(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
積層ポリオレフィン微多孔質膜がA層/B層/A層、または、B層/A層/B層の3層構造であり、B層に融解熱量が90J/g以上であるポリプロピレンを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の電池用セパレータ。
無機粒子が炭酸カルシウム、アルミナ、チタニア、硫酸バリウム及びベーマイトからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の電池用セパレータ。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂微微多孔質膜は、隔離材やフィルター等として広く用いられている。たとえば、隔離材としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池、ポリマー電池に用いる電池用セパレータや、電気二重層コンデンサ用セパレータ、フィルターとしては逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等が挙げられる。その他にも透湿防水衣料、医療用材料等に用いられる。特にリチウムイオン二次電池用セパレータとしては、電解液含浸によりイオン透過性を有し、電気絶縁性、耐電解液性、耐酸化性に優れ、電池の異常昇温時には120〜150℃程度の温度においてイオン透過性を遮断し、過度の昇温を抑制する孔閉塞効果をも備えているポリエチレン製微多孔質膜が好適に使用されている。しかしながら、何らかの原因で孔閉塞後も昇温が続く場合、膜を構成するポリエチレンの粘度低下や膜の収縮により、破膜を生じることがある。この現象はポリエチレンに限定された現象ではなく、他の熱可塑性樹脂を用いた場合においても、その微多孔質膜を構成する樹脂の融点以上では避けることができない。
【0003】
リチウムイオン電池用セパレータは電池特性、電池生産性、電池安全性に関わっており、機械的特性、耐熱性、透過性、寸法安定性、孔閉塞特性(シャットダウン特性)、溶融破膜特性(メルトダウン特性)等が要求される。さらに、電池のサイクル特性向上のために電極材料との密着性向上、生産性向上のための電解液浸透性の向上などが要求される。
【0004】
そのため、これまでに微多孔質膜にさまざまな改質多孔層を積層することが検討されている。改質多孔層としては耐熱性及び電解液浸透性を併せ持つポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂及び/又は電極密着性に優れたフッ素系樹脂などが好適に用いられている。また、比較的簡易な水洗工程、乾燥工程を用いて改質多孔層が積層できる水溶性または水分散性バインダーも広く用いられている。なお、本発明でいう改質多孔層とは、耐熱性、電極材料との密着性、電解液浸透性などの機能を少なくとも一つ以上、付与または向上させる樹脂を含む層をいう。
【0005】
さらに、電池用セパレータは電池容量の向上のため、容器内に充填できる面積を増加させる必要があり、薄膜化が進むことが予測されている。しかしながら、微多孔質膜は薄膜化が進むと平面方向に変形しやすくなるため、微多孔質膜に改質多孔質層を積層した電池用セパレータは加工中、スリット工程、あるいは電池組み立て工程において、改質多孔層が剥離することがあり安全性を確保することがより困難となる。
【0006】
また、低コスト化に対応するため、上記工程の高速化が進むことが予想される。このような高速加工においても改質多孔層の剥離等のトラブルが少ない、微多孔質膜と改質多孔層との高い密着性が求められる。しかしながら、密着性の向上を図るために、改質多孔層に含まれる樹脂をポリオレフィン微多孔質膜に十分に浸透させると、透気抵抗度の上昇幅が大きくなるという問題がある。
【0007】
シャットダウン特性の観点においては、ポリオレフィン微多孔膜に低融点成分を添加するなどの方法が開示されている。しかし、一方で、融点の低い樹脂を添加すると、微多孔膜の製造時や電池製造時に空孔が閉塞しやすいために、改質多孔層を形成させる際に、より透気抵抗度の上昇幅が大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
特許文献1では、厚み9μmのポリエチレン製微多孔質膜にポリフッ化ビニリデンを塗布し、ポリフッ化ビニリデンの一部がポリエチレン製多孔膜の細孔に適度に食い込みアンカー効果を発現させることによって、ポリエチレン製多孔膜とポリフッ化ビニリデンの塗布層界面での剥離強度(T型剥離強度)が1.0〜5.3N/25mmの複合微多孔質膜を開示している。
【0009】
特許文献2では、厚みが16μmのコロナ放電処理されたポリエチレン製微多孔質膜に自己架橋性のアクリル樹脂と板状ベーマイトを含む耐熱多孔層を設け、ポリエチレン製微多孔質膜と耐熱多孔層との180°での剥離強度(T型剥離強度)が1.1〜3.0N/10mmのセパレータが開示されている。
【0010】
特許文献3の実施例1では、粘度平均分子量20万のポリエチレン47.5質量部と粘度平均分子量40万のポリプロピレン2.5質量部、および酸化防止剤からなる組成物50質量部と流動パラフィン50質量部からなるポリエチレン樹脂溶液を押出機から200℃で押し出し、25℃に温調された冷却ロールで引き取りながらゲル状成形物を得て、次いで7×6.4倍になるように二軸延伸を行い、ポリエチレン樹脂多孔膜を得る。このポリエチレン樹脂微多孔質膜の表面にポリビニルアルコール、アルミナ粒子からなる塗布層を積層して得た積層微多孔質膜が開示されている。
【0011】
特許文献4の実施例6では、重量平均分子量415万と重量平均分子量56万、重量比1:9のポリエチレン組成物30質量%と流動パラフィンとデカリンの混合溶媒70質量%のポリエチレン樹脂溶液を押出機から148℃で押し出し、水浴中で冷却しゲル状成形物を得て、次いで5.5×11.0倍になるように二軸延伸を行い、ポリエチレン微多孔質膜を得る。このポリエチレン微多孔質膜の表面にメタ型全芳香族ポリアミドとアルミナ粒子からなる塗布層を積層して得た非水系二次電池用セパレータが開示されている。
【0012】
特許文献5の実施例1では、粘度平均分子量70万のホモポリマーのポリエチレン47質量部と粘度平均分子量25万のホモポリマーのポリエチレン46質量部と粘度平均分子量40万のホモポリマーのポリプロピレン7質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られた純ポリマー混合物99質量%に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドしたポリエチレン組成物を溶融混練し、表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚さ2000μmのシート状のポリエチレン組成物を得て、次いで7×7倍になるように二軸延伸を行なって得たポリエチレン微多孔質膜に焼成カオリンとラテックスの水分散液を塗工することによって得られる積層多孔膜が開示されている。
【0013】
特許文献6では内部層としての多孔性ポリエチレン層と、外部層としての多孔性ポリプロピレン層とを有する多孔性樹脂基材にセラミックス層を積層させたリチウムイオン二次電池用セパレータを開示している。
【0014】
特許文献7では、低融点樹脂を添加した層と含まない層とを有する積層物を延伸して微多孔膜を作製する技術が開示されている。
【0015】
特許文献8では、ポリプロピレンをわずかに含有させたポリオレフィン微多孔膜に無機フィラー含有層を積層することによって、高温での耐熱性を向上させた非水電解液電池用セパレータが開示されている。
【0016】
しかしながら、今後急速に進むであろう低コスト化による高速加工化、高容量化に伴うセパレータの薄膜化の要求に対して、これら従来の技術ではスリット加工や電池組み立て加工中に局所的に改質多孔層が剥離するため、安全性を確保することは困難となることが予想される。特に、基材となるポリオレフィン微多孔質膜が薄くなれば、改質多孔層のポリオレフィン微多孔質膜に対する十分なアンカー効果が得にくくなるため、安全性の確保はいっそう困難となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に用いる積層ポリオレフィン微多孔質膜は、特定のポリオレフィン樹脂溶液を調整し、押し出し機からダイを経由して押し出されたポリオレフィン樹脂溶液の冷却速度を高度に制御することで、表面に適度な形状と数の突起を有する。本発明は、無機粒子及び引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーを含む改質多孔層を積層ポリオレフィン微多孔質膜に積層した場合において、積層ポリオレフィン微多孔質膜と改質多孔層との間で極めて優れた剥離強度を得ることができる。
【0024】
本発明でいう突起とは、積層ポリオレフィン微多孔質膜に、例えば無機粒子等を添加して得られる突起とは本質的に異なる。積層ポリオレフィン微多孔質膜に無機粒子を添加して得られる突起は通常、極めて高さが小さいものであり、同手段で高さ0.5μm以上の突起を形成しようとすれば積層ポリオレフィン微多孔質膜の厚さと同等かそれ以上の粒径を有する粒子の添加が必要となる。しかし、このような粒子を添加すると積層ポリオレフィン微多孔質膜の強度が低下してしまい、現実的ではない。
【0025】
本発明でいう突起とは、積層ポリオレフィン微多孔質膜の表層の一部を適度な形状の隆起に成長させたものであり、積層ポリオレフィン微多孔質膜の基本的な特性を低下させるものではない。
【0026】
