTM法D‐2363‐79(1989年再承認)によって測定することができる。
【0050】
乾燥‐粉砕工程は、通常、気流衝撃式粉砕機(air swept impact mill)などの衝撃式粉砕機によって、乾燥工程及び粉砕工程を1つの単位作業により一工程で同時に行なうものとして、当該技術分野において一般に理解されている。乾燥工程は、通常、高温ガスと機械的エネルギーの組合せにより実施される。熱風が最も一般に用いられるが、高温窒素ガスも用いることができる。高温ガス及び湿潤セルロースエーテル流は、一般に、粉砕機の別々の入口を介して、通常、下部から高温ガスが、また、側面入口から粉砕機に接続された供給スクリューシステムを介して粉砕機に湿潤セルロースエーテルが供給される。また、欧州特許出願第EP 0 954 536 A1号(米国特許第6,320,043号に相当)、及び欧州特許第EP 1 127 910 A1号(米国特許第7,259,257号に相当)に詳細に記載されているように、過熱水蒸気、水蒸気/不活性ガス混合物又は蒸気/空気混合物などのような溶媒の過熱蒸気も、伝熱ガス及び搬送ガスとして用いることができる。湿潤したセルロースエーテルは、ガス気流衝撃式粉砕機、好ましくは気流衝撃式粉砕機において、衝撃及び/又は剪断応力を受けて乾燥‐粉砕されることが好ましい。ガス気流衝撃式粉砕機は、ウルトラロータミル(アルテンバーゲル・マシーネン・ヤッカリン(Altenburger Maschinen Jaeckering)社製、ドイツ)、又はTurbofiner PLMミル(パルマンマシーネンファブリク社(PALLMANN Maschinenfabrik GmbH & Co. KG)製、ドイツ)が好ましい。例えば、Hosokawa Alpine Air Classifierミル‐ZPS Circoplex(ホソカワミクロン社製、チェシャー州、英国)のようなガス気流衝撃式粉砕機も有用である。
【0051】
さらに、乾燥‐粉砕装置の周速度も、乾燥‐粉砕工程後のセルロースエーテル粒子のEQPC 50,3に影響を及ぼす。乾燥‐粉砕装置の周速度は、好ましくは70〜140m/s、より好ましくは90〜130m/s、最も好ましくは100〜120m/sの範囲で制御され、場合により変更又は調整される。
【0052】
本発明のセルロースエーテルを製造する別の方法において、乾燥セルロースエーテルは、粉砕工程に供される。乾燥セルロースエーテルの含水率は、水分を含むセルロースエーテルの総重量を基準として、典型的に10パーセント未満、より典型的に5パーセント未満である。有用な粉砕装置は、一般に、衝撃式粉砕機、ボールミル、ローラーミル又はジェットミルなどであり、当該技術分野において公知である。ボールミル、振動ミル、遊星ミル及び遠心流動化ミルなどの容器駆動型ミルが好ましい。粉砕媒体の例としては、ボール、ロッド及び管が挙げられる。粉砕媒体は、通常、ステンレス鋼、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、ガラス、鉄又はセルロースエーテル自体からなる。一般に、4〜36時間、通常8〜24時間の粉砕が推奨され、この時間は、ミルの種類によって異なる。
【0053】
場合により、乾燥‐粉砕工程及び追加の粉砕工程を順次行なうことができる。
【0054】
セルロースエーテル粒子の所定試料において、上述した乾燥‐粉砕工程及び/又は粉砕工程後に、依然として10体積%の前記セルロースエーテル粒子が、40マイクロメートル未満の粒子長LEFIを有する場合、及び/又は、繊維状粒子の体積率が依然として40%を超える場合、選択された乾燥‐粉砕工程若しくは粉砕工程を、乾燥‐粉砕時間若しくは粉砕時間を延長するように継続するか、又は、セルロースエーテル粒子を、更なる粉砕工程に供する必要がある。上述の教示内容に基づいて、及び下記の実施例において、当業者は、乾燥‐粉砕工程及び/又は粉砕工程において最適なプロセスパラメータを容易に決定することができる。
【0055】
本発明の食用組成物は、澱粉と、上述のセルロースエーテル粒子とを含む。
