(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
15〜30ヌクレオチドの長さを有し標的RNAに相補的なアンチセンス鎖であるA鎖と、5〜25ヌクレオチドの長さを有するS1鎖と、5〜25ヌクレオチドの長さを有するS2鎖と、を含むリボ核酸であって、ここで:
(a)前記S1鎖と前記A鎖がアニールして、長さ5〜13塩基対の第一の二本鎖領域を形成し;
(b)前記S2鎖と前記A鎖がアニールして、長さ6〜25塩基対の第二の二本鎖領域を形成し;
(c)前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の長さの合計が19〜30塩基対であり;
(d)前記第一の二本鎖領域がギャップによって前記第二の二本鎖領域と分離されて、前記ギャップは前記A鎖の1〜10の不対ヌクレオチドであり、前記ギャップは前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の間に存在する;そして
(e)前記リボ核酸が、0、1、または2つのオーバーハングを有し、ここで、前記オーバーハングは前記ギャップ中になく、それぞれが独立して、1〜5ヌクレオチドの長さである;
リボ核酸。
15〜30ヌクレオチドの長さを有し標的RNAに相補的なアンチセンス鎖であるA鎖と、6〜25ヌクレオチドの長さを有するS1鎖と、6〜25ヌクレオチドの長さを有するS2鎖と、を含むリボ核酸であって、ここで:
(a)前記S1鎖と前記A鎖がアニールして、長さ5〜13塩基対の第一の二本鎖領域を形成し;
(b)前記S2鎖と前記A鎖がアニールして、第二の二本鎖領域を形成し、ここで前記第一および第二の二本鎖領域が合わせて25〜40塩基対の総計長を有し;そして、
(c)前記リボ核酸が、前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の間にギャップを有し、前記ギャップは前記A鎖の1〜10の不対ヌクレオチドであり;そして
(d)前記リボ核酸が、0、1、または2つのオーバーハングを有し、ここで、前記オーバーハングは前記ギャップ中になく、それぞれが独立して、1〜5ヌクレオチドの長さである;
リボ核酸。
リポソーム、ハイドロゲル、シクロデキストリン、生分解性のナノカプセル、生体接着性のマイクロスフェア、またはタンパク質性のベクター、をさらに含む請求項11に記載の医薬組成物。
標的遺伝子のmRNAを発現する細胞中において、前記標的遺伝子の発現を低減させるインビトロの方法であって、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のリボ核酸を細胞に投与することを含む、方法。
1つ以上のヌクレオチドがロック核酸ヌクレオチドである、あるいは1つ以上のヌクレオチドが2’糖架橋を有する、あるいは1つ以上のヌクレオチドがG形クランプを有する、あるいは1つ以上のヌクレオチドが修飾されたヌクレオシド間結合を有する、あるいは1つ以上のヌクレオチドが末端キャップ置換基を有する、1つ以上のヌクレオチドが2’−メトキシもしくはフルオロ修飾を有する、あるいは1つ以上のヌクレオチドがホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する、またはこれらの任意の組み合わせである請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリボ核酸。
リポソーム、ハイドロゲル、シクロデキストリン、生分解性のナノカプセル、生体接着性のマイクロスフェア、またはタンパク質性のベクター、をさらに含む請求項22に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、ダイサーの基質として、またはRISCとの結合に適している鎖を少なくとも3本含み、それゆえ、例えばRNA干渉(RNAi)経路を介する遺伝子サイレンシングに有利に利用できる、ギャップの入った二本鎖RNA(dsRNA)を提供する。すなわち、本明細書に記載の部分的に二重鎖のdsRNA分子(少なくとも1本の鎖中にニックもしくはギャップを有するメロマー(meromers)またはメロデュープレックスとも称される)は、標的メッセンジャーRNA(mRNA)または関連の標的mRNAファミリーの発現を修飾(例えば、低減)するRNAiカスケードの惹起が可能である。そのような構造の遺伝子サイレンシングの機能性は、(インタクトのdsRNAと比較して)熱力学的に安定性が低いニックの入ったdsRNAパッセンジャー鎖またはギャップの入ったdsRNAパッセンジャー鎖が、いずれかの遺伝子サイレンシングが生じる前に崩壊すると想定されるだろうことから、予測不可能である(例えば、Leuschner et al.,EMBO 7:314,2006;Bramsen et al.,Nucleic Acids Res.35:5886,2007参照)。
【0019】
本明細書に記載のメロデュープレックスリボ核酸(mdRNA)分子は、標的mRNAに相補的な第1の(アンチセンス)鎖を、それぞれが第1の鎖の非重複領域に相補的な第2および第3の鎖(ともにギャップの入ったセンス鎖を形成)と一緒に含み、ここで、第2および第3の鎖は、第1の鎖とアニールしギャップで分離される二本鎖領域を少なくとも2つ形成することが可能であり、ここで、少なくとも1つの二本鎖領域が約5塩基対〜15塩基対であるか、または二本鎖領域を合わせた合計が約15塩基対〜約40塩基対でありmdRNAは平滑末端を有する。
【0020】
ギャップは、0ヌクレオチド(すなわち、2つのヌクレオチド間のリン酸ジエステル結合のみが、ポリヌクレオチド分子中で切断されているニック)〜約10ヌクレオチド以下(すなわち、第1の鎖が非末端不対ヌクレオチドを少なくとも有するであろう)であり得る。特定の態様においては、ニックまたはギャップは、第1の(アンチセンス)鎖の5’−末端から約10ヌクレオチドまたはアルゴノート切断部位に位置する。別の態様においては、異なる位置にニックまたはギャップを有するようなメロデュープレックスの熱安定性と比較して、第1と第2の鎖の二重鎖および第1と第3の鎖の二重鎖において熱安定性が最大限になるように、メロデュープレックスのニックまたはギャップが位置する。
【0021】
本明細書においてはまた、上記のようなdsRNAを使用して、標的遺伝子または標的遺伝子ファミリーの一部である1つもしくは複数の遺伝子の、細胞中での発現を低減する方法、または過増殖性疾患(例えば、癌)、炎症性の状態(例えば、関節炎)、呼吸器系疾病、肺疾病、循環器系疾病、自己免疫疾病、アレルギー性疾患、神経系疾病、感染症(例えば、インフルエンザ等のウイルス感染)、腎臓疾病、移植拒絶、標的遺伝子もしくは遺伝子ファミリーの調節に応答するいずれの他の疾病や状態等の、1つ以上の標的遺伝子ファミリーメンバーの発現と関連する疾病や疾患を治療もしくは予防する方法も開示する。
【0022】
本開示にさらなる詳細を挿入するのに先がけ、その正しい認識にとって、本明細書で使用する特定の用語の定義を提供することが有益であろう。
【0023】
本記載においては、特に断りのない限り、任意の濃度範囲、百分率範囲、比率範囲、または整数範囲が、詳述の範囲内の任意の整数値、そして適切な場合にはそれらの分数(ある整数の10分の1、100分の1等)を含むことが、理解されるべきである。加えて、ポリマーのサブユニット数、大きさ、厚さ等の、物理的特徴に関連する本明細書に詳述の任意の数範囲が、特に断りのない限り、詳述の範囲内の任意の整数を含むことが、理解されるべきである。本明細書で使用の通り、「約」または「本質的に成る」とは、他に断わりのない限り、表示の範囲、値、または構造の±20%を意味する。本明細書で使用の通り、「有する」および「含む」という表現は、特に制限がなく同義的に使用されるものである。本明細書で使用の「a」および「an」という表現は、列挙の成分の「1つ以上」に関することが理解されるべきである。選択語の使用(たとえば、「または/もしくは」)は、どちらか一方、両方、またはそれら選択語の任意の組み合わせ、を意味することが理解されるべきである。
【0024】
本明細書で使用の通り、「相補的な」とは、従来のワトソン・クリック型塩基対または相補的なヌクレオシドもしくはヌクレオチド間での他の特殊なタイプの対形成(例えば、フーグスティーン水素結合または逆フーグスティーン水素結合)のいずれかによって、他の核酸分子またはそれ自身と水素結合を形成可能な核酸に関する。本開示の核酸分子に関すると、核酸分子とその相補的配列の結合自由エネルギーは、RNAi活性等の核酸分子の関連機能を進行させるのに十分であり、特異的結合が要求される条件下において、すなわち、インビボアッセイもしくは治療上処置の場合における生理学的条件下、またはインビトロアッセイ(例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ)の場合においてアッセイが行われる条件下において、非標的配列への核酸(例えば、dsRNA)の非特異的結合を回避するのに十分な相補度が存在する。当該分野において、核酸分子における結合自由エネルギーの決定は既知である(例えば、Turner et al.,CSH Symp.Quant.Biol.LII:123,1987;Frier et al.,Proc.Nat.Acad.Sci USA 83:9373,1986;Turner et al.,J.Am.Chem.Soc.109:3783,1987参照)。したがって、「相補的な」または「特異的にハイブリダイズ可能」または「特異的に結合」とは、安定かつ特異的な結合が、核酸分子(例えば、dsRNA)とDNAもしくはRNA標的の間で生じるような、十分な相補度または正確な対形成を表す表現である。当該分野においては、特異的にハイブリダイズ可能または特異的に結合するのに、核酸分子が標的核酸配列に100%相補的でなくてもよいことが、理解されている。すなわち、2つ以上の核酸分子は、十分に満たない相補的であってよく、第2の核酸分子と水素結合を形成可能な核酸分子中の近接残基(contiguous residue)の百分率で表わされる。
【0025】
例えば、第1の核酸分子が10ヌクレオチドを有してよく、第2の核酸分子が10ヌクレオチドを有していよく、その場合、第1と第2の核酸分子間の塩基対は5、6、7、8、9または10ヌクレオチドであり、これは近接二本鎖領域を形成してもしなくてもよく、それぞれ、50%、60%、70%、80%、90%、および100%の相性を示す。特定の態様においては、相補的核酸分子が誤った塩基対を有する場合があり、これはすなわち、塩基が従来のワトソン・クリック型塩基対または他の特殊なタイプの対(すなわち、「ミスマッチ」塩基対)を形成できないということである。例えば、十分に相補的な核酸分子は、0〜約1、約2、約3、約4、または約5等の、特定の「ミスマッチ」数を有しているものとして同定されてよい。
【0026】
「完全に」または「十分に」相補的な核酸分子とは、第1の核酸分子の特定数のヌクレオチドが、第2の核酸分子中の同じ数の基と水素結合(アニール)し、近接二本鎖領域を形成する核酸、を意味する。例えば、2本以上の十分に相補的な核酸分子鎖は、同数のヌクレオチド(すなわち、同じ長さを有し、オーバーハング有りもしくは無しの二本鎖領域を1つ形成する)または異なる数のヌクレオチド(例えば、一本の鎖は第2の鎖より短く第2の鎖内に完全に含まれてよく、もしくは一本の鎖は第2の鎖上にオーバーハングしてもよい)を有し得る。
【0027】
本明細書で使用の通り、「リボ核酸」または「RNA」は、少なくとも1つのリボヌクレオチド分子を含む核酸分子を意味する。「リボヌクレオチド」は、β−D−リボフラノース部分の2’−位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドに関することが、理解されるべきである。RNAという用語には、二本鎖(ds)RNA、一本鎖(ss)RNA、単離されたRNA(例えば、精製RNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組み換えによって作成されたRNA)、(1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換もしくは改変により、天然のRNAとは異なる)変化した(altered)RNA、またはこれらの任意の組み合わせ、が含まれる。例えば、そのような改変RNAは、RNA分子の片末端もしくは両末端に、RNAの1つ以上のヌクレオチドにおいて内部的に、またはこれらの任意の組み合わせ等で、非ヌクレオチド物質の付加を含むことができる。本開示のRNA分子中のヌクレオチドはまた、天然ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、化学的に修飾されたヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。これらの改変RNAは、アナログまたは標準ヌクレオチド(すなわち、本明細書で使用の通り、標準ヌクレオチドはアデニン、シチジン、グアニジン、チミジン、およびウリジンであると考えられる)のアナログと称されてよい。
【0028】
「dsRNA」という用語は、本明細書で使用の通り、「mdRNA」と可換であり、少なくとも1つのリボヌクレオチドを含む任意の核酸分子に関し、例えば、RNA干渉(「RNAi」)または遺伝子サイレンシングを配列に特異的な様式で促進することにより、遺伝子発現を阻害またはダウンレギュレーション可能である。本開示のdsRNA(mdRNA)は、RNAiによる遺伝子サイレンシングを仲介するダイサーまたはRISCとの対合用の適宜の基体であってもよい。dsRNAの1本の鎖または両方の鎖は、5’−リン酸もしくは5’,3’−二リン酸等の末端リン酸基を、さらに含み得る。本明細書で使用の通り、dsRNA分子は、少なくとも1つのリボヌクレオチドに加えて、置換、化学的に修飾されたヌクレオチド、および非ヌクレオチドを、さらに含み得る。特定の態様においては、dsRNA分子は、ヌクレオチド位置の約100%までリボヌクレオチドを含む。
【0029】
加えて、本明細書で使用の通り、dsRNAという用語は、例えば、メロデュープレックスRNA(mdRNA),ニックの入ったdsRNA(ndsRNA),ギャップの入ったdsRNA(gdsRNA),短(short)干渉核酸(siNA)、siRNA、マイクロ−RNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA),短干渉オリゴヌクレオチド、短干渉置換オリゴヌクレオチド、短干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学的に修飾されたdsRNA、転写後の遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)等、配列に特異的なRNAiを仲介可能な核酸分子を記述するのに使用される他の用語に相当することが意図される。「長二本鎖(large double−stranded)(ds)RNA」という用語は、約40塩基対(bp)〜約100bpまたはそれを超えるものより長い、具体的には約300bp〜約500bp以下の、任意の二本鎖RNAに関する。長dsRNAの配列は、mRNAの断片またはmRNAの全体を表してよい。二本鎖構造は、自己相補的な核酸分子(self−complementary nucleic acid molecule)または2本以上の異なる相補的な核酸分子鎖のアニーリングによって形成されてよい。
【0030】
ある局面においては、dsRNAは、2つの別々のオリゴヌクレオチドを含み、第1の鎖(アンチセンス)および第2の鎖(センス)を含み、ここで、アンチセンス鎖とセンス鎖は自己相補的であり(すなわち、それぞれの鎖はもう一方の鎖中のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、これら別々の2本の鎖は二重鎖または二本鎖構造を形成し、例えばここで、二本鎖領域は約15〜約24もしくは25塩基対、もしくは約25もしくは26〜約40塩基対である);アンチセンス鎖は、標的核酸分子中のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み;そしてセンス鎖は、標的核酸配列に相当する(すなわち、相同の)ヌクレオチド配列またはその一部を含む(例えば、約15〜約25ヌクレオチドもしくは約26〜約40ヌクレオチドのセンス鎖が、標的核酸またはその一部に相当する)。
【0031】
別の局面においては、dsRNAは、dsRNAの自己相補的なセンス鎖およびアンチセンス鎖が、核酸系リンカー(nucleic acid based−linker)または非核酸系リンカー(non−nucleic acid based−linker)によって共に連結されることで、単独のオリゴヌクレオチドから構築される。特定の態様においては、dsRNA分子の第1の(アンチセンス)鎖および第2の(センス)鎖は、本明細書に記載の通り、そして当該分野で既知の通り、ヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーによって、共有結合的に連結される。別の態様においては、第1のdsRNA分子は、当該分野で既知のヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーによって、少なくとも1つの第2のdsRNA分子に共有結合的に連結され、ここで、第1のdsRNA分子は、同じでも異なってもよい他の複数のdsRNA分子またはそれらの任意の組み合わせに、連結され得る。別の態様においては、連結されたdsRNAは、該連結されたdsRNAとメロデュープレックスを形成する第3の鎖を含んでいる場合がある。
【0032】
さらに別の局面においては、本明細に記載のdsRNA分子は、例えば「A」(第1の、またはアンチセンス)鎖、「S1」(第2の)鎖、および「S2」(第3の)鎖等の、3本以上の鎖を有するメロデュープレックスRNA(mdRNA)を形成し、「S1」鎖と「S2」鎖は、「A」鎖の非重複領域に相補的であり塩基対(bp)を形成する(例えばmdRNAは、A:S1S2の形態を有し得る)。S1、S2、またはさらなる鎖は共に、「A」鎖に対するセンス鎖を本質的に含む。「S1」鎖と「A」鎖のアニーリングによって形成される二本鎖領域は、「S2」鎖と「A」鎖のアニーリングで形成される二本鎖領域とは異なり、非重複である。mdRNA分子は「ギャップ」分子であり、0ヌクレオチド〜約10ヌクレオチド以下の範囲の「ギャップ」を意味する。ある態様においては、A:S1二重鎖は、A:S1二重鎖とA:S2二重鎖の間に位置し、「A」、「S1」または「S2」鎖の1本以上の3’−末端における任意の1つ以上の不対ヌクレオチドとは異なる、「A」鎖中の1つ以上の不対ヌクレオチド(約10不対ヌクレオチド以下)に起因するギャップによって、A:S2二重鎖と分離される。別の態様においては、A:S1二重鎖は、A:S1二重鎖とA:S2二重鎖間の0ヌクレオチドのギャップ(すなわち、2つのヌクレオチド間のリン酸ジエステル結合のみが、ポリヌクレオチド分子中で切断されている、または欠失しているニック)によってA:S2二重鎖と分離され、ニックの入ったdsRNA(ndsRNA)とも称され得る。例えば、A:S1S2は、合わせた合計が約14塩基対〜約40塩基対の少なくとも2つの二本鎖領域を有し、二本鎖領域は約0〜約10ヌクレオチドのギャップにより分離されていて、平滑末端を有していてもよいdsRNAから構成されてよく、または、A:S1S2は、10以下のヌクレオチドのギャップで分離されている少なくとも2つの二本鎖領域を有するdsRNAを含んでよく、ここで、二本鎖領域の少なくとも1つは、約5塩基対〜13塩基対を含む。
【0033】
dsRNAまたは長dsRNAは、リン酸骨格結合(backbone bond)、糖、塩基、もしくはヌクレオシド中にあってよい置換または修飾を含む場合がある。そのようなヌクレオシド置換は、天然の非標準ヌクレオシド(例えば、5−メチルウリジンまたは5−メチルシチジンまたは2−チオリボチミジン)を含み得、そのような骨格、糖、またはヌクレオシド修飾は、メチル、アルコキシアルキル、ハロゲン、窒素もしくは硫黄等のアルキルもしくはヘテロ原子の置換または付加、あるいは当該分野で既知の他の修飾を含み得る。
【0034】
特定の態様においては、dsRNAまたはmdRNAは単離されるであろう。本明細書で使用の通り、「単離された」という用語は、自然環境中(例えば、自然環境は細胞であってよい)で共存している物質の一部または全てから分離されているように、言及の分子がその本来の環境から取り除かれることを意味する。
【0035】
本明細書で使用の通り、「RNAi」という用語は、転写後の遺伝子サイレンシング、翻訳阻害、または遺伝子の後成的発現(epigenetics)等の、配列に特異的なRNA干渉を記述するのに使用される他の用語に相当することが意図される。例えば、本開示のdsRNA分子は、転写後の段階または転写前の段階またはそれらの任意の組み合わせで、後成的(epigenetically)に遺伝子をサイレンシングするのに使用可能である。
【0036】
本明細書で使用の通り、「標的核酸」とは、その発現または活性が改変される任意の核酸配列に関する。標的核酸は、DNA、RNA、またはそれらのアナログであり得て、一本鎖、二本鎖、および複数鎖の形態を含む。「標的部位」または「標的配列」とは、RNAiによる切断における「標的」であり、標的部位または標的配列に相補的なアンチセンス鎖内の配列を含む本開示のdsRNA構築物に仲介される、標的核酸(例えば、mRNA)内の配列を意味する。
【0037】
本明細書で使用の通り、「オフターゲット効果」または「オフターゲットプロファイル(profile)」とは、mdRNAまたはdsRNAによる遺伝子サイレンシングにおける、直接的にまたは非直接的に標的とされていない細胞中または他の生体試料中の、1つ以上の遺伝子の観察される改変された発現パターンに関する。例えば、DNAマイクロアレイを使用して、候補mdRNAまたはdsRNAまたは1つ以上のmRNA等の標的配列に特異的なこれらのアナログの存在下で、約2倍かそれを超える発現レベルの改変を有する非標的遺伝子数を決定し、オフターゲット効果を定量化することが可能である。「最小限のオフターゲット効果」とは、約25%〜約1%の試験した非標的遺伝子の約2倍かそれを超えて、mdRNAまたはdsRNAが発現に作用することを意味し、または、置換もしくは修飾されたmdRNAまたはdsRNA(例えば、5−メチルウリジンか2−チオリボチミジンで置換されたウリジンを少なくとも1つ有し、2’−位置で修飾されたヌクレオチドを少なくとも1つ有していてもよい)が、非置換もしくは非修飾のmdRNAまたはdsRNAの非標的遺伝子への作用と比較して、少なくとも約1%〜約80%、またはそれ以上低減されることを意味する。
【0038】
「センス領域」または「センス鎖」とは、dsRNA分子のアンチセンス領域の1つ以上に相補性を有する、dsRNA分子の1つ以上のヌクレオチド配列を意味する。さらに、dsRNA分子のセンス領域は、標的配列に対して相同性または同一性を有する核酸配列を含む。「アンチセンス領域」または「アンチセンス鎖」とは、標的核酸配列に相補性を有する、dsRNAのヌクレオチド配列を意味する。さらに、dsRNA分子のアンチセンス領域は、dsRNA分子のセンス鎖の1本以上に相補性を有する、核酸配列領域を含み得る。
【0039】
「アナログ(analog)」は、本明細書で使用の通り、親化合物(例えば、核酸分子)と構造的に同様だが、組成が僅かに異なる(例えば、1つの原子または官能基が、異なるか、付加しているか、除去されている)化合物に関する。アナログは、元の化合物と異なる化学的特性または物理的特性を有していてもいなくてもよく、改善された生物活性または化学的活性を有していてもいなくてもよい。例えば、アナログはより親水性でよく、または親化合物と比較して改変された活性を有していてもよい。アナログは、親化合物の化学的活性もしくは生物活性を模倣してもよく、または、場合によっては、増加した活性もしくは減少した活性を有する場合がある。アナログは、元の化合物の天然のまたは非天然の(例えば、化学的に修飾されたもしくは組み換えの)変異体であってよい。RNAアナログの1つの例は、特定の望ましい特性(例えば、改善された安定性、バイオアベイラビリティ、最小限のオフターゲット効果またはインターフェロン応答)を付与する場合のある、5−メチルウリジンまたは5−メチルシチジンまたは2−チオリボチミジン等の非標準ヌクレオチドを有するRNA分子である。
【0040】
「ピリミジン」という用語は、本明細書で使用の通り、標準のピリミジン塩基であるウラシルおよびシトシンを含む、従来のピリミジン塩基に関する。さらに、ピリミジンという用語は、例えば、5−メチルウラシル、2−チオ−5−メチルウラシル、4−チオウラシル、擬ウラシル(pseudouracil)、ジヒドロウラシル、オロト酸塩、5−メチルシトシン等の天然の非標準ピリミジン塩基または酸、ならびに、本開示の核酸分子内で標準ピリミジンを置換するのに使用可能な、化学的に修飾された塩基または「万能塩基(universal bases)」を包括的に含むことが意図される。
【0041】
「プリン」という用語は、本明細書で使用の通り、標準のプリン塩基であるアデニンおよびグアニンを含む、従来のプリン塩基に関する。さらに、プリンという用語は、例えば、N2−メチルグアニン、イノシン等の天然の非標準プリン塩基または酸、ならびに、本開示の核酸分子内で標準プリンを置換するのに使用可能な、化学的に修飾された塩基または「万能塩基」を包括的に含むことが意図される。
【0042】
本明細書で使用の通り、「万能塩基」という用語は、標準DNA/RNA塩基の各々と、それらの区別無く塩基対を形成し、細胞内酵素によって認識される、ヌクレオチド塩基アナログに関する(例えば、Loakes et al.,J.Mol.Bio.270:426−435,1997参照)。万能塩基の限定されない例には、当該分野で既知の通り、C−フェニル、C−ナフチルおよびその他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミド、ならびに、3−ニトロピロール、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、および6−ニトロインドール等のニトロアゾール誘導体が含まれる(例えば、Loakes,Nucleic Acids Res.29:2437−2447,2001参照)。
【0043】