本発明でいう不規則に点在する突起とは、積層ポリオレフィン微多孔質膜の製造に際して、延伸工程の前、あるいは後にエンボス加工ロールを通過させて得られる規則性、あるいは周期性のある配置する突起とは明確に異なる。エンボス加工等のプレス加工は基本的に圧縮することによって突起を形成するものであり、透気抵抗度、電解液浸透性の低下を生じやすいため好ましくない。
【0027】
本発明でいう適度な形状の突起とは、大きさ5μm以上、50μm以下で、かつ、高さ0.5μm以上の突起を意味する。すなわち、5μm≦W≦50μm(Wは突起の大きさ)、かつ0.5μm≦H(Hは突起の高さ)である。このような突起は積層ポリオレフィン微多孔質膜に改質多孔層を積層した際、アンカーとして機能し、その結果、前述の0°剥離強度の大きい電池用セパレータが得られる。一方、高さの上限は特に限定されないが、3.0μmもあれば十分である。十分な高さの突起が数多くあるほど0°剥離強度は高くなる傾向にある。すなわち、0°剥離強度は高さ0.5μm以上の突起の数とその平均高さに影響される。突起の数の下限値は3個/cm
2が好ましく、より好ましくは5個/cm
2、さらに好ましくは10個/cm
2である。突起の数の上限値は200個/cm
2が好ましく、より好ましくは150個/cm
2である。突起の高さの下限値は0.5μmが好ましく、より好ましくは0.8μm、さらに好ましくは1.0μmである。なお、本発明における突起の大きさ及び高さは、後述する測定方法で測定した値をいう。
【0028】
本発明でいう透気抵抗度の上昇幅とは、積層ポリオレフィン微多孔質膜の透気抵抗度と電池用セパレータとの透気抵抗度の差を意味し、90秒/100ccAir以下が好ましく、より好ましくは80ccAir、さらに好ましくは50ccAirである。
【0029】
本発明の積層ポリオレフィン微多孔質膜、改質多孔層、及び電池用セパレータについて概要を説明するが、当然この代表例に限定されるものではない。
【0030】
まず、本発明に用いる積層ポリオレフィン微多孔質膜について説明する。
本発明に用いる積層ポリオレフィン微多孔質膜の厚さの上限値は25μmが好ましく、より好ましくは20μm、さらに好ましくは16μmである。下限値は7μmが好ましく、より好ましくは9μmである。積層ポリオレフィン微多孔質膜の厚さが上記好ましい範囲であると、実用的な膜強度と孔閉塞機能を保有させることが出来き、電池ケースの単位容積当たりの面積が制約されず、今後、進むであろう電池の高容量化に適する。
【0031】
本発明のポリオレフィン製積層微多孔膜のメルトダウン温度は165℃以上、より好ましくは170℃以上である。メルトダウン温度が上記範囲であれば、高温においても寸法の安定性が高いために電池の安定性が高くなる。
【0032】
積層ポリオレフィン微多孔質膜の透気抵抗度の上限値は300sec/100ccAirが好ましく、より好ましくは200sec/100ccAir、さらに好ましくは150sec/100ccAirであり、下限値は50sec/100ccAirが好ましく、より好ましくは70sec/100ccAir、さらに好ましくは100sec/100ccAirである。
【0033】
積層ポリオレフィン微多孔質膜の空孔率は、上限値は70%が好ましく、より好ましくは60%、さらに好ましくは55%である。下限値は30%が好ましく、より好ましくは35%、さらに好ましくは40%である。透気抵抗度および空孔率が上記好ましい範囲内であると、電池の充放電特性、特にイオン透過性(充放電作動電圧)および電池の寿命(電解液の保持量と密接に関係する)において好適であり、電池としての機能を十分に発揮する。また、十分な機械的強度と絶縁性が得られることで充放電時に短絡が起こる可能性が低くなる。
【0034】
積層ポリオレフィン微多孔質膜の平均孔径は、孔閉塞性能に大きく影響を与えるため、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.3μmである。積層ポリオレフィン微多孔質膜の平均孔径が上記好ましい範囲であると、機能性樹脂のアンカー効果により十分な改質多孔層の前記0°の剥離強度が得られ、改質多孔層を積層した際に透気抵抗度が大幅に悪化せず、また、孔閉塞現象の温度に対する応答が緩慢になることもなく昇温速度による孔閉塞温度がより高温側にシフトすることもない。
【0035】
以下、本発明で用いるポリオレフィン樹脂について詳述する。
[1]第一の層(A層)におけるポリオレフィン樹脂
本発明のA層を構成するポリオレフィン微多孔膜はポリエチレンを主成分とする。透過性と突刺強度を向上させる為には、ポリエチレンの含有量はポリオレフィン樹脂全体を100質量%として、80質量%以上であるのが好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
【0036】
ポリエチレンの種類としては、密度が0.94g/cm
3を越えるような高密度ポリエチレン、密度が0.93〜0.94g/cm
3の範囲の中密度ポリエチレン、密度が0.93g/cm
3より低い低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。強度の観点より、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンを含有することが好ましい。
【0037】
超高分子量ポリエチレンは、エチレンの単独重合体のみならず、他のα‐オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。α‐オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。積層フィルムにおいては、特に共押出法により製造する場合は、各層の粘度差などにより幅方向の物性ムラの制御が困難となることがあるが、A層に超高分子量ポリエチレンを使用することによって、膜全体の分子ネットワークが強固となるために不均一変形が起こりにくく、物性の均一性にすぐれる微多孔膜を得ることができる。
【0038】
高密度ポリエチレンの重量平均分子量(以下、Mwという)は1×10
5以上が好ましく、より好ましくは2×10
5以上である。上限値はMwが8×10
5が好ましく、より好ましくはMwが7×10
5である。Mwが上記範囲であれば、製膜の安定性と最終的に得られる突刺強度とを両立することができる。
【0039】
超高分子量ポリエチレンのMwは、1×10
6以上4×10
6未満であることが好ましい。Mwが1×10
6以上4×10
6未満の超高分子量ポリエチレンを使用することで、孔およびフィブリルを微細化することができ、突刺強度を高めることが可能となる。また、Mwが4×10
6以上であると、溶融物の粘度が高くなりすぎるために、口金(ダイ)から樹脂を押し出せないなど製膜工程において不具合が出る場合がある。
【0040】
超高分子量ポリエチレンの含有量はポリオレフィン樹脂全体を100質量%として、下限値は2質量%が好ましく、より好ましくは18質量%である。上限値は45質量%が好ましく、より好ましくは40質量%である。この範囲であると突刺強度と透気抵抗度の両立が得られやすくなる。超高分子量ポリエチレンの含有量が好ましい上記範囲内であると、十分な高さの突起が得られる。この突起によって改質多孔層を積層した場合に突起がアンカーとして機能し、ポリエチレン多孔質膜の面方向に平行に加わる力に対し極めて強い剥離耐性を得ることができるのである。また、ポリエチレン多孔質膜の厚さを薄膜化させた場合であっても、十分な引っ張り強度が得られる。引っ張り強度は上限値を特に定めないが、100MPa以上が好ましい。
【0041】
[2]第二の層(B層)におけるポリオレフィン樹脂組成物
本発明のB層はポリオレフィンを主成分とする微多孔質膜である。B層は強度の観点から高密度ポリエチレンを50質量%以上含むことが好ましい。また、高密度ポリエチレンの重量平均分子量(以下、Mwという)は1×10
5以上が好ましく、より好ましくは2×10
5以上である。Mwの上限値はMwが8×10
5が好ましく、より好ましくはMwが7×10
5である。Mwが上記範囲であれば、製膜の安定性と最終的に得られる突刺強度とを両立することができる。
【0042】
本発明においては、B層にポリプロピレンを含有することが重要である。ポリプロピレンを添加すると、本発明のポリオレフィン微多孔膜を電池用セパレータとして用いた場合にメルトダウン温度をより向上させることができる。ポリプロピレンの種類は、単独重合体のほかに、ブロック共重合体、ランダム共重合体も使用することができる。ブロック共重合体、ランダム共重合体には、プロピレン以外の他のα−オレフィンとの共重合体成分を含有することができ、当該他のα−オレフィンとしては、エチレンが好ましい。
【0043】
ポリプロピレンのMwは5×10
5以上が好ましく、より好ましくは6.5×10
5以上、さらに好ましくは、8×10
5以上である。Mwが上記の範囲内であると、シート形成時にポリプロピレンの分散性が悪化することなく、膜厚が均一な膜を得ることができる。また、ポリプロピレンの融解熱(ΔHm)は90J/g以上が好ましく、より好ましくは95J/gである。ΔHmが上記好ましい範囲内であると、良好なメルトダウン特性を得ることができる。
【0044】
ポリプロピレンの含有量は、ポリオレフィン組成物の全質量に対して60質量%未満が好ましい。60質量%以上とすると透過性が悪化する恐れがある。また、特に、表層をB層とした場合において、積層微多孔膜をスリットした時にポリプロピレン脱落により発生する粉の量が増加したりする。ポリプロピレン脱落による粉発生量が多いと、積層微多孔膜にピンホールや黒点等の欠陥が生じる恐れがある。添加量の下限値としては、3質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%、さらに好ましくは20質量%以上である。ポリプロピレンの含有量が上記好ましい範囲内であると、良好なメルトダウン特性を得ることができる。