澱粉は、種々の供給源由来であってもよい。澱粉は、ジャガイモ、小麦、トウモロコシ(maize)(トウモロコシ(corn))、米及びキャッサバ(タピオカ)などの主食中に大量に含まれている。植物によっては、澱粉は、一般に、20〜25重量%のアミロースと、75〜80重量%のアミロペクチンとを含有している。本発明の食用組成物中のセルロースエーテル粒子の量は、食用組成物の総重量を基準として、好ましくは0.1〜10パーセント、より好ましくは0.2〜5パーセントである。澱粉の量は広範囲にわたって変化することがあり、主に、食用組成物の種類によって異なる。澱粉の量は、食用組成物の総重量を基準として、概して1〜99パーセント、通常、10〜95パーセントである。
【0056】
一態様において、本発明の食用組成物は、上述したセルロースエーテル粒子、粉、及び調味料などの任意の添加剤、及び/又は膨張剤を含む、乾燥バッターミックスである。乾燥バッターミックス中のセルロースエーテル粒子の量は、乾燥バッターミックスの総重量を基準として、好ましくは1〜10パーセント、より好ましくは2〜5パーセントである。粉末は、小麦粉、トウモロコシ粉、米粉、ジャガイモ粉、タピオカ粉、大豆粉、エンバク粉又は大麦粉のうちの少なくとも1つであることが好ましい。一実施形態において、粉末は、小麦粉、トウモロコシ粉、米粉、ジャガイモ粉、タピオカ粉、大豆粉、エンバク粉又は大麦粉のうちの少なくとも2つの混合物であり、粉末は、小麦粉とトウモロコシ粉のおよそ1:1の混合物であることがより好ましい。他の実施形態において、粉末は、ジャガイモ粉、米粉又はタピオカ粉のうちの少なくとも1つである。乾燥バッターミックスは、調味料を含むことが好ましい。調味料は、塩、コショウ、ニンニク、タマネギ、クミン、パプリカ、ハーブ、オールスパイス、アナトー、バジル、シラントロ、コリアンダー、クミン、チリ、イノンド、セイヨウワサビ、メース、マスタード、パプリカ、パセリ、ローズマリー、セージ、ゴマ、タラゴン、タイム、ターメリック及びワサビからなる群より選択される。一実施形態において、任意の膨張剤は、ベーキングパウダーである。一部の実施形態において、バッターは、コーンミール、粉乳又は粉末卵のうちの少なくとも1つを更に含む。乾燥バッターミックス中の原料の量は、当業者によって容易に決定される。
【0057】
乾燥バッターミックスは、水と混合してバッターを製造することが好ましい。バッターは、10rpmでRV‐1及びLV‐1スピンドルを用い、ブルックフィールドデジタル粘度計を用いて25℃で測定された、好ましくは1000mPa・s以内、より好ましくは100〜950mPa・sである。
【0058】
また、本発明は、バッターがつけられた食品、すなわち、バッターを被覆した食品を製造する方法であって、上述の食用組成物、具体的には乾燥バッターミックスに水を加え、バッターを形成する工程と、食品とバッターを接触させ、バッターがつけられた食品を製造する工程とを含む方法にも関する。
【0059】
バッターがつけられた食品としては、野菜及び野菜製品(豆腐、ジャガイモ、タマネギ、オクラ、ブロッコリー、ズッキーニ、ニンジン、ナス及びカリフラワーを含む。)、肉及び肉製品(ホットドッグ及び鶏肉を含む。)、魚及び魚製品(魚フィレ、魚加工スティック及びエビを含む)、キノコ、乳製品(チーズを含む。)、果物及び果物製品(プランテインを含む。)、菓子製品、並びにこれらの組合せ(モンテクリストサンドイッチ(Monte Cristo sandwich)などの製品を含む。)が挙げられる。食品は、バッターを被覆する前に、未加工、調理済みであってもよいし、又は一部調理されていてもよい。また、食品は、バッターを被覆する場合、加熱されても、常温で置かれても、冷蔵又は冷凍されてもよい。
【0060】
