(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、突刺強度と透気抵抗度に優れ、さらにカールの発生が抑制されたポリオレフィン微多孔膜を得るべく本発明者らが鋭意検討した結果、117℃等温結晶化時の半結晶化時間を一定範囲内とすることにより、冷却工程においてゲル状シートの両表面間の冷却温度差を少なくすることができることから、延伸を経た後もカールの発生を抑制することができ、さらに優れた突刺強度と透気抵抗度をも達成されたポリオレフィン微多孔膜が得られることを見出し、到達したものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
[1]ポリオレフィン樹脂
本発明のポリオレフィン微多孔膜に用いられるポリオレフィン樹脂は、ポリエチレンを主成分とするポリオレフィン樹脂が好ましい。透過性と突刺強度を向上させる為には、ポリオレフィン樹脂全体を100重量%として、ポリエチレンの割合が80重量%以上であるのが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、さらにポリエチレンを単独で用いることが好ましい。
【0024】
ポリエチレンはエチレンの単独重合体であることが好ましいが、他のα−オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。他のα−オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。
【0025】
ここで、ポリエチレンの種類としては、密度が0.94g/cm
3を越えるような高密度ポリエチレン、密度が0.93〜0.94g/cm
3の範囲の中密度ポリエチレン、密度が0.93g/cm
3より低い低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられるが、突刺強度を高くするためには、高密度ポリエチレンを含むことが好ましい。高密度ポリエチレンの重量平均分子量(以下、Mwという)は1×10
5以上、より好ましくは2×10
5以上であることが好ましい。上限は好ましくはMwが8×10
5、より好ましくはMwが7×10
5である。Mwが上記範囲であれば、製膜の安定性と最終的に得られる突刺強度とを両立することができる。
【0026】
本発明においては、ポリエチレンに超高分子量ポリエチレンを含有することが重要である。超高分子量ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であることが好ましいが、他のα−オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。エチレン以外の他のα−オレフィンは上記と同じものが例示される。
【0027】
超高分子量ポリエチレンのMwとしては、1×10
6以上2×10
6未満であることが好ましい。Mwが上記範囲内の超高分子量ポリエチレンを使用すると、生産性を損なうことがなく、また、孔およびフィブリルを微細化することが可能であるため、突刺強度を高めることが可能となる。超高分子量ポリエチレンの含有量はポリオレフィン樹脂全体を100重量%として、下限は30重量%であることが好ましく、より好ましくは40重量%、さらに好ましくは50重量%である。上限は80重量%であることが好ましく、より好ましくは70重量%である。この範囲であると後述する製膜方法によって突刺強度と透気抵抗度の両立が得られやすくなる。また、上記の高密度ポリエチレンおよび超高分子量ポリエチレンを上記の組成比で使用することにより、117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2を特定の範囲内に調整することができる。
【0028】
その他のポリオレフィンとして、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、シングルサイト触媒により製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体、重量平均分子量1000〜4000の低分子量ポリエチレンをポリオレフィン樹脂中0〜10重量%の範囲で添加してもよい。低温でのシャットダウン機能を付与され、電池用セパレータとしての特性を向上させることができる。
【0029】
また、ポリプロピレンを添加すると、本発明のポリオレフィン微多孔膜を電池用セパレータとして用いた場合にメルトダウン温度を向上させることができる。ポリプロピレンの種類は、単独重合体のほかに、ブロック共重合体、ランダム共重合体も使用することができる。ブロック共重合体、ランダム共重合体には、プロピレン以外の他のα−エチレンとの共重合体成分を含有することができ、当該他のα−エチレンとしては、エチレンが好ましい。ポリプロピレンの配合量は、ポリオレフィン樹脂中0〜10重量%が好ましい。
【0030】