「遺伝子」という用語は、本明細書で使用の通り、特にRNAiにおける「標的遺伝子」または「遺伝子標的」との関連において、メッセンジャーRNA(mRNA、ポリペプチドをコードする構造遺伝子とも称される)、そのような遺伝子のmRNAスプライスバリアント、機能遺伝子(fRNA)、もしくは、小時間性RNA(stRNA:small temporal RNA)、マイクロRNA(miRNA)、小核RNA(snRNA),短干渉RNA(siRNA)、小核小体RNA(snRNA),リボソームRNA(rRNA),トランスファーRNA(tRNA)およびそれらの前駆体RNA等の非コーディングRNA(ncRNA)を含む、RNAまたはそのような遺伝子の転写産物をコードする核酸、を意味する。そのような非コーディングRNAは、機能的細胞プロセス(functional cellular process)もしくは調節細胞プロセス(regulatory cellular process)に関与するfRNAまたはncRNAの活性を改変する、dsRNAに仲介されるRNAiのための、標的核酸分子として機能することが可能である。標的遺伝子は、内在性遺伝子、導入遺伝子、または、その感染後に細胞中に存在する病原体(例えば、ウイルス遺伝子)からの遺伝子を含む外因性遺伝子等の、細胞由来の遺伝子であり得る。標的遺伝子を含む細胞は、植物、動物、原生生物、ウイルス、細菌、もしくは菌類等の、任意の生物に由来し得るか、または含まれ得る。
【0044】
さらに、1つ以上のdsRNAを、標的mRNAまたは関連のmRNAスプライスバリアントの発現のノックダウンに使用してもよい。この際、標的遺伝子が2つ以上のmRNAスプライスバリアントに転写されてもよいことが、注目される。特定の態様においては、1つの標的mRNAスプライスバリアントが、1つ以上の他の標的mRNAスプライスバリアントに影響せずにノックダウンされることが望ましい場合があり、逆もまた同様である。あるいは、1つ以上の標的ファミリー遺伝子の全ての転写産物のノックダウンが、本明細書において意図される。
【0045】
本明細書で使用の通り、「遺伝子サイレンシング」とは、細胞中の遺伝子発現の標的阻害を介する、部分的または完全な機能喪失に関し、RNAi「ノックダウン」、「阻害」、「ダウンレギュレーション」または標的遺伝子の発現の「低減」とも称される。検討されるべき状況および生物学的問題によっては、遺伝子発現を部分的に低減するのが好ましい場合がある。あるいは、可能な限り遺伝子発現を低減するのが望ましい場合があるかもしれない。サイレンシングの程度は、本明細書に記載の方法によって決定されてよく、当該分野で既知の場合もあり、そのいくつかは国際特許公開第99/32619号で要約されている。アッセイによっては、遺伝子発現の定量化によって、mRNAレベルまたはタンパク質レベルもしくは活性に関して、例えば、基準(すなわち、標準)または、特定の疾病状態もしくは治療のための他の状態と関連する場合のある増加した発現レベル等の他のコントロールレベルの、10%、30%、50%、75%、90%、95%、もしくは99%に等しいかそれを超える標的遺伝子の発現のノックダウンが可能になるであろう予防方法および治療方法を含む、本開示の特定の態様において望ましい場合のある、種々の阻害量の検出が可能になる。
【0046】
「被験体」とは、移植細胞(explanted cells)もしくは細胞自身のドナーまたはレシピエントである生物を意味する。「被験体」とは、本開示の核酸分子を投与する生物にも関する。ある態様においては、被験体は哺乳動物または哺乳類細胞である。別の態様においては、被験体はヒトまたはヒト細胞である。
【0047】
本明細書で使用の通り、「治療上有効量」という用語は、投与する被験体において(例えば、哺乳類またはヒト)、病徴の重症度の減少、病徴が無い時期の頻度もしくは期間の増加、または疾病が原因の機能障害もしくは身体障害の予防に、結果としてつながるのに十分な量のdsRNA意味する。例えば、標的mRNAに向けられる治療上有効量のdsRNAは、効果的に標的をコードするmRNAをダウンレギュレーションし、それによって、感染、炎症、代謝障害、自己免疫状態、癌等の標的に関連する疾患の1つ以上を低減または予防する。当業者であれば、被験体の大きさ、症状の重症度、および選択する投与の特定の組成または経路といった要素に基づき、そのような治療上有効な量を決定することができるであろう。例えば、化合物の治療上有効量は、被験体において、腫瘍の大きさを減少させることができ、またはさもなければ、特定の疾患に関連する症状を寛解することができる。本開示のdsRNA分子は、個別にもしくは組み合わせで、または他の薬物との組み合わせで、治療に適した条件下で被験体に投与または特定の細胞に投与することにより、本明細書で考察する疾病または病状の治療に使用できる。
【0048】
加えて、本明細書で記載の構造および置換基の種々の組み合わせに由来の、個々の化合物または化合物の群は、まるで各々の化合物または化合物の群が個別に説明されるかのような程度と同程度に、本出願によって開示される。したがって、特定の構造または特定の置換基の選択は、本開示の範囲内である。本明細書に記載の通り、全ての数値範囲は、表示する範囲に渡って包括的である。したがって、C
1−C
4の範囲は、1、2、3、および4という値を含み、C
1、C
2、C
3およびC
4を含むことがことが理解されるであろう。
【0049】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用の通り、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜8、そして最も好ましくは炭素数1〜4の飽和の直鎖または分岐鎖の脂肪族基に関する。この定義は同様に、アルコキシ、アルカノイル、およびアラルキル基のアルキル部分にも適用する。アルキル基は、置換されていても非置換でもよい。特定の態様においては、アルキルは(C
1−C
4)アルキルまたはメチルである。
【0050】
「シクロアルキル」という用語は、本発明で使用の通り、任意に置換されてもよい炭素数3〜12の飽和環式炭化水素環系(hydrocarbon ring system)に関する。態様の例には、以下に限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。特定の態様においては、シクロアルキル基はシクロプロピルである。別の態様においては、(シクロアルキル)アルキル基は、環部分中に3〜12の炭素を含み、アルキル部分中に1〜6の炭素を含む。特定の態様においては、(シクロアルキル)アルキル基はシクロプロピルメチルである。アルキル基は、ハロゲン、ヒドロキシ、およびアミノから成る群から選択される、1〜3の置換基で置換されてもよい。
【0051】
「アルカノイル」および「アルカノイルオキシ(alkanoyloxy)」という用語は、本明細書で使用の通り、それぞれ、−C(O)−アルキル基および−O−C(=O)−アルキル基に関し、それぞれは2〜10の炭素を含んでいてよい。アルカノイル基およびアルカノイルオキシ基の具体的な態様は、それぞれ、アセチルとアセトキシである。
【0052】
「アルケニル」という用語は、炭素数2〜15を有し、親アルケンの1個の炭素から水素1個が除去されることに由来の炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する、非飽和の分岐鎖、直鎖、または環式のアルキル基、に関する。この基は、二重結合についてシスまたはトランスのコンホメーションのいずれかでよい。特定の態様には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、1,3−オクタジエニル、2−ノネニル、1,3−ノナジエニル、2−デセニルなど等が含まれる。アルケニル基は置換されていても非置換でもよい。
【0053】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用の通り、炭素数2〜10を有し、親アルキンの1個の炭素から水素1個が除去されることに由来の炭素−炭素三重結合を少なくとも1つ有する、非飽和の分岐鎖、直鎖、または環式のアルキル基、に関する。アルキニルの例には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、1−オクチニル、6−メチル−1−ヘプチニル、2−デシニル等が含まれる。アルキニル基は置換されていても非置換でもよい。
【0054】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせで、既に定義の通り1つもしくは数個の水素が、好ましくは一つの水素がヒドロキシ基ですでに置換されている、アルキル基に関する。例として、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、および2−ヒドロキシエチルが含まれる。
【0055】
「アミノアルキル」という用語は、本明細書で使用の通り、RとR’が独立して水素または(C
1−C
4)アルキルでよい、−NRR’基に関する。
【0056】
「アルキルアミノアルキル」という用語は、アルキル基(すなわち、−アルキル−NH−アルキルまたは−アルキル−N(アルキル)(アルキル)の一般構造を有する基)を介して連結される、アルキルアミノ基に関する。そのような基には、以下に限定されないが、各アルキルが同じでも異なってもよい、モノ−およびジ−(C
1−C
8アルキル)アミノC
1−C
8アルキルが含まれる。
【0057】
「ジアルキルアミノアルキル」という用語は、アルキル基に付属のアルキルアミノ基に関する。例として、以下に限定されないが、N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルアミノプロピル等が含まれる。ジアルキルアミノアルキルという用語にはまた、架橋アルキル部分(bridging alkyl moiety)が置換されていてもよい基も含まれる。
【0058】
「ハロアルキル」という用語は、例えば、クロロメチル、2−ブロモエチル、3−イオドプロピル、トリフルオロメチル、ペルフルオロプロピル、8−クロロノニル等の、1つ以上のハロ基で置換されたアルキル基に関する。
【0059】
「カルボキシアルキル」という用語は、本発明で使用の通り、R
10がアルキレンである−R
Z−COOH置換基に関し、炭素アルコキシアルキル(carbalkoxyalkyl)とは、R
10とR
11がそれぞれ、アルキレンとアルキルである−R
10−C(=O)OR
11に関する。特定の態様においては、アルキルとは、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシルなどの、飽和の直鎖または分岐鎖の炭素数1〜6のヒドロカルビル(hydrocarbyl)ラジカル(radical)に関する。アルキレンは、二価であること以外は、アルキルと同じである。
【0060】
「アルコキシ」という用語には、酸素原子に共有結合的に結合した、置換および非置換アルキル、アルケニル、ならびにアルキニル基が含まれる。ある態様においては、アルコキシ基は、1〜10個の炭素原子を含む。アルコキシ基の態様には、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロピロキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基が含まれる。置換アルコキシ基の態様には、ハロゲン化アルコキシ基が含まれる。さらなる態様においては、アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキルカルボニロキシ、アリールカルボニロキシ、アルコキシカルボニロキシ、アリールオキシカルボニロキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸、ホスホナート(phosphonato)、ホスフィナート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル(sulfhydryl)、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホナート(sulfonato)、スルファモイル(sulfamoyl)、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分等の基で、置換され得る。典型的なハロゲンで置換されたアルコキシ基には、以下に限定されないが、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシが含まれる。
【0061】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されたアルキレン基に関する。例えば、メトキシエチル(CH
3OCH
2CH
2−)およびエトキシメチル(CH
3CH
2OCH
2−)は共に、炭素数3のアルコキシアルキル基である。
【0062】
「アリール」という用語は、本明細書で使用の通り、例えば、アルキル;上記で定義の置換アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、カルバモイル、およびアリールオキシ等の1〜4個の置換基でそれぞれ置換されてもよい、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニルならびにジフェニルといった、環部分中に炭素原子を6〜12有する、単環式または二環式の芳香族炭化水素基に関する。本開示に記載のアリール基の具体的な態様には、フェニル、置換フェニル、ナフチル、ビフェニル、およびジフェニルが含まれる。
【0063】
本明細書で単独または組み合わせで使用される「アロイル」という用語は、任意に置換されている安息香酸またはナフトエ酸等の芳香族カルボン酸に由来の、アリールのラジカルに関する。
【0064】
「アラルキル」という用語は、本明細書で使用の通り、好ましくは1〜10の炭素原子を含むアルキル基を介して、2−ピリジニル環または4−ピリジニル環に結合しているアリール基、に関する。好ましいアラルキル基はベンジルである。
【0065】
「カルボキシ」という用語は、本明細書で使用の通り、式、−C(=O)OHまたは−C(=O)O
−の基を表す。
【0066】
「カルボニル」という用語は、本明細書で使用の通り、酸素が炭素に二重結合している基(−C=O)に関する。
【0067】
「トリフルオロメチル」という用語は、本明細書で使用の通り、−CF
3に関する。
【0068】
「トリフルオロメトキシ」という用語は、本明細書で使用の通り、−OCF
3に関する。
【0069】
「ヒドロキシル」という用語は、本明細書で使用の通り、−OHまたは−O
−に関する。
【0070】
「ニトリル」または「シアノ」という用語は、本明細書で使用の通り、−CN基に関する。
【0071】
「ニトロ」という用語は、本明細書で使用の通り、単独または組み合わせで使用されるように、−NO
2基に関する。
【0072】
「アミノ」という用語は、本明細書で使用の通り、R
9が独立して水素、アルキル、アリール、アルコキシ、またはヘテロアリールでよい、−NR
9R
9基に関する。「アミノアルキル」という用語は、本明細書で使用の通り、「アミノ」と比較してより詳細な選択を表し、R’が独立して水素または(C
1−C
4)アルキルであってよい、−NR’R’基に関する。「ジアルキルアミノ」という用語は、同一または異なってもよいアルキル基を2個有するアミノ基に関する。
【0073】
「アルカノイルアミノ」という用語は、例えばアセチルアミノ、プロパノイルアミノ、およびブタノイルアミノ等、−N(H)−が続く−C(=O)−基を含むアルキル、アルケニル、またはアルキニル基に関する。
【0074】
「カルボニルアミノ」という用語は、R’が独立して、水素または(C
1−C
4)アルキルから選択される、−NR’−CO−CH
2−R’基に関する。
【0075】
「カルバモイル」という用語は、本明細書で使用の通り、−O−C(O)NH
2に関する。
【0076】
「カルバミル」という用語は、本明細書で使用の通り、すなわち、R’が独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロ、もしくはヘテロアリールであってよい−NR’C(=O)R’または−C(=O)NR’R’のように、窒素原子がカルボニルに直接結合している官能基に関する。
【0077】
「アルキルスルホニルアミノ」という用語は、R
12がアルキルである、−NHS(O)
2R
12基に関する。
【0078】
「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用の通り、臭素、塩素、フッ素、またはヨウ素に関する。ある態様においては、ハロゲンはフッ素である。別の態様においては、ハロゲンは塩素である。
【0079】
「ヘテロシクロ」という用語は、炭素原子を含む少なくとも1つの環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する、4〜7員環の単環式の、または7〜11員環の二環式の環系である、置換、非置換、部分飽和、もしくは完全飽和であってよい、芳香族基または非芳香族環基、に関する。ヘテロシクロ環上の置換基は、アリール基に関して上で記載の置換基から選択されてよい。ヘテロ原子を含むヘテロシクロ基の各環は、窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1、2、または3個のヘテロ原子を有してよい。任意のヘテロシクロ環中の複数のヘテロ原子は、同一でも異なってもよい。
【0080】
典型的な単環式ヘテロシクロ基には、ピロリジニル(pyrrolidinyl)、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル(thiazolyl)、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、ピぺリジニル、ピペラジニル、アゼピニル(azepinyl)、ピリミジニル(pyrimidinyl)、ピリダジニル(pyridazinyl)、テトラヒドロピラニル、モルホリニル(morpholinyl)、ジオキサニル、トリアジニルおよびトリアゾリル、が含まれる。好ましい二環式ヘテロシクロ基には、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル(quinolinyl)、テトラヒドロイソキノリニル、ベンジミダゾリル(benzimidazolyl)、ベンゾフリル、インダゾリル(indazolyl)、ベンジソチアゾリル(benzisothiazolyl)、イソインドリニルおよびテトラヒドロキノリニル、が含まれる。より詳細な態様においては、ヘテロシクロ基は、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル(pyrrolidyl)、ピリジルおよびピリミジル、を含んでよい。
【0081】
「置換された」とは、1個以上の水素原子が、それぞれ独立して、同一のまたは異なる置換基で置換されている基、に関する。代表的な置換基には、−X、−R
6、−O−、=O、−OR、−SR
6、−S−、=S、−NR
6R
6、=NR
6、−CX
3、−CF
3、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO
2、=N
2、−N
3、−S(=O)
2O−、−S(=O)
2OH、−S(=O)
2R
6、−OS(O)
2O−、−OS(=O)
2OH、−OS(=O)
2R
6、−P(=O)(O
−)
2、−P(=O)(OH)(O
−)、−OP(=O)
2(O
−)、−C(−O)R
6、−C(=S)R
6、−C(=O)OR
6、−C(=O)O
−、−C(=S)OR
6、−NR
6−C(=O)−N(R
6)
2、−NR
6−C(=S)−N(R
6)
2、および−C(=NR
6)NR
6R
6が含まれ、ここで、各Xは独立してハロゲンであり;そして各R
6は独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アリール、アリールアルキル、アリールアリール、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、NR
7R
7、−C(=O)R
7、および−S(=O)
2R
7であり;そして各R
7は独立して、水素、アルキル、アルカニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、アリールアリール、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。アリールを含む置換基は、1つ以上の置換基を有するか有しないかに関わらず、パラ(p−)、メタ(m−)もしくはオルト(o−)コンホメーション、またはこれらの任意の組み合わせで、付属されてよい。
【0082】
ギャップまたはニックの入ったdsRNA分子
本開示は、小核酸分子を使用するRNA干渉(RNAi)によって標的遺伝子の発現または活性を改変することにおいて有用な、化合物、組成物、および方法を提供する。より詳細な態様においては、本開示は、ニックまたはギャップを少なくとも1つ有し、標的遺伝子または遺伝子のファミリーの発現を改変し、被験体(例えば、ヒト)における疾病もしくは疾患の症状を予防、治療、または軽減する、短干渉核酸(siNA)、短干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、ニックの入った二本鎖RNA(ndsRNA)、ギャップの入った二本鎖RNA(gdsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)分子、またはこれらの組み合わせ等の小核酸分子を提供する。これらおよび関連する治療用組成物ならびに方法内において、ニックまたはギャップの入ったdsRNA(すでに置換されているか修飾されていてもよい)の使用はしばしば、天然のdsRNA分子の特性と比較して、dsRNA分子の特性を改善し、これにより低減したオフターゲット効果、低減したインターフェロン応答、インビボでのヌクレアーゼ分解に対する増加した抵抗性、改善した細胞摂取、増加した作用強度(potency)、またはこれらの任意の組み合わせが得られるであろう。
【0083】
特定の態様においては、本開示のギャップの入ったdsRNA(mdRNA)分子を、単独で、または補助的治療との組み合わせで、標的遺伝子に特異的なRNAiを活性化するのに十分な量で投与することにより、細胞中もしくは組織中の標的核酸分子(例えば、mRNA)のレベルに関係するか応答する等の遺伝子発現に関連する疾病、疾患、もしくは状態の治療または予防の方法が提供される。ある態様においては、標的遺伝子に特異的なRNAiが可能なdsRNA分子を投与することにより、疾病もしくは疾患を治療または予防する方法が提供され、このdsRNAは、本明細書に記載の置換または修飾を少なくとも1つ有し、低減したまたは最低限のオフターゲット効果を有する。
【0084】
2つ以上の核酸配列間での「パーセント同一性(percent identity)」は、ギャップ数および2つ以上の配列のアライメントを最適化するために導入される必要のある各ギャップの長さを考慮し、それら配列に共通の同一な位置の数(すなわち、%同一性=同一な位置の数/位置の合計数 x 100)の関数である。配列の比較および2つ以上の配列間のパーセント同一性の決定は、BLASTおよびGapped BLASTプログラム等の数学的アルゴリズムを初期設定パラメータにて使用することで、達成可能である(例えば、Altschul et al.,J. Mol Biol. 215:403、1990;BLASTN at www.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTも参照)。
【0085】
ある局面においては、本開示は、標的mRNAに相補的な第1の鎖、および第1の鎖の非重複領域にそれぞれ相補的な第2と第3の鎖を含むメロデュープレックスリボ核酸(mdRNA)分子を提供し、ここで、前記第2の鎖と第3の鎖は、前記第1の鎖とアニールして10ヌクレオチド以下のギャップで分離されている二本鎖領域を少なくとも2つ形成することができ、ここで、(a)少なくとも1つの二本鎖領域が約5塩基対〜13塩基対を含み、または(b)ここで、前記の二本鎖領域の合計が約15〜約40塩基対であり、mdRNA分子は平滑末端を含み;ここで、前記mdRNAのピリミジンの少なくとも1つが、式Iまたは式IIに記載のピリミジンヌクレオシドで置換されている。
【0086】
(式中、R
1とR
2は、それぞれ独立して、−H、−OH、−OCH
3、−OCH
2OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2OCH
3、ハロゲン、置換もしくは非置換のC
1−C
10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは非置換のC
2−C
10アルケニル、置換もしくは非置換の−O−アリル、−O−CH
2CH=CH
2、−O−CH=CHCH
3、置換もしくは非置換のC
2−C
10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアラルキル、−NH
2、−NO
2、−C≡、またはヘテロシクロ基であり;R
3とR
4は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、リン酸、またはヌクレオシド間結合基であり;R
5とR
8は独立して、OまたはSである。特定の態様においては、少なくとも1つのヌクレオシドが式Iに記載で、R
1がメチルでR
2が−OH、あるいはR
1がメチル、R
2が−OHでR
8がSである。
【0087】
別の態様においては、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40ヌクレオシドで共有結合的に連結する。いくつかの態様においては、ギャップは、第2と第3の鎖が第1の鎖にアニールされた際に形成する二本鎖領域間に位置する第1の鎖中に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含み、またはギャップは、ニックを含む。特定の態様においては、ニックまたはギャップは、第1の鎖の5’−末端から10ヌクレオチドまたはアルゴノート切断部位に位置する。別の態様においては、異なる位置にニックまたはギャップを有するようなメロデュープレックスの熱安定性と比較して、第1と第2の鎖の二重鎖および第1と第3の鎖の二重鎖において熱安定性が最大限になるように、メロデュープレックスのニックまたはギャップが位置する。すなわち、2本以上のニックの入った鎖またはギャップの入った鎖のそれぞれが、第1の鎖にアニールされた際に最高融解温度を有する(すなわち、ニックの入った鎖またはギャップの入った鎖の1つの50%が第1の鎖にアニールされるT