一態様において、方法は、バッターがつけられた食品を凍結させることを更に含む。別の実施形態において、方法は、(場合により、バッターがつけられた食品をパーフライング(par−frying)及び/又は凍結させた後に)バッターがつけられた食品を焼くこと又は高温の油で揚げることを更に含む。産業上の食品製造では、食品は、一般に、バッター被覆を備え、食品工場において油で揚げてバッターつけることにより、調理されるか又は一部調理される。油で揚げることによる一部調理は、「パーフライング」として知られている。調理、又は、通常、一部調理された食品は、その後、冷蔵又は冷凍され、包装され消費者に配送される。そして、調理又は一部調理された食品は、脂肪及び/又は油で揚げることによって、又はオーブンで焼くことによって、消費のために製造される。
【0061】
また、本発明は、フライ食品の油及び/又は脂肪吸収を低減する方法であって、上述のバッターがつけられた食品を製造する工程と、バッターがつけられた食品を油で揚げる工程とを含む方法にも関する。「バッターがつけられた食品を油で揚げる」という用語には、(場合により、冷蔵若しくは凍結させた後に)油で揚げてバッターをつけることによって、調理若しくは一部調理する工程、及び/又は消費する前に油で揚げる工程が含まれる。驚くべきことに、本発明のバッターがつけられた食品は、同等のバッターがつけられていない食品よりも概して少なくとも15%少ない、油及び/又は脂肪吸収を示すことが見出された。バッターがつけられた食品に最も好ましいセルロースエーテル粒子を導入する場合、本発明のバッターがつけられた食品は、同等のバッターがつけられていない食品よりも更に少なくとも20%少ない、油及び/又は脂肪吸収を示す。
【0062】
別の態様において、本発明の食用組成物は、上述のセルロースエーテル粒子が導入された、フレンチフライドポテト、ハッシュブラウンポテト、コロッケ、ポテトチップス、鳥肉ナゲット、魚スティック又はオニオンリングなどの成形された澱粉含有食品調製物である。澱粉含有食品調製物は、マッシュポテト、フレンチフライドポテト又はハッシュブラウンポテトなどのジャガイモ調製物であって、ジャガイモ片が、裁断、千切り、さいの目に切断するか又は米粒状にされた後に炒められる、ジャガイモ調製物であることが好ましい。澱粉含有食品調製物中のセルロースエーテル粒子の量は、澱粉含有食品調製物の総重量を基準として、好ましくは0.1〜1パーセント、より好ましくは0.2〜0.5パーセントである。
【0063】
また、本発明は、成形された澱粉含有食品調製物を製造する方法であって、上述のセルロースエーテル粒子を澱粉含有食品調製物に導入する工程と、食品調製物を成形する工程とを含む方法にも関する。一実施形態において、方法は、成形された澱粉含有食品調製物を凍結させることを更に含む。別の実施形態において、方法は、(場合により、成形された食品調製物をパーフライング及び/又は凍結させた後に)成形された澱粉含有食品調製物を焼くこと又は高温の油で揚げることを更に含む。
【0064】
また、本発明は、油で揚げた澱粉含有食品調製物の油及び/又は脂肪吸収を低減する方法であって、上述のセルロースエーテル粒子を上述の澱粉含有食品調製物に導入する工程と、食品調製物を成形する工程と、成形された澱粉含有食品調製物を油で揚げる工程とを含む方法にも関する。「成形された澱粉含有食品調製物を油で揚げる」という用語には、(場合により、冷蔵若しくは凍結させた後に)油で揚げることによって、調理若しくは一部調理する工程、及び/又は消費する前に油で揚げる工程が含まれる。驚くべきことに、本発明の澱粉含有食品調製物は、セルロースエーテル粒子を含まない同等の食品調製物よりも概して少なくとも15%少ない、油及び/又は脂肪吸収を示すことが見出された。食品調製物に最も好ましいセルロースエーテル粒子を導入する場合、本発明の成形された食品調製物は、セルロースエーテル粒子を含まない同等の食品調製物よりも更に少なくとも25%又は更に少なくとも45%少ない、油及び/又は脂肪吸収を示す。
【0065】
特に断りのない限り、「脂肪」、「油」並びに「脂肪及び/又は油」という用語は、動物又は植物由来の食用脂及び/又は食用油を指すように、本明細書において互換的に用いられる。植物由来の食用油の例としては、ヒマワリ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ピーナッツ油(落花生油)、ごま油、大豆油及びパーム油が挙げられる。