その他、本発明のポリオレフィン微多孔膜には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤や帯電防止剤、紫外線吸収剤、さらにはブロッキング防止剤等の各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリエチレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。
【0031】
また、本発明のポリオレフィン微多孔膜には、実質的に無機粒子を含まないことが好ましい。「実質的に無機粒子を含まず」とは、例えばケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に300ppm以下、好ましくは100ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。積極的にこのような粒子を配合しない場合でも、外来異物の混入や、原料樹脂あるいはポリオレフィン微多孔膜製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、膜中に混入する場合があるためである。
【0032】
[2]ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
次に、本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法を具体的に説明するが、この態様に限定されるものではない。
【0033】
本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、以下の工程を含む。
(a)重量平均分子量1×10
6以上2×10
6未満の超高分子量ポリエチレンを含むポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤とを溶融混練してポリオレフィン溶液を調製する工程
(b)工程(a)にて得られたポリオレフィン溶液を押出機より押し出して押出物を形成して冷却してゲル状シートを成形する工程
(c)工程(b)にて得られたゲル状シートを、長手方向(機械方向)に延伸する工程
(d)工程(c)にて得られたシートを、連続して、幅方向(機械方向と直角方向)に延伸する工程
(e)工程(d)にて得られた延伸膜から成膜用溶剤を抽出する工程
(f)工程(e)にて得られた微多孔膜を乾燥する工程
工程(c)〜(f)の以前、途中、以降に親水化処理、除電処理、再延伸等の他の工程を追加することもできる。
【0034】
(a)ポリオレフィン溶液の調製
ポリオレフィン樹脂を、成膜用溶剤に加熱溶解させたポリオレフィン溶液を調製する。成膜用溶剤としては、ポリエチレンを十分に溶解できる溶剤であれば特に限定されない。比較的高倍率の延伸を可能とするために、成膜用溶剤は室温で液体であるのが好ましい。液体溶剤としては、ノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族、環式脂肪族または芳香族の炭化水素、および沸点がこれらに対応する鉱油留分、並びにジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の室温では液状のフタル酸エステルが挙げられる。液体溶剤の含有量が安定なゲル状シートを得るために、流動パラフィンのような不揮発性の液体溶剤を用いることが好ましい。溶融混練状態では、ポリエチレンと混和するが室温では固体の溶剤を液体溶剤に混合してもよい。このような固体溶剤として、ステアリルアルコール、セリルアルコール、パラフィンワックス等が挙げられる。ただし、固体溶剤のみを使用すると、延伸ムラ等が発生する恐れがある。
【0035】
ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤との配合割合はポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤との合計を100重量%として、押出物の成形性を良好にする観点から、ポリオレフィン樹脂10〜50重量%が好ましい。ポリオレフィン樹脂の含有量の下限は、さらに好ましくは20重量%である。上限はさらに好ましくは40重量%であり、より好ましくは35重量%である。ポリオレフィン樹脂の含有量を10重量%以上とすれば、シート状に成形する際にダイの出口でスウエルやネックインが小さいために、シートの成形性および製膜性が良好となる。また、ポリオレフィン樹脂の含有量を50重量%以下とすれば、厚み方向の収縮が小さいために、成形加工性および製膜性が良好となる。この範囲であると後述する製膜方法によって突刺強度と透気抵抗度の両立が得られやすくなり、膜の表裏の摩擦係数の制御も可能となる。
【0036】
成膜用溶剤の粘度は40℃において20〜200cStであることが好ましい。40℃における粘度を20cSt以上とすれば、ダイからポリオレフィン溶液を押し出したシートが不均一になりにくい。一方、200cSt以下とすれば成膜用溶剤の除去が容易である。
【0037】
ポリオレフィン溶液の均一な溶融混練は、特に限定されないが、高濃度のポリオレフィン溶液を調製したい場合、押出機、特に二軸押出機中で行うことが好ましい。必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤等の各種添加材を添加してもよい。特にポリエチレンの酸化を防止するために酸化防止剤を添加することが好ましい。