mもしくは温度)位置に位置する。
【0088】
本明細書で提供の通り、本明細書で開示のいかなる局面または態様も、過増殖性疾病(例えば、子宮頚癌、卵巣癌)、脈管形成疾患(例えば、腫瘍脈管形成)、または炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、関節リウマチ、慢性の閉塞性腸疾病、アステローム性動脈硬化症)、呼吸器系疾病、肺疾病、循環器系疾病、自己免疫疾病、アレルギー性疾患、神経系疾病、感染症(例えば、インフルエンザ等のウイルス感染)、腎臓疾病、移植拒絶、標的遺伝子もしくは遺伝子ファミリーの調節に応答するいずれの他の疾病や状態等の、標的遺伝子と関連する疾病や疾患の治療において、有用であろう。本開示の特定の態様においては、単独のdsRNAが、1つもしくは複数の遺伝子ファミリーメンバーのmRNA発現をノックダウンするのに使用され得る。
【0089】
いくつかの態様においては、dsRNAは、第1の鎖が約5ヌクレオチドから約40ヌクレオチドを含み、そして第2と第3の鎖が、それぞれ別々に、約5ヌクレオチド〜約20ヌクレオチドを含む、少なくとも3本の鎖を含み、ここで、第2と第3の鎖の合計の長さは、約15ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドである。別の態様においては、dsRNAは、第1の鎖が約15ヌクレオチド〜約24ヌクレオチドもしくは約25ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドを含む、少なくとも2本または3本の鎖を含む。さらなる態様においては、第1の鎖は、第2の鎖に、または第2と第3の鎖に、または複数の鎖に相補的であろう。さらなる実施例においては、第1の鎖とその相補体は、少なくとも1つの標的遺伝子mRNAに相補的な第1の鎖の約19〜約25ヌクレオチドと共に、本開示のdsRNAまたはmdRNAを形成することが可能であろう。
【0090】
例えば、ダイサー基質dsRNAは、約25ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドを有し得、アンチセンス(第1の)鎖の19ヌクレオチドのみが、標的遺伝子ファミリーのmRNAの少なくとも1つに相補的である。さらなる態様においては、第1の鎖は、約19ヌクレオチド〜約25ヌクレオチドにおいて標的遺伝子ファミリーのmRNAと相補性を有し得、標的遺伝子ファミリーのmRNAもしくはそれらの任意の組み合わせと1、2もしくは3つのミスマッチ、またはそれらの任意の組み合わせを有し得、または、(例えば、RISC中への添加(loading into)もしくはRISCとの結合を活性化する、または可能な)約19ヌクレオチド〜約25ヌクレオチドの第1の鎖は、標的遺伝子ファミリーのmRNAの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせ中にある、相当するヌクレオチドと少なくとも80%の同一性を有し得る。
【0091】
置換および修飾されたニックまたはギャップの入ったdsRNA分子
本開示のmdRNAおよびdsRNA分子への置換および修飾ヌクレオチドの導入は、外因的に送達される天然のRNA分子に固有な、インビボでの安定性とバイオアベイラビリティの潜在的な制限を克服するための手段を提供する。特定の態様においては、dsRNA分子が、被験体中もしくは生物試料中(例えば、血清)で増加した融解温度もしくは半減期を有するように設計されてもよいことから、本開示の置換および修飾されたdsRNA分子は、任意の治療効果のための特定の核酸分子の投与量を少なくさせることが可能である。さらに、特定の置換または修飾は、特定の細胞もしくは組織を標的とすること、またはdsRNAの細胞摂取を改善することにでdsRNAのバイオアベイラビリティを改善するために使用され得る。したがって、天然のRNA分子と比較して、本開示のdsRNA分子の活性がたとえ低減したとしても、分子の改善した安定性または送達によって、置換または修飾されたdsRNA分子の全般的な活性は、天然のRNA分子のそれよりも大きくなり得る。mdRNA構造は、低減したインターフェロン応答につながる場合があり、そして置換および修飾されたdsRNAは、例えばヒトにおいて、インターフェロン応答の活性化の可能性を最小限にすることもできる。
【0092】
特定の態様においては、本開示のdsRNA分子は、5−メチルウリジンもしくは2−チオリボチミジンで置換もしくは置き換えられたdsRNAの第1の(アンチセンス)鎖の、少なくとも1つのウリジン、少なくとも3つのウリジン、またはありとあらゆるウリジン(すなわち、全てのウリジン)を有する。関連する態様においては、本開示のdsRNA分子もしくはそのアナログは、5−メチルウリジンもしくは2−チオリボチミジンで置換もしくは置き換えられたdsRNAの第2の(センス)鎖の、少なくとも1つのウリジン、少なくとも3つのウリジン、またはありとあらゆるウリジンを有する。さらなる別の態様においては、本開示のdsRNA分子もしくはそのアナログは、5−メチルウリジンもしくは2−チオリボチミジンで置換もしくは置き換えられたdsRNAの第1(アンチセンス)と第2(センス)の両鎖の、少なくとも1つのウリジン、少なくとも3つのウリジン、またはありとあらゆるウリジンを有する。いくつかの態様においては、dsRNA分子の二本鎖領域は、少なくとも3つの5−メチルウリジンまたは2−チオリボチミジンを有する。特定の態様においては、dsRNA分子は、1本の鎖、両鎖、またはそれらの任意の組み合わせにおけるヌクレオチド位置の約5%〜約95%で、リボヌクレオチドを含む。
【0093】
さらなる態様においては、本開示に記載のRNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させるdsRNA分子は、1つ以上の天然または合成の非標準ヌクレオシドをさらに含む。関連する態様においては、非標準ヌクレオシドは、1つ以上のデオキシウリジン、L−もしくはD−ロックされた核酸(LNA)分子(例えば、5−メチルウリジンLNA)もしくは置換LNA(例えば、ピレンを有する)、または万能結合性(universal−binding)ヌクレオチド、またはG形クランプ、またはこれらの任意の組み合わせである。特定の態様においては、万能結合性ヌクレオチドは、C−フェニル、C−ナフチル、イノシン、アゾールカルボキサミド、1−β−D−リボフラノシル−4−ニトロインドール、1−β−D−リボフラノシル−5−ニトロインドール、1−β−D−リボフラノシル−6−ニトロインドール、または1−β−D−リボフラノシル−3−ニトロピロールであり得る。
【0094】
dsRNA分子中に存在する、好ましくはアンチセンス鎖中に存在する、しかしながらまたセンス鎖中もしくはアンチセンス鎖とセンス鎖の両鎖中に存在してもよい置換または修飾ヌクレオチドは、本開示に記載の修飾されたまたは置換されたヌクレオチドを含み、天然もしくは標準リボヌクレオチドと同様の特性または特徴を有する。例えば、本開示は、ノーザンコンホメーション(Northern conformation)(例えば、ノーザン擬回転サイクル、例えば、Saenger,Principles of Nucleic Acid Structure,Springer−Verlag ed.,1984参照)を有するヌクレオチドを含むdsRNA分子を特筆している。それ自体、本開示のdsRNA分子中に存在する、好ましくはアンチセンス鎖中に存在する、しかしながらまたセンス鎖中もしくはアンチセンス鎖とセンス鎖の両鎖中に存在してもよい置換または修飾ヌクレオチドは、ヌクレアーゼ分解に耐性である一方で同時に、RNAiを仲介する能力を維持している。ノーザン構造(Northern configuration)を有するヌクレオチドの例には、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド(例えば、2’O,4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチド)、2’−メトキシエチル(MOE)ヌクレオチド、2’メチル−チオ−エチル、2’デオキシ−2’フルオロヌクレオチド、2’デオキシ−2’クロロヌクレオチド、2’アジドヌクレオチド、5−メチルウリジン、または2’O−メチルヌクレオチドが含まれる。特定の態様においては、LNAは、5−メチルウリジンLNAまたは2−チオリボチミジンLNAである。これらのいずれの態様においても、1つ以上の置換または修飾ヌクレオチドが、G形クランプであり得る(例えば、9−(アミノエトキシ)フェノキサジン等のグアニンにさらなる水素結合を結合するシトシンアナログ;例えば、Lin and Mateucci,J.Am.Chem.Soc.120:8531,1998参照)。
【0095】
本明細書に記載の通り、本開示が提供するdsRNA分子またはそのアナログの、第1の鎖および1本以上の第2の鎖は、共にアニールまたはハイブリダイズして(すなわち、鎖間の相補性により)、約4〜約10塩基対、約5〜約13塩基対、または約15〜約40塩基対の長さを有する二本鎖領域を少なくとも1つ形成することができる。いくつかの態様においては、dsRNAは、約15〜約24塩基対または約19〜約23塩基対の長さ範囲の二本鎖領域を、少なくとも1つ有する。別の態様においては、dsRNAは、約26〜約40塩基対または約27〜約30塩基対または約30〜約35塩基対の長さ範囲の二本鎖領域を、少なくとも1つ有する。別の態様においては、本開示のdsRNA分子の2本以上の鎖は、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカー分子よって、共有結合的に連結されてよい。
【0096】
特定の態様においては、dsRNA分子またはそのアナログは、1つのデオキシリボヌクレオチドまたは2つのデオキシリボヌクレオチド(例えば、チミジン、アデニン)を含むオーバーハング等の、1〜4ヌクレオチドのオーバーハングを、dsRNAの3’−末端の片末端もしくは両末端上に含む。特定の態様においては、1つ以上のデオキシリボヌクレオチドを含む3’−末端は、mdRNA分子中にあり、ギャップ中、ギャップ外、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかにある。特定の態様においては、dsRNA分子またはそのアナログは、dsRNAの片末端または両末端に、平滑末端を有する。特定の態様においては、第1の鎖または第2の鎖の5’−末端がリン酸化されている。本明細書で記載のdsRNA分子のいずれの態様においても、3’−末端ヌクレオチドのオーバーハングは、核酸の糖、塩基、もしくは骨格で化学的に修飾されている、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含み得る。本明細書に記載のdsRNA分子のいずれの態様においても、3’−末端ヌクレオチドのオーバーハングは、万能塩基(universal base)リボヌクレオチドを1つ以上含み得る。本明細書に記載のdsRNA分子のいずれの態様においても、3’−末端ヌクレオチドのオーバーハングは、非環式ヌクレオチドを1つ以上含み得る。本明細書に記載のdsRNA分子のいずれの態様においても、dsRNAはさらに、5’リン酸(Martinez et al.,Cell 110:563,2002;および Schwarz et al.,Molec.Cell 10:537,2002を参照のこと)または5’3’二リン酸等の末端リン酸基を含み得る。
【0097】
本明細書で説明の通り、1つ以上の標的遺伝子の発現を、例えばRNAiによって減少させる、本開示のdsRNAの末端構造は、平滑末端または1つ以上のオーバーハングのいずれかを有してよい。特定の態様においては、オーバーハングは、3’末端または5’末端にあってよい。オーバーハングを有するdsRNAの合計の長さは、対形成した二本鎖部分の長さとオーバーハングしているヌクレオチドとの合計として表わされる。例えば、19塩基対のdsRNAが両末端に2つのヌクレオチドオーバーハングを有する場合、全長は21−merと表わされる。さらに、オーバーハング配列は標的遺伝子の1つ以上に対して低い特異性を有する場合があるため、標的遺伝子配列に相補的(アンチセンス)または同一(センス)である必要はない。さらなる態様においては、RNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させる、本開示のdsRNAはさらに、例えばdsRNAのオーバーハング部分の1つ以上において、低分子量の構造(例えば、tRNA、rRNAもしくはウイルスRNA等の天然RNA分子、または人工RNA分子)を含んでよい。
【0098】
さらなる態様においては、本開示に記載のRNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させるdsRNA分子は、例えば2’−デオキシ、2’−O−2−メトキシエチル、2’−O−メトキシエチル、2’−O−メチル、ハロゲン、2’−フルオロ、2’−O−アリル等、またはこれらの任意の組み合わせといった、2’−糖置換を含む。なおさらなる態様においては、本開示に記載のRNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させるdsRNA分子は、第1の鎖の片末端もしくは両末端、または第2の鎖の片末端もしくは両末端上に、アルキル、無塩基デオキシ、無塩基グリセリル、ジヌクレオチド非環式ヌクレオチド、逆位デオキシヌクレオチド部分もしくはそれらの任意の組み合わせ等の、末端キャップ置換基をさらに含む。特定の態様においては、二本鎖領域内のセンス鎖の少なくとも1つまたは2つの5’−末端リボヌクレオチドが、2’−糖置換を有する。特定の別の態様においては、二本鎖領域内のアンチセンス鎖の少なくとも1つまたは2つの5’−末端リボヌクレオチドが、2’−糖置換を有する。特定の態様においては、二本鎖領域内のセンス鎖およびアンチセンス鎖の少なくとも1つまたは2つの5’−末端リボヌクレオチドが、2’−糖置換を有する。
【0099】
別の態様においては、本開示に記載のRNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させるdsRNA分子は、リボシル、2’−デオキシリボシル、テトロフラノシル(例えば、L−α−トレオフラノシル)、ヘキソピラノシル(例えば、β−アロピラノシル、β−アルトロピラノシル、およびβ−グルコピラノシル)、ペントピラノシル(例えば、β−リボピラノシル、α−リキソピラノシル、β−キシロピラノシル、およびα−アラビノピラノシル)、炭素環式の(炭素のみの環)アナログ、ピラノース、フラノース、モルフォリノ、またはそれらのアナログもしくは誘導体の、任意の組み合わせを含む、糖骨格中に、1つ以上の置換を含む。
【0100】
さらなる別の態様においては、本開示に記載のRNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させるdsRNA分子は、独立して、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、メチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、3’−アルキレンホスホン酸、5’−アルキレンホスホン酸、キラルホスホン酸、ホスホノアセテート、チオホスホノアセテート、ホスフィン酸塩、ホスホラミデート、3’−アミノホスホラミデート、アミノアルキルホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホン酸、チオノアルキルリン酸トリエステル、セレノリン酸、ボラノリン酸結合、またはそれらの任意の組み合わせ等の、修飾されたヌクレオシド間結合を少なくとも1つ含む。
【0101】
修飾されたヌクレオチド間結合は、本明細書で記載の通り、例えば、センス鎖中、アンチセンス鎖中、両鎖中、または複数の鎖中(例えば、mdRNA中)といった、本開示のdsRNA分子の1本以上の鎖中に存在し得る。本開示のdsRNA分子は、センス鎖の、もしくはアンチセンス鎖の、もしくは両鎖の、3’−末端、5’−末端、もしくは3’−と5’−の両末端に、1つ以上の修飾されたヌクレオチド間結合を含み得る。ある態様においては、RNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させることが可能なdsRNA分子は、3’−末端に、ホスホロチオエート結合等のヌクレオチド間結合を1つ有する。例えば、本開示は、1本のdsRNA鎖中に約1〜約8またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、RNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させることが可能なdsRNA分子を提供する。さらに別の態様においては、本開示は、両方のdsRNA鎖中に約1〜約8またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、RNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させることが可能なdsRNA分子を提供する。別の態様においては、本開示の典型的なdsRNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、両鎖、もしくは複数の鎖の5’−末端に、約1〜約5またはそれ以上の連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。別の実施例においては、本開示の典型的なdsRNA分子は、センス鎖中、アンチセンス鎖中、2本の鎖中、または複数の鎖中に、1つ以上のピリミジンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。さらに別の実施例においては、本開示の典型的なdsRNA分子は、センス鎖中、アンチセンス鎖中、2本の鎖中、または複数の鎖中に、1つ以上のプリンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。
【0102】
本開示のdsRNAにおいて有用な、多くの典型的な修飾されたヌクレオチド塩基またはそれらのアナログは、5−メチルシトシン;5−ヒドロキシメチルシトシン;キサンチン;ヒポキサンチン;2−アミノアデニン;アデニンおよびグアニンの、6−メチル、2−プロピル、もしくはその他のアルキル誘導体;8−置換アデニンおよびグアニン(例えば、8−アザ、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル等);7−メチル、7−デアザ、および3−デアザアデニンならびにグアニン;2−チオウラシル;2−チオチミン;2−チオシトシン;5−メチル、5−プロピニル、5−ハロ(例えば、5−ブロモもしくは5−フルオロ)、5−トリフルオロメチル、またはその他の5−置換ウラシルおよびシトシン;ならびに、6−アゾウラシルを含む。さらなる有用なヌクレオチド塩基は、Kurreck,Eur.J.Biochem.270:1628,2003;Herdewijn,Antisense Nucleic Acid Develop.10:297,2000;Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,pages 858−859,Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley & Sons,1990;米国特許第3,687,808号、および同様の参考文献に見出すことができる。
【0103】
特定のヌクレオチド塩基部分は、本開示のdsRNA分子の、相補的なする標的に対する結合親和性の増加において、特に有用である。これら塩基部分には、5−置換ピリミジン;6−アゾピリミジン;ならびにN−2、N−6、またはO−6置換プリン(2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシン等)が含まれる。さらに、例えば、5−メチルウリジンおよび5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖の安定性を増加させることが知られており、修飾もしくは置換dsRNAに対して所望のヌクレアーゼ耐性を提供する、2’−糖置換(例えば、2’−メトキシもしくは2’−メトキシエチル)またはヌクレオチド間結合(例えば、ホスホロチオエート)と組み合わされ得る。
【0104】
本開示の別の局面においては、標的遺伝子のmRNAに相補的な第1の鎖、またはそれらの任意の組み合わせ、および第1の鎖に相補的な第2の鎖を含む、1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させるdsRNAが提供され、ここで、第1と第2の鎖は、約15〜約40塩基対の二本鎖領域を形成し、ここで、dsRNAのピリミジンの少なくとも1つが、式Iまたは式IIに記載のピリミジンヌクレオシドで置換される。
【0105】
式中、R
1とR
2は、それぞれ独立して、−H、−OH、−OCH
3、−OCH
2OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2OCH
3、ハロゲン、置換もしくは非置換のC
1−C
10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル,アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは非置換のC
2−C
10アルケニル、置換もしくは非置換の−O−アリル、−O−CH
2CH=CH
2、−O−CH=CHCH
3、置換もしくは非置換のC
2−C
10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアラルキル、−NH
2、−NO
2、−C≡、またはヘテロシクロ基であり;R
3とR
4は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、またはヌクレオシド間結合基であり;R
5とR
8は独立して、OまたはSである。特定の態様においては、少なくとも1つのヌクレオシドが式Iに記載で、R
1がメチルでR
2が−OH、あるいはR
1がメチル、R
2が−OHでR
8がSである。別の態様においては、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40ヌクレオシドで共有結合的に連結する。
【0106】
特定の態様においては、RNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させ、かつ式Iまたは式IIに記載のピリミジンヌクレオシドで置換されているピリミジンを少なくとも1つ有する、dsRNAの第1の鎖および1本以上の第2の鎖は、共にアニールまたはハイブリダイズして(すなわち、鎖間の相補性により)、1つの長さもしくは合計の長さが約15〜約40塩基対を有する二本鎖領域を少なくとも1つ形成することができる。いくつかの態様においては、dsRNAは、約4〜約10塩基対または約5〜約13塩基対または約15〜約25塩基対または約19〜約23塩基対の長さ範囲の二本鎖領域を、少なくとも1つ有する。別の態様においては、dsRNAは、約26〜約40塩基対または約27〜約30塩基対または約30〜約35塩基対の長さ範囲の二本鎖領域を、少なくとも1つ有する。特定の態様においては、dsRNA分子またはそのアナログは、1つのデオキシリボヌクレオチドまたは2つのデオキシリボヌクレオチド(例えば、チミジン)を含むオーバーハング等の、1〜4ヌクレオチドのオーバーハングを、3’−末端の片末端もしくは両末端上に含む。いくつかの態様においては、dsRNA分子またはそのアナログは、dsRNAの片末端または両末端に平滑末端を有する。特定の態様においては、第1の鎖のまたは第2の鎖の5’−末端は、リン酸化されている。
【0107】
特定の態様においては、R
1の少なくとも一つが、メチルまたはエチル等のC
1−C
5アルキルである。本開示の別の典型的な態様の範囲内においては、式Iの化合物は5−アルキルウリジン(すなわち、R
1はアルキル、R
2は−OH、そしてR
3、R
4、ならびにR
5は本明細書で定義の通り)であり、あるいは、式IIの化合物は5−アルキルシチジン(すなわち、R
1はアルキル、R
2は−OH、そしてR
3、R
4、ならびにR
5は本明細書で定義の通り)である。関連する態様においては、5−アルキルウリジンは5−メチルウリジン(リボチミジンまたは「t」もしくは「T」とも称される。すなわち、R
1はメチルでR
2は−OHである)であり、5−アルキルシチジンは5−メチルシチジンである。別の態様においては、dsRNAの第1の鎖のウリジンの、少なくとも1つ、少なくとも3つ、もしくは全てが、5−メチルウリジンで置換され、または、dsRNAの第2の鎖のウリジンの、少なくとも1つ、少なくとも3つ、または全てが、5−メチルウリジン、で置換され、あるいはこれらの任意の組み合わせ(たとえば、そのような変更が両鎖において行われる)である。特定の態様においては、式Iまたは式IIのピリミジンヌクレオシドの少なくとも1つが、SであるR
5またはSであるR
8を有する。
【0108】
さらなる態様においては、dsRNAのピリミジンヌクレオシドの少なくとも1つは、二環式の糖の形態でロックされた核酸(LNA)であり、ここで、R
2は酸素で、2’Oと4’Cは同じリボース環上に、1つのオキシメチレン架橋を形成する。ある関連する態様においては、LNAは、5−メチルウリジンLNAまたは2−チオ−5−メチルウリジン等の、塩基置換を含む。別の態様においては、dsRNAの第1の鎖のウリジンの、少なくとも1つ、少なくとも3つ、もしくは全てが、5−メチルウリジンもしくは2−チオリボチミジンもしくは5−メチルウリジンLNAまたは2−チオ−5−メチルウリジンLNAで置換され、または、dsRNAの第2の鎖のウリジンの、少なくとも1つ、少なくとも3つ、もしくは全てが、5−メチルウリジン、2−チオリボチミジン、5−メチルウリジンLNA、2−チオ−5−メチルウリジンLNA、またはそれらの任意の組み合わせで置換される(例えば、そのような変更が両鎖において行われる、または、いくつかの置換が、5−メチルウリジンのみ、2−チオリボチミジンのみ、5−メチルウリジンLNAのみ、2−チオ−5−メチルウリジンLNAのみ、または1つ以上の5−メチルウリジンもしくは2−チオリボチミジンと1つ以上の5−メチルウリジンLNAもしくは2−チオ−5−メチルウリジンLNAを含む)。