【0045】
また、強度および突起の形成の観点より、B層においても超高分子量ポリオレフィンを含有することが好ましい。超高分子量ポリオレフィンとしては、A層に例示したような超高分子量ポリエチレンや超高分子量ポリプロピレンなどがある。
【0046】
本発明のポリオレフィン微多孔質膜は、A層およびB層ともに、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤や帯電防止剤、紫外線吸収剤、さらにはブロッキング防止剤や充填材等の各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリオレフィン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤や熱安定剤の種類および添加量を適宜選択することは微多孔質膜の特性の調整又は増強として重要である。
【0047】
本発明に用いる積層ポリオレフィン微多孔質膜には、実質的に無機粒子を含まないことが好ましい。「実質的に無機粒子を含まず」とは、例えばケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下が好ましく、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。積極的に粒子を積層ポリオレフィン微多孔質膜に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはポリオレフィン微多孔質膜の製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、膜中に混入する場合があり、50ppm以下で検出される可能性がある。
【0048】
A層とともに、B層のポリオレフィン樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は5〜200の範囲内が好ましく、より好ましくは10〜100である。Mw/Mnの範囲が上記好ましい範囲であると、ポリオレフィンの溶液の押出が容易である。また、ポリオレフィン微多孔質膜はその表面に十分な数の突起を得られ、さらにポリオレフィン微多孔質膜の厚さを薄膜化させた場合でも、十分な機械的強度が得られる。Mw/Mnは分子量分布の尺度として用いられるものであり、例えば、単一物からなるポリオレフィンの場合、この値が大きい程分子量分布の幅が大きい。単一物からなるポリオレフィンのMw/Mnはポリオレフィンの多段重合により適宜調整することができる。また、ポリオレフィンの混合物のMw/Mnは各成分の分子量や混合割合を調整することにより適宜調整することができる。
【0049】
本発明でいう突起が形成されるメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。溶融したポリオレフィン樹脂と成形用溶剤との樹脂溶液がダイから押し出されると同時にポリオレフィンの結晶化が開始され、冷却ロールに接触し急冷されることで結晶化速度は増大する。この時、結晶核を有する対称構造の球晶が形成される(
図2)。冷却ロール表面と前記溶融したポリオレフィン樹脂間の熱伝達速度が比較的小さい場合は結晶化速度は小さく、その結果、比較的小さい結晶核を有する球晶となる。熱伝達速度が大きい場合は比較的大きい結晶核を有する球晶となる。これら球晶の結晶核は後工程であるTD(幅方向)及び/又はMD(機械方向)延伸時に突起となる。また、球晶は積層ポリオレフィン微多孔質膜の表面にリング状痕となって現れる(
図3)。
【0050】
[3]積層ポリオレフィン微多孔質膜の製造方法
積層ポリオレフィン微多孔質膜は、上記の各種特徴を満足する範囲内ならば、目的に応じた製造方法を自由に選択することができる。微多孔質膜の製造方法としては、発泡法、相分離法、溶解再結晶法、延伸開孔法、粉末焼結法などがあり、これらの中では微細孔の均一化、コストの点で相分離法が好ましい。
【0051】
相分離法による製造方法としては、例えばポリオレフィン樹脂と成形用溶剤とを加熱溶融混練し、得られた溶融混合物をダイより押出し、冷却することによりゲル状成形物を形成し、得られたゲル状成形物に対して少なくとも一軸方向に延伸を実施し、前記成形用溶剤を除去することによって微多孔質膜を得る方法などが挙げられる。
【0052】
本発明に用いる積層ポリオレフィン微多孔質膜の製造方法について説明する。
本発明の積層ポリオレフィン微多孔質膜の製造方法は以下の(a)〜(f)の工程を含むものである。
(a)A層を構成するポリオレフィン樹脂組成物に成形用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液Aを調製する工程
(b)B層を構成するポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂を含むポリオレフィン樹脂組成物に成形用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液Bを調製する工程
(c)工程(a)及び(b)にて得られたポリオレフィン樹脂溶液A及びBをダイより押し出して、うち少なくとも一方を、成形用溶剤の除去手段により成形用溶剤を除去した表面を有する冷却ロールにて冷却し、積層ゲル状成形物を形成する工程
(d)積層ゲル状成形物を機械方向および幅方向に延伸し、積層延伸成形物を得る工程
(e)積層延伸成形物から成形用溶剤を抽出除去し、乾燥し、積層多孔質成形物を得る工程
(f)積層多孔質成形物を熱処理し、積層ポリオレフィン微多孔質膜を得る工程
さらに、工程(a)の前、工程(a)〜(f)の途中、または工程(f)の後に親水化処理、除電処理等の他の工程を追加することもできる。また、工程(f)の後に、再延伸工程を設けることもできる。
【0053】
以下、各工程について詳述する。
(a)、(b)A層及びB層を構成するポリオレフィン樹脂に成形用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂溶液A及びBを調製する工程
成形用溶剤としては、ポリオレフィンを十分に溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィンなどの脂肪族または環式の炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分などがあげられるが、溶剤含有量が安定なゲル状成形物を得るためには流動パラフィンのような不揮発性の溶剤が好ましい。加熱溶解は、ポリオレフィン組成物が完全に溶解する温度で攪拌または押出機中で均一混合して溶解する方法で行う。その温度は、押出機中又は溶媒中で攪拌しながら溶解する場合は使用する重合体及び溶媒により異なるが、例えば140〜250℃の範囲が好ましい。
【0054】
ポリオレフィン樹脂の濃度は、ポリオレフィン樹脂と成形用溶剤の合計を100質量%として、15〜40質量%が好ましく、より好ましくは25〜40質量%、さらに好ましくは28〜35質量%である。ポリオレフィン樹脂の濃度が上記の好ましい範囲であると、突起を形成するための結晶核の数が十分形成され、十分な数の突起が形成される。また、ポリオレフィン樹脂溶液を押し出す際のダイス出口でスウェルやネックインを抑え、押出し成形体の成形性及び自己支持性が維持される。
【0055】
樹脂溶液A及びBの樹脂濃度に差を設けると、平均細孔径が膜厚方向において変化した構造(傾斜構造)を有する積層微多孔質膜を得ることができる。濃度の低い方の樹脂溶液を用いて形成した層の平均細孔径は、濃度の高い方の樹脂溶液を用いて形成した層の平均細孔径より大きくなる。樹脂溶液A又はBのどちらの濃度を高くするかは、積層微多孔質膜に要求される物性に応じて適宜選択することができる。例えば、内層が0.01〜0.05μmの緻密構造層とし、表層が緻密構造層の1.2〜5.0倍の粗大構造層とすると、イオン透過性と突刺強度のバランスを良好にすることができる。
【0056】
溶融混練の方法は特に限定されないが、通常は押出機中で均一に混練することにより行う。この方法は、ポリオレフィンの高濃度溶液を調製するのに適する。溶融混練温度は、使用するポリオレフィン樹脂によって異なる。例えば、ポリエチレン組成物は約130〜140℃の融点を有するので、溶融混練温度の下限値は140℃が好ましく、さらに好ましくは160℃、最も好ましくは170℃である。上限値は250℃が好ましく、230℃、最も好ましくは200℃である。また、B層では、ポリオレフィン溶液にポリプロピレンを含むが、その場合の溶融混練温度は190〜270℃が好ましい。
【0057】
樹脂の劣化を抑制する観点から溶融混練温度は低い方が好ましいが、上述の温度よりも低いとダイから押出された押出物に未溶融物が発生し、後の延伸工程で破膜等を引き起こす原因となる場合がある。また、上述の温度より高いと、ポリオレフィンの熱分解が激しくなり、得られる微多孔質膜の物性、例えば、突刺強度、引張強度等が劣る場合がある。
【0058】
二軸押出機のスクリュー長さ(L)と直径(D)の比(L/D)は良好な加工混練性と樹脂の分散性・分配性を得る観点から、20〜100が好ましい。下限値はより好ましくは35である。上限値はより好ましくは70である。L/Dを20以上にすると、溶融混練が十分となる。L/Dを100以下にすると、ポリオレフィン溶液の滞留時間が増大し過ぎない。混練する樹脂の劣化を防ぎながら良好な分散性・分配性を得る観点から、二軸押出機のシリンダ内径は40〜100mmであるのが好ましい。