【0066】
「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」という用語及びこれらの変化形の使用は、オープンエンドであるものとする。したがって、明示的に列挙されていないか又は記載されていない要素、工程又は特徴は、除外されない。
【0067】
本発明の一部の実施形態を、以下の実施例において詳細に説明する。
【実施例】
【0068】
特に言及しない限り、すべての部及び百分率は重量基準である。実施例では、次の試験手順が用いられる。
【0069】
メトキシル含量及び粘度の決定
メチルセルロース中のメトキシル%の決定は、米国薬局方(USP 34)に従って行なった。メチルセルロースの粘度は、スピンドルLV‐1とともに10rpmで、ブルックフィールドLV粘度計を用いて25℃の水中で2重量%溶液として測定した。
【0070】
EQPC 50,3、微粒子及び繊維状粒子の体積率、並びに繊維状粒子のメジアンLEFIの決定
受け取ったままの状態、又は以下の実施例(比較例)による処理後のセルロースエーテル粒子を、4mmの内径、乾燥フィーダVIBRI/L、ソフトウェアWINDOX5, Vers5.3.0及びM7レンズを備える乾式分散機RODOS/Lを装備した、高速画像解析センサQICPIC(シンパテック社製、ドイツ)によって分析した。
【0071】
比較例A及びB
比較例Aのメチルセルロースは、商標METHOCEL(商標)SG A7Cの下でダウケミカル社から市販されている、メチルセルロースの第1ロットであった。これは、30.1%のメトキシル含量、及び25℃の水中で2重量%溶液として測定される560mPa・sの粘度を有していた。
【0072】
比較例Bのメチルセルロースは、商標METHOCEL(商標)SG A7Cの下でダウケミカル社から市販されている、メチルセルロースの第2ロットであった。これは、29.9%のメトキシル含量、及び25℃の水中で2重量%溶液として測定される690mPa・sの粘度を有していた。
【0073】
比較例A及びBのメチルセルロースは、いずれの処理もされていなかった。これらをともに、上述したとおりに、高速画像解析センサQICPICを用いて分析し、セルロースエーテル粒子の寸法パラメータを決定した。
【0074】
実施例1及び3並びに比較例C:乾燥‐粉砕
加熱及び冷却ジャケットを備えた市販の連続混合機を用い、供給原料としての比較例Aの乾燥メチルセルロース(MC)に水を加え、以下の表1に列挙されているように、MCの水分及び温度を調整した。以下の表1中の含水率%は、湿潤MC、すなわち、水分を含むMCの総重量を基準とする。混合機にジャケットを被覆した。混合機のジャケットに流体を供給し、以下の表1に列挙されたジャケット温度にした。セルロースエーテルを、表1に列挙されている供給速度で、連続的に混合機に供給した。湿潤生成物を、搬送ベルトを介して、粉砕物供給装置(mill feed unit)(アルテンバーゲル・マシーネン・ヤッカリン社製、ハム(Hamm)、ドイツ)に連続的に搬送した。容器撹拌機の下部ブレードが、ペーストを、容器の下部に取り付けられた単軸オーガスクリュー(single augur screw)へ圧入した。湿潤生成物は、有孔板を通して直接、Ultrarotor II「S」ガス気流衝撃式粉砕機(アルテンバーゲル・マシーネン・ヤッカリン社製、ハム、ドイツ)の側部の第1粉砕ステージと第2粉砕ステージとの間に押し出された。粉砕機は7つの粉砕ステージを備えていた。下部の3つの粉砕ステージは、標準的な粉砕バーを備えていた。上部の4つの粉砕ステージは、ターボバーを備えていた。12個のブレードを備えた共回転フィンガーシフターホイール(co−rotating finger sifter wheel)を、第7粉砕ステージの上部に設置した。粉砕機のジャケットの内部は、標準的なAltenburger波状静止粉砕プレート(corrugated stationary grinding plate)を有していた。