【0038】
押出機中では、ポリオレフィン樹脂が完全に溶融する温度で、ポリオレフィン溶液を均一に混合する。溶融混練温度は、使用するポリオレフィン樹脂によって異なるが、下限は(ポリオレフィン樹脂の融点+10℃)が好ましく、さらに好ましくは(ポリオレフィン樹脂の融点+20℃)である。上限は(ポリオレフィン樹脂の融点+120℃)とするのが好ましく、さらに好ましくは(ポリオレフィン樹脂の融点+100℃)である。ここで、融点とは、JIS K7121(1987)に基づき、DSCにより測定した値をいう(以下、同じ)。例えば、具体的には、ポリエチレン組成物は約130〜140℃の融点を有するので、溶融混練温度の下限は140℃が好ましく、さらに好ましくは160℃、最も好ましくは170℃である。上限は250℃が好ましく、230℃、最も好ましくは200℃である。
【0039】
また、ポリオレフィン溶液にポリプロピレンを含む場合の溶融混練温度は190〜270℃が好ましい。
【0040】
二軸押出機のスクリュー長さ(L)と直径(D)の比(L/D)は良好な加工混練性と樹脂の分散性・分配性を得る観点から、20〜100が好ましい。
【0041】
押出物中にポリオレフィンを良好に分散させて、優れた微多孔膜の厚み均一性を得るために、二軸押出機のスクリュー回転数(Ns)を150〜600rpmとすることが好ましい。
【0042】
(b)押出物の形成およびゲル状シートの成形
押出機で溶融混練したポリオレフィン溶液を直接に、あるいはさらに別の押出機を介して、ダイから押出して、最終製品の微多孔膜の厚みが5〜100μmになるように成形して押出物を得る。ダイは、長方形のTダイを用いてもよい。Tダイを用いた場合、最終製品の微多孔膜の厚みを制御しやすい観点から、ダイのスリット間隙は0.1〜5mmが好ましく、押出時に140〜250℃に加熱するのが好ましい。
【0043】
得られた押出物を冷却することによりゲル状シートが得られ、冷却により、成膜用溶剤によって分離されたポリエチレンのミクロ相を固定化することができる。冷却工程において結晶化終了温度以下まで冷却するのが好ましい。冷却はゲル状シートの表裏ともに、結晶化終了温度以下となるまで250℃/分以上の速度で行うことが好ましく、より好ましくは300℃/分以上の速度である。冷却速度が上記範囲であれば、ゲルを形成する結晶が粗大化せず、緻密な高次構造を得ることができるために、表面の粗さが不均一となりにくい。また、高次構造が細かいために、その後の延伸において分子配向が進みやすく、突刺強度と透気抵抗度の両立およびカールの発生を抑制することが可能となる。ここで、結晶化終了温度は、JIS K7121(1987)に従って測定した補外結晶化終了温度のことである。具体的には、ポリエチレンの場合は約70〜90℃の補外結晶化終了温度を持つ。また、ここでの冷却速度は、押出機の出口における樹脂温度が結晶化完了温度となるまでの時間と、押出機出口の樹脂温度と結晶化完了温度との温度差によって求めることができる。したがって、冷却工程において、結晶化終了温度以下まで冷却する場合には、押出機出口の樹脂温度と冷却工程出口の表裏それぞれのゲル状シート温度との差分を、冷却工程を通過する時間で除したものとなる。ゲル状シートの117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2を一定の範囲内とすることにより、ゲル状シートの一方の面(表面)の冷却速度ともう一方の面(裏面)の冷却速度の差を抑制することができることから、延伸後にカールの発生を抑制した微多孔膜を得ることが出来る。
【0044】
押出物の冷却方法としては、冷風、冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールに接触させる方法、キャスティングドラム等を用いる方法等がある。なお、ダイから押し出された溶液は、冷却前あるいは冷却中に所定の引き取り比で引き取るが、引き取り比の下限は1以上が好ましい。上限は好ましくは10以下、より好ましくは5以下であることが好ましい。
【0045】
ゲル状シートの厚さの下限は0.5mmが好ましく、より好ましくは0.7mmである。上限は3mmであり、より好ましくは2mmである。ゲル状シートの厚さが3mm以下の場合、冷却過程において、厚み方向に構造のムラができにくく、厚さ方向全体にわたって高次構造を密にすることができ、表裏の構造を共に密とすることができる。また、ゲル状シートの厚さが3mm以下であれば、ゲル状シートの冷却速度を上述の好ましい範囲としやすい。
【0046】
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、単層に限定されるものではなく、さらにいくつかの微多孔膜(層)を積層した積層体にしてもよい。追加して積層される層には、上述したようにポリエチレンの他に、本発明の効果を損なわない程度にそれぞれ所望の樹脂を含んでいてもよい。ポリオレフィン微多孔膜を積層体とする方法としては、従来の方法を用いることができるが、例えば、所望の樹脂を必要に応じて調製し、これらの樹脂を別々に押出機に供給して所望の温度で溶融させ、ポリマー管あるいはダイ内で合流させて、目的とするそれぞれの積層厚みでスリット状ダイから押出しを行う等して、積層体を形成する方法がある。