【0059】
押出物中にポリオレフィンを良好に分散させて、優れた微多孔質膜の厚み均一性を得るために、二軸押出機のスクリュー回転数(Ns)を150rpm以上とすることが好ましい。Ns(rpm)に対するポリオレフィン溶液の押出量Q(kg/h)の比、Q/Nsを0.64kg/h/rpm以下が好ましく、より好ましくは0.35kg/h/rpm以下である。
【0060】
(c)(a)および(b)にて得られたポリオレフィン樹脂溶液A及びBをダイより押し出して、うち少なくとも一方を、成形用溶剤除去手段により成形用溶剤を除去した表面を有する冷却ロールにて冷却し、積層ゲル状成形物を形成する工程
押出機で溶融混練したポリオレフィン樹脂溶液AおよびBを直接に、あるいはさらに別の押出機を介して、ダイから押し立し、冷却ロールにて冷却し、積層ゲル状成形物を形成する。積層ゲル状成形物を得る方法としては、積層するゲル状成形物を別々に作製した後、カレンダーロール等を通して貼り合わせる方法(貼りあわせ法)や、ポリオレフィン溶液を別々に押出機に供給して所望の温度で溶融させ、ポリマー管あるいはダイ内で合流させて共押出して積層させ、その後に積層ゲル状成形物とする方法(共押出法)などのどの方法を使用しても良いが、層間の密着性の観点からは、共押出法を用いることが好ましい。
【0061】
ダイから押し出されたポリオレフィン樹脂溶液を冷媒で表面温度20℃から40℃に設定した回転する冷却ロールに接触させることによりゲル状成形物を形成する。押出されたポリオレフィン樹脂溶液は25℃以下まで冷却するのが好ましい。ここで、実質的に結晶化が行われる温度域での冷却速度が重要となる。例えば、実質的に結晶化が行われる温度域での冷却速度が10℃/秒以上で、押し出されたポリオレフィン樹脂溶液を冷却し、ゲル状成形物を得る。冷却速度は20℃/秒以上が好ましく、より好ましくは30℃/秒以上、さらに好ましくは50℃/秒以上である。このような冷却を行うことによりポリオレフィン相が溶剤によりミクロ相分離された構造を固定化し、冷却ロールと接していたゲル状成形物の表面に比較的大きな核を有する球晶が形成され、延伸後に適度な形状の突起を形成することができる。冷却速度は、ゲル状成形物の押し出し温度、ゲル状成形物の熱伝導度、ゲル状成形物の厚み、成形用溶剤、冷却ロール、空気の熱伝達率よりシミュレーションすることによって推定できる。
【0062】
本発明ではダイから押し出したポリオレフィン樹脂溶液と接する部分の冷却ロール表面に付着している成形用溶剤を極力除去しておくことが重要である。
図4に示すように、ポリオレフィン樹脂溶液は回転する冷却ロールに巻きつくことにより冷却されゲル状成形物となるが、ゲル状成形物が引き離された後の冷却ロール表面には成形用溶剤が付着しており、通常はそのままの状態で再びポリオレフィン樹脂溶液と接触することになる。しかし、成形用溶剤が冷却ロール表面に多く付着しているとその断熱効果により、冷却速度が緩慢になり、突起が形成されにくくなる。そのため、冷却ロールが再びポリオレフィン樹脂溶液と接触するまでに成形用溶剤を極力除去しておくことが重要となる。
【0063】
成形用溶剤除去手段、すなわち成形用溶剤を冷却ロールから除去する方法は特に限定されないが、冷却ロール上にドクターブレードをゲル状成形物の幅方向と平行になるようにあてて、ドクターブレードを通過した直後からゲル状成形物が接するまでの冷却ロール表面に成形用溶剤が視認できない程度に掻き落とす方法が好ましく採用される。あるいは圧縮空気で吹き飛ばす、吸引する、またはこれらの方法を組み合わせる等の手段で除去することもできる。なかでもドクターブレードを用いて掻き落とす方法は比較的容易に実施できるため好ましく、ドクターブレードは1枚より複数枚用いるのが成形用溶剤の除去効率を向上させる上でさらに好ましい。
【0064】
ドクターブレードの材質は成形用溶剤に耐性を有するものであれば特に限定されないが金属製より樹脂製、あるいはゴム製のものが好ましい。金属製の場合、冷却ロールをキズつけてしまう恐れがある。樹脂製ドクターブレードとしてはポリエステル製、ポリアセタール製、ポリオレフィン製などが挙げられる。
【0065】
冷却ロールの温度を20℃未満に設定しても、これだけでは成形用溶剤の断熱効果により十分な冷却速度が得られないだけでなく、冷却ロールへの結露によってゲル状成形物に表面荒れを引き起こす場合がある。
【0066】
押し出し時のポリオレフィン樹脂溶液の厚みは1500μm以下が好ましく、より好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは800μm以下である。押し出し時のポリオレフィン樹脂溶液の厚みが上記範囲内であると、冷却ロール側の面の冷却速度が緩慢にならず好ましい。
【0067】
ここで、貼りあわせ法によって、積層ゲル状成形物を得る場合には、A層もしくはB層となるポリオレフィン樹脂溶液のうち、少なくとも一方が上記冷却条件によって、ゲル状成形物として形成されていればよい。なお、貼りあわせる際には、上記冷却条件によって形成された層の冷却ロールに接触した面が表面となるように積層する必要がある。また、共押出法によって積層ゲル状成形物を得る場合には、積層されてダイより押し出されたポリオレフィン樹脂溶液が、上記冷却条件によって、積層ゲル状成形物として形成されればよい。
【0068】
積層ポリオレフィンは少なくともA層とB層を含んでなる多孔質積層体である。積層ポリオレフィンの層構成は、シャットダウン特性と強度および透過性などの物性バランスの観点からは、少なくともA層とB層の2層であればよいが、最終的なフィルムの表裏バランスの観点からは、A層/B層/A層もしくはB層/A層/B層の3層構成とすることがより好ましい。改質多孔層との密着性の観点においては、突起はA層およびB層のどちらに形成されていても構わないが、透過性と強度とのバランスの観点からは、表層をA層とし、内層をB層とすることが好ましい。一方、シャットダウンの観点からは、表層をBとし、内層をAとすることが好ましい。
【0069】
積層ポリオレフィン微多孔質膜のB層の厚さは3μm以上、15μm以下が好ましい。上限値は10μmがより好ましく、さらに好ましくは7μm、さらに好ましくは6μmである。また下限値は4μmが好ましい。B層の厚さは積層ポリオレフィン微多孔質膜が2層以上のB層を有する場合には、各B層の合計の厚さをいう。
【0070】
(d)積層ゲル状成形物をMD(機械方向)およびTD(幅方向)に延伸し、積層延伸成形物を得る工程
積層ゲル状成形物を延伸し、延伸成形物とする。延伸は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテンター法、ロール法、もしくはこれらの方法の組み合わせによってMD及びTDの二方向に所定の倍率で行う。延伸はMD及びTD(機械方向と幅方向)の同時延伸(同時2軸延伸)または逐次延伸のいずれでもよい。逐次延伸はMDとTDの順序は問わず、MD及びTDの少なくとも一方を多段で延伸してもよい。また延伸倍率は、原反の厚さによって異なるが面倍率で9倍以上が好ましく、より好ましくは16〜400倍である。MD及びTDの同時延伸であれば3×3、5×5、又は7×7などのMD及びTD同倍率での延伸が好ましい。面倍率が上記好ましい範囲であると、延伸が十分であり高弾性、高強度の微多孔質膜が得られる。また、延伸温度を調整することによって所望の透気抵抗度を得ることができる。
【0071】
延伸温度はポリオレフィン樹脂の融点以下にするのが好ましく、より好ましくは、(ポリオレフィン樹脂の結晶分散温度Tcd)〜(ポリオレフィン樹脂の融点)の範囲である。延伸温度がゲル状シートの融点以下であると、ポリオレフィン樹脂の溶融が防がれ、延伸によって分子鎖を効率的に配向せしめることが可能となる。また、延伸温度がポリオレフィン樹脂の結晶分散温度以上であれば、ポリオレフィン樹脂の軟化が十分であり、延伸張力が低いために、製膜性が良好となり、延伸時に破膜しにくく高倍率での延伸が可能となる。結晶分散温度TcdはASTM D 4065に従って測定した動的粘弾性の温度特性から求める。または、NMRから求める場合もある。
【0072】
(e)積層延伸成形物から成形用溶剤を抽出除去し、乾燥し、積層多孔質成形物を得る工程
延伸された延伸成形物を洗浄溶剤で処理して残留する成形用溶剤を除去し、微多孔質膜を得る。洗浄溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エタンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などの易揮発性のものを用いることができる。これらの洗浄溶剤はポリオレフィンの溶解に用いた成形用溶剤に応じて適宜選択し、単独もしくは混合して用いる。洗浄方法は、洗浄溶剤に浸漬し抽出する方法、洗浄溶剤をシャワーする方法、洗浄溶剤を延伸成形物の反対側から吸引する方法、またはこれらの組合せによる方法などにより行うことができる。上述のような洗浄は、延伸成形物である延伸成形物中の残留溶剤が1質量%未満になるまで行う。その後、洗浄溶剤を乾燥するが、洗浄溶剤の乾燥方法は加熱乾燥、風乾などの方法で行うことができる。
【0073】
(f)積層多孔質成形物を熱処理し、積層ポリオレフィン微多孔質膜を得る工程
乾燥して得られた積層多孔質成形物を熱処理し、積層ポリオレフィン微多孔質膜を得る。熱処理温度は90〜150℃にて行うのが好ましい。熱処理温度が上記好ましい範囲であると、得られた積層ポリオレフィン微多孔質膜の熱収縮率を低減し、透気抵抗度を確保することができる。熱処理時間は、特に限定されることはないが、通常は1秒以上10分以下が好ましく、より好ましくは3秒から2分以下で行われる。熱処理は、テンター方式、ロール方式、圧延方式、フリー方式のいずれも採用できる。