【0075】
衝撃式粉砕機のロータを、以下の表1に列挙されている周速度で操作した。112℃の温度の窒素流を、以下の表1に列挙されている流速で、粉砕機の下部に供給した。サイクロンを用い、乾燥生成物を窒素から分離した。最終生成物の水分は、1.1〜2.3重量%未満であった。
【0076】
実施例2:ローラーミル処理後の乾燥‐粉砕
以下の表1に列挙されている条件を適用する実施例1及び3並びに比較例Cについて説明したように、比較例Aのメチルセルロース(MC)を、乾燥‐粉砕工程に供した。
【0077】
乾燥‐粉砕工程後、50gのメチルセルロース粒子を、24時間、ローラーミルにより更に粉砕した。ローラーミルを、0.125インチ(3.2mm)の径の6978.5gの炭化タングステン製ボールに充填した。ミルは、それぞれ0.25インチ(0.635cm)の厚さである3つの四角形内部バッフルを備えた、4.75インチ(12cm)の内径、及び5インチ(12.7cm)の外径を有する鋼製円筒体であった。円筒体の長さも4.75インチ(12cm)であった。下部は溶接されたフランジであり、蓋は、4.24インチ(10.8cm)の径を有し、クランプによって適所に保持された0.375インチ(0.953cm)のゴムガスケットを備えていた。ミルを常温で操作した。装置を、67rpmで回転させるために、ローラー装置上で回転させた。
【0078】
この粉砕工程によって得られた実施例2のメチルセルロースは、以下の表2に列挙されている寸法パラメータを有していた。
【0079】
実施例4
比較例B(わずか4体積%の微粒子を有する、つまり、40マイクロメートル未満の粒子長LEFIを有する)による2.5kgの乾燥メチルセルロース(MC)を、ボールミルに供し、15インチ(38cm)の径及び21インチ(53.3cm)長さを有するPattersonボールミルにより18時間粉砕した。ボールミルに、1インチ(25.4mm)の径の炭素鋼球を100kg充填した。ミルを水道水によって冷却した。
【0080】
【表1】
【0081】
実施例5
比較例A(わずか5体積%の微粒子を有する、つまり、40マイクロメートル未満の粒子長LEFIを有する)による2.5kgのMCを、粉砕時間が10時間であること以外は実施例4のとおりに、粉砕した。
【0082】
実施例6
比較例Aによる50gの乾燥MCを、実施例2と同じローラーミルにより、18時間粉砕した。ミルを常温で操作した。装置を、67rpmで回転させるために、ローラー装置上で回転させた。
【0083】
実施例7
比較例Aによる50gの乾燥MCを、実施例2と同じローラーミルにより、24時間粉砕した。ミルを常温で操作した。装置を、67rpmで回転させるために、ローラー装置上で回転させた。
【0084】
これらの粉砕工程によって得られた実施例4〜7のメチルセルロースは、以下の表2に列挙されている寸法パラメータを有していた。
【0085】
【表2】
【0086】
油吸収の決定
ジャガイモ細片の調製
ジャガイモを手で皮を剥き、その両端を切断した。これらのジャガイモを、0.9cm×0.9cmの断面積の細片に切断した。均一な細片を試験に選択した。細片を水ですすぎ、次いで、85℃の水に5分間さらした。水にさらした後、ジャガイモ細片を、95℃で1分間、0.2%のクエン酸溶液中に浸漬した。その後、約10%の重量損失が達成されるまで、すべての細片の水を抜き、オーブン内で乾燥させた。ジャガイモを冷却し、プラスチック製ラップ(SARAN(商標)PVdC)で覆った。
【0087】
ジャガイモ細片のバッター被覆