【0047】
(c)長手方向延伸、および(d)幅方向延伸
本発明のポリオレフィン製微多孔膜を製造するにあたっては、工程(b)で得られたゲル状シートを長手方向(機械方向、MD)に延伸(工程(c))した後、連続して幅方向(機械方向と直角な方向、TD)の延伸(工程(d))をする逐次延伸を行う。このように長手方向延伸と幅方向延伸を別個に順次連続的に行うことによって突刺強度と透気抵抗度が同時に改善される傾向がある。延伸はゲル状シートを加熱し、通常のテンター法、ロール法、もしくはこれらの方法の組み合わせによって所定の倍率で行う。
【0048】
本発明の延伸方法では、長手方向延伸と幅方向延伸を別々に行うため、各延伸工程において各方向にのみ延伸張力がかかることにより、分子配向が進みやすくなる。このため、同時延伸に比べて同じ面積倍率においても、より高い突刺強度を達成することができる。
【0049】
延伸倍率は、ゲル状シートの厚さによって異なるが、いずれの方向でも5倍以上に延伸することが好ましい。
【0050】
長手方向の延伸は好ましくは5倍以上、より好ましくは7倍以上で行うことが好ましい。また、上限は好ましくは12倍、より好ましくは10倍で行うことが好ましい。長手方向の延伸が上記範囲内であると、延伸配向により高い強度を付与することができ、延伸による破れが発生しにくい。
【0051】
幅方向の延伸は好ましくは4倍以上、より好ましくは6倍以上で行うことが好ましい。上限は好ましくは10倍であり、より好ましくは8倍である。幅方向の延伸倍率が上記範囲内であると、延伸配向によりより高い強度を付与することができ、延伸による破れが発生しにくい。
【0052】
長手方向延伸と幅方向延伸を総合した面積倍率では、25倍以上が好ましく、さらに好ましくは30倍以上、最も好ましくは42倍以上である。
【0053】
延伸温度はポリオレフィン樹脂の融点以下にするのが好ましく、より好ましくは、(ポリオレフィン樹脂の結晶分散温度Tcd)〜(ポリオレフィン樹脂の融点)の範囲である。延伸温度が上記温度範囲内であると、延伸により分子鎖を効率的に配向せしめることが可能となり、また、延伸張力を低下させることができるため、製膜性が良好となり、延伸時に破膜しにくく高倍率での延伸が可能となる。
【0054】
具体的には、ポリエチレン樹脂の場合は約90〜100℃の結晶分散温度を有するので、長手方向延伸温度は好ましくは80℃以上である。上限は好ましくは130℃であり、より好ましくは125℃であり、最も好ましくは120℃である。結晶分散温度TcdはASTM D 4065に従って測定した動的粘弾性の温度特性から求める。または、NMRから求める場合もある。
【0055】
以上のような延伸によりゲル状シートに形成された高次構造に開裂が起こり、結晶相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。フィブリルは三次元的に不規則に連結した網目構造を形成する。延伸により機械的強度が向上するとともに、細孔が拡大するので、電池用セパレータに好適になる。
【0056】
なお、本発明において、逐次延伸はゲル状シート中の成膜用溶剤を除去する前に行うことが好ましい。成膜用溶剤の除去前の延伸によって、高次構造の開裂がスムーズになり、結晶相の微細化を均一に行うことができる。
【0057】
(e)延伸膜からの成膜用溶剤の抽出(洗浄)
次に、ゲル状シート中に残留する成膜用溶剤を、洗浄溶剤を用いて抽出・除去、すなわち洗浄する。ポリオレフィン相と成膜用溶剤相とは分離しているので、成膜用溶剤の除去により微多孔膜が得られる。洗浄溶剤としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン等のケトン類、三フッ化エタン、C
6F
14、C
7F
16等の鎖状フルオロカーボン、C
5H
3F
7等の環状ハイドロフルオロカーボン、C
4F
9OCH
3、C
4F
9OC
2H
5等のハイドロフルオロエーテル、C
4F
9OCF
3、C
4F
9OC
2F
5等のパーフルオロエーテル等の易揮発性溶剤が挙げられる。これらの洗浄溶剤は用いた成膜用溶剤に応じて適宜選択し、単独もしくは混合して用いることができる。
【0058】
洗浄方法は、ゲル状シートを洗浄溶剤に浸漬し抽出する方法、ゲル状シートに洗浄溶剤をシャワーする方法、またはこれらの組み合わせによる方法等により行うことができる。洗浄溶剤の使用量は洗浄方法により異なるが、一般にゲル状シート100重量部に対して300重量部以上であるのが好ましい。洗浄温度は15〜30℃でよく、必要に応じて80℃を上限として加熱してもよい。
【0059】
上述のような洗浄は、洗浄後のゲル状シート、すなわち微多孔膜中の残留溶剤が1重量%未満になるまで行うのが好ましい。
【0060】
(f)微多孔膜の乾燥