【0109】
さらなる態様においては、ピリミジンヌクレオシドまたはヌクレオシド間結合のリボースは、任意に修飾され得る。例えば、式Iまたは式IIの化合物が提供され、ここで、R
2は2’O−メチル置換等(例えば、それぞれ、5−アルキルウリジンまたは5−アルキルシチジンに追加され得る)のアルコキシである。特定の態様においては、R
2は、2’O−(C
1−C
5)アルキル、2’O−メチル、2’OCH
2OCH
2CH
3、2’OCH
2CH
2OCH
3、2’O−アリル、または2’−フルオロから選択される。さらなる態様においては、1つ以上のピリミジンヌクレオシドは式Iに記載で、R
1はメチルでR
2は2’O−(C
1−C
5)アルキル(例えば、2’O−メチル)であり、あるいは、R
1はメチル、R
2は2’O−(C
1−C
5)アルキル(例えば、2’O−メチル)、そしてR
5もしくはR
8はS、またはそれらの任意の組み合わせ、である。別の態様においては、式Iまたは式IIに記載のピリミジンヌクレオシドの1つ以上もしくは少なくとも2つが、−Hまたは−OHでないR
2を有し、3’−末端または5’−末端で導入されて、これはdsRNA分子の二本鎖領域内の1本以上の鎖のギャップ内ではない。
【0110】
さらなる態様においては、dsRNA分子またはそのアナログは、R
2が−Hもしくは−OHでない式Iまたは式IIに記載のピリミジンヌクレオシドおよびオーバーハングを含み、dsRNA分子の二本鎖領域内の1本の鎖または2本の鎖の、3’−末端もしくは5’−末端もしくは両末端のいずれかで導入されるピリミジンヌクレオシドを少なくとも2つ、さらに含む。ある関連する態様においては、R
2が−Hもしくは−OHでない、少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドの少なくとも1つは、dsRNA分子の少なくとも1本の鎖の二本鎖領域内の3’−末端または5’−末端に位置し、ここで、R
2が−Hもしくは−OHでない、少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドの少なくとも1つは最初に、dsRNA分子の1本の鎖内に位置する。なおさらなる態様においては、オーバーハングを有するdsRNA分子またはそのアナログは、dsRNA分子のセンス鎖の二本鎖領域内の5’−末端に導入される、R
2が−Hもしくは−OHでない2つ以上のピリミジンヌクレオシドの第1のピリミジンヌクレオシド、およびdsRNA分子のアンチセンス鎖の二本鎖領域内の5’−末端に導入される、R
2が−Hもしくは−OHでない2つ以上のピリミジンヌクレオシドの第2のピリミジンヌクレオシド、を有する。これらのいずれの態様においても、置換または修飾ヌクレオチドの1つ以上は、G形クランプであり得る(例えば、9−(アミノエトキシ)フェノキサジン等のグアニンにさらなる水素結合を形成する、シトシンアナログ;例えば、Lin and Mateucci,1998参照)。これらのいずれの態様においても、提供される1つ以上のピリミジンヌクレオシドはギャップ内にない。
【0111】
さらに別の態様においては、本開示に記載の式Iまたは式IIの、オーバーハングを有するdsRNA分子またはそのアナログは、4つ以上の独立したピリミジンヌクレオシドまたはR
2が−Hもしくは−OHでない4つ以上の独立したピリミジンヌクレオシドを含み、ここで、(a)第1のピリミジンヌクレオシドは、dsRNAのセンス(第2の)鎖の二本鎖領域内の3’−末端に導入され、(b)第2のピリミジンヌクレオシドは、センス(第2の)鎖の二本鎖領域内の5’−末端に導入され、(c)第3のピリミジンヌクレオシドは、dsRNAのアンチセンス(第1の)鎖の二本鎖領域内の3’−末端に導入され、そして(d)第4のピリミジンヌクレオシドは、アンチセンス(第1の)鎖の二本鎖領域内の5’−末端に導入される。これらのいずれの態様においても、提供される1つ以上のピリミジンヌクレオシドはギャップ内にない。
【0112】
さらなる態様においては、R
2が−Hもしくは−OHでなく平滑末端である、式Iまたは式IIに記載のピリミジンヌクレオシドを含むdsRNA分子またはそのアナログは、dsRNA分子の1本の鎖または2本の鎖の、3’−末端もしくは5’−末端もしくは両末端のいずれかで導入されるピリミジンヌクレオシドを少なくとも2つ、さらに含む。ある関連する態様においては、R
2が−Hもしくは−OHでない、少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドの少なくとも1つは、dsRNA分子の1本以上の鎖の二本鎖領域内の3’−末端または5’−末端に位置し、ここで、R
2が−Hもしくは−OHでない、少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドの少なくとも1つは最初に、dsRNA分子の1本の鎖内に位置する。なおさらなる態様においては、平滑末端であるdsRNA分子またはそのアナログは、dsRNA分子のセンス鎖の5’−末端で導入される、R
2が−Hもしくは−OHでない少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドの第1のピリミジンヌクレオシド、およびdsRNA分子のアンチセンス鎖の5’−末端で導入される、少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドの第2のピリミジンヌクレオシド、を有する。これらのいずれの態様においても、提供される1つ以上のピリミジンヌクレオシドはギャップ内にない。
【0113】
さらに別の態様においては、式Iまたは式IIに記載のピリミジンヌクレオシドを含み、平滑末端であるdsRNA分子は、4つ以上の独立したピリミジンヌクレオシドまたはR
2が−Hもしくは−OHでない4つ以上の独立したピリミジンヌクレオシドを含み、ここで、(a)第1のピリミジンヌクレオシドは、dsRNAのセンス(第2の)鎖の二本鎖領域内の3’−末端に導入され、(b)第2のピリミジンヌクレオシドは、センス(第2の)鎖の二本鎖領域内の5’−末端に導入され、(c)第3のピリミジンヌクレオシドは、dsRNAのアンチセンス(第1の)鎖の二本鎖領域内の3’−末端に導入され、そして(d)第4のピリミジンヌクレオシドは、アンチセンス(第1の)鎖の二本鎖領域内の5’−末端に導入される。これらのいずれの態様においても、提供される1つ以上のピリミジンヌクレオシドはギャップ内にない。
【0114】
なおさらなる態様においては、本開示に記載の式Iまたは式IIのdsRNAもしくはそのアナログは、第1の鎖または第2の鎖の片末端もしくは両末端に、アルキル、無塩基デオキシ、無塩基グリセリル、ジヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、逆位デオキシヌクレオチド部分、またはそれらの任意の組み合わせ等の末端キャップ置換基を、さらに含む。さらなる態様においては、少なくとも1つのヌクレオシド間結合が任意に修飾され得る。例えば、本開示に記載の式IまたはIIのdsRNA分子もしくはそのアナログ、ここで、少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、メチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、3’−アルキレンホスホン酸、5’−アルキレンホスホン酸、キラルホスホン酸、ホスホノアセテート、チオホスホノアセテート、ホスフィン酸塩、ホスホラミデート、3’−アミノホスホラミデート、アミノアルキルホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホン酸、チオノアルキルリン酸トリエステル、セレノリン酸、ボラノリン酸結合、またはそれらの任意の組み合わせ、に修飾される。
【0115】
さらなる別の態様においては、RNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させる、標的遺伝子のmRNAに相補的な第1の鎖、またはそれの任意の組み合わせ、および第1の鎖に相補的な2本以上の第2の鎖を含む、ニックまたはギャップの入ったdsRNA分子(それぞれ、ndsRNAまたはgdsRNA)が提供され、ここで、第1の鎖と少なくとも1本の第2の鎖は、約5〜約13塩基対の非重複二本鎖領域を形成する。前述の置換または修飾のいずれも、同様に、本態様の範囲内であると意図される。
【0116】
本開示の別の典型例においては、少なくとも2つの置換ピリミジンヌクレオシドを含むdsRNAは、それぞれ独立して選択され得て、ここでR
1は、アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルカノイル、アルカノイロキシ、アリール、アロイル、アラルキル、二トリル、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、カルボキシ、カルボニル、アルカノイルアミノ、カルバモイル、カルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、またはヘテロシクロ基等の、本明細書で意図する任意の化学修飾または置換を含む。2つ以上の修飾リボヌクレオチドが存在する場合、修飾リボヌクレオチドはそれぞれ独立して、R
1もしくはR
2において、同一のもしくは異なる修飾または置換を有するように修飾され得る。
【0117】
別の詳細な態様においては、式Iまたは式IIに記載の1つ以上のピリミジンヌクレオシドは、本開示のdsRNA分子のセンス鎖とアンチセンス鎖のいずれかまたは両鎖上で、上記の1つもしくは複数の末端位置または複数の非末端(「内部的」)位置のいずれかもしくは組み合わせを含む、任意のヌクレオチド位置またはリボヌクレオチド位置の任意の組み合わせにおいて、位置し得る。これに関して、センス鎖とアンチセンス鎖のそれぞれは、約1〜約6またはそれ以上の置換ヌクレオチドを導入し得る。
【0118】
特定の態様においては,2つ以上の置換ミリミジンヌクレオシドが本開示のdsRNA内に導入される場合、該置換ピリミジンヌクレオシドの少なくとも1つは、片鎖もしくは両鎖の3’−末端または5’−末端で存在し、特定の態様においては、該置換ピリミジンヌクレオシドの少なくとも1つは、片鎖もしくは両鎖の5’−末端で存在するであろう。別の態様においては、置換ピリミジンヌクレオシドは、本明細書に記載の通り、同族mRNAを標的とするための相同配列として構築される修飾されていないdsRNA中のピリミジンの位置に相当する位置にある。
【0119】
加えて、本開示のdsRNAの末端構造は、dsRNA分子の片側の末端がリンカー核酸(例えば、リンカーRNA)で接続されるステム−ループ構造(stem−loop structure)を有してもよい。二本鎖領域(ステム−ループ部位)の長さは、例えば、約15〜約49塩基対(bp)、約15〜約35bp、または約21〜約30bpの長さであり得る。代わりに、標的細胞中で発現されるdsRNAの最終転写産物である二本鎖領域の長さは、例えば、およそ約15〜約49bp、約15〜約35bp、または約21〜約30bpの長さであり得る。リンカー断片が用いられる場合、ステム−ループ構造のステム部位における対形成を妨げない限り、リンカーの長さに具体的な限定はない。例えば、ステム部位の安定した対形成およびこの部をコードするDNA間の組み換えの抑制のためには、リンカー部位はクローバー型のtRNA構造を有してもよい。仮にリンカーがステム部位の対形成を妨げるであろう長さを有する場合でも、例えば、前駆体RNAから成熟RNAへのプロセス中にイントロンが切除され、これによりstem部位の対形成が可能となるように、イントロンを含むリンカー部位を構築することが可能である。ステム−ループ型dsRNA場合、ループ構造を持たないRNAのいずれかの末端(ヘッド(head)またはテール(tail))は、低分子量RNAを有してよい。上に記載の通り、これらの低分子量RNAは、tRNA,rRNAもしくはRNA等の天然のRNA分子または人工のRNA分子を含んでよい。
【0120】
dsRNA分子は、1つの環状核酸分子で構成されてよく、ここでdsRNAは、約18〜約23塩基対(例えば、約19〜約21)を有する、長さ約38〜約70ヌクレオチドであり、ここで環状オリゴヌクレオチドは、約19塩基対と2つのループを有するダンベル型構造(dumbbell shaped structure)を形成する。特定の態様においては、環状dsRNA分子は2つのループモチーフを含み、ここで、dsRNA分子の一方のまたは両方のループ部位は、生分解性である。たとえば、本開示のある環状dsRNA分子は、インビボでのdsRNA分子のループ部位の分解が、約1〜約4の(不対)ヌクレオチドを含む3’末端ヌクレオチドオーバーハング等の3’末端オーバーハングを備える二本鎖dsRNA分子を生成できるように設計されている。
【0121】
本開示に記載のdsRNAへ置換するピリミジンヌクレオシドは、例えば、5’エキソ核酸分解または3’エキソ核酸分解等のエキソ核酸分解(exonucleolytic degradation)の、酵素的分解に対する耐性を増加させるように選択可能である。本明細書に記載のdsRNAは、それ自体として、標準ヌクレオチドを有する相当するdsRNAと比較して、酵素的分解に対して有意な耐性を示し、それによって、生理的環境(例えば、真核標的細胞に導入された場合)において、より優れた安定性、増加した半減期、およびより優れたバイオアベイラビリティを保有するであろう。エキソ核酸分解に対する置換または修飾dsRNAの増加した耐性に加えて、式Iまたは式IIに記載の1つ以上のピリミジンヌクレオシドの組み入れは、これらの分子を、他の置換もしくは修飾を含まない同一のdsRNAよりもより安定でバイオアベイラブル(bioavailable)にさせるdsRNAを提供するであろう。本開示の関連する局面においては、本明細書に記載のdsRNAの置換または修飾は、修飾dsRNAを生物試料と、例えば哺乳類細胞、細胞内区画、血清もしくはその他の細胞外液、組織、あるいは他のインビトロもしくはインビボの生理的区画または環境と接触させる、研究、診断および治療方法内で使用する修飾dsRNAの安定性を、改善させるように選択される。ひとつの態様においては、診断は単離された生物試料に行われる。別の態様においては、診断方法はインビトロで行われる。さらなる態様においては、診断方法は人体または動物体で(直接的に)行われない。
【0122】
置換または修飾dsRNAの安定性の増加に加えて、遺伝子サイレンシング用に設計されたdsRNA中での式Iまたは式IIに記載の1つ以上のピリミジンヌクレオシドの組み入れは、相当する非修飾のdsRNAに比較して、置換または修飾dsRNAの融点の上昇を含む、さらなる所望の機能的結果をもたらすために使用可能である。dsRNAのかように上昇した融点により、対象の置換または修飾はしばしば、(通常起こるであろう、そしてdsRNAを特定のエキソヌクレアーゼによる分解に対してより脆弱にさせるであろう)置換または修飾dsRNAの部分的デハイブリダイゼーション(dehybridization)の発生もしくは程度を、遮断または低減し、それにより、置換または修飾dsRNAの安定性を増加させるであろう。
【0123】
本開示の別の局面においては、mdRNA構造は、mdRNAを生物試料と接触させる際(例えば、潜在的な特異的および非特異的標的として存在する、特異的および非特異的mRNA種を有する標的真核細胞に導入する際)、本明細書に記載の置換または修飾で改善可能な、オフターゲット効果を低減するのために使用可能である。同様に、mdRNA構造は、mdRNAを生物試料と接触させる際、例えば真核細胞に導入する際、本明細書に記載の置換または修飾で改善可能な、インターフェロン活性を低減するために使用可能である。したがって、本開示に記載の置換または修飾dsRNA(mdRNA)は、遺伝子サイレンシングの方法で用いられ、ここでは、置換または修飾dsRNAが、ニックもしくはギャップもしくは修飾が欠如している相当するdsRNAと比較して、低減されたもしくは検出不可能なオフターゲット効果、または低減されたインターフェロン応答を示す。
【0124】
さらなる態様においては、本開示のdsRNAは、標的遺伝子の配列に相同もしくは相当するセンス(第2の)鎖を1本以上と、標的遺伝子のセンス鎖および配列に相補的はアンチセンス(第1の)鎖とを含み得る。典型的な態様においては、dsRNAの少なくとも1本の鎖は、式Iまたは式IIに記載の置換された1つ以上ピリミジン組み入れる(例えば、ここでピリミジンは、1つ以上の5−メチルウリジンまたは2−チオリボチミジンで置換され、リボースは修飾されて2’−O−メチル置換を1つ以上組み入れ、もしくはそれら任意の組み合わせ)。式Iまたは式IIに記載の、これらおよびその他の複数の置換または修飾は、dsRNAがRNAi活性を保持する限り、dsRNAの片鎖もしくは両鎖に存在する、1つ以上のピリミジンまたはそれら任意の組み合わせおよび全てのピリミジンにも、導入可能である。
【0125】
本明細書で記載のいずれの態様においても、dsRNAは複数の修飾を含んでよい。例えば、少なくとも1つのリボチミジンまたは2−チオリボチミジンを有するdsRNAは、少なくとも1つのLNA、2’−メトキシ、2’−フルオロ、2’−デオキシ、ホスホロチオエート結合、逆位塩基末端キャップ(inverted base terminal cap)、またはこれらの任意の組み合わせ、をさらに含んでよい。特定の態様においては、dsRNAは、ウリジンの1つ〜全てがリボチミジンで置換されていて、約75%以下のLNA置換を有するであろう。別の態様においては、dsRNAは、ウリジンの1つ〜全てがリボチミジンで置換されていて、約75%以下の2’−メトキシ置換を(そしてアルゴノート切断部位においてではなく)有するであろう。さらに別の態様においては、dsRNAは、ウリジンの1つ〜全てがリボチミジンで置換されていて、約100%以下の2’−フルオロ置換を有するであろう。さらに別の態様においては、dsRNAは、ウリジンの1つ〜全てがリボチミジンで置換されていて、約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。さらに別の態様においては、dsRNAは、約75%以下のLNA置換を有し、約75%以下の2’−メトキシ置換を有するであろう。さらに別の態様においては、dsRNAは、約75%以下のLNA置換を有し、約100%以下の2’−フルオロ置換を有するであろう。さらに別の態様においては、dsRNAは、約75%以下のLNA置換を有し、約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。さらに別の態様においては、dsRNAは、約75%以下の2’−メトキシ置換を有し、約100%以下の2’−フルオロ置換を有するであろう。さらに別の態様においては、dsRNAは、約75%以下の2’−メトキシ置換を有し、約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。さらに別の態様においては、dsRNAは、約100%以下の2’−フルオロ置換を有し、約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。
【0126】
さらなる複数の修飾の態様においては、dsRNAは、1つ〜全てのウリジンがリボチミジンで置換されていて、約75%以下のLNA置換および75%以下の2’−メトキシ置換を有するであろう。なおさらなる態様においては、dsRNAは、1つ〜全てのウリジンがリボチミジンで置換されていて、約75%以下のLNA置換および約100%以下の2’−フルオロ置換を有するであろう。さらなる態様においては、dsRNAは、1つ〜全てのウリジンがリボチミジンで置換されていて、約75%以下のLNA置換および約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。さらなる態様においては、dsRNAは、1つ〜全てのウリジンがリボチミジンで置換されていて、約75%以下の2’−メトキシ置換および約75%以下の2’−フルオロ置換を有するであろう。さらなる態様においては、dsRNAは、1つ〜全てのウリジンがリボチミジンで置換されていて、約75%以下の2’−メトキシ置換および約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。さらなる態様においては、dsRNAは、1つ〜全てのウリジンがリボチミジンで置換されていて、約100%以下の2’−フルオロ置換および約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。なおさらなる態様においては、dsRNAは、1つ〜全てのウリジンがリボチミジンで置換されていて、約75%以下のLNA置換、約75%以下の2’−メトキシ、約100%以下の2’−フルオロ、および約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。別の態様においては、dsRNAは、約75%以下のLNA置換、約75%以下の2’−メトキシ置換、および約100%以下の2’−フルオロ置換を有するであろう。さらなる態様においては、dsRNAは、約75%以下のLNA置換、約75%以下の2’−メトキシ置換、および約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。さらなる態様においては、dsRNAは、約75%以下のLNA置換、約100%以下の2’−フルオロ置換、および約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。なおさらなる態様においては、dsRNAは、約75%以下の2’−メトキシ、約100%以下の2’−フルオロ、および約75%以下の2’−デオキシ置換を有するであろう。
【0127】
これら複数の修飾の態様のいずれにおいても、dsRNAは、100%以下のホスホロチオエートのヌクレオチド間結合、1〜10もしくはそれ以上の逆位塩基末端キャップ、またはそれらの任意の組み合わせ、をさらに含んでよい。加えて、これら複数の修飾の態様のいずれも、1本の鎖、2本の鎖、3本の鎖、複数の鎖、または全ての鎖上に、これら複数の修飾を有してよい。最後に、これら複数の修飾dsRNAのいずれにおいても、dsRNAは遺伝子サイレンシングの活性を保持しなければならない。
【0128】
特定の局面の範囲内では、本開示は、RNAiによって1つ以上の標的遺伝子の発現を減少させるdsRNA、およびdsRNAを1つ以上含む組成物を提供し、ここで、少なくとも1つのdsRNAが、dsRNA二重鎖のアンチセンス鎖のアンチコドン中の第1の、第2の、もしくは第3の位置において、1つ以上の万能結合ヌクレオチドを含み、さらにここで、dsRNAは、標的細胞よって発現されるRNA等の1つ以上の標的配列に特異的に結合することができる。ここで標的RNAの配列が1つ以上の単独のヌクレオチド置換を含む場合、万能結合ヌクレオチドを含むdsRNAは、標的RNAに特異的に結合する能力を保持し、それによって遺伝子サイレンシングを仲介し、結果として、dsRNAに仲介される遺伝子サイレンシングからの標的の逸脱を克服する。本明細書で開示される組成物および方法において好適に用いられてもよい万能結合ヌクレオチドの限定されない例には、イノシン、1−β−D−リボフラノシル−5−ニトロインドール、および1−β−D−リボフラノシル−3−ニトロピロールが含まれる。本開示の目的のためには、万能結合ヌクレオチドは、1種類以上のヌクレオチドと水素結合されたヌクレオチド対を形成できるヌクレオチドである。
【0129】
上記の組成物の限定されない例として、dsRNA分子のアンチセンス鎖のアンチコドン内において、チロシン(AUA)もしくはフェニルアラニン(AAAかGAA)、システイン(ACAかGCA)、ヒスチジン(AUGかGUG)、アスパラギン(AUUかGUU)、イソロイシン(UAU)およびアスパラギン酸(AUCかGUC)のためのアンチコドンを修飾することが含まれる。
【0130】
例えば、特定の態様の範囲内において、AUAが同族コドンであるイソロイシンのアンチコドンUAUは、第3位置のウリジン(U)ヌクレオチドが万能結合ヌクレオチドであるイノシンIで置換されてアンチコドンUAIを作成するように、修飾されてよい。イノシンは、アデノシン(A)、ウリジン(U)、およびシチジン(C)ヌクレオチドと対形成できるが、グアノシン(G)とは対形成しない、典型的な万能結合ヌクレオチドである。この修飾されたアンチコドンUAIは、dsRNA分子の特異的結合能力を増加させ、したがって、コードする鎖の相当する位置にAUA、UUA、およびCUAのいずれか1つを有するmRNAとdsRNAの対形成を可能にし、それによってdsRNAが特異的に結合してもよい、有用なRNA分解標的の数を増大させる。
【0131】
代わりに、アンチコドンAUAはまたもしくは選択的に、UAI(第3の位置の置換)またはUIU(第2の位置の置換)で表わされるアンチコドンが、AUA、CUAおよびUUA、ならびに、AAA、ACAおよびAUAに特異的結合が可能なdsRNAを生成するように、アンチコドンの第3もしくは第2の位置で、万能結合ヌクレオチドの置換によって修飾されてもよい。
【0132】
特定の局面においては、本明細書で開示のdsRNAは、約1個の万能結合ヌクレオチド〜約10個の万能結合ヌクレオチドを含み得る。特定の局面の範囲内においては、本開示のdsRNAは、他の相補的なdsRNA二重鎖のアンチセンス鎖の、1以上のヌクレオチドが、1つ以上の万能結合ヌクレオチドで置換されるという条件で、少なくとも1つの標的遺伝子の1つの配列に相同なセンス鎖およびセンス鎖に相補的なアンチセンス鎖を含んでよい。
【0133】