【0074】
熱処理工程では、MD(機械方向)、TD(幅方向)の両方向に対して把持し、MD、TDの少なくとも一方向に収縮させるのが好ましい。MD、TDの少なくとも一方向に収縮させる収縮率は、0.01〜50%が好ましく、より好ましくは3〜20%である。収縮率が上記好ましい範囲であると、105℃、8hrにおける熱収縮率が改善され、透気抵抗度が維持される。また、突刺強度等の突刺強度を向上させるために熱処理の前にさらにTD、またはMD、あるいは両方向に5%〜20%程度の再延伸を施してもよい。
【0075】
必要に応じて、微多孔質膜に親水化処理を施してもよい。親水化処理を行うことによって、例えば耐熱性樹脂層をコーティングする際に、微多孔質膜表面と改質多孔層層との接着性および塗工膜の均一性をより改善することができる。親水化処理は、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電等により行うことができる。モノマーグラフトは架橋処理後に行うのが好ましい。コロナ放電処理は、空気あるいは窒素あるいは炭酸ガスと窒素の混合雰囲気中で行うことができる。
【0076】
次に、本発明に用いる改質多孔層について説明する。
改質多孔層は積層ポリオレフィン微多孔質膜の突起を有する面側に積層するのが好ましい形態である。積層ポリオレフィン微多孔質膜の両面に改質多孔層を設ける場合は、スリット工程や搬送工程などの後工程において、ロールやバーなどの接触によって平行な応力がより強くかかる側の改質多孔層を積層ポリオレフィン微多孔質膜の突起を有する面側に積層するのが、本発明による効果が発揮されるため好ましい。
【0077】
本発明でいう改質多孔層とは耐熱性、電極材料との密着性、電解液浸透性などの機能を少なくとも一つ付与、または向上させるものである。改質多孔層には無機粒子と引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーとを含む。引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーを用いることによって積層ポリオレフィン微多孔質膜の表面に存在する突起と該バインダーの抗張力の相乗効果で前記0°剥離強度が極めて優れた電池用セパレータが得られる。また、積層ポリオレフィン微多孔質膜単独の場合と比較して、改質多孔層を積層しても電池用セパレータは大幅に透気抵抗度が上昇しない。これは積層ポリオレフィン微多孔質膜の細孔内に多くのバインダーを浸透させなくとも十分な0°剥離強度が得られるためである。
【0078】
バインダーの引っ張り強度は5N/mm
2以上であり、下限値は10N/mm
2が好ましく、より好ましくは20N/mm
2、さらに好ましくは30N/mm
2である。上限は特に定めないが100N/mm
2もあれば十分である。バインダーの引っ張り強度は後述する方法で測定した値をいう。
【0079】
本発明に用いる引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダーとしては、引っ張り強度が5N/mm
2以上であれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。セルロースエーテル系樹脂としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、シアンエチルセルロース、オキシエチルセルロース等が挙げられる。アクリル系樹脂としては架橋型アクリル樹脂が好ましい。また、市販されている水溶液または水分散液を用いることもできる。市販されているものとしては、例えば、日新化成(株)製“POVACOAT”(登録商標)、東亜合成(株)製“ジュリマー”(登録商標)AT−510、ET−410、FC−60、SEK−301、大成ファインケミカル(株)製UW−223SX、UW−550CS、DIC(株)製WE−301、EC−906EF、CG−8490などが挙げられる。なかでも、電極接着性を有し、非水電解液とも親和性が高く、しかも耐熱性が適切であり、比較的大きい引っ張り強度を有するポリビニルアルコール、アクリル系樹脂が好適である。
【0080】
改質多孔層を積層することによる積層ポリオレフィン微多孔質膜のカールを低減させるために、改質多孔層を形成するための塗布液に無機粒子を含むことが重要である。本明細書における塗布液とは引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダー、無機粒子及び前記バインダーを溶解または分散しうる溶媒を含むものであり、改質多孔層を形成するために用いる。バインダーとは、少なくとも無機粒子同士を結合させる役割及び積層ポリオレフィン微多孔質膜と改質多孔層とを結合させる役割を有するものである。溶媒とは、例えば、水、アルコール類、アセトン又はn−メチルピロリドンなどが挙げられる。塗布液に無機粒子を添加することによって、電池の内部における電極の樹枝状結晶の成長に起因する内部短絡の防止効果(デンドライト防止効果)、熱収縮率を低減、滑り性付与などの効果も得ることができる。粒子添加量の上限値は98質量%が好ましく、より好ましくは95質量%である。下限値は80質量%が好ましく、より好ましくは85質量%である。粒子添加量が上記好ましい範囲であるとカール低減効果が十分であり、改質多孔層の総体積に対して機能性樹脂の割合が最適であり、かつ、改質多孔層の十分な0°の剥離強度が得られる。
【0081】
無機粒子の平均粒径は積層ポリオレフィン微多孔質膜の平均細孔径の1.5倍以上、50倍以下が好ましく、より好ましくは2.0倍以上、20倍以下である。粒子の平均粒径が上記好ましい範囲であると、耐熱性樹脂と粒子が混在した状態で積層ポリオレフィン微多孔質膜の細孔を塞いでしまうことによる透気抵抗度の上昇を防止し、さらに電池組み立て工程において該粒子が脱落し、電池の重大な欠陥を招くのを防ぐ。
【0082】
無機粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカ、ベーマイトなどが挙げられる。また、必要に応じて耐熱性架橋高分子粒子を添加してもよい。耐熱性架橋高分子粒子としては、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル系樹脂粒子、架橋メタクリル酸メチル系粒子などが挙げられる。無機粒子の形状は真球形状、略球形状、板状、針状、多面体形状が挙げられるが特に限定されない。
【0083】
塗布液の固形分濃度は、均一に塗布できれば特に制限されないが、50質量%以上、98質量%以下が好ましく、80質量%以上、95質量%以下がより好ましい。塗布液の固形分濃度が上記好ましい範囲であると、改質多孔層が脆くなるのを防ぎ、改質多孔層の十分な0°の剥離強度が得られる。
【0084】
改質多孔層の膜厚は1〜5μmが好ましく、より好ましくは1〜4μm、さらに好ましくは1〜3μmである。改質多孔層の膜厚が上記好ましい範囲であると、改質多孔層を積層して得られた電池用セパレータは融点以上で溶融・収縮した際の破膜強度と絶縁性を確保でき、また十分な孔閉塞機能が得られ異常反応を防ぐことができる。また、巻き嵩を抑制することができ電池の高容量化には適する。さらにカールを抑えることで電池組み立て工程での生産性の向上に繋がる。
【0085】
改質多孔層の空孔率は30〜90%が好ましく、より好ましくは40〜70%である。所望の空孔率にするには、無機粒子の濃度、バインダー濃度などを適宜調整することにより得られる。改質多孔層の空孔率が上記好ましい範囲であると、改質多孔層を積層して得られた電池用セパレータは膜の電気抵抗が低く、大電流が流れやすく、また膜強度が維持される。
【0086】
改質多孔層を積層して得られた電池用セパレータの全体の膜厚の上限値は25μmが好ましく、より好ましくは20μmである。下限値は6μm以上が好ましく、より好ましくは7μm以上である。電池用セパレータの全体の膜厚が上記好ましい範囲であると、改質多孔層を積層して得られた電池用セパレータは十分な機械強度と絶縁性を確保できる。また、容器内に充填できる電極面積が減少することにより容量の低下を回避できる。
【0087】
電池用セパレータの透気抵抗度は、もっとも重要な特性のひとつであり、好ましくは50〜400sec/100ccAir、より好ましくは100〜350sec/100ccAir、さらに好ましくは100〜300sec/100ccAirである。所望の透気抵抗度にするには、改質多孔層の空孔率を調整し、バインダーの積層ポリオレフィン微多孔質膜への浸み込み程度を調整することにより得られる。電池用セパレータの透気抵抗度が上記好ましい範囲であると、十分な絶縁性が得られ、異物詰まり、短絡および破膜を防ぐ。また、膜抵抗を抑えることで実使用可能な範囲の充放電特性、寿命特性が得られる。
【0088】
次に本発明における積層ポリオレフィン微多孔質膜に改質多孔層を積層する方法について説明する。本発明の積層ポリオレフィン微多孔質膜に改質多孔層を積層する方法は以下の(g)の工程を含むものである。
(g)前記冷却ロールが接していた積層ポリオレフィン微多孔質膜の表面に、引っ張り強度が5N/mm
2以上のバインダー、無機粒子及びバインダーを溶解または分散しうる溶媒とを含む塗布液を用いて積層膜を形成し、乾燥する工程。
積層ポリオレフィン微多孔質膜に改質多孔層を積層する方法は、公知の方法を用いることができる。具体的には、前記塗布液を積層ポリオレフィン微多孔質膜に所定の膜厚になるように後述する方法で塗工し、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間5秒から60秒の条件下で乾燥させる方法で得ることができる。また、バインダーが可溶でかつ水と混和する溶媒で溶解した塗布液を所定の積層ポリオレフィン微多孔質膜に後述する塗布法を用いて積層し、特定の湿度環境下に置き、バインダーと水とを混和する溶媒を相分離させ、さらに水浴(凝固浴)に投入してバインダーを凝固させる方法も用いることができる。