100部のバッターを、75部の水と25部の乾燥ブレンド原料を混合することによって調製した。乾燥ブレンドは、11.625部の米粉(銘柄:Ener‐Gグルテンフリー白米粉)11.625部のコーンスターチ(銘柄:ナショナルスターチ(National Starch)社から入手したHYLON(登録商標)VIIコーンスターチ)、表2及び3に列挙されている1部のセルロースエーテル、及び0.75部の塩(銘柄:Morton’s Iodized)を含有していた。ワイヤ泡立て器付属品を備えた混合ボウル(キッチンエイド(Kitchen Aid)社製)内で、乾燥ブレンドに水を加え、これらを、中程度の速度から高速で、約30秒間混合した。混合ボウルの側部からの混合物を擦り落とし、更に30秒間混合した。混合物を、低速(遅い速度から中程度に遅い速度)で、更に11分間混合した。次いで、バッター混合物を、600mlのビーカーに移した。その後、バッターを混合ボウルに移し、スパチュラを用いて約15秒間、200gのジャガイモ細片を混合した。バッターを被覆したジャガイモ細片を、プラスチック製トレイ(plastic try)を下に備えたワイヤラック上に置いた。その後、個々のジャガイモ細片を、トングを用いて、一方の混合ラックから他方のラックに移した。過剰のバッターを流出させるために、ジャガイモ細片を1〜2回軽く叩いた。
【0088】
フライ手順
商用高温フライヤーをフライ試験に用いた。190℃に達するまで、フライヤーをフライ試験前に予熱した。バッターを被覆したジャガイモ細片を、フライバスケット内に沈め、30秒間パーフライングした。フライバスケットを高温フライヤーから取り出し、約15〜20秒後に数回振盪させた。フライバスケット内のパーフライングしたフレンチフライを油から取り出し、約10回振盪させ、フレンチフライの表面から余分な油を除去した。その後、パーフライングしたフレンチフライを、風袋の重さを量ったベーキングシートに移し、これらの最終重量を記録した。ベーキングシートとフレンチフライをともに、何も覆わずに、10分間、冷凍庫内に入れ、その後、プラスチック製ラップ(SARAN(商標)PVdC)で覆った。フレンチフライを一晩凍結させ、フライヤーを185℃に加熱した。パーフライングしたフレンチフライを収容したベーキングシートを、計量装置上に置き、風袋の重さを量った。その後、フレンチフライを、沈めたフライバスケットに入れた。初期温度を記録した。仕上げのフライを約2分間続けた。フライバスケットを、約15〜20秒後に数回振盪させた。フライバスケットを油から取り出し、約10回振盪させた。最終温度を記録した。フレンチフライを、冷却後、ビニール袋(Ziploc(商標))に移した。フレンチフライを油分析の前に凍結させた。
【0089】
油吸収分析
高温の油で揚げられたジャガイモ細片(フレンチフライ)の油含量を、AOAC Internationalの公定分析法、AOAC公定法2003.05(飼料、穀物及び粗飼料中の粗脂肪、Randall/Soxtec/ジエチルエーテル抽出‐沈水(submersion)法、ファーストアクション2003、ファイナルアクション2006)に記載されている法則を適用するSoxtec抽出法を用いて、乾燥試料において決定した。2005年3月1日改訂4.1版のアプリケーションサブノートASN 3171にフォス(FOSS)社(デンマーク)によって記載された手順「Soxtec抽出システムを用いたポテトチップス及びコーンスナック中の脂肪抽出」を適用する、フォス社から市販されているSoxtec(商標)2055脂肪抽出システムを用いた。油抽出に用いる溶媒は、アルファエサール(Alfa Aesar)社、ジョンソンマッセイ社(Johnson Matthey Company)から市販されている石油エーテル35/60、ACSであった。
【0090】
抽出された油を、フレンチフライの総重量を基準として算出した。フレンチフライがバッター被覆を有する場合において、油の割合は、バッター及び油を含むフレンチフライの総重量を基準としている。
【0091】
以下の表3は、フレンチフライの油含量、及び、上述したようにバッターがつけられていないが油で揚げられたジャガイモ細片と比較した油含量の低減を示している。
【0092】
【表3】
【0093】
実施例1〜7及び比較例A〜Cの油吸収の低減を、次の式に従って算出した。
100×[対照の油含量−実施例(比較例)の油含量]/対照の油含量。