背景技術として、サイレンシング複合体内において、dsRNA分子は、標的RNAと相互作用または結合できるように位置する。RISCは、あらゆる任意の時点において典型的な細胞中にある何千もの異なるRNAと遭遇するであろう。しかしながら、RISC中に装填されたdsRNAは、dsRNA分子のアンチセンス鎖と近い相補性を有する標的RNAと、特異的にアニールするだろう。したがって、ウイルス感染に対するインターフェロン応答とは異なり、サイレンシング複合体は、標的RNAの同定において非常に選択的である。RISCは、捕えた標的RNA鎖を切断し、RNAの2つの断片をリリースし(この時点でタンパク質合成へ方向付けることがが不可能になる)、次へと進む。RISCそれ自身は無傷のままで、さらなる標的RNA分子を見つけて切断することが可能である。
【0134】
1つ以上の万能結合ヌクレオチドが置換される位置に関わらず、dsRNA分子は標的遺伝子およびその1つ以上の変異体に結合が可能であり、それによって、ダイサーまたはRISCを介して標的遺伝子もしくはその変異体の分解を促進できることが、理化されるであろう。したがって、本開示のdsRNAは、細胞に導入し、1つ以上の標的遺伝子またはそれらの変異体の、標的とされる転写後の遺伝子サイレンシングを仲介するのに好適である。dsRNAが細胞に挿入される際、dsRNA二重鎖はその後巻き戻され、アンチセンス鎖はmRNAとアニールしてダイサー基質を形成し、あるいは、アンチセンス鎖はタンパク質の集合へと装填されてRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を形成する。
【0135】
ギャップまたはニックの入ったdsRNA分子の合成
本開示の代表的な分子は、組み換え技術によって生成される、化学的に合成される、またはこれらの組み合わせである。オリゴヌクレオチド(例えば、特定の修飾されたオリゴヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを欠いているオリゴヌクレオチドの一部)は、例えば、Caruthers et al.,Methods in Enzymol.211:3,1992,Thompsonらによる国際特許公開第99/54459号、Wincott et al.,Nucleic Acids Res.23:2677,1995、Wincott et al.,Methods Mol.Bio.74:59,1997、Brennan et al.,Biotechnol Bioeng.61:33−45,1998およびBrennanによる米国特許第6,001,311号に記載されているように、当該技術分野において既知であるプロトコルを用いて合成される。本開示の特定のdsRNA分子およびそのアナログを含むRNAの合成は、Usman et al.,J.Am.Chem.Soc.109:7845,1987、Scaringe et al.,Nucleic Acids Res.18:5433,1990、およびWincott et al.,Nucleic Acids Res.23:2677−2684,1995、Wincott et al.,Methods Mol.Bio.74:59,1997に記載されているような手順を用いて行うことができる。
【0136】
特定の態様では、本開示の核酸分子は、別々に合成し、例えばライゲーション(Moore et al.,Science 256:9923,1992、Draperらによる国際特許公開第93/23569号、Shabarova et al.,Nucleic Acids Res.19:4247,1991、Bellon et al.,Nucleosides&Nucleotides 16:951,1997、Bellon et al.,Bioconjugate Chem.8:204,1997)または合成若しくは脱保護後のハイブリダイゼーションにより、合成後結合させることができる。
【0137】
更なる態様では、RNAiにより1または2個以上の標的ファミリー遺伝子の発現を低下させる本開示のdsRNAは、1または2種以上のdsRNAをコードし、宿主細胞内にそれらの発現を方向づけるポリヌクレオチドベクターにより発現する、単一または複数の転写産物として作製することができる。これらの態様では、標的細胞内で発現すべきdsRNAの最終転写産物の二本鎖部分は、例えば、約5〜約40bp、約15〜約24bp、または約25〜40bpの長さであり得る。代表的な態様では、2または3本以上の鎖が対をなしているdsRNAの二本鎖部分は、完全に対をなすヌクレオチド断片に限定されず、ミスマッチ(対応するヌクレオチドが相補的ではない)、バルジ(1本の鎖上に、対応する相補的なヌクレオチドが欠損している)、オーバーハング等による非対部分を含有してよい。dsRNA形成および機能を妨げない程度であれば、非対部分が含有されていてよい。特定の態様では、「バルジ」は、1〜2個の非対ヌクレオチドを含んでよく、2本の鎖が対をなしているdsRNAの二本鎖部分は約1〜7または約1〜5箇所のバルジを含有してよい。更に、dsRNAの二本鎖部分に含有された「ミスマッチ」部分は、約1〜7または約1〜5箇所のミスマッチを含んでよい。他の態様では、本開示のdsRNAの二本鎖領域は、およそ本明細書で特定する数値範囲のバルジおよびミスマッチ部分を含有してよい。
【0138】
本開示のdsRNAまたはそのアナログは、更に、ヌクレオチド、非ヌクレオチドまたはdsRNAのセンス領域をdsRNAのアンチセンス領域に結合させる混合ヌクレオチド/非ヌクレオチドリンカーを含んでよい。ひとつの態様では、ヌクレオチドリンカーは、長さ約2ヌクレオチド超、約10ヌクレオチド以下のリンカーであり得る。別の態様では、ヌクレオチドリンカーは、核酸アプタマーであり得る。本明細書で使用するとき、「アプタマー」または「核酸アプタマー」とは、核酸分子が、自然環境で標的分子に認識される配列を含む配列を有する、標的分子に特異的に結合する核酸分子を意味する。あるいは、アプタマーは、自然には核酸に結合しない標的分子に結合する核酸分子である場合がある。標的分子は、いかなる対象分子であってもよい。例えば、アプタマーを用いて、タンパク質のリガンド結合ドメインに結合させ、それによりタンパク質と天然リガンドとの相互作用を防ぐことができる。これは非限定的な例であり、当業者は、当該技術分野において周知である技術(例えば、Gold et al.,Annu.Rev.Biochem.64:763,1995、Brody and Gold,J.Biotechnol.74:5,2000、Sun,Curr.Opin.Mol.Ther.2:100,2000、Kusser,J. Biotechnol.74:27,2000、Hermann and Patel,Science 287:820,2000およびJayasena,ClinicalChem.45:1628,1999参照)を用いて他の態様を容易に作りだせることを理解するであろう。
【0139】
非ヌクレオチドリンカーは、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素(polyhydrocarbon)または他の高分子化合物(例えば、2〜100個のエチレングリコールユニットを有するもののようなポリエチレングリコール類)を含んでよい。具体例としては、Seela and Kaiser,Nucleic Acids Res.18:6353,1990、Seela and Kaiser,Nucleic Acids Res.15:3113,1987、Cload and Schepartz,J.Am.Chem.Soc.113:6324,1991、Richardson and Schepartz,J.Am.Chem.Soc.113:5109,1991、Ma et al.,Nucleic Acids Res.21:2585,1993、Ma et al.,Biochemistry 32:1751,1993、Durand et al., Nucleic Acids Res. 18:6353, 1990、McCurdy et al., Nucleosides & Nucleotides 10:287, 1991、Jaschke et al.,Tetrahedron Lett.34:301,1993、Ono et al.,Biochemistry 30:9914,1991、Arnoldらによる国際特許公開第89/02439号、Usmanらによる国際特許公開第95/06731号、Dudyczらによる国際特許公開第95/11910号およびFerentz and Verdine,J.Am.Chem.Soc.113:4000,1991に記載されているものが挙げられる。更に修飾されていてもよい、本開示のdsRNA分子の合成は、(a)dsRNA分子の2本の相補鎖を合成する工程と、(b)dsRNA分子を得るのに好適な条件下で2本の相補鎖をアニーリングする工程を含む。別の態様では、dsRNA分子の2本の相補鎖の合成は、固相オリゴヌクレオチド合成による。更に別の態様では、dsRNA分子の2本の相補鎖の合成は、固相タンデムオリゴヌクレオチド合成による。
【0140】
置換または修飾(塩基、糖、リン酸またはこれらの任意の組み合わせ)を有する核酸分子を化学合成すると、血清リボヌクレアーゼによる核酸分子の分解を妨げることができ、これは効力を高める可能性がある。例えば、Ecksteinらによる国際特許公開第92/07065号、Perrault et al.,Nature 344:565,1990、Pieken et al., Science 253:314,1991、Usman and Cedergren,Trends in Biochem.Sci.17:334,1992、Usman et al.,Nucleic Acids Symp.Ser.31:163,1994、Beigelman et al.,J.Biol Chem.270:25702,1995、Burgin et al.,Biochemistry 35:14090,1996、Burlina et al.,Bioorg.Med.Chem.5:1999−2010,1997、Thompson et al.,Karpeisky et al.,Tetrahedron Lett.39:1131,1998、Earnshaw and Gait,Biopolymers(Nucleic Acid Sciences)48:39−55,1998、Verma and Eckstein,Annu.Rev.Biochem.67:99−134,1998、Herdewijn,Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10:297,2000、Kurreck,Eur.J.Biochem.270:1628,2003、Dorsett and Tuschl,Nature Rev.Drug Discov.3:318,2004、Rossiらによる国際特許公開第91/03162号、Usmanらによる国際特許公開第93/15187号、Beigelmanらによる国際特許公開第97/26270号、Woolfらによる国際特許公開第98/13526号、Sproatによる米国特許第5,334,711号、Usmanらによる米国特許第5,627,053号、Beigelmanらによる米国特許第5,716,824号、Otvosらによる米国特許第5,767,264号、Goldらによる米国特許第6,300,074号を参照のこと。上記参考文献はそれぞれ、核酸分子の塩基、リン酸または糖部分への様々な置換および化学修飾について開示しており、これらは本明細書に記載のdsRNAで用いることができる。例えば、オリゴヌクレオチドの糖部分を修飾し、ヌクレアーゼ耐性を上昇させることにより、安定性を強化するまたは生物活性を延長することができる。このような糖修飾の代表例としては、2’アミノ、2’C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−アリルまたは2’−デオキシが挙げられる。したがって、本開示のdsRNA分子を修飾し、修飾していないdsRNAと比較したとき、実質的に強化されたRNAi活性を保持しながらまたは有しながら、ヌクレアーゼ耐性または二重鎖安定性を上昇させることができる。
【0141】
ヌクレアーゼ安定性および有効性の著しく強化された核酸分子に導入することができる糖、塩基およびリン酸修飾について記載している、当該技術分野における例が幾つか存在する。例えば、オリゴヌクレオチドを修飾し、例えば2’アミノ、2’C−アリル、2’フルオロ、2’O−メチル、2’O−アリル、2’−H、ヌクレオチド塩基修飾等の、ヌクレアーゼ耐性基で修飾することにより安定性または生物活性を強化する。Usman and Cedergren,TIBS 17:34,1992、Usman et al.,Nucleic Acids Symp.Ser.31: 163,1994、Burgin et al.,Biochemistry 35:14090,1996を参照のこと。核酸分子の糖修飾については、当該技術分野において広く記載されている(Ecksteinらによる国際特許公開第92/07065号、Perrault et al.,Nature 344:565−568,1990、Pieken et al.,Science 253:314−317,1991、Usman and Cedergren,Trends in Biochem.Sci.17:334−339,1992、Usmanらによる国際特許公開第93/15187号、Sproatによる米国特許第5,334,711号およびBeigelman et al.,J.Biol.Chem.270:25702,1995、Beigelmanらによる国際特許公開第97/26270号、Beigelmanらによる米国特許第5,716,824号、Usmanらによる米国特許第5,627,053号、Woolfらによる国際特許公開第98/13526号、Thompson et al.,Karpeisky et al.,Tetrahedron Lett.39:1131,1998、Earnshaw and Gait,Biopolymers(Nucleic Acid Sciences)48:39−55,1998、Verma and Eckstein,Annu.Rev.Biochem.67:99−134,1998並びにBurlina et al.,Bioorg.Med.Chem.5:1999−2010,1997を参照のこと)。このような刊行物には、触媒を調節することなく、核酸分子に糖、塩基またはリン酸修飾等を導入する位置を決定するための一般的な方法およびストラテジーが記載されている。このような教示を考慮して、dsRNA分子の細胞内におけるRNAiを促進する能力が著しく阻害されない限り、本開示のdsRNA分子を修飾するために、本明細書に記載されているような同様の修飾を使用することができる。
【0142】
ひとつの態様では、本開示は、1または2個以上のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホン酸、リン酸トリエステル、モルホリノ、カルバミン酸アミデート、カルボキシメチル、アセトアミデート、ポリアミド、スルホネート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタル、チオホルムアセタル、またはアルキルシリルを含むリン酸骨格修飾、置換のような、置換または修飾されたdsRNA分子を特徴とする。オリゴヌクレオチド骨格修飾については、Hunziker and Leumann, Nucleic Acid Analogues:Synthesis and Properties,in Modern Synthetic Methods,VCH,331−417,1995およびMesmaeker et al.,ACS,24−39,1994参照。
【0143】
別の態様では、コンジュゲート分子は、所望により、RNAiにより1または2個以上の標的遺伝子の発現を低下させるdsRNAまたはそのアナログに結合することができる。例えば、このようなコンジュゲート分子は、ポリエチレングリコール、ヒト血清アルブミン、または、例えば細胞取り込みを仲介することができる細胞受容体のリガンドであってよい。本開示のdsRNAまたはそのアナログに結合することができる、本開示により検討されるコンジュゲート分子の具体例は、Vargeeseらによる米国特許出願公開第2003/0130186号(2003年7月10日公開)および米国特許出願公開第2004/0110296号(2004年6月10日公開)に記載されている。別の態様では、コンジュゲート分子は、生分解性リンカーを介してRNAiにより1または2個以上の標的遺伝子の発現を低下させるdsRNAまたはそのアナログに共有結合する。特定の態様では、コンジュゲート分子は、本明細書で提供されるdsRNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖のいずれかの3’末端に結合することができる。別の態様では、コンジュゲート分子は、dsRNAまたはそのアナログのセンス鎖、アンチセンス鎖または両方の鎖のいずれかの5’末端に結合することができる。更に別の態様では、コンジュゲート分子は、dsRNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖若しくは両方の鎖のいずれかの3’末端および5’末端の両方に結合する、またはこれらの任意の組み合わせである。更なる態様では、本開示のコンジュゲート分子は、dsRNAまたはそのアナログの、細胞のような生物学的システムへの送達を促進する分子を含む。当業者は、様々なコンジュゲートを有する本開示のdsRNAをスクリーニングし、dsRNA−コンジュゲート複合体が、例えば本明細書で記載するまたは当該技術分野において周知であるような動物モデルにおいてRNAiを仲介する能力を維持しながら、改善された特性(例えば、薬物動態プロファイル、バイオアベイラビリティ、安定性)を有するかどうかを決定することができる。
【0144】
標的配列に特異的なdsRNA分子を選択する方法
上記のように、本開示はまた、1または2個以上の標的遺伝子に特異的に結合することができるが、一方非標的遺伝子には特異的に結合しないまたは最低限しか結合しないdsRNAまたはそのアナログを選択する方法も提供する。本明細書で開示される選択プロセスは、例えば、1または2個以上の非標的遺伝子への非特異的な結合とその後の分解に起因して細胞毒性であるdsRNAアナログを排除するのに有用である。
【0145】
本開示の方法は、dsRNAまたはそのアナログにより標的化される、可能な全ての遺伝子変異体の塩基配列に関する先験的知識を必要としない。ひとつの態様では、dsRNAの塩基配列は、1または2個以上の標的遺伝子の保存領域または共通配列から選択される。別の態様では、dsRNAの塩基配列は、標的遺伝子のmRNAスプライス変異体内に含有される特定の配列を、選択的にまたは優先的に標的とすることができる。
【0146】
特定の態様では、RNAiにより1または2個以上の標的遺伝子の発現を低下させる1または2個以上のdsRNAを選択する方法であって、dsRNA分子が、標的遺伝子のmRNAまたはその任意の組み合わせに相補的である第1鎖と、第1鎖に相補的である第2鎖とを含み、第1および第2鎖が約15〜約40bpの二本鎖領域を形成し、dsRNA分子のウリジンの少なくとも1個が5−メチルウリジンまたは2−チオリボチミジンに置換されている方法が提供され、この方法は、本明細書で提供される1または2個以上のdsRNAをインビボまたはインビトロのいずれかで細胞と接触させる「オフターゲット(off−target)」プロファイリングを使用し、非標的遺伝子(例えば、インターフェロン)を含む既知の遺伝子のパネルから、1または2個以上の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイのプロービングにおいて使用するために、全ての標的mRNAが収集される。本明細書で提供されるdsRNAの「オフターゲット」プロファイルは、候補dsRNAの存在下で発現レベルが低下した非標的遺伝子の数を測定することにより定量化される。「オフターゲット」結合の存在は、本明細書で提供されるdsRNAが、1または2個以上の非標的遺伝子メッセージに特異的に結合することができることを示す。特定の態様では、治療用途に適用できる、本明細書で提供されるdsRNAは、優れた安定性、最低限のインターフェロン応答性を示し、かつ、僅かな「オフターゲット」結合しか示さないまたは全く「オフターゲット」結合を示さない。
【0147】
更なる態様では、本明細書で提供されるような、1または2個以上の標的配列を含有するdsRNA(長さが約15bp〜約40bpまたは約5ヌクレオチド〜約24ヌクレオチド、または約25ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドであるもののような)に次々インフレームで操作可能に融合する、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール(CAT)またはβ−ガラクトシダーゼのような1または2種以上のレポーター遺伝子に操作可能に融合し、その発現を変化させることができる、サイトメガロウイルス(CMV)またはホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモータのような恒常的なプロモータを含む1または2種以上のレポーター遺伝子コンストラクトを使用することにより、より効果的なdsRNAを選択する方法を提供する。
【0148】
個々のレポーター遺伝子発現コンストラクトは、1または2個以上のdsRNAまたはそのアナログとコトランスフェクションすることができる。所与のdsRNAの、標的遺伝子の発現レベルを低下させる能力は、対象dsRNA分子をトランスフェクションしたまたはしていない細胞内で測定されたレポーター遺伝子活性を比較することにより決定することができる。
【0149】
本明細書で開示される特定の態様は、dsRNA二重鎖の安定性を予測する段階を使用する、1または2個以上の修飾されたdsRNA分子を選択する方法を提供する。ある態様では、このような予測は理論上の融解曲線を使用することにより達成され、より高い理論上の融解曲線は、dsRNA二重鎖の安定性の上昇およびそれと同時に起こる細胞毒性効果の低下を示す。あるいは、dsRNA二重鎖の安定性は、例えばポリヌクレオチドアレイ内における、本明細書に記載するRNAアナログ一本鎖と、相補的な標的遺伝子とのハイブリダイゼーションを測定することにより実験的に測定することができる。それぞれの修飾RNAとそれに相補的な、アレイ上に固定されたRNAの融解温度(即ち、T
m値)を測定することができ、このT
m値から、相補的なRNA分子と対をなしている置換または修飾されたRNAの相対安定性を測定することができる。
【0150】
例えば、万能結合性ヌクレオチドに関して、Kawaseら(Nucleic Acids Res.14:7727,1986)は、様々な位置にDi(イノシン)を有するオリゴヌクレオチド(ODN)の、アレイとして作製されたODNの相補的なセットへのハイブリダイゼーションを測定することにより達成することができる、DiとA、C、GおよびTとのヌクレオチド対形成特性の分析について記載している。ヌクレオチド対の相対強さは、
である。一般に、Diを含有する二重鎖は、対応するWCヌクレオチド対に比べて低いT
m値を示した。対形成によるDiの安定化は、Dc>Da>Dg>Dt>Duの順であった。2種類の状態モデルに従いファントホッフプロットを使用して算出した熱力学的値から、Kawaseらは、ヌクレオチドスタッキングに起因して、二重鎖形成ではプリン−ピリミジンの配列が好まれると結論づける。例えば、XY=ATの二重鎖形成は、XY=CGおよびTAより好まれる組成である。当業者は理解するように、安定性(即ち、T
m値)を決定する例として本明細書では万能結合性ヌクレオチドが使用されるが、他のヌクレオチド置換(例えば、ウリジンを5−メチルウリジンに)または更なる修飾(例えば、2’−位におけるリボース修飾)もまたこれらのまたは同様の方法により評価することができる。
【0151】
特定の態様では、本明細書で開示する方法は、(a)1または2個以上の標的遺伝子のRNAi遺伝子サイレンシングに好適なdsRNAを設計または合成する工程であって、dsRNAが少なくとも3本の鎖と、所望により少なくとも1箇所の修飾または置換(5−メチルウリジン、LNA、2’−メトキシ、2’−フルオロ、ホスホロチオエートまたはこれらの任意の組み合わせのような)とを含む工程と、(b)1または2個以上の標的タンパク質を発現している細胞を、dsRNAと接触させる工程であって、dsRNAが1または2個以上の標的mRNAまたは遺伝子に特異的に結合し、それにより1または2個以上の標的メンバーの発現を低下させることができる工程と、を含む。
【0152】
また、これらの対象dsRNAを同定する方法のいずれかを用いて、標的mRNAに相補的である第1鎖またはこれらの任意の組み合わせと、第1鎖に非オーバーラップ相補性を有する第2および第3鎖を含む、RNA干渉により1または2個以上の標的遺伝子の発現を低下させるdsRNAを評価することもでき、ここで第1鎖と第2または第3鎖のうち少なくとも1本は約5〜約13bpの二本鎖領域を形成し、dsRNAのピリミジンの少なくとも1個は、式IまたはII:
(式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立に−H、−OH、−OCH
3、−OCH
2OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2OCH
3、ハロゲン、置換または非置換C
1−C
10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換または非置換C
2−C
10アルケニル、置換または非置換−O−アリル、−O−CH
2CH=CH
2、−O−CH=CHCH
3、置換または非置換C
2−C
10アルキニル、カーバモイル、カーバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換または非置換アリール、置換または非置換アラルキル、−NH
2、−NO
2、−C≡Nまたはヘテロシクロ基であり、R
3およびR
4はそれぞれ独立に、ヒドロキシル、保護ヒドロキシルまたはヌクレオシド間結合基であり、R
5およびR
8は独立にOまたはSである)のピリミジンヌクレオシドを含む。特定の態様では、少なくとも1個のヌクレオシドが、R
1がメチル、R
2が−OHである、または、R
1がメチル、R
2が−OH、R
8がSである式Iのヌクレオシドである。他の態様では、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40ヌクレオシドに共有結合する。
【0153】
組成物および使用方法