【0089】
塗布液を塗布する方法としては、例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、マイヤーバーコート法、パイプドクター法、ブレードコート法およびダイコート法などが挙げられ、これらの方法は単独又は組み合わせて行うことができる。
【0090】
本発明の電池用セパレータは、乾燥状態で保存することが望ましいが、絶乾状態での保存が困難な場合は、使用の直前に100℃以下の減圧乾燥処理を行うことが好ましい。
【0091】
本発明の電池用セパレータは、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、銀−亜鉛電池、リチウム二次電池、リチウムポリマー二次電池等の二次電池、およびプラスチックフィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ、電気二重層コンデンサなどのセパレータとして用いることができるが、特にリチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるのが好ましい。以下にリチウムイオン二次電池を例にとって説明する。
【0092】
リチウムイオン二次電池は、正極と負極がセパレータを介して積層されており、セパレータは電解液(電解質)を含有している。電極の構造は特に限定されず、公知の構造であってもよい。例えば、円盤状の正極及び負極が対向するように配設された電極構造(コイン型)、平板状の正極及び負極が交互に積層された電極構造(積層型)、帯状の正極及び負極が重ねられて巻回された電極構造(巻回型)等の構造とすることができる。
【0093】
正極は、通常集電体とその表面に形成されたリチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含む正極活物質層とを有する。正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物(リチウム複合酸化物)、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。遷移金属としては、V、Mn、Fe、Co、Ni等が挙げられる。正極活物質の中でリチウム複合酸化物の好ましい例としては、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、α−NaFeO
2型構造を母体とする層状リチウム複合酸化物等が挙げられる。
【0094】
負極は、集電体とその表面に形成された負極活物質を含む負極活物質層とを有する。負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック等の炭素質材料が挙げられる。電解液はリチウム塩を有機溶媒に溶解することにより得られる。リチウム塩としては、LiClO
4、LiPF
6、LiAsF
6、LiSbF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC(CF
3SO
2)
3、Li
2B
10Cl
10、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiPF
4(CF
3)
2、LiPF
3(C
2F
5)
3、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl
4等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ‐ブチロラクトン等の高沸点及び高誘電率の有機溶媒や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の低沸点及び低粘度の有機溶媒が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。特に高誘電率の有機溶媒は粘度が高く、低粘度の有機溶媒は誘電率が低いため、両者を混合して用いるのが好ましい。
【0095】
電池を組み立てる際に、本発明のセパレータに電解液を含浸させ、セパレータにイオン透過性を付与することができる。通常、含浸処理は微多孔質膜を常温で電解液に浸漬して行う。例えば、円筒型電池を組み立てる場合、まず正極シート、セパレータ、及び負極シートをこの順に積層し、この積層体を一端より巻き取って巻回型電極素子とする。次にこの電極素子を電池缶に挿入し、上記電解液を含浸させ、さらに安全弁を備えた正極端子を兼ねる電池蓋を、ガスケットを介してかしめることにより電池を得ることができる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例よって何ら制限されるものではない。なお、実施例中の測定値は以下の方法で測定した値である。
【0097】
1.バインダーの引っ張り強度(N/mm
2)
実施例および比較例で用いたバインダーが可溶な溶媒に十分溶解または水分散させ、JIS K 7113に規定の2号形試験片作製用のダンベル型に乾燥後の膜厚が約100μmになるように入れて25℃で自然乾燥させ、さらに25℃で8時間真空乾燥(真空度3mmHg)を行って溶媒を十分除去して得られた試料シートを引っ張り強度測定に供した。
引張試験機((株)島津製作所製 Autograph AGS-J ロードセル容量1kN)を用いて以下の条件で測定した。サンプルフィルム、測定条件は以下の通りであり、3回測定を行い、その平均値をバインダーの引っ張り強度とした。
チャック間距離:40mm
試験速度:20mm/min
測定環境:気温20℃、相対湿度60%
【0098】
2.突起の数
突起の数と大きさは免震台上に設置したコンフォーカル(共焦点)顕微鏡(レーザーテック(株)製 HD100)を用いて、光源を安定化させた後に測定した。
(手順)
(1)実施例および比較例で得られた積層ポリオレフィン微多孔質膜を製膜時に冷却ロールに接していた面に1cm×1cmの正方形の枠を極細油性ペンで描いた。
(2)上記正方形の枠を描いた面を上にしてサンプルステージに載せ、コンフォーカル顕微鏡付属の静電気密着装置を用いてサンプルステージに密着固定させた。
(3)倍率5倍の対物レンズを用いて、
図3のようなポリオレフィンの球晶に由来するリング状痕をモニターに二次元画像(本装置ではREAL画面と称す)として表示させ、リング状痕の最も色の濃い部分がモニター画面のほぼ中央に位置するようにサンプルステージ位置を調整した。リング状痕が2つ連なっている場合はその接点に合わせた。突起高さ測定の対象は前記ポリオレフィンの球晶に由来するリング状痕の長径が0.2mm以上のものとした。リング状痕の長径は前記二次元画像にて長径方向にリングの両端にカーソルを合わせ、その長さを読み取った。
(4)対物レンズを20倍レンズに替え、モニター画面の中央部にフォーカスを合わせて(本装置ではモニター画面の中央部が最も明るく表示されようにする)、この高さ位置を基準高さとした(本装置ではREFSETと称す)。
(5)高さ方向の測定範囲は前記基準高さを0μmとして上下15μmに設定した。また、スキャン時間120秒、STEP移動距離0.1μm/Stepとし、三次元データを取り込んだ。
(6)三次元データ取り込み後、データ処理用画像(本装置ではZ画像と称す)を表示させ、スムージング処理を行った(スムージング条件:フィルタサイズ3x3、マトリックスタイプ SMOOTH3−0、回数1回)。また、必要に応じて水平補正画面にて水平補正を行った。
(7)データ処理用画像にて最も高い突起を通る位置(最も明るい部分)に水平方向にカーソルを置き、前記カーソルに対応した断面プロファイルを、断面プロファイル画像に表示させた。
(8)断面プロファイル画像にて垂直方向に2本のカーソルを突起の両袖の変曲点に合わせ両カーソル間の距離を突起の大きさとした。
(9)断面プロファイル画像にて水平方向に2本のカーソルを突起の頂点と突起の両袖の変曲点に合わせ(突起の両袖の変曲点の高さが異なる場合は低い方)両カーソル間の距離を突起の高さとした。
(10)前記操作を前記1cm×1cmの正方形の枠内で繰り返し、大きさ5μm以上、50μm以下、高さ0.5μm以上、3.0μm以下の突起の数を数え1cm
2当たりの突起数を求め、さらにその突起の高さ平均値を求めた。
【0099】
3.改質多孔層の0°剥離強度(N/15mm)
図1に、評価方法を模式的に示す。1が積層試料、2が積層ポリオレフィン微多孔質膜、3が改質多孔層、4が両面粘着テープ、5及び5'がアルミニウム板であり、図中の矢印が引張方向である。大きさ50mm×25mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板5に同じ大きさの両面粘着テープ(ニチバン(株)製NW−K50)4を貼り付けた。その上に幅50mm×長さ100mmに切り出した試料1(電池用セパレータ)の積層ポリオレフィン微多孔質膜2の面を前記アルミニウム板5の25mm長さの片辺の端から40mmが重なるように貼り付け、はみ出た部分を切り取った。次いで、長さ100mm、幅15mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板5'の片面に両面粘着テープを貼り付け、前記アルミニウム板5の25mm長さの試料側の片辺の端から20mmが重なるように貼り付けた。その後、試料を挟持したアルミニウム板5とアルミニウム板5'を引張試験機((株)島津製作所製 Autograph AGS‐J ロードセル容量1kN)に取り付け、アルミニウム板5とアルミニウム板5'のそれぞれを平行に反対方向に引張速度10mm/minで引っ張り、改質多孔層が剥離したときの強度を測定した。この測定を長手向に30cm以上の間隔を空けた任意の3点について行い、その平均値を改質多孔層の0°剥離強度とした。