【0094】
表3は、本発明の食用組成物が、フライ食品の油吸収低減において驚くべき効果があることを示している。比較例Aのバッターがつけられた食品は8.81%の油含量であったのに対し、実施例1の本発明に係るバッターがつけられた食品は7.39%の総油含量であった。したがって、実施例1の本発明に係るバッターがつけられた食品は、比較例Aのバッターがつけられた食品(100×[8.81−7.39]/8.81)と比較して、16.1%油吸収が低減した。これは、非常に驚くべきことである。実施例2及び3の本発明に係るバッターがつけられた食品は、比較例Aのバッターがつけられた食品と比較して、12.9%及び7.4%油吸収が低減した。実施例4の本発明に係るバッターがつけられた食品は、比較例Bのバッターがつけられた食品と比較して、13.7%油吸収が低減した。実施例5〜7の本発明に係るバッターがつけられた食品は、比較例Aのバッターがつけられた食品と比較して、3.7%、9.3%及び11.5%油吸収が低減した。
本開示は以下も包含する。
[1] 澱粉とセルロースエーテル粒子とを含む食用組成物であって、少なくとも10体積%の前記セルロースエーテル粒子が、40マイクロメートル未満の粒子長LEFIを有する、前記組成物。
[2] 少なくとも15体積%の前記セルロースエーテル粒子が、40マイクロメートル未満の粒子長LEFIを有する、上記態様1に記載の組成物。
[3] 前記セルロースエーテル粒子が、40%以下の体積率の繊維状粒子を有する、上記態様1又は2に記載の組成物。
[4] 前記セルロースエーテル粒子が、25%以下の体積率の繊維状粒子を有する、上記態様3に記載の組成物。
[5] 繊維状セルロースエーテル粒子のメジアンLEFIが、150マイクロメートル以下である、上記態様3又は4に記載の組成物。
[6] 前記セルロースエーテル粒子が、110マイクロメートル以内のメジアン等価投影円直径(EQPC 50,3)を有する、上記態様1〜5のうちのいずれかに記載の組成物。
[7] 前記セルロースエーテルが、メチルセルロース、又はヒドロキシアルキルメチルセルロースである、上記態様1〜6のうちのいずれかに記載の組成物。
[8] 前記組成物が、小麦粉、トウモロコシ粉、米粉、ジャガイモ粉、タピオカ粉、大豆粉、エンバク粉又は大麦粉からなる群より選択される、少なくとも1つの粉末を含む乾燥バッターミックスである、上記態様1〜7のうちのいずれかに記載の組成物。
[9] 前記組成物が、前記セルロースエーテル粒子を導入した成形された食品調製物である、上記態様1〜7のうちのいずれかに記載の組成物。
[10] 上記態様1〜8のうちのいずれかに記載の組成物に水を加え、バッターを形成する工程と、食品と前記バッターを接触させ、バッターがつけられた食品を製造する工程と、を含む、バッターがつけられた食品を製造する方法。
[11] 上記態様1〜7のうちのいずれかに記載の前記セルロースエーテル粒子を澱粉含有食品調製物に導入する工程と、前記食品調製物を成形する工程と、を含む、成形された澱粉含有食品調製物を製造する方法。
[12] 前記バッターがつけられた食品又は前記成形された澱粉含有食品調製物を凍結させることを更に含む、上記態様10又は11に記載の方法。
[13] フライ食品の油及び/又は脂肪吸収を低減する方法であって、該方法は、
上記態様1〜8のうちのいずれかに記載の前記組成物に水を加え、バッターを形成する工程と、
食品と前記バッターを接触させ、前記バッターがつけられた食品を製造する工程と、
前記バッターがつけられた食品を油で揚げる工程と、含む、
前記方法。
[14] 前記バッターがつけられた食品が、バッターがつけられていない食品よりも少なくとも15%少ない油及び/又は脂肪吸収を示す、上記態様13に記載の方法。
[15] 上記態様1〜7のうちのいずれかに記載の前記セルロースエーテル粒子を澱粉含有食品調製物に導入する工程と、前記食品調製物を成形する工程と、前記成形された食品調製物を油で揚げる工程と、を含む、油で揚げた澱粉含有食品調製物の油及び/又は脂肪吸収を低減する方法。