洗浄後、洗浄溶剤を乾燥して除去する。乾燥の方法は特に限定されないが、加熱乾燥法、風乾法等により乾燥する。乾燥温度は、ポリエチレン組成物の結晶分散温度Tcd以下であることが好ましく、特に、(Tcd−5℃)以下であることが好ましい。乾燥は、微多孔膜の乾燥重量を100重量%として、残存洗浄溶剤が5重量%以下になるまで行うのが好ましく、3重量%以下になるまで行うのがより好ましい。
【0061】
(g)その他の工程
突刺強度等の機械強度を向上させるために洗浄乾燥後にさらに長手方向(MD)、または幅方向(TD)、あるいは両方向同時に5%〜20%程度の延伸(以下、再延伸という)を行ってもよい。
【0062】
延伸後の延伸膜または微多孔膜を熱固定処理および/または熱緩和処理してもよい。熱固定処理、熱緩和処理によって結晶が安定化し、ラメラ層が均一化され、細孔径が大きく、強度に優れた微多孔膜を作製できる。熱固定処理は、ポリオレフィン微多孔膜を構成するポリオレフィン樹脂の結晶分散温度以上〜融点以下の温度範囲内で行う。熱固定処理は、テンター方式、ロール方式または圧延方式により行う。
【0063】
熱緩和処理方法としては、例えば特開2002−256099号公報に開示の方法を利用できる。
【0064】
さらに、その他用途に応じて、延伸膜または微多孔膜に親水化処理を施してもよい。親水化処理は、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電等により行うことができる。モノマーグラフトは架橋処理後に行うのが好ましい。
【0065】
界面活性剤処理の場合、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤および両イオン界面活性剤のいずれも使用できるが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤を水またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールに溶解してなる溶液中に微多孔膜を浸漬するか、微多孔膜にドクターブレード法により溶液を塗布する。
【0066】
必要に応じ、延伸膜または微多孔膜の少なくとも片面に空気あるいは窒素あるいは炭酸ガスと窒素の混合雰囲気中で、コロナ放電処理することもできる。
【0067】
[3]ポリオレフィン微多孔膜の構造および物性
本発明のポリオレフィン微多孔膜の好ましい実施態様としては次の物性がある。
【0068】
(1)117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2
本発明のポリオレフィン微多孔膜の117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2は10〜35分の間、好ましくは10〜30分の間、より好ましくは12〜25分の間、さらに好ましくは13〜22分の間である。なお、本発明における117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2とは、示差走査熱分析(DSC)等温結晶化測定(117℃)において得られる吸熱ピークの面積が半分となる時間を指す。詳細な測定方法は後述する。
【0069】
117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2は、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤の溶融混合物を冷却して得られたゲル状シートを測定した値でもよく、ポリオレフィン微多孔膜を固形分25重量%となるように流動パラフィン等の成膜用溶剤とともに溶融混練後、冷却した試料を用いて測定した値でもよい。
【0070】
ポリオレフィン微多孔膜を成膜用溶剤と溶融混練する際には、前記の成膜用溶剤が使用でき、具体的には、流動パラフィンであることが好ましい。溶融混練温度としては、前記したポリオレフィン溶液を均一に混合する際の溶融混練温度と同等の温度であることが好ましく、具体的には、130℃〜250℃の範囲であることが好ましく、140℃〜230℃の範囲であることがより好ましい。
【0071】
ゲル状シートまたはポリオレフィン微多孔膜の25重量%成膜用溶剤溶液から得られた試料から測定された117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2を上記範囲内とすることにより、冷却工程において両表面間の冷却温度差が少なくなり、逐次延伸後にカールが抑制された微多孔膜となる。
【0072】
(2)透気抵抗度
本発明のポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度の上限は400秒/100ccAir/16μm、より好ましくは300秒/100ccAir/16μm、さらに好ましくは200秒/100ccAir/16μmであり、下限は50秒/100ccAir、好ましくは70秒/100ccAir、さらに好ましくは100秒/100ccAirである。透気抵抗度が400秒/100ccAir/16μm以下であれば、イオン透過性が良く、充放電を高速で行うことができる。また、透気抵抗度が50秒/100ccAir/16μm以上であれば、電池の劣化を防ぐことができる。
【0073】
(3)突刺強度