【0100】
4.膜厚
接触式膜厚計((株)ミツトヨ製 ライトマチック series318)を使用して20点の測定値を平均することによって求めた。超硬球面測定子φ9.5mmを用い、加重0.01Nの条件で測定した。
【0101】
5.平均孔径
積層ポリオレフィン微多孔質膜の平均孔径は以下の方法で測定した。試料を測定用セルの上に両面テープを用いて固定し、プラチナまたは金を数分間真空蒸着させ、適度な倍率で膜の表面をSEM測定した。SEM測定で得られた画像上で任意の10箇所を選択し、それら10箇所の孔径の平均値を試料の平均孔径とした。
【0102】
6.透気抵抗度(sec/100ccAir)
テスター産業(株)製のガーレー式デンソメーターB型を使用して、積層ポリオレフィン微多孔質膜又は電池用セパレータをクランピングプレートとアダプタープレートの間にシワが入らないように固定し、JIS P8117に従って測定した。試料は10cm角とし、測定点は試料の中央部と4隅の計5点として、その平均値を透気抵抗度として用いた。なお、試料の1辺の長さが10cmに満たない場合は5cm間隔で5点測定した値を用いてもよい。
透気抵抗度の上昇幅は下記の式より求めた。
透気抵抗度の上昇幅=(Y)−(X)sec/100ccAir
積層ポリオレフィン微多孔質膜の透気抵抗度(X)sec/100ccAir
電池用セパレータの透気抵抗度(Y)sec/100ccAir
【0103】
7.メルトダウン温度
熱機械的分析装置(セイコー電子工業株式会社製、TMA/SS6000)を用い、10mm(TD)×3mm(MD)の試験片を、一定の荷重2gfで試験片の長手方向に引っ張りながら、5℃/minの速度で室温から昇温し、溶融により破膜した温度をメルトダウン温度とした。
【0104】
8.ポリプロピレンの融解熱(ΔHm)
約5mgの試料を予め精秤したアルミニウム製サンプルパンに入れ、次いで試料を入れたサンプルパンの質量を精秤して、サンプルパン質量との差を試料質量とした。試料を入れたサンプルパンを走査型示差熱量計(PerkinElmer,Inc.製、DSC−System7型)の試料ホルダー内に静置し、窒素雰囲気下において40℃から190℃まで10℃/minで加熱した後、190℃/10分間の熱処理を行った。続いて、40℃まで10℃/minで冷却し、40℃で2分間保持した後、10℃/minの昇温速度で190℃まで昇温した。昇温過程で得られたDSC曲線(溶融曲線)について、85〜175℃の範囲に直線ベースラインを設定し、直線ベースラインとDSC曲線とで囲まれる部分の面積から熱量を算出し、これを試料質量当りに換算した。
【0105】
9.積層ポリオレフィン微多孔質膜の空孔率
10cm角の試料を用意し、その試料体積(cm
3)と質量(g)を測定し得られた結果から次式を用いて空孔率(%)を計算した。
空孔率=(1−質量/(樹脂密度×試料体積))×100
【0106】
10.耐擦れ性
実施例及び比較例で得られたロール状の電池用セパレータを巻きだしながら、両端をスリット加工した。スリット加工はスリッター((株)西村製作所製 WA177A型)を用いて速度20m/分、張力60N/100mmの条件で行った。加工中、塗工面に接触するロールはハードクロムメッキロール2本(いずれもフリーロール)とした。次いで、スリット加工済のロール状電池用セパレータを巻き戻しながら目視、および拡大率10倍のスケール付きルーペ(PEAK社SCALELUPE×10)を用いて、長径0.5mm以上の改質多孔層の剥離欠点を数え、以下の判定基準で評価した。評価面積は幅100mm×長さ500mとした。(幅が100mmに満たない場合は長さを調整し、同様の評価面積になるようにした。)
判定基準
○(極めて良好):5ヶ以下
△(良好):6〜15ヶ
×(不良):16ヶ以上
【0107】
11.重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)
MwおよびMw/Mnは以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
・測定装置:Waters Corporation製GPC−150C
・カラム:昭和電工(株)製“Shodex”(登録商標) UT806M
・カラム温度:135℃
・溶媒(移動相):o−ジクロルベンゼン
・溶媒流速:1.0ml/分
・試料濃度:0.1質量%(溶解条件:135℃/1h)
・インジェクション量:500μl
・検出器:Waters Corporation製ディファレンシャルリフラクトメーター
・検量線:単分散ポリスチレン標準試料を用いて得られた検量線から、所定の換算定数を用いて作製した。
【0108】
12.融点
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の示差走査熱量計(DSC)DSC6220を用い、窒素ガス雰囲気下で樹脂試料5mgを昇温速度20℃/分で昇温したとき観察される融解ピークの頂点温度を融点とした。
【0109】
実施例1
重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)30重量%及び重量平均分子量が35万の高密度ポリエチレン(HDPE)70重量%からなる組成物100重量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐ジターシャリーブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネート]メタン0.375重量部を加えたポリエチレン組成物Aを得た。このポリエチレン組成物A30重量部を二軸押出機に投入した。この二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン70重量部を供給し、溶融混練して、押出機中にてポリオレフィン樹脂溶液Aを調製した。
【0110】
一方、重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)15重量%及び重量平均分子量が30万の高密度ポリエチレン(HDPE)65重量%、重量平均分子量が53万で、融解熱が96J/gのポリプロピレン20重量%からなる組成物100重量部に、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐ジターシャリーブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネート]メタン0.375重量部を加えたポリオレフィン組成物Bを得た。このポリオレフィン組成物B25重量部を二軸押出機に投入した。この二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン75重量部を供給し、溶融混練して、押出機中にてポリオレフィン樹脂溶液Bを調製した。
【0111】
得られたポリオレフィン樹脂溶液AおよびBを、層構成がA/B/Aで溶液比率が1/1/1となるように多層ダイから190℃で共押し出しして、内部冷却水温度を25℃に保った直径800mmの冷却ロールで引き取りながら積層ゲル状成形物を形成した。この時、積層ゲル状成形物が冷却ロールから離れる点からダイから押し出された積層ポリエチレン樹脂溶液と冷却ロールとが接する点までの間に1枚のポリエステル製ドクターブレードをゲル状成形物の幅方向と平行に冷却ロールに接するようにあてて、冷却ロール上に付着している流動パラフィンを掻き落とした。続いてこの積層ゲル状成形物を、温度115℃で5×5倍に同時2軸延伸を行い、延伸成形物を得た。得られた延伸成形物を塩化メチレンで洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去し、乾燥して多孔質成形物を得た。その後、テンターに多孔質膜を保持し、125℃で3秒間熱処理し、厚さ20μm、空孔率43%、平均孔径0.14μm、透気抵抗度232sec/100ccAir、メルトダウン温度178℃のポリオレフィン微多孔質膜を得た。
【0112】
ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度99%以上)、平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、イオン交換水をそれぞれ6:54:40の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(a)を得た。
前記積層ポリエチレン微多孔質膜の、製膜時に冷却ロールに接していた面に塗布液(a)をグラビアコート法にて塗布し、50℃の熱風乾燥炉を10秒間通過させることで乾燥して、最終厚み22μmの電池用セパレータを得た。
【0113】
実施例2
2枚のポリエステル製ドクターブレードを20mmの間隔で冷却ロールにあてた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0114】
実施例3
3枚のポリエステル製ドクターブレードをそれぞれ20mmの間隔で冷却ロールにあてた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0115】
実施例4