上記のように、本開示のdsRNAは、高いレベルで発現しているまたは発現すべきでないときも発現し続け、かつ、例えば過剰増殖性、血管新生または炎症性疾患の状態または悪条件に関連する原因因子または要因である1または2個以上の標的遺伝子(その1または2種以上のmRNAスプライス変異体を含む)を標的とするよう設計される。これに関連して、本開示のdsRNAまたはそのアナログは、1または2個以上の標的遺伝子の発現を、1または2種以上の関連する病徴の重症度または再発を防ぐ、軽減するまたは低減するレベルに、効果的にダウンレギュレートするであろう。あるいは、疾病または他の悪条件の結果または帰結として1または2個以上の標的遺伝子の発現が必ずしも上昇しない様々な特徴的な疾病モデルでも、1または2個以上の標的遺伝子のダウンレギュレーションは、遺伝子発現を低下させることにより、治療結果をもたらすであろう。更に、本開示のdsRNAは、1または2個以上の標的遺伝子の発現を低下させることを標的とすることができ、これはその発現が1または2個以上の標的タンパク質により直接または間接的に負に調節される「ダウンストリーム」遺伝子のアップレギュレーションをもたらす可能性がある。本開示のdsRNA分子は、有用な試薬を含み、治療的、診断的な標的バリデーション、ゲノミックディスカバリー、遺伝子工学および薬理ゲノミクス用途の様々な方法のために使用することができる。
【0154】
特定の態様では、水性懸濁液は、懸濁剤または分散若しくは湿潤剤のような好適な賦形剤との混合物中の本開示のdsRNAを含有する。代表的な懸濁剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピル−メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムが挙げられる。代表的な分散または湿潤剤としては、天然ホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)またはエチレンオキシドと脂肪酸および無水ヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。特定の態様では、水性懸濁液は、所望により、1若しくは2種以上の防腐剤(例えば、エチルまたはn−プロピル−p−ヒドロキシベンゾエート)、1若しくは2種以上の着色剤、1若しくは2種以上の着香剤、または1若しくは2種以上の甘味剤(例えば、スクロース、サッカリン)を含有してよい。更なる態様では、水の添加により水性懸濁液を調製するのに好適な分散性粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁剤および所望により1または2種以上の防腐剤、着色剤、着香剤または甘味剤との混合物中の本開示のdsRNAを提供する。
【0155】
本開示は、薬剤的に許容可能な担体または希釈剤中に薬剤的に有効な量の所望の化合物を含む、保存または投与用に調製されたdsRNA組成物を含む。治療用に許容可能な担体または希釈剤は、薬学分野で周知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,A.R.Gennaro edit.,21
st Edition,2005に記載されている。特定の態様では、本開示の薬剤組成物は、所望により、防腐剤、抗酸化剤、安定剤、染料、着香剤またはこれらの任意の組み合わせを含んでよい。代表的な防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸およびソルビン酸が挙げられる。
【0156】
本開示のdsRNA組成物は、薬剤的に許容可能な製剤として有効に使用することができる。薬剤的に許容可能な製剤は、被験体の病状または他の悪条件の発生を防ぐ若しくは重症度を変化させる、または治療する(1または2種以上の症状を検出可能なまたは測定可能な程度に軽減する)。薬剤的に許容可能な製剤としては、上記化合物の塩、例えば塩酸、臭化水素酸、酢酸またはベンゼンスルホン酸の塩のような酸付加塩が挙げられる。薬剤組成物または製剤とは、細胞またはヒトのような被験体に投与する(例えば、全身投与)のに好適な形態である組成物または製剤を指す。標的遺伝子の発現に関連する疾患を治療するまたは予防するのに十分な量のdsRNAを有する本開示の製剤は、例えば、局所(例えば、クリーム、軟膏、貼付剤、点眼剤、点耳剤)適用または投与に好適である。投与の別の経路としては、経口、非経口、舌下、膀胱洗浄、経膣、経直腸、経腸、座剤、経鼻および吸入が挙げられる。本明細書で使用するとき、非経口という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、腹内、腹腔内、関節内、眼球内または眼球後、耳内、くも膜下腔内、腔内、体腔内、髄腔内、肺内または経肺、滑液包内および尿道内注射または注入技術を含む。本開示の薬剤組成物は、その中に含有されているdsRNAが、被験体への投与時に生物学的に利用可能になるように配合される。
【0157】
更なる態様では、本開示のdsRNAは、例えば植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはココヤシ油)または鉱物油(例えば、流動パラフィン)にdsRNAを懸濁させることにより、油性懸濁液またはエマルション(例えば、水中油型)として配合することができる。好適な乳化剤は、天然ゴム(例えば、アラビアゴムまたはトラガカントゴム)、天然リン脂質(例えば、大豆、レシチン、脂肪酸およびヘキシトール由来のエステルまたは部分エステル)、無水物(例えば、ソルビタンモノオレエート)、または部分エステルとエチレンオキシド(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)との縮合生成物であってよい。特定の態様では、油性懸濁液またはエマルションは、所望により、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールのような増粘剤を含有してよい。関連する態様では、甘味剤および着香剤を所望により添加し、口当たりのよい経口剤を提供することができる。更に他の態様では、これらの組成物は、所望によりアスコルビン酸のような抗酸化剤を添加することにより保存することができる。
【0158】
更なる態様では、本開示のdsRNAは、甘味剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、グルコースまたはスクロース)を含むシロップおよびエリキシル剤として配合することができる。このような製剤はまた、粘滑剤、防腐剤、着香剤、着色剤、またはこれらの任意の組み合わせを含有してもよい。他の態様では、本開示のdsRNAを含む薬剤組成物は、無菌で、注射可能な、水性または油性懸濁液の形態であってよい。無菌で、注射可能な調製品はまた、非毒性であり、非経口的に許容可能な希釈剤または溶剤中の、無菌で、注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール溶液のような)であってよい。本開示の組成物で有用な、代表的な許容可能な溶媒および溶剤は、水、リンガー溶液、または生理食塩液である。更に、無菌固定油を、本開示のdsRNAの溶剤または懸濁媒として使用することができる。この目的のために、合成モノ−またはジグリセリドを含む任意の銘柄の固定油を使用することができる。更に、オレイン酸のような脂肪酸は、非経口製剤の調製における利用法が見出されている。
【0159】
本開示の特定の態様では、ポリペプチドと混合される、複合体を形成する、またはコンジュゲートし、所望により、希釈剤、安定剤、バッファ等のような薬剤的に許容可能な担体とともに配合される、本開示の1または2個以上のdsRNAまたはそのアナログの存在または投与を特徴づける、薬剤組成物および方法が提供される。本開示の負の電荷を帯びたdsRNA分子は、安定剤、バッファ等の有り無しで、治療に好適な組成物を形成する任意の標準的な手段により患者に投与することができる。リポソーム送達機構を使用することが望ましいときは、リポソームの形成のための標準的なプロトコルに従ってよい。当該技術分野において既知である他の化合物を用いてまたは用いずに、本開示の組成物を配合し、経口投与用の錠剤、カプセルまたはエリキシル剤、直腸投与用の座剤、無菌溶液、または注射投与用の懸濁液として使用することもできる。したがって、本開示のdsRNAは、鼻内に、経皮的に、非経口的に、または局所注射によるような、任意の形態で投与することができる。
【0160】
本明細書の開示に従って、dsRNA分子(所望により、置換または修飾またはコンジュゲートされている)、その組成物、および細胞または生物中の1または2個以上の標的遺伝子の発現を抑制する方法が提供される。特定の態様では、本開示は、疾病を有する、または、1若しくは2個以上の標的遺伝子の発現により引き起こされる若しくはそれに関連する疾病が発生する危険のある、ヒト細胞、組織または個体を含む被験体を治療するための方法およびdsRNA組成物を提供する。ひとつの態様では、この方法は、標的遺伝子の発現が抑えられるように、細胞または哺乳類のような生物に、本開示のdsRNAまたはdsRNAを含有する薬剤組成物を投与することを含む。本開示のdsRNA分子(所望により、置換または修飾またはコンジュゲートされている)、その組成物、および方法を使用する治療を受け入れられる被験体(例えば、哺乳類、ヒト)としては、1若しくは2個以上の標的遺伝子の過剰発現または不適切な発現により、少なくとも部分的に、仲介された1若しくは2種以上の疾病または状態に苦しんでいるもの、または、過剰増殖性(例えば、癌)、血管新生、代謝または炎症性(例えば、関節炎)疾病若しくは疾患若しくは状態を含む、1若しくは2個以上の標的タンパク質の発現を低下させることによる治療を受け入れられるものが挙げられる。
【0161】
本明細書で開示する組成物および方法は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、コロナウイルス、並びに、呼吸器系ウイルス(ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトメタ肺炎ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ライノウイルスおよびインフルエンザウイルスを含む)のような、レトロウイルスを含む、広範な標的ウイルスの治療に有用である。
【0162】
他の例では、本開示の組成物および方法は、1または2個以上の標的遺伝子の発現を調節し、例えば、過剰増殖性疾患等の症状を治療するまたは予防する、治療ツールとして有用である。代表的な過剰増殖性疾患としては、新生物、癌腫、肉腫、 腫瘍、または癌が挙げられる。より代表的な過剰増殖性疾患としては、口腔癌、咽喉癌、喉頭癌、食道癌、咽頭癌、上咽頭癌、口腔咽頭癌、消化管癌、消化管間質腫瘍(GIST)、小腸癌、結腸癌、大腸癌、結腸直腸癌、肛門癌、膵癌、乳癌、子宮頸癌、子宮癌、外陰癌、膣癌、尿道癌、膀胱癌、腎臓癌、副腎皮質癌、島細胞癌、胆嚢癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、絨毛性腫瘍、精巣癌、陰茎癌、骨癌、骨肉腫、肝臓癌、肝外胆管癌、皮膚癌、基底細胞癌(BCC)、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、脳腫瘍、メラノーマ、カポジ肉腫、眼癌、頭頸部癌、頭頸部の扁平上皮癌、胸腺腫(tymoma)、胸腺癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、ヒッペルリンダウ症候群、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、悪性胸膜中皮腫、バレット腺癌、ウィルムス腫瘍等が挙げられる。
【0163】
他の例では、本開示の組成物および方法は、1または2個以上の標的遺伝子の発現を調節し、例えば炎症性疾患の症状を治療するまたは予防する治療ツールとして有用である。代表的な炎症性疾患としては、真性糖尿病、関節リウマチ、炎症骨膜壁のパンヌス成長、コラーゲン誘導関節炎、脊椎関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、脳脊髄炎、炎症性腸疾患、クローン病(Chron’s disease)、乾癬または乾癬性関節炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosis)、移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化およびアレルギーが挙げられる。
【0164】
本開示のdsRNAで治療することができる他の代表的な疾患としては、代謝障害、心臓病、肺疾患、新血管新生、虚血性疾患、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糸球体腎炎、糖尿病、喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、リンパ脈管新生およびアテローム性動脈硬化が挙げられる。
【0165】
本明細書で開示する任意の方法では、本明細書で記載する1若しくは2個以上のdsRNAまたは置換若しくは修飾dsRNAであって、標的mRNAに相補的であり、かつ、少なくとも1種の他のヒト標的ファミリーmRNAに対して、3箇所以下のミスマッチを含んで、完全に相補的であり、逆もまた同様である第1鎖と、それぞれ第1鎖の非オーバーラップ領域に相補的である第2鎖および第3鎖とを含み、第2鎖および第3鎖は第1鎖とアニールして、10ヌクレオチド以下のギャップにより分離されている少なくとも2箇所の二本鎖領域を形成することができ、少なくとも1箇所の二本鎖領域が約5bp〜約13bpであるdsRNAを使用することができる。他の態様では、被験体は、少なくとも1個の他の標的ファミリーmRNAに対して、3箇所以下のミスマッチを含んで、完全に相補的であり、逆もまた同様である第1鎖と、それぞれ第1鎖の非オーバーラップ領域に相補的である第2鎖および第3鎖とを有し、第2鎖および第3鎖は第1鎖とアニールして、10ヌクレオチド以下のギャップにより分離されている少なくとも2箇所の二本鎖領域を形成することができ、少なくとも1箇所の二本鎖領域が約5bp〜約13bpであり、mRNAの少なくとも1個のピリミジンが式IまたはII:
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に−H、−OH、−OCH
3、−OCH
2OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2OCH
3、ハロゲン、置換または非置換C
1−C
10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換または非置換C
2−C
10アルケニル、置換または非置換−O−アリル、−O−CH
2CH=CH
2、−O−CH=CHCH
3、置換または非置換C
2−C
10アルキニル、カーバモイル、カーバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換または非置換アリール、置換または非置換アラルキル、−NH
2、−NO
2、−C≡Nまたはヘテロシクロ基であり、R
3およびR
4はそれぞれ独立に、ヒドロキシル、保護ヒドロキシルまたはヌクレオシド間結合基であり、R
5およびR
8は独立にOまたはSである)のピリミジンヌクレオシドで置換されている、有効量の1または2個以上のdsRNAを投与することにより、予防的または治療的に、有効に治療することができる。特定の態様では、少なくとも1個のヌクレオシドは、R
1がメチル、R
2が−OHである、または、R
1がメチル、R
2が−OH、R
8がSである式Iのものである。他の態様では、ヌクレオシド間結合基は約5〜約40ヌクレオシドに共有結合する。
【0166】
更なる態様では、被験体は、標的mRNAに相補的であり、かつ、少なくとも1種の他の標的遺伝子のmRNAに対して、3箇所以下のミスマッチを含んで、完全に相補的であり、逆もまた同様である第1鎖と、それぞれ第1鎖の非オーバーラップ領域に相補的である第2鎖および第3鎖とを有し、第2鎖および第3鎖は第1鎖とアニールして、10ヌクレオチド以下のギャップにより分離されている少なくとも2箇所の二本鎖領域を形成することができ、組み合わせた二本鎖領域の合計が約15bp〜約40bpであり、mdRNA分子が平滑末端を含む、本明細書に記載する有効量の1または2個以上のdsRNAまたは置換若しくは修飾dsRNAを投与することにより、予防的または治療的に、有効に治療することができる。更なる態様では、本明細書で開示する方法では、標的遺伝子のmRNAに相補的であり、少なくとも1種の他の標的ファミリーのmRNAに対して、3箇所以下のミスマッチを含んで、完全に相補的であり、逆もまた同様である第1鎖と、それぞれ第1鎖の非オーバーラップ領域に相補的である第2鎖および第3鎖とを含み、第2鎖および第3鎖は第1鎖とアニールして、10ヌクレオチド以下のギャップにより分離されている少なくとも2箇所の二本鎖領域を形成することができ、少なくとも1箇所の二本鎖領域が約5bp〜約13bpであり、mdRNA分子が平滑末端を含み、mdRNAの少なくとも1個のピリミジンが式IまたはII:
式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に−H、−OH、−OCH
3、−OCH
2OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2OCH
3、ハロゲン、置換または非置換C
1−C
10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換または非置換C
2−C
10アルケニル、置換または非置換−O−アリル、−O−CH
2CH=CH
2、−O−CH=CHCH
3、置換または非置換C
2−C
10アルキニル、カーバモイル、カーバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換または非置換アリール、置換または非置換アラルキル、−NH
2、−NO
2、−C≡Nまたはヘテロシクロ基であり、R
3およびR
4はそれぞれ独立に、ヒドロキシル、保護ヒドロキシルまたはヌクレオシド間結合基であり、R
5およびR
8は独立にOまたはSである。特定の態様では、少なくとも1個のヌクレオシドは、R
1がメチル、R
2が−OHである、または、R
1がメチル、R
2が−OH、R
8がSである式Iのヌクレオシドである。他の態様では、ヌクレオシド間結合基は約5〜約40ヌクレオシドに共有結合する。
【0167】
本開示の更なる局面では、本開示のdsRNAとともに配合されまたはそれとともに協調的に投与されて、本明細書で記載したような1または2個以上の標的遺伝子関連疾病または状態を制御する、1または2種以上の第2または補助活性剤と併用される、有効量の本開示の1または2個以上のdsRNAを含む複合製剤および方法が提供される。これらの複合製剤および協調治療法で有用な補助治療剤としては、例えば、酵素的核酸分子、アロステリック核酸分子、アンチセンス、デコイまたはアプタマー核酸分子、モノクローナル抗体のような抗体、小分子並びに金属、塩およびイオンを含む他の有機若しくは無機化合物、並びに、癌、ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)等を治療するために用いられる化学療法剤を含む、1または2個以上の標的遺伝子関連疾病または状態の治療に必要とされる他の薬剤および活性剤が挙げられる。
【0168】
代表的な化学療法剤としては、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ブスルファン、ニトロソ尿素、ナイトロジェンマスタード、ウラムスチン、テモゾロマイド)、代謝拮抗剤(例えば、アミノプテリン、メトトレキサート、メルカプトプリン、フルオロウラシル、シタラビン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン(idaruicin)、ミトキサントロン、バルルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン(mytomycin)、アクチノマイシン、ヒドロキシ尿素、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトセシン、トポテカン、イリノテカン、エトポシド、テニポシド)、モノクローナル抗体(例えば、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、シクロホスファミド、プレドニゾン、ロイコボリン、オキサリプラチンが挙げられる。
【0169】
本開示の協調的投与法を実施するために、dsRNAは、本明細書で記載したまたは当該技術分野において既知である1または2種以上の第2または補助治療剤とともに、協調的な治療プロトコルで同時にまたは経時的に投与される。協調的投与は、いずれの順番で行ってもよく、1種のみまたは両方(または全て)の活性治療剤が、個別にまたは共同で、その生物活性を発揮する間、期間が存在する場合がある。全てのこのような協調的治療法の特徴的な局面は、組成物中に存在するdsRNAが幾つかの有益な臨床反応を誘発することであり、これは第2治療剤によりもたらされる第2臨床反応と併せて起こる場合もあり、そうでない場合もある。例えば、dsRNAと本明細書で意図した第2治療剤との協調的投与により、精製されたdsRNAまたは第2治療剤のいずれかのみまたは両方により誘発される治療反応を超える、強化された(例えば、相乗的)治療反応を得ることができる。
【0170】
別の態様では、本開示のdsRNAは、1または2個以上のヌクレオチドのdsRNA(例えば、末端)上にコンジュゲートメンバーを含んでよい。コンジュゲートメンバーは、例えば、リポフィル(lipophile)、テルペン、タンパク質結合剤、ビタミン、炭水化物またはペプチドであってよい。例えば、コンジュゲートメンバーは、ナプロキセン、ニトロインドール(またはスタッキング相互作用に寄与する別のコンジュゲート)、葉酸、イブプロフェン、またはC5ピリミジンリンカーであってよい。他の態様では、コンジュゲートメンバーは、グリセリド脂質コンジュゲート(例えば、ジアルキルグリセリド誘導体)、ビタミンEコンジュゲートまたはチオコレステロールである。更なるコンジュゲートメンバーとしては、本開示の修飾dsRNAにコンジュゲートすると、標的細胞へのdsRNAの送達を促進する、または逆に、生体試料と接触すると、dsRNAの送達、安定性若しくは活性を強化する機能を有するペプチドが挙げられる。本開示のこれらの局面内で使用するための代表的なペプチドコンジュゲートメンバーとしては、例えば、その全文が参照することにより本明細書に組み込まれたものとする、米国特許出願公開第2006/0040882号および同第2006/0014289号、並びに、米国仮特許出願番号第60/939,578号に記載されているペプチドPN27、PN28、PN29、PN58、PN61、PN73、PN158、PN159、PN173、PN182、PN202、PN204、PN250、PN361、PN365、PN404、PN453およびPN509が挙げられる。特定の態様では、ペプチドコンジュゲートパートナーを用いて本開示のdsRNAまたはそのアナログの送達を強化すると、得られるdsRNA製剤および方法は、脂質送達溶媒(例えば、リポフェクタミン(登録商標))のような、代替送達溶媒と併用して送達されるdsRNAと比較したとき、標的細胞内におけるインターフェロン応答がさらに低下していることが多い。
【0171】
更に別の態様では、本開示のdsRNAまたはそのアナログを、ポリペプチドとコンジュゲートさせ、1または2種以上の非カチオン性脂質または非カチオン性脂質とカチオン性脂質との組み合わせと混合し、標的細胞を裸のdsRNAと接触させて得られる送達と比較して、dsRNAの細胞内送達を強化する組成物を形成することができる。本開示のさらに詳細な局面では、dsRNAおよびポリペプチドを含む混合物、複合体またはコンジュゲートは、所望により、リポフェクチン(登録商標)のようなカチオン性脂質と併用する(例えば、混合するまたは複合体化する)ことができる。ポリペプチド、dsRNAおよびカチオン性脂質を含むこれらの組成物を生成するために、まずdsRNAとペプチドとを細胞培養培地のような好適な培地内で混合し、その後カチオン性脂質を混合物に添加し、dsRNA/送達ペプチド/カチオン性脂質組成物を形成する。所望により、細胞培養培地のような好適な培地内で、まずペプチドとカチオン性脂質とを混合し、続いてdsRNAを添加し、dsRNA/送達ペプチド/カチオン性脂質組成物を形成することができる。
【0172】
本開示は、また、ポリ(エチレングリコール)脂質(PEG修飾または長循環性(long−circulating)リポソームまたはステルスリポソーム)を含有する表面修飾リポソームを含むdsRNA組成物の使用と特徴とする。これらの製剤は、標的組織内での薬物の蓄積を増加させる方法を提供する(Lasic et al.,Chem.Rev.95:2601,1995、Ishiwata et al.,Chem.Pharm.Bull.43:1005,1995)。このようなリポソームは、恐らく新血管新生した標的組織内での管外遊出および捕捉により、腫瘍内で選択的に蓄積することが示されている(Lasic et al.,Science 267:1275,1995、Oku et al.,Biochim.Biophys.Acta 1238:86,1995)。長循環性リポソームは、単核性食細胞系(MPS)の組織内に蓄積することが知られている従来のカチオン性リポソームと比較したとき、核酸分子の薬物動態および薬力を強化する(Liu et al.,J.Biol.Chem42:24864, 1995、Choiらによる国際特許公開第96/10391号、Ansellらによる国際特許公開第96/10390号、Hollandらによる国際特許公開第96/10392号)。長循環性リポソームはまた、肝臓および脾臓のような代謝的に攻撃的であるMPS組織への蓄積を避けることにより、理論上のカチオン性リポソームに比較して、ヌクレアーゼ分解からさらに保護することもできる。
【0173】