本発明のポリオレフィン微多孔膜の突刺強度は500gf/16μm以上であり、好ましくは550gf/16μmである。550gf/16μm以上であると、ポリオレフィン微多孔膜をセパレータとして電池に組み込んだ場合に、電極の短絡が発生せず、電池の安全性が高くなる。
【0074】
(4)突刺強度と透気抵抗度の比
本発明のポリオレフィン微多孔膜の突刺強度と透気抵抗度の比、(突刺強度[gf])/透気抵抗度[秒/100ccAir]:いずれも膜厚16μm換算)の下限は2.0であることが好ましく、より好ましくは2.5である。上限は5.5であることが好ましい。突刺強度と透気抵抗度の比が2.0以上5.5以下であることによって、ポリオレフィン微多孔膜をセパレータとして電池に組み込んだ場合に安全性とイオン透過性とのバランスに優れる。
【0075】
(5)105℃における収縮率
本発明のポリオレフィン製積層微多孔膜は105℃での熱収縮率が幅方向において6%未満であり、長手方向と幅方向の熱収縮率の比が1.1〜2.0であることが好ましい。上記範囲であることにより、本発明の多孔質フィルムがリチウムイオン電池のセパレータとして使用された時、当該電池に優れた高温安全性を付与することができる。本発明のポリオレフィン製積層微多孔膜の収縮量が上記範囲であった場合、電池が高温状態になった場合に、電池内部でのポリオレフィン製積層微多孔膜の収縮が十分に小さく、電池内部での電極間の接触を防ぐことができる。高温での電池の内部短絡を防ぐことができることから、本発明のポリオレフィン製積層微多孔膜は電池に優れた安全性を付与することができる。
【0076】
(6)カール
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、カールが2mm以下であることが好ましい。ここで、カールとは、後述する測定方法で測定した値をいう。
【0077】
(7)空孔率
本発明のポリオレフィン微多孔膜の空孔率については、上限は好ましくは70%、さらに好ましくは60%、もっとも好ましくは55%である。下限は好ましくは30%、さらに好ましくは35%、もっと好ましくは40%である。空孔率が70%以下であれば、十分な機械的強度と絶縁性が得られやすく、充放電時に短絡が起こりにくくなる。また、空孔率が30%以上であれば、イオン透過性がよく、良好な電池の充放電特性を得ることができる。
【0078】
(8)ポリオレフィン微多孔膜の厚さ
本発明に用いるポリオレフィン微多孔膜の厚さの上限は30μmが好ましい。さらに好ましい上限は16μm、最も好ましくは12μmである。下限は5μm、好ましくは6μmである。上記の範囲であれば実用的な突き刺し強度と孔閉塞機能を保有させることができ、今後、進むであろう電池の高容量化にも適するものとなる。
【0079】
(9)ポリオレフィン微多孔膜捲回体
本発明において得られる微多孔膜捲回体は幅300mm以上、直径150mm以上であることが好ましい。また、微多孔膜を捲回する巻芯(コア)は、内径が76mm以上であることが好ましく、より好ましくは152mm以上である。内径と外径の差は、5mm以上50mm以下であることが好ましく、使用する材質の強度に応じて調整される。内径および外径の公差は、±0.5mm以下が好ましく、さらに好ましくは±0.3mm以下である。また、コアの材質としては紙やプラスチック、繊維強化複合化材料などが挙げられる。幅の寸法が上記範囲であれば、今後進むであろう電池の大型化においても好適に使用することができる。さらに、微多孔膜へ耐熱性樹脂などをコーティングする際に、直径の寸法が上記範囲であれば、十分な巻長を持つためにコーティング時の微多孔膜捲回体の取り換え頻度を低くすることができ、また、幅が広いためにコーティング後のスリットにおいてトリミングによって失われる部分の割合を低くすることができるために、コストに優れる。なお、本明細書において、コーティングとは、微多孔膜上に耐熱性樹脂などを形成することを意味し、微多孔膜の原料となるポリオレフィン樹脂に無機粒子等の滑材を添加する事とは異なる。また、直径とは、コアの径を含む微多孔膜捲回体全体の径である。
【0080】
[4]用途
本発明のポリオレフィン微多孔膜は電池やコンデンサーなどの電気化学反応装置のセパレータ(隔離材)として好適である。なかでも、非水電解液系二次電池、特にリチウム二次電池のセパレータとして好適に使用できる。本発明のポリオレフィン微多孔膜はそのままでもセパレータとして好適に使用できる他、不織布や耐熱性等を有するコーティング層を積層するなどしても、セパレータとして好適に使用することができる。
【0081】
[5]物性の測定方法
以下に各物性の測定方法を説明する。
【0082】
(1)厚み(平均膜厚)
ポリオレフィン微多孔膜を5cm×5cmの大きさに切り出し、四隅と中央部の5点測定し、その平均値を厚み(μm)とした。測定には接触厚み計を用いた。
【0083】
(2)透気抵抗度
王研式透気抵抗度計(旭精工株式会社製、EGO−1T)を使用して、JIS P8117に準拠して測定した。
【0084】
(3)ポリオレフィン微多孔膜の突刺強度