水性アクリルポリオールと水分散性ポリイソシアネート(硬化剤)からなる2液硬化型水性アクリルウレタン樹脂(固形分濃度45質量%)平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、イオン交換水をそれぞれ10:40:50の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(b)を得た。塗布液(a)を塗布液(b)に替えた以外は実施例1と同様に改質多孔層を積層させ、電池用セパレータを得た。
【0116】
実施例5
ポリビニルアルコールとアクリル酸、メタクリル酸メチルの共重合体(日新化成(株)製“POVACOATR”(登録商標))、平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、溶媒(イオン交換水:エタノール=70:30)をそれぞれ5:45:50の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(c)を得た。塗布液(a)を塗布液(c)に替えた以外は実施例1と同様に改質多孔層を積層させ、電池用セパレータを得た。
【0117】
実施例6
冷却ロールの内部冷却水温度を35℃に保った以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
【0118】
実施例7
ポリオレフィン樹脂組成物Bとして、重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)5重量%及び重量平均分子量が30万の高密度ポリエチレン(HDPE)55重量%、重量平均分子量が53万で、融解熱が96J/gのポリプロピレン40重量%からなる組成物100重量部に、酸化防止剤0.375重量部を加えた組成物を使用し、ポリエチレン組成物B30重量部に対して流動パラフィン70重量部を供給してポリオレフィン樹脂溶液Bを得た以外は実施例1と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0119】
実施例8
ポリオレフィン樹脂組成物Aとして、重量平均分子量が200万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)20重量%及び重量平均分子量が30万の高密度ポリエチレン(HDPE)80重量%からなる組成物100重量部に、酸化防止剤0.375重量部を加えた組成物を使用し、ポリエチレン組成物B30重量部に対して流動パラフィン70重量部を供給してポリオレフィン樹脂溶液Bを得た以外は実施例1と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0120】
実施例9
ポリオレフィン製積層多孔質膜の厚みが表に記載のとおりになるようにポリオレフィン溶液AおよびBの押し出し量を調整した以外は実施例3と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0121】
実施例10
ポリオレフィン組成物Aの超高分子量ポリエチレンと高密度ポリエチレンの配合比、また、ポリオレフィン組成物Bに超高分子量ポリエチレンを使用せず、高密度ポリエチレンとポリプロピレンの配合比を表のとおりとした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0122】
実施例11
アルミナ粒子を架橋高分子粒子(ポリメタクリル酸メチル系架橋物粒子(“エポスター”(登録商標)MA1002、(株)日本触媒製、平均粒子径2.5μm))に替え、架橋高分子粒子、N−メチル−2−ピロリドンの配合比率をそれぞれ35:10:55(重量比率)としてワニス(d)を得た。ワニス(d)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0123】
実施例12
フッ素系樹脂溶液(呉羽化学工業(株)製“KFポリマー”(登録商標)#9300(ポリフッ化ビニリデン(5%N−メチルピロリドン溶液)及び平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、N−メチル−2−ピロリドンをそれぞれ16:34:50の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共に、ポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、ワニス(e)を得た。ワニス(e)を用いた以外は実施例1と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0124】
実施例13
アクリルエマルジョン(昭和電工(株)製“ポリゾール”(登録商標)AT‐731、不揮発分47%)、平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、イオン交換水をそれぞれ2:55:43の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で12時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(f)を得た。塗布液(f)を、実施例1の積層ポリエチレン微多孔質膜に実施例1と同様に塗布し、電池用セパレータを得た。
【0125】
実施例14
アルミナ粒子を硫酸バリウム微粒子(平均粒子径0.3μm)替えた塗布液(g)を用いた以外は実施例1と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0126】
比較例1
ポリエチレン溶液Aのみを用いて、190℃で単層ダイから押し出しして単層ゲル状成形物を成形し、積層ゲル状成形物の代わりに得られた単層ゲル状成形物を使用した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0127】
比較例2
ポリオレフィン溶液Bに用いるポリプロピレンとして、重量平均分子量が49万で、融解熱が70J/gのポリプロピレンを用いた以外は実施例8と同様にして電池用セパレータを得た。
【0128】
比較例3
ポリオレフィン樹脂組成物AおよびBとして、配合比、添加量、樹脂濃度を表のとおりとした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
【0129】
比較例4
ダイから押し出されたポリエチレン樹脂溶液を冷却ロールで冷却し、ゲル状成形物を得る際にドクターブレードを用いず、冷却ロール上に付着している流動パラフィンを掻き落とさなかった以外は実施例1と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0130】
比較例5
冷却ロールの内部冷却水温度を0℃に保ち、ドクターブレードを用いなかった以外は実施例1と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0131】
比較例6
ダイから押し出されたポリエチレン樹脂溶液を冷却ロールで冷却する替わりに、25℃に保った水中に1分間浸漬した以外は実施例1と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0132】
比較例7
冷却ロールの内部冷却水温度を50℃に保った以外は実施例1と同様にして、電池用セパレータを得た。
【0133】
比較例8
温度計、冷却管、窒素ガス導入管のついた4ツ口フラスコにトリメリット酸無水物(TMA)1モル、o−トリジンジイソシアネート(TODI)0.8モル、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)0.2モル、フッ化カリウム0.01モルを固形分濃度が14%となるようにN−メチル−2−ピロリドンと共に仕込み、100℃で5時間攪拌した後、固形分濃度が14%となるようにN−メチル−2−ピロリドンで希釈してポリアミドイミド樹脂溶液を合成した。
ポリアミドイミド樹脂溶液及び平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、N−メチル−2−ピロリドンをそれぞれ26:34:40の重量比率で配合し、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、塗布液(h)を得た。塗布液(h)を実施例1と同様にして得られた積層ポリエチレン微多孔質膜にグラビアコート法にて実施例1と同様に塗布し、電池用セパレータを得た。
【0134】
実施例1〜14、比較例1〜8の製造条件を表1に示す。また、得られた積層ポリオレフィン微多孔質膜および電池用セパレータの特性を表2に示す。
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
本発明は電池用セパレータが今後ますます薄膜化と低コスト化が進んだ場合を想定し、改質多孔層との剥離強度が極めて高く、スリット工程や電池組み立て工程における高速加工に適した、メルトダウン特性に優れ、リチウムイオン電池に適した電池用セパレータを提供する。
積層ポリオレフィン微多孔質膜とその少なくとも一方の表面に存在する改質多孔層とを有する電池用セパレータであって、前記積層ポリオレフィン微多孔質膜は、少なくともA層とB層を含んでなる多孔質積層体であり、メルトダウン温度が165℃以上であり、透気抵抗度が300sec/100ccAirであり、少なくとも一方の外界に面した表面に3個/cm2以上、200個/cm
以下のポリオレフィンからなる突起が不規則に存在し、前記突起は0.5μm≦H(Hは突起の高さ)および5μm≦W≦50μm(Wは突起の大きさ)をみたし、前記改質多孔層は前記積層ポリオレフィン微多孔質膜の突起を有する面上に積層され、かつ、引っ張り強度が5N/mm