ひとつの態様では、本開示は、肝細胞のような特定の細胞型に、本開示のdsRNA分子を投与するのに好適な組成物を提供する。例えば、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)(Wu and Wu,J.Biol.Chem.262:4429,1987)は、肝細胞に特有であり、アシアロオロソムコイド(ASOR)のような分岐ガラクトース末端糖タンパク質に結合する。このような糖タンパク質または合成複合糖質の受容体への結合は、オリゴ糖鎖の分岐の程度に強く依存する親和性を有するように起こる、例えば、三分岐(triatennary)構造は二分岐または一分岐鎖より強い親和性で結合する(Baenziger and Fiete,Cell 22:611,1980、Connolly et al.,J.Biol.Chem.257:939,1982)。Lee and Lee (Glycoconjugate J.4:317,1987) は、炭水化物成分として、ガラクトースに比べて受容体により高い親和性を有する、N−アセチル−D−ガラクトサミンを使用することを通して、この高い特異性を得た。この「クラスタリング効果」はまた、マンノシル末端糖タンパク質または複合糖質の結合および取り込みについても記載されている(Ponpipom et al.,J.Med.Chem.24:1388,1981)。細胞膜を通して外因性化合物を輸送するためのガラクトースおよびガラクトサミン系コンジュゲートの使用は、肝臓病の治療に標的化された送達手法を提供することができる。バイオコンジュゲートの使用もまた、治療に必要な治療化合物の必要投与量を低減することができる。更に、治療バイオアベイラビリティ、薬力学および薬物動態パラメータは、本開示のdsRNAバイオコンジュゲートの使用を通して調節することができる。
【0174】
本開示はまた、dsRNAナノ粒子の調製方法も特徴とする。メラミン誘導体を含有する第1溶液を、HClのような酸を加えているジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミドのような有機溶媒に溶解する。HClの濃度はメラミン誘導体1モルあたりHCl約3.3モルであった。次いで、第1溶液を、極性または親水性溶剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)またはこれらの組み合わせを含有する水性緩衝溶液)に溶解または懸濁した核酸を含む第2溶液と混合する。混合物は第1エマルションを形成する。混合は、例えば、超音波処理、ボルテックスまたはマイクロフリューダイザーのような任意の標準的な技術を使用して行うことができる。これは、核酸と三量体核酸複合体を形成するメラミン誘導体との複合体化を引き起こす。理論または機構に縛られるものではないが、3個の核酸は約1個のメラミン誘導体部分と環状に複合体化し、多くのメラミン誘導体部分が、核酸が有するヌクレオチドの数の多少に応じて3個の核酸分子と複合体化することができると考えられる。濃度は、約20ヌクレオチド対を有する二本鎖核酸1モルあたり約1〜約7モルのメラミン誘導体であるべきであり、二本鎖核酸が長ければさらに多くなる。得られる核酸粒子を精製し、ゲルろ過クロマトグラフィー若しくは透析またはその両方を使用して有機溶剤を除去することができる。
【0175】
次いで、複合体化核酸ナノ粒子を、水溶液中にポリアルギニン若しくはグルタミン−アスパラギンポリマーまたはその両方を含有する水溶液と混合することができる。それぞれのポリマーの好ましい分子量は、約5000〜約15,000ダルトンである。これは、メラミン誘導体並びにポリアルギニンおよびグルタミン−アスパラギンポリマーと複合体化した核酸のナノ粒子を含有する溶液を形成する。混合工程は、平均して直径が約200nmより小さいナノ粒子を生成しながら、核酸の剪断を最低限に抑える方式で実行する。理論に縛られるものではないが、ポリアルギニンは核酸の副溝内にあるリン酸基の負電荷と複合体を形成し、ポリアルギニンが三量体核酸複合体に巻き付くと考えられる。ポリアルギニンのいずれかの末端で、TATポリペプチドのような他の部分、マンノースまたはガラクトースは、ポリマーに共有結合し、ガラクトースを使用するとき、核酸複合体の肝臓のような特定の組織への結合を導くことができる。理論に縛られるものではないが、グルタミン−アスパラギンポリマーは、核酸の塩基との水素結合を通じて、核酸の主溝内で核酸複合体と複合体化すると考えられる。ポリアルギニンおよびグルタミン−アスパラギンポリマーは、20bpの核酸1モルあたり2モルの濃度で存在すべきである。濃度は、20bp超の核酸に比例して増加すべきである。例えば、核酸が25bpである場合、ポリマーの濃度は二本鎖核酸1モルあたり2.5〜3モルであるべきである。例は、HIV TATからN−末端タンパク質トランスダクションドメインに操作可能に結合しているポリペプチドである。このようなタンパク質で用いるためのHIV TATコンストラクトは、Vocero−Akbani et al.,Nature Med.5:23,1999に詳細に記載されている。米国特許出願公開第2004/0132161号(2004年7月8日公開)も参照のこと。得られるナノ粒子は、サイズ排除クロマトグラフィー後の透析のような標準的な手段により精製することができる。次いで、精製された複合体化ナノ粒子は、当該技術分野において周知である技術を用いて凍結乾燥することができる。
【0176】
本開示のひとつの態様は、RNAiにより1または2個以上の標的遺伝子の発現を低下させるdsRNAを含む100ナノメートル(nm)未満のナノ粒子を提供する。より具体的には、dsRNAの長さは約30bp未満、または約20〜約25bpである。
【0177】
薬剤的に有効な投与量は、疾病状態を予防する、発生を抑制する、または治療する(症状、好ましくは全ての症状をある程度軽減する)のに必要な投与量である。薬剤的に有効な投与量は、疾病の種類、使用される組成物、投与経路、治療する被験体の種類、治療を検討中の特定の被験体の物理的特性、同時投薬、および当業者が認める他の要因に依存する。例えば、0.1mg/kg〜100mg/体重(kg)/日の量の活性成分を、本開示のdsRNAの効力に応じて投与することができる。
【0178】
約0.1mg〜約140mg/体重(kg)/日程度の投与量レベルが、上記状態の治療に有用であり得る(約0.5mg〜約7g/患者/日)。担体材料と組み合わせて単一剤形を生産することができる活性成分の量は、治療する宿主および具体的な投与モードに応じて変動する。投与単位形は、一般に、約1mg〜約500mgの活性成分を含有する。
【0179】
任意の具体的な患者に対する特定の投与量は、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的健康、性別、食習慣、投与時刻、投与経路、および排出速度、複合薬および治療中の具体的な疾病の重症度を含む種々の要因に依存すると理解される。本開示の配合および方法に従ったdsRNAの投与後に、被験体は、プラセボ治療したまたは他の好適な対照被験体に比べて、治療される疾病または疾患に関連する1または2種以上の症状が約10%〜約99%低減する。
【0180】
核酸分子およびポリペプチドは、dsRNAおよびポリペプチドのみを含む、または、薬剤的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤、補助剤、乳化剤、バッファ、安定剤、防腐剤等のような1または2種以上の追加成分を更に含む製剤での投与が挙げられる、当業者に既知である種々の方法により、細胞に投与することができる。特定の態様では、dsRNAまたはポリペプチドは、リポソームに封入する、イオントフォレシスにより投与する、または、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、生体接着性微粒子若しくはタンパク質性ベクターのような他の媒体に導入することができる(例えば、国際特許公開第00/53722号を参照のこと)。あるいは、核酸/ペプチド/媒体の組み合わせは、直接注射または薬物注入ポンプの使用により局所的に送達することができる。本開示の核酸分子の直接注射は、皮下、筋肉内または皮内のいずれであろうと、標準的な針と注射器の方法論を使用して、または、Conroy et al.,Clin.Cancer Res.5:2330,1999および国際特許公開第99/31262号に記載されているもののような針を使わない技術によって行うことができる。
【0181】
dsRNAはまた、例えば、薬物を直腸投与するための座剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、薬物と、常温で固体であるが直腸温度で液体である好適な非刺激性賦形剤とを混合することにより調製でき、従って直腸内で融解し薬物を放出する。このような材料としては、カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0182】
非ヒト動物への投与については、組成物を飼料または飲料水に添加してもよい。動物が食料とともに治療的に適切な量の組成物を取り込むように、飼料および飲料水組成物を配合することが好都合な場合がある。飼料または飲料水に添加するためのプレミックスとして組成物を与えることが好都合な場合もある。
【0183】
本開示のdsRNAのような、核酸分子を送達するための更なる方法は、例えば、Boado et al.,J.Pharm.Sci.87:1308,1998、Tyler et al.,FEBS Lett.421:280,1999、Pardridge et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 92:5592,1995、Boado,Adv.Drug Delivery Rev.15:73,1995、Aldrian−Herrada et al.,Nucleic Acids Res.26:4910,1998、Tyler et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 96:7053,1999、Akhtar et al.,Trends Cell Bio.2:139,1992、“Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,”ed.Akhtar,1995,Maurer et al.,Mol Membr.Biol.16:129,1999、Hofland and Huang,Handb.Exp.Pharmacol.137:165,1999およびLee et al.,ACS Symp.Ser.752:184,2000に記載されている。Sullivanらによる国際特許公開第94/02595号は、更に、酵素的核酸分子を送達するための一般的な方法について記載しており、この方法を用いて、本開示で検討したdsRNAを補充または補完送達することができる。
【0184】
インビボ遺伝子阻害に加えて、当業者は、本開示のdsRNAが、科学的および商業的調査(例えば、生理学的経路の解明、薬物の発見および開発)並びに医学的および獣医学的診断のような、広範なインビトロ用途で有用であることを認めるであろう。一般に、方法は、既知の技術(例えば、細胞プロセスを通じた吸収、または、助剤若しくはエレクトロポレーションのようなデバイス、リポフェクションにより、またはペプチドコンジュゲートの使用を通じて)を使用して細胞にdsRNA剤を導入し、次いで1または2個以上の標的mRNAを分解するのに十分な時間細胞を維持することを含む。
【0185】
本明細書で参照した米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、非特許刊行物、図およびウェブサイトは全て、その全文が参照することにより明確に本明細書に組み込まれるものとする。
【実施例1】
【0186】
ギャップの入ったdsRNAダイサー基質によるβ−ガラクトシダーゼ活性のノックダウン
LacZ mRNAのサイレンシングにおける、二本鎖構造にギャップを含有するダイサー基質dsRNAの活性を、正常ダイサー基質dsRNA(即ち、ギャップを有しない)と比較して、評価した。
【0187】
LacZ mRNAを標的とするdsRNAおよびmdRNAの塩基配列
1または2本以上のセンス鎖並びにdsRNAおよびギャップの入ったdsRNA(本明細書ではメロデュープレックスまたはmdRNAとも呼ばれる)の核酸配列を以下に示し、標準的な技術を用いて合成した。RISCアクチベータLacZ dsRNAは、21ヌクレオチドのセンス鎖および21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、これらはアニールして、それぞれの鎖上に2個のデオキシチミジン突出を有する19bpの二本鎖領域を形成することができる(21/21dsRNAと呼ぶ)。
LacZ dsRNA(21/21)−RISCアクチベータ
センス 5’−CUACACAAAUCAGCGAUUUdTdT−3’(配列番号1)
アンチセンス 3’−dTdTGAUGUGUUUAGUCGCUAAA−5’(配列番号2)
【0188】
ダイサー基質LacZ dsRNAは、25ヌクレオチドのセンス鎖および27ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、これらはアニールして、一方に平滑末端、他方にシチジンおよびウリジン突出を有する25bpの二本鎖領域を形成することができる(25/27dsRNAと呼ぶ)。
LacZ dsRNA(25/27)−ダイサー基質
センス 5’−CUACACAAAUCAGCGAUUUCCAUdGdT−3’(配列番号3)
アンチセンス 3’−CUGAUGUGUUUAGUCGCUAAAGGUA CA−5’(配列番号4)
【0189】
LacZ mdRNAは、13ヌクレオチド(5’−部分)および11ヌクレオチド(3’−部分)のセンス鎖2本および27ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、これら3本の鎖はアニールして、1箇所のヌクレオチドギャップにより分離されている13および11bpの2箇所の二本鎖領域を形成することができる(13,11/27mdRNAと呼ぶ)。11ヌクレオチドのセンス鎖断片の5’−末端を、所望によりリン酸化してもよい。「*」はギャップ、この場合、1箇所のヌクレオチドギャップ(即ち、シチジンが欠失している)を指す。
LacZ mdRNA(13,11/27)−ダイサー基質
センス 5’−CUACACAAAUCAG*GAUUUCCAUdGdT−3’(配列番号5、6)
アンチセンス 3’−CUGAUGUGUUUAGUCGCUAAAGGUA CA−5’(配列番号4)
LacZ dsRNAまたはmdRNAのそれぞれを用いて9lacZ/R細胞をトランスフェクションした。
【0190】
トランスフェクション
6ウェルのコラーゲンコーティングしたプレートに、ウェルあたり2mLの容積で、5×10
5 9lacZ/R細胞/ウェルを播種し、DMEM/高グルコース培地中にて、37℃/5%CO
2で一晩インキュベートした。
トランスフェクションの準備:250μLの血清を含まないOPTIMEM培地を、5μLの20pmol/μL dsRNAと混合し、5μLのHIPERFECTトランスフェクション溶液(Qiagen)を、250μLの別のOPTIMEM培地と混合した。両方の混合物を5分間平衡化させた後、RNAとトランスフェクション溶液とをまとめ、室温で20分間放置し、トランスフェクション複合体を形成した。HIPERFECTの最終濃度は50μMであり、dsRNAは0.05nM、0.1nM、0.2nM、0.5nM、1nM、2nM、5nMおよび10nMで試験し、一方mdRNAは0.2nM、0.5nM、1nM、2nM、5nM、10nM、20nMおよび50nMで試験した。完全培地を除去し、細胞を不完全OPTIMEMで洗浄し、次いで500μLのトランスフェクション混合物を細胞に適用し、これを37℃で4時間穏やかに振盪しながらインキュベートした。トランスフェクション後、トランスフェクション培地を除去し、完全DMEM/高グルコース培地で1度洗浄し、新鮮培地を添加し、次いで細胞を37℃、5%CO
2で48時間インキュベートした。
【0191】
β−ガラクトシダーゼアッセイ
トランスフェクションした細胞をPBSで洗浄し、次いで0.5mLのトリプシン/EDTAで剥離した。剥離した細胞を1mLの完全DMEM/高グルコースに懸濁し、清潔な試験管に移動した。細胞を250×gで5分間遠心分離することにより収集し、次いで4℃で50μLの1×溶解バッファに再懸濁した。溶解細胞をドライアイスおよび37℃の水浴で2度凍結融解サイクルに供した。溶解試料を4℃で5分間遠心分離し、上清を回収した。試料それぞれについて、1.5μLおよび10μLの溶解液を清潔な試験管に移動し、最終容量30μLまで滅菌水を添加し、続いて70μLのo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノース(ONPG)および200μLのβ−メルカプトエタノールを含む1×切断バッファを添加した。試料を短時間混合し、37℃で30分間インキュベートし、次いで500μLの停止バッファを添加した(最終容量800μL)。各試料のβ−ガラクトシダーゼ活性を、使い捨てキュベット内で420nmにて測定した。タンパク質濃度は、BCA(ビシンコニン酸)法で測定した。本実施例の目的のために、測定したLacZ活性のレベルは、9L/LacZ細胞内のLacZ転写産物の量に相関していた。したがって、細胞生存能力に負の影響のない、dsRNAトランスフェクション後のβ−ガラクトシダーゼ活性の低下は、LacZ dsRNAの介在する標的化された分解が原因である、LacZ転写産物の量の低下に起因していた。
【0192】
結果
トランスフェクションした細胞およびトランスフェクションしていない細胞のノックダウン活性をQneg対照dsRNAに対して正規化し、Qneg対照の正規化値(即ち、100%または「正常」遺伝子発現レベルを表すQneg)として提示した。LacZ RISCアクチベータおよびダイサー基質dsRNA分子は両方、0.1nM程度の濃度でβ−ガラクトシダーゼの良好なノックダウンを示し(
図1)、一方ダイサー基質アンチセンス鎖(一本鎖27mer)のみではサイレンシング効果を示さなかった。驚くべきことに、ギャップのあるmdRNAは良好なノックダウンを示したが、インタクトなRISCアクチベータおよびダイサー基質dsRNAよりも若干効果が低かった(
図1)。様々な濃度(0.1μM〜50μM)でのギャップマーシチジン(即ち、欠失ヌクレオチド)の存在は、mdRNAの活性に影響はなかった(データ不掲載)。dsRNAまたはmdRNA溶液はいずれも、トランスフェクションした9L/LacZ細胞内で検出可能な毒性を全く示さなかった。LacZ mdRNAのIC
50は3.74nMと算出され、これは予め測定したLacZ dsRNA21/21よりも約10倍低い(データ不掲載)。これらの結果は、メロデュープレックス(ギャップの入ったdsRNA)が遺伝子サイレンシングを誘発できることを示す。
【実施例2】
【0193】
ニックの入ったdsRNAによるインフルエンザ遺伝子発現のノックダウン
インフルエンザ遺伝子発現のサイレンシングにおける、ニックの入ったdsRNA(21/21)の活性、正常dsRNA(即ち、ニックを有しない)と比較して、を評価した。
【0194】
インフルエンザmRNAを標的とするdsRNAおよびmdRNAの塩基配列
dsRNAおよびニックの入ったdsRNA(メロデュープレックスの別の形態、本明細書ではndsRNAと呼ぶ)を以下に示し、標準的な技術を使用して合成した。RISCアクチベータインフルエンザG1498dsRNAは、21ヌクレオチドのセンス鎖および21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、これらはアニールして、各鎖に2個のデオキシチミジン突出を有する19bpの二本鎖領域を形成することができる。
G1498−wt dsRNA(21/21)
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGdTdT−3’(配列番号7)
アンチセンス 3’−dTdTCCUAGAAUAAAGAAGCCUC−5’(配列番号8)
【0195】
RISCアクチベータインフルエンザG1498dsRNAは、ヌクレオチド11の後にセンス鎖上にニックが入り、11ヌクレオチド(5’−部分、イタリック体)および10ヌクレオチド(3’−部分)の2本のセンス鎖と21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を有するndsRNAを生成し、これら3本の鎖はアニールして、1箇所のヌクレオチドギャップ(G1498 11,10/21ndsRNA−wtと呼ぶことができる)により分離されている11(イタリック体で示す)および10bpの2箇所の二本鎖領域を形成することができる。10ヌクレオチドのセンス鎖断片の5’−末端は、所望により、ヌクレオチドの前の「p」で記述するように(例えば、pC)リン酸化してもよい。
【0196】
G1498 ndsRNA−wt(11,10/21)
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGdTdT−3’(配列番号9,10)
アンチセンス 3’−dTdTCCUAGAAUAAAGAAGCCUC−5’ (配列番号8)
【0197】
G1498 ndsRNA−wt(11,10/21)
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGdTdT−3’(配列番号9,10)
アンチセンス 3’−dTdTCCUAGAAUAAAGAAGCCUC−5’(配列番号8)
【0198】
更に、各Uを5−メチルウリジン(リボチミジン)で置換したこれらのG1498dsRNAをそれぞれ作製し、これをG1498dsRNA−rTと呼ぶ。5−メチルウリジン置換の有り無しで、G1498dsRNAまたはndsRNA(メロデュープレックス)をそれぞれ用いて、ルシフェラーゼ遺伝子に関連するインフルエンザ標的配列を有するHeLaS3細胞をトランスフェクションした。また、G1498アンチセンス鎖のみ、または、11ヌクレオチドのセンス鎖部分にアニールしたアンチセンス鎖のみ、または10ヌクレオチドのセンス鎖部分のみの活性を評価した。
【0199】
トランスフェクションおよびデュアルルシフェラーゼアッセイ
恒常的にホタルluc2(Photinus pyralis)およびウミシイタケ(Renilla reniformis、シーパンジーとしても知られる)ルシフェラーゼの両方を発現しする、レポータープラスミドpsiCHECK(登録商標)−2(Promega, Madison, WI)を用いて、Renilla−インフルエンザNPフュージョンmRNAをもたらすウミシイタケの翻訳停止コドンの下流のインフルエンザNP遺伝子の一部をクローニングした。psiCHECK(登録商標)−2ベクター中のホタルルシフェラーゼを用いて、ウミシイタケルシフェラーゼ発現を正規化し、トランスフェクション効率の対照とする。
【0200】
マルチウェルプレートに、100μLのハムズF12培地および10%ウシ胎児血清中でHeLaS3細胞/ウェルを播種し、37℃/5%CO
2で一晩インキュベートした。実施例1に記載したものと本質的に同じトランスフェクション手順を用いて、HeLaS3細胞に、リポフェクタミン(登録商標)2000およびOPTIMEM低減血清培地に配合されたpsiCHECK(登録商標)−インフルエンザプラスミド(75ng)およびG1498dsRNAまたはndsRNA(最終濃度10nMまたは100nM)をトランスフェクションした。トランスフェクション混合物を、HeLaS3細胞とともに、穏やかに振盪しながら37℃で約18〜20時間インキュベートした。
【0201】
トランスフェクション後、まずDual−Glo(登録商標)ルシフェラーゼ試薬(Promega, Madison, WI)を10分間振盪しながら添加し、次いでVICTOR
3(登録商標)1420マルチラベルカウンター(PerkinElmer, Waltham, MA)を使用して蛍光シグナルを定量化することにより、ホタルルシフェラーゼレポーター活性を測定した。ホタル蛍光を測定した後、Stop&Glo(登録商標)試薬(Promega, Madison, WI)を10分間振盪しながら添加し、同時にホタルの反応を消光させ、ウミシイタケルシフェラーゼの反応を開始させ、次いでウミシイタケルシフェラーゼの蛍光シグナルをVICTOR
3(登録商標)1420マルチラベルカウンター(PerkinElmer, Waltham, MA)を使用して定量化した。
【0202】
結果
トランスフェクションした細胞およびトランスフェクションしていない細胞のノックダウン活性をQneg対照dsRNAに対して正規化し、Qneg対照の正規化値(即ち、Qnegは100%または「正常」遺伝子発現レベルを表す)として提示した。したがって、より小さな値は、より大きなノックダウン効果を示す。G1498dsRNA−wtおよびdsRNA−rTは、100nMの濃度で同様の良好なノックダウン効果を示した(
図2)。驚くべきことに、リン酸化されていようといまいと、G1498ndsRNA−rTは良好なノックダウン効果を示したが、G1498dsRNA−wtより若干効果が低かった(
図2)。10nMの濃度におけるdsRNAまたはndsRNAでも同様の結果が得られた(データ不掲載)。G1498dsRNAまたはndsRNA溶液はいずれも、10nMまたは100nMのいずれにおいてもHeLaS3細胞中で検出可能な毒性を全く示さなかった。G1498アンチセンス鎖と、ニックの入ったセンス鎖の半分のみ(11ヌクレオチドまたは10ヌクレオチドの鎖のみ)しか存在しない場合でさえ、幾らかの検出可能な活性を示した。これらの結果は、ニックを入れたメロデュープレックスdsRNA分子は、予想外に、遺伝子サイレンシングを促進することができることを示す。
【実施例3】
【0203】
様々な位置にニックを有するmdRNAのノックダウン活性
本実施例では、様々な位置にニックを有するセンス鎖を有する実施例1のダイサー基質LacZ dsRNAの活性を評価した。更に、ジデオキシヌクレオチド(即ち、ddG)を、ニックまたは単一ヌクレオチドギャップを有するセンス鎖の最も3’側の鎖の5’末端に組み込み、ニックの入ったセンス鎖のインビボでのライゲーションが「救出(rescuing)」活性を有するかどうかを決定した。ddGはライゲーションの基質ではない。また、8〜14の位置のうち1箇所にニックの入ったセンス鎖を有する実施例6のインフルエンザダイサー基質dsRNAも評価した。「p」記号は、ニックの入ったセンスインフルエンザ配列の最も3’側の鎖の5’末端がリン酸化されていることを示す。「L」記号は、ニックの入ったセンスインフルエンザ配列の最も5’側の鎖の2の位置のGが、ロックされた核酸Gに置換されていることを示す。QnegはネガティブコントロールdsRNAである。