先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、膜厚T1(μm)の微多孔膜を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重を測定した。最大荷重の測定値Laを、式:Lb=(La×16)/T1により、膜厚を16μmとしたときの最大荷重Lbに換算し、突刺強度(gf/16μm)とした。
【0085】
(4)熱収縮率
ポリオレフィン微多孔膜を5cm×5cmの大きさに切り出し、そのサンプルの各辺の中間点に印をつけ、サンプルを紙で挟んだ状態で、105℃のオーブン中に8時間静置した。オーブンからサンプルを取出し冷却した後、長手方向、幅方向での印間の長さ(cm)を測定し、下記式にて長手方向、幅方向の熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=(5−加熱後の印間の長さ(cm))/5×100
【0086】
(5)117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2
117℃等温結晶化時の半結晶化時間t1/2は、試料を230℃で融解させた後、117℃まで急冷、保持した時の熱量変化を時間に対して測定し、得られた吸熱ピーク面積が半分になる時間(t
1/2)として求めることができる。具体的には、試料を測定パンに封入し、Parking Elmer製 PYRIS Diamond DSCを用いて、230℃まで昇温し、117℃まで30℃/minで降温させ、117℃で保持する。その時の熱量の時間経過(結晶化曲線)を測定し、その吸熱ピークのピーク面積が半分になる時間を117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2とした。
【0087】
試料は、ポリエチレン樹脂と流動パラフィンからなるポリエチレン溶液を押出し、冷却して得られたゲル状シートおよそ20mg、または、ポリオレフィン微多孔膜と流動パラフィンを25:75の重量比で溶融混練して得られた溶液を冷却して得られた試料、およそ20mgを用いた。
【0088】
(6)カール判定
得られたポリオレフィン微多孔膜を、捲回体から長手方向(MD)18.5mm、幅方向(TD)95mmに切り出し、水平な平面上に静置してから30分後、幅方向から観察して平面より
図1のとおり、フィルムが浮き上がった高さにより評価した。判定の基準は以下に記載の通りとした。
◎(優良):静置したフィルムが浮き上がることない。
○(良):静置したフィルム中央部の浮き上がりが2mm以下。
×(不良):静置したフィルム中央部の浮き上がりが2mmを超え、明らかなカールが確認できる。
【0089】
(7)捲回体の外観判定
得られたポリオレフィン微多孔膜2000mを、西村製作所(株)製スリッターFN335Eを使用して、走行速度150m/分で、張力32N/mにて幅300mmにスリットして捲回体とした際のしわの状態および巻きズレの度合いにより評価した。判定の基準は以下に記載の通りとした。
◎(優良):捲回体の端面におけるズレが左右ともに0〜1mmの範囲、かつ捲回体の表層にしわの発生がないもの
○(良):捲回体の端面におけるズレが左右ともに1〜3mmの範囲、かつ捲回体の表層にしわの発生がないもの
×(不良):捲回体の端面におけるズレが左右少なくともどちらかにおいて3mmより大きい、もしくは捲回体の表層にしわが発生したもの
【0090】
(8)重量平均分子量(Mw)
UHMWPEおよびHDPEのMwは以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
・測定装置:Waters Corporation製GPC−150C
・カラム:昭和電工株式会社製Shodex UT806M
・カラム温度:135℃
・溶媒(移動相):o−ジクロルベンゼン
・溶媒流速:1.0ml/分
・試料濃度:0.1重量%(溶解条件:135℃/1h)
・インジェクション量:500μl
・検出器:Waters Corporation製ディファレンシャルリフラクトメーター
・検量線:単分散ポリスチレン標準試料を用いて得られた検量線から、所定の換算定数を用いて作製した。
【0091】
(9) 空孔率(%)
ポリオレフィン微多孔膜を5cm×5cmの大きさに切り出し、その体積(cm
3)と重量(g)を求め、それらと膜密度(g /cm
3)より、次式を用いて計算した。
空孔率=((体積−重量/ 膜密度)/ 体積)×100
ここで、膜密度は0 .99とした。また、体積の算出には、前述の(1)で測定した厚みを使用した。
【実施例】
【0092】
以下、実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例よって何ら制限されるものではない。
【0093】
実施例1
<ポリオレフィン微多孔膜>
重量平均分子量(Mw)が1.0×10
6の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)60重量%と、Mwが2.8×10
5の高密度ポリエチレン(HDPE)40重量%とからなるポリエチレン(PE)組成物100重量部に、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-ターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.375重量部をドライブレンドし、混合物を得た。
【0094】
得られた混合物25重量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し(ポリエチレン組成物の投入量Q:54kg/h)、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン75重量部を供給し、スクリュー回転数Nsを180rpmに保持しながら、210℃の温度で溶融混練して(Q/Ns:0.3kg/h/rpm)、ポリエチレン溶液を調製した。
【0095】
得られたポリエチレン溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、シート状成形体となるように押し出した。押し出した成形体を、35℃に温調した冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。ここで、冷却ロール接触面を表、非接触面を裏として、表面の冷却速度は399℃/分、裏面の冷却速度は380℃/分であった。得られたゲル状シートを延伸温度115℃で9倍になるようにロール方式で長手方向延伸を行い、引き続いてテンターに導き、延伸倍率6倍、延伸温度115℃にて幅方向延伸を実施した。延伸後の膜を25℃に温調した塩化メチレンの洗浄槽内にて洗浄し、流動パラフィンを除去した。洗浄した膜を60℃に調整された乾燥炉で乾燥し、テンター内にて125℃で40秒間熱固定処理することにより厚さ16μmの微多孔膜を得た。得られた微多孔膜を、ABS製コア(内径152.4mm、外径200.0mm)を使用して、幅300mm、長さ2000mにスリットし、ポリオレフィン微多孔膜捲回体を作製した。
【0096】
実施例2〜4、比較例1〜6
ポリオレフィン微多厚膜の樹脂組成、製膜条件、を表1のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、ポリオレフィン微多孔膜捲回体を作製した。
【0097】
比較例7
Mwが3.8×10
5のHDPEのみを使用し、実施例1と同様の押出条件にてゲル状シートを作製した。作製したゲル状シートを延伸温度115℃にて9倍になるように長手方向延伸を行い、引き続いて延伸温度120℃にて延伸倍率6倍になるように幅方向延伸を実施した。延伸後の膜を25℃に温調した塩化メチレンの洗浄槽内で洗浄し、流動パラフィンを抽出した抽出過程において長手方向に張力を加えて3%延伸し、幅方向に約12%収縮するようにした。洗浄した膜を60℃に調整された乾燥炉で乾燥し、テンター内で125℃で幅方向に120%まで再延伸した後、16.7%収縮させ、40秒間熱固定することによって厚さ16μmの微多孔膜を得た。得られた微多孔膜を、ABS製コア(内径152.4mm、外径200.0mm)を使用して、幅300mm、長さ2000mにスリットし、ポリオレフィン微多孔膜捲回体を作製した。
【0098】
比較例8
Mwが2.5×10
6のUHMWPE28.5重量%と、Mwが2.8×10
5のHDPE71.5重量%を使用し、実施例1と同様の押出条件にてゲル状シートを作成した。作成したゲル状シートを延伸温度115℃にて長手方向幅方向延伸倍率がそれぞれ6倍となるように同時二軸延伸した。延伸後、膜を実施例1と同様洗浄、風乾、熱固定処理を行い、厚さ16μmの微多孔膜を得た。得られた微多孔膜を、ABS製コア(内径152.4mm、外径200.0mm)を使用して、幅300mm、長さ2000mにスリットし、ポリオレフィン微多孔膜捲回体を作製した。
【0099】
比較例9〜10
長手方向幅方向延伸倍率を表1のとおりに変更した以外は比較例8と同様にして、ポリオレフィン微多孔膜捲回体を作製した。
【0100】
実施例1〜4および比較例1〜10で得られたポリオレフィン微多孔膜の樹脂組成、製膜条件について表1に、物性について表2に示す。なお、表2中の半結晶化時間t
1/2は、得られたゲル状シートの117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2である。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
表2から、実施例1〜4のポリオレフィン微多孔膜は、低い透気抵抗度と高い突刺強度を有すと同時に、比較的幅広のポリオレフィン微多孔膜であっても、カールの発生が抑制され、良好な外観の捲回体を与えることがわかる。
【0104】
また、実施例1〜4および比較例1〜10で得られたポリオレフィン微多孔膜25重量部と流動パラフィン75重量部とを210℃で溶融混練し、ステンレス板上にキャストして得られた試料20mgの117℃等温結晶化時の半結晶化時間t
1/2を表3に示した。
【0105】
【表3】
が10〜35分であるポリオレフィン微多孔膜、それを用いた電池用セパレータ、およびその製造方法に関する。本発明のポリオレフィン微多孔膜は、突刺強度と透気抵抗度に優れ、さらにカールの発生が抑制され、捲回体にした時にしわ、巻きずれのない優れた外観を有する。