【0204】
実施例2のデュアルルシフェラーゼアッセイを用いて、5nMのLacZ配列および0.5nMのインフルエンザ配列のノックダウン活性を測定した。laczダイサー基質(25/27,LacZ−DS)およびlacZ RISCアクチベータ(21/21,LacZ)は等しく活性があり、LacZ−DSは、8〜14のいずれかの位置にニックが入っていても活性に影響はない(
図3)。さらに、ニック(LacZ:DSNkd13−3’dd)または1箇所のヌクレオチドギャップ(LacZ:DSNkd13D1−3’dd)を有する最も3’側のLacZセンス配列の5’−末端上にddGを含んでも、非置換配列と本質的に同じ活性であった(
図3)。8〜14のいずれか1箇所にニックの入ったインフルエンザダイサー基質(G1498DS)もまた高い活性を示した(
図4)。ニックの入ったセンスインフルエンザ配列の最も3’側の鎖の5’−末端のリン酸化は、本質的に活性に影響を及ぼさなかったが、ロックされた核酸の添加により活性が高まるようである。
【実施例4】
【0205】
mdRNAの平均阻害濃度
本実施例では、用量反応アッセイを実施し、ロックされた核酸を含むまたは含まない、12、13または14の位置にニックの入ったセンス鎖を有する実施例7のインフルエンザダイサー基質dsRNAの平均阻害濃度(IC
50)を測定した。実施例2のデュアルルシフェラーゼアッセイを用いた。インフルエンザダイサー基質dsRNA(G1498DS)を、0.0004nM、0.002nM、0.005nM、0.019nM、0.067nM、0.233nM、0.816nM、2.8nMおよび10nMで試験し、一方13の位置にニックの入ったmdRNA(G1498DS:Nkd13)を、0.001nM、0.048nM、0.167nM、1nM、2nM、7nMおよび25nMで試験した(
図5を参照のこと)。また、様々な位置にニックの入ったまたは入っていないRISCアクチベータ分子(21/21)についても試験し、G1498DS:Nkd12およびG1498DS:Nkd14は、上記のようなロックされた核酸を有するそれぞれのニックの入ったバージョンである(データ不掲載)。QnegはネガティブコントロールdsRNAである。
【0206】
RISCアクチベータG1498のIC
50は約22pMであると算出され、一方、ダイサー基質G1498DSのIC
50は約6pMであると算出された。RISCおよびダイサーmdRNAのIC
50は、約200pM〜約15nMの範囲である。単一のロックされた核酸を含むと、ダイサーmdRNAのIC
50は4倍低下した(データ不掲載)。これらの結果は、いずれかの位置にニックまたはギャップを有するメロデュープレックスdsRNAが、遺伝子サイレンシングを誘発できることを示す。
【実施例5】
【0207】
様々な大きさおよび位置のギャップを有するmdRNAのノックダウン活性
様々な大きさおよび位置のギャップを有するセンス鎖を有するインフルエンザダイサー基質dsRNAの活性を評価した。8の位置に0〜6ヌクレオチドのギャップ、9の位置に4ヌクレオチドのギャップ、10の位置に3ヌクレオチドのギャップ、11の位置に2ヌクレオチドのギャップ、および12の位置に1ヌクレオチドのギャップを有するセンス鎖を有する実施例7のインフルエンザダイサー基質dsRNAを作製した(表3を参照のこと)。QnegはネガティブコントロールdsRNAである。それぞれのmdRNAを、5nM(データ不掲載)および10nMの濃度で試験した。mdRNAは、表3に示すように、以下のアンチセンス鎖5’−CAUUGUCUCCGAAGAAAUAAGAUCCUU(配列番号11)と、ニックまたはギャップの入ったセンス鎖とを有する。
【0208】
【表3】
【0209】
実施例2のデュアル蛍光アッセイを用いてノックダウン活性を測定した。濃度5nMおよび10nMの両方で同様の結果が得られた。これらのデータは、6ヌクレオチド以下のギャップを有するmdRNAは依然として活性を有するが、4以下の欠失ヌクレオチドを有するmdRNAが最も高い活性を有することを示す(
図6も参照のこと)。したがって、様々な異なる位置に様々な大きさのギャップを有するmdRNAがノックダウン活性を有する。
【0210】
様々な大きさおよび位置のギャップを有するセンス鎖を有する配列の一般的適用性を評価するために、様々なdsRNA配列を試験した。8の位置に0〜6ヌクレオチドのギャップ、9の位置に5ヌクレオチドのギャップ、10の位置に4ヌクレオチドのギャップ、11の位置に3ヌクレオチドのギャップ、12の位置に2ヌクレオチドのギャップ、12の位置に1ヌクレオチドのギャップおよび14の位置にニック(ギャップ0)を有するセンス鎖を有する、実施例1のlacZ RISC dsRNAを作製した(表4を参照のこと)。QnegはネガティブコントロールdsRNAである。それぞれのmdRNAを、5nM(データ不掲載)および25nMの濃度で試験した。lacZ mdRNAは、以下のアンチセンス鎖5’−AAAUCGCUGAUUUGUGUAGdTdTUAAA(配列番号2)および表4に示すような、ニックまたはギャップの入ったセンス鎖を有する。
【0211】
【表4】
【0212】
実施例2のデュアル蛍光アッセイを用いてノックダウン活性を測定した。
図7は、6ヌクレオチド以下のギャップを有するmdRNAは実質的な活性を有し、ギャップの位置はノックダウンの効力に影響を及ぼす可能性がある。したがって、様々な異なる位置および異なるmdRNA配列に様々な大きさのギャップを有するmdRNAがノックダウン活性を有する。
【実施例6】
【0213】
置換mdRNAのノックダウン活性
ニックの入ったセンス鎖およびロックされた核酸置換を有するセンス鎖を有するインフルエンザdsRNA RISC配列の活性を評価した。5’−末端から数えて8〜14の位置にニックを有するセンス鎖を有する実施例2のインフルエンザRISC配列G1498を作製した。それぞれのセンス鎖を、表5に示すように、1または2個のロックされた核酸で置換した。Qnegおよびプラスミドはネガティブコントロールである。それぞれのmdRNAを5nMの濃度で試験した。用いたアンチセンス鎖は、5’−CUCCGAAGAAAUAAGAUCCdTdT(配列番号8)であった。
【0214】
【表5】
【0215】
実施例2のデュアル蛍光アッセイを用いてノックダウン活性を測定した。これらのデータは、ロックされた核酸置換の数が増加すると、多くの位置のうちいずれかにニックを有するmdRNAの活性が上昇する傾向があることを示す。センス鎖あたりのロックされた核酸が1個の場合、ニックの位置が11である時に最も高い活性を示した(
図8を参照のこと)。しかし、各センス鎖のロックされた核酸が複数の場合、いずれかの位置にニックを有するmdRNAは、単一置換の最適なニック位置(即ち、位置11)と同じくらいの活性になる(
図8)。したがって、二重鎖安定化修飾を有するmdRNAは、ニック位置にかかわらず、mdRNAの活性を本質的に等しくする。
【0216】
ロックされた核酸置換を実施例1のLacZダイサー基質mdRNA(配列番号3および4)内に作製したとき、同様の結果が観察された。lacZダイサーは8〜14の位置にニックが入っており、5’センス鎖の位置3(5’−末端から)におけるAがロックされた核酸A(LNA−A)で置換されていることを除き、ニックの入ったLacZダイサー分子の複製セットが作製された。
図11から明らかであるように、LNA−Aを含有するニックの入ったlacZダイサー分子の大部分は、非置換lacZダイサーと同程度のノックダウン活性効力であった(
図9を参照のこと)。
【実施例7】
【0217】
インフルエンザウイルス力価のmdRNAノックダウン
インフルエンザウイルス力価の低下における、ダイサー基質のニックの入ったdsRNAの活性を、野性型dsRNA(即ち、ニックを有しない)と比較して、評価した。インフルエンザダイサー基質配列(25/27)は以下の通りである。
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGACAAdTdG (配列番号62)
アンチセンス 5’−CAUUGUCUCCGAAGAAAUAAGAUCCUU(配列番号11)
これらのmdRNA配列は、それぞれ5’−末端から数えて12、13および14後の位置にニックが入っており、各センス鎖はまた2の位置がロックされた核酸Gで置換されたGを有する。
【0218】
ウイルス感染力アッセイのために、ウェルあたり500μLの10%FBS/DMEM培地中でトランスフェクションする1日前に、ベロ細胞を、6.5×10
4細胞/ウェル播種した。各dsRNAの100、10、1、0.1および0.01nMストックの試料を、1.0μL(1mg/mLストック)のリポフェクタミン(登録商標)2000(Invitrogen, Carlsbad, CA)と複合体化し、150μLのOPTIMEM(合計容量)(Gibco, Carlsbad, CA)中にて室温で20分間インキュベートした。ベロ細胞をOPTIMEMで洗浄し、次いでOPTIMEM中のトランスフェクション複合体150μLを、150μLのOPTIMEM培地を収容している各ウェルに添加した。各条件について三つ組のウェルで試験した。トランスフェクション条件を備えない追加の対照ウェルを準備した。トランスフェクションの3時間後、培地を除去した。各ウェルを、0.3%のBSAおよび10mMのHEPES/PSを含有するPBS200μLで1度洗浄した。各ウェル内の細胞に、0.3%のBSA/10mMのHEPES/PSおよび4μg/mLのトリプシンを含有する、200μLの感染培地中にて、感染多重度(MOI)0.01でインフルエンザウイルスのWSN株を感染させた。プレートを37℃で1時間インキュベートした。吸着されていないウイルスを200μLの感染培地で洗い流し、廃棄し、次いで、0.3%のBSA/10mMのHEPES/PSおよび4μg/mLのトリプシンを含有する400μLのDMEMを各ウェルに添加した。プレートを37℃、5%CO
2で48時間インキュベートし、次いで各ウェルの上清50μLを、MDCK細胞内でTCID
50アッセイ(組織培養感染量50、WHOプロトコル)により二つ組で試験し、力価をSpearman−Karber式を用いて推定した。
【0219】
結果は、G1498のニックの入ったmdRNAは全て、インフルエンザウイルス力価を10倍低下させることを示す(
図10)。つまり、これらのmdRNAは、10pM程度の低濃度でさえ、約50%〜60%のウイルス価ノックダウンを示す(
図11)。
【0220】
また、インビボインフルエンザマウスモデルを用いて、インフルエンザウイルス力価の低下における、ダイサー基質のニックの入ったdsRNAの活性を、野性型dsRNA(即ち、ニックを有しない)と比較して、評価した。雌BALB/cマウス(1群あたり5〜10匹の、8〜10週齢のマウス)に対し、インフルエンザ株PR8の鼻腔内投与(20PFU/マウス)前に、120nmol/kg/日のdsRNA(30:1:20:49の比で配合された、C12−norArg(NH
3+Cl−)− C12/DSPE−PEG2000/DSPC/コレステロール)を鼻腔内に3日間連続で投与した。感染の2日後、各マウスから肺全体を回収し、抗生物質を含むPBS/0.3%BSA溶液中に定置し、ホモジナイズし、ウイルス価(TCID
50)を測定する。投与量は、マウスの耐容性がよく、いずれの投与群においても2%未満の体重低下を示した。試験したmdRNAは、僅かに大きいとしても、非修飾およびニックの入っていないG1498ダイサー基質と比較し、インビボで同様のウイルス減少を示した(
図12)。したがって、mdRNAはインビボで活性を有する。
【実施例8】
【0221】
サイトカイン誘発に対するmdRNAの効果
インビボでのサイトカイン誘発に対するmdRNA構造の効果を評価した。雌BALB/cマウス(7〜9週齢)に、約50μMのdsRNA(30:1:20:49の比で配合されたC12−norArg(NH
3+Cl−)−C12/DSPE−PEG2000/DSPC/コレステロール)または605nmol/kg/日の裸のdsRNAを、3日間連続で鼻腔内に投与した。最終投与の約4時間後、マウスを屠殺し、気管支肺胞洗浄液(BALF)を回収し、サイトカイン応答の評価のために回収した血液を血清に加工した。0.5mLの、生理食塩水中の氷冷0.3%BSAで2度(計1mL)気管支洗浄を行った。BALFを回転させ、上清を回収し、サイトカイン分析まで冷凍した。安楽死直後に大静脈から血液を回収し、血清分離チューブ内に入れ、室温で少なくとも20分間凝固させた。試料を血清に加工し、Millipore ULTRAFREE0.22μmろ過管に分注し、12,000rpmで回転させ、ドライアイス上で冷凍し、次いで分析まで−70℃で保管した。Bio−Plex(登録商標)アレイリーダー上で、Procarta(登録商標)マウス10−Plexサイトカインアッセイキット(Panomics, Fremont, CA)を用いて、BALFおよび血漿のサイトカイン分析を実施した。0日目の最初の投与前、更に3日目、安楽死直前の体重を含む、毒性パラメータも測定した。脾臓を回収し、計量し、重量を最終体重に対して正規化した。結果を表6に示す。
【0222】
【表6】
【0223】
mdRNA(RISCまたはダイサーの大きさの)はインタクトな(即ち、ニックの入っていない)親分子程ではないにせよ、サイトカインを誘発した。サイトカイン誘発の減少は、一貫して10サイトカイン多発性アッセイの誘発の最高レベルを有するサイトカインである、IL−12(p40)が最も大きかった。mdRNAでは、IL−12(p40)の減少は25〜56倍の範囲であり、一方IL−6またはTNFαの誘発の低下はいずれも、より僅かであった(これら2種のサイトカインの低下は2〜10倍)。したがって、mdRNA構造は、非修飾dsRNAと比較して、サイトカイン誘発が最低限に抑えられる点で、インビボにおいて利点をもたらすと思われる。
【0224】
配合されたmdRNAでも同様の結果が得られたが、誘発の低下は顕著ではなかった。更に、ロックされた核酸の存在または非存在は、サイトカイン誘発に影響を及ぼさない。これらの結果を表7に示す。
【0225】
【表7】
【0226】
特許、特許出願および学術論文を含む、本明細書で引用した全ての参考文献の教示は、その全文が参照することにより本明細書に組み込まれるものとする。上記開示は理解の明確性のために、実施例を通して詳細に記載されているが、当業者は、限定ではなく例示のために提示される、添付の特許請求の範囲の範囲内で特定の変更および修正が実施できることを理解するであろう。この文脈では、様々な刊行物および他の参考文献は、説明を簡潔にするために上記開示内で引用されている。しかしながら、本明細書で論じられている様々な刊行物は、本出願の出願日前に開示されたもののみ組み込まれ、発明者らは先行発明によってこのような開示を回避する権利を保有することに留意すべきである。
以下は国際出願時の特許請求の範囲に記載された発明である。
[1] 15〜30ヌクレオチドの長さを有し標的RNAに相補的なA鎖と、5〜25ヌクレオチドの長さを有するS1鎖と、5〜25ヌクレオチドの長さを有するS2鎖と、を含むリボ核酸であって、ここで:
(a)前記S1鎖と前記A鎖がアニールして、長さ5〜13塩基対の第一の二本鎖領域を形成し;
(b)前記S2鎖と前記A鎖がアニールして、第二の二本鎖領域を形成し;
(c)前記第一の二本鎖領域がギャップによって前記第二の二本鎖領域と分離されて、前記ギャップは前記A鎖の1〜10の不対ヌクレオチドであり、前記ギャップは前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の間に存在し;そして、
(d)前記リボ核酸が、0、1、または2つのオーバーハングを有し、ここで、前記オーバーハングは前記ギャップ中になく、それぞれが独立して、1〜5ヌクレオチドの長さである;
リボ核酸。
[2] A鎖と、S1鎖と、S2鎖とを含むリボ核酸であって、ここで:
前記A鎖が、18〜25ヌクレオチドの長さを有するアンチセンス鎖であり;
前記S1鎖が、5〜15ヌクレオチドの長さを有し;
前記S2鎖が、3〜13ヌクレオチドの長さを有し;
前記S1鎖と前記S2鎖の長さの合計が、18〜25ヌクレオチドで;
前記A鎖、S1鎖、およびS2鎖が、第一の二本鎖領域と第二の二本鎖領域とを形成し;
前記第一の二本鎖領域が、ギャップによって前記第二の二本鎖領域と分離されて、前記ギャップは前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の間の前記A鎖の単鎖領域であり、ここで、前記ギャップは1〜10ヌクレオチドの長さであり;そして、
前記リボ核酸が、0、1、または2つのオーバーハングを有し、ここで、前記オーバーハングは前記ギャップ中になく、それぞれが独立して、1〜4ヌクレオチドの長さである;
リボ核酸。
[3] 16〜30ヌクレオチドの長さを有し標的RNAに相補的なA鎖と、5〜25ヌクレオチドの長さを有するS1鎖と、15〜25ヌクレオチドの長さを有するS2鎖と、を含むリボ核酸であって、ここで:
(a)前記S1鎖と前記A鎖がアニールして、第一の二本鎖領域を形成し;
(b)前記S2鎖と前記A鎖がアニールして、第二の二本鎖領域を形成し;
(c)1つ以上の二本鎖領域が、5塩基対〜13塩基対の長さであり;
(d)前記第一の二本鎖領域が、ギャップによって前記第二の二本鎖領域と分離されて、前記ギャップは前記A鎖の1〜10ヌクレオチドであり、前記ギャップは前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の間にあり;そして、
(e)前記リボ核酸が、0、1、または2つのオーバーハングを有し、ここで、前記オーバーハングは前記ギャップ中になく、それぞれが独立して、1〜5ヌクレオチドの長さである;
リボ核酸。
[4] 15〜30ヌクレオチドの長さを有し標的RNAに相補的なA鎖と、6〜25ヌクレオチドの長さを有するS1鎖と、6〜25ヌクレオチドの長さを有するS2鎖と、を含むリボ核酸であって、ここで:
(a)前記S1鎖と前記A鎖がアニールして、長さ5〜13塩基対の第一の二本鎖領域を形成し;
(b)前記S2鎖と前記A鎖がアニールして、第二の二本鎖領域を形成し;
(c)前記リボ核酸が、前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の間にニックを有し;そして、
(d)前記リボ核酸が、0、1、または2つのオーバーハングを有し、ここで、前記オーバーハングは前記ギャップ中になく、それぞれが独立して、1〜5ヌクレオチドの長さである;
リボ核酸。
[5] A鎖と、S1鎖と、S2鎖とを含むリボ核酸であって、ここで:
前記A鎖が、18〜25ヌクレオチドの長さを有するアンチセンス鎖であり;
前記S1鎖が、5〜15ヌクレオチドの長さを有し;
前記S2鎖が、3〜13ヌクレオチドまたはそれ未満の長さを有し;
前記S1鎖と前記S2鎖の長さの合計が、18〜25ヌクレオチドであり;
前記A鎖、S1鎖、およびS2鎖が、第一の二本鎖領域と第二の二本鎖領域とを形成し;
前記リボ核酸が、前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の間にニックを有し;そして、
前記リボ核酸が、0、1、または2つのオーバーハングを有し、ここで、前記オーバーハングは前記ギャップ中になく、それぞれが独立して、1〜4ヌクレオチドの長さである;
リボ核酸。
[6] 16〜30ヌクレオチドの長さを有し標的RNAに相補的なA鎖と、5〜25ヌクレオチドの長さを有するS1鎖と、15〜25ヌクレオチドの長さを有するS2鎖と、を含むリボ核酸であって、ここで:
(a)前記S1鎖と前記A鎖がアニールして、第一の二本鎖領域を形成し;
(b)前記S2鎖と前記A鎖がアニールして、第二の二本鎖領域を形成し;
(c)1つ以上の二本鎖領域が、5塩基対〜13塩基対の長さで;
(d)前記リボ核酸が、前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の間にニックを有し;そして、
(e)前記リボ核酸が、0、1、または2つのオーバーハングを有し、ここで、前記オーバーハングは前記ギャップ中になく、それぞれが独立して、1〜5ヌクレオチドの長さである;
リボ核酸。
[7] 前記ギャップが1〜6不対ヌクレオチドの長さを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[8] 前記ギャップが1不対ヌクレオチドの長さを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[9] 前記オーバーハングが3’オーバーハングであり、各オーバーハングが1〜4ヌクレオチドの長さを有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[10] 前記リボ核酸の前記ギャップの一部ではない3’−末端が平滑末端である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[11] 前記A鎖が19〜25ヌクレオチドの長さを有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[12] 前記A鎖が25〜30ヌクレオチドの長さを有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[13] 前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の長さの合計が19〜25塩基対である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[14] 前記第一の二本鎖領域と前記第二の二本鎖領域の長さの合計が25〜30塩基対である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[15] 1つ以上のヌクレオチドが修飾された糖を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[16] 1つ以上のヌクレオチドが2’糖架橋を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[17] 1つ以上のヌクレオチドが修飾されたヌクレオシド間結合を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[18] 1つ以上のヌクレオチドがロック核酸ヌクレオチドを有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[19] 1つ以上のヌクレオチドがロック核酸ヌクレオチドである、あるいは1つ以上のヌクレオチドが2’糖架橋を有する、あるいは1つ以上のヌクレオチドがG形クランプを有する、あるいは1つ以上のヌクレオチドが修飾されたヌクレオシド間結合を有する、あるいは1つ以上のヌクレオチドが末端キャップ置換基を有する、1つ以上のヌクレオチドが2’−メトキシもしくはフルオロ修飾を有する、あるいは1つ以上のヌクレオチドがホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する、またはこれらの任意の組み合わせである請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[20] 前記リボ核酸のピリミジンの1つ以上が、式Iまたは式IIに記載のピリミジンヌクレオシドを含む:
【化2】
式中、
R1とR2は、それぞれ独立して、−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは非置換C1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは非置換C2−C10アルケニル、置換もしくは非置換−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは非置換C2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり,
R3とR4は、それぞれ独立して、水酸基、保護水酸基、リン酸、またはヌクレオシド間結合基であり、および
R5とR8は、独立して、OまたはSである、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリボ核酸。
[21] 1つ以上のヌクレオシドが、R1がメチルでR2が−OHである式Iに記載の請求項20に記載のリボ核酸。
[22] 1つ以上のヌクレオシドが、R2が−OCH3またはフルオロである式Iに記載の請求項20に記載のリボ核酸。
[23] 請求項1乃至22のいずれか一項に記載のリボ核酸および薬学的に許容できる担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、乳化剤、緩衝剤、安定剤、または保存剤を含む医薬組成物。
[24] リポソーム、ハイドロゲル、シクロデキストリン、生分解性のナノカプセル、生体接着性のマイクロスフェア、またはタンパク質性のベクター、をさらに含む請求項23に記載の医薬組成物。
[25] 標的遺伝子のmRNAを発現する細胞中において、前記標的遺伝子の発現を低減させる方法であって、請求項1乃至22のいずれか一項に記載のリボ核酸を細胞に投与することを含む方法。
[26] 前記細胞がヒト細胞である請求項25に記載の方法。
[27] 標的RNAの発現を低減させることによる、過増殖性疾病または炎症性疾病の治療方法であって、請求項1乃至22のいずれか一項に記載のリボ核酸を、前記標的RNAを発現しているヒト対象に投与することを含む治療方法。
[28] 請求項1乃至22のいずれか一項に記載のリボ核酸を、感染したヒト対象に投与することを含み、ここで前記リボ核酸が、前記ヒト対象に感染している微生物の標的遺伝子の発現を低減させる感染症の治療方法。
[29] ヒト対象中での、過増殖性疾病、炎症性疾病、または感染症の治療における薬剤としての請求項1乃至22のいずれか一項に記載のリボ核酸の使用。
[30] 過増殖性疾病、炎症性疾病、または感染症のヒト対象の治療における使用のための薬剤の製造における請求項1乃至22のいずれか一項に記載のリボ核酸の